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  • 特許-センサ装置 図1A
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  • 特許-センサ装置 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20220218BHJP
   G01L 1/14 20060101ALI20220218BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220218BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H01H36/00 J
G01L1/14 L
G06F3/041 422
G06F3/044 140
G06F3/041 470
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018025904
(22)【出願日】2018-02-16
(65)【公開番号】P2019145234
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 絵里子
(72)【発明者】
【氏名】高松 信
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-215953(JP,A)
【文献】特開2010-217967(JP,A)
【文献】特開2009-032570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
G01L 1/14
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材と、
前記絶縁性基材の一方の主面に形成されたセンサ電極と、
前記センサ電極の周囲の少なくとも一部に形成された第1シールド部とが、操作面側に配置される第1面に設けられたタッチセンサと、
前記第1シールド部に含まれるシールド電極と対向配置され、前記第1面とは異なる第2面に設けられた検知電極と、備え、
前記第1面の方が前記第2面よりも前記操作面側に位置し、
前記シールド電極と前記検知電極とは、前記シールド電極と前記検知電極とが接近することによる静電容量値の変化を検出する感圧センサを構成するセンサ装置において、
前記検知電極は、前記絶縁性基材のうち、前記センサ電極及び前記第1シールド部よりも外側であって所定領域を介在させた位置に形成され、前記所定領域が屈曲されることにより、前記検知電極は前記シールド電極と前記対向配置されること特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記シールド電極と前記検知電極との間に配置された弾性体を、さらに備える請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
平面視において、前記シールド電極は、前記検知電極を覆っている請求項1又は2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記検知電極は、導電性材料により塗りつぶされていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記検知電極の周囲の少なくとも一部に形成された第2シールド部を、さらに備えることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
押圧変形に応じた静電容量の変化を検知する感圧センサを備えるタッチパネルにおいて、指などの操作子の接近による静電結合を遮る遮断体を設けることにより、感圧センサの誤検知を防止する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5446626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術においては、タッチパネルとは別の独立した感圧センサ及び遮断体を設ける必要があるため、部品点数が増加する。その結果、製品の総厚が厚くなり、製品のコストも増加するという不都合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、感圧センサ及びタッチセンサを有するセンサ装置において、部品点数を増加させることなく、操作子の接近時に生じる静電結合による感圧センサの誤検知が防止されたセンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、絶縁性基材と、前記絶縁性基材の一方主面に形成されたセンサ電極と、前記センサ電極の周囲の少なくとも一部に形成された第1シールド部とが、操作面側に配置される第1面に設けられたタッチセンサと、前記第1シールド部に含まれるシールド電極と対向配置され、前記第1面と異なる第2面に設けられた検知電極と、を備え、前記第1面の方が前記第2面よりも操作面側に位置し、前記シールド電極と前記検知電極とは、前記シールド電極と前記検知電極とが接近することによる静電容量値の変化を検出する感圧センサを構成すること特徴とするセンサ装置を提供することにより、上記課題を解決する。
【0007】
[2]上記発明において、前記シールド電極と前記検知電極との間に配置された弾性体を、さらに備えてもよい。
[3]上記発明において、平面視において、前記シールド電極は、前記検知電極を覆って形成できる。
【0008】
[4]上記発明において、前記検知電極は、導電性材料により塗りつぶして形成できる。
【0009】
[5] 上記発明において、前記検知電極の周囲の少なくとも一部に形成された第2シールド部を、さらに備えてもよい。
【0010】
[6]上記発明において、前記検知電極を、前記絶縁性基材のうち、前記センサ電極及び前記第1シールド部よりも外側であって所定領域を介在させた位置に形成させ、前記所定領域が屈曲されることにより、前記検知電極が前記シールド電極と前記対向配置させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、感圧センサ及びタッチセンサを有するセンサ装置において、容量結合を遮るための遮断体を新たに設けることなく、操作子の接近時に生じる容量結合に起因する感圧センサの誤検知を防止するセンサ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】第1実施形態のセンサ装置を示す平面展開図である。
図1B図1Aに示すIB-IB線に沿うセンサ装置の断面図である。
図2A】第2実施形態のセンサ装置を示す平面展開図である。
図2B図2Aに示すIIB-IIB線に沿うセンサ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
本実施形態のセンサ装置1は、車両に搭載されるカーナビゲーションの操作スイッチや、エアーコンディショナーやオーディオ装置等の電子機器の静電容量式スイッチや、タッチパネル式ディスプレイ等に適用可能である。
【0014】
以下、図1A、及び図1Bに基づいて、センサ装置1の構成を説明する。
図1Aは、第1実施形態のセンサ装置1の平面展開図であり、図1Bは、図1Aに示す展開状態のものを組み立てたセンサ装置1のIB-IB線に沿う断面図である。
【0015】
図1Aに示すように、センサ装置1は、絶縁性基材11と、センサ電極12(12a,12b,12c)と、第1シールド部13(131,132)と、検知電極14とを有する。同図に示す態様は一例であり、センサ電極12(12a,12b,12c)、第1シールド部13(131,132)、検知電極14の配置、数、形状は限定されない。例えば、同図では、検知電極14が2個の例を示すが、1個でも3個以上でもよく、センサ電極12の数に合わせて3個としてもよいし、絶縁性基材11の4隅に対応させて配置して4個としてもよい。本実施形態の絶縁性基材11は、図中X方向(図中横方向)に沿って領域A,領域B及び領域Cを有する。図1Aに示すセンサ装置1においては、センサ電極12及び第1シールド部13は領域Bに形成され、検知電極14は領域A及び領域Cのそれぞれに一つずつ形成される。本例に示す第1シールド部13は、センサ電極12の周囲に設けられるが、各センサ電極12a、12b、12cの間に延在させてもよい(図2Aを参照)。図1Aの平面展開図に示されるように、センサ電極12、第1シールド部13及び検知電極14は、絶縁性基材11の同一の主面11aに形成される。なお、図1Aに示す例では、図中X方向が長手となるように形成されるセンサ装置1を例にして説明するが、図中Y方向が長手となるセンサ装置1を作製してもよい。センサ電極12、第1シールド部13を絶縁性基材11の一方主面に形成し、検知電極14を絶縁性基材の他方主面に形成してもよい。
【0016】
本実施形態のセンサ装置1において、センサ電極12と第1シールド部13とは、タッチセンサTSを形成し、シールド電極131と検知電極14とは、感圧センサを形成する。感圧センサを形成するシールド電極131は、タッチセンサTSを形成する第1シールド部13の一部である。タッチセンサTSにおける第1シールド部13の一部であるシールド電極131が、感圧センサの検知電極14と対をなす電極の機能を兼ねる。
【0017】
図1Aに示すセンサ装置1は、領域Aと領域Bとの間、つまり領域Aと領域Bとが連なる接続部分に所定領域Rを有する。同様に、センサ装置1は、領域Bと領域Cとの間、つまり領域Bと領域Cとが連なる接続部分に所定領域Rを有する。この二つの所定領域Rは、それぞれ折り曲げ部Fを含む。領域Aは、領域B側に折り曲げられる。本例の折り曲げ部Fは、X軸に沿って異なる位置に設けられたY軸に沿う二本の折れ曲げ線L1,L2を含む。図中左側の領域Aについては、折り曲げ線L1及び/又はL2に沿って、または折り曲げ線L1又はL2の近傍で、Y軸に沿って(Y軸を中心に)折り曲げられる。絶縁性基材11は可撓性を備えた薄いシート状であるため、折り曲げられた折り曲げ部Fは曲面状となる。この折り曲げ操作により、折り曲げられた領域Aは領域Bと略面平行の位置関係となり、領域Aと領域Bが重なり、領域Aに形成された検知電極14とシールド電極131とが対向配置された状態となる。同様に、領域Cも、領域Cが領域Bに重なるように折り曲げられる。この折り曲げ操作により、折り曲げられた領域Cは領域Bと略面平行の位置関係となり、領域Cと領域Bが重なり、領域Cに形成された検知電極14とシールド電極131とが対向配置された状態となる。この状態でセンサ装置1を組み立てる。組み立てられたセンサ装置1の断面を図1Bに示す。
【0018】
図1Bに示すように、組み立てられたセンサ装置1においては、センサ電極12と第1シールド部13とは、センサ装置1に対して入力操作等が行われる操作面側に配置される第1面15aに設けられ、検知電極14は、第1面15aに対して、指などの操作子FINが接近乃至接触する操作面側から-Z方向(図中上側を+Z方向と定義した場合における図中下側)の位置に配置された第2面15bに設けられる(形成される)。したがって、第1面15aの方が第2面15bよりも操作面側に位置する。ここで操作面側とは、センサ装置1において、指などの人体を含む操作子FINの接近乃至接触による入力操作が行われる操作面に近い方(近い側)の位置を示す。第1面15aと第2面15bとは、図中Z方向で示すセンサ装置1の厚さ方向の位置(高さ)が異なる。第1面15aの位置のほうが、第2面15bの位置よりも操作面に近い。本例では、説明の便宜上、第1面15aと第2面15bの位置を弾性体15の表裏面の位置を基準として設けた例を示すが、絶縁性基材11の一方主面又は他方主面の位置を基準として第1面15aと第2面15bの設定位置を定義してもよいし、弾性体15や縁性基材11に沿って設けられた他の部材の一方主面又は他方主面の位置を基準として第1面15aと第2面15bの設定位置を定義してもよい。本例における第1面15aと第2面15bは、センサ装置1を構成する何れかの部材のXY面に沿う面であり、Z座標値が異なる面である。
【0019】
センサ装置1において、第1面15aの方が第2面15bよりも操作面側に位置すれば、第1面15aと第2面15bの形成方法は限定されない。例えば、図1Aのように、センサ電極12及び第1シールド部13を絶縁性基材11の一方の主面の領域Bに形成し、検知電極14を絶縁性基材11の一方の主面の領域A及び領域Cに形成し、図1Bのように、センサ電極12及び第1シールド部13と検知電極14との間に絶縁性基材11が介在しないように折り曲げることで、第1面15aと第2面15bを形成してもよいし、逆側に折り曲げてセンサ電極12及び第1シールド部13の検知電極14側(図中下側)、及び、検知電極14のセンサ電極12及び第1シールド部13側(図中上側)に絶縁性基材11が介在するように第1面15aと第2面15bを形成してもよい。この場合においても、操作面を基準にすると、図中、Z軸方向に沿って、操作面、センサ電極12を含むタッチセンサTS(第1面15a)、検知電極14(第2面15b)の順で配置される。
また、第1面15aと第2面15bとは、異なる絶縁性基材11の主面に形成してもよい。つまり、センサ電極12と第1シールド部13とが形成された絶縁性基材11と、検知電極14が形成された絶縁性基材11とが異なる基材であってもよい。
【0020】
図1Aに示すセンサ装置1の折り曲げ部Fは、絶縁性基材11の図中Y軸方向に沿った領域を切り欠いて形成される。つまり、折り曲げ部FのY軸方向に沿う長さ(図中Hと垂直方向の長さ)が、領域AのY軸方向に沿う長さよりも短くなるように形成される。折り曲げ部FのY軸方向に沿う長さは、折り曲げ線に沿う長さである。折り曲げ部FのY軸方向に沿う長さを領域AのY軸方向の長さよりも短くすることにより、可撓性が下がるので折り曲げやすくなり、折り曲げ作業(センサ装置1の組み立て作業)を簡易にできる。また、折り曲げた後においては、折り曲げ部にかかる弾性力が下がるので、第1面15aと第2面15bの平行性を保ちやすくなる。図1Aに示す折り曲げ部Fの図中X軸方向に沿った長さHは、組み立て時における領域Bと領域Aの間の距離/領域Cと領域Aの間の距離以上とすることが好ましい。
【0021】
図1Bに示すように、センサ装置1の表面(操作面/入力面)には表示パネル17を配置してもよい。表示パネル17は、ポリカーボネート基材、アクリル基材、ガラス基材などの透明な材質で構成することが好ましい。また、特に限定されないが、センサ装置1の表示パネル17の配置位置とは反対側の位置(図中下側)には、ベース基材18を配置してもよい。ベース基材は、センサ装置1と接触してセンサ装置1を支持してもよいし、センサ装置1と離間していてもよい。ベース基材18は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ガラスエポキシ又はポリエチレンナフタレート(PEN)などのシート状の基材である。このベース基材18の絶縁性基材11側の面には発光体としてのLED16a,16b、16cを配置してもよい。図1Bに示すように、指などの操作子FINが表示パネル17に触れることにより信号(操作指令)が出力される。操作子FINは、指、タッチペンを含む。表示パネル17、ベース基材18は、接着剤や粘着テープを用いて接着できる。特に限定されないが、接着剤や粘着テープの材料としては、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコン樹脂系等を用いることができる。なお、接着剤を表示パネル17やベース基材18やセンサ装置1に塗布して用いる場合には、接着剤を熱硬化、紫外線硬化、熱溶融させて接着させることができる。
【0022】
センサ電極12を含むタッチセンサTSの一態様としてタッチスイッチを適用することができる。タッチスイッチに代えて、タッチパネルを採用してもよい。
【0023】
図1Bに示すように、絶縁性基材11の領域Bの主面11aが下側(表示パネル17とは反対側の方向)に向くように配置され、屈曲された領域A及び領域Cの主面11aが表示パネル17側の方向)に向くように配置されている。領域Bの主面11aに形成されたセンサ電極12a,12b,12cは指などの操作子FINとの間の静電容量の変化を検知する。センサ電極12a,12b,12cは、一般的な静電容量センサの電極と同様の機能を備える。
【0024】
以下、センサ装置1の構成部材について説明する。
絶縁性基材11は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)又はポリエチレンナフタレート(PEN)などのシート状の基材である。本実施形態では、透明性が高く、可撓性を備えたポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる。絶縁性基材11の厚さはどのような厚さでもよいが、折り曲げ性を考慮すると10[μm]~200[μm]とすることができる。
【0025】
図1Aに示すように、本実施形態のセンサ電極12、第1シールド部13、及び検知電極14は、絶縁性基材11の同一の主面11aに形成される。本実施形態のセンサ電極12、第1シールド部13と検知電極14とは、それぞれ、絶縁性基材11の異なる主面に形成されてもよい。例えば、センサ電極12と第1シールド部13は絶縁性基材11の一方主面に形成し、検知電極14は絶縁性基材11の他方主面に形成してもよい。センサ電極12、第1シールド部13、及び検知電極14は、銀、銅、カーボンなどの導電性材料により形成される。これらセンサ電極12と、第1シールド部13と、検知電極14は、出願時に知られているスクリーン印刷やグラビアオフセット印刷などの印刷法や、サブトラクティブ法、アディテブ法(フルアディティブ法又はセミアディティブ法のいずれでもよい)などの手法を用いて形成できる。本実施形態においては、センサ電極12と、第1シールド部13と、検知電極14は、絶縁性基材11の同一の主面11aに形成されるので、一回の製造工程により同時に形成できる。
【0026】
センサ電極12は、第1センサ電極12aと、第2センサ電極12bと、第3センサ電極12cを含む。第1センサ電極12aと、第2センサ電極12bと、第3センサ電極12cは、それぞれ、静電容量の変化を検知する。第1センサ電極12aに接続する信号配線121aと、第2センサ電極12bに接続する信号配線121bと、第3センサ電極12cに接続する信号配線121cは、外部の演算装置に接続される。
【0027】
本実施形態の第1シールド部13は、同じく、絶縁性基材11の一方の主面11a上であって、センサ電極12の周囲の少なくとも一部に形成される。センサ電極12の周囲に設けられるシールド電極131の数は限定されない。センサ電極12の周囲に設けられるシールド電極131は、離散的に設けてもよいし、センサ電極12を取り囲むように設けてもよい。第1シールド部13は、グランドや定電位に接続される。第1シールド部13は、シールド電極131と、シールド電極131と接続されるシールド配線132とを含む。シールド配線132は、外部に引き出されグランドや定電位に接続される。図1Aに示す例において、シールド電極131及びシールド配線132は、センサ電極12を取り囲むように配置される。第1シールド部13は、センサ電極12と操作子FINとの間の静電容量を正確に検知できるようにノイズを排除する。これにより、タッチパネルに接近した導電体との静電結合による誤検知を防止できる。
【0028】
本例に示す第1シールド部13は、センサ電極12の周囲に設けられるが、第1シールド部13の態様は限定されない。例えば、各第1~第3センサ電極12a、12b、12cの間に延在させたシールド配線133,134(図2Aを参照)を含んでもよい。この場合には、このシールド配線133,134に対向配置された検知電極14を配置してもよく、この場合には、シールド配線133,134はシールド電極として機能する。また、図1Aに示す例では、線状のシールド配線132を設けているが、線状でなくてもよい。シールド電極131以外の第1シールド部13は、その態様・形状にかかわらずシールド配線として機能する。例えば、図示しないが、第1シールド部13は、第1センサ電極12aと、第2センサ電極12bと、第3センサ電極12cのそれぞれの全周囲と、絶縁性基材11の余白を埋めるように二次元的に配置してもよい。この場合において、シールド電極131を除く箇所(領域)のすべてがシールド配線となる。
【0029】
第1シールド部13は、銀、銅、カーボンなどの導電性材料により形成してもよい。シールド電極131は、図1Aに示すように網目形状に形成することが好ましい。シールド配線132も網目形状に形成してもよい。シールド電極131を網目形状に形成することにより、センサ電極12に対する操作子FINの入力操作を精度高く検知できる。センサ電極12は、第1シールド部13も含めた周囲に存在する誘電体との間で発生する静電容量変化を検知することにより操作子FINの接触を検知する。第1シールド部13に含まれるシールド電極131を網目形状ではなく、塗りつぶした(ベタ)パターンとすると、センサ電極12と第1シールド部13との静電結合が大きくなりすぎて、操作子FINの接近に伴う静電容量値の変化を高精度で検出しにくくなる。シールド電極131を網目形状で形成することにより、センサ電極12とシールド電極131の静電結合を少なくし、操作子FINの接近に伴う静電容量値の変化を高精度で検出することができる。シールド配線132も網目形状で形成することにより、さらに、センサ電極12とシールド電極131の静電結合を少なくし、操作子FINの接近に伴う静電容量値の変化を高精度で検出することができる。
【0030】
第1シールド部13は、上述の通り、シールド電極131を含む。本実施形態のシールド電極131は、単にシールド機能を果たすだけではなく、検知電極14と対を形成して感圧センサ(後述する)を構成する機能を備える。第1シールド部13において、シールド電極131を設けることにより、検知電極14との間に別のセンサ(後述する感圧センサ)を形成できる。
【0031】
本実施形態の検知電極14は、センサ電極12と同じく、絶縁性基材11の主面11a上に形成される。また、検知電極14は第1シールド部13よりも外側に形成される。外側の位置は、図中X方向であってもよいし、図中Y方向であってもよい。検知電極14は、第1シールド部13の図中X方向に沿って中央(本例では第2センサ電極12bの形成位置)から外側の外縁131Eから所定領域Rを介在させた位置に形成される。検知電極14における出力信号は、検知電極14に接続する配線141は外部の演算装置に接続する。本実施形態の検知電極14は、センサ電極12、第1シールド部13が形成された絶縁性基材11の一方主面とは異なる他の主面に形成してもよいし、センサ電極12、第1シールド部13が形成された絶縁性基材11とは別の絶縁性基材11に形成してもよい。本実施形態の検知電極14は、銀、カーボン、銅などの導電性材料により塗りつぶされて形成される。いわゆるベタ電極として検知電極14を形成する。対となるシールド電極131を網目形状とし、検知電極14を塗りつぶした状態(非網目形状)とすることにより、検知精度を向上させることができる。先述したように、センサ電極12は、第1シールド部13も含めた周囲に存在する誘電体との間で発生する静電容量変化を検知することにより、操作子FINの接触を検知するので、静電結合を小さくするために、網目形状に形成することも一案である。しかし、感圧センサとしての精度向上の観点から検討すると、シールド電極131と検知電極14との間の静電容量を大きな値として得ることにもメリットがある。検知電極14を導電性材料で塗りつぶす(いわゆるベタパターン)態様とすることで、静電容量を増加させて、感圧センサの検知感度を上げることができる。
【0032】
続いて、本実施形態のセンサ装置1の機能を説明する。本実施形態のセンサ装置1は、センサ電極12により形成されるタッチセンサTSと、検知電極14とシールド電極131により形成される感圧センサとを有する。
【0033】
タッチセンサTSは、センサ電極12(12a,12b,12c)により形成される。タッチセンサTSはセンサ電極12と入力操作を行う指などの操作子FINとの間の静電容量変化を検知する。タッチセンサTSは、センサ電極12a,12b,12が検知した結果として静電容量の変化値(Diff値)を出力する。シールド電極131及びシールド配線132を含む第1シールド部13は、ノイズを排除してセンサ電極12の検知精度を向上させる。
【0034】
感圧センサは、検知電極14とシールド電極131とにより形成される。感圧センサは、検知電極14とシールド電極131との間の静電容量変化を検知する。感圧センサは、検知電極14が検知した結果として静電容量の変化値(Diff値)を出力する。感圧センサが出力する静電容量の変化値は、入力操作をする操作子FINの押圧力に応じて、検知電極14とシールド電極131が相対的に接近することに伴って変化した静電容量の値である。感圧センサが検知した静電容量の変化値が所定値以上であれば、その入力操作が所定値以上の押圧力を伴うと判断できる。なお、感圧センサは、静電容量の変化値を直接出力してもよい。
【0035】
本実施形態のセンサ装置1は、操作子FINにより操作されるセンサ電極12と第1シールド部13とにより構成されるタッチセンサTSだけではなく、第1シールド部13のシールド電極131を感圧センサの一部としても兼用し、シールド電極131と検知電極14とにより構成される感圧センサを備える。これにより、ユーザ(操作者)がセンサ装置1の操作面に接触したか否か及び接触した操作面の平面位置の信号をタッチセンサTSから得るだけではなく、感圧センサから出力された信号によりユーザが意思を持って入力した信号であることが判断できる。例えば、感圧センサの出力値が所定値以上である場合には、タッチセンサTSの出力値がユーザの意思に基づく操作であると判断し、感圧センサの出力値が所定値未満である場合には、タッチセンサTSの出力値がユーザの意思に基づく操作ではなく、意図しない接触であると判断することができる。
このように、本実施形態のセンサ装置1は、出力された全信号の中から、ユーザの意思に基づく操作により入力された信号を判断(抽出)できる。つまり、意図せずにタッチパネルに接触してしまったことによる信号を入力信号ではないと判断(排除)できる。この結果、本実施形態のセンサ装置1は、ユーザによって意図されていない入力による誤検知を防止できる。
【0036】
本実施形態では、図1Bに示すように、第1シールド部13のシールド電極131と検知電極14とはXY面に沿って平行に配置され、XY平面における少なくとも一部の領域の位置が共通/重複する。シールド電極131のZ座標値(図中高さ/厚さ方向の位置)と検知電極14のZ座標値(図中高さ/厚さ方向の位置)とは異なる。第1シールド部13のシールド電極131と検知電極14とは対向するように配置されている。本実施形態において、第1シールド部13は、シールド機能を果たすとともに、第1シールド部13の一部であるシールド電極131は検知電極14と対をなして感圧センサ(圧力センサ)の電極としての機能を果たす。また、シールド電極131を含む第1シールド部13が設けられる第1面15aを、検知電極14が設けられる第2面15bよりもセンサ装置1の操作面である表示パネル17側に配置することにより、操作子FINと検知電極14との静電結合を防止することができるので、操作子FINの接近による誤検知を防止する遮断体として機能する。本実施形態では、遮断体を別部材として追加するのではなく、感圧センサ(圧力センサ)の一方の電極として機能するシールド電極131が遮断体としての機能をも担う。このため、感圧センサ(圧力センサ)と独立した遮断体を設ける必要が無い。シールド電極131が感圧センサ(圧力センサ)の一方の電極としての機能と遮断体としての機能の両方を果たすので、部品点数を削減できる。
【0037】
同図に示すように、シールド電極131と検知電極14との間には弾性体15が配置されている。感圧センサにおいて、シールド電極131と弾性体15を介して対向配置される検知電極14は、Z軸方向の押圧による弾性体15の変形に応じた静電容量の変化を検知する。弾性体15の第1面15a側の面は、シールド電極131と接し、弾性体15の反対側の第2面15b側の面は検知電極14に接する。弾性体15は弾性を備える材料である。特に限定されないが、弾性体15としては、ウレタン、シリコーンなどのクッションフォームを利用できる。本実施形態では温度特性が良好な発泡シリコーンを用いてもよい。なお、本例では、センサ電極12の部分の透光性を確保する観点から、センサ電極12が形成される領域には弾性体15を配置しない。
【0038】
また、シールド電極131は、検知電極14を覆うように形成する。シールド電極131のXY座標における領域(図1A,1B参照)に、検知電極14のXY座標における領域(図1A,1B参照)が属する。同図に示すように、シールド電極131は、検知電極14に接しない。また、第1シールド部13に含まれるシールド電極131の幅d131(X方向の幅)は、検知電極14の幅d14(X方向の幅)よりも太い(幅の長さの値が大きい)ことが好ましい。図中Y方向においても同様に、シールド電極131の長さy131(Y方向の長さ)は、検知電極14の長さy14(Y方向の長さ)よりも長い(幅の長さの値が大きい)ことが好ましい。本例ではシールド電極131が存在するXY領域に、検知電極14が存在するXY領域が含まれ、シールド電極131が検知電極14を覆うように、シールド電極131のX方向の幅が検知電極14のX方向の幅よりも大きく、シールド電極131のY方向の幅が検知電極14のY方向の幅よりも大きくなるように、シールド電極131と検知電極14の形状、大きさ、位置(組み立て時の位置)を形成する。シールド電極131は、図中XY平面において検知電極14を覆うことで、平面視において、検知電極がシールド電極131から露出する部分がなくなり、操作子FINと検知電極14との静電結合をより確実に防止することができる。さらに、シールド電極131は、検知電極14を覆いつつ、シールド電極131を、検知電極14よりも大きくすることで、操作子FINが検知電極とは重ならない位置に接近した場合においても、斜め方向における操作子FINと検知電極14との静電結合も防止することが可能となる。
【0039】
<第2実施形態>
第2実施形態のセンサ装置1は、絶縁性基材11の態様が第1実施形態のそれとは異なる。なお、第2実施形態のセンサ装置1の基本的構成は、基本的に第1実施形態のセンサ装置1の基本的構成と共通するため、第1実施形態の説明をここに援用する。
【0040】
図2A及び図2Bに基づいて第2実施形態のセンサ装置1について説明する。
図2Aは、第2実施形態のセンサ装置1の平面展開図であり、図2Bは、図2Aに示す展開状態のものを組み立てたセンサ装置1のIIB-IIB線に沿う断面図である。
【0041】
図2Aに示すように、センサ装置1は、絶縁性基材11と、センサ電極12(12a,12b,12c)と、第1シールド部13(131,132,133,134)と、検知電極14と、第2シールド部20を有する。本例の第1シールド部13は、センサ電極12の周囲に設けられるとともに、各センサ電極12a、12b、12cの間に延在させたシールド配線133,134(図2Aを参照)を含む。図示しないが、このシールド配線133,134に対向して検知電極14を配置してもよく、この場合、シールド配線133,134はシールド電極131,132になる。
本実施形態の第2シールド部20は、検知電極14と同一の第2面15bであって検知電極14の周囲の少なくとも一部に設けられる。図2A図2Bに示す例においては、第2シールド部20は、検知電極14の周囲を取り囲むように配置される。また、第2シールド部20は、外部に引き出されグランドや定電位に接続される。図2Aに示す例においては、第2シールド部20は、第1シールド部13のシールド電極131と接続される。なお、第2シールド部20は、外部に引き出されグランドや定電位に接続されればよく、シールド電極131と接続されなくてもよい。
図2Bに示すように、組み立てられたセンサ装置1においては、センサ電極12と第1シールド部13とは、センサ装置1に対して入力操作等が行われる操作面側の第1面15aに配置され、検知電極14と第2シールド部20は、第1面15aに対して、操作面側とは反対側に位置する第2面15bに設けられる(形成される)。
本実施形態の絶縁性基材11は、図中X方向(図中横方向)に沿って領域A,領域B及び領域Dを有する。領域DのX方向に沿う長さは、領域BのX方向に沿う長さよりも短い。領域DのX方向に沿う長さdDは、領域BのX方向に沿う長さdBから領域AのX方向に沿う長さdAを差し引いた長さに基づいて設定する。折り返される領域Aの端部AEと領域Dの端部DEとの間を距離dADとすることができる。この場合には、dD+dAD+dA=dBとなるように領域Dの長さdDを設定する。
図2Aに示すセンサ装置1においては、センサ電極12及び第1シールド部13は領域Bに形成され、検知電極14及び第2シールド部20は領域A及び領域Dのそれぞれに一つずつ形成される。図2Aの平面展開図に示されるように、センサ電極12、第1シールド部13、検知電極14及び第2シールド部20は、絶縁性基材11の同一の主面11aに形成される。
【0042】
同図に示すセンサ装置1は、領域Aと領域Bとの間、つまり領域Aと領域Bとが連なる接続部分に所定領域Rを有する。同様に、センサ装置1は、領域Bと領域Dとの間、つまり領域Bと領域Dとが連なる接続部分に所定領域Rを有する。この二つの所定領域Rは、それぞれ折り曲げ部Fを含む。本例の折り曲げ部Fは、一部領域を切り欠いて形成され、X軸に沿って異なる位置に二本の2本の折れ曲げ線L1,L2を含む。折れ曲げ線L1,L2近傍で折り曲げられた領域Aは領域Bと略面平行の位置となり、領域Aに形成された検知電極14とシールド電極131とが向かい合う。折れ曲げ線L1,L2近傍で折り曲げられた領域Dは領域Bと略面平行の位置となり、領域Dに形成された検知電極14とシールド電極131とが向かい合う。この状態でセンサ装置1を組み立てる。組み立てられたセンサ装置1の断面を図2Bに示す。
【0043】
本例においても、センサ装置1の表面(操作面/入力面)には表示パネル17を配置する。絶縁性基材11の領域Dの主面11aには発光体としてのLED16a,16b、16cを配置してもよい。図2Bに示すように、指などの操作子FINが表示パネル17に触れることにより信号(操作指令)を入力する。
【0044】
センサ電極12a,12b,12cは指などの操作子FINとの間の静電容量の変化を検知する。センサ電極12a,12b,12cは、一般的な静電容量センサの電極と同様の機能を備える。
【0045】
本実施形態のセンサ装置1の構成部材及びその機能は、第1実施形態と共通する。センサ電極12a,12b,12cは指などの操作子FINとの間の静電容量変化を検知するタッチセンサTSを構成し、検知結果として静電容量の変化値(Diff値)を出力する。検知電極14とシールド電極131は、検知電極14とシールド電極131との間の静電容量変化を検知する感圧センサを構成し、検知結果として静電容量の変化値(Diff値)を出力する。重複した説明は割愛し、第1実施形態の記述を援用する。
【0046】
図2A及び図2Bに示す第2実施形態のセンサ装置1は、操作子FINとセンサ電極12とにより構成されるタッチセンサTSだけではなく、シールド電極131と検知電極14とにより構成される感圧センサを備えることにより、誤検知が抑制されたセンサ装置1を提供できる。
図2A及び図2Bに示す第2実施形態のセンサ装置1は、第2シールド部20が、検知電極14と同一の第2面15bであって検知電極14の周囲の少なくとも一部に設けられていることにより、ノイズを排除して検知電極14とシールド電極131との間の静電容量を正確に検知できるようにすることができる。
【0047】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0048】
1…センサ装置
11…絶縁性基材
12,12a,12b,12c…センサ電極
121a,121b,121c…信号配線
13…第1シールド部
131,133,134…シールド電極
132…シールド配線
14…検知電極
141…配線
15…弾性体
15a…第1面
15b…第2面
16,16a,16b,16c…LED
17…表示パネル
18…ベース基材
20…第2シールド部
R…所定領域
F…折り曲げ部
L1,L2…折り曲げ線
FIN…操作子
図1A
図1B
図2A
図2B