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特許7026472命令されないスプールバルブポジショニングを検出して油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための方法
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  • 特許-命令されないスプールバルブポジショニングを検出して油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】命令されないスプールバルブポジショニングを検出して油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための方法
(51)【国際特許分類】
   F15B 20/00 20060101AFI20220218BHJP
   F15B 11/08 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
F15B20/00 F
F15B11/08 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017192406
(22)【出願日】2017-10-02
(65)【公開番号】P2018059632
(43)【公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】15/286,135
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・ジェイ・ロマックス
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・ディー・キャラウェイ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-308073(JP,A)
【文献】特開平10-281112(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02541074(EP,A1)
【文献】特開2014-206022(JP,A)
【文献】特開2016-114129(JP,A)
【文献】特開2012-225050(JP,A)
【文献】特開2005-265062(JP,A)
【文献】特開2008-082539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 20/00-21/12
F15B 11/00-11/22;21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバルブスプールのうちの少なくとも1つのバルブスプールの命令されないポジショニング(uncommanded positioning)を検出して、前記複数のバルブスプールに流体的に連結された複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための方法であって、
前記複数のバルブスプールは、油圧ポンプの下流及びリザーバー(reservoir)の上流に配置され、各バルブスプールは、中立位置(neutral position)及び少なくとも1つの動作位置(active position)を有し、各バルブスプールは、前記バルブスプールが中立位置にあるときに前記複数の油圧アクチュエータのうちの少なくとも1つへの流体の流れを遮断するように構成され、また、前記バルブスプールが中立位置にないときに前記油圧アクチュエータのうちの少なくとも1つへの流体の流れを提供するように構成され、前記複数のバルブスプールは、複数のパイロット減圧バルブに流体的に連結され、各バルブスプールは、前記パイロット減圧バルブのうちの1つのパイロットソレノイドが活性化されるときに前記動作位置を維持するように構成され、前記パイロットソレノイドは、前記バルブスプールによって制御される機械の機能と関連した活性化命令がイネーブル(enable)されるときに活性化され、前記活性化命令は、コントローラーによってユーザーインタフェースから受信され、
前記方法は、
前記コントローラーによって、信号通路で検出された信号流体圧力を受信するステップと、
前記コントローラーによって、少なくとも1つの活性化命令が現在イネーブルされるかどうかを識別するステップと、
前記コントローラーによって、活性化命令が前記複数のバルブスプールのうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)前記複数のバルブスプールの上流で検出されたときの前記信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)前記複数のバルブスプールの下流で検出されたときの前記信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、前記複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるステップと、を含み、
前記複数のバルブスプールの各バルブスプールが前記中立位置にあるとき、前記信号通路は、前記複数のバルブスプールの各バルブスプールを通って延び、また、前記複数のバルブスプールのうちの任意のバルブスプールが前記中立位置にないか、前記動作位置にあるとき、前記信号通路は、前記中立位置にないかまたは前記動作位置にある前記バルブスプールによって遮断され
前記複数のバルブスプールのうちの第1バルブスプールの上流で前記信号流体圧力を検出するステップをさらに含み、前記第1バルブスプールは、前記複数のバルブスプールのうちの任意の他のバルブスプールの前に信号流体を受け取るように前記信号通路に沿って位置され、
前記コントローラーによって、活性化命令が前記複数のバルブスプールのうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)前記複数のバルブスプールの上流で検出されたときの前記信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)前記複数のバルブスプールの下流で検出されたときの前記信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、前記油圧アクチュエータのうちの1つに流体的に連結されたロックバルブを活性化するステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記油圧ポンプによって、流体を前記信号通路に供給するステップと、
前記信号通路内のオリフィスの下流及び前記第1バルブスプールの上流で前記信号流体圧力を検出するステップと、をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の油圧アクチュエータへの流体の流れは、各パイロット減圧バルブの前記パイロットソレノイドを非活性化することによって、または前記複数のパイロット減圧バルブのそれぞれに動作可能に連結されるパイロットシャット・オフソレノイドを非活性化することによって停止される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の油圧アクチュエータへの流体の流れは、前記油圧ポンプをシャット・オフすることによって停止される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記コントローラーによって、活性化命令が前記複数のバルブスプールのうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)前記複数のバルブスプールの上流で検出されたときの前記信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)前記複数のバルブスプールの下流で検出されたときの前記信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、前記油圧アクチュエータのうちの1つである油圧モータに動作可能に連結された旋回ブレーキを活性化するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のバルブスプールの下流で前記信号流体圧力を検出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
複数のバルブスプールのうちの第1バルブスプールの命令されないポジショニングを検出して、前記複数のバルブスプールに流体的に連結された複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるためのシステムであって、
機械上に配置された前記複数の油圧アクチュエータと、
油圧ポンプの下流及びリザーバーの上流に配置される前記複数のバルブスプールであって、前記複数のバルブスプールのうちの前記第1バルブスプールは、中立位置及び少なくとも1つの動作位置を有し、前記第1バルブスプールは、前記中立位置にあるときに前記複数の油圧アクチュエータのうちの第1油圧アクチュエータへの流体の流れを遮断するように構成され、また、中立位置にないときまたは前記動作位置にあるときに前記第1油圧アクチュエータへの流体の流れを提供するように構成される、前記複数のバルブスプールと、
複数のパイロット減圧バルブであって、各パイロット減圧バルブは、前記複数のバルブスプールのうちの1つに流体的に連結され、各パイロット減圧バルブは、前記パイロット減圧バルブを活性化するように構成されたパイロットソレノイドを含み、各パイロット減圧バルブは、前記バルブスプールのうちの1つを前記中立位置にまたは前記動作位置に配置するように構成される、前記複数のパイロット減圧バルブと、
前記複数のバルブスプールの各バルブスプールが前記中立位置にあるとき、前記複数のバルブスプールの各バルブスプールを通ってリザーバーに延びる信号通路であって、前記複数のバルブスプールのうちの任意のバルブスプールが前記動作位置にあるとき、前記信号通路は、前記動作位置にある前記バルブスプールによって遮断される、前記信号通路と、
前記信号通路に流体を供給するように構成され、前記複数のバルブスプールを通って前記複数の油圧アクチュエータに流体を供給するように構成される油圧ポンプと、
ユーザーからの活性化命令を受信するように構成されるユーザーインタフェースであって、前記活性化命令は、前記複数のバルブスプールのうちの1つ以上によって制御される機械機能に関連する、前記ユーザーインタフェースと、
コントローラーと、を含み、
前記コントローラーは、
信号通路で検出された信号流体圧力を受信し、
少なくとも1つの活性化命令が現在イネーブルされるかどうかを識別し、
活性化命令が前記複数のバルブスプールのうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)前記複数のバルブスプールの上流で検出されたときの前記信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)前記複数のバルブスプールの下流で検出されたときの前記信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、前記複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるように構成され
ディスプレイをさらに含み、前記コントローラーは、活性化命令がイネーブルされず、(1)前記複数のバルブスプールの上流で検出されたときの前記信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)前記複数のバルブスプールの下流で検出されたときの前記信号流体圧力が第2閾値よりも小さいときに前記ディスプレイ上に警告を表示するようにさらに構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、機械における制御プロセスに関し、より詳細には、機械上の命令されないバルブスプールポジショニング(uncommanded valve spool positioning)を検出して機械上の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるのに使用するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
掘削機及び同様の排土機(earth-moving equipment)は、通常的に、シリンダー及び油圧モーターを含むことができる油圧アクチュエータを使用して、器具の移動のような機械の機能を作動させる。一部制御システムにおいて、電子制御装置は、ソレノイドに電流を送ってバルブスプールを活性化する。通常的に、操作者からの命令がない場合、ソレノイドは活性化されず、バルブスプールは中立位置(neutral position)にある。このような中立位置において、バルブスプールは油圧アクチュエータへの流れを遮断する。システム故障の場合、操作者からの動作命令(active command)がないときに、1つ以上のバルブスプールはシフトされることもできる。これは、バルブスプールによって制御される機械の機能の意図しない作動、例えば、器具の意図しない移動をもたらすことができる。
【0003】
2001年1月23日付に登録された米国特許第6,176,126号(“Tsurugaら”)は、油圧回路と対応させて配置された建設機械用エンジン速度制御システムを記述している。エンジン速度制御システムには、走行、ブーム(boom)などを制御するために、パイロットラインに配置されたパイロットバルブが設けられる。自動アイドリング制御またはその解除は、圧力センサーからの信号に従って提供される。有利には、機械の機能を制御するバルブスプールの命令されないポジショニングを検出し、次いで、このような検出の際に油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させる措置を取るためのシステムが必要となることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の他の態様によれば、複数のバルブスプールのうちの少なくとも1つのバルブスプールの命令されないポジショニングを検出して、複数のバルブスプールに流体的に連結された複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための方法が開示される。複数のバルブスプールは、油圧ポンプの下流及びリザーバー(reservoir)の上流に配置される。各バルブスプールは、中立位置及び少なくとも1つの動作位置(active position)を有する。各バルブスプールは、バルブスプールが中立位置にあるときに複数の油圧アクチュエータのうちの少なくとも1つへの流体の流れを遮断するように構成され、また、バルブスプールが中立位置にないときに油圧アクチュエータなどのうちの少なくとも1つへの流体の流れを提供するように構成される。複数のバルブスプールは、複数のパイロット減圧バルブに流体的に連結される。各バルブスプールは、パイロット減圧バルブなどのうちの1つのパイロットソレノイドが活性化されるときに動作位置を維持するように構成される。パイロットソレノイドは、バルブスプールによって制御される機械の機能に関連した活性化命令がイネーブル(enable)にされるときに活性化される。活性化命令は、コントローラーによってユーザーインターフェースから受信される。前記方法は、コントローラーによって、信号通路で検出された信号流体圧力を受信するステップと、コントローラーによって、少なくとも1つの活性化命令が現在イネーブルされるかどうかを識別するステップと、コントローラーによって、活性化命令が複数のバルブスプールのうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)複数のバルブスプールの上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または(2)複数のバルブスプールの下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるステップと、を含む。一実施形態において、複数のバルブスプールのうちの各バルブスプールが中立位置にあるとき、信号通路は複数のバルブスプールの各バルブスプールを通って延び、複数のバルブスプールのうちの任意のバルブスプールが中立位置にないか、動作位置にあるとき、信号通路は、中立位置にないか動作位置にあるバルブスプールによって遮断される。
【0005】
本発明の一態様によれば、複数のバルブスプールのうちの第1バルブスプールの命令されないポジショニングを検出して、複数のバルブスプールに流体的に連結された複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるためのシステムが開示される。前記システムは、機械上に配置された複数の油圧アクチュエータ、油圧ポンプの下流及びリザーバーの上流に配置された複数のバルブスプール、複数のパイロット減圧バルブ、信号通路、油圧ポンプ、ユーザーインターフェース及びコントローラーを含むことができる。複数のバルブスプールのうちの第1バルブスプールは、中立位置及び少なくとも1つの動作位置を有する。第1バルブスプールは、中立位置にあるときに油圧アクチュエータへの流体の流れを遮断するように構成され、また、中立位置にないときまたは動作位置にあるときに油圧アクチュエータへの流体の流れを提供するように構成される。各パイロット減圧バルブは、複数のバルブスプールのうちの1つに流体的に連結される。各パイロット減圧バルブは、パイロット減圧バルブを活性化するように構成されたパイロットソレノイドを含むことができる。各パイロット減圧バルブは、バルブスプールなどのうちの1つを中立位置にまたは動作位置に配置するように構成される。信号通路は、複数のバルブスプールの各バルブスプールが中立位置にあるとき、複数のバルブスプールの各バルブスプールを通ってリザーバーに延びる。複数のバルブスプールのうちの任意のバルブスプールが動作位置にあるとき、信号通路は、動作位置にあるバルブスプールによって遮断される。油圧ポンプは、複数のバルブスプールを介して信号通路及び油圧アクチュエータで油圧流体を供給するように構成される。ユーザーインタフェースは、ユーザーからの活性化命令を受信するように構成される。活性化命令は、複数のバルブスプールのうちの1つ以上によって制御される機械機能に関連する。コントローラーは、信号通路で検出された信号流体圧力を受信し;少なくとも1つの活性化命令が現在イネーブルされるかどうかを識別し;活性化命令が複数のバルブスプールのうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)複数のバルブスプールの上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または(2)複数のバルブスプールの下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるように構成される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、複数のバルブスプールのうちの第1バルブスプールの命令されないポジショニングを検出して、第1バルブスプールに流体的に連結される第1油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための方法が開示される。複数のバルブスプールは、油圧ポンプの下流及びリザーバーの上流に配置される。第1バルブスプールは、第1位置及び第2位置を有する。第1バルブスプールは、第1バルブスプールが第1位置にあるときに第1油圧アクチュエータへの流体の流れを遮断するように構成され、また、第1バルブスプールが第1位置にないか、第2位置にあるときに第1油圧アクチュエータへの流体の流れを提供するように構成される。第1バルブスプールは、パイロット供給が活性化されるときに第2位置を維持するように構成される。パイロット供給は、第1バルブスプールによって制御される機械の機能に対する活性化命令がイネーブルされるときに活性化される。活性化命令は、コントローラーによってユーザーインタフェースから受信される。前記方法は、コントローラーによって、信号通路で検出された信号流体圧力を受信するステップと、コントローラーによって、活性化命令が現在イネーブルされるかどうかを識別するステップと、コントローラーによって、活性化命令が第1バルブスプールに対してイネーブルされず、(1)複数の信号バルブの上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または(2)複数の信号バルブの下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、第1油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるステップと、を含む。第1バルブスプールが第1位置にあるとき、信号通路は、第1バルブスプールを通って延び、第1バルブスプールが第2位置にあるか、第1位置にないとき、信号通路は、第1バルブスプールによって遮断される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図2または図3の例示的なシステム101を含む例示的な機械100の側面図である。
図2】バルブスプール122を含む例示的なシステム101の概路図である。
図3】代替の例示的なシステム101の概路図である。
図4】バルブスプール122の命令されないポジショニングを検出して停止させるための例示的な方法である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明のシステム101を含む機械100の一例を示す。例示的な機械100は、油圧アクチュエータ(例えば、油圧シリンダー102aまたは油圧モーター102b)を使用して機械100の機能を制御する掘削機または他の車両のような車両であり得る。図1は、油圧掘削機103である例示的な機械100を示す。例示的な機械100は、下部キャリッジ106上に配置された上部キャリッジ104を含む。上部キャリッジ104は、操作者ステーション108及び本体110を含む。下部キャリッジ106は、1つ以上の地面係合ユニット112を含む。例示的な実施形態において、地面係合ユニット112は、トラックアセンブリー114である。機械100が機械または電気駆動トレーンを介して地面係合ユニット112及び最終駆動アセンブリー(図示せず)に動力を提供する動力源116、例えば、エンジン117をさら含むことを当業者であれば理解するであろう。以下の詳細な説明及び図面は、油圧掘削機103を参照してなされるが、本発明の教示は、油圧アクチュエータを使用して機械100の機能を制御する同様の機械100上に使用されることもできる。
【0009】
機械100は、複数のバルブスプール122(図2参照)中のバルブスプール122の命令されないポジショニングを検出して、複数のバルブスプール122に流体的に連結されて機械100の1つ以上の機能を制御する油圧アクチュエータ102への流体の流れを停止させるためのシステム101(図2及び図3)をさらに含む。さらに進めて、このような機能は、例えば、器具120(図1)、または器具120の一部分(例えば、ブーム、スティックまたはバケット)の移動、モーターの作動などであり得る。命令されないポジショニングは、現在イネーブルされた活性化命令と互換されないか、関連付けられている位置にあるバルブスプール122を指す。
【0010】
図2は、システム101の一実施形態を示す。図2に示されたように、システム101は、1つ以上のバルブスプール122、リザーバー126、1つ以上のパイロット油圧供給部131、信号通路136、コントローラー140及び圧力検出器148を含む。システム101は、油圧ポンプ124、機械100上の1つ以上の油圧アクチュエータ、ユーザーインタフェース138及び低圧源152をさらに含むことができる。一部の実施形態において、システム101は、パイロットシャット・オフソレノイド162をさらに含むことができる。一部の実施形態において、システム101は、ディスプレイ150を含むことができる。一部の実施形態において、システム101は、ロックバルブ164を含むことができる。一部の実施形態において、システム101は、ブレーキ166を含むことができる。
【0011】
油圧アクチュエータは、機械100の様々な機能の作動を制御する。例えば、1つ以上の油圧アクチュエータは、器具120または器具120の一部分の作動を制御する。油圧アクチュエータは、油圧シリンダー102a、油圧モーター102bなどであり得る。図2の例示的な実施形態では、複数の油圧シリンダー102aだけでなく油圧モーター102bもある。
【0012】
各バルブスプール122は、油圧アクチュエータなどのうちの1つ以上に流体的に連結され、選択的に閉鎖状態から開放状態に転換されることができ、その逆にも転換され得る。図2に示された例示的な実施形態において、各バルブスプール122は、中立位置128、及び流体の流れが1つ以上の油圧アクチュエータに伝達される1つ以上の動作位置130を有する。図2及び図3の例示的な実施形態において、各バルブスプール122は、第1動作位置130a及び第2動作位置130bを有する。バルブスプール122は、閉鎖状態(図2の実施形態では、中立位置128)にあるときにバルブスプール122に動作可能に連結された油圧アクチュエータへの流体の流れを遮断するように構成され、また、開放状態(図2の実施形態では、第1動作位置130aまたは第2動作位置130b)にあるときに油圧アクチュエータへの流体の流れを提供するように構成される。図2に示された例示的な実施形態では、油圧ポンプ124の下流及びリザーバー126の上流に配置された複数のバルブスプール122がある。各バルブスプール122は、バルブスプール122が閉鎖状態(中立位置128)にあるときに信号通路136の一部であるボア(bore)156を含む。各バルブスプール122は、1つ以上のパイロット油圧供給部(複数)131に流体的に連結される。各バルブスプール122は、バルブスプール122に連結されたパイロット油圧供給部131が活性化されるときに動作位置130を維持するように構成される。
【0013】
各パイロット油圧供給部131は、パイロット減圧バルブ132(または、代替的に、バルブスプール122を作動させるための他の適切なパイロットバルブ)を含むことができる。例示的な実施形態において、パイロット油圧供給部131は、パイロット減圧バルブ132を含む。パイロット減圧バルブ132は、パイロット減圧バルブ132を活性化するように構成されたパイロットソレノイド134(例えば、電子パイロット減圧ソレノイド)を含む。パイロット油圧供給部131は、バルブスプール122などのうちの1つによって制御される機械100の機能に関連した活性化命令がイネーブルされるときに活性化される。図2の例示的な実施形態では、一対のパイロット減圧バルブ132などが各バルブスプール122に流体的に連結される。一対のパイロット減圧バルブ(複数)132は、バルブスプール122を中立位置128または1つ以上の動作位置130(例えば、第1動作位置130a、第2動作位置130b)に配置するように構成される。パイロット減圧バルブ132がそれぞれのパイロットソレノイド134によって活性化されるとき、パイロット減圧バルブ132は、バルブスプール122を開放状態に活性化する。より具体的に、図2の例示的な実施形態において、一対のパイロット減圧バルブ132の一方は、バルブスプール122を第1動作位置130aに活性化するように構成され、一対のパイロット減圧バルブ132の他方は、バルブスプール122を第2動作位置130bに活性化するように構成される。一対のパイロット減圧バルブ132などが活性化されないとき、関連したバルブスプール122は、中立位置128にある。
【0014】
各バルブスプール122(複数のバルブスプール122の)が中立位置128にあるとき、信号通路136は、低圧源152から複数のバルブスプール122のそれぞれのボア156を通ってリザーバー126に延びる。任意のバルブスプール122(複数のバルブスプール122のうちのいずれか1つ)が中立位置128にないか、動作位置130などのうちの1つにあるとき、信号通路136は、中立位置128の外にあるか、動作位置130にあるこのようなバルブスプール122によって遮断される。
【0015】
信号通路136は、バルブスプール122が動作位置130にあるときの信号通路136内の信号流体の測定圧力(信号流体圧力)が、(1)検出地点(測定地点)がバルブスプール122の上流にあるときの第1閾値よりも大きいか、または、(2)検出地点がバルブスプール122の下流にあるときの第2閾値よりも小さいように構成され得る。信号通路136は、オリフィス146を含むことができる。図2の実施形態において、オリフィス146は、低圧源152の下流及び複数のバルブスプール122の上流に配置される。オリフィス146の断面積は、信号通路136[バルブスプール122を通る一部分(ボア156)を含む]の匹敵する断面積よりも小さい。オリフィス146の小さい断面積は、バルブスプール122を通ってリザーバー126に信号通路136を移動する信号流体の量を制限する。図2の実施形態において、オリフィス146は、信号通路136が開放される(いかなるバルブスプール122によっても遮断されない)ときにオリフィス146の下流及び複数のバルブスプール122の上流における信号流体圧力が低くなることを可能にしながらも、信号通路136がバルブスプール122によって遮断されるときに信号流体圧力が迅速に増強するように下流の信号通路136内への十分な流れを可能にするのに十分に大きく寸法化される。
【0016】
油圧ポンプ124は、油圧流体を複数のバルブスプール122を介して油圧アクチュエータに供給するように構成される。導管137は、流体を油圧ポンプ124からバルブスプール122に運搬し、バルブスプール122から油圧アクチュエータに運搬する。
【0017】
図2(及び図3)の実施形態において、油圧ポンプ124は、また、信号流体を信号通路136に供給するように構成される。より具体的に、油圧ポンプ124は、流体を第1圧力で減圧バルブ158である図2の低圧源152に供給する。減圧バルブ158は、油圧ポンプ124によって供給される流入流体の圧力を第2のより低い圧力に減少させる。その後、このようなより低い圧力流体は、減圧バルブ158によって信号流体として信号通路136に供給/排出される。図2(及び図3)の実施形態において、油圧ポンプ124は、また、流体を減圧バルブ158を介してパイロット油圧供給部131(例えば、パイロット減圧バルブ132)に供給するように構成される。
【0018】
代替的に、低圧源152は、図2(及び図3)に示された減圧バルブ158の代わりに別のパイロットポンプであり得る。この配置において、油圧ポンプ124は、流体を低圧源152に供給する必要はなく;パイロットポンプ(低圧源152)の代わりにタンクなどから流体を得て、このような流体を(適切な圧力で)信号通路136及びパイロット減圧バルブ132に供給するであろう。この実施形態は、低圧源152を介して低圧を得るが、他の実施形態は、他の供給源から、例えば、油圧ポンプ124から直接より高い流体圧力を供給することができる。
【0019】
圧力検出器148は、信号通路136内の信号流体の圧力測定値、すなわち、信号流体圧力を検出するように構成され、また、閾値と比較される信号流体圧力の値または信号流体圧力の相対値を示すデータをコントローラー140に送信するように構成される。圧力検出器148は、図2に示されたように、オリフィス146の下流及び複数のバルブスプール122の上流に配置され得るか、または、代替的に、図3に示されたように、複数のバルブスプール122の下流及びオリフィス146の上流に配置され得る。圧力検出器148は、圧力センサー160または圧力スイッチであり得る。図2に示された例示的な実施形態において、圧力検出器148は、オリフィス146の下流及び複数のバルブスプール122の上流に配置された圧力センサー160である。
【0020】
ユーザーインタフェース138は、コントローラー140と動作可能に通信し、活性化命令をユーザーから受信してコントローラー140に送信するように構成される。一実施形態において、ユーザーインタフェース138は、ジョイスティック、レバー、ダイヤルなどであり得る。活性化命令は、機械100の要請された機能と関連する。
【0021】
ロックバルブ164は、油圧アクチュエータに動作可能に連結されることができ、導管137を通る油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるように構成される。
【0022】
ブレーキ166は、油圧アクチュエータ、例えば、油圧モーター102bに動作可能に連結され、このような油圧モーター102bの作動を停止させるように構成される。図2及び図3の実施形態において、ブレーキは旋回ブレーキ166aである。
【0023】
パイロットシャット・オフソレノイド162は、それぞれのパイロット油圧供給部131(例えば、パイロット減圧バルブ132)に流体的に連結される。機械100の作動中、パイロットシャット・オフソレノイド162は、パイロットオイルがそれぞれのパイロット油圧供給部131(例えば、各パイロット減圧バルブ132)に流れることができるように活性化される。非活性化されたとき、パイロットシャット・オフソレノイド162は、それぞれのパイロット油圧供給部131へのパイロットオイルの流れを停止させる(例えば、各パイロット減圧バルブ132へのパイロットオイルの流れを停止させる)。
【0024】
コントローラー140は、パイロット油圧供給部131(例えば、パイロットソレノイド134)、低圧源152、油圧ポンプ124、圧力検出器148及びユーザーインタフェース138と動作可能に通信する。コントローラー140は、また、複数のバルブスプール122及びディスプレイ150と通信することもできる。コントローラー140は、また、パイロットシャット・オフソレノイド162と通信することもできる。コントローラー140は、また、ロックバルブ164と通信することもできる。コントローラー140は、また、旋回ブレーキ166aと通信することもできる。
【0025】
コントローラー140は、プロセッサ142及びメモリー構成要素144を含むことができる。プロセッサ142は、当技術分野で公知されたように、マイクロプロセッサまたは他のプロセッサであり得る。プロセッサ142は、信号流体圧力に関するデータを処理すること、パイロット油圧供給部131を活性化すること(例えば、パイロットソレノイド134を活性化すること)、活性化命令がイネーブルされるかどうかを決定すること、油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させること、及び他の関連作動のための命令語を行って制御信号を生成することができる。コンピューターによって実行され得るこのような命令語は、メモリー構成要素144またはプロセッサ142の外部に提供されたもののようなコンピューター可読媒体に読み込まれるか具現されることができる。代替の実施形態では、ハードワイヤード回路(hard wired circuitry)がソフトウェア命令語の代わりに、または、それと組み合わせて使用されて制御方法を具現することができる。
【0026】
本明細書で使用される用語“コンピューター可読媒体(computer readable medium)”は、実行のためにプロセッサ142に命令語を提供するのに関与する任意の非一時的媒体または媒体などの組み合わせを指す。このような媒体は、一時的な伝搬信号を除いたすべてのコンピューター可読媒体を含むことができる。コンピューター可読媒体の形態は、例えば、任意の磁気媒体、CD-ROM、光学媒体、またはコンピュータープロセッサ142が読み取ることができる任意の他の媒体を含む。
【0027】
コントローラー140は、1つのプロセッサ142及びメモリー構成要素144に限定されない。コントローラー140は、数個のプロセッサ142及びメモリー構成要素144であり得る。
【0028】
コントローラー140は、複数のバルブスプール122によって制御される機械100の機能に対する活性化命令が(例えば、ユーザーインタフェース138によって)イネーブルされているかどうかを識別または決定するように構成される。コントローラー140は、閾値と比較される信号流体圧力の値(信号通路136内)または信号流体圧力の相対値を示すデータを受信するように構成される。
【0029】
一部の実施形態において、コントローラー140は、信号通路136内の信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか否かを決定することができる。代替的にまたは追加に、一部の実施形態において、コントローラー140は、信号通路136内の信号流体圧力が第2閾値よりも小さいか否かを決定することができる。
【0030】
コントローラー140は、活性化命令(複数のバルブスプール122のうちのいずれかに関連する)がイネーブルされず、(1)複数のバルブスプール122の上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)複数のバルブスプール122の下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるようにさらに構成される。複数の油圧アクチュエータへの流体の流れは、油圧ポンプ124を停止させること(シャット・オフ)、各パイロット減圧バルブ132のパイロットソレノイド134を非活性化すること、または、複数のパイロット減圧バルブ132のそれぞれに動作可能に連結されるパイロットシャット・オフソレノイド162を非活性化することのうちの1つ以上によって停止され得る。一部の実施形態において、コントローラー140は、油圧モーター102bのような油圧アクチュエータに動作可能に連結されたブレーキ166(例えば、旋回ブレーキ166a)を活性化するように構成され得る。一部の実施形態において、コントローラー140は、油圧アクチュエータに動作可能に連結されたロックバルブ164を活性化して油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるように構成され得る。一部の実施形態において、コントローラー140は、活性化命令(複数のバルブスプール122のうちのいずれかに関連する)がイネーブルされず、(1)複数のバルブスプール122の上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)複数のバルブスプール122の下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さいときにディスプレイ150上に警告を表示するようにさらに構成され得る。
【0031】
図3は、システム101の他の実施形態を示す。図3のシステム101は、圧力検出器148及びオリフィス146が複数のバルブスプール122の下流に配置されるという点を除いて図2のものと同一である。オリフィス146は、圧力検出器148の下流で信号通路136内に配置される。図2のオリフィス146と同様に、信号通路136[バルブスプール122を通る一部分(ボア156)を含み]の比較可能な断面積よりも小さい断面積を有する。このようなオリフィス146の小さい断面積は、オリフィス146の下流で信号通路136を移動する信号流体の量を制限する。図3の実施形態において、オリフィス146は、信号通路136が開放される(いかなるバルブスプール122によっても遮断されない)ときにオリフィス146の上流及び複数のバルブスプール122の下流で取られた信号流体圧力が比較的高くなることを可能にしながらも、オリフィス146の下流で信号通路136内への信号流体の十分な排出を可能にするのに十分に大きく寸法化される。これは、信号通路136が開放されるときに検出された高い信号流体圧力と、信号通路136が部分的に遮断されるときに検出された低い信号流体圧力または信号通路136が遮断されるときに検出された実質的にゼロ(0)の信号流体圧力との間の差を強調する。
【0032】
作動中、油圧ポンプ124は、加圧流体を導管137を介してバルブスプール122に供給する。図2及び図3の実施形態において、油圧ポンプ124は、また、加圧流体を導管137を介して低圧源152(減圧バルブ158)に供給する。減圧バルブ158に流れる流体の一部分は、これによって第1圧力で受信される。減圧バルブ158は、第1圧力よりもかなり小さい第2圧力で信号通路136及びパイロット油圧供給部131(例えば、パイロット減圧バルブ132)の両方に流体を排出する。
【0033】
流体は、信号通路136を通って流れる。図2の実施形態において、流体は、複数のバルブスプール122の前に信号通路136の内側に配置されたオリフィス146を通って流れる。図2の実施形態において、圧力検出器148は、オリフィス146の下流及び複数のバルブスプール122のうちのいずれかの上流に配置される圧力センサー160である。圧力センサー160は、オリフィス146の下流及び複数のバルブスプール122の上流で信号通路136内の信号流体圧力を検出する。圧力センサー160は、検出された信号流体圧力をコントローラー140に送信する。代替的に、圧力検出器148が圧力センサー160の代わりに圧力スイッチである場合、圧力検出器148は、閾値と比較される測定された信号流体圧力の値を示すデータを送信することができる。
【0034】
活性化命令が(複数のバルブスプール122によって制御される機械100の機能に対して)イネーブルされないとき、パイロットソレノイド134などのうちのいずれも活性化されないべきであり、それに応じてパイロット減圧バルブ132などのうちのいずれも活性化されないべきである。また、パイロット減圧バルブ132などのうちのいずれも活性化されない(すべてが非活性化される)場合、複数のバルブスプール122のすべては、中立位置128にいなければならず、信号通路136は、それぞれのバルブスプール122のボア156を通って延び;これにより、信号流体は、複数のバルブスプール122のそれぞれを通ってリザーバー126に邪魔されずに移動する。
【0035】
信号通路136が開放され、邪魔されない(複数のバルブスプール122のすべてが中立位置128にある)とき、信号流体圧力は、複数のバルブスプール122の上流で検出されたとき、上流中立圧力と呼ばれることができる。バルブスプール122などのうちの1つ以上が活性化される(例えば、動作位置130にある)とき、活性化されたバルブスプール(複数)122は、信号通路136を遮断するはずであり、信号流体は、活性化されたバルブスプール122を通ってリザーバー126に流れることができなくなる。このように、信号流体圧力は、活性化されたバルブスプール122の上流で増強/増加するであろう。従って、圧力センサー160によって複数のバルブスプール122の上流で検出される信号流体圧力は、上流中立圧力よりもより高くなる。
【0036】
図3のシステム101は、図2のシステム101と同様に作動する。パイロット減圧バルブ132のうちのいずれも活性化されない(すべてが非活性化される)場合、バルブスプール122などのすべては、中立位置128にいなければならず、信号通路136は、それぞれのバルブスプール122を通って延びる。信号通路136は、開放/邪魔されず、信号流体は、複数のバルブスプール122のそれぞれを通ってリザーバー126に流れる。しかし、図3の圧力センサー160及びオリフィス146は、複数のバルブスプール122の下流に(上流の代わりに)配置されるため、図3の圧力センサー160によって検出された信号流体圧力は、圧力センサー160が複数のバルブスプール122の上流に配置される図2のシステム101で検出されるものよりさらに低い。信号通路136が開放されて邪魔されないとき、図3の複数のバルブスプール122の下流で検出された信号流体圧力は、下流中立圧力と呼ばれることができる。下流中立圧力は、システム101の作動中に、通常的に、複数のバルブスプール122を横切って経験される圧力降下のために図2の上流中立圧力よりも低い。
【0037】
バルブスプール122などのうちの1つ以上が活性化される(動作位置130にある)とき、活性化されたバルブスプール(複数)122は、信号通路136を遮断するはずであり、信号流体は、活性化されたバルブスプール(複数)122を通って流れることができないだろう。このように、信号流体圧力は、活性化されたバルブスプール122の下流で減少するであろう。従って、図3の圧力センサー160によって検出された信号流体圧力は、バルブスプール(複数)122が非活性化される(中立位置128にある)ときに検出された下流中立圧力よりも低いだろう。一部のシナリオにおいて、1つ以上のバルブスプールが動作位置130にあるときに検出された信号流体圧力は、ゼロ(0)であり得る。
【0038】
時には、バルブスプール122は、バルブスプール122、パイロット減圧バルブ132、パイロットソレノイド134などの破片、損傷、故障に起因して中立位置128の外にあり(中立位置128におらず)、完全または部分的に動作位置130に置かれることができる。このようなシナリオにおいて、信号通路136は、イネーブルされた活性化命令がなく、バルブスプール122などのすべてが中立位置128にいなければならないとしても、遮断(または部分的に遮断)され得る。信号流体圧力は、複数のバルブスプール122の上流で増強されるはずであり、信号流体(及び対応的に信号流体圧力)は、複数のバルブスプール122の下流にほとんどまたは全くないだろう。
【0039】
図2のシステム101において、検出された信号流体圧力が第1閾値圧力を超え(例えば、上流中立圧力を超過し)、現在イネーブルされた活性化命令がない場合、このような信号流体圧力は、油圧ポンプ124からの流体が油圧アクチュエータに到逹するようにして、機械100の機能の命令されない作動(例えば、1つ以上の器具120の命令されない移動)を引き起し得るバルブスプール122などのうちの少なくとも1つの命令されない位置を示す。図3のシステム101において、イネーブルされた活性化命令がなく、信号流体圧力が第2閾値よりも小さい(例えば、下流中立圧力よりも小さい)場合、このような信号流体圧力は、油圧ポンプ124からの流体が油圧アクチュエータに到逹するようにして、機械100の機能の命令されない作動を引き起し得るバルブスプール122などのうちの少なくとも1つの命令されない位置を示す。
【0040】
図4は、複数のバルブスプール122のうちのバルブスプール122の命令されないポジショニングを検出して、複数のバルブスプール122に流体的に連結された複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための例示的な方法400を示す。
【0041】
ブロック405において、方法400は、圧力センサー160によって、信号通路136内の信号流体圧力を検出するステップを含む。信号流体圧力(測定値)は、コントローラー140に送信される。
【0042】
ブロック410において、方法400は、コントローラー140によって、閾値と比較される信号流体圧力の値または信号流体圧力の相対値を示すデータを受信するステップをさらに含む。
【0043】
ブロック415において、方法400は、コントローラー140によって、少なくとも1つの活性化命令が複数のバルブスプール122によって制御される機械100の少なくとも1つの機能に対して、現在イネーブルされるかどうかを識別するステップをさらに含む。
【0044】
ブロック420において、信号流体圧力が複数のバルブスプール122の上流で検出される場合、方法400は、コントローラー140によって信号流体圧力が第1閾値よりも大きい場合を決定または識別するステップをさらに含む。一実施形態において、第1閾値は、上流中立圧力であり得る。信号流体圧力が複数のバルブスプール122の下流でのみ検出される実施形態において、ブロック420はスキップすることができる。
【0045】
ブロック425において、信号流体圧力が複数のバルブスプール122の下流で検出される場合、方法400は、コントローラー140によって信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合を決定または識別するステップをさらに含む。一実施形態において、第2閾値は、下流中立圧力であり得る。信号流体圧力が複数のバルブスプール122の上流でのみ検出される実施形態において、ブロック425はスキップすることができる。
【0046】
ブロック430において、方法400は、コントローラー140によって、活性化命令が複数のバルブスプール122のうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)複数のバルブスプール122の上流で検出された場合の信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)複数のバルブスプール122の下流で検出された場合の信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に複数のバルブスプール122への流体の流れを停止させるステップを含む。
【0047】
一実施形態において、コントローラー140は、複数のバルブスプール122のうちの1つ以上に動作可能に連結された各パイロット減圧バルブ132のパイロットソレノイド134を非活性化することによって、複数のバルブスプール122への流体の流れを停止させることができる。代替的に、または追加に、コントローラー140は、パイロットシャット・オフソレノイド162を非活性化することによって、複数のバルブスプール122への流体の流れを停止させて、各パイロット油圧供給部131へのパイロットオイルの流れを停止(例えば、各パイロット減圧バルブ132へのパイロットオイルの流れを停止)させることができる。前記したもののうちのいずれか1つまたは両方に代替的に、または追加に、コントローラー140は、油圧ポンプ124を停止またはシャット・オフさせることによって、複数のバルブスプール122への流体の流れを停止させることができ、これにより、複数のバルブスプール122を通る油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させることができる。一部の実施形態では、1つ以上のロックバルブ164が活性化されて、1つ以上の油圧アクチュエータへの流体の流れを防止することができる。一部の実施形態では、ブレーキ166(例えば、旋回ブレーキ166a)がまた活性化されて、油圧モーター102bである油圧アクチュエータの作動を停止させることもできる。一部の実施形態において、コントローラー140は、また、命令されないスプールバルブポジショニングが検出されたことを操作者に警告するために、ディスプレイ150上に警告通知を表示するように構成されることもできる。警告通知は、また、是正措置が具現されたこと(例えば、油圧ポンプ124がシャット・オフされており、パイロットソレノイド134が非活性化されている)を操作者に警告することもできる。
【0048】
また、複数のバルブスプール122のうちの少なくとも1つのバルブスプール122の命令されないポジショニングを検出して、本明細書に記述されたシステム101の複数のバルブスプール122に流体的に連結された複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるための方法が開示される。前記方法は、コントローラー140によって、信号通路136で検出された信号流体圧力を受信するステップと、コントローラー140によって、少なくとも1つの活性化命令が現在イネーブルされるかどうかを識別するステップと、コントローラー140によって、活性化命令が複数のバルブスプール122のうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)複数のバルブスプール122の上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)複数のバルブスプール122の下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に複数の油圧アクチュエータへの流体の流れを停止させるステップと、を含む。
【0049】
一実施形態において、前記方法は、複数のバルブスプール122のうちの第1バルブスプール122の上流で信号流体圧力を検出するステップをさらに含むことができ、前記第1バルブスプール122は、複数のバルブスプール122のうちの任意の他のバルブスプール122の前に信号流体を受け取るように信号通路136に沿って位置される。前記方法は、油圧ポンプ124によって、流体を信号通路136に供給するステップと、油圧ポンプ124によって信号通路136に供給された流体の圧力を減少させるステップと、信号通路136内のオリフィス146の下流及び第1バルブスプール122の上流で信号流体圧力を検出するステップと、をさらに含むことができる。
【0050】
一実施形態において、複数の油圧アクチュエータ102への流体の流れは各パイロット減圧バルブ132のパイロットソレノイド134を非活性化することによって、または複数のパイロット減圧バルブ132のそれぞれに動作可能に連結されるパイロットシャット・オフソレノイド162を非活性化することによって、停止され得る。一実施形態において、油圧アクチュエータ102への流体の流れは、油圧ポンプ124を停止させることによって停止される。
【0051】
一実施形態において、前記方法は、コントローラー140によって、活性化命令が複数のバルブスプール122のうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)複数のバルブスプール122の上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)複数のバルブスプール122の下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、油圧アクチュエータ102などのうちの1つに動作可能に連結されたブレーキ166(例えば、旋回ブレーキ166a)を活性化するステップをさらに含むことができる。
【0052】
一実施形態において、前記方法は、コントローラー140によって、活性化命令が複数のバルブスプール122のうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)複数のバルブスプール122の上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)複数のバルブスプール122の下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、油圧アクチュエータ102などのうちの1つに流体的に連結されたロックバルブ164を活性化するステップをさらに含むことができる。
【0053】
一実施形態において、前記方法は、活性化命令が複数のバルブスプール122のうちのいずれかに対してもイネーブルされず、(1)複数のバルブスプール122の上流で検出されたときの信号流体圧力が第1閾値よりも大きいか、または、(2)複数のバルブスプール122の下流で検出されたときの信号流体圧力が第2閾値よりも小さい場合に、警告通知をディスプレイ150上に表示するステップを含むことができる。
【0054】
一実施形態において、前記方法は、複数のバルブスプール122の下流で信号流体圧力を検出するステップを含むことができる。
【0055】
本明細書に開示された特徴などは、油圧アクチュエータを使用して機械100の機能を制御する掘削機のような機械100に特に有利であり得る。本明細書に開示されたシステム101は、油圧アクチュエータによって機械機能の命令されない作動をもたらすことができる状況を自動的に検出し、操作者が介入するとか、措置を取ることなく、このような命令されない作動(または潜在的な命令されない作動)を停止させる。
図1
図2
図3
図4