(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 620
(21)【出願番号】P 2017206561
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】平田 征也
【審査官】酒井 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-113249(JP,A)
【文献】特開2017-018667(JP,A)
【文献】特開2016-221367(JP,A)
【文献】特開2017-086761(JP,A)
【文献】特開2018-201541(JP,A)
【文献】特開2019-058240(JP,A)
【文献】特開2019-030470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技者にとって有利な特別状態に制御する特別状態手段と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段が特定表示結果の導出を許容したことにもとづいて、遊技者にとって有利な特定決定を行うことが可能な特定決定手段と、
複数ゲームに亘って前記特別状態への移行が決定されているか否かを示唆する示唆制御を実行する示唆制御手段と、
前記特定表示結果が導出されたときに特定演出を実行可能な特定演出手段とを備え、
前記特別状態への移行が決定されている場合に、
前記特定決定は行われず、
前記特定演出手段は、前記示唆制御が行われていないことを条件に、前記特定演出を実行する、スロットマシン。
【請求項2】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
遊技者にとって有利な特別状態に制御する特別状態手段と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段が特定表示結果の導出を許容したことにもとづいて、遊技者にとって有利な特定決定を行うことが可能な特定決定手段と、
複数ゲームに亘って前記特別状態への移行が決定されているか否かを示唆する示唆制御を実行する示唆制御手段と、
前記特定表示結果が導出されたときに特定演出を実行可能な特定演出手段とを備え、
前記特別状態への移行が決定されている場合に、
前記特定決定は行われず、
前記特定演出手段は、前記示唆制御が行われているときは、前記示唆制御が行われていないときに比べて低い確率で前記特定演出を実行する、スロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれたリールを有する可変表示部を備えており、規定の賭数が設定された状態でスタートスイッチが操作されることによりリールが回転開始し、ストップスイッチが操作されてリールの回転が停止したときに入賞ライン上に予め定められた図柄組合せ(たとえば、7-7-7、以下、図柄組合せを表示結果の組合せ、もしくは役とも称する)が導出されることにより入賞が発生する。
【0003】
役の種類としては、小役、特別役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、小役の種類ごとに定められた数のメダルが払い出される。特別役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、レギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な特別遊技状態に遊技状態が移行可能となる。再遊技役に対応する表示結果が入賞ライン上に導出された場合には、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができる。
【0004】
BB2と呼ばれる特別役に当選した場合に、BB2の入賞を取りこぼしたときに導出され得る出目と、BB2当選時に当選することのないSB当選時にSBの入賞を取りこぼしたときに導出され得る出目とが共通の出目であるスロットマシンがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のスロットマシンにおいては、有利な状態への移行を伴うBBの当選を否定する出目が導出される割合を下げたものであって、有利な状態への移行を示唆しているときに、その有利な状態への移行を否定する事象が発生してしまう虞があり、そのような状況における制御に改良の余地があった。
【0007】
この発明はかかる事情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、有利な特別状態への移行を示唆しているときに、特別状態への移行が否定されるような状況になった場合であっても、遊技の興趣の低下を防止することのできるスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
遊技者にとって有利な特別状態(たとえば、ボーナス状態)に制御する特別状態手段(
たとえば、メイン制御部41)と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段が特定表示結果の導出を許容したことにもとづいて、遊技者にとって有利な特定決定を行うことが可能な特定決定手段と、
複数ゲームに亘って前記特別状態への移行が決定されているか否かを示唆する示唆制御(たとえば、BB示唆制御)を実行する示唆制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記特定表示結果が導出されたときに特定演出(たとえば、CZランプ57またはATランプ58を点灯させる)を実行可能な特定演出手段(たとえば、サブ制御部91)とを備え、
前記特別状態への移行が決定されている場合(たとえば、内部当選状態)に、
前記特定決定は行われず(たとえば、移行抽選は内部当選状態中は実行されない)、
前記特定演出手段は、前記示唆制御が行われていないことを条件に、前記特定演出を実行する(たとえば、
図10のステップS26でNOのときにステップS29を実行可能)。
【0009】
(2) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシン(たとえば、スロットマシン1)において、
遊技者にとって有利な特別状態(たとえば、ボーナス状態)に制御する特別状態手段(たとえば、メイン制御部41)と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段が特定表示結果の導出を許容したことにもとづいて、遊技者にとって有利な特定決定を行うことが可能な特定決定手段と、
複数ゲームに亘って前記特別状態への移行が決定されているか否かを示唆する示唆制御(たとえば、BB示唆制御)を実行する示唆制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記特定表示結果が導出されたときに特定演出(たとえば、当選示唆)を実行可能な特定演出手段(たとえば、CZランプ57またはATランプ58を点灯させる)とを備え、
前記特別状態への移行が決定されている場合(たとえば、内部当選状態)に、前記特定決定は行われず(たとえば、移行抽選は内部当選状態中は実行されない)、
前記特定演出手段は、前記示唆制御が行われているときは、前記示唆制御が行われていないときに比べて低い確率で前記特定演出を実行する(たとえば、[主な効果](4-1)のなお書き)。
【0010】
(3) 上記(1)または(2)に記載のスロットマシンにおいて、
前記示唆制御手段は、前記特別状態に移行するか否かを報知することで前記示唆制御を終える(たとえば、BB示唆制御は、BB当選しているか否かを報知することで終了する)。
【0011】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
前記特別状態とは異なる有利な特定状態(たとえば、有利区間)に移行することを決定する特定決定手段(たとえば、移行抽選を実行するメイン制御部41)と、
前記特定状態への移行が決定されたことを報知する特定報知手段(たとえば、特定報知を実行することで有利区間への移行を報知するメイン制御部41またはサブ制御部91)とをさらに備え、
前記特定結果は、前記特定状態への移行が決定されたことを含む。
【0012】
(5) 上記(4)に記載のスロットマシンにおいて、
前記示唆制御が行われていないときは、複数の報知手段を用いた第1態様により前記特定状態への移行が決定されたことが報知され(たとえば、BB示唆制御がされていないときに、有利区間への移行が決定した場合は、CZランプ57またはATランプ58および有利区間ランプ19を点灯させることで有利区間への移行が報知される)、
前記示唆制御が行われているときは、前記第1態様において用いられる前記複数の報知手段のうちの一部の報知手段を用いない第2態様により前記特定状態への移行が決定されたことが報知される(たとえば、BB示唆制御がされているときに、有利区間への移行が決定した場合は、有利区間ランプ19だけを点灯させて、有利区間への移行が報知される)。
【0013】
(6) 上記(1)~(5)のうちのいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、内部抽選を実行するメイン制御部41)と、
記事前決定手段が所定表示結果(たとえば、スイカリプ)の導出を許容したときに、該所定表示結果の導出を許容しなかった場合に比べて高い確率で、前記特別状態とは異なる有利な特定状態(たとえば、有利区間)に移行することを決定する特定決定手段(たとえば、移行抽選を実行するメイン制御部41)とをさらに備え、
前記特定結果は、前記所定表示結果の導出が許容されたこと(たとえば、スイカリプの当選)を含み、
前記特定演出は、前記所定表示結果の導出を予告する演出(たとえば、当選示唆)を含む。
【0014】
(7) 上記(1)~(6)のうちのいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、内部抽選を実行するメイン制御部41)をさらに備え、
前記事前決定手段は、前記特別状態への移行が決定されていない場合に特定表示結果の導出を許容する一方、該特別状態への移行が決定されている場合に該特定表示結果の導出を許容せず(たとえば、[変形例]欄の[特定結果について])、
前記特定結果は、前記特定表示結果が導出されたことを含む。
【0015】
(8) 上記(7)に記載のスロットマシンにおいて、
前記特定演出は、前記特定表示結果が導出されたことの報知を含む(たとえば、[変形例]欄の[特定結果について])。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、(b)は、スロットマシンの主な内部構成の一例を示す図である。
【
図3】特別役および小役を説明するための図である。
【
図5】抽選対象役により入賞が許容される役の組合せを説明するための図である。
【
図7】押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。
【
図12】入賞報知抽選で用いられる入賞報知テーブルを示す図である。
【
図13】チェリーリプ当選時の演出の一例を示す図である。
【
図14】BB示唆制御中に移行抽選に当選した場合の演出の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。
【0018】
[スロットマシンの構成]
図1(a)は、本実施形態に係るスロットマシン1の正面図であり、
図1(b)は、スロットマシン1の主な内部構成の一例を示す図である。
図2は、リールの図柄配列を示す図である。
【0019】
図1(a)に示すように、スロットマシン1は、前面扉1bに液晶表示器51が設けられている。前面扉1bにおける液晶表示器51の下方に位置する化粧パネル1cには、透視窓3が形成されている。遊技者は、この透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L,2C,2Rが視認可能である。
図2に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。
【0020】
また、
図1に図示していないものの、液晶表示器51の外周には、枠LED51b(
図14参照)が設けられている。また、リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rを背面から白色光で照射するリールLEDが設けられている。リールLEDは、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する9つのLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能である。
【0021】
図1(a)に示すように、前面扉1bには、遊技媒体(メダル)が投入されるメダル投入部4と、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6と、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7と、リールの回転をそれぞれ停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8Rなどが設けられている。
【0022】
MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、および精算スイッチ10が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がメイン制御部41に入力される。メイン制御部41は、これら各種スイッチからの検出信号に基づき、これら各種スイッチへの操作を検出する。
【0023】
前面扉1bには、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、メダルの払出枚数やストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応する情報などが表示される遊技補助表示器12、およびランプを点灯することで有利区間と呼ばれる有利な状態中である旨を示唆する有利区間ランプ19などが設けられている。遊技補助表示器12は、小役が入賞したときに払出されるメダルの枚数を表示するペイアウト表示器としても機能する。
【0024】
遊技補助表示器12は、押し順に対応する数字を7セグメント表示することで、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応する情報を表示する。有利区間ランプ19は、有利区間中であるときには点灯し、有利区間中でないときには消灯する。これにより、有利区間ランプ19は、有利区間中であるか否かを遊技者に示唆することができる。
【0025】
有利区間は、有利な状態としてチャンスゾーン(CZ)とアシストタイム(AT)とを含む。化粧パネル1cにおいて、透視窓3の下方には、CZランプ57と、ATランプ58とが設けられている。CZランプ57が点灯することでCZへの制御中である旨が示唆され、ATランプ58が点灯することでATへの制御中である旨が示唆される。
【0026】
非CZ中においては、CZランプ57は消灯しているため、「CZ」の文字が浮かび上がらない。一方、CZ中においては、CZランプ57は点灯しているため、「CZ」の文字が浮かび上がる。このため、遊技者は、CZランプ57が点灯することで浮かび上がった「CZ」の文字を認識すれば、現在の状態がCZ中であることを認識することができる。
【0027】
非AT中においては、ATランプ58は消灯しているため、「AT」の文字が浮かび上がらない。一方、AT中においては、ATランプ58は点灯しているため、「AT」の文字が浮かび上がる。このため、遊技者は、ATランプ58が点灯することで浮かび上がった「AT」の文字を認識すれば、現在の状態がAT中であることを認識することができる。
【0028】
図1(b)に示すように、スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御する(遊技を制御するともいえる)とともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力するメイン制御部41が設けられている。メイン制御部41は、各種処理を実行するメインCPU41aと、各種データを記憶するRAM41cなどを備える。
【0029】
メイン制御部41は、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、またはストップスイッチ8L,8C,8Rなどに対する操作を検出する。メイン制御部41は、遊技用表示部13に含まれる遊技補助表示器12の7セグメント表示、および有利区間ランプ19の点灯または消灯を制御する。
【0030】
スロットマシン1の内部には、メイン制御部41からのコマンドに応じて演出を制御するサブ制御部91が設けられている。サブ制御部91は、各種処理を実行するメインCPU91aと、各種データを記憶するRAM91cなどを備える。サブ制御部91は、演出用スイッチ56に対する操作を検出する。サブ制御部91は、液晶表示器51の画像表示、スピーカ53,54の音出力、ならびにCZランプ57、ATランプ58、枠LED51bおよびリールLEDの点灯または消灯を制御する。
【0031】
なお、
図1(b)は、あくまで一例であり、スロットマシン1の内部にはその他の構成も設けられている。
【0032】
[スロットマシンにおけるゲームの概要]
次に、スロットマシン1におけるゲームの概要を説明する。ここで、本実施形態ではリール2L,2C,2Rを回転させるためにスタートスイッチ7を操作することをレバーオンともいう。また、スタートスイッチ7の操作によってリール2L,2C,2Rが回転している場合において、ストップスイッチ8L,8C,8Rのうち、第1の操作(最初の操作)によって第1のリールを停止させることを第1停止操作、第2の操作(2番目の操作)によって第2のリールを停止させることを第2停止操作、第3の操作(最後の操作)によって第3のリールを停止させることを第3停止操作あるいは最終停止操作ともいう。
【0033】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6の操作などにより規定数の賭数(本実施の形態においては、最大3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1~LM4(
図1参照)が設けられている。無効ラインLM1~LM4は、入賞判定されるラインではなく、入賞ラインLNに特定の入賞図柄の組合せ(いわゆるばらけ目)が揃った際に、無効ラインLM1~LM4のいずれかに所定の図柄の組合せ(たとえば、ベル-ベル-ベル)を揃えることで、入賞ラインLNに特定の入賞を構成する図柄の組合せが揃ったことを認識しやすくするものである。
【0034】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、メイン制御部41は、導出を許容する表示結果を決定する。また、スタートスイッチ7が操作されると、メイン制御部41は、リール2L,2C,2Rを回転させて図柄を変動表示させる。ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、メイン制御部41は、対応するリールの回転を停止する。リールの回転が停止することで、透視窓3の上中下段に3つの図柄が表示結果として導出表示される。メイン制御部41は、導出を許容した表示結果、ならびに、遊技者の導出操作である、ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作したタイミングと、ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作した順序とに基づいてリール2L,2C,2Rの回転を停止するためのリール制御を行う。ここで、遊技者の導出操作とは、リール2L,2C,2Rを停止させて表示結果を導出させるために、遊技者がストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することである。
【0035】
入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、メイン制御部41は、入賞に応じた処理を実行する。入賞に応じた処理には、たとえば、特典を付与する処理が含まれる。ここで、遊技機であるスロットマシン1においては、1ゲームを実行するために規定数の賭数を設定する必要があるため、1ゲーム行う度に遊技用価値であるメダルが消費される。特典には、遊技用価値の付与、遊技用価値を消費することなくゲームを実行するための権利、ボーナスなどの有利な状態に制御するための権利などが含まれる。
【0036】
ここで、スロットマシン1における“ゲーム(単位遊技ともいう。)”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてから全てのリールが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、全てのリールの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
【0037】
[入賞役]
入賞役には、特別役、小役、および再遊技役が含まれる。特別役は小役に当選する確率が高いボーナス状態への移行を伴う役である。小役は、メダルを付与する役である。再遊技役(リプレイ)は、再遊技を付与する役である。ここで、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値(たとえば、クレジット)を用いることなく次の遊技を行うことが可能であることをいう。換言すると、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値を用いることなくリールが変動可能となることであることをいう。本実施の形態では、再遊技役が当選すると、ストップスイッチの操作タイミングに関わらず入賞する。なお変形例として、再遊技役は、当選したとしても、ストップスイッチの操作タイミングによっては、入賞しない役(つまり、取りこぼしのある役)であってもよい。
【0038】
図3および
図4を参照して、入賞役を説明する。
図3は、特別役および小役を説明するための図である。
図4は、再遊技役を説明するための図である。
図3および
図4の名称欄には、入賞役の名称が示され、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄組合せが示されている。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインLM1~LM4のうちのいずれかのラインに停止する図柄組合せであって遊技者が認識しやすい図柄組合せが示されており、図中の「/」は、「または」を意味する。付与欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与など)が示されている。
【0039】
図3に示すように、入賞役のうち特別役にはBBが含まれる。BBは、ボーナス(たとえば、ビッグボーナス)という有利な状態への移行を伴う入賞役であって、特別役である。メイン制御部41は、BBを構成する表示結果の組合わせが導出されたときに次ゲームから終了条件が成立するまで、ボーナスという有利な状態に制御する。BBの付与欄には、入賞により移行されるボーナスの終了条件が示されている。ボーナスは、予め定められたメダル枚数以上払出されることにより終了する。具体的には、BBに当選・入賞して制御されるボーナスについては、当該ボーナス中に払い出されたメダル枚数が351枚以上となったときに終了する。
【0040】
図3に示すように、入賞役のうちの小役には、中段チェリー、右上がりチェリー、下段チェリー、中段スイカ、上段スイカ、中段ベル、右上がりベル、上段ベル1~8(以下、総じて「上段ベル」とも称す。)、および1枚役が含まれる。各小役は、それぞれ図柄組合せが設定されている。
【0041】
ここで、右上がりベルは、操作タイミングに関わらず導出可能な入賞役である。一方、上段ベル1~8のそれぞれを構成する中リール2Cの「白BAR]や「黒BAR」は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。また、上段ベル1~8のそれぞれを構成する右リール2Rの「白BAR]や「黒BAR」は、右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていない。このため、上段ベル1~8が後述する内部抽選で当選しても、中リール2Cや右リール2Rの停止操作を適正なタイミングで行わなければ、当選している上段ベル1~8を入賞させることができず、上段ベル1~8の入賞を取りこぼすことになる。なお、このときに導出される取りこぼし目は、遊技状態を移行させる図柄組合せであって、移行出目(
図8参照)ともいう。各小役に対応する図柄組合せが導出されると、小役の入賞が発生し、予め決められた枚数分のメダルが払い出される。
【0042】
図4に示すように、入賞役のうちの再遊技役には、通常リプレイ、転落リプレイ、昇格リプレイ、特殊リプレイ、チェリーリプレイ、スイカリプレイ、BARリプレイ、および制御用リプレイ1,2が含まれる。
図4に示す再遊技役は、すべて、操作タイミングに関わらず導出可能な入賞役である。
【0043】
[抽選対象役]
次に、
図5および
図6を参照して、抽選対象役について説明する。
図5は、抽選対象役により入賞が許容される役の組合せを説明するための図である。
図6は、抽選対象役を説明するための図である。抽選対象役は、スロットマシン1が実行する内部抽選の対象となる役である。内部抽選は、メイン制御部41によって実行され、導出を許容する図柄組合せ(入賞役)を決定する処理である。なお、内部抽選によって図柄組合せの導出が許容されたことを当選ともいう。
【0044】
図5の抽選対象役欄には抽選対象役の名称を、組合わせ欄には抽選対象役に当選したときに導出が許容される入賞役の組合わせを示す。
図5に示すように、内部抽選においては、一の抽選対象役に当選することで、複数の入賞役に同時に当選し得る。たとえば、チェリーリプ1に当選した場合は、チェリーリプレイおよびBARリプレイの入賞が許容される。換言すると、内部抽選でチェリーリプ1に当選したときには、チェリーリプレイおよびBARリプレイに同時当選したことになる。
【0045】
図6の抽選対象役欄には抽選対象役の名称が示され、遊技状態欄にはRTの種類ごとに丸印で抽選対象となる抽選対象役が示され、設定差欄には丸印で設定差の有無が示され、有利区間移行欄には丸印で有利区間当選の有無が示されている。各RTは互いに、抽選対象役のうちの少なくとも一の抽選対象役の抽選確率が異なる。
【0046】
図6の抽選対象役欄中の「+」は、同時当選することを意味する。たとえば、「BB+中段チェリー」とは、抽選対象役であるBBと抽選対象役である中段チェリーとが同時当選していることを意味する。
【0047】
設定差の有無とは、設定値と呼ばれる遊技者にとっての有利度を示す値に応じて当選確率の変化があるか否かを意味する。設定差「あり」の欄に丸印が付されている抽選対象役は、設定値に応じて当選確率が変化する抽選対象役である。
【0048】
有利区間当選の有無とは、通常区間から通常区間よりも有利な有利区間に移行を決定する移行抽選に当選するか否かを意味する。なお、移行抽選に当選したことを有利区間当選ともいう。有利区間当選「あり」の欄に丸印が付されている抽選対象役に当選すると、移行抽選が行われ、当該移行抽選に当選した場合は、次ゲームから有利区間に制御(移行)される。なお、移行抽選の実行契機となる抽選対象役を移行対象役ともいう。本実施の形態における移行対象役は、強チェリー、弱チェリー、強スイカ、弱スイカ、1枚役、チェリーリプ1~3およびスイカリプである。移行対象役のうちスイカリプは他の移行対象役に比べて移行抽選に当選する確率が高い移行対象役である。
【0049】
図6に示すように、設定差なしのカテゴリの役は移行対象役になり得るが、設定差ありのカテゴリの役は移行対象役にならない。たとえば、強チェリーおよび弱チェリーは、設定差なしのカテゴリの役であり、移行対象役に定められている。一方、BBおよびBB+中段チェリーは、設定差ありのカテゴリの役であり、移行対象役に定められていない。その他の設定差のある役についても同様に、移行対象役に定められていない。
【0050】
また、移行抽選の当選確率は、設定値に応じて変化しない。移行対象役に設定差がなく、移行抽選の当選確率も設定値に応じて変化しないため、設定値に関わらず、有利区間に移行する確率は等しい。
【0051】
また、RT0~RT3において、移行抽選の当選確率は変わらない。具体的には、RT0~RT3において、移行対象役に当選する確率は同一であって、かつ、各移行対象役に当選したときの移行抽選の当選確率もRT0~RT3において等しい。たとえば、強チェリーに当選する確率がRT0~3においては1%と等しく、かつ、強チェリーに当選したときに移行抽選に当選する確率もRT0~RT3においては60%と等しい。
【0052】
メイン制御部41は、スタートスイッチ7が有効に操作されたことに応じて、内部抽選を実行する。メイン制御部41は、遊技状態に応じた抽選確率で内部抽選を実行する。たとえば、メイン制御部41は、RT0に制御しているときは、BB、BB+中段チェリー、中段チェリー、強チェリー、弱チェリー、強スイカ、弱スイカ、1枚役、チェリーリプ1~3、スイカリプ、BARリプ、ベル、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4、および通常リプを抽選対象役として内部抽選を実行する。
【0053】
メイン制御部41は、内部抽選において当選した抽選対象役に応じて入賞の発生を許容する入賞役について当選フラグを設定する。たとえば、BB+中段チェリーに当選した場合は、BBおよび中段チェリーのそれぞれに対して当選フラグが設定される。設定された当選フラグのうちBBに係る当選フラグは、BBが入賞するまで持ち越される、一方、他の役に係る当選フラグは入賞したか否かに関わらず持ち越されない。
【0054】
図6中の遊技状態欄に記載された「内部」とは内部当選状態を意味し、BBに係る当選フラグを持ち越した状態を意味する。つまり、メイン制御部41は、内部中、BBに係る当選フラグを設定したまま、内部抽選において当選した役に係る当選フラグについても設定する。一方、メイン制御部41は、RT0~RT3においては、内部抽選の結果のみを設定する。
つまり、内部中と、RT1~RT3中とでは、入賞を許容する役の決定の仕方が異なる。なお、内部中の入賞を許容する役の決定を内部中決定ともいい、RT0~3中の入賞を許容する役の決定を通常決定ともいう。
【0055】
RT0~RT3中に当選し得る抽選対象役に「BB+中段チェリー」が含まれ、この抽選対象役に当選した場合に、「BB」および「中段チェリー」のそれぞれに対して当選フラグが設定される。また、内部中に「中段チェリー」に当選した場合は、「BB」および「中段チェリー」のそれぞれに対して当選フラグが設定される。つまり、通常決定の結果と、内部中決定の結果とで、共通する結果が含まれる。
【0056】
また、内部中は、小役または再遊技役とBBとが同時当選している場合とBBに単独で当選しているときとを比較すると、BBに単独当選している場合の方がBBを入賞しやすい。BBと他の抽選対象役が同時当選している場合は、他の抽選対象役が優先して入賞するようにリール制御が行われる。その結果、操作態様に関わらず入賞する役に当選している場合には、BBは入賞しない。一方、操作態様によっては入賞しない役に当選している場合には、当該役を入賞させることのできない態様でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作され、かつ、BBを入賞させることが可能な態様でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合にはBBを入賞させることができる。
【0057】
[設定値]
設定値とは、遊技者にとっての有利度を示す値である。具体的に、本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率(賭数設定に用いられたメダルの総数と、入賞によって払い出されたメダルの総数との比率)が変わる。詳しくは、内部抽選などにおいて設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わる。設定値は1~6の6段階からなり、たとえば、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち払出率の点からでは、設定値として6が設定されているときが遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。設定値に応じて当選確率が変化することを設定差あり、設定値に応じて当選確率が変化しないことを設定差なしともいう。
【0058】
設定値を変更するためには、スロットマシン1の内部に設けられた図示しない操作部を管理者が特定操作し、設定値を変更可能な設定変更状態に移行させればよい。また、設定値を確認するためには、操作部を管理者が所定操作し、設定値を確認可能な設定確認状態に移行させればよい。
【0059】
[複数の入賞役が同時当選したときのリール制御]
図7および
図8を参照して、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明する。
図7は、押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。
図8は、移行出目の図柄組合せを説明するための図である。
【0060】
図7に示すように、当選役欄には、当選した抽選対象役を示す。押し順欄には、ストップスイッチを操作する順番を示す。たとえば、「左第1停止」とは、左ストップスイッチ8Lを最初に操作し、それ以降の操作手順は問わないことを意味する。停止する図柄組合せ欄には、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに発生する入賞役を示す。
【0061】
図7に示すように、押し順に応じて導出される表示結果が異なる役(押し順役)には、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4、昇格リプ1~3、維持転リプ1~3、およびチェリーリプ1~3が含まれる。
【0062】
たとえば、左ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止であるときは、右下がりベルが入賞するように右下がりベルを構成する図柄組合せが導出される。左ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルが入賞するように上段ベルを構成する図柄組合せが導出されるか、あるいは
図5に示す移行出目が導出される。移行出目は、上段ベルの入賞を取りこぼした場合に導出される取りこぼし目(表示結果の組合わせ)であって、いずれの入賞も発生しない図柄組合せである。移行出目は、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合にのみ導出が許容される出目(表示結果の組合わせ)である。
【0063】
そのため、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のような押し順ベルに当選した場合に、右上がりベルを導出するための操作手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合は、操作タイミングに関わらずメダルの払出しが発生する右上がりベルを入賞させることができる。一方、右上がりベルを導出するための操作手順とは異なる操作手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合には、操作タイミングによってはメダルの払出しが発生しない移行出目が導出される。
【0064】
なお、スロットマシン1が内部抽選においていずれの抽選対象役にも当選しなかった場合には、いずれの入賞も発生しない図柄組合せであって、移行出目とは異なる出目が導出される。ここで、スロットマシン1が内部抽選において抽選対象役にも当選しなかったことを、内部抽選にハズレたともいう。
【0065】
また、昇格リプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止であるときは、昇格リプレイが導出される。一方、昇格リプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止以外であるときには、通常リプレイが導出される。また、チェリーリプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止であるときには、BARリプレイが導出される。一方、チェリーリプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止以外であるときには、チェリーリプレイが導出される。
【0066】
なお、押し順としては、「左第1停止」、「中第1停止」、「右第1停止」に限るものではなく、「右ストップスイッチ8R、左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C」の順で操作することなどを含んでもよい。
【0067】
押し順役のうち、チェリーリプ1~3は、操作順序または操作タイミングによって遊技者にとって有利・不利が生じない役である。具体的には、BARリプレイが導出された場合も、チェリーリプレイが導出された場合も、いずれの入賞役が発生した場合もリプレイゲームが付与される点で付与される特典が共通する。また、いずれの入賞役が発生した場合であっても、遊技状態は変化しない(
図9参照)。また、移行抽選はチェリーリプ1~3が当選したときに実行されるため、入賞役の発生とは無関係に通常区間から有利区間への移行が行われる。
【0068】
一方、押し順役のうち、チェリーリプ1~3以外の役は、操作順序または操作タイミングによって遊技者にとって有利・不利が生じ得る役である。たとえば、押し順ベルに当選した場合に、右下がりベルを導出することが可能な押し順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合、右下がりベルは操作タイミングに関わらず入賞可能な役であるため、右下がりベルが導出される。一方、右下がりベルを導出することが可能な押し順とは異なる押し順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合、上段ベルまたは移行出目が導出される。移行出目が導出された場合、メダルの払出しが無く、かつ、遊技状態の移行が生じる(
図9参照)。
【0069】
つまり、右下がりベルを構成する表示結果と移行出目とを比較すると、右下がりベルを構成する表示結果の方が遊技者にとって有利な表示結果であって、右下がりベルを導出することが可能な押し順が遊技者にとって有利な操作手順である。以下、遊技者にとって有利な操作手順を正解手順ともいう。また、AT中に、押し順役のうち、操作順序または操作タイミングによって遊技者にとって有利・不利が生じ得る役に当選した場合、正解手順が報知され、このような押し順役をナビ対象役ともいう。
【0070】
[遊技状態]
図9は、遊技状態の遷移を説明するための図である。
図9に示すように、スロットマシン1では、制御可能な遊技状態として、RT0、RT1、RT2、RT3、内部中、およびボーナスが設けられている。RT2およびRT3は、RT0、RT1、および内部中よりもリプレイの当選確率が高い遊技状態である。なお、小役および特別役の当選確率は、RT0~4で変わらないものとする。
【0071】
設定変更された後には、まずRT0に制御される。RT0においては、押し順ベルが当選したときに右下がりベルまたは上段ベルの入賞を取りこぼすと移行出目が導出され、当該移行出目の導出を条件に、RT1に遊技状態が移行する。
【0072】
RT1においては、昇格リプレイが入賞すると、RT2に遊技状態が移行する。一方、RT2においては、特殊リプレイが入賞すると、RT3に遊技状態が移行する。RT2においては、転落リプレイの入賞または移行出目の導出を条件にRT1に移行する。RT3においては、移行出目の導出を条件にRT1に移行する。
【0073】
RT0~3のいずれにおいても、BB当選して、BB入賞するとボーナスに制御される。また、BB当選したゲームでBB入賞しなかった場合には、BB入賞するまで、BBの入賞が次ゲーム以降に持ち越される内部当選状態(図中の「内部中」)に制御される。内部当選状態へは、たとえば、「BB+中段チェリー」に当選した場合に、BBではなく中段チェリーを導出可能な操作態様でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときや、BBに単独で当選した場合にBBを導出可能な操作態様以外でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに制御される。
【0074】
遊技者は、RT0~4のうち、RT0およびRT1よりも有利なRT2またはRT3に出来る限り滞在したいと考える。そのため、遊技者は、出来る限り移行出目、転落リプレイを導出させることなく、昇格リプレイまたは特殊リプレイを導出させたいと考える。しかし、移行出目、転落リプレイは、押し順や操作タイミングによって導出される虞があり、昇格リプレイまたは特殊リプレイも、これらの役に対応する押し順で操作しなければ導出されない(
図7参照)。つまり、現状の有利な遊技状態に留まることができるか、より有利な状態へ移行できるか、あるいは不利な遊技状態へ転落するかが、ストップスイッチ8L、8C、8Rの押し順によって決まる。
【0075】
[遊技区間]
本実施の形態に係るスロットマシン1は、遊技者にとって有利となる押し順(正解手順)を報知する機能を備えている。そのような報知を実行可能な期間を有利区間という。以下、有利区間を含む遊技区間について、詳細に説明する。
【0076】
メイン制御部41は、遊技状態(RT状態)とは異なる状態の概念として、複数種類の遊技区間に制御する。遊技区間には、通常区間および有利区間が含まれる。なお、有利区間に移行する権利を備えているものの、有利区間への移行を待機している待機区間を備えてもよい。
【0077】
通常区間は、ナビ情報(正解手順)を報知不可能な区間である。有利区間は、ナビ情報を報知可能な区間であり、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を遊技者に指示する指示機能に係る性能を持つ区間である。以下では、ナビ情報を報知することをナビ報知ともいう。有利区間においては、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ報知が少なくとも1回実行される。具体的には、
図7に示す押し順ベルに当選したときに、正解手順(有利操作態様)を報知するナビ報知が実行される。有利区間は、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ報知が少なくとも1回実行される点で、通常区間よりも遊技者にとって有利な区間(状態)である。
【0078】
メイン制御部41は、設定変更後に、まずは通常区間に制御し、有利区間への移行が決定されたことに基づいて有利区間に制御する。メイン制御部41は、所定の条件が成立したときに有利区間への移行を決定する。本実施の形態においては、メイン制御部41は、通常区間中であってRT0~3のうちのいずれかの遊技状態に制御されているときに移行対象役に当選したときに、通常区間から有利区間へ移行するか否かを決定する移行抽選を実行する。一方、内部当選状態中およびボーナス中は移行抽選を実行しない。つまり、メイン制御部41は、通常決定の結果に基づいて、通常区間から有利区間へ移行するか否かを決定するのに対して、内部中決定の結果に基づいては通常区間から有利区間へ移行するか否かの決定は行わない。換言すると、RT0~3中に行われる内部抽選により、導出を許容する表示結果が決定されていることを条件に、移行抽選が実行される。また、移行抽選は、内部抽選により、移行対象役の導出が許容されたときに、移行抽選が行われて有利区間に移行することが決定され得る。
【0079】
本実施の形態において、有利区間には、CZおよびATが含まれる。CZおよびATを有利状態ともいう。移行抽選では、有利区間に移行するか否か、および、CZおよびATのうち、いずれの状態に移行するかが決定される。
【0080】
CZは、通常区間よりもATへの制御に関する有利度合いが高い状態である。ATへの制御に関する有利度合いが高いとは、通常区間よりもATへの移行が決定されやすいこと、およびATに制御するための権利であるATゲームが通常区間よりも多く付与されることなどが挙げられる。
【0081】
ATは、CZよりも有利度合いが高い状態である。たとえば、ATでは、CZよりもナビ報知が実行され得る期間が長く保障されている。あるいは、ATでは、CZよりもナビ報知が実行され得る回数が多く保障されている。このように、ATは、CZよりもナビ報知の実行期間が長く保障されているため、たとえば、押し順ベル当選時に主役(純増枚数を増加させる役)を入賞させるゲームを増やすことができ、CZよりも有利度合いが高くなる。
【0082】
有利区間中において、メイン制御部41は、遊技補助表示器12を用いて、内部抽選処理において当選したナビ対象役(AT中に正解手順を報知する対象となる役)に応じた正解手順を特定可能なナビ情報を報知するための処理を実行する。
【0083】
本実施の形態におけるナビ対象役は、押し順ベル(左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4)、昇格リプ1~3、維持転リプ1~3、および特殊リプ1~3である。また、正解手順は、押し順ベルに当選した場合は右上がりベルを導出するための操作態様であり、昇格リプ1~3に当選した場合は昇格リプレイを導出するための操作態様であり、維持転リプ1~3に当選した場合は通常リプレイを導出するための操作態様であり、特殊リプ1~3に当選した場合は特殊リプレイを導出するための操作態様である。なお、チェリーリプ1~3は、BARリプレイが導出された場合も、チェリーリプレイが導出された場合も、遊技者にとっての有利度の差がなく、ナビ対象役ではない。
【0084】
[移行示唆制御]
スロットマシン1、有利区間に移行することを示唆する移行示唆制御を実行する。移行示唆制御は、(1)有利区間に移行したことを報知する特定報知、(2)移行対象役に当選したことを示唆する当選示唆、および(3)移行対象役に入賞したことを報知する入賞報知の実行を含む。メイン制御部41およびサブ制御部91のいずれも特定報知を実行する。当選示唆演出および入賞報知演出はサブ制御部91が実行する。
【0085】
(特定報知)
メイン制御部41は、移行抽選に当選したゲームにおいて行われる第3停止操作以降であって、次ゲームが開始されるまでに有利区間ランプ19を点灯させることで、特定報知を行う。
【0086】
一方、サブ制御部91は、CZランプ57またはATランプ58を点灯させることで特定報知を行う。ATおよびCZは有利区間に含まれるため、遊技者は、CZランプ57およびATランプ58のうちのいずれかが点灯していることで、有利区間に制御されていることを認識することができる。
【0087】
図1に示すように、有利区間ランプ19とCZランプ57およびATランプ58とを比較すると、CZランプ57およびATランプ58の方が有利区間ランプ19よりも点灯面積が広い。そのため、CZランプ57およびATランプ58の方が有利区間ランプ19よりも目につきやすく、目立つ。つまり、サブ制御部91が実行する特定報知の方が、メイン制御部41が実行する特定報知に比べて目立つ態様で実行される。
【0088】
メイン制御部41は、移行抽選に当選した場合に、ATおよびCZのうちのいずれの状態に制御されるかを特定可能なコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、メイン制御部41から送られたコマンドに基づいて有利区間への移行が決定されたか否か、および、ATおよびCZのうちのいずれの状態に移行するかを特定することができる。サブ制御部91は、有利区間への移行が決定されたことを特定した場合に、実行中の演出に応じて、特定報知を実行するか否かを決定する。
【0089】
メイン制御部41は、有利区間への移行が決定されたゲームから次ゲームが開始されるまでに特定報知を必ず実行するのに対して、サブ制御部91は、実行中の演出によっては特定報知を実行しない場合がある。具体的に、サブ制御部91は、ボーナスに当選していることを示唆するBB示唆制御を実施している場合は、BB示唆制御を実行して、ボーナスに当選していないことを報知した後に特定報知を実行する。一方、BB示唆制御を実行していない場合は、メイン制御部41と同じタイミングで特定報知を実行する。
【0090】
言い換えると、BB示唆制御が行われていない場合は、CZランプ57またはATランプ58および有利区間ランプ19が点灯することで有利区間への移行が報知される。一方、BB示唆制御が行われている場合は、有利区間ランプ19のみが点灯して有利区間への移行が報知される。
【0091】
(当選示唆)
サブ制御部91は、入賞の発生が許容された入賞役を示唆する当選示唆を実行する。サブ制御部91は、枠LED51bを当選役の種類に対応する色で点灯させることで当選した役の種類を示唆する当選示唆を実行する。たとえば、サブ制御部91は、強チェリー、弱チェリー、およびチェリーリプ1~3のうちのいずれかに当選したことを示唆する場合に、枠LED51bを「赤色」に点灯させる。また、サブ制御部91は、強スイカ、弱スイカ、およびスイカリプのうちのいずれかに当選したことを示唆する場合に、枠LED51bを「緑色」に点灯させる。また、移行抽選に当選した場合、サブ制御部91は、枠LED51bを「虹色」に点灯させる。また、1枚役に当選したこと、あるいは、小役または再遊技役に当選したことを示唆する場合に、サブ制御部91は、枠LED51bを「白色」に点灯させる。
【0092】
強チェリー、弱チェリー、チェリーリプ1~3、強スイカ、弱スイカ、スイカリプ、および1枚役は、移行対象役である。そのため、枠LED51bが点灯することで、移行抽選が実行されて有利区間当選したかもしれないことへの期待感を遊技者に与えることができ、遊技の興趣が向上する。
【0093】
メイン制御部41は、スタートスイッチ7が操作されたことに応じて内部抽選を実行し、内部抽選の結果に応じて移行抽選を実行した後、抽選結果を示すコマンドをサブ制御部91に送る。サブ制御部91は、抽選結果を示すコマンドに基づいて、当選結果を特定し、特定した当選結果に基づいて当選示唆の実行の有無および実行態様を決定した後、実行する。
【0094】
サブ制御部91は、実行中の演出および、遊技状態に応じて当選示唆の実行の有無および実行態様を決定する。具体的には、BB示唆制御中であるか否か、内部中であるか否かに応じて当選示唆の実行の有無および実行態様を決定する(
図11参照)。BB示唆制御中は、BB示唆制御中ではないときに比べて、当選示唆の実行確率は低い。また、BB示唆制御が終了し、BBに当選していることが報知された後は、当選役に関わらず、小役または再遊技役に当選した場合は共通の態様で当選示唆が実行される。
【0095】
当選示唆演出の実行タイミングは、スタートスイッチ7が操作されてから、第3停止操作が行われるまでの間のいずれかのタイミングである。好ましくは、ストップスイッチ8L,8C,8Rへの操作が有効化されるまでに当選示唆は実行される。また、サブ制御部91は、枠LED51bの点灯を継続して実行してもよく、また、遊技者が点灯を認識することが出来る程度の短時間、点灯させた後、消灯させてもよい。
【0096】
なお、サブ制御部91は、液晶表示器51を用いて当選した抽選対象役に応じた演出を実行してもよい。たとえば、サブ制御部91は、宝箱の画像を液晶表示器51に表示し、第3停止操作がされて、入賞した役が確定したタイミングで、宝箱の中から、入賞した役に対応する画像(たとえば、チェリーの画像)を表示させてもよい。なお、本実施の形態において、液晶表示器51を用いた当選示唆は、RT0~3のうちのいずれかに制御されており、BB示唆制御が実行されていないタイミングで行われる。
【0097】
(入賞報知演出)
サブ制御部91は、移行対象役に入賞したことを報知する入賞報知を実行する。具体的には、移行対象役に入賞した場合に、リールLEDを点灯させることで、入賞報知を実行する。
【0098】
このように、リールLEDが点灯することで、導出された図柄組合せが強調され、移行対象役に当選し、入賞したことが強調される。これにより、遊技者は、有利区間への移行が確定したかもしれないことを認識することができる。
【0099】
本実施の形態において、入賞報知は、RT0~3のうちのいずれかに制御されており、BB示唆制御が実行されていないタイミングで行われる。
【0100】
[BB示唆制御]
サブ制御部91は、BBに当選したことを示唆するBB示唆制御を実行可能である。BB示唆制御は、複数ゲームに亘って実行され、BB当選しているか否かを報知することで終了する。具体的に、サブ制御部91はBB示唆制御として、複数ゲームに亘って、液晶表示器51に味方キャラクタと敵キャラクタとが対戦している様子を表示する、バトル演出を実行する。そして、BBに当選している場合は、バトル演出の結果として味方キャラクタが勝利している様子と、ボーナスに当選していることを特定可能な表示とを液晶表示器51に表示する。一方、BBに当選していない場合は、バトル演出の結果として味方キャラクタが敗北している様子と、ボーナスに当選していないことを特定可能な表示とを液晶表示器51に表示する。なお、BB示唆制御は、BB当選しているか否かを報知することで終了するとしたが、終了時にBB当選しているか否かの報知を実行しないものであってもよい。
【0101】
BB示唆制御は、BBと同時当選する中段チェリーに当選したとき、あるいは、BBに当選したときに行われる。具体的に、「BB」、「BB+中段チェリー」、または「中段チェリー」に当選したときに、BB示唆制御が行われる。メイン制御部41は、内部抽選の結果に応じたコマンドを送信可能である。サブ制御部91は、送られた内部抽選の結果に基づいて、BB示唆制御の実行を決定する。RT0~RT3中にBBと同時当選し得る役に当選し、入賞した場合、遊技者はBBに同時当選していることに対する期待感を抱き、BBと同時当選している抽選対象役に入賞してから、複数ゲームに亘ってBB示唆制御が実行されることで、BBに同時当選していることに対する期待感を持続させることができる。
【0102】
また、サブ制御部91は、BB示唆制御として、BARリプレイを導出するための操作手順を報知する制御を行う。具体的には、チェリーリプ1~3のうちのいずれかに当選した場合に、BARリプレイを導出するための操作手順を特定可能な情報を液晶表示器51に表示する。
【0103】
なお、本実施の形態において、BB示唆制御はバトル演出の実行としたが、たとえば、BB示唆制御は、特定の入賞役に入賞する確率を上げる制御であってもよい。このように、特定の入賞役に入賞する確率(入賞頻度)が上がることで、遊技者は、BBに当選していることを推測することができる。特定の入賞役に入賞する確率を上げる方法としては、(1)当選確率を上げること、具体的には、内部当選状態中は、他の遊技状態に比べて特定の抽選対象役に当選する確率が高くなるような制御を実行すること、(2)特定の入賞役を入賞するための操作態様を報知することが挙げられる。
【0104】
[BB示唆制御と移行示唆制御]
前述のように、メイン制御部41は、RT1~3に制御しているときに行う通常決定の結果に基づいて、通常区間から有利区間へ移行するか否かを決定するのに対して、内部中に行う内部中決定の結果に基づいては通常区間から有利区間へ移行するか否かの決定は行わない。
【0105】
そのため、RT1~3中に移行対象役に当選または入賞した場合は有利区間に移行することへの期待感を遊技者に与えることができるが、内部中に移行対象役に当選または入賞しても、遊技者は移行対象役の利益を受けることができず、むしろ、移行対象役に当選したことについて遊技者に対して残念に感じさせてしまう虞がある。
【0106】
また、内部中は有利区間に移行することがないため、BB示唆制御中に有利区間への移行が確定し、遊技者が有利区間への移行を認識した場合、遊技者は実行されているBB示唆制御は所謂ガセであることも認識することになる。そのため、BB示唆制御中に移行制御が行われると、遊技者は、実行中のBB示唆制御はガセであるかもしれないと感じ、遊技への面白みが削がれてしまう虞がある。特に、BB示唆制御を複数ゲームに亘って実行することで、複数ゲームに亘ってBB当選に対する期待度を持続させているにも関わらず、BB示唆制御の途中で有利区間への移行を遊技者が認識してしまった場合、認識したタイミング以降のBB示唆制御に対する面白みが削がれてしまう。そのため、BB示唆制御と移行示唆制御との実行タイミングを調整する必要がある。
【0107】
[演出実行処理]
図10を参照して、サブ制御部91が実行する演出実行処理を説明する。
図10は演出実行処理のフローチャートである。サブ制御部91は、演出実行処理を実行することで、移行示唆制御を、BB示唆制御の実行および遊技状態に応じて実行する。
【0108】
ステップS20において、サブ制御部91は、当選コマンドを受信したか否かを判断する。サブ制御部91は、当選コマンドを受信するまで処理を待機する。当選コマンドは、メイン制御部41から送られる、内部抽選結果と、移行抽選結果とを示すコマンドである。
【0109】
ステップS21において、サブ制御部91は当選示唆抽選を実行する。当選示唆抽選は、当選示唆の実行と、態様とを決定するための抽選である。当選示唆の実行の有無、および実行態様は、遊技状態およびBB示唆制御中であるか否かに応じて決定される。
【0110】
ステップS22において、サブ制御部91は、当選示唆を実行する。なお、ステップS21において、実行しない旨を決定した場合は、当選示唆は実行しない。
【0111】
ステップS23において、サブ制御部91は、入賞コマンドを受信したか否かを判断する。サブ制御部91は、入賞コマンドを受信するまで処理を待機する。入賞コマンドは、メイン制御部41から送られる、入賞結果を示すコマンドである。
【0112】
ステップS24において、サブ制御部91は、入賞報知抽選を実行する。入賞報知抽選は、入賞報知の実行を決定するための抽選である。入賞報知の実行は、遊技状態およびBB示唆制御中であるか否かに応じて決定される。
【0113】
ステップS25において、サブ制御部91は、入賞報知を実行する。なお、ステップS24において、実行しない旨を決定した場合は、入賞報知は実行しない。
【0114】
ステップS26において、サブ制御部91は、BB示唆制御中であるか否かを判断する。BB示唆制御中である場合(ステップS26においてYES)、サブ制御部91は、処理を終了する。
【0115】
BB示唆制御中ではない場合(ステップS26においてNO)、サブ制御部91は、処理をステップS27に切り替える。
【0116】
ステップS27において、サブ制御部91は、CZランプ57またはATランプ58が点灯しているか否かを判断する。CZランプ57またはATランプ58が点灯している場合(ステップS27においてYES)、サブ制御部91は、処理を終了する。
【0117】
CZランプ57またはATランプ58のいずれも点灯していない場合(ステップS27においてNO)、サブ制御部91は、処理をステップS28に切り替える。
【0118】
ステップS28において、サブ制御部91は、有利区間ランプ19が点灯しているか否かを判断する。有利区間ランプ19が点灯していない場合(ステップS28においてNO)、サブ制御部91は、処理を終了する。
【0119】
有利区間ランプ19が点灯している場合(ステップS28においてYES)、サブ制御部91は、処理をステップS29に切り替える。
【0120】
ステップS29において、サブ制御部91は、CZランプ57またはATランプ58を点灯して、処理を終了する。サブ制御部91は、CZランプ57およびATランプ58のうちのいずれを点灯させるかは、当選コマンドに含まれる移行抽選結果を示す情報に基づいて判断する。
【0121】
[当選示唆抽選]
図11は、当選示唆抽選を説明するための図である。
図11(A)は、抽選テーブルを選択するためのテーブルである。遊技状態欄は、遊技状態を示し、BB示唆制御欄はBB示唆制御が実行中であるか否かを示す。たとえば、RT0~RT3中であって、BB示唆制御が実行されていない場合、移行抽選当選時はテーブル1(
図11(B)参照)が選択され、移行抽選非当選時はテーブル2(
図11(C)参照)が選択され、選択されたテーブルに示す確率に従って移行抽選が実行される。
【0122】
なお、BB示唆制御は、中段チェリー、BB、BB+中段チェリーのうちのいずれかに当選した場合に実行される。つまり、BBに当選した場合は、必ずBB示唆制御が実行されるため、内部中であって、BB示唆制御が実行されていない期間とは、BBに当選していることが報知された後(確定報知後)である。
【0123】
図11(B)~(D)の当籤役欄の「チェリー」は「強チェリー」または「弱チェリー」を意味し、「スイカ」は「強スイカ」または「弱スイカ」を意味する。
【0124】
RT0~RT3中であって、BB示唆制御が実行されていない場合、移行抽選当選時はテーブル1が選択される。
図11(B)に示すように、移行抽選当選時であって、BB示唆制御が実行されていない場合は、必ず当選示唆が実行される。また、移行抽選非当選時には実行されることのない(
図11(C),(D)参照)、虹色の態様が選択され得る。よって、虹色の態様で枠LED51bが点灯することで、遊技者は移行抽選に当選したことを認識することができる。
【0125】
BB示唆制御中は、移行抽選に当選しているか否かに関わらず、また、内部中であるか否かに関わらずテーブル2に示す確率に従って移行抽選が実行される。また、RT0~3中であって、移行抽選非当選時は、テーブル2に示す確率に従って移行抽選が実行される。
図11(C)に示すように、テーブル2が選択された場合、テーブル1が選択された場合に比べて、当選示唆の実行確率は下がる。また、テーブル2が選択された場合は、「虹色」の態様で当選報知は実行されない。
【0126】
つまり、サブ制御部91は、RT0~3中は内部当選状態中よりも高い確率で当選示唆を実行する。また、サブ制御部91は、BB示唆制御中はBB示唆制御が行われていないときに比べて低い確率で当選示唆を実行する。なお、RT0~3中は、内部当選状態中よりも当選示唆の実行確率が高ければよく、内部当選状態中に当選示唆を全く実行しない構成であってもよい。つまり、サブ制御部91は、RT0~3中は、移行対象役を含む複数種類の役のうち、いずれかに当選した場合、当選した役に応じた当選示唆を実行するのに対して、内部当選状態中は、移行対象役を含む複数種類の役のうち、いずれかに当選した場合、当選した役に関わらず、当選示唆を実行しないという共通の制御を実行してもよい。同様に、BB示唆制御中は、BB示唆制御が行われていないときよりも当選示唆の実行確率が低ければよく、当選示唆を全く実行しない構成であってもよい。
【0127】
内部中であって、示唆制御が実行されていない場合、つまり、確定報知後は、テーブル3(
図11(D)参照)に示す確率に従って移行抽選が実行される。
図11(D)に示すように、テーブル3が選択された場合、当選役に関わらず白色の態様で当選示唆が実行される。つまり、RT0~3中は、移行対象役を含む複数種類の役のうち、いずれかに当選した場合、当選した役に応じた当選示唆を実行するのに対して、内部当選状態中は、移行対象役を含む複数種類の役のうち、いずれかに当選した場合、当選した役に関わらず、共通の態様で当選示唆を実行するという共通の制御を実行する。
【0128】
[入賞報知抽選]
図12は、入賞報知抽選で用いられる入賞報知テーブルを示す図である。RT0~3中であって、BB示唆制御を実行していない場合に、移行対象役に入賞した場合、入賞報知を実行する。一方、移行対象役以外の役に当選した場合は、入賞報知を実行しない。また、BB示唆制御を実行している場合、あるいは、内部中は、入賞報知を実行しない。
【0129】
つまり、RT0~RT3においては、移行対象役を含む複数種類の役のうちのいずれかに入賞した場合に、入賞した役に応じて入賞報知が実行されるのに対して、内部当選状態中は、移行対象役を含む複数種類の役のうちのいずれかに入賞した場合に、入賞した役に関わらず入賞報知を実行しないという共通の制御が行われる。
【0130】
[チェリーリプ当選時の演出の一例]
サブ制御部91は、移行示唆制御およびBB示唆制御とは別に、内部中は、移行対象役への入賞を回避するための演出を実行する。具体的に
図13を参照して説明する。
図13は、チェリーリプ当選時の演出の一例を示す図である。
【0131】
図7に示すように、チェリーリプに当選した場合に、押し順によって、チェリーリプレイまたはBARリプレイが導出される。
図6に示すように、BARリプは移行対象役ではないため、BARリプレイが導出された場合は、移行抽選が行われたかもしれないと感じるものの、確信は得られない。一方、チェリーリプレイが導出された場合は、チェリーリプ1~3のうちのいずれかに当選していることになるため、移行抽選が行われたことについて確信を持てる。つまり、BARリプレイとチェリーリプレイとを比較すると、チェリーリプレイの方が移行抽選が実行されている可能性が高い入賞役である。
【0132】
サブ制御部91は、内部中であって、確定報知後は、チェリーリプに当選した場合に、BARリプレイを入賞するための操作態様を液晶表示器51に表示する。
【0133】
具体的に、RT0~RT3中であって、通常区間中にチェリーリプ3に当選した場合、サブ制御部91は、
図13(A)に示すように、押し順を報知しない。なお、
図13(A)においては、枠LED51bが赤色で点灯しているものとする。また、液晶表示器51に、移行対象役に当選したことを示唆する宝箱の画像が表示されているものとする。遊技者が、右第1停止以外の操作手順でストップスイッチ8L,8C,8Rを操作すると、チェリーリプレイが入賞し、リールLEDが点灯するとともに、宝箱の中にチェリーが入っていることを示す画像が液晶表示器51に表示される。
【0134】
一方、内部中であって確定報知後にチェリーリプ3に当選した場合、サブ制御部91、
図13(B)に示すように、右から操作することを示す左向き矢印を液晶表示器51に表示する。また、確定報知後であることを示す背景画像が液晶表示器51に表示される。遊技者が液晶表示器51に表示された操作態様に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rを操作すると、BARリプレイが導出される。このとき、リールLEDは点灯しない。
【0135】
[有利区間当選時の演出の一例]
図14は、BB示唆制御中に移行抽選に当選した場合の演出の一例を示すタイミングチャートである。BB示唆制御中のタイミングt1で強チェリーに当選するとともに、移行抽選に当選し、CZ状態に移行することが決定したものとする。
図15においては、タイミングt1で、当選示唆を実行しないことが決定されたものとする。その後、タイミングt2で強チェリーが入賞しても、BB示唆制御中のため入賞報知は実行されない。また、有利区間への移行が決定しているため、タイミングt2で、有利区間ランプ19が点灯する。一方、CZランプ57はBB示唆制御中のため点灯しない。タイミングt3において、BB示唆制御の結果としてボーナスに当選していないことが報知されると、CZランプ57が点灯する。
【0136】
[主な効果]
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
【0137】
内部当選状態中と、内部当選していないRT0~3中とでは、BBが内部当選している点で、抽選状態が異なる。そのため、有利区間への移行に関する抽選を内部当選状態中、および、RT0~3中のいずれにおいても実行すると、内部当選状態中に、BBにも当選し、かつ、移行抽選にも当選するという過度に遊技者に有利な状況となってしまう虞がある。
【0138】
本実施の形態においては、内部当選状態中は移行抽選を実行しないため、このように過度に遊技者にとって有利になってしまうような状況を回避することができる。
【0139】
しかし、内部当選状態中に移行抽選を実行しないにも関わらず、移行抽選が行われたことを示す移行対象役が入賞すると、遊技者は、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる虞がある。
【0140】
(1-1) 本実施の形態においては、
図6に示すように、内部中は移行対象役であるスイカリプは内部抽選の対象となっていない。内部中は、スイカリプの当選確率が0%になる分、移行対象役に当選する確率が下がり、移行対象役に入賞する確率がRT0~3に比べて下がる。加えて、
図13に示すように、チェリーリプ1~3に当選した場合に、BARリプレイを導出するための操作手順が報知され、チェリーリプレイの入賞が回避されるため、有利区間の移行を示すチェリーリプレイが入賞する確率がRT0~3中に比べて下がる。
【0141】
このように、内部中に移行抽選が行われたことを示す移行対象役に入賞する確率をRT0~3中に比べて下げることで、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる機会を減らすことができる。
【0142】
よって、過度に遊技者にとって有利になってしまうような状況を回避することができ、かつ、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる機会を減らすことができる。
【0143】
なお、本実施の形態においては、一部の抽選対象役(スイカリプ)に当選しないようにするとともに、移行対象役に対応する役の入賞を回避する押し順を報知することで移行対象役が入賞する確率を下がるとしたが、少なくともいずれか一方の方法によって移行対象役が入賞する確率を下げるようにしてもよい。
【0144】
また、本実施の形態において、操作態様として、操作手順を報知するとしたが、操作タイミングを報知するものであってもよい。
【0145】
(1-2) RT0~RT3中に当選し得る抽選対象役に「BB+中段チェリー」が含まれ、この抽選対象役に当選した場合に、「BB」および「中段チェリー」のそれぞれに対して当選フラグが設定される。また、内部中に「中段チェリー」に当選した場合は、「BB」および「中段チェリー」のそれぞれに対して当選フラグが設定される。つまり、通常決定の結果と、内部中決定の結果とで、共通する結果が含まれる。
【0146】
(1-3) RT0~RT3において、移行抽選の当選確率は変わらない。そのため、遊技状態の違いによって、有利区間への移行について、有利不利が生じない。
【0147】
(1-4) 本実施の形態においては、設定値に関わらず、有利区間に移行する確率は等しい。そのため、設定値の違いによって、有利区間への移行について、有利不利が生じない。
【0148】
(2-1) 前述のように、本実施の形態においては、内部当選状態中に移行抽選を実行しないことで、過度に遊技者にとって有利になってしまうような状況を回避することができる一方、内部当選状態中に移行抽選を実行されないにも関わらず、移行抽選が行われたことを示す移行対象役が入賞すると、遊技者は、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる虞がある。
【0149】
図11に示すように、RT0~RT3中と、内部当選状態中とを比較すると、移行対象役に当選した場合に、当選示唆を実行する確率は、内部当選状態中は50%であるのに対して、RT0~RT3中は100%或いは50%である。つまり、移行対象役当選時に当選示唆を実行する確率は、RT0~RT3中は、内部当選状態中よりも高い。そのため、移行対象役に当選したことが、内部当選状態中は、RT0~RT3中に比較して強調されにくい。その結果、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる機会を減らすことができる。
【0150】
よって、過度に遊技者にとって有利になってしまうような状況を回避することができ、かつ、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる機会を減らすことができる。
【0151】
なお、本実施の形態においては、内部中であって、確定報知後は、テーブル3に従って当選示唆の実行を決定するものとしたが、テーブル2に従って当選示唆の実行を決定してもよい。つまり、確定報知後の当選示唆の実行確率も下げるようにしてもよい。
【0152】
また、入賞報知の実行確率は、
図12に示すように、RT0~RT3中は0%よりも高いのに対して、内部当選状態中は0%である。そのため、内部当選状態中に移行対象役に入賞したことがRT0~RT3中に比較して強調されにくい。
【0153】
また、本実施の形態においては、
図13(A)に示すように、宝箱の画像を液晶表示器51に表示させて移行対象役に当選したことを示唆し、入賞した役に対応する画像(たとえば、チェリー画像)を表示して入賞役を報知する演出を実行可能である。液晶表示器51を用いた演出は、内部当選状態中は実行されない。そのため、内部当選状態中に移行対象役に当選したことおよび入賞したことがRT0~RT3中に比較して強調されにくい。
【0154】
本実施の形態においては、当選示唆および入賞報知の実行確率が、RT0~RT3中は内部当選状態中よりも高くなるようにしたものの、移行対象役当選時に実行される表示結果の導出に関連する演出のうち、少なくとも一の演出の実行確率がRT0~RT3中の方が内部当選状態中よりも高ければよい。移行対象役当選時に実行される表示結果の導出に関連する演出とは、本実施の形態において例示した当選示唆や入賞報知の演出に限らず、リール2L,2C,2Rの停止操作に応じて実行される演出などであってもよい。
【0155】
(2-2)
図12(B)および(C)に示すように、枠LED51bを虹色の態様で点灯させるパターンは、移行抽選に当選している場合には選択可能であるが、内部中は選択されることがない。移行抽選に当選している場合には、虹色の態様で枠LED51bが点灯するため、遊技者は、移行抽選に当選していることに対して期待感を抱く。一方、内部中は虹色の態様で枠LED51bが点灯することがないため、移行抽選に当選していることに対して過度に期待させることを防止することができる。このように、移行抽選に当選していることに対して過度に期待させることがないため、内部中により移行抽選が実行されていなかったことに対して不利益に感じることを軽減することができる。
【0156】
(2-3)
図11(A)に示すように、移行抽選当選時はテーブル1に従って当選報知の実行を決定し、移行抽選非当選時はテーブル2に従って当選報知の実行を決定し、内部状態中はテーブル2に従って当選報知の実行を決定する。つまり、内部当選状態中に、移行抽選非当選時と同じ割合で当選報知の実行を決定するため、内部当選状態中に、移行抽選に当選していることに対して過度に期待させることを防止することができる。
【0157】
(3-1) 前述のように、本実施の形態においては、内部当選状態中に移行抽選を実行しないことで、過度に遊技者にとって有利になってしまうような状況を回避することができる一方、内部当選状態中に移行抽選を実行されないにも関わらず、移行抽選が行われたことを示す移行対象役が入賞すると、遊技者は、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる虞がある。
【0158】
図11(B)に示すように、RT0~RT3中は、移行対象役であるか否かに応じて、当選示唆を実行するか否かを決定するとともに、移行対象役の種類に応じて異なる態様で当選示唆を実行する。一方、
図11(D)に示すように、内部当選状態中は、移行対象役であるか否かに関わらず白色の態様で当選示唆を実行する。なお、本実施の形態においては、内部当選状態中であって、BB示唆制御中は、テーブル2に従って当選示唆の実行を決定するものとしたが、テーブル3に従って当選示唆の実行を決定してもよい。
【0159】
このように、RT0~RT3中は、入賞役の種類に応じて当選示唆が実行されるのに対して、内部当選状態中は入賞役の種類に関わらず共通した態様で当選示唆が実行される。そのため、内部当選状態中は、当選示唆が様々な態様で実行されることがないため、内部当選状態中に移行対象役に当選したことがRT0~RT3中に比較して強調されにくい。その結果、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる機会を減らすことができる。
【0160】
よって、過度に遊技者にとって有利になってしまうような状況を回避することができ、かつ、有利区間への移行が実行されないことに対して不利益を感じる機会を減らすことができる。
【0161】
なお、本実施の形態において、表示結果の導出に関連して実行される演出のうち、表示結果の種類に応じて実行される演出として、当選時であるリール2L,2C,2R回転時に実行される演出を例に挙げたが、入賞時に実行される演出や、リール2L,2C,2R回転中に実行される演出などであってもよい。
【0162】
(3-2) 内部当選状態中は、小役または再遊技役とBBとが同時当選している場合とBBに単独で当選しているときとを比較すると、BBに単独当選している場合の方がBBを入賞させやすい。また、抽選対象役によっては、BBを入賞させることができない場合もある。
図11(D)に示すように、内部当選状態中にBBとは異なる他の抽選対象役に当選していることが報知されるため、遊技者は、BB入賞が発生し難い、或いは入賞しないことを認識することができる。
【0163】
(3-3)
図12に示すように、RT0~RT3中は、移行対象役に当選した場合は、入賞報知が行われるのに対して、内部当選状態中は入賞役に関わらず入賞報知は行われない。そのため、内部当選状態中は移行対象役に当選したことが強調されず、内部当選状態中に、移行抽選に当選していることに対して過度に期待させることを防止することができる。
【0164】
なお、本実施の形態において、RT0~RT3中であって、BB示唆制御中は入賞報知を実行しないものとしたが、実行する構成であってもよい。
【0165】
(4-1)
図10のステップS26~29に示すように、BB示唆制御中は移行抽選に当選しているか否かに関わらずCZランプ57またはATランプ58が点灯することはない。一方、BB示唆制御が実行されていない場合は、移行抽選に当選している場合にCZランプ57またはATランプ58を点灯させる。BB示唆制御中は、遊技者はBBに当選していることに対して期待する。一方、BB当選中は、有利区間への移行抽選は行われないため、BB示唆制御中にCZランプ57またはATランプ58が点灯すると、遊技者は、実行中のBB示唆制御が所謂ガセであることに疑いを感じてしまい、遊技の興趣が低下する。BB示唆制御中は、有利区間への移行抽選に当選した場合であっても、CZランプ57またはATランプ58を点灯させないようにすることで、有利区間への移行抽選に当選したことを気づきにくくすることができ、その結果、BB示唆制御がガセであることを遊技者に気付きにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することができる。
【0166】
なお、本実施の形態においては、BB示唆制御中は、必ず、CZランプ57およびATランプ58を点灯させないものとしたが、BB示唆制御中は、BB示唆制御がされていないときに比べてCZランプ57またはATランプ58が点灯しにくい構成であってもよい。このような構成であっても、有利区間への移行抽選に当選したことを気づきにくくすることができ、その結果、BB示唆制御がガセであることを遊技者に気付きにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することができる。
【0167】
また、本実施の形態においては、移行抽選に当選した場合は、虹色の態様で当選示唆を実行可能である。
図11(B)および(C)に示すように、虹色の態様での当選示唆は、示唆制御中は移行抽選に当選した場合であっても実行されないのに対して、示唆制御中ではなく移行抽選に当選した場合は実行可能である。そのため、前述と同様、有利区間への移行抽選に当選したことを気づきにくくすることができ、その結果、BB示唆制御がガセであることを遊技者に気付きにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することができる、遊技の興趣の低下を防止することができる。
【0168】
なお、この場合においても、BB示唆制御中は、BB示唆制御がされていないときに比べて虹色の態様での当選示唆が実行されにくい構成であってもよい。このような構成であっても、有利区間への移行抽選に当選したことを気づきにくくすることができ、その結果、BB示唆制御がガセであることを遊技者に気付きにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することができる。
【0169】
また、本実施の形態においては、移行抽選に当選した場合は、当選示唆を実行する。移行抽選に当選している場合であっても、示唆制御中と、示唆制御中以外とを比較すると、示唆制御中の方が当選示唆の実行確率が低い。
【0170】
そのため、当選示唆が実行される頻度が下がり、有利区間への移行抽選に当選したことを気づきにくくすることができ、その結果、BB示唆制御がガセであることを遊技者に気付きにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することができる。
【0171】
なお、本実施の形態において、内部当選状態中に得られることのない移行抽選の当選時に実行可能な演出であって、BB示唆制御が行われていないことを条件に実行される演出として、サブ制御部91が実行する特定報知、虹色の態様での当選示唆を例に挙げたが、入賞時に実行される演出や、リール2L,2C,2Rの回転中に実行される演出などであってもよい。
【0172】
(4-2) BB示唆制御は、BB当選しているか否かを報知することで終了する。そのため、BB当選しているか否かが遊技者に示され、その結果、遊技者はボーナス状態に移行するか否かを特定することができ、分かり易い。
【0173】
(4-3) BB示唆制御がされていないときに、有利区間への移行が決定した場合は、有利区間ランプ19に加えて、CZランプ57またはATランプ58を点灯させることで、有利区間への移行が報知される。一方、BB示唆制御がされているときに、有利区間への移行が決定した場合は、有利区間ランプ19だけを点灯させて、有利区間への移行が報知される。このように、BB示唆制御中の方が、BB示唆制御が実行されていないときに比べて質素な態様で有利区間への移行が報知される。そのため、有利区間への移行抽選に当選したことを気づきにくくすることができ、その結果、BB示唆制御がガセであることを遊技者に気付きにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することができる。
【0174】
(4-4) 本実施の形態において、スイカリプは、他の抽選対象役に比べて抽選確率が高い移行対象役である。また、スイカリプは、内部当選状態中は当選することのない抽選対象役である。つまり、BB示唆制御中にスイカリプに当選した場合には、このBB示唆制御が所謂ガセであることを遊技者は特定できてしまう。
【0175】
本実施の形態においては、
図11(B)および(C)に示すように、BB示唆制御中は、BB示唆制御をしていないときに比べて、スイカリプに当選したことを示唆する当選示唆の実行確率が低くなるように設定されている。そのため、遊技者にスイカリプに当選したことを認識させにくくすることができ、その結果、BB示唆制御がガセであることを遊技者に気付きにくくすることができ、遊技の興趣の低下を防止することができる。
【0176】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0177】
[特定結果について]
本実施の形態において、内部当選状態中に得られることの無い特定結果として、移行抽選の当選とスイカリプの当選を例に挙げた。しかし、他の結果であってもよい。
【0178】
たとえば、本実施の形態においては、ボーナス状態を1種類としたが、複数種類のボーナスとして、終了条件が異なる他のボーナス、毎ゲームにおいて全ての小役が当選するチャレンジボーナス(CB)などを備えたスロットマシンであってもよい。このようなスロットマシンにおいては、ボーナス状態中またはボーナス内部中(内部当選状態)は、全てのボーナスが抽選対象役から外される。つまり、第1ボーナスへの移行が示唆されているときに、第1ボーナスとは異なる第2ボーナスの当選が発生した場合は、第1ボーナスの当選は否定されることとなる。このようなスロットマシンにおいては、第2ボーナスの当選または入賞が決定結果に相当する。
【0179】
つまり、内部抽選において、第1ボーナスへの移行が決定されていない場合に、第2ボーナスへの当選は可能であるものの、第1ボーナスへの移行が決定されている場合に、第2ボーナスへの当選は不可能である。この場合に、第1ボーナスへの移行を示唆する示唆制御中は、第2ボーナスへの当選を示唆する当選示唆や、第2ボーナスが入賞した場合の入賞報知は実行されない。
【0180】
このようにすることで、第2ボーナスへの当選を気づきにくくすることができ、その結果、第1ボーナスへの移行を示唆する示唆制御がガセであることを気づきにくくすることができる。
【0181】
[移行対象役とBB同時当選役]
本実施の形態においては、移行対象役とBB同時当選役とが異なるとしたが、BBと同時当選し得る抽選対象役を移行対象役としてもよい。たとえば、BBと同時当選する中段チェリー(
図6参照)を移行対象役としてもよい。BB当選したゲームにおいて、移行抽選に当選した場合に、BBに入賞しなかった場合、待機区間と呼ばれる遊技区間に制御される。待機区間とは、有利区間への移行権利を備えており、有利区間への移行を待機している状態である。待機区間中は、有利区間ランプ19は点灯せず、BB入賞後に有利区間ランプ19が点灯する。また、サブ制御部91は、CZランプ57またはATランプ59を、BB入賞後に点灯してもよく、また、ボーナス終了後に点灯してもよい。
【0182】
また、このような場合に、BB同時当選役でもあり、移行対象役でもある役に当選した場合に、移行抽選に当選したことを示唆する移行示唆制御を実行した後のゲームから複数ゲームに亘ってBB示唆制御を実行してもよい。
【0183】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0184】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、41a メインCPU、41c RAM、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ、90 演出制御基板、91 サブ制御部、91a サブCPU、91c RAM。