(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】人工まつげの装着方法
(51)【国際特許分類】
A41G 5/02 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
A41G5/02
(21)【出願番号】P 2021089880
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2021-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514039255
【氏名又は名称】株式会社LADYCOCO JAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】深山 和春
(72)【発明者】
【氏名】切石 まみ
(72)【発明者】
【氏名】君崎 由起
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-285730(JP,A)
【文献】特開2018-111901(JP,A)
【文献】特開昭48-040543(JP,A)
【文献】国際公開第02/085186(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下の自まつげに人工まつげを装着するための、人工まつげの装着方法であって、
(I)湾曲部を有する人工まつげを形成する工程を含み、
前記工程(I)は、
(i)保持部材上に貼り付けられた根本部分を有する人工まつげを準備する工程と、
(ii)前記人工まつげの根本部分の1箇所を、第1のツィザーで押さえる工程と、
(iii)前記押さえた箇所よりも先端側を第2のツィザーで摘まむ工程と、
(iv)前記第2のツィザーで前記人工まつげを摘まんだ状態で、前記人工まつげを谷折り方向に保持しながら、前記第1のツィザーで押さえた箇所で前記第1のツィザーを前記保持部材に押し付けながら回転させるように動かすことによって湾曲部を形成する工程と、
を含む、人工まつげの装着方法。
【請求項2】
さらに、(II)前記工程(iv)で湾曲部が形成された人工まつげをユーザの下の自まつげに装着する工程を含み、
前記工程(II)は、
(1)前記工程(iv)で湾曲部が形成された人工まつげを、前記第2のツィザーで摘まみながら前記保持部材から剥離する工程と、
(2)前記保持部材から剥離した前記人工まつげの前記根本部分の少なくとも一部に、接着剤を塗布する工程と、
(3)前記接着剤を塗布した部分を前記ユーザの下の自まつげに接着させる工程と、
を含む、請求項
1に記載の人工まつげの装着方法。
【請求項3】
前記工程(I)で形成された湾曲部を有する人工まつげは、
自まつげへの接着部位を含む第1部分と、
前記第1部分よりも先端側に位置する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間に位置する前記湾曲部と、を有し、
前記湾曲部において、前記第2部分は前記第1部分の描く曲線よりも内側に湾曲しており、前記湾曲部は角を有さないカーブである人工まつげである、
請求項
1または請求項
2に記載の人工まつげの装着方法。
【請求項4】
前記第1部分の長さが0.3mm~3mmである、請求項3に記載の人工まつげの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつげエクステンションに用いる人工まつげおよび人工まつげの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
まつげの長さや量を増やすために、生えているまつげ(自まつげという)の1本1本に人工まつげを取り付けることが知られている。これを、まつげエクステンションという。まつげエクステンションにおける施術方法として、例えば特許文献1には、複数本の人工まつげを自まつげの同一部分に密集・積層して接着する方法が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、まつげエクステンションの施術方法として、1本のまつげに2本以上の人工まつげを装着すること、また、1本の自まつげに対して曲率の異なる複数の人工まつげを装着することが記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、人工まつげの取り付け方法であって、保持部材上に保持された人工まつげを保持部材から剥離する際に、2箇所で折り目を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6672515号公報
【文献】特許第6406743号公報
【文献】特許第6457130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
まつげエクステンションは上まつげと下まつげのどちらにも適用されるが、上まつげに施術されることが多い。このため、下まつげのエクステンションに用いる人工まつげや施術方法は、上まつげに用いるものを転用することが多く、下まつげに特に適した人工まつげや施術方法は発展途上にある。一方で、目をはっきり大きく見せたい、目尻を下げて見せたいといった希望に応えるためには下まつげのエクステンションが有用であり、下まつげに適した人工まつげや施術方法にはニーズがある。
【0007】
本発明はこの状況に鑑み、下まつげのエクステンションにおいて好適に用いることができる人工まつげを提供することを目的とする。また、このような人工まつげを下まつげに装着する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは前記課題について検討を進め、目をはっきり大きく見せたい場合、また、目尻を下げて見せたい場合等には、正面から見た時に下まつげが下向きに延びて見えるよう、下まつげを下げることが重要であることを見出した。そして、次の構成によれば、前記課題を解決する人工まつげおよび人工まつげの装着方法が提供されることを見出した。すなわち本発明は、次の構成を有する。
【0009】
[1]まつげエクステンションに用いる人工まつげであって、
自まつげへの接着部位を含む第1部分と、
前記第1部分よりも先端側に位置する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間に位置する湾曲部と、を有し、
前記湾曲部において、前記第2部分は前記第1部分の描く曲線よりも内側に湾曲しており、前記湾曲部は角を有さない湾曲部である、人工まつげ。
【0010】
[2]前記人工まつげは、前記第1部分と、前記第2部分と、前記湾曲部とからなる、[1]に記載の人工まつげ。
【0011】
[3]前記第1部分の長さが0.3mm~3mmである、[1]または[2]に記載の人工まつげ。
【0012】
[4]下の自まつげに人工まつげを装着するための、人工まつげの装着方法であって、
(I)湾曲部を有する人工まつげを形成する工程を含み、
前記工程(I)は、
(i)保持部材上に貼り付けられた根本部分を有する人工まつげを準備する工程と、
(ii)前記人工まつげの根本部分の1箇所を、第1のツィザーで押さえる工程と、
(iii)前記押さえた箇所よりも先端側を第2のツィザーで摘まむ工程と、
(iv)前記第2のツィザーで前記人工まつげを摘まんだ状態で前記人工まつげを谷折り方向に保持しながら、前記第1のツィザーで押さえた箇所で前記第1のツィザーを前記保持部材に押し付けながら回転させるように動かすことによって湾曲部を形成する工程と、
を含む、人工まつげの装着方法。
【0013】
[5]さらに、(II)前記工程(iv)で湾曲部が形成された人工まつげをユーザの下の自まつげに装着する工程を含み、
前記工程(II)は、
(1)前記工程(iv)で湾曲部が形成された人工まつげを、前記第2のツィザーで摘まみながら前記保持部材から剥離する工程と、
(2)前記保持部材から剥離した前記人工まつげの前記根本部分の少なくとも一部に、接着剤を塗布する工程と、
(3)前記接着剤を塗布した部分を前記ユーザの下の自まつげに接着させる工程と、
を含む、[4]に記載の人工まつげの装着方法。
【0014】
[6]前記工程(I)で形成された湾曲部を有する人工まつげは、[1]から[3]のいずれか1項に記載の人工まつげである、[4]または[5]に記載の人工まつげの装着方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、下まつげのエクステンションに好適に用いることができる人工まつげが提供される。また、このような人工まつげを下まつげに装着する方法が提供される。このため、目をはっきり大きく見せたい、目尻を下げて見せたい等のユーザの希望に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本発明の人工まつげのバリエーションの例を示す図である。
【
図3】本発明の人工まつげを装着した状態を示す模式図である。
【
図4】本発明の人工まつげを得る方法を示す図である。
【
図5】本発明の人工まつげの装着方法を示すフローである。
【
図7】人工まつげの装着前および本発明の人工まつげを下まつげに装着した実施例を示す。
【
図8】本発明の人工まつげを下まつげに装着した実施例を示す。
【
図9】従来の方法で人工まつげを下まつげに装着した比較例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、本明細書において、「ユーザ」とは自まつげに人工まつげを装着される者(施術対象者)を意味し、「施術者」とはまつげエクステンションをユーザに対して施術する美容技術者を意味する。
【0018】
図1は本発明の人工まつげ1を示す。
図1を参照して、人工まつげ1は、根本部10が相対的に太く、先端に向かうにしたがって細く形成されている。人工まつげ1は、第1部分としての根本部10と、第2部分としてのエクステンション部20と、を有する。人工まつげ1は、湾曲部30において湾曲している。湾曲部30は、根本部10とエクステンション部20との間に位置する。人工まつげ1の断面(長さ方向に直交する断面)は、円形であってもよい。また、人工まつげ1の断面は、円形のほか、楕円形、四角形、角の丸い四角形、凹部のある矩形等であってもよく、特に制限されない。また、人工まつげ1の断面は、根本から先端まで大きさのみが異なる同一形状であってもよいし、根本部と先端で異なる形状とされていてもよい。例えば、根本部は自まつげへの接着が容易になるように扁平断面に形成され、先端部は円形断面に形成されていてもよい。
【0019】
人工まつげ1を側方から見る状態(すなわち
図1の状態)において、人工まつげ1の根本部10は、わずかに湾曲して形成されている。根本部10は、ユーザの自まつげへの接着部位を含む。下まつげは上まつげに比べて短いため、根本部10の長さは、例えば、0.3mm~3mm程度とすることができ、0.3mm~2mmとすることがより好ましい。ユーザの下の自まつげの根本付近に、人工まつげ1の根本部10が接着される。人工まつげ1をユーザに装着する時には、人工まつげ1の先端側が下を向く方向に装着する。
【0020】
人工まつげ1は、湾曲部30において、角を有さず湾曲(カール)している。ここで、角を有さないとは、人工まつげの長さ方向の各点における接線を想定するとき、接線の傾きが不連続的に変化する点がないことをいう。また、人工まつげにおいて折れ曲がっている箇所がないことをいう。
【0021】
従来、まつげエクステンションの施術の際に、人工まつげを折り曲げる方法や屈曲部を有する人工まつげが知られている。
図6に、折り曲げた人工まつげの例を示す。
図6の人工まつげ100は、根本部110とエクステンション部120との間に、屈曲部130が形成されている。上まつげは長く密集しているため、上まつげにこのような折り曲げた人工まつげを装着する場合には、折り曲げ部分が目立たないようにすることもできた。しかしながら、下まつげは上まつげに比べて短くまばらであることから、折り曲げた人工まつげを下まつげに装着すると折り曲げ部分が目立ってしまい、自然な仕上がりにすることが難しかった。
【0022】
また一方で、全体にカールが付けられた人工まつげが知られている。しかしながら、下まつげに馴染む短めの人工まつげであって、かつ、下まつげを下げて見せることができる適切な人工まつげは知られていなかった。前記の状況に対して、本発明の人工まつげは、角を作らず湾曲されているため、下まつげに装着した時に自然な外見が演出できる。また、本発明の人工まつげは、湾曲部から先端側が根本部分の描く曲線よりも内側に湾曲して伸びているため、下まつげに装着した時にまつげが下向きに伸びているように見せることができ、下まつげを下げて見せる効果が大きい。本発明の人工まつげは、人工まつげの根本部付近に湾曲部を有するため、下まつげが逆まつげのユーザに対して装着した場合であっても上まつげとの干渉が起こらず、自然に下向きに伸びる下まつげを演出することができる。
【0023】
人工まつげ1の根本部10が略水平方向に位置するように見るとき(すなわち
図1の状態)、湾曲部30において、人工まつげ1は内側に湾曲している。ここで、「内側に湾曲している」とは、湾曲部30の先端側であるエクステンション部20が、根本部10の曲線を延長した仮想線L
1よりも内側に延びていることを意味する。仮想線L
1は、湾曲部30が形成されていない場合の、人工まつげ1の形状を示す仮想線である。
【0024】
人工まつげ1において、湾曲部30よりも先端側が、全体に湾曲形状を有するエクステンション部20である。エクステンション部20は、全体がカーブを描いて湾曲している。エクステンション部20の曲率は、根本部10の曲率と同じであってよい。エクステンション部20の曲率は、湾曲部30から先端にかけて一定であってもよいし、曲率の異なる部分が組み合わされていてもよい。
【0025】
上述のとおり人工まつげ1は、湾曲部30において角を有さずにカーブしている。この構成によって、下まつげに装着した際に、人工まつげが目立たない自然な外見を得られるとともに、下まつげを下向きに延長する効果が大きい。また、下まつげが逆まつげのユーザに対してもまつげエクステンションを実施できる。このため、幅広いユーザに対して、目を大きくはっきり見せる、目尻が下がった愛らしい雰囲気にする等の希望に沿うことができる。
【0026】
図2は、本発明の人工まつげ1のバリエーションを示す。
図2に示された4種類の人工まつげは、多くの構成が
図1に示された人工まつげ1と同様であり、湾曲部の形状、エクステンション部の形状、根本部とエクステンション部の構成割合が異なる。
図2に示されるとおり、湾曲部の湾曲の度合いは多様なものとできる。ユーザの自まつげの生える角度や長さ、目の形や大きさ等を考慮して、最終的な仕上がりのイメージに基づいて使用する人工まつげを選択できる。例えば、下の自まつげが比較的長く、接着部が確保できる場合には、根本部の割合を多くすることができる(
図2のa)。短い自まつげに対しては、根本部の割合が少ないものを用いることができる(
図2のb)。下まつげを大きく下げたい場合には、湾曲部の湾曲度合いが大きく、かつエクステンション部のカーブが大きなものを選択できる(
図2のc)。自まつげが短い場合には全体が短い人工まつげを選ぶことができる(
図2のd)。希望する仕上がりを考慮し、異なる種類の人工まつげを組み合わせて用いることもできる。
【0027】
図1、
図2において例示された人工まつげは根本部が湾曲しているが、本発明の人工まつげはこれに制限されない。例えば、根本部の一部または全部が直線状であってもよい。また、
図1、
図2において例示された人工まつげは、根本部と、湾曲部と、エクステンション部とからなるが、本発明の人工まつげはさらなる部分を含んでもよい。例えば、直線状あるいは曲線状に形成された部分がさらに組み合わされていてもよく、2箇所の湾曲部を含んでもよい。
【0028】
図3は、本発明の人工まつげ1をユーザに装着した状態を示す模式図である。
図3を参照して、人工まつげ1が、ユーザの下の自まつげ2に装着されている。
図3の例では、1本の自まつげ2に対して、1本の人工まつげ1が装着されている。下まつげ2の根本近辺に人工まつげ1の根本部が接着されている。
図3の例では、下まつげの目頭側から目尻側のほぼ全域に、人工まつげが装着されている。下まつげの目尻側に長い人工まつげ1を装着することによって、目尻の下がった、いわゆるたれ目を演出することもできる。
【0029】
本発明の人工まつげは、予め所定の形状に形成されたものを用いてもよい。また、市販品されている人工まつげを、施術前に施術者が曲げることによって、本発明の人工まつげを得ることもできる。
図4に、市販品の人工まつげを湾曲させて本発明の人工まつげを得る方法の例を示す。
【0030】
図4を参照して、市販のまつげエクステンション用人工まつげを準備する(
図4(1))。準備する人工まつげとしては特に制限されず、仕上がり状態のイメージに合わせた太さ、長さ、およびカールを有するものを適宜選択して用いる。太さは、例えば直径0.05mmから0.2mm程度の中から選択できる。ユーザの自まつげと同じ程度の太さ、あるいは、自まつげよりも太いものを選択することが好ましい。長さは、例えば3mmから15mm程度の中から選択できる。ユーザの自まつげよりも2mmから3mm程度、長いものを選択することが好ましい。カールは、特に制限されないが、例えば、一般的に「Jカール」「JCカール」「Cカール」と称されるカールのものを用いることができる。
【0031】
市販品であるまつげエクステンション用人工まつげは、多数の人工まつげ50が台紙51の上に保持された状態で市販されている。台紙51には、粘着性物質を含む保持部材52が取り付けられている。保持部材52は、平面状の粘着シートである。人工まつげ50は、保持部材52上に貼り付けられている。人工まつげ50の1本1本は、保持部材52の上に互いに近接して並ぶように配置されている。例えば、保持部材52の短辺は2~3mm程度であり、長辺は50~120mm程度である。人工まつげ50の根本部分が、保持部材52に貼り付けられて保持されている。人工まつげ50の先端側は上方にカールし、台紙51および保持部材52から浮いた状態になっている。
【0032】
続いて、人工まつげ50の根本部分の1箇所を第1のツィザー61で押さえる(
図4(2))。押さえる場所は特に制限されないが、この時に押さえる部分が湾曲部となるため、人工まつげ50の根本から0.3mm~3mm程度の場所を押さえるとよい。人工まつげ50を安定して押さえるためには、第1のツィザー61の先端を閉じた状態で、先端の両方が均等に人工まつげ50に接触するように軽く押し付けることが好ましい。
【0033】
続いて、人工まつげ50の第1のツィザー61で押さえた箇所よりも先端側を、第2のツィザー62で摘まむ(
図4(3))。第2のツィザー62で摘まむ箇所には、折り目や湾曲は形成されない。続いて第2のツィザー62によって人工まつげ50を谷折り方向に保持しながら、第1のツィザー61を保持部材52に押し付けて回転させるように動かす(
図4(4))。これによって、人工まつげに湾曲部を形成する。以上の工程によって、本発明の人工まつげを形成できる。
【0034】
本発明はまた、ユーザの下の自まつげに人工まつげを装着する方法に関する。
図5に本発明の人工まつげの装着方法のフローを示す。
図5を参照して、台紙の保持部材上に保持されている、人工まつげを保持部材から剥離する(S1)。具体的には例えば、前述の工程によって湾曲部が形成された人工まつげ50を、第2のツィザー62で摘まみながら前記保持部材から剥離する(
図4(5))。
【0035】
続いて、保持部材から剥離された人工まつげの根本部に接着剤を塗布する(S2)。接着剤を塗布する範囲は、根本部の一部であっても全体であってもよく、根本部の長さや自まつげの状態に応じて適宜選択できる。接着剤としては、一般的にまつげエクステンションにおいてグルーと称される樹脂を適宜選択して用いることができる。
【0036】
続いて、接着剤を塗布した部分をユーザの下の自まつげに接着させる(S3)。本発明の人工まつげは下まつげに接着される。下まつげの全体に人工まつげを装着してもよいし、一部のみに装着してもよい。
【0037】
本発明の人工まつげの施術本数は特に制限されないが、例えば、ユーザに対して1回あたり1本~100本程度とできる。1本の自まつげに対して1本の人工まつげを装着する、いわゆるシングルラッシュでもよく、1本の自まつげに対して複数本の人工まつげを装着する、いわゆるボリュームラッシュであってもよい。施術される人工まつげは、すべて同じ程度のカーブ、同じ長さであってもよい。また、カーブの度合いが異なるものを組み合わせて用いてもよい。さらに、長さが異なる人工まつげを組み合わせて用いてもよい。本発明の人工まつげと、他の種類の人工まつげを組み合わせて用いてもよい。
【0038】
(実施例1)
図7に、人工まつげの装着前、および、本発明の人工まつげを下まつげに装着した実施例を示す。
図7における装着前の写真(装着前1、装着前2)と装着後の写真(装着後1、装着後2)はそれぞれ撮影角度のみが異なる同一モデルの写真である。
図7に示す例では、JCカールの人工まつげを、本発明の方法に従って湾曲し、ユーザの下まつげに装着した。
図7に示されるとおり、本発明の方法によれば、自まつげが逆まつげであっても、自然に下向きに伸びる下まつげを演出できる。
【0039】
(実施例2)
図8に、本発明の人工まつげを下まつげに装着した実施例を示す。
図8における2枚の写真は、撮影角度のみが異なる同一モデルの写真である。
図8に示す例では、Jカールの人工まつげを本発明の方法に従って湾曲し、ユーザの下まつげに装着した。
図8に示されるとおり、本発明の方法によれば、自まつげが逆まつげであっても、自然に下向きにのびる下まつげを演出できる。また、人工まつげの角度が自然であり、多数の人工まつげを装着した場合であっても違和感がなく、目の大きさを自然に演出できる。
【0040】
(比較例1)
図9に、従来の方法で人工まつげを下まつげに装着した比較例を示す。
図9における2枚の写真は、撮影角度のみが異なる同一モデルの写真である。また、
図8のモデルと同一人物である。
図9に示されるとおり、従来方法では、本発明と比較して、下まつげを下げる効果が小さい。また、従来方法では、逆まつげのユーザに対して装着できる本数が限られるため、きれいに生えそろった下まつげを演出することができず、人工まつげを装着することによる効果も限られる。
【0041】
本発明の人工まつげによれば、下まつげを下向きに自然に延長することが可能であり、目を大きくはっきりと見せる、目尻が下がった愛らしい雰囲気を演出できる等、ユーザの希望に沿ったまつげエクステンションを提供できる。
【符号の説明】
【0042】
1、100 人工まつげ、10、110 根本部、20、120 エクステンション部、30 湾曲部、130 屈曲部、50 人工まつげ、51 台紙、52 保持部材、61、62 ツィザー
【要約】
【課題】下まつげのエクステンションにおいて好適に用いることができる人工まつげを提供すること。また、このような人工まつげを下まつげに装着する方法を提供すること。
【解決手段】まつげエクステンションに用いる人工まつげであって、自まつげへの接着部位を含む第1部分と、前記第1部分よりも先端側に位置する第2部分と、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する湾曲部と、を有し、前記湾曲部において、前記第2部分は前記第1部分の描く曲線よりも内側に湾曲しており、前記湾曲部は角を有さないカーブである、人工まつげ。
【選択図】
図4