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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】二重襞パックを有するフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/07 20060101AFI20220218BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20220218BHJP
   B01D 35/30 20060101ALI20220218BHJP
   F01M 11/03 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
B01D29/06 510A
B01D29/06 510F
B01D29/04 510A
B01D29/04 530B
B01D35/30
F01M11/03 B
F01M11/03 H
F01M11/03 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2015556135
(86)(22)【出願日】2014-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2016-03-24
(86)【国際出願番号】 US2014013910
(87)【国際公開番号】W WO2014120957
(87)【国際公開日】2014-08-07
【審査請求日】2017-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2019-02-01
(31)【優先権主張番号】13/755,134
(32)【優先日】2013-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515072336
【氏名又は名称】フィルトラン・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジー・エレフテラキス
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム・カリル
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド・エフ・アルファロ
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】関根 崇
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-230039号公報(JP,A)
【文献】特開昭58-189015号公報(JP,A)
【文献】特開2007-327413号公報(JP,A)
【文献】特開2006-346674号公報(JP,A)
【文献】特開2006-205133号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/01
B01D29/07
B01D35/02
B01D35/30
F01M11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を形成するハウジングであって、前記ハウジングが、第1の外周フランジを備える上部ウジングシェル及び第2の外周フランジを備える下部ハウジングシェルを備える、ハウジングと、
外周フレーム及び折り畳まれた襞を寄せられた媒体を備える襞パック要素と、
を備え、
前記外周フレームは、前記媒体の少なくともいくつかの端部上に少なくとも部分的に成形されて、前記媒体を前記外周フレームの中に固定し、
前記折り畳まれた襞を寄せられた媒体は、第1濾過密度を有する第1の襞を寄せられた濾過媒体と、前記第1濾過密度と異なる第2濾過密度を有する第2の襞を寄せられた濾過媒体と、を備え、
前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体は、互いに対して流れの方向において並列配置構成で配置され、
前記外周フレームは、内側に面する側、外側に面する側、平坦な上面、及び平坦な下面を備える本体部分を備え、
前記平坦な上面及び前記平坦な下面のそれぞれは、前記外周フレームの内側に面する側から前記外側に面する側へ、前記内側に面する側から前記外側に面する側への厚み全体に亘って延び、
前記平坦な上面は前記第1の外周フランジに直接接合され、
前記平坦な下面は前記第2の外周フランジに直接接合され、
前記襞パック要素は、前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体にオーバーモールドされる補強材をさらに備え、
前記補強材は、前記第1の襞を寄せられた濾過媒体を複数の第1媒体列に分割し、且つ前記第2の襞を寄せられた濾過媒体を複数の第2媒体列に分割し、
前記複数の第1媒体列の数は、前記複数の第2媒体列の数と異なっている、
流体フィルタ。
【請求項2】
前記襞パック要素と離間して配置され、前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体の少なくとも一方に対する流れの方向において上流側に配置された補助的なフィルタ材をさらに備える請求項1に記載の流体フィルタ。
【請求項3】
前記補助的なフィルタ材は、前記下部ハウジングシェルと前記襞パック要素との間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の流体フィルタ。
【請求項4】
前記第1の外周フランジ及び前記第2の外周フランジは、前記平坦な上面及び前記平坦な下面それぞれに、振動溶接によって直接接合されていることを特徴とする請求項1に記載の流体フィルタ。
【請求項5】
前記第1の外周フランジ及び前記第2の外周フランジは、前記平坦な上面及び前記平坦な下面それぞれに、レーザー溶接によって直接接合されていることを特徴とする請求項1に記載の流体フィルタ。
【請求項6】
第1の外周フランジを備える上部ハウジングシェルと、第2の外周フランジを備える下部ハウジングシェルと、を備えるハウジングを提供するステップと、
外周フレームと、第1濾過密度を有する第1の襞を寄せられた濾過媒体と、前記第1濾過密度と異なる第2濾過密度を有する第2の襞を寄せられた濾過媒体と、を備える襞パック要素を、フレーム材料を前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体の少なくともいくつかの端部上に部分的に成形して、前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体を前記外周フレーム中に固定することによって提供するステップであって、前記襞パック要素は、前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体にオーバーモールドされる補強材をさらに備え、前記補強材は、前記第1の襞を寄せられた濾過媒体を複数の第1媒体列に分割し、且つ前記第2の襞を寄せられた濾過媒体を複数の第2媒体列に分割し、前記複数の第1媒体列の数は、前記複数の第2媒体列の数と異なっている、ステップと、
前記ハウジングと前記襞パック要素とを有する筐体を、前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体が前記筐体の内側に収容されるように形成するステップと、
を備え、
前記第1の襞を寄せられた濾過媒体及び前記第2の襞を寄せられた濾過媒体は、互いに対する流体の流れの方向において並列配置構成であり、
前記外周フレームは、内側に面する側、外側に面する側、平坦な上面、及び平坦な下面を備える本体部分を備え、
前記平坦な上面及び前記平坦な下面のそれぞれは、前記外周フレームの内側に面する側から前記外側に面する側へ、前記内側に面する側から前記外側に面する側への厚み全体に亘って延び、
前記平坦な上面は前記第1の外周フランジに直接接合され、
前記平坦な下面は前記第2の外周フランジに直接接合されている、
流体フィルタ装置を作製する方法。
【請求項7】
前記襞パック要素から離間して上流側に配置された補助的なフィルタ材を提供するステップをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記補助的なフィルタ材は、前記下部ハウジングシェルと前記襞パック要素との間に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記筐体を提供するステップは、前記第1の外周フランジを前記平坦な上面に直接振動溶接するステップと、前記第2の外周フランジを前記平坦な下面に直接振動溶接するステップと、を備えることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記筐体を提供するステップは、前記第1の外周フランジを前記平坦な上面に直接レーザー溶接するステップと、前記第2の外周フランジを前記平坦な下面に直接レーザー溶接するステップと、を備えることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に濾過の分野に関する。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、自動車のエンジンのようなエンジンにおけるエンジンオイル又はトランスミッションオイルのような液体を濾過するために使用されるフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの濾過装置が知られている。より具体的には、エンジン及び/又は自動車用途において、例えば自動車のトランスミッション流体において使用される濾過装置が知られている。いくつかの装置は、例えば流体に対して透過性を有するが粒状物質又は他の汚染物質を捕捉する、フェルトタイプの媒体のような濾過媒体を含むチャンバを形成するハウジングを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、望ましいレベルの濾過、緻密度、及び/又は製造可能性を提供することができる濾過装置及び方法を有することが望ましい。
【0004】
トランスミッションフィルタのようなフィルタに対して存在する必要性を考慮して、多くの例示的な実施形態の概要が提供される。以下の概要において、簡単化及び省略が行われる場合があるが、それは多くの例示的な実施形態のいくつかの特徴を強調し、紹介することを意図しており、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。好ましい例示的な実施形態の詳細な説明は、当業者が、後のセクションに続く本発明の概念を実施し、使用するのを可能にするのに十分である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの観点では、流体用フィルタ装置は、上部ハウジングシェル、下部ハウジングシェル、及び外周フレームと折り畳まれた襞を寄せられた媒体とを備える襞パック要素を備え、フレームは媒体の端部の少なくとも幾らかの上に少なくとも部分的にモールドされて、媒体をフレームの中に固定し、媒体は、互いに異なる濾過密度の2つのタイプの媒体を備える。
【0006】
いくつかの観点では、流体用フィルタ装置は、筐体を形成するハウジング、及び外周フレームと折り畳まれた襞をよせられた媒体とを備える襞パック要素を備え、フレームは媒体の端部の少なくとも幾らかの上に少なくとも部分的にモールドされて、媒体をフレームの中に固定し、媒体は、互いに異なる濾過密度の2つのタイプからなる媒体を備え、襞パック要素の異なる2つのタイプの媒体は、互いに対して流れの方向に平行に配置されている。
【0007】
いくつかの観点では、流体用フィルタ装置を作製する方法は、ハウジングを提供するステップ、フレーム材料を媒体の端部の少なくとも幾らかの上に少なくとも部分的にモールドすることによって、外周フレームと折り畳まれた襞をよせられた媒体とを備える襞パック要素を提供するステップ、及び襞パック要素がハウジングの内側に封入されるように、ハウジングで筐体を形成するステップを備え、媒体は互いに異なる濾過密度の2つのタイプの媒体を備え、襞パック要素の異なる2つのタイプの媒体は、互いに対して流れの方向に平行に配置されている。
【0008】
本発明の前述の目的及び利点は、様々な例示的な実施形態によって達成することができる例示的な実施形態によって例証されるが、実現することができる、可能性のある利点を網羅する又は限定することを意図するものではない。したがって、様々な例示的な実施形態のこれら及び他の目的及び利点は、本明細書の中の記載から明らかとなること、又はここで具体化される若しくは当業者には明白である変更を考慮して変形されることの両方によって様々な例示的な実施形態を実践することから学ぶことができる。したがって、本発明は、様々な例示的な実施形態に図示され、記載された、新規な方法、構成、組み合わせ、及び改良に存する。
【0009】
様々な例示的な実施形態をよりよく理解するために、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】好ましい第1の実施形態によるフィルタの分解図である。
図2図1のフィルタの上面図である。
図3図1のフィルタの側面図である。
図4図1のフィルタの底面図である。
図5図1のフィルタの側断面図である。
図6図5の一部の詳細図である。
図7】フィルタの好ましい第2の実施形態の分解図である。
図8図7のフィルタの上面図である。
図9図7のフィルタの側面図である。
図10図7のフィルタの底面図である。
図11図7のフィルタの側断面図である。
図12】襞パック要素の上面図である。
図13図7のフィルタの端部断面図である。
図14図11の一部の詳細図である。
図15】フィルタの好ましい第3の実施形態の分解図である。
図16図15のフィルタの上面図である。
図17図15のフィルタの側面図である。
図18図15のフィルタの側断面図である。
図19】襞パック要素の斜視図である。
図20図15のフィルタの斜視図である。
図21図15のフィルタの底面図である。
図22図18の一部の詳細図である。
図23図18の一部の詳細図である。
図24図18の一部の詳細な側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態は、自動車のトランスミッション流体用フィルタのようなフィルタに関する。いくつかの実施形態が添付の図面の図を参照しつつ説明され、図における同様の参照符号は、一般的に全体を通じて同様の部品を示す。
【0012】
図1~6は第1の好ましい実施形態を図示する。フィルタ10が提供されており、このフィルタ10は下部ハウジングシェル12と上部ハウジングシェル14とを含む。下部ハウジング12及び上部ハウジング14は、それぞれが例えば成形されたプラスティック材料からなってもよく、又は一方若しくは両方を、例えば型打ちした金属で作ることができる。
【0013】
下部ハウジングシェル12と上部ハウジングシェル14との間には襞パック要素20が配置されている。襞パック要素20は通常、外側に突出するフランジ24を有する外周フレーム22を備え、このフランジ24もまた成形されたプラスティックで作ることができる。また、内部強化部材又は駆動リブ26も設けることができる。フレーム22を含む襞パック要素20、フランジ24、及び補強リブ26を備えるアセンブリ全体は、濾過媒体30の上へオーバーモールドされており、濾過媒体30は、第1の襞を寄せられた媒体又は媒体セクション32、及び第2の襞を寄せられた媒体又は媒体セクション34のような、1つ以上の媒体タイプを備えることができる。したがって、襞パック20は、1つのタイプのみの媒体、2つの同様な媒体、2つの異なる媒体、又はそれ以上のタイプを含むことができる。この製造プロセスでは、媒体30の少なくとも1つ、又はいくつかが襞を寄せられるか、若しくはジグザグ様に折り畳まれて、加熱されたプラスティックが型の中に射出される間、型の中の所定の位置に保持される。冷却の後に、一体的な襞パック要素20が結果的に生じる。媒体30は、冷却された、剛性を有する周囲のプラスティック構造体との相互作用によって所定の位置に保持され、プラスティック構造体は、例えば媒体30との一体ユニットとしてのフレーム22、フランジ24、及び/又はリブ26を形成する。
【0014】
特に、詳細な図6において、製造中には、流体が通過するための媒体30の露出した領域を残しつつ、媒体30がその端部及び側部において、成形されたフレーム22内に封止されていることを見て取ることができる。
【0015】
図示された襞を寄せられたパックアセンブリ、又は襞パック要素20は、複数の別々の構成要素をそれぞれ個々に成形することができ、次いで最終フィルタ10を形成するように組み立てることができる、簡便な製造を提供する。下部ハウジング12及び上部ハウジング14は互いに別々の構成要素である。襞パック20もまた、別の構成要素である。図1~6の実施形態において、上部ハウジング14は、下部ハウジング12の外周フランジ42に当接することができる外周フランジ40を有することができる。フランジ40及び42は、例えば既存の溶接機によって共に振動溶接するか、又は摩擦溶接することができる。また、レーザー溶接又は接着剤による接合も、代替策として採用することができる。フランジ40のフランジ42への振動溶接又は他の取り付けの完了時に、上部ハウジング14は下部ハウシング12に取り付けられて筐体を形成することとなる。襞パック20はその形状の故に、そのフレーム22及び/又は外側フランジ24が物理的に筐体の中に保持されるように、閉じ込められる。支持アーム又はボス29を、図示されるように、上部ハウジング14上に設けることができる。
【0016】
また、図1~6の実施形態は、任意の追加的なフィルタ媒体50を示す。この例では、追加的なフィルタ媒体50は平坦なシートタイプの媒体であり、この媒体はその全体に亘って均一に離間した孔を有することができる。このシートタイプの媒体50は、いずれの媒体30より粗い媒体とすることができ、それによって幾らかの程度の予備濾過を提供する。
【0017】
図1~6の図示された実施形態は、媒体32及び34からなる2つの区画を示しているが、より多くの区画もまた設けることができる。図示された実施形態からは、媒体30は2列に、又は区画32及び34に配置されているが、媒体30は、1つの連続した区画、又は3列、4列、若しくはそれ以上の列に配置することができる。これら媒体32及び34の区画は、同じ密度とすることができ、又は代替的に一方の媒体を他方より密にすることができる。したがって、多くの程度の濾過密度及び効率を、必要に応じて1つの襞パック20内に提供することができることが理解される。さらに、予備濾過を追加的な媒体50によって達成することができ、この追加的な媒体50はこの例では平坦なシートである。
【0018】
流体入口70が下部ハウジング12に設けられ、流体出口72が上部ハウジング14に設けられている。
【0019】
図7~14は第2の好ましい実施形態を図示している。材料の変化、媒体タイプの数、及び第1の実施形態に対して記載された他の変形は、この実施形態にも適用され、この実施形態に関する説明において繰り返す必要はない。フィルタが設けられ、このフィルタは下部ハウジング112及び上部ハウジング114を含んでいる。下部ハウジング112及び上部ハウジング114はそれぞれ、例えば成形されたプラスティック材料又は金属で作ることができる。
【0020】
下部ハウジング112と上部ハウジング114との間には襞パック要素120が配置されている。ハウジングシェル112及び114は、シェル112と114との間に挟まれた、又は差し挟まれた襞パック要素120とともにサンドイッチ構造を形成する。襞パック要素120は通常、外周フレーム122を備え、この外周フレームもまた成形されたプラスティックで作ることができる。また、内部強化部材又は駆動リブ126もまた設けることができる。フレーム122及び補強リブ126を含むアセンブリ全体は、濾過媒体130の上へオーバーモールドされており、濾過媒体130は、第1の襞を寄せられた媒体又は媒体セクション132、及び第2の襞を寄せられた媒体又は媒体セクション134のような、1つ以上の媒体タイプを備えることができる。この製造プロセスでは、媒体の少なくとも1つ、又はいくつか、又は媒体の全てが襞を寄せられるか、若しくはジグザグ様に折り畳まれて、プラスティックが型の中に射出される間、型の中の所定の位置に保持される。冷却の後、一体的な襞パック要素120が結果的に生じる。媒体130は、周囲のプラスティック構造体との相互作用によって所定の位置に保持される。特に、詳細な図6において、製造中には、媒体130はその端部及び側部において、成形されたフレーム122内に封止されていることを見て取ることができる。また、襞パック要素120は、流体が流過するための媒体130の露出した領域を有する。
【0021】
図示された襞パックアセンブリ120は、3つの別々の構成要素をそれぞれ個々に成形することができ、次いで最終フィルタ110を形成するように組み立てることができる、簡便な製造を提供する。この実施形態は、第1及び第3の実施形態とは、上部ハウジング114及び下部ハウジング112によって形成されたチャンバの内側に全体的に封止される代わりに、この実施形態ではフレーム122及び/又はフランジ124が全体的なハウジングを形成する点で異なっている。したがって、下部ハウジング112及び上部ハウジング114は互いに接触することはなく、代わりにフレーム122及び/又はフランジ124が下部ハウジング112と上部ハウジング114の外周間に差し込まれ、それによって筐体の側部を形成している。
【0022】
下部ハウジング112及び上部ハウジング114は互いに別々の構成要素である。襞パック120もまた、別の構成要素である。上部ハウジング114は、フレーム122の一方の側部に当接することができるフランジ140を有し、フレーム122の他方の側部が下部ハウジング112の外周フランジ142に当接することができる。フランジ140及び142は、既存の溶接機によってフレーム122に振動溶接するか、又は摩擦溶接することができる。また、レーザー溶接又は接着剤による接合も、代替策として採用することができる。フランジ140とフランジ142とのフレーム122への振動溶接又は他の溶接の完了時に、上部ハウジング114及び下部ハウシング112は、フレーム122とともに筐体を形成する。したがって、襞パック120のフレーム122はハウジングの一部である。
【0023】
また、図7~14の実施形態は、任意の追加的なフィルタ媒体150を示す(図7において)。この例では、追加的なフィルタ媒体150は平坦なシートタイプの媒体であり、この媒体はその全体に亘って均一に離間した孔を有することができる。このシートタイプの媒体150は、いずれの媒体130より粗い媒体とすることができ、それによって幾らかの程度の予備濾過を提供する。
【0024】
図7~14の図示された実施形態は、媒体132及び134からなる2つの区画を示している。図示された実施形態からは、媒体130は2つの列又は区画にあるが、媒体130は、4列、若しくはそれ以上の列であってもよい。これら媒体132及び134の区画は、同じ密度とすることができ、又は代替的に一方の媒体を他方より密にすることができる。したがって、多くの程度の濾過密度及び効率を、必要に応じて1つの襞パック120内に提供することができることが理解される。さらに、予備濾過を平坦な媒体150によって達成することができる。
【0025】
この実施形態における差異が、上部ハウジング114が襞パック120のフレーム122に直接接合されていることであると理解される。さらに、下部ハウジング112は、襞パック120のフレーム122に直接接合されている。このように、襞パック120のフレーム122は、実際にフィルタ全体の外側壁を形成するとともに、フィルタ全体を封入することに参加している。このことは、いくつかの利点を提供することができる。フレーム122の外周を構造体の側部ハウジング構成要素として使用することは、フィルタ110全体をより小型にすることを可能にし、平面図若しくは上面図に図示した際に、襞パック120の外周を取り巻く上部ハウジング及び下部ハウジングを有する実施形態と比較して、フィルタが同じサイズの襞パック120のための少ない面積を占める。これは、上部及び下部ハウジングの合わせられるフランジのために必要とされる領域が、襞パック120の外周を取り巻くためには、もはや必要とされないからである。また、流体が、襞パック120を通過せずにハウジングを通じて移動することは不可能である、すなわち、流体は、襞パックフランジ124とハウジングの内側との間の襞パック120の端の周りで(ハウジングの内側であるにもかかわらず)逃げることはできない。
【0026】
図12は、補強材126を有し、それによって媒体130を媒体の複数の列に分割する襞パック120を図示している。しかし、複数の列のうちのいくつかの列又は部分は、1つのタイプの媒体を有することができ、一方で他の列又は列の部分は他のタイプの媒体を有することができる。例えば、この実施形態では、1つの例は、媒体の1つのタイプからなる領域132が媒体134の領域とは異なる横方向の間隔を占めている。また、襞パック120のフレーム122が、媒体130を支持するためにこれもまたオーバーモールドされた、フィルタの周囲構造体の外側構造部分を形成しているので、襞パック120のフレーム122を支持アーム又はボス129と一体化することができる。特に図7及び13にみられるように、外付け装置160を襞パック120のフレーム122の周りに取り付けることができ、これら外付け装置の奥行き160は、磁石又は他の望ましい外部構造のための支持部材を含むことができる。このことは、上部ハウジング114及び下部ハウジング112の壁厚みを比較的薄くして、構造的な剛性を提供しつつ、襞パック120を有するフィルタに望ましい小型化を提供するという利点をもたらす。
【0027】
流体の入口170は下部ハウジング112に設けられ、流体の出口172は上部ハウジング114に設けられる。
【0028】
図16~24は、第3の好ましい実施形態を図示している。材料の変化、媒体タイプの数、及び第1の実施形態に対して記載された他の変形は、この実施形態にも適用され、この実施形態に関する説明において繰り返す必要はない。フィルタが設けられ、このフィルタは下部ハウジングシェル212及び上部ハウジングシェル214を含んでいる。上部及び下部ハウジングシェルはそれぞれ、例えば成形されたプラスティック材料又は金属で作ることができる。
【0029】
下部ハウジング212と上部ハウジング214との間には襞パック要素220が配置されている。襞パック要素220は通常、外に向かって突出するフランジ224を有する外周フレーム222を備え、この外周フレームもまた成形されたプラスティックで作ることができる。また、内部強化部材又は駆動リブ226を設けることができる。フレーム222、フランジ224、及び補強リブ226を含むアセンブリ全体は、濾過媒体230の上へオーバーモールドされており、濾過媒体230は、第1の襞を寄せられた媒体232及び第2の襞を寄せられた媒体234のような、1つ以上の媒体タイプを備えることができる。この製造プロセスでは、媒体230の少なくともいくつか、又は媒体230の全てが襞を寄せられるか、若しくはジグザグ様に折り畳まれて、プラスティックが型の中に射出される間、型の中の所定の位置に保持される。冷却の後、一体的な襞パック要素220が結果的に生じる。媒体230は、周囲のプラスティック構造体との相互作用によって所定の位置に保持される。
【0030】
特に、図8の詳細な図において、製造中には、媒体230はその端部及び側部において、成形されたフレーム222内に封止されていることを見て取ることができる。媒体230の露出した領域が、流体が流過するために設けられている。
【0031】
図示された襞パックアセンブリ220は、3つの別々の構成要素をそれぞれ個々に成形することができ、次いで最終フィルタ210を形成するように組み立てることができる、簡便な製造を提供する。下部ハウジング212及び上部ハウジング214は互いに別々の構成要素である。襞パック220もまた、別の構成要素である。上部ハウジング214は、下部ハウジング212の外周フランジ242に当接することができる外周フランジ240を有することができる。フランジ240及び242は、既存の溶接機によって共に振動溶接するか、又は摩擦溶接することができる。また、レーザー溶接又は接着剤による接合も、代替策の例として採用することができる。フランジ240のフランジ242への振動溶接又は他の溶接の完了時に、上部ハウジング214は下部ハウシング212に取り付けられて、筐体を形成する。襞パック220はその形状の故に、その外側フランジ224が物理的に筐体の中に保持されるように、閉じ込められる。支持アーム又はボス229を設けることができる。
【0032】
図16~24の実施形態もまた、(この実施形態には図示されていないが、上述の媒体50及び150と同様な)任意の追加的なフィルタ媒体を採用することができる。また、この実施形態はバイパス領域292からのバイパス出口290を示しており、バイパス領域292は、下部ハウジング212の領域245のハウジング内部開口部243を介した流体を収容する。この実施形態では、領域245はその位置でのフランジ224との合わせ領域として作用し、それによって開口部243を通じたバイパス流体は襞パック220内を周回し(pass around)、襞パック220の外へ流れ、襞パック220によって濾過されることはない。
【0033】
図示された実施形態からは、媒体230は2列又は2つの区画に配置されているが、媒体30は、3つの又は4つの列、若しくは区画に配置することができる。図示された実施形態は、媒体232及び234の2つの区画を示している。これら媒体232及び234の区画は、同じ密度とすることができ、又は一方の媒体を他方より密にすることができる。したがって、多くの程度の濾過密度及び効率を、必要に応じて1つの襞パック220内に提供することができることが理解される。
【0034】
流体入口270は下部ハウジング212上にあり、流体出口272は上部ハウジング214上にある。
【0035】
全ての実施形態において、例えばハウジングシェルを互いに接合する、又はハウジングシェルを襞パックのフレームに接合するように、プラスティックの構成要素を互いに対して接合することが記載されており、振動溶接、レーザー溶接又は、さらに付着若しくは糊付けのような、プラスティックの接合のすべての方法をすべての場所で使用することができることが理解される。さらに、1つ以上の構成要素が金属製であるか、または接合位置に金属を有している場合には、圧接のような他の接合方法を使用することができる。さらに、異なる媒体のタイプは、異なる密度を有することとして言及されている。これは、捕捉する粒子サイズ、効率、又は有孔度若しくは媒体が通過する孔のような材料のタイプのような多くの異なる特徴のすべてを表現することもできる。本明細書でのハウジング12、14、112、114、212、及び214への言及は、ハウジングシェル若しくはハウジング構成要素への言及と考えることもできる。また、構成要素が溶接される又は接合されると記載されている場合、それらは例示であって、ネジ、クリップ、互いに噛み合う歯、リッジ、スナップ式取り付け等の別の取り付け機構を使用することができることに注意すべきである。
【0036】
様々な例示の実施形態が、その所定の例示の特徴を特に参照しつつ詳細に記載されてきたが、本発明は他の実施形態でも可能であり、その詳細は様々な明白な点で変更することが可能であることを理解されるべきである。当業者には容易に理解されるように、変形及び変更を、本発明の精神と技術的範囲内に維持しつつ行うことができる。したがって、上述の開示、説明、及び図面は、説明の目的のためだけのものであり、本発明を限定するものではなく、本発明は特許請求の範囲の記載によってのみ規定される。
【符号の説明】
【0037】
10 流体フィルタ
12、112、212 下部ハウジングシェル
14、114、214 上部ハウジングシェル
20、120、220 襞パック要素
22、122、222 外周フレーム
24、40、42、124、224 フランジ
26、126、226 リブ
30、130、230 濾過媒体
50、150 補助的なフィルタ材
70 入口
72 出口
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