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特許7026435乗物のオンボード安定性制御システムとともに使用するタイヤモニタリング装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】乗物のオンボード安定性制御システムとともに使用するタイヤモニタリング装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20220218BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
B60C23/04 150Z
B60C19/00 H
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016228044
(22)【出願日】2016-11-24
(65)【公開番号】P2017128325
(43)【公開日】2017-07-27
【審査請求日】2019-10-23
(31)【優先権主張番号】1522582.4
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512062039
【氏名又は名称】シュレーダー・エレクトロニクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Schrader Electronics Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】ダレン・カークパトリック
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・バー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・キーズ
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0229691(US,A1)
【文献】特開2005-319835(JP,A)
【文献】特開2014-240222(JP,A)
【文献】欧州特許第02780180(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に取り付け可能なタイヤモニタリング装置であって、
各タイヤパラメータをモニタリングしてセンサ出力信号を生成するセンサと、
乗物のタイヤの内部に取り付け可能である上記タイヤモニタリング装置の内部に設けられた第1のコントローラであって、上記タイヤモニタリング装置の動作を制御する第1のコントローラと、
上記タイヤモニタリング装置の内部に設けられた測定装置であって、上記センサ出力信号からパラメータ測定データを生成する測定装置と、
上記タイヤモニタリング装置の内部に設けられた第2のコントローラであって、上記測定データを生成するように上記測定装置の動作を制御する第2のコントローラとを備え、
上記第2のコントローラは、上記測定データに基づいて上記第1のコントローラにパラメータデータを伝送するように構成され
上記第2のコントローラは、上記第1のコントローラの電力消費量よりも小さい電力消費量を有する、
タイヤモニタリング装置。
【請求項2】
上記測定データは、上記各パラメータがしきい値量を越えて変化したか否かを示す情報を含む請求項1記載の装置。
【請求項3】
上記測定データは上記各パラメータの測定値を含む請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
上記第2のコントローラは、上記測定データからイベントを検出するように構成され、上記パラメータデータは上記イベントを示す請求項1~3のうちの1つに記載の装置。
【請求項5】
上記第2のコントローラは、上記第1のコントローラのための割り込み信号を生成することにより、上記第1のコントローラに上記パラメータデータを伝送するように構成される請求項1~4のうちの1つに記載の装置。
【請求項6】
上記第1のコントローラは、上記割り込み信号に応答して、上記イベントのための割り込み処理ルーチンを実行する請求項4に従属した請求項5記載の装置。
【請求項7】
上記第1のコントローラは、上記割り込み信号を受信したときリセットするように構成される請求項5又は6記載の装置。
【請求項8】
上記第1のコントローラは割り込み制御レジスタを有し、
上記第2のコントローラは、上記割り込み制御レジスタの1つ又は複数のビットを設定することにより、上記パラメータデータを上記第1のコントローラに伝送する請求項5~7のうちの1つに記載の装置。
【請求項9】
上記タイヤモニタリング装置は、中央コントローラと通信する送信機をさらに含み、
上記第1のコントローラは、上記第2のコントローラから受信された上記パラメータデータに基づいて、タイヤパラメータ送信信号を上記中央コントローラに送るように構成される請求項1~8のうちの1つに記載の装置。
【請求項10】
上記センサは圧力センサであり、上記各タイヤパラメータはタイヤ圧力である請求項1~9のうちの1つに記載の装置。
【請求項11】
上記第2のコントローラは、上記測定データからタイヤ破裂イベントを検出し、検出されたタイヤ破裂イベントを上記第1のコントローラに伝えるように構成される請求項10記載の装置。
【請求項12】
上記測定装置は、上記センサの出力信号における変化に応答して、上記各パラメータがしきい値量を越えて変化したか否かを示す測定データを生成するコンパレータを備える請求項1~11のうちの1つに記載の装置。
【請求項13】
上記コンパレータはウィンドウコンパレータである請求項12記載の装置。
【請求項14】
上記測定データは、上記各パラメータが基準値に関してしきい値量を越えて変化したか否かを示す情報を含む請求項2~13のうちの1つに記載の装置。
【請求項15】
車輪を有する乗物のためのタイヤモニタリングシステムであって、上記タイヤモニタリングシステムは、
上記乗物の各車輪のための、各車輪に取り付け可能なタイヤモニタリング装置と、
上記乗物に取り付け可能な中央コントローラとを備え、
上記各タイヤモニタリング装置及び上記各中央コントローラのそれぞれは、上記各タイヤモニタリング装置が上記中央コントローラと無線通信することを可能にする無線通信装置を備え、
上記各タイヤモニタリング装置は、
各タイヤパラメータをモニタリングしてセンサ出力信号を生成するセンサと、
上記乗物のタイヤの内部に取り付け可能である上記タイヤモニタリング装置の内部に設けられた第1のコントローラであって、上記タイヤモニタリング装置の動作を制御する第1のコントローラと、
上記タイヤモニタリング装置の内部に設けられた測定装置であって、上記センサ出力信号からパラメータ測定データを生成する測定装置と、
上記タイヤモニタリング装置の内部に設けられた第2のコントローラであって、上記測定データを生成するように上記測定装置の動作を制御する第2のコントローラとを備え、
上記第2のコントローラは、上記測定データに基づいて上記第1のコントローラにパラメータデータを伝送するように構成され、
上記第2のコントローラは、上記第1のコントローラの電力消費量よりも小さい電力消費量を有する、
タイヤモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤモニタリング装置に関し、特にタイヤ圧力モニタリングシステムと乗物の安定性制御システムとの統合に関する。特に、本発明は、安定性制御システムにタイヤ破裂イベントを通知するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗物では電子的な安全対策がよりありふれたものになっている。一般的に使用される1つの電子的安全装置は、乗物のタイヤのうちの1つ又は複数における圧力レベルが安全レベル未満である場合に、運転者に警告するように設計されたタイヤ圧力モニタリングシステム(Tyre Pressure Monitoring System:TPMS)である。TPMS装置は、ますます、ヨー、温度、及び負荷のようなタイヤの他の特性をモニタリングできるようになっている。これは、単なる圧力ではない広範なタイヤ特性をモニタリングすることができる、タイヤに取り付けられたセンサへの動きであり、「インテリジェント」なタイヤを作るものである。他の安全システムは、どの車輪の横滑りも防ぐように設計されたアンチロックブレーキシステム(Anti-lock Braking System:ABS)、及び、安全でない乗物の運転特性を防ぐように設計された横滑り防止装置(Electronic Stability Control:ESC)を含む。ESCシステムは、既に、ABSから取り込まれたデータに大幅に依存し、典型的には、危険な運転特性を補正又は緩和するためにABSシステムと緊密に統合される。タイヤパラメータは、乗物の運転に悪影響を与える可能性があるファクターからなるもう1つの集合である。しかしながら、TPMSは、伝統的には、ESCシステムには統合されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第2780180号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TPMSシステムの背後にある本質的な目的は、乗物の制御不能を生じさせたり、タイヤのサイドウォールへのダメージを生じさせたりするほど圧力が低くなるよりも十分に先行して、タイヤのうちの1つ又は複数における圧力が最適レベル未満であることを運転者に通知することにある。典型的には、タイヤ圧力モニタリングシステムは、急激な圧力低下の際に即時の警告を提供することができない。この場合、深刻な圧力の喪失は、交通事故を引き起こす可能性がある乗物の突然の制御不能を引き起こす可能性があり、これはタイヤ破裂イベントとして知られる。さらに、TPMS装置は、他のタイヤ特性をモニタリングする能力を有してもよい。
【0005】
電子的安定性プログラムとしても知られる横滑り防止装置(ESC)システムは、事故の深刻さ及び発生を低下させるために、乗物によるいかなる制御不能の動き又は危険な動きも打ち消し、また、緩和しようとすることを意図している。乗物の制御不能を引き起こすそのような主要な1つの原因は、タイヤ破裂イベントである。
【0006】
ESCシステムは、乗物が安全しきい値の外部で運転されていることを検出した場合、乗物が乗物の運転状態を自動的に調整することを可能にする。ESCから介入のレベルは、検出された問題の深刻さに依存して変化する可能性があり、例えば、それは、軽度のブレーキ又は小さなステアリング補正から、転覆を防ぐ際のより大きな介入までの範囲にわたる可能性がある。
【0007】
タイヤ破裂の場合には、破裂したタイヤによって支持されていたすべての重量は乗物の他のタイヤへ移されるので、乗物の重量分布に突然のシフトが生じる可能性があり、オーバー/アンダーステアリング及び増大したブレーキ距離を潜在的に生じさせるだけでなく、乗物の破滅的な制御不能さえ生じさせる可能性がある。従って、タイヤ破裂イベントをできるだけ速く認識して打ち消すことが重要である。
【0008】
タイヤ破裂の深刻さは、乗物の速度、乗物の車輪の個数、乗物の重量、車輪が妨害された場所、及び破裂したタイヤの場所に依存する。複数組の複車輪を備えた低速で移動している乗物において、単一のタイヤ破裂は、乗物の運転特性にほとんど影響を有しない可能性がある。しかしながら、高速で移動している乗物であって、高い重心を有し、そのステアリングホイールのうちの1つが破裂した乗物は、高い転覆リスクを有する。
【0009】
本発明に到達する際に、タイヤに取り付けられた検出装置によって取り込まれたタイヤパラメータデータの増大された統合によって、ESCシステムをさらに改善でき、追加の能力を付与できるということが認識される。しかしながら、従来のTPMS設計が潜在的な破裂イベントについて圧力を迅速にモニタリングするために使用されることになっている場合、問題となるいくつかの制限が克服される必要があるだろう。典型的には、タイヤ圧力モニタリングシステムは、容易に置き換えることができないバッテリで10年間にわたって動作することが期待される。多数のTPMS設計は、電子回路を汚れ及び水分から保護するために、エポキシ樹脂のハウジング又はレーザ溶接されたハウジングを使用するが、このことは、この保護コーティングに深刻な損傷を与えることなくバッテリを交換することを不可能にする。従って、TPMS装置を設計する場合、電力管理は主要な関心事になる。一般的に使用されているTPMS装置設計に関する別の問題は、装置のすべての主要な機能を管理及び処理するために、単一のマイクロプロセッサ又はコントローラを使用することにある。このことは、コントローラが自動的な位置決めのような処理集約的なタスクを実行するために現在使用されている場合、それが同時に圧力をモニタリングできない可能性があり、これにより、タイヤ破裂イベントを迅速に検出するその能力を損なうことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様はタイヤモニタリング装置を提供する。タイヤモニタリング装置は、
各タイヤパラメータをモニタリングしてセンサ出力信号を生成するセンサと、
上記装置の動作を制御する第1のコントローラと、
上記センサの出力信号からパラメータ測定データを生成する測定装置と、
上記測定データを生成するように上記測定装置の動作を制御する第2のコントローラとを備える。
上記第2のコントローラは、上記測定データに基づいて上記第1のコントローラにパラメータデータを伝送するように構成される。
【0011】
典型的には、上記測定データは、上記各パラメータがしきい値量を越えて変化したか否かを示す情報を含む。上記測定データは上記各パラメータの測定値を含んでもよい。
【0012】
好ましい実施形態において、上記第2のコントローラは、上記測定データからイベントを検出するように構成され、上記パラメータデータは上記イベントを示す。
【0013】
好ましくは、上記第2のコントローラは、第1のコントローラのための割り込み信号を生成することにより、上記第1のコントローラに上記パラメータデータを伝送するように構成される。上記第1のコントローラは、上記割り込み信号に応答して、上記イベントのための割り込み処理ルーチンを実行してもよい。好ましくは、上記第1のコントローラは、上記割り込み信号を受信したときリセットするように構成される。上記第1のコントローラは割り込み制御レジスタを有してもよく、上記第2のコントローラは、上記割り込み制御レジスタの1つ又は複数のビットを設定することにより、上記パラメータデータを上記第1のコントローラに伝送する。
【0014】
典型的な実施形態は、中央制御装置と通信する送信機を含む。上記第1のコントローラは、上記第2のコントローラから受信された上記パラメータデータに基づいて、タイヤパラメータ送信信号を上記中央コントローラに送るように構成される。
【0015】
好ましい実施形態において、上記センサは圧力センサであり、上記各タイヤパラメータはタイヤ圧力である。上記第2のコントローラは、上記測定データからタイヤ破裂イベントを検出し、検出されたタイヤ破裂イベントを上記第1のコントローラに伝えるように構成されてもよい。
【0016】
上記測定装置は、コンパレータ、好ましくはウィンドウコンパレータを備えてもよい。上記コンパレータは、上記センサの出力信号における変化に応答して、上記各パラメータがしきい値量を越えて変化したか否かを示す測定データを生成する。
【0017】
典型的には、上記測定データは、上記各パラメータが基準値に関してしきい値量を越えて変化したか否かを示す情報を含む。
【0018】
第2の態様によれば、本発明は、車輪を有する乗物のためのタイヤモニタリングシステムを提供する。上記タイヤモニタリングシステムは、
上記乗物の各車輪のための、各車輪に取り付け可能なタイヤモニタリング装置と、
乗物に取り付け可能な中央コントローラとを備える。
上記各タイヤモニタリング装置及び上記各中央コントローラのは、上記各タイヤモニタリング装置が上記中央コントローラと通信することを可能にする無線通信手段を備え、
上記各タイヤモニタリング装置は、本発明の第1の態様に係るタイヤモニタリング装置を備える。
【0019】
本発明の第3の態様は、車輪を有する乗物のためのタイヤモニタリングシステムを提供する。上記タイヤモニタリングシステムは、
上記乗物の各車輪のための、各車輪に取り付け可能なタイヤモニタリング装置と、
乗物に取り付け可能な中央コントローラとを備える。
上記各タイヤモニタリング装置及び上記各中央コントローラ装置は、上記各タイヤモニタリング装置が上記中央コントローラと通信することを可能にする無線通信手段を備え、
上記各タイヤモニタリング装置は、
各タイヤパラメータをモニタリングして、上記各車輪が使用中に受ける振動を示す振動成分を含むセンサ出力信号を生成する振動感応センサと、
上記センサ出力信号から、上記振動成分に対応する振動データを含む測定データを生成する測定装置と、
タイヤパラメータ送信信号を上記中央コントローラに送るように構成されたコントローラとを備え、
上記送信信号は、上記振動データ及び/又はそこから導出された振動関連データを含み、
上記中央のコントローラは、アンチロックブレーキシステム(ABS)を含むか、又はアンチロックブレーキシステムと協働し、上記送信信号の受信に応答して、上記振動データ及び/又は上記振動関連データに依存して上記アンチロックブレーキシステムを調整するか、又は非動作状態にする。
【0020】
典型的には、上記中央コントローラは、上記各車輪が使用中に受ける振動がしきい値レベルを超えることを上記振動データ及び/又は上記振動関連データから決定したとき、上記アンチロックブレーキシステムを非動作状態にするように構成される。上記センサは動きセンサを備えてもよい。
【0021】
一定条件で使用する場合、マイクロプロセッサは主要な電力消費原因になる可能性があり、したがって、省電力の理由で、迅速な圧力モニタリングを行う際にマイクロプロセッサを使用しないことは有利である。
【0022】
好ましい実施形態では、典型的にはTPMS装置の一部として、専用手段、又はより詳しくは専用圧力モニタが提供される。この専用手段は、装置の主プロセッサとは別個のものであり、また、小電力ハードウェアを用いて圧力をモニタリングすることができ、その結果、電力使用量の大幅な増大なしで、又は、マイクロプロセッサが処理集約的なタスクを実行することを禁止して、圧力を連続的にモニタリングすることができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態の利点は、タイヤ破裂イベントを検出し、タイヤ破裂イベントに関する情報をECUに送信する際にかかる時間を短縮することにある。別の利点は、マイクロプロセッサの活動とは独立に、すべてのモードで迅速な圧力サンプリングレートを保持できるということである。優位点として、マイクロプロセッサは圧力サンプリングに必要とされず、従って、性能又は機能のいかなる喪失もなく、電力消費の削減及び従って電池寿命の延長を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】タイヤ圧力モニタリングシステムを含む乗物のブロック図である。
図2】本発明の1つの態様を具体化するタイヤ圧力モニタリング装置であって、図1のタイヤ圧力モニタリングシステムの車輪に取り付け可能な構成要素である装置のブロック図である。
図3】特にタイヤ破裂モニタ及び関連する測定及び送信構成要素を示す、図2のタイヤモニタリング装置の代替ブロック図である。
図4図3に含まれるタイヤ破裂モニタの例示的な動作を示すフローチャートである。
図5】タイヤ破裂イベントが検出された場合における図2のタイヤモニタリング装置の例示的な動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のさらに有利な態様は、当業者には、特定の実施形態に係る以下の説明を読み、添付図面を参照したとき明らかになるであろう。
【0026】
ここで、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して、例示としてのみ説明される。
【0027】
図1は、車輪を有する乗物100のシステム図を示し、各車輪はリムに取り付けられたタイヤを含む。車輪の配置及び個数は乗物に依存して変化してもよい。この例では、4つの車輪101、102、103、及び104が示される。各車輪に、タイヤ圧力モニタリングシステム(TPMS)の車輪に取り付け可能な構成要素であり、TPMSセンサ又はTPMS装置としても知られるタイヤ圧力モニタリング装置111、112、113、及び114が取り付けられる。TPMS装置は、各車輪の一方のタイヤ又はリムに取り付け可能である。乗物は、TPMS装置111、112、113、114からの送信信号を受信して処理するように構成され、また、それ自体でTPMSの一部を形成す制御装置、例えば電子制御装置(electronic control unit:ECU)120を含む。ECU120は、典型的には、少なくとも、TPMS受信機121と、コントローラ122と、CAN又はLINバスのような、乗物の他の電子回路123と通信する手段とを備える。TPMS受信機121は、TPMS装置111、112、113、114からの信号を、典型的には無線で受信し、コントローラ122は、この信号を処理してタイヤ圧力モニタリングを実行するように構成される。その性質はシステム間で変化してもよい。TPMS受信機121及びTPMS装置111、112、113、114のそれぞれは、TPMS受信機121及びTPMS装置111、112、113、114の間の無線通信をサポートするための、任意の適切な従来の無線通信装置を含んでもよい。ECUは、乗物のABSシステム131、132、133、及び134と統合されてもよく、さもなければ、ABSシステム131、132、133、及び134と協働してもよい。ABSシステム131、132、133、及び134は、それらの各回転速度を決定するための各軸の速度センサと、事故を回避するために必要な場合にはブレーキをかけるための手段とを含む。ABSシステムは、さらに、ESCシステム(図示せず)と統合されるか、さもなければ、ESCシステムと協働してもよい。ESCシステム及び/又はABSシステムは、ECUに組み込まれてもよく、又は、都合により別個に提供されてもよく、よく知られているように、主として安全性の理由で、乗物の様々な構成要素の動作を制御してもよい。
【0028】
図2は、TPMS装置111、112、113、114の実施形態のブロック図を示す。TPMS装置は中央コントローラ201を含む。それは、適切にプログラミングされたプロセッサを備えてもよく、例えば、専用マイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ、又は他のプログラミング可能な処理装置を備えてもよい。RAMメモリ、ADC、I/Oインターフェース、クロック発振器、及び中央マイクロプロセッサ(図示せず)のような標準的な構成要素が提供されてもよい。これらの構成要素は、典型的には、単一のチップ上に統合されている。代替として、TPMSアプリケーションのために最初から最後まで設計されたカスタムマイクロコントローラ、例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)が使用されてもよく、また、温度センサのような付随的な構成要素を統合してもよい。
【0029】
TPMS装置は、典型的には、バッテリ204によって電力供給を受けるが、バッテリの代わりに、又はバッテリに加えて、例えば、熱電気及び/又は圧電発電機及び/又は電磁誘導装置のような、他のマイクロ電源が使用されてもよい。(例えばTPMS装置をプログラミングするための)コマンド信号を、好ましくは125kHzで受信するために、トランスポンダ206が提供されてもよい。例えば1つ又は複数のショックセンサ、加速度計、ロールスイッチを備える、動き検出器207が典型的には提供され、任意の適切な従来のインターフェースハードウェア202を用いてコントローラ201とインターフェースをとってもよい。
【0030】
各タイヤにおける流体(典型的には空気又は他のガス)の圧力を測定するために、圧力センサ208、例えば、ピエゾ抵抗トランスデューサ又は圧電もしくは容量に基づいた圧力センサが提供される。圧力センサ208は測定装置203に接続され、測定装置は、圧力センサ208から受信された信号を用いて圧力を測定し、対応する測定情報をコントローラ201に提供する。通常の圧力測定中に、コントローラ201の制御下で、測定装置203は、圧力センサ208の出力を所定間隔でサンプリングし、対応する測定データをコントローラ201に伝送する。典型的には、測定装置203は、その測定タスクを実行するためのハードウェア、すなわち電子回路を備え、その構成は変化してもよいが、典型的には、少なくとも1つの増幅器を含み、また、少なくとも1つのフィルタを含んでもよく、また、少なくとも通常の圧力測定のために、圧力値を測定するためのアナログ・ディジタル変換器(ADC)(図示せず)を含んでもよい。従って、測定装置203は、圧力の測定を制御するための手段として説明されてもよい。
【0031】
アンテナ209を備えた送信機205は、好ましくは315又は433MHzにおいて、乗物のECU120への送信を行うために使用される。
【0032】
典型的な実施形態において、TPMS装置111、112、113、114は既知のTPMS装置に類似していてもよく、当業者に既に公知である装置と多数の特徴を共有してもよい。TPMSシステムの基本は同じのままでもよく、使用時に、圧力を測定すること及びオプションでタイヤにおけるガスの温度を測定することを可能にするような方法で、自家動力のTPMS装置が乗物の車輪へ取り付けられてもよい。圧力測定は、通常、周期的に行われる。使用時に、TPMS装置は、測定されたパラメータを表すデータを、乗物のECU120のような外部コントローラに送信する。温度センサが提供されてもよい。タイヤにおけるガスが空気であるか、それとも空気中の窒素であるかを決定するために、酸素センサが取り付けられてもよい。
【0033】
TPMS装置111、112、113、114は、圧力データを測定して送信できることに加えて、複雑で長い計算を実行可能であってもよい。例えば、車輪の正確な速度に基づいた自動的な位置決め方法は、動き検出ハードウェアにおける任意の位相遅延又はノイズを補償するために、処理集約的な計算が必要とする可能性がある。時間がかかる計算上のタスクを実行するこの増大する必要性は、中央コントローラ201のみでタイヤ破裂イベントへ対処することを不適切にする。
【0034】
タイヤが破裂したことを迅速に、典型的には500ミリ秒以内にECU、またはより具体的にはESPシステムが知ることは望ましい。このとき、TPMS装置は、タイヤ破裂が生じたと識別し、ECU/ESPシステムに情報を送る必要がある。このことは、(現在の要件を増大させる)高速な圧力サンプルレートが必要であり、他の機能/処理が進行中の場合であってもセンサがタイヤ破裂イベントに反応しなければならないので、TPMS装置のための複数の挑戦を提示する。タイヤ破裂の検出はすべての運転モードで望ましい。コントローラ201からの介入なしに圧力サンプルを好ましくは等間隔で取得することができ、また、TPMS装置がその現在の状態にかかわらずタイヤ破裂又は急激な空気の漏出に迅速に反応できるならば有利である。
【0035】
図3は、タイヤ破裂イベントを検出し、本発明の1つの態様を具体化する好ましい測定装置203のブロック図である。測定装置203は、TPMS装置に111、112、113、114に通常の圧力測定を実行させるために、1つ又は複数の増幅器、1つ又は複数のフィルタ、及び/又はADCのような従来の構成要素を含んでもよいが、これらは明瞭さの理由で図示しない。しかしながら、いくつかの実施形態において、図示した構成要素のうちのいくつか(例えば圧力検出回路)は、タイヤ破裂イベントを検出することに加えて、通常の圧力測定に使用されてもよいことに注意する。測定装置によって実行される測定は、タイヤ圧力の完全又は絶対測定を含んでもよく、及び/又は、相対測定、特に、圧力値がしきい値量を越えて変化したか否かに関する決定を含んでもよいことが理解される。従って、測定装置203の出力は、タイヤ圧力の完全又は絶対測定を含む可能性があり、及び/又は、圧力値がしきい値量を越えて変化したか否かを示す情報を含む可能性がある測定データを含むと言ってもよい。
【0036】
測定装置203は、タイヤ破裂圧力モニタ(burst pressure monitor:BPM)340と、圧力センサ208の出力(すなわち、タイヤにおける検出された圧力に対応する出力)がしきい値量を越えて変化したか否かを検出するための手段とを備える。しきい値量の値は変化してもよいが、タイヤ破裂イベントを示す。圧力値における変動は、好ましくは基準値に関して測定されるが、代替として絶対的に評価されてもよい。
【0037】
好ましいBPM340は、メモリ342と、カウンタ344と、制御論理回路346として図3に示すBPMコントローラとを備える。メモリ342は、任意の便利な従来の形態をとり、例えばRAMであってもよく、好ましい実施形態では、基準圧力値と、タイヤ破裂イベントを示すと考えられる圧力変化しきい値の値とを格納する。
【0038】
好ましい実施形態において、基準値は、安全基準によって必要とされる、その低温プラカード基準におけるタイヤ圧力、又は、少なくとも圧力の許容域内にあるタイヤ圧力を表す。基準圧力値は、あらかじめプログラミングされてもよく、又は、TPMS装置が完全な圧力測定を実行した後でTPMS装置によって記録されてもよい。優位点として、基準値は、必要に応じて更新又は補償されることが可能である。例えば、基準値を設定及び/又は調整することは、初期化処理の間に、及び/又は、コントローラ201が占有されていなければ他の時間の間に、コントローラ201によって実行されるタスクであってもよい。
【0039】
好ましい実施形態においてで、しきい値は、基準圧力値からの許容できるずれを表し、それにより、しきい値量を越えて基準値に対する差を有する任意の圧力読み取り値は、タイヤ破裂イベントを示す情報として扱われる。圧力変化しきい値は、プリセットされた値であってもよく、又は、基準圧力値の所定割合であってもよい。それは、例えば、測定された圧力、温度、路面面状態、又は速度のような、1つ又は複数のファクターに依存して、固定値であってもよく、調整可能であってもよい。しきい値を設定及び/又は調整することは、初期化処理の間に、及び/又は、コントローラ201が占有されていなければ他の時間の間に、コントローラ201によって実行されてもよい。
【0040】
カウンタ344は、任意の便利な従来の形態をとってもよく、タイヤ破裂イベントをチェックする周期基準を設定するために制御論理回路346によって使用されてもよい。例えば、それは、それ自体の専用発振器から動作してもよく、又は、それは、TPMS装置のメインシステム発振器から導出されてもよい。
【0041】
BPMコントローラ346は、好ましくは、ハードウェア、すなわち論理回路で実装されるが、代替として、他の任意の便利な従来の方法で実装されてもよく、例えば、適切にプログラミングされたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラによって実装されてもよい。BPMコントローラ346はBPM340の動作を制御する。BPM340の動作は、圧力測定値を周期的にチェックすることと、圧力が好ましい実施形態における基準値に関してしきい値量を越えてずれたか否かを決定することとを含む。
【0042】
図示した実施形態において、圧力センサ208の出力がしきい値量を越えて変化したか否かを検出する手段は、圧力検出回路348及び信号変化検出器350によって提供される。圧力検出回路348は、圧力センサ208の出力をサンプリングする電子回路を備え、サンプリングの際にセンサ208によって検出された圧力に対応する信号を生成する。回路348は、この目的のための任意の適切な従来の構成も有してもよく、典型的には、1つ又は複数の増幅器を含み、オプションで1つ又は複数のフィルタを含む。信号変化検出器350は、サンプリングされた圧力変化がしきい値量を越えるか否かを示す電子回路を備える。回路350は、この目的のための任意の適切な従来の構成も有してもよいが、好ましい実施形態では、圧力検出回路348の出力を基準値に対して比較するコンパレータを含み、サンプリングされた圧力値が基準値からしきい値量を越えてずれているか否かを示す出力を生成する。基準値は、好ましくはプログラミング可能であり、例えば1つ又は複数の以前にサンプリングされた圧力値に基づいて、使用中に更新されてもよい。
【0043】
好ましい実施形態において、信号変化検出器350はウィンドウコンパレータ(図示せず)を備え、また、圧力検出及び変化検出回路348及び350は、特許文献1に開示されるようなウィンドウコンパレータ回路によって実装されてもよい。ウィンドウコンパレータを使用することは、比較的わずかな時間及び電流を用いて、圧力信号がしきい値ウィンドウに対して測定及び比較されることを可能にする。ウィンドウコンパレータは、比較的小さな電力を用いて、圧力が頻繁にチェックされることを可能にする。回路348および350の両方を実装するために特許文献1のウィンドウコンパレータ回路を使用可能であることは明らかである。
【0044】
代替として、圧力センサ208からの信号レベルにおける変化を検出することができる任意の回路を使用可能である。典型的には、圧力センサはアナログDC出力を生成する。当業者は、アナログDC信号のレベルにおける変化を検出することができる代替回路、例えばADCを含む回路に気づくであろう。理想的には、回路350の目的は、電力消費を最小に維持しながら、圧力測定におけるしきい値変化を十分な精度で検出する手段を提供することである。従って、この目的のために小電力ADCを使用できる可能性がある。
【0045】
BPM340は、信号変化検出器350と通信し、その出力から、サンプリングされた圧力が関連するしきい値量を越えて変化したか否かを決定する。タイヤ圧力がしきい値量を越えて変化したと決定したとき、すなわち、タイヤ破裂イベントを検出したとき、BPM340はこのイベントをコントローラ201に伝える。より一般的には、これは、パラメータに関連するデータをコントローラ201に伝送することを含むと言ってもよい。好ましい実施形態において、BPM340は、コントローラ201への割り込み信号を生成することでこれを実現する。典型的には、コントローラ201は、割り込み信号を受信する際に用いてもよい割り込みレジスタ352を有する。この目的で、BPM340は、割り込みレジスタ352と通信し、タイヤ破裂イベントを検出したときに割り込みを設定する。優位点として、BPM340は、コントローラ201を再スタートさせる割り込みを設定することができる。コントローラ201は、再スタートしたときにタイヤ破裂割り込みを優先するように構成され、タイヤ破裂割り込みによって関連付けられた任意のタスクを行なう。この目的で、コントローラ201は、典型的には、割り込みをサポートし、割り込みを受信したときに再スタートし、再スタートしたときの割り込みを処理するように構成されるマイクロプロセッサ又は他のプロセッサを備えるタイプである。代替として、コントローラ201は、必ずしも再スタートせずに、割り込みを受信直後に処理するように構成可能なタイプであってもよい。
【0046】
割り込みレジスタ352は一連のORゲートとして実装可能である。各割り込みは、レジスタの単一のビットによって表すことができ、それによって、ビットが0である場合、割り込みは設定されず、ビットが1である場合、割り込みが設定される(又はその逆に設定される)。割り込みレジスタ352は、割り込みレジスタによりコントローラ201へのクロック信号をサスペンドさせる、コントローラ201のためのクロックゲーティング手段(図示せず)に接続されてもよい。これはコントローラ201をリセットさせる。リセットしたとき、コントローラ201は割り込みレジスタ352をチェックし、タイヤ破裂割り込みが設定されている場合、それはタイヤ破裂割り込みを優先し、必要な機能を実行する。
【0047】
好ましい実施形態の使用において、BPM340は、タイヤ圧力を周期的にサンプリングし、タイヤ破裂イベントを検出したとき、コントローラ201のリセットをトリガする。いったんリセットすると、コントローラ201は、割り込みレジスタをチェックし、タイヤ破裂割り込みを、好ましくはその最優先で処理する。典型的には、これは、タイヤ破裂送信信号を送信機205を介してECU120に、好ましくは直ちに送ることを含む。タイヤ破裂送信信号は、例えば、低圧警告コード又は低圧値自体のいずれかを含んでもよい。タイヤ破裂送信信号を受信したときいい、ECU120は、処置、例えばESCシステムによる処置を講じるために十分に値が低いか否かを決定するように構成される。タイヤ破裂送信信号が完全な圧力読み取り値を含む場合、ECU120は、圧力読み取り値をしきい値に対して比較して、別の処置を講ずるために十分に低いか否かを決定するように構成されてもよい。完全な圧力読み取り値を取得するために、TPMS装置111、112、113、114は、通常の圧力測定を行うために測定装置203に通常設けられる測定回路を使用してもよい。それは、実施形態に依存して、圧力検出回路348に含まれてもよく、含まれなくてもよい。
【0048】
BPMコントローラ346がコントローラ201とは独立して動作することは明らかである。これは、コントローラ201が他のタスクでビジーであるか否かにかかわらず、タイヤ破裂イベントのために圧力をモニタリングできることを意味する。BPM340を初期化すること以外では、コントローラ201は、タイヤ破裂イベントをモニタリングすることは要求されず、他のタスクを自由に実行することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、BPM340は、通常のタイヤ圧力測定を実行し、コントローラ201にこれらを報告するように構成されてもよい。代替として、コントローラ201は、通常の圧力測定を実行するように構成されてもよく、また、任意の便利な方法で、例えば、測定回路348及び350を用いて、また、オプションでBPMコントローラ342を介して、又は直接的に、及び/又は他の測定回路(図示せず)を用いて、それを行ってもよい。
【0050】
BPM240及び関連付けられた回路348、350を実装するために使用されるハードウェアは、任意の便利な方法で提供されてもよく、例えば、より一般的なマイクロコントローラ設計と関連して、カスタムASICへ統合されてもよく、別個のディスクリート集積回路として提供されてもよい。
【0051】
図4は、タイヤ破裂モニタリングに関するTPMS111、112、113、114の動作の一例を示す。動き検出器207を介して動きを検出したとき(ステップ401)、コントローラ201はBPM340を初期化する(ステップ402)。これは、圧力基準値、圧力変化しきい値、及びサンプリング時間を設定することを含む。サンプリング時間を設定することは、所望のサンプリング周期に対応する与えられたカウント値から(又はこのカウント値まで)カウントさせるようにカウンタ344を設定することを含んでもよい。いったんカウンタが開始されると(ステップ403)、圧力をチェックする時間が到来したことをカウンタ344が示すまでBPMコントローラ342は待機し(ステップ404)、圧力をチェックする時間が到来したとき、BPMコントローラ342は、変化検出器350の出力をチェックして、タイヤ破裂イベントが検出されたか否かを決定する(ステップ405及び406)。ステップ405及び406は、典型的には、圧力検出回路348及び変化検出器350を起動し、これにより、圧力センサ208の出力をサンプリングし、それが圧力変化しきい値によって決定された範囲内にあるか否かを決定することを含む。BPMコントローラ342は、タイヤ破裂イベントが検出されたとステップ406において決定したとき、タイヤ破裂割り込みを生成し(ステップ407)、コントローラ201をリセットさせ、さもなければ、カウンタはリセットされ(ステップ408)、ステップ403~408が繰り返される。
【0052】
図5は、タイヤ破裂割り込みによってリセットされているときのコントローラ201の動作の一例を示す。リセットされたとき(ステップ501)、コントローラ201は、割り込みレジスタ352をチェックすることにより、リセットの原因を決定する(ステップ502)。リセットがタイヤ破裂割り込みによって引き起こされたと決定されたとき(ステップ503)、それは通常のタイヤ破裂処理を開始し、さもなければ、それは、他の任意の必要な初期化を実行してもよく、又は、必要かもしれないタイヤ破裂に関連しない割り込み処理ルーチンを実行してもよい(図示せず)。図示した実施形態において、タイヤ破裂処理ルーチンは、例えばアナログ・ディジタル変換器(ADC)を用いて、完全な圧力読み取り値を取得することを含み、例えば完全な測定値を基準値に比較することにより、圧力が許容できないレベルまで低下したか否かを確認する(ステップ504)。タイヤ破裂イベントが確認されたとき、コントローラ201は、タイヤ破裂送信信号であって、オプションでタイヤ圧力データを含む信号を、乗物のECU120に送る(ステップ505)。この送信は複数回行われてもよく、各送信の間に再測定が行われる。ADCを用いた完全な圧力読み取り値は、システムの精度を改善し、タイヤ破裂の虚偽報告の可能性を減少させる。ステップ404において、タイヤ破裂イベントが確認されない場合、タイヤ破裂処理ルーチンは終了する。完全な圧力読み取り値を取得すること、又は、タイヤ破裂イベントを確認することは必要ではない。従って、代替の実施形態において、ステップ504及び505は、例えば、完全な圧力測定値を取得し、タイヤ破裂イベントを確認することなく、測定値をタイヤ破裂送信信号においてECUへ送信すること、又は、タイヤ圧力測定値を送ることなく、イベントが発生したことを示すタイヤ破裂送信信号を送信することを含む代替のステップで置き換えられてもよい。後者のオプションは、タイヤ破裂イベントを確認して、又は確認せずに実行されてもよい。
【0053】
本発明を具体化するタイヤモニタは、タイヤ破裂イベントを検出する際の使用に限定されない。圧力に加えて、しきい値の外部にあるときに安全でない運転特性を示す可能性がある、温度、トレッド深さ、振動、負荷、又は回転速度のような他のタイヤパラメータを、同様の方法でモニタリング可能である。タイヤ圧力をモニタリングしない装置によってそのようなパラメータがモニタリングされてもよい。従って、本発明は、TPMS装置でない装置、特に車輪に取り付け可能な装置で具体化されてもよい。さらに、もう1つの態様によれば、本発明は、安全システムの性能を向上させるために、タイヤモニタリング装置から取得された情報を、乗物の1つ又は複数の安全システム、例えばABS又はESCシステムと統合することに関連する。そのような目的のために、例えば、高速な検出が重要であるタイヤ破裂イベント又は他のイベントに関連して、タイヤモニタリング装置111、112、113、114を使用することが有利である可能性があるが、他の実施形態では、従来のタイヤモニタリング装置が使用されてもよい。
【0054】
例えば、TPM装置の動きセンサ207は、路面の状態に起因していくつかの振動を受ける。これらの振動は、動きセンサの正弦波出力における信号ノイズとして現れる。専用の信号雑音比回路(図示せず)を用いて動きセンサ信号のノイズをモニタリングすることが可能である。ノイズレベルは、路面状態を示す情報を与えることができ、この情報は、TPMS装置から乗物のECU120に送信されたデータにおける1つのビット又は一連のビットとして表すことができる。ECU120は、次に、それに応じてABS及び/又はESCシステムを調整することができる。ABSシステムは典型的には荒い路面においてうまく動作しないので、TPMS装置からのデータが荒い路面を示す場合、ABSは非動作状態にされるか調整されてもよい。さらに、各タイヤにおける重量の分布を表す負荷情報は、乗物の重心の不均衡を示す可能性があり、それはステアリング又はブレーキを安全でなくする可能性がある。他のタイヤ/車輪パラメータでも、負荷は、迅速なモニタリングを可能にするために、専用のサンプリングハードウェアによって周期的にモニタリングすることができた。代替として、モニタリングは、車輪に取り付けた装置の主コントローラに実行させてもよいが、モニタリングのレートは同じように頻繁ではない。
【0055】
圧力に関連しない任意のそのようなタイヤ/車輪パラメータでは、各専用モニタリング回路は、主コントローラ(例えばコントローラ201)に加えて提供され、コントローラとは独立に各パラメータをモニタリングしてもよいが、関連するパラメータ関連情報をECU120に送るために主コントローラと協働してもよい。従って、概して、パラメータモニタリング装置は、センサ出力信号からパラメータ測定データを生成する測定装置と、パラメータ測定データを生成するように測定装置の動作を制御する第2の(専用)コントローラとを備える。専用のコントローラは、測定データに基づいて主コントローラにパラメータデータを伝送するように構成される。すなわち、それは、測定データを含んでもよく、及び/又は、測定データから導出されてもよく、及び/又は、さもなければ測定データを示してもよい。この構成は、タスクが主コントローラのみによって実行された場合、可能であるかもしれない頻度よりも高い頻度で各パラメータをモニタリングすることを可能にする。優位点として、各パラメータは、イベントの発生(これは、しきい値量を越える変化を検出することで検出されてもよい)について専用回路によってモニタリングされてもよく、また、イベントが迅速に処理されることを保証するために、イベントを検出したとき、専用回路が主コントローラに対して割り込みを発生してもよいという。本明細書で説明したTPMS装置及び特にBPM340及び関連付けられた構成要素が、他のパラメータを同様の方法でモニタリングするために容易に適用可能であることは明らかである。
【0056】
タイヤパラメータに関してECUがより多くの情報を有するほど、安全しきい値の外部になるタイヤパラメータに関連付けられた任意の問題をより良好に補償することができる。
【0057】
本発明は、本明細書で説明した実施形態に限定されず、本発明の範囲から外れることなく修正又は変更されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5