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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】脇用汗取りパッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20220218BHJP
   A41B 9/12 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
A61F13/00 351
A41B9/12 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017190022
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019063136
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】長谷澤 敦子
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-029520(JP,U)
【文献】特開平01-280001(JP,A)
【文献】特開2017-025425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/00-13/14
A61F15/00-17/00
A41B 9/00- 9/16
A41B13/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面側に衣服に対する固定のために適宜の塗布パターンでズレ止め粘着剤層が設けられ、衣服の脇の下部分の内側に取り付けて使用する脇用汗取りパッドであって、
前記脇用汗取りパッドは、中間部に左右の外形線の離隔幅が最大となる最大離隔幅部分を有し、前記最大離隔幅部分の左右の外形線を結ぶ方向に、前記脇用汗取りパッドを折り曲げるためにエンボス溝による屈曲線が設けられ、
前記屈曲線は、左右の外形線に至らない中間部に設けられ、
前記最大離隔幅部分より上側及び下側のいずれか一方又は両方の左右の外形線から前記屈曲線の端部に向けて切込みが形成され
前記屈曲線より外側の前記切込みと左右の外形線とで囲まれた領域は、その外面側に前記ズレ止め粘着剤層は設けられておらず、装着時に前記脇用汗取りパッドを前記屈曲線で折り曲げたときに、前記屈曲線とともに折り曲げられることなく、肌側に突出する自由端部として作用することを特徴とする脇用汗取りパッド。
【請求項2】
前記切込みは、直線、曲線、折れ線のいずれか又は2つ以上の組み合わせからなる請求項1記載の脇用汗取りパッド。
【請求項3】
前記脇用汗取りパッドの平面形状は、前記最大離隔幅部分同士を上側及び下側に膨出する曲線で結んだ形状からなる請求項1、2いずれかに記載の脇用汗取りパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服の脇の下部分の内側に取り付けて使用する脇用汗取りパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前記脇用汗取りパッドとして、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などからなる不透液性裏面シートと、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性表面シートとの間に汗を吸収する吸収体を介在させたものが知られている。
【0003】
この種の脇用汗取りパッドにおいては、これまで装着時の違和感を軽減する、装着時のズレやヨレを防止するなどのために種々の改良が行われている。例えば、下記特許文献1、2においては、外周縁の長手方向と直交する方向の両側にくびれ部が設けられ、両くびれ部の間には、両くびれ部を結ぶ直線状の溝部が設けられており、溝部の上下の両側には、溝部から離れる側に凸をなす弧状の屈曲ラインが形成された脇用汗取りシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-25425号公報
【文献】特許第5916784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載される脇用汗取りシートでは、衣服に貼り付けて使用する際の2つ折りする部分に、くびれ部が設けられているため、汗を吸収できる面積がその分だけ少なくなり、汗を吸収しきれずに、衣服に汗染みができたり、汗取りパッドの表面に汗が残って不快な思いをすることがあった。
【0006】
一方で、前述のようなくびれ部を有さない脇用汗取りパッドも存在するが、衣服の脇の下部分の内側に貼着したとき、脇の下の丸みに沿った部分の長さが長いために、脇の下の丸みに沿って変形しにくく、脇用汗取りパッドにシワやヨレが生じる場合があった。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、大きな面積で汗を吸収でき、シワやヨレを生じにくくした脇用汗取りパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、外面側に衣服に対する固定のために適宜の塗布パターンでズレ止め粘着剤層が設けられ、衣服の脇の下部分の内側に取り付けて使用する脇用汗取りパッドであって、
前記脇用汗取りパッドは、中間部に左右の外形線の離隔幅が最大となる最大離隔幅部分を有し、前記最大離隔幅部分の左右の外形線を結ぶ方向に、前記脇用汗取りパッドを折り曲げるためにエンボス溝による屈曲線が設けられ、
前記屈曲線は、左右の外形線に至らない中間部に設けられ、
前記最大離隔幅部分より上側及び下側のいずれか一方又は両方の左右の外形線から前記屈曲線の端部に向けて切込みが形成され
前記屈曲線より外側の前記切込みと左右の外形線とで囲まれた領域は、その外面側に前記ズレ止め粘着剤層は設けられておらず、装着時に前記脇用汗取りパッドを前記屈曲線で折り曲げたときに、前記屈曲線とともに折り曲げられることなく、肌側に突出する自由端部として作用することを特徴とする脇用汗取りパッドが提供される。
【0009】
上記請求項1記載の発明では、中間部に左右の外形線の離隔幅が最大となる最大離隔幅部分が形成され、この最大離隔幅部分の左右の外形線を結ぶ方向に、前記脇用汗取りパッドを折り曲げるためにエンボス溝による屈曲線が設けられているため、装着状態で着用者の脇の下部分に位置するパッド部分の長さが長くなり、大きな面積でより多くの汗を吸収することができるようになる。
【0010】
その際に問題となるシワやヨレの発生は、前記屈曲線が、左右の外形線に至らない中間部に設けられ、前記最大離隔幅部分より上側及び下側のいずれか一方又は両方の左右の外形線から前記屈曲線の端部に向けて切込みを形成することにより十分に改善される。すなわち、前記切込みより内側に設けられた前記屈曲線で脇用汗取りパッドが折り曲げられるため、上記特許文献1、2記載の脇用汗取りシートのようにくびれ部を設けなくても、折り曲げ部分に発生するシワやヨレを低減した状態で衣服に装着できるようになる。
【0011】
更に、前記屈曲線より外側の前記切込みと左右の外形線とで囲まれた領域は、装着時に前記脇用汗取りパッドを前記屈曲線で折り曲げたときに、前記屈曲線とともに折り曲げられることなく、肌側に突出する自由端部として作用するようになる。装着状態では、この自由端部が自由に動いて身体にフィットするため、身体との間に隙間が生じにくく、より多くの汗を吸収できるようになる。特に前記自由端部は、肌側に突出するように設けられているため、着用者が腕を上げたときなどの脇が開いたとき、脇の下と衣服との間に生じた隙間を埋めるように作用し、脇の下の汗を確実に吸収できるようになっている。
【0012】
請求項に係る本発明として、前記切込みは、直線、曲線、折れ線のいずれか又は2つ以上の組み合わせからなる請求項1記載の脇用汗取りパッドが提供される。
【0013】
上記請求項記載の発明は、前記切込みの好ましい形態である。特に好ましい形態は、前記切込みの加工性、装着状態における自由端部の肌面に対するフィット性などの観点から直線又は曲線である。
【0014】
請求項に係る本発明として、前記脇用汗取りパッドの平面形状は、前記最大離隔幅部分同士を上側及び下側に膨出する曲線で結んだ形状からなる請求項1、2いずれかに記載の脇用汗取りパッドが提供される。
【0015】
上記請求項記載の発明では、前記脇用汗取りパッドの平面形状として、前記最大離隔幅部分同士を上側及び下側に膨出する曲線で結んだ形状としているため、前記屈曲線の一方側を胴体側、他方側を袖側として装着することにより、装着感を良好にできる。
【発明の効果】
【0016】
以上詳説のとおり本発明によれば、大きな面積で汗を吸収でき、シワやヨレが生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る脇用汗取りパッド1の一部破断展開図である。
図2図1のII-II線矢視図である。
図3】脇用汗取りパッド1の装着状態を示す斜視図である。
図4】変形例に係る脇用汗取りパッド1の展開図である。
図5】変形例に係る脇用汗取りパッド1の装着状態を示す斜視図である。
図6】変形例に係る脇用汗取りパッド1の展開図である。
図7】(A)~(D)は、切込み10の変形例を示す脇用汗取りパッド1の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0019】
〔脇用汗取りパッド1の基本構成〕
本発明に係る脇用汗取りパッド1は、図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、汗を速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された汗を吸収する吸収体4とから構成されている。前記不透液性裏面シート2、透液性表面シート3及び吸収体4は、ほぼ同等の大きさで形成し、各層間を接着剤などの接合手段によって接合した構造としてもよいし、前記吸収体4の周囲において前記吸収体4より外側に延出している不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部を接合手段によって接合した構造としてもよい。
【0020】
前記脇用汗取りパッド1は、衣服の脇の下部分の内側に取り付けて使用され、前記透液性表面シート3を肌側、前記不透液性裏面シート2を衣服側に向けて装着される。
【0021】
前記脇用汗取りパッド1は、所定の屈曲線5で折り曲げた状態で衣服に取り付けられる。衣服への取り付けに際して、前記屈曲線5は、衣服の胴部と袖部との縫合部にほぼ沿うようにして配置され、前記屈曲線5の両側はそれぞれ、衣服の胴部側に配置される胴側領域6及び衣服の袖部側に配置される袖側領域7を形成する。前記胴側領域6は、前記袖側領域7より大きな面積で形成され、より多くの汗が吸収できるようになっている。図1に示される脇用汗取りパッド1では、屈曲線5の上側に袖側領域7が形成され、屈曲線5の下側に胴側領域6が形成されている。
【0022】
前記脇用汗取りパッド1の平面形状は、図1に示されるように、左右の外形線8、8の中間部に離隔幅が最大となる最大離隔幅部分9が形成されるとともに、前記最大離隔幅部分9、9同士を上側及び下側に膨出する曲線で結んだ、略レモン形、瞳形又はアーモンド形を成している。前記左右の外形線8は、前記屈曲線5が延びる方向と略直交する方向又は所定の角度の範囲内で交差する方向に延びる外形線であり、上側又は下側の外形線との境界部分は必ずしも明確である必要はなく、前記最大離隔幅部分9、9同士を結んだ上側及び下側に膨出するそれぞれの曲線の全長に対して、各最大離隔幅部分9から1/4~1/3程度の位置までの範囲を左右の外形線8と定義することができる。また、上側及び下側とは、前記屈曲線5と略直交する方向であり、図1に示される脇用汗取りパッド1において、装着状態で袖部側に対応する側を上側、胴部側に対応する側を下側と表現している。
【0023】
また、前記脇用汗取りパッド1には透液性表面シート3側からの圧搾により、外周部のみ、もしくは外周部も含めた全面にエンボスが入っていてもよい。前記脇用汗取りパッド1の外周部にエンボスを施す場合は、外縁にまで延在してエンボスを施すと装着時に硬く感じ、違和感につながるおそれがあるため、外縁より2mm以上内側に施し、それより外側にはエンボスを施さないのが望ましい。
【0024】
以下、さらに前記脇用汗取りパッド1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シートなどの少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他にポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0025】
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。前記透液性表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、体液が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド-バイ-サイド型繊維、分割型繊維の複合繊維を好適に用いることもできる。
【0026】
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、汗を吸収保持する性質を有するものであれば公知のものを使用できる。たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。前記吸収体4は、形状保持、および汗を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した汗の逆戻りを防止するためにクレープ紙又は不織布などからなる被包シートによって囲繞してもよい。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。また、前記吸収体4として、嵩を小さくできるエアレイド吸収体や、2層の不織布層間に高吸水性樹脂を配置してなるポリマーシートを用いてもよい。
【0027】
前記不透液性裏面シート2の外面側(非肌面側)には、衣服に対する固定のために適宜の塗布パターンによってズレ止め粘着剤層(図示せず)が設けられている。
【0028】
〔切込み〕
本脇用汗取りパッド1は、左右の外形線8、8の中間部に左右の外形線8、8の離隔幅が最大となる最大離隔幅部分9、9を有し、前記最大離隔幅部分9、9の左右の外形線8、8を結ぶ左右方向に、前記脇用汗取りパッド1を折り曲げる屈曲線5が設けられている。このように、本脇用汗取りパッド1では、左右の外形線8、8の離隔幅が最大となる最大離隔幅部分9で折り曲げられるため、装着状態で着用者の脇の下部分(衣服の胴部と袖部との境界部分)に位置するパッド部分の長さが長くなり、より多くの汗を吸収することができるようになる。
【0029】
着用者の脇の下部分に位置するパッド部分の長さを長くしたのに伴って、装着状態でのシワやヨレの発生が問題となるが、本脇用汗取りパッド1では、図1に示されるように、前記屈曲線5を、左右の外形線8に至らない中間部に設けるとともに、前記最大離隔幅部分9より上側(袖側)の左右の外形線8、8からそれぞれ、前記屈曲線5の端部に向けて切込み10を形成することによって改善が図られている。すなわち、装着状態では、図3に示されるように、前記切込み10より内側に設けられた前記屈曲線5で脇用汗取りパッド1が折り曲げられ、前記屈曲線5より外側の前記切込み10及び左右の外形線8で囲まれた領域は、前記屈曲線5とともに折り曲げられずに肌側に突出する自由端部11となっている。このため、前記屈曲線5による折り曲げ部分の長さを小さくすることができ、折り曲げ部分に発生するシワやヨレを低減した状態で衣服に装着できるようになる。
【0030】
更に、本脇用汗取りパッド1では、前記屈曲線5より外側に前記自由端部11が設けられるため、装着状態で、この自由端部11が自由に動いて身体にフィットすることにより、身体との間に隙間が生じにくくなり、より多くの汗を吸収できるようになる。特に、前記自由端部11は、衣服に固定されず、肌側に突出するように設けられているため、着用者が腕を上げたときなどの脇が開いたとき、肌側に突出した前記自由端部11の自由端が脇の下に接触して、脇の下と衣服との間に生じた隙間を埋めるように作用し、脇の下の汗を確実に吸収できるようになっている。
【0031】
本脇用汗取りパッド1では、上述の通り、前記不透液性裏面シート2の外面側にズレ止め粘着剤層が設けられているが、少なくとも前記自由端部11には、前記ズレ止め粘着剤層を設けないのが好ましい。これにより、前記自由端部11が衣服に固定されず、肌側に突出できるようになる。
【0032】
前記屈曲線5は、装着時に前記脇用汗取りパッド1を折り曲げる線であり、脇用汗取りパッド1の厚みが薄い場合など、任意の位置で折れ曲げやすい構成を有していれば、特に何も施さなくてもよいが、脇用汗取りパッド1が前記屈曲線5に沿って確実に折れ曲がるように、前記屈曲線5に沿って折れ曲げやすくするための処理を施してもよい。本脇用汗取りパッド1では、前記屈曲線5に沿ってエンボス溝を形成するのが好ましい。これにより、前記エンボス溝を可撓軸として脇用汗取りパッド1が前記屈曲線5に沿って折れ曲げやすくなる。前記エンボス溝は、図2に示される例では、前記透液性表面シート3の外面側からの圧搾により、透液性表面シート3及び吸収体4を一体的に窪ませて形成しているが、透液性表面シート3又は吸収体4のみを圧搾して形成してもよいし、不透液性裏面シート2の外面側からの圧搾により形成してもよい。
【0033】
前記エンボス溝は、図1に示される例では、連続する直線によって構成されているが、圧搾部と非圧搾部とが交互に配置された不連続線で構成してもよいし、上側又は下側に膨出する曲線としてもよい。
【0034】
前記屈曲線5は、図1に示される例では、1本のみ設けられているが、複数本設けてもよい。また、屈曲線5が複数本からなる場合、直線のみで構成してもよいし、曲線を含んでいてもよい。
【0035】
前記切込み10は、脇用汗取りパッド1の外形線から内方側に至るカッターなどによって切断した線状の切断部であり、この切断部によって分離された左右の端縁同士がほぼ対向するように配置されている。前記切り込み10の内方側端部は、前記屈曲線5の端部又はその近傍に位置している。
【0036】
前記切込み10は、前記屈曲線5に対して所定の角度で形成するのが好ましい。図1に示されるように、前記屈曲線5を外側に延長した延長線と切込み10との成す角αは、20°~70°、好ましくは30°~50°程度が好ましい。これにより、装着時に自由端部11が肌側に突出しやすくなり、肌側に突出した自由端部11が肌に接触しやすくなる。
【0037】
前記切込み10は、図1に示される例では、前記最大離隔幅部分9より上側(袖側)に設けられているが、前記最大離隔幅部分9より下側(胴側)の左右の外形線8、8からそれぞれ、前記屈曲線5の端部に向けて形成してもよい(図示せず)。より好ましい形態は、胴側の吸収面積を確保するため、図1に示されるように、前記最大離隔幅部分9より上側(袖側)に設けるのがよい。
【0038】
前記切込み10は、図1に示される例では、最大離隔幅部分9の上側のみに形成されているが、図4に示されるように、最大離隔幅部分9の上側及び下側の両方にそれぞれ形成してもよい。最大離隔幅部分9の上側及び下側の両方にそれぞれ形成した場合の装着状態は、図5に示されるように、前記屈曲線5に沿って脇用汗取りパッド1を折り曲げたとき、前記屈曲線5の外側に、2本の切込み10、10及び左右の外形線8で囲まれた自由端部11が形成され、この自由端部11によって脇の下の広い領域を覆うことができるようになっている。
【0039】
最大離隔幅部分9の上側及び下側の両方に切込み10を形成した場合、2本の前記切込み10、10の内方側端部同士は所定の長さだけ離隔しているのが好ましい。この離隔長さaとしては、図4に示されるように、3~20mmとするのがよい。この離隔部は、図5に示されるように、自由端部11の基端を成すものであり、小さすぎると自由端部11が安定せずヨレが生じやすく、大きすぎると自由端部11が肌側に突出しにくくなる。
【0040】
前記切込み10、10は、図4に示されるように、前記屈曲線5に対して上側及び下側にほぼ同じ角度で傾斜するように形成するのが好ましいが、異なる傾斜角で形成してもよい。
【0041】
図4に示されるように、前記屈曲線5は、2本の切込み10、10の中間部を通る1本で構成してもよいし、図6に示されるように、最大離隔幅部分9の上側の切込み10、10の内方側端部同士を結ぶとともに、下側の切込み10、10の内方側端部同士を結ぶ2本で構成してもよい。これにより、装着時に衣服の胴部側と袖部側との境界に位置する部分が、2本の屈曲線5、5で挟まれた所定幅を有するため、ある程度の厚みのある衣服に対しても確実にフィットすることができるようになる。
【0042】
前記切込み10の形態としては、図1に示されるように直線、図7に示されるように(A)曲線、(B)、(C)折れ線のいすれでもよく、図7(D)に示されるように直線と曲線との組み合わせでもよい。前記切込み10を適宜の形態とすることにより、装着状態で肌側に突出する自由端部11を肌面に接触しやすくしたり、肌面接触時の違和感を軽減したりすることができるようになる。
【0043】
前記脇用汗取りパッド1の製造方法は、通常の方法で脇用汗取りパッド1を製造した後、ダイカッターなどの公知の切断手段を用いて前記切込み10を施工する。
【符号の説明】
【0044】
1…脇用汗取りパッド、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…屈曲線、6…胴側領域、7…袖側領域、8…左右の外形線、9…最大離隔幅部分、10…切込み、11…自由端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7