(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】ガラス管半製品を後処理する方法
(51)【国際特許分類】
C03B 23/04 20060101AFI20220218BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20220218BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20220218BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
C03B23/04
C03C23/00 Z
B21C51/00 A
G01N21/84 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017236215
(22)【出願日】2017-12-08
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】10 2016 123 865.1
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2016 125 944.6
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】10 2017 102 161.2
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ヴィッツマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴィアト
(72)【発明者】
【氏名】ウラ トリンクス
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-019578(JP,A)
【文献】特開昭49-051089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 23/04-23/13
C03C 23/00
B21C 51/00
G01N 21/84-21/958
G05B 19/418
B23K 26/00-26/70
B65D 23/00-25/56
A61J 1/05-1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管半製品(1)
を中空ガラス製品に後処理
するための方法であって、前記方法は、
ガラス管半製品(1)を準備し、前記ガラス管半製品に関して欠陥データを供給するステップと、
前記ガラス管半製品(1)に関する前記欠陥データ(2~5;30~31)を読み出すステップと、
前記ガラス管半製品(1)を後処理するステップであって
、少なくとも部分的に実施される
前記ガラス管半製品(1)の熱成形を含むステップと、
を有し、
前記ガラス管半製品(1)の後処理
の少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記ガラス管半製品(1)に関して読み出された前記欠陥データ(2~5;30~31)に
基づいて調整され、
前記欠陥データを供給するステップは、前記後処理するステップの間、前記ガラス管半製品の関連特性を決定または測定する必要なく、前記欠陥データは、後処理する企業がガラス管メーカから間接的または直接的に入手できることを意味する、
方法。
【請求項2】
前記ガラス管半製品の後処理の
調整は、少なくとも部分的に実施される前記ガラス管半製品の熱成形に関するプロセスパラメータの開ループ制御または閉ループ制御を含まない、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ガラス管半製品(1)の後処理の
調整は、前記ガラス管半製品に関する前記欠陥データに基づき、前記ガラス管半製品の後処理が目下のプロセスパラメータでは不可能であるかまたは不十分な品質でしか可能でない、と判定された場合に、ガラス管半製品を選別除去または過渡的に一時保管するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記欠陥データは、前記ガラス管半製品(1)の全長にわたる欠陥情報を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス管半製品(1)の長手方向(z)において予め定められた長さ(l)を有する前記ガラス管半製品(1)の複数のサブセクションに関して、前記欠陥データをそれぞれ供給する、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ガラス管半製品(1)をさらに、平均化された前記欠陥データに応じて複数のクラスのうち1つのクラスに分類して供給する、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記欠陥データは、前記ガラス管半製品の欠陥に関する以下の情報すなわち、
前記ガラス管半製品の壁中の混入物、ただし気泡、結節、結晶領域等を含む、
前記ガラス管半製品の表面上または体積中の機械的損傷、ただし擦り傷、材料剥離を含む、
前記ガラス管半製品の表面上または体積中の不均質性、ただし他の光学的屈折力および光学的線条の領域を含む、
欠陥タイプ、
のうち少なくとも1つの情報を含み、
前記欠陥データはさらに、前記ガラス管半製品の欠陥のロケーションおよびポジションに関する情報を含み、好ましくは前記ガラス管半製品の欠陥サイズに関する情報も含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記欠陥データはさらに、前記ガラス管半製品の周方向で
空間分解能を有する、ロケーションおよびポジションに関する情報を含み、好ましくは前記ガラス管半製品の欠陥サイズに関する情報も含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ガラス管半製品(1)に少なくとも1つのマーキング(3;4)を付け、前記マーキング(3;4)に基づき、前記ガラス管半製品に関する前記欠陥データを読み出す、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのマーキングは管識別情報(4)を含み、前記管識別情報(4)に基づき、前記ガラス管半製品に関する前記欠陥データをデータ記憶装置またはデータベース(12)から読み出す、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ガラス管半製品に関する前記欠陥データは、前記ガラス管半製品における別のマーキング(2)に含まれており、または前記ガラス管半製品における前記少なくとも1つのマーキング(3;4)の少なくとも1つの別のマーキングセクション(5)に含まれている、
請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのマーキング(3;4)は、以下の方法すなわち、
機械的な刻み込み、レーザ処理による刻み込み、レーザによる色素染料の焼き付け、インクジェット印刷、レーザマーキングによって、欠陥を直接マーキングする、
前記欠陥データまたは前記欠陥データへのデータリンクをコーディングするバーマーキングまたはマトリックスコードマーキングを付与する、特に印刷する、
前記欠陥データまたは前記欠陥データへのデータリンクをコーディングする接着ラベルを付着させる、
前記欠陥データまたは前記欠陥データへのデータリンクをコーディングするRFIDタグを、前記ガラス管半製品に付与する、
のうち少なくとも1つの方法により付与されている、
請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのマーキング(3;4)を、レーザビームと前記ガラス管半製品のガラスとの相互作用によって形成する、
請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのマーキング(3;4)を、前記ガラス管半製品のガラスの転移温度よりも高い温度において、レーザビームと前記ガラスとの相互作用により前記ガラス管半製品の壁中に形成し、特にディジタルマトリックスコード(DMC)として形成する、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ガラス管半製品(1)に関する前記欠陥データ(2~5;30~31)を読み出すために、前記少なくとも1つのマーキング(3;4)を光学的に無接触で読み出す、
請求項12記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのガラス管半製品を、後処理の前に測定して評価し、
測定された
量および評価データを、前記少なくとも1つのガラス管半製品に関する前記欠陥データと比較して、偏差情報を求め、
求められた前記偏差情報を考慮しながら、複数のガラス管半製品の後処理を、個々のガラス管半製品について読み出された前記欠陥データ(2~5;30~31)に
基づいて調整される、
請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記ガラス管半製品(1)の後処理はさらに、
前記ガラス管半製品の1つのセクションを局所的に加熱するステップと、
局所的に加熱された前記セクションの領域における前記ガラス管半製品からの分離によって、1つの容器を前記容器の底部を形成しながら分離するステップと、
を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記ガラス管半製品から前記容器を分離するステップにおいて、前記容器のネック部を予備成形し、前記容器を保持装置により逆さまの状態で受け取り、ガラス管壁の圧潰により前記容器の底部を前記ガラス管半製品から徐々に形成する、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記容器の底部をさらに処理するステップを含み、前記ステップは、
前記容器の底部を大雑把に成形するために、前記底部を少なくとも1つのバーナにより処理するステップと、
前記底部を平坦に成形するために、前記底部を少なくとも1つのバーナによりさらに処理するステップと、
前記底部を最終的に成形するために、ガス圧を用いながら、特に0.5~3.0barの範囲のガス圧を用いながら、前記底部を金型に押し込むステップと、
前記底部を冷却するステップと、
のうち少なくとも1つのステップを含む、
請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ガラス管半製品を、過渡的に一時保管した後、前記ガラス管半製品に関する前記欠陥データに基づき求められた変更されたプロセスパラメータを用いて、後処理する、
請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記容器は、薬用、医用または化粧用の物質を収容する容器であり、特にバイアル、カートリッジまたはシリンジである、
請求項17記載の方法。
【請求項22】
ガラス管半製品の後処理における前記プロセスパラメータは、ガラス管半製品からサブセクションを分離する際のプロセス条件、すなわち、ガラス管半製品の分離される領域のロケーションおよびサイズであり、または、個々のガラス管半製品から分離されるサブセクションを後処理する際のプロセス条件、すなわち、ガラス管半製品の分離された領域における後処理のロケーションである、
請求項1記載の方法。
【請求項23】
ガラス管半製品の後処理の調整は、ルックアップテーブルに応じたプロセスパラメータの調整であり、前記ルックアップテーブルには、ガラス管半製品または分離されたサブセクションの前記関連特性に割り当てられたプロセスパラメータ、すなわち、後処理のためにガラス管半製品からサブセクションを切り離す際のカッティングパラメータが格納されている、
請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記ガラス管半製品(1)の後処理の前記少なくとも1つのプロセスパラメータを調整するステップは、ガラス管半製品の欠陥のあるセクションまたはサブセクションの切り離しおよび/または選別除去するステップを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記欠陥データを供給するステップは、
前記ガラス管メーカが運営するデータベースに対するアクセスを供給すること、または、前記ガラス管メーカからデータ担体を供給すること、または、
マーキング、接着ラベルまたはRFIDタグを提供すること、
を含み、
データを測定したりまたは他のやり方で求めたりする必要なく、前記データベース、前記データ担体、前記マーキング、前記接着ラベルまたは前記RFIDタグから前記欠陥データを読み込むことができる、
請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、ガラス管半製品を後処理して最終製品特に中空ガラス製品を形成することに関し、特に、ガラス管を後処理して、狭い許容誤差範囲内に抑えられた最終製品を形成することに関する。かかる最終製品とはたとえば、薬用物質、医用物質を保管する容器または化粧用物質も保管する容器であり、たとえばバイアル、カートリッジまたはシリンジなどである。この場合、ガラス管半製品の後処理には、最終製品もしくは中空ガラス製品に対して少なくとも部分的に実施される熱成形も含めることができる。
【背景技術】
【0002】
ガラス管の後処理にあたり最終製品の最適な品質を保証するためには、後処理施設のプロセスパラメータを、個々のガラス管の特性に合わせてできるかぎり適切に設定しなければならない。このことは、狭い許容誤差範囲内に抑えられた最終製品を製造するには特に難しく煩雑である。
【0003】
かかる最終製品の品質を高める目的で従来技術によれば、後処理する企業において適切な測定装置を用いて、ガラス管の関連特性が求められる。そのようにして初めて、関連プロセスパラメータを相応に設定することができる。これによってガラス管の後処理が遅滞するだけでなく、後処理に手間とコストもかかってしまう。
【0004】
従来技術によれば、ガラス管半製品をマーキングおよびコーディングするための様々な方法が知られている。ただしそれらの方法は、後処理する企業が関連データを直接入手可能であり引き続きそのまま利用可能であるように、ガラス管半製品の特性をコーディングするために用いられるものではない。
【0005】
従来技術によれば、ガラスをマーキングまたはコーディングするために、マーキングまたは同等のものをガラス材料にじかに書き込むようにした方法が公知である。かかる方法はたとえば、本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されており、ここでこれらの文献を参照したことにより、これらの開示内容が本願に明示的に取り込まれるものとする。これによれば表面にマーキングを付与するために、ガラスに対し部分的にレーザパルスが印加される。このマーキングは極めて見やすく、特にマーキングにより及ぼされるレンズ作用によって確実に読み取ることができ、高温での製造中にすでに、応力を生じさせることなく付与することができ、したがってガラス管半製品の製造中つまり本来の管成形中にすでに、マーキングを付与するのに適している。この方法の格別な利点は、ガラスの転移温度よりも高い温度でマーキングを付与することができ、本来の管成形後、ガラス管ストランドの温度をそのような高温まで再び上昇させなくてもよい、ということである。この方法によれば製品侵害防止のためのマーキングを、さらには商標、会社のロゴまたはその他の製品装飾も、ガラス管ストランドに付与することができる。
【0006】
国際公開第2004000749号(WO 2004 000749 A1)および国際公開第2009128893号(WO 2009 128893 A)には、ガラス基板をマーキングするためのさらに別の方法が開示されている。
【0007】
独国特許出願公開第10335247号明細書(DE 103 35 247 A1)には、板ガラスのカッティングパターンを最適化する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、特にいっそう高い品質要求を満たすことができ、特にいっそう狭い許容誤差範囲内に抑えることが可能なガラス製最終製品特に中空ガラス製品を、簡単に低コストの手法で確実に製造できるように改善された、ガラス管半製品の後処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1記載のガラス管半製品の後処理方法によって解決される。従属請求項には、さらに別の有利な実施形態が示されている。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下のステップを含むガラス管半製品の後処理方法が提供される。すなわちこの方法は、ガラス管半製品を準備し、ガラス管半製品について欠陥データを供給するステップと、ガラス管半製品に関する欠陥データを読み出すステップと、ガラス管半製品を後処理するステップと、を含み、この場合、ガラス管半製品の後処理は特に、たとえば中空ガラス製品またはガラス容器を形成するために、少なくとも部分的に実施される熱成形も含むことができ、さらにこの場合、ガラス管半製品の後処理を、ガラス管半製品について読み出された欠陥データに整合させる。
【0011】
たとえば、後処理すべきガラス管半製品の欠陥データが、たとえばガラス管半製品材料中の亀裂または混入物などのような欠陥について比較的高い密度を示すものであるならば、後処理にあたりプロセスパラメータを相応に変更することができ、特に、ガラス管半製品の欠陥セクションを切り離し、選別除去し、後処理されないように、変更することができ、その結果、本発明によれば、かかる欠陥のない最終製品だけを製造できるようになる。同様のことは、出発ガラス管の関連する可能性のあるすべての欠陥について当てはまる。
【0012】
本発明の内容に即していえば欠陥データとは基本的に、ガラス管半製品の以下のような特性のことである。すなわち、最終製品の品質に悪影響を及ぼす可能性があり、ガラス管半製品の後処理にあたりプロセスパラメータを適切に設定もしくは整合することによって、作用を及ぼすこともできる特性であり、あるいはガラス管半製品の後処理にあたりプロセスパラメータを変更または整合しても、作用を及ぼすことはできないけれども、マーキングに従ってガラス管半製品の欠陥のあるセクションを選別除去するまたは切り離すことによってのみ、阻止することのできる特性のことである。ガラス管半製品の後処理におけるプロセスパラメータとは特に、ガラス管半製品からサブセクションを分離する際のプロセス条件であり、たとえばガラス管半製品の分離される領域のロケーションおよびサイズであり、または個々のガラス管半製品から分離されるサブセクションを後処理する際のプロセス条件であり、たとえばガラス管半製品の分離された領域における後処理のロケーション等である。
【0013】
さらに別の好ましい実施形態によれば、ガラス管半製品の後処理の整合は、少なくとも部分的に実施されるガラス管半製品の熱成形に係わるプロセスパラメータの開ループ制御または閉ループ制御を含んでおらず、つまり特に温度、バーナ出力、熱成形のための1つまたは複数のバーナとガラス管半製品との間隔、個々のバーナの配向もしくは整列、熱成形のプロセス時間、熱成形のプロセスサイクル等の開ループ制御または閉ループ制御を含んでおらず、さらに特に、熱成形により個々のガラス管半製品から分離されたサブセクションの後処理におけるプロセス条件を含んでおらず、たとえば熱成形の温度、バーナ出力、熱整形中の1つまたは複数のバーナとそれぞれ分離されたサブセクションとの間隔、熱成形中の個々のバーナの配向もしくは整列、熱成形のプロセス時間、熱成形のプロセスサイクル、分離されたサブセクションの熱成形におけるプロセスパラメータ、たとえば加圧または減圧の適用、モールド等への分離されたサブセクションの(部分的な)押し込み、冷却時の熱的条件、などを含んでいない。
【0014】
ガラス管半製品の後処理の整合とは、最も簡単なケースでは、ルックアップテーブルに応じたプロセスパラメータの設定と解することができ、このルックアップテーブルには、ガラス管半製品または(分離された)そのサブセクションの関連特性と対応づけて、割り当てられたプロセスパラメータが記録されており、たとえば後処理のためにガラス管半製品からサブセクションを切り離す際のカッティングパラメータが格納されている。かかるルックアップテーブルを特に、データベースまたは記憶担体に記録しておくことができ、後処理施設の制御装置たとえばプロセッサがそこへアクセス可能である。かかるルックアップテーブルのデータを、最も簡単なケースでは、経験ベースのデータに基づくものとすることができるけれども、計算または数値シミュレーションまたはそれ相応の一連のテストの結果とすることもでき、つまり知識ベースとすることもできる。
【0015】
ガラス管半製品の後処理の整合を当然ながら、供給された欠陥データを関与させる数式または計算に従って実施することもできる。
【0016】
本発明の内容に即していえば「欠陥データの供給」が意味するのは特に、後処理する企業がそれぞれ後処理すべきガラス管半製品の関連特性を、新たに手間をかけて求めたり測定したりしなければならないのではなく、本発明によれば後処理する企業がそれらのデータをガラス管メーカから適切な手法で間接的または直接的に入手できるようになる、という意味であり、このことはガラス管後処理における手間とコストの削減に役立つ。この目的で、後処理する企業がガラス管メーカのデータに相応にアクセスできるようにすることができ、たとえばメーカが運営するデータベースまたはメーカから入手可能なデータ担体へのアクセスによるものとすることができる。基本的に、データをガラス管にじかに記録しておくこともでき、たとえば適切なマーキング、接着ラベル、RFIDタグ等などに記録しておくこともできる。いずれのケースであれ、後処理する企業は関連する欠陥データを簡単な手法で読み込むことができ、その際、欠陥データを新たに手間をかけて測定したり、または他のやり方で求めたりする必要がない。
【0017】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品の後処理の整合は、ガラス管半製品に関する欠陥データに基づき、ガラス管半製品の後処理が目下のプロセスパラメータでは不可能であるかまたは不十分な品質でしか可能でない、と判定された場合に、ガラス管半製品を選別除去または過渡的に一時保管するステップを含む。
【0018】
別の実施形態によれば、欠陥データはガラス管半製品の全長にわたる欠陥情報を含んでおり、特にこの欠陥情報には、あとで説明するように欠陥タイプを含め、ガラス管半製品におけるすべての欠陥に関する情報が含まれている。
【0019】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品の長手方向における予め定められた長さのガラス管半製品のサブセクションについてそれぞれ、欠陥データが供給され、このことを特に、ガラス管半製品に連続的にまたは部分的に設けられた管ストランドマーキングによって実現することができる。これらのサブセクションの長さを特に、生じる可能性のある廃棄セクション等を含め、製造すべき最終製品の長さに合わせて調整しておくことができる。換言すれば、製造すべき最終製品各々に関して、後処理する企業においてガラス管半製品を後処理するために正確な欠陥データを使用することができ、このようにすればそれらの正確な欠陥データに基づき、ガラス管半製品の欠陥のある部分またはサブセクションの切り離しおよび/または選別除去のためのパラメータを含め、個々のガラス管半製品の後処理を固有に整合することができる。
【0020】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品はさらに、平均化された欠陥データに応じて複数のクラスのうち1つのクラスに分類されて供給される。有利には、同一のクラスの複数のガラス管半製品を同じパラメータによって後処理することができ、これによって後処理がいっそう効率的になり、時間がさらに節約され、さらに低コストで信頼性の高いものとなる。
【0021】
別の実施形態によれば、欠陥データは、ガラス管半製品の品質に関する情報を含み、特にガラス管半製品の欠陥に関する以下の情報のうち少なくとも1つの情報を含む。すなわち、
・ガラス管半製品の壁中の混入物、ただし気泡、結節、結晶領域等を含む。
・ガラス管半製品の表面上または体積中の機械的損傷、ただし擦り傷、材料剥離を含む。
・ガラス管半製品の表面上または体積中の不均質性、ただし他の光学的屈折力および光学的線条の領域を含む。
・欠陥タイプ。
この場合、欠陥データはさらに、ガラス管半製品の欠陥のロケーションおよびポジションに関する情報を含み、好ましくはガラス管半製品の欠陥サイズに関する情報も含む。特に、個々のガラス管半製品に対し欠陥マップを供給することができ、この欠陥マップに基づき、欠陥のあるサブセクションの切り離しおよび場合によっては選別除去を含めて、ガラス管半製品またはそのサブセクションの後処理が適切に整合される。
【0022】
別の実施形態によれば、欠陥データはさらに、ガラス管半製品の周方向で位置分解能を有する、ロケーションおよびポジションに関する情報を含み、好ましくはガラス管半製品の欠陥サイズに関する情報も含む。よって、個々のガラス管半製品に対する上述の欠陥マップは、ガラス管半製品の長手方向だけでなく、周方向においても既知であり、これによって、最終製品の周方向においてもさらに均質な特性を有するいっそう価値の高い最終製品の製造が可能となる。
【0023】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品に少なくとも1つのマーキングを付けることができ、このマーキングに基づき、もしくはこのマーキングから、ガラス管半製品に関する欠陥データを(間接的にもしくは直接的に)読み出すことができる。この少なくとも1つのマーキングは、特に管識別情報を含むことができ、この管識別情報に基づき、ガラス管半製品に関する欠陥データをデータ記憶装置またはデータベースから読み出すことができ、そこにおいてガラス管半製品またはそのサブセクションにそれぞれ対応づけられて、それらが個々の管識別情報により識別されている。したがってこの場合には、欠陥データの供給は間接的であり、つまりデータ記憶装置、データベース等を介して行われる。このような手法であれば後処理する企業のプロセスに簡単かつ低コストで組み込むことができる。
【0024】
ただしガラス管半製品に関する欠陥データを、ガラス管半製品における別のマーキングに含めることもでき、またはガラス管半製品における少なくとも1つのマーキングの少なくとも1つの別のマーキングセクションに含めることもできる。したがってこの場合には、欠陥データの供給を直接的に行うことができ、つまり個々のガラス管半製品もしくはそのサブセクション各々に関して上述の別のマーキングもしくは別のマーキングセクションに書き込まれた情報を用いて、欠陥データの供給を行うことができる。
【0025】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのマーキングを以下の方法すなわち、
・機械的な刻み込み、レーザ処理による刻み込み、レーザによる色素染料の焼き付け、インクジェット印刷、レーザマーキングにより、欠陥を直接マーキングする、
・欠陥データまたは欠陥データへのデータリンクをコーディングするバーコード、バーマーキングまたはマトリックスコードマーキング等を付与する、特に印刷する、
・欠陥データまたは欠陥データへのデータリンクをコーディングする接着ラベルを付着させる、
・欠陥データまたは欠陥データへのデータリンクをコーディングするRFIDタグを、ガラス管半製品に付与する、
のうち少なくとも1つの方法により、個々のガラス管半製品に付与することができる。
【0026】
択一的な実施形態によれば、少なくとも1つのマーキングを、レーザビームとガラス管半製品のガラスとの相互作用によって形成することができる。基本的にレーザによる書き込みを、転移温度よりも低い温度で形成することができる。このことは特に、最終製品にはもはや存在しない書き込みについて該当する。このケースであればレーザ書き込みは、たとえば破損耐性などに関して最終製品に課される要求を満たす必要はない。
【0027】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのマーキングを、ガラス管半製品のガラスの転移温度よりも高い温度において、レーザビームとガラスとの相互作用によりガラス管半製品の壁中に取り付けることができ、特にディジタルマトリックスコード(DMC)として取り付けることができる。この場合の利点は、この情報はあとからではもはや実質的に変造不可能であり、また、かかるマーキングを簡単かつ低コストの手法で、特に光学的に無接触で読み出し可能であり、これを後処理する企業において一般的に実施されるプロセスに簡単に組み込むことができる、ということである。
【0028】
別の実施形態によれば、この方法の実施にあたり、特に後処理する企業において最初に、たとえば商品入荷コントロールにおいて無作為抽出検査式で、少なくとも1つのガラス管半製品が後処理の前に測定されて評価される。このようにして測定されたサイズおよび評価データが、個々のガラス管半製品に関して供給された欠陥データと比較されて、偏差情報が求められ、求められた偏差情報を考慮しながら、複数のガラス管半製品の後処理の整合に用いられる少なくとも1つのプロセスパラメータが、個々のガラス管半製品について読み出された欠陥データに整合される。特に、このようにして無作為抽出式にガラス管を測定することによって、供給された欠陥データと実際の欠陥データとの間に場合によっては生じるシステマティックな偏差を確実に特定し、次いで補正することができる。このようにすれば、たとえばシステマティックな測定誤差等を、後処理する企業の側で確実に補正して回避することができる。
【0029】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品の後処理はさらに、ガラス管半製品の1つのセクションを局所的に加熱し、局所的に加熱されたセクションの領域においてガラス管半製品から1つのセクションを分離することによって、1つの容器をこの容器の底部を形成しながら分離するステップも含む。その際に特に、まだ十分に可塑性のある壁部セクションの圧潰および溶融によって、底部を形成することができ、その結果、少なくとも1つの閉じた端部を有する縦長の最終製品もしくは中空ガラス製品が得られる。この場合、欠陥データに基づき、特にプロセスパラメータを制御することができ、または適切に設定することができる。このプロセスパラメータは、ガラス管半製品のセクションの局所的な加熱と容器の分離とに作用を及ぼすことができ、特にバーナ出力と、ガラス管半製品のセクションの(やはり一時的な)保持に用いられる後処理施設の保持セクションの軸方向調整とに作用を及ぼすことができる。ただし、熱成形に用いられるプロセスパラメータは、本発明の内容に即していえば、個々のガラス管半製品について読み出された欠陥データに依存して、開ループ制御または閉ループ制御されるわけではない。
【0030】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品から容器を分離する際に、容器のネック部もしくは狭められたネックセクションが予備成形され、その際、容器が保持装置によって逆さまの状態で受け取られ、ガラス管壁の圧潰により容器の底部がガラス管半製品から徐々に形成される。
【0031】
別の実施形態によれば、容器の底部をさらに処理するステップが設けられており、このステップは、以下のステップすなわち、
・容器の底部を大雑把に成形するために、底部を少なくとも1つのバーナにより処理するステップと、
・底部を平坦に成形するために、底部を少なくとも1つのバーナによりさらに処理するステップと、
・底部を最終的に成形するために、ガス圧を用いながら、特に0.5~3.0barの範囲のガス圧を用いながら、底部を金型に押し込むステップと、
・底部を冷却するステップと、
のうち少なくとも1つのステップを含む。この場合、欠陥データに基づき特に、これらの別の方法ステップのうち1つまたは複数の方法ステップに該当するプロセスパラメータを制御することができ、または適切に設定することができる。
【0032】
別の実施形態によれば、ガラス管半製品の後処理はさらに、ガラス管半製品に関する欠陥データに基づき、ガラス管半製品の後処理が目下のプロセスパラメータでは不可能である、と判定された場合には、ガラス管半製品を選別除去または過渡的に一時保管するステップを含む。このようにすれば特に、それぞれ同じ関連特性または同等の関連特性を有するガラス管半製品のクラスを形成することができ、次いで、かかるガラス管製品(またはガラス管製品から分離されて一時保管されたそれらのサブセクション)のクラス全体を形成することができ、さらにその後、最終製品へと後処理する際に、それらのクラスを同一のプロセスパラメータまたは実質的に同じプロセスパラメータによって後処理することができる。この場合に得られる利点とは、このようにすれば関連するプロセスパラメータをそれほど頻繁には変更しなくてもよい、ということであり、これにより後処理においてさらに利点をもたらすことができる。この場合には過渡的に一時保管された後、特に、ガラス管半製品に関する欠陥データに基づき求められた、一度変更されたもしくは整合されたプロセスパラメータによって、新たなクラスを後処理することができる。
【0033】
別の実施形態によれば、後処理後の最終製品は、薬用、医用または化粧用の物質を収容する容器であり、特にバイアル、カートリッジまたはシリンジである。もっと一般的にいえば最終製品は、目的に合わせて物質充填用に少なくとも1つの開口部を有する、既述の形式の中空ガラス製品である。
【0034】
以下では、添付の図面を参照し具体例を挙げながら本発明について説明するが、この説明を通して、さらに別の特徴、利点および解決すべき課題が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1a】本発明によるガラス管半製品に関する第1の実施例を、この製品に設けられており欠陥データをコーディングするマーキングと共に示す図である。
【
図1b】本発明によるガラス管半製品に関する第2の実施例を、この製品に設けられており欠陥データをコーディングするマーキングの拡大図と共に示す図である。
【
図1c】本発明によるガラス管半製品に関する第3の実施例を、この製品に設けられており欠陥データを間接的にコーディングするマーキングと共に示す図である。
【
図2a】本発明による方法を実施するための、ガラス管半製品に管固有のデータを付ける装置とガラス管半製品の後処理施設とを示す概略図である。
【
図2b】複数のガラス管半製品に関する欠陥データを記憶するデータベースを示す図である。
【
図3a】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法の第1の実施例を概略的に示すフローチャートである。
【
図3b】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法の第2の実施例を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法に関するさらに別の3つの実施例を示す図である。
【
図5a】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法に関するさらに別の実施例を示す図である。
【
図5b】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法に関するさらに別の実施例を示す図である。
【
図5c】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法に関するさらに別の実施例を示す図である。
【
図5d】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法に関するさらに別の実施例を示す図である。
【
図5e】最終製品を製造するための本発明によるガラス管半製品の後処理方法に関するさらに別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図中、同じ参照符号は、同じまたは実質的に同じ作用を有する要素または要素群を表す。
【0037】
図1aは、本発明によるガラス管半製品に関する第1の実施例を、この製品に設けられたマーキングと共に示す図である。本発明の内容に即していえばガラス管半製品とは特に、予め定められた寸法および特性を備えた既製のガラス管のことを意味し、このガラス管は、ガラス製最終製品特に中空ガラス製品となるよう後処理するための出発ワークピースの役割を果たす。かかるガラス管半製品は通常、たとえば1.5mなど予め決められた長さで納品され、管半製品内部への不所望な不純物侵入を防止する目的で、後処理する企業への納品時には管端部の片側または好ましくは両側が封止されている。この目的で、ガラス管半製品1の少なくとも一方の端部を、熱成形によって完全に封止することも可能である。
【0038】
ガラス管半製品1の製造時、ガラス管1に管ストランドマーキング2が継続的に付与され、以下で説明するように、これらの管ストランドマーキング2は、ガラス管半製品1の長さlの個々のサブセクションに関する欠陥データをそれぞれ含む。ガラス管半製品1にはさらに、管ストランドマーキング2とは別に第2のマーキング3が設けられており、この第2のマーキング3は、ガラス管半製品1を識別するための管識別情報を含んでおり、好ましくは管ID、管シリアル番号または同等のものを含んでいる。さらに第2のマーキングにおいて、ガラス管1のメーカ、製造場所および/または製造施設に関する記載も表すことができる。管ストランドマーキングは基本的に、最終製品(たとえば薬品容器)となるまでそのまま残しておくことができる。ガラス管半製品1についての情報は、マーキング2,3に好ましくは平文として含まれているのではなく、予め定められた計算命令またはデコーディング命令に従って初めて読み取り可能である。
【0039】
図1aによれば、管ストランドマーキング2はガラス管の長手方向(z)において、好ましくは互いに予め定められた一定の間隔(l)で、ガラス管1に付与されている。これらの間隔lはたとえば、あとで最終製品(一例として薬品容器)が製造されることになるセクションの予期すべき長さに合わせて調整しておくことができ、その目的でそれらのセクションは、場合によっては生じるかもしれない廃棄セクションおよび分離除去すべきセクションを含めて、元のガラス管半製品から切り離す必要がある。
【0040】
図1bには、本発明によるガラス管半製品に関する第2の実施例が、この製品に設けられたマーキングの拡大図と共に示されている。
図1bによれば、空間的に別個に付与された第1のマーキングと第2のマーキングとの代わりに、ガラス管半製品1の予め定められた個所に、たとえばガラス管半製品1の前端部または後端部に、コンビネーションマーキング3が設けられており、このコンビネーションマーキング3は、好ましくは互いに極めて接近して配置された少なくとも第1の情報4と第2の情報5とを含んでいる。第1の情報4には管識別情報が含まれているのに対し、第2の情報5によって、個々のガラス管半製品1に関して欠陥データがコーディングされ、あとで説明するように、望ましければガラス管半製品1の長手方向(
図1参照)における個々のサブセクションに関しても、欠陥データがコーディングされる。あるいは第2の情報5によって、それらの欠陥データへのデータリンクがコーディングされ、したがってこのデータリンクを用いてそれらの欠陥データを間接的に、たとえばデータベースなどから読み出すことができる。
【0041】
図1cには、本発明によるガラス管半製品に関する第3の実施例が、この製品に設けられており欠陥データを間接的にコーディングするマーキングと共に示されている。この目的でマーキング4は、ガラス管半製品1を一義的に表す管識別情報を、あとで述べるように、本発明による方法を実施するために必要とされるすべての記載を含めて、コーディングする。このためには、マーキング4内にコーディングされた管識別情報に基づき、またはマーキング4によってコーディングされたデータリンクに基づき、関連する欠陥データを間接的にデータベースから読み出すことができれば十分である、とすることができる。これについては、あとで
図2bを参照しながら詳しく説明する。
【0042】
上述の実施例の場合には、欠陥情報はガラス管半製品に間接的にマーキングされており、これを特に以下の方法のうち1つの方法によって達成することができる:
・ガラス管半製品の後処理が妨害されないように、特にレーザマーキング、レーザによる色素染料の焼き付け、インクジェット印刷によって、ガラス管半製品の周縁部にマーキングを付与する。
【0043】
別の実施例によれば、特に以下の方法のうちの1つによって欠陥情報を直接、マーキングすることもできる:
・ガラス表面への機械的な刻み込み(スクライビングツール)、レーザ処理による刻み込み、レーザによる色素染料の焼き付け、またはインクジェット印刷により、欠陥を直接マーキングする(欠陥ポジションに直接、比較的大きいサイズでマーキングすれば、検出が容易になる)。
・管端部にコーディングする(欠陥ポジションまたは管番号)。
【0044】
別の実施例によれば、管端部における直接的なマーキングと付加的なコーディングとによっても、欠陥情報をマーキングすることができ、つまりこれは上述の両方の方法を組み合わせることによって可能であり、特に欠陥情報を変調してマーキング中に組み込んだ直接的なマーキング、たとえばレーザ処理による刻み込み、レーザによる色素染料の焼き付け、またはインクジェット印刷または同等のものによって可能である。
【0045】
本発明の内容に即していえば欠陥データは、ガラス管半製品の品質に関する情報に係わるものであり、特にガラス管半製品に関する以下の情報のうち少なくとも1つの情報に係わる。すなわち、
・ガラス管半製品の壁中の混入物、ただし気泡、結節、結晶領域等を含む。
・ガラス管半製品の表面上または体積中の機械的損傷、ただし擦り傷、材料剥離を含む。
・ガラス管半製品の表面上または体積中の不均質性、ただし他の光学的屈折力および光学的線条の領域を含む。
・欠陥タイプ。
この場合、欠陥データはさらに、ガラス管半製品の欠陥のロケーションおよびポジションに関する情報を含み、好ましくはガラス管半製品の欠陥サイズに関する情報も含む。
【0046】
本発明の内容に即していえば、あとで説明するように、ガラス管半製品の後処理を個々のガラス管半製品に関する欠陥データに整合させるために、これらの欠陥データが用いられる。このような整合には特に、欠陥を有するガラス管半製品またはガラス管半製品のうち欠陥を有するセクションを、切り離しおよび/または選別して除去するための条件および手順を含めることができる。この場合、ガラス管半製品の後処理には補足的に、部分的に実施される熱成形も含めることができ、これは少なくとも1つのプロセスパラメータにより開ループ制御または閉ループ制御される。ただし本発明の内容に即していえば、かかる熱成形を開ループ制御または閉ループ制御する少なくとも1つの上述のプロセスパラメータは、個々のガラス管半製品に関する欠陥データによっても開ループ制御または閉ループ制御されない。
【0047】
マーキング3~5が付与される時点に応じて、マーキングに用いられる方法も選択される。したがって、たとえばレーザマーキングを用いて、欠陥データまたは欠陥データへのデータリンクをコーディングするマーキングたとえばバーコードまたはバーマーキングまたはマトリックスコードマーキングなどを印刷することにより、ガラスの転移温度よりも低い温度でマーキング3~5を付与すれば十分である、とすることができる。欠陥データまたは欠陥データへのデータリンクを、接着シールにコーディングしておくことも可能である。この接着シールは、ガラス管半製品1の適切な個所に接着され、ガラス管半製品1の後処理前に関連情報が読み取られた後、再び剥がされる。あるいは欠陥データまたは欠陥データへのデータリンクを、RFIDタグにコーディングしておくことも可能である。このRFIDタグは、ガラス管半製品1の適切な個所に設けられており、ガラス管半製品1の後処理前に関連情報がRF信号を用いて無接触で読み取られた後、再び取り除かれる。
【0048】
ただしマーキング3~5またはそれらの一部を、ガラスの転移温度よりも高い温度で形成することも可能であり、好ましくはディジタルマトリックスコード(DMC)の形態で、本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されているような方法を用いて、形成することも可能である。ここでこれらの文献を参照したことにより、それらの開示内容が本願に明示的に取り込まれたものとする。この場合、上述のデータ特に欠陥データを、平文で(暗号化せずに)または予め定められたコーディングで付与することができる。
【0049】
管ストランドマーキング2は基本的に、最終製品もしくは中空ガラス製品(たとえば薬品容器)となるまで、そのまま残しておくことができるが、上述の別のマーキングは、後処理する企業においてガラス管半製品1を最終製品になるよう後処理する際に、再び取り除かれる。その際、場合によっては後処理する企業において、予め定められた計算規則またはコーディング規則に従い、それらの別のマーキングの情報内容を保持しながら、さらに別の評価に使用可能な新たなマーキングが付与される。
【0050】
図2aには、本発明による方法を実施するための、ガラス管半製品に欠陥データを付ける装置とガラス管半製品の後処理施設とが概略的に示されている。この場合、ガラス管半製品の後処理には、少なくとも部分的に実施される熱成形もさらに含めることができる。
【0051】
図2aの図面上部には、欠陥データ、管識別情報およびその他の情報を含め、マーキングをガラス管半製品に付与する装置が示されている。この場合に根底を成すのは、ディジタルマトリックスコード(DMC)を用い、さらに本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されているような方法を用いて、ガラス管半製品にマーキングを付与する、ということである。この場合、上述のように最初にガラス管半製品1に関して、欠陥データが測定装置10によって求められる。その際、
図1aに示したように、ガラス管半製品の長手方向に沿って互いに間隔をおいて配置された、好ましくは互いに一定の間隔で配置された、複数のサブセクションに関しても、欠陥データを求めることができる。欠陥データの捕捉後、それらの欠陥データは外部のデータベース12に記憶されるか、またはたとえばデータCDなどのようなデータ担体に格納される。その際にこのことは必ず、個々のガラス管半製品の一義的な識別を可能にする情報に対応づけて行われ、特にガラス管半製品のシリアル番号または管識別情報(以下では管IDとも称する)に対応づけて行われる。したがってあとの時点で、欠陥データについて間接的に再び問い合わせて読み出すことができる。
【0052】
別の選択肢として、またはこれに加えて、欠陥データを、または以降の後処理をガラス管半製品1の欠陥データに整合させるために用いられる、欠陥データの少なくとも主要な部分を、測定装置10の一部とすることもできるマーキング装置によって、たとえば
図1a~
図1cを参照しながら上述の記載で説明したマーキングを用いることで、個々のガラス管半製品1に直接、付与することができる。特に、ディジタルマトリックスコード(DMC)を用い、さらに本出願人による米国特許出願公開第20030029849号明細書(US 2003 0029849 A1)、独国特許出願公開第10234002号明細書(DE 102 34 002 A1)および国際公開第2012028611号(WO 2012 028611 A1)に開示されているような方法を用いて、欠陥データを含むマーキングをガラス管半製品に付与することができる。ただし欠陥データを、他の手法でガラス管半製品に付与することもでき、特にいわゆるRFIDタグを用いて付与することもできる。
【0053】
図2aによれば、欠陥データの測定もしくは算出および/またはガラス管半製品1のマーキングは、制御装置11による中央制御のもとで行われ、データをデータベース12に書き込むために、かつ/またはデータベースから読み出すために、この制御装置11をデータベース12と接続することもできる。
【0054】
図2aの図面下部には、ガラス管半製品の後処理装置20が概略的に描かれている。この装置は典型的には後処理する企業によって稼動され、そのような企業はガラス管半製品1を仕入れ、それらを後処理して最終製品特に中空ガラス製品を形成し、特にガラス容器、たとえば薬用物質、医用物質を保管するガラス容器または化粧用物質も保管するガラス容器を形成する。装置20は制御装置16特にプロセッサによって駆動され、この制御装置16は、
図1a~
図1cを参照しながらすでに説明したように、ガラス管半製品1の少なくとも1つのマーキングを読み取るために、読み取り装置15と接続されており、このマーキングに基づき、個々のガラス管半製品1に関する欠陥データを、たとえばデータベース12から(ネットワーク17たとえば企業内部のコンピュータネットワークを経由して、または特にセキュリティ保護されたデータ通信コネクションを介したネットワークを経由して)、あるいはデータ担体から、間接的に読み出すことができる。ただし読み取り装置15は、個々のガラス管半製品1に関する欠陥データを、個々のガラス管半製品におけるマーキングから直接、読み取ることもでき、たとえば個々のガラス管半製品1における光学的マーキングの読み取りまたはRFIDタグの読み取りによって直接、読み取ることもできる。装置20は、共通の制御装置16を介して欠陥データを使用できるようになる。
【0055】
ガラス管半製品の後処理装置20を特に、ガラス管半製品からサブセクションを切り離す装置とすることができ、これによってガラス管半製品は、たとえば上述の中空ガラス製品などのような最終製品となるよう後処理される。ガラス管半製品の後処理装置20を、品質が不十分なガラス管半製品を選別除去および/または一時保管する装置とすることもでき、これによって品質が不十分なガラス管半製品が選別されて完全に取り除かれ、つまり最終製品となるよう後処理はされず、または十分な品質を有するガラス管半製品の後処理が目下のパラメータによって実施された後、次いでパラメータを変更して、もしくは読み出された欠陥データにパラメータを整合して、品質が不十分なガラス管半製品が後処理される。ここで考えられるのはたとえば、切り離すロケーションまたはあとで後処理するロケーションを、それぞれガラス管半製品またはそれらのサブセクションについて読み出された欠陥データに合わせて整合および変更することである。
【0056】
ガラス管半製品の後処理装置20は、ガラス容器製造のために特に、本出願人の欧州特許出願公開第2818454号明細書(EP 2 818 454 A1)から公知の装置を併せて含むことができる。この装置は、主機と、その後段に設けられ処理ステップを実施する複数の処理ステーションを備えた底部処理機と、を含み、それらの処理ステーションは、
図2aでは一般的にサブユニット21~24として表されている。なお、これらのサブユニットの具体的な個数は、図示された4つのサブユニット21~24に明示的に限定されるものではない。その際、ガラス容器の製造にあたり最初に、主機の保持ユニットにガラス管が取り付けられ、次いで前処理のために、主機の回転によってガラス管が様々な処理ポジションに動かされる。その後、ガラス管が分離プロセスにおいて分離され、それによって生じたガラス容器が、後段に設けられた底部処理機の保持ユニットに引き渡され、そこにおいて様々な処理ポジションでさらに処理される。底部処理機の各処理ポジションにおいてたとえば、ガラス容器の底部を適切に成形するための様々なステップが行われる。この場合、特に、種々の熱成形プロセスおよび生じたガラス容器の高速回転によって、平坦な容器底部が形成され、このプロセス中、高温が優勢的であることから、容器底部は比較的粘性が低い。
【0057】
ガラス瓶(バイアル)を製造するためにたとえば、後段に設けられたいわゆる底部処理機の種々の処理ポジションに、多数のバーナが配置されている。後段に設けられた底部処理機も、前段に設けられた主機も、ロータ部分とステータ部分とから成り、この場合、ロータ部分は1回の製造サイクル中に自身の軸を中心に1回転する。底部処理機の処理ポジションは、ガラス管から分離されたガラス瓶の底部成形に用いられ、ガラス管からのガラス瓶の本来の分離が行われる少なくとも1つの分離ステップと、第1の底部成形ステップと、第2の底部成形ステップと、第3の底部成形ステップと、金型による底部成形ステップと、底部冷却ステップと、取り出しステップと、アイドリングステップと、を含む。これらすべての処理ステップにおいて、ガラス瓶は逆さまの状態で保持される。詳しくは、上述の処理ステップにおいて、以下の処理プロセスが相前後するサイクルで実施される。
【0058】
分離ステップにおいて、ネック部がすでに成形されて生じたガラス瓶が、最初に底部処理機の保持装置により逆さまの状態で受け取られ、次いでガラス管から分離される。この場合、ガラス瓶がガラス管から分離され、ガラス管の壁部が圧潰されて、底部が徐々に形成される。第1の底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が少なくとも1つのバーナによって処理され、これによってガラス瓶の底部が大雑把に成形される。第2の底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が少なくとも1つのバーナによってさらに処理され、これによってガラス瓶の底部が平坦に成形される。第3の底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が少なくとも1つのバーナによってさらに処理され、これによってガラス瓶のすでに成形されている底部がさらに精密化される。金型による底部成形ステップにおいて、ガラス瓶の底部が、比較的高いガス圧(好ましくは0.5~3.0bar)を用いて金型に押し込まれ、これによって底部が最終的に成形される。底部冷却ステップにおいて、ガラス瓶の底部が最終的に冷却される。取り出しステップにおいて、完成したガラス瓶が底部処理機から取り出される。アイドリングステップ中、底部処理機の保持ユニットは空き状態であり、次のステップで再び新たなガラス瓶を収容するために、保持ユニットが準備される。
【0059】
熱成形の場合には多くの処理ステップ中、ガラス瓶の底部は比較的可塑性があり、つまり比較的低い粘性を有する。この場合、ガラス瓶をガラス管半製品から分離する際に、また、後段に設けられた底部処理機において底部を成形するためのさらに別の処理ステップにおいても、上述の欠陥データが適用されずに、プロセスパラメータが適切に選定され、それぞれ処理されるガラス管半製品またはそれぞれ目下処理される個々のガラス管半製品のサブセクションの特性に合わせて整合される。これについては
図3aおよび
図3bを参照しながらあとで詳しく説明するが、その目的は、比較的狭い許容誤差範囲を常に遵守しながらも、他の有利な物理的または物理化学的特性の点でも優れており、特に、化学的耐性が高く、ガラス容器内で保管すべき物質に対するイオン放出特にアルカリイオン放出が僅かであり、かつ剥離傾向が少ない点でも優れている、できるかぎり均質な特性を有するガラス容器を形成することである。この場合、いわゆる剥離はたいてい、ガラス容器底部領域に生じた著しく高い温度ゆえに、アルカリホウ酸塩、ナトリウム等が高温のガラスから蒸発し、それらがガラス容器の比較的低温の領域に、特にガラス容器底部から所定の距離にあるリング状ゾーンに、そのまま再び堆積することに起因している。剥離傾向という名称で知られるこのような現象によって、ガラス容器の不変の最適な品質を保証するのが難しくなる。高温領域では特に、ガラスの化学量論的組成も変化している。その後、ガラス容器が冷えると、それによって表面層の相分離が発生し、これはガラス容器の化学的耐性にさらに悪影響を及ぼす可能性がある。熱成形プロセス中、従来は部分的に制御されていなかった条件に起因して、その結果としてガラス容器製造時にさらにばらつきが引き起こされる。
【0060】
付加的にオプションとして実行される熱成形により個々のガラス管半製品を後処理するために、装置20の複数のサブユニット21~24において、適切なプロセスパラメータが設定され、たとえばプロセス温度および/またはプロセス時間および/またはプロセスサイクルおよび/またはプロセス圧力および/またはバーナの加熱出力および/または後処理中にガラス管半製品を回転させるための回転速度等が設定される。本発明によればこれらのプロセスパラメータは、少なくとも部分的に実施される熱変形を含め、ガラス管半製品の後処理にあたり、個々のガラス管半製品1について求められた欠陥データに応じて、適切に設定される。ただし本発明によれば、熱成形に関するこれらのプロセスパラメータは、個々の欠陥データに依存して制御装置16により開ループ制御または閉ループ制御されない。そうではなく、これらのプロセスパラメータは、他の判定基準に基づき適切に設定される。
【0061】
図2bに示されているように、欠陥データ30,31を、たとえばルックアップテーブル形式で個々の管識別情報である管ID1,管ID2...に対応づけて、データベース内に記憶させておくことができる。
【0062】
次に
図3aおよび
図3bを参照しながら、ガラス管半製品を後処理して最終製品たとえばガラス容器を形成するための、本発明による方法に関する2つの実施例について説明する。
【0063】
図3aによれば、最初にステップS1において、たとえば外部のデータベース12(
図2a参照)へのアクセス、ガラス管半製品に設けられたデータ担体またはマーキングの読み取りによって、後処理すべき個々のガラス管半製品に関する欠陥データが読み込まれる。次いでステップS2において、後処理装置に対して目下設定されているプロセスパラメータを目下処理すべきガラス管半製品に関して変更する必要があるか否かについて特に、読み出された欠陥データが評価される。ステップS2において、後処理装置の目下のプロセスパラメータが新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションに関しても適切である、と判定されたならば、新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションの後処理が、目下のプロセスパラメータによって行われる。そうでなければ、後処理のプロセスパラメータが、新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションの欠陥データに整合される。新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのサブセクションの後処理後、他のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の他のサブセクションをさらに処理するために、この方法は再びステップS1に戻る。
【0064】
図3aに示した方法とは異なり、
図3bによる方法の場合にはステップS11の後、新たに処理すべきガラス管半製品もしくはそのガラス管半製品の次のサブセクションの後処理が、後処理のプロセスパラメータの目下の設定でそもそも可能であるか否かについて、最初に問い合わせられる。これが該当しなければ、プロセスパラメータを即座に変更するのではなく、まずはステップS14において、新たに処理すべきガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションの後処理がそもそも可能であるか否かについてチェックされ、つまりプロセスパラメータが個々の欠陥データに相応に整合されたとしたならば、これが可能であるか否かについてチェックされる。これが該当するならば、新たに処理すべきガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次に処理すべきサブセクションが、ステップ15において一時保管される。そうでなければ、新たに処理すべきガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の処理すべき次のサブセクションが、ステップS16において選別除去される。なぜならば、選別除去されたこのガラス管半製品もしくは処理すべき次のサブセクションに対して後処理がまったく不可能である、ということがステップS14において判定されたからである。
【0065】
次いでこの方法はステップS10に戻り、次のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションの後処理が続けられ(ステップS10~S13)、これは、次のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションも引き続き処理不可能(ステップS14の否定判定およびステップS16の選別除去)でないかぎり、または次のガラス管半製品もしくは目下処理すべきガラス管半製品の次のサブセクションも、ステップS15において一時保管されるかぎり、続けられる。
【0066】
ステップS15において、十分に多くの個数のガラス管半製品もしくはサブセクションが一時保管されたならば、この方法はステップS10に戻った後で最初に、ステップS15において一時保管されたガラス管半製品もしくはサブセクションに対するプロセスパラメータを、適切に整合もしくは設定することができ、その後、それらのガラス管半製品もしくはサブセクションに関して欠陥データに整合されたプロセスパラメータを用いて、それらのガラス管半製品もしくはサブセクションを、ステップS13においてさらに処理することができる。これにより時間が節約されることになる。なぜならば、後処理のためのプロセスパラメータを持続的に整合する必要がなく、グループごとに整合するだけでよいからであり、つまりステップS15において一時保管されたガラス管半製品もしくはサブセクションの次のグループについて整合するだけでよいからである。
【0067】
ステップS15は特に、ガラス管半製品もしくはサブセクションを、同じプロセスパラメータを後処理に適用する必要のあるガラス管半製品もしくはサブセクションの1つまたは複数のクラスへと予備選別するためにも適している。このようにすることによって、後処理をガラス管半製品もしくはサブセクションのかかるクラスに関して、グループごとにもしくはシーケンシャルに実施することも可能となり、これによって後処理のためのプロセスパラメータを、それぞれガラス管半製品もしくはサブセクションの新たなクラスに関する欠陥データに対してのみ、それぞれ整合させるだけでよくなる。
【0068】
本発明による方法を実施するための前提として、管製造中にガラス管半製品の後処理に関連する欠陥を捕捉もしくは供給する必要がある。これは特に、管製造時に求められる個々のガラス管半製品の品質に関する情報に係わるものであり、特に、ガラス管半製品に関する以下の情報のうち少なくとも1つの情報である。すなわち、
・ガラス管半製品の壁中の混入物、ただし気泡、結節、結晶領域等を含む。
・ガラス管半製品の表面上または体積中の機械的損傷、ただし擦り傷、材料剥離を含む。
・ガラス管半製品の表面上または体積中の不均質性、ただし他の光学的屈折力および光学的線条の領域を含む。
・欠陥タイプ。
この場合、欠陥データは好ましくはさらに、ガラス管半製品の欠陥のロケーションおよびポジションに関する情報を含み、好ましくはガラス管半製品の欠陥サイズに関する情報も含む。
【0069】
ガラス管の良/不良選択後、これらの欠陥データはもはや管固有には保管されず、後処理する企業がこれらのデータにあとから再びアクセスできなくなることがなく、そのようにすれば後処理する企業は相応の測定を繰り返す必要がない。むしろ本発明によれば、管製造時に生じたデータを、個々のガラス管の特性に関する関連情報と共に、後処理する企業が利用できるようになり、したがってガラス管の個々の後処理をそれらの欠陥データに整合させて実施することができ、本発明によればガラス管半製品の関連特性を再度測定する必要がなくなる。この目的で、各管は製造プロセス中、直接またはデータ参照として間接的に測定データを含むコーディングを有しており、これは後処理する企業に読み取られ、ガラス管の後処理のために適用することができる。
【0070】
第1の適用事例は、狭い許容誤差範囲内に抑えられ、かつ/または予め定められた最大サイズを有する僅かな欠陥しかない最終製品(たとえば中空ガラス製品)の製造にあたり、ガラス管を選択するために、たとえば10.85mmの目標外径で±0.1mmの許容誤差範囲であり欠陥の最大サイズがたとえば直径0.1mmであるガラス管を選択するために、欠陥測定値を使用することに関する。ガラス管製造中に求められたオンライン測定値に基づき、たとえば欠陥サイズや個々の欠陥タイプ(たとえば混入物、擦り傷、気泡等)に関する情報がガラス管に付される。本発明によれば、ガラス管製造中に測定された欠陥データがガラス管に割り当てられるように、製造中にガラス管にコーディングが付される。この割り当てを、関連測定値がガラス管のマーキングに書き込まれるようにして、直接的に行ってもよいし、または各ガラス管が一義的なシリアル番号によりコーディングされて、ガラス管に対する関連欠陥データが後処理する企業においてリスト/データベースから呼び出されるようにして、間接的に行ってもよい。間接的な方法によれば、使用可能な欠陥データが格段に増える。
【0071】
この適用事例の場合、たとえば上方、中央および下方の許容範囲でガラス管の欠陥/欠陥タイプを表示することができる。測定データを読み出すことによって、ガラス管を複数のクラスに選別することができ、ただしそれらをあとで個々のクラスに応じて、欠陥/欠陥タイプに整合された統一的なパラメータを用いて、後処理することができる。最も簡単な適用事例はたとえば、ガラス管を欠陥タイプクラスに予備分類し、それらの欠陥タイプクラスに従ってグループごとに、しかも個々の欠陥タイプクラスに整合されたプロセスパラメータをそのつど用いて、後処理することである。その利点とは、後処理装置の設定が標準化され、ユーザの介入が最小限に抑えられて、ガラス管加工の安定化が著しく高まることである。このようにすれば、狭い許容誤差範囲内に抑えられた最終製品および/または品質が高められた最終製品を製造することができ、これを出発ガラス管に対して欠陥上限の遵守を要求せずに行うことができ、そのような要求をするならば、メーカにおいて著しく多くのコストとダウンタイムが生じてしまうことを意味する。目下の従来技術とは異なり、特に管を全長にわたって測定する手間が省かれる。たとえば、管に設けられたコード用の簡単な読み取り装置を用いることによって、データをじかに読み取ることができる。
【0072】
さらに別の可能な適用事例によれば、たとえばカッティング装置などのような管加工処理機の動作を整合させるために、欠陥データが使用される。
【0073】
たとえば欠陥が多すぎる管などのように、不所望な特性を有する個々の管を選別することも、同様に可能である。
【0074】
後処理において著しく多様な要求を扱うために、僅かな許容誤差範囲で十分であるため、管メーカにとって、製品範囲の低減という利点が得られる。
【0075】
適用事例 (後処理する企業における)商品入荷コントロール:
【0076】
後処理する企業における商品入荷コントロールの際に、許容誤差範囲や統計的特性量等の遵守について納品されたガラス管の無作為抽出検査を行う代わりに、本発明によれば、同じく供給された欠陥データに基づき、つまりガラス管の具体的な測定データに基づき、後処理する企業において、メーカによる測定データと後処理する企業(=ユーザ)による測定データとの比較を行うことができる。この比較のためには、僅かな個数の納品済みガラス管しか必要とされず、その理由は、他のすべてのガラス管に関する偏差を相応に算出できるからである。このようにすれば、後処理する企業における商品入荷コントロールのためのコストが劇的に低減され、かつ比較測定の精度が著しく高められる。機械製のパーツとは異なり、ガラス管は製造方法ゆえに、材料中または表面上に欠陥を有しており、たとえば以下のような欠陥を有している。すなわち、ガラス管半製品の表面上または体積中の機械的損傷ただし擦り傷、材料剥離を含む、ガラス管半製品の表面上または体積中の不均質性ただし他の光学的屈折力および光学的線条の領域を含む。従来、高精度の直接的な比較測定は、その際に発生する誤差変動によって不可能になっていた。なぜならば、測定ポジションにすでに僅かに偏差(数mm)が生じることから、数μmの測定誤差が引き起こされる可能性があるからである。この作用を回避するために、ガラス管のコードに欠陥ポジション、欠陥サイズおよび欠陥タイプを記録して、正確な比較測定が行えるようにすることができる。したがってこの方法によれば、実質的に欠陥のない(「ゼロ欠陥」)製品の基礎として、無作為抽出検査から個別製品検査への移行が可能となる。
【0077】
よって、ガラス管のガラス品質に対するデータ(たとえば気泡、結節、結晶...)そのものをコードに記録することができ、ガラス管の個々の後処理の条件を、ガラス管のガラス品質(またはもっと一般的には個々の欠陥データ)に整合させることができる。
【0078】
すでに言及したとおり、既述のマーキングはトレーサビリティ用のマーキングではなく、特に熱成形に至るまでのトレーサビリティ用のマーキングではない。なぜならば、ガラス管半製品を製造するための先行プロセスにおける欠陥を見つけるために、または欠陥の責任を見つけるために、記録された欠陥データが用いられるわけではないからである。そうではなく欠陥データは、(あとで
図4および
図5a~5eによるプロセスダイアグラムにおいて示すように)後処理における条件を個々の欠陥データに適切に整合させるために用いられ、これによれば極端なケースでは最終製品が破棄される場合もある。
【0079】
次に、
図4および
図5a~5eを参照しながら、本発明による方法のさらに別の好ましい実施例について説明する。
【0080】
詳しく述べると
図4には、上下に描かれた3つのプロセスフローダイアグラムに、本発明による方法の3つの実施態様(I~III)が描かれている。
【0081】
図4の上方部分に示されているように、ガラス管半製品が分離されるガラス管ストランドの熱成形中、管ストランドの品質が検査される(ステップ1.検出)。特にここでは、ガラス管ストランドに対し欠陥データが求められる。その際に欠陥を個別に測定することができ、特にサイズおよびロケーションについて求めることができ、好ましくは欠陥タイプ(混入物、擦り傷、気泡等)も求めることができる。対応する欠陥データは、ガラス管半製品の後処理を整合するために用いられ、特に1つのガラス管半製品から複数のサブセクションを分離するために、低品質のガラス管半製品またはそれらのサブセクションを選別除去するために、あるいは個々のガラス管半製品を別のロケーションで後処理するために、特に、十分な品質をそのロケーションで示す適切な欠陥データを有するロケーションで後処理するために用いられる。欠陥データは、後処理する企業によってアクセス可能なデータベースまたはデータ記憶装置に、長期にわたり記憶される(ステップ1a.データ)。
【0082】
ガラス管半製品が各ガラス管半製品に分離された後、個々の番号つまりたとえば連続するシリアル番号を付与し(ステップ2.マーキング)、一般的にはそれらをデータベースまたはデータ担体に格納された管品質に関する欠陥データと結合すれば(ステップ2b.組み合わせ)、また、ガラス管半製品の品質マップ(すなわちガラス管半製品のいずれのロケーションでいずれの欠陥または品質不足が存在するのかを示すマップ)と結合すれば、ガラス管半製品が再び梱包された後、上述の個々の番号をガラス管半製品の後処理のために読み取ることができ(ステップ3.読み取り)、個々のガラス管半製品の品質もしくは欠陥についてデータベースまたはデータ担体に問い合わせることができる(ステップ3c)。全体の品質および品質マップが既知であれば、たとえばバイアル、カートリッジまたはシリンジなどのような中空ガラス製品が熱成形により製造されるサブセクションがガラス管半製品から分離された後(または分離される前)に、個々の管部材に関する欠陥データを算出することができ(ステップ4)、後処理を管部材の欠陥データに整合させることができ(ステップ5)、または極端なケースでは、品質不足ゆえに管部材を破棄することができる。
【0083】
この場合、欠陥データは、ガラス管半製品の外観上の三次元で局所分解された特性に関する情報を含んでおり、特に製造欠陥およびそれらの座標に関する情報(ガラス管半製品の品質マップ)を含んでいる。欠陥データとガラス管半製品との結合とは、特に直接的な結合のことを意図しており、特に、レーザによるガラス管半製品への直接的な書き込み、ラベルの印刷または貼り付けによる、個々の番号またはコード(シリアル番号、バーコードまたはQRコード)の付与によって、あるいはガラス管半製品を規定の順序でガラス管半製品スタック内に配置し、このスタック内のガラス管半製品の順序に関しても欠陥データに記録することによって、直接的な結合を行うことを意図している。欠陥データの使用には特に、個々のガラス管半製品の品質マップを(ディジタルでもアナログでも)使用できるようにすることが含まれ、この場合、ディジタルには、ガラス管半製品のコーディングによりサーバ、データベースまたは他の記憶媒体においてディジタル欠陥データを使用できるようにすることが含まれ、あるいはアナログには、ガラス管半製品の品質マップの転送、あるいは個々のまたは複数の欠陥イメージをガラス管半製品に直接付与することによって(たとえばいわゆるエアラインのレーザコーディングなどによって)使用できるようにすることが含まれる。
【0084】
さらに以下では、使用される用語について説明する。
【0085】
検出とは特に、外観上の三次元の品質について、コントロール装置を用いて、特に視覚検査用のコントロール装置を用いて、製造されたガラス管半製品を検査することである。これに関連してマーキングには特に、たとえば個々の番号、QRコード、バーコード、ラインスキャンコードなどのように、たとえばレーザ、ラベルまたはインキによってガラス管半製品に付与される個々のマーキングすべてが含まれる。マーキングには、ガラス管半製品の間接的な個別化も含まれ、たとえばガラス管半製品をスタック内に既知の順序で配置してそのスタックを個別化すること、またはガラス管半製品を所定の順序でパレットに配置してそのパレットを個別化することも含まれる。さらにマーキングには、たとえば低品質の複数のガラス管半製品を番号、QRコード等によりマーキングするといった、非個体別のマーキングの手法が含まれ、またはシンボルによって欠陥をじかにマーキングすることが含まれ、特に、レーザ、インキおよびラベルによるマーキングの付与により低品質の領域にマーキングすることが含まれ、たとえばエアラインなどの欠陥のレーザマーキングが含まれる。
【0086】
これに関連してマーキングの読み込みには特に、数字、バーコードおよびQRコード等を読み取る手法が含まれ、ただし物体認識イメージング法を用いた上述の非個体別のコードのイメージングによる読み込みも含まれる。この場合、マーキングの読み込みを、明示的にガラス管半製品の分離(ステップ2)の前にスタック内で行うことができ、ただしガラス管半製品の分離(ステップ2)の後、スタックから出されてから行うこともでき、または品質不足領域にじかにマーキングするケースであれば、やはり分離後(ステップ3)に管セクションもしくは最終製品において行うこともできる。
【0087】
品質不足領域の識別を、たとえば欠陥マーキングコードの識別により直接的に行ってもよいし、好ましくは個々の番号の読み込みまたは算出、品質不足領域のマップ形成、措置が必要とされる管セクションの算出等によって、間接的に行ってもよい。
【0088】
これに関連する措置は特に、品質不足領域および品質不足の結果生じたプロセスの整合であり、特に、
・補償不可能なクリティカルな品質不足、特に、分離(ステップ3)後の熱成形前、熱成形後のいわゆるストーン、エアライン、亀裂などに起因する管セクション、半完成品および製品の破棄、または最終顧客へのかかる欠陥データの引き渡し。
・さらに特に、個々のガラス管半製品において欠陥データが十分な品質を示している適切なロケーションでの後処理であり、この後処理には既述のように、少なくとも部分的に実施される熱成形を含む後処理も含めることができる。
【0089】
以下では、
図5a~
図5eによる実施例についてさらに説明する。
【0090】
図5bによる方法のバリエーションIIは、
図5aによる方法のバリエーションIと類似しているが、バリエーションIIの場合には分離(1)後に検出が行われる。
【0091】
図5cによる方法のバリエーションIIIは、
図5bによる方法のバリエーションIIと類似しているが、バリエーションIIIの場合にはマーキング後に検出が行われる。
【0092】
図5dによる方法のバリエーションIVは、
図5a~
図5cによる方法のバリエーションI~IIIと類似しており、第1の方法ステップは方法のバリエーションI,IIまたはIIIと同様に行われる。方法のバリエーションIVの場合には、欠陥データは分離(3)後に初めて読み出されて使用される。
【0093】
方法のバリエーションVは、方法のバリエーションI~IIIと類似しており、第1の方法ステップは、方法のバリエーションI,IIまたはIIIと同様に行われる。方法のバリエーションVの場合には、欠陥データは製造および分離(ステップ5)後に初めて使用される。これらの欠陥データによって、後処理する企業に対したとえば、目下検出されたエアラインが開放型であるのか閉鎖型であるのかを示すことができる。
【0094】
さらに別の方法のバリエーションVI(図示せず)は、上述のバリエーションI~IVの組み合わせである。
【0095】
ガラス管半製品表面の欠陥検出およびマーキングに関して、特にガラス管製造プロセス中の以下のポジションが考えられる:
【表1】
【0096】
本発明による方法は、狭い許容誤差範囲内に抑えられた任意の最終製品を製造するためのガラス管の後処理全般に適している。かかる最終製品の好ましい例は、薬用物質、医用物質のための容器であり、または化粧用物質のための容器でもあり、たとえばバイアル、カートリッジまたはシリンジである。
【符号の説明】
【0097】
1 ガラス管またはガラス管半製品
2 管ストランドマーキング
3 管マーキング
4 管識別情報
5 付加的な管データ
10 測定装置/測定およびマーキング装置
11 (ガラス管メーカにおける)制御装置
12 データベース
15 読み取り装置
16 (後処理する企業における)制御装置
17 ネットワーク
20 後処理装置
21 後処理装置20のサブユニット1
22 後処理装置20のサブユニット2
23 後処理装置20のサブユニット3
24 後処理装置20のサブユニット4
30 管ID1に関する欠陥データ
31 管ID2に関する欠陥データ
l 予め定められた間隔
Z 長手方向