(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体システム、及び、制御システム
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20220218BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/16 F
(21)【出願番号】P 2018030671
(22)【出願日】2018-02-23
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田島 英幸
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-206699(JP,A)
【文献】特開2008-193717(JP,A)
【文献】特開2016-201646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/08
H03K 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられた負荷に流れる電流の供給を制御する第1ドライブトランジスタと、
前記第1ドライブトランジスタに流れる電流に比例する電流が流れる第1センストランジスタを有し、当該第1センストランジスタに流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部によって検出された電流の値に応じたデューティ比の第1パルス信号を生成する制御部と、
前記第1ドライブトランジスタと前記負荷との間の外部出力端子の電圧が
バッテリ電圧である所定電圧に達しているか否かをモニタする電圧モニタと、
前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達していない場合、前記第1ドライブトランジスタの制御端子に対する電荷の充放電を、前記第1パルス信号に基づいて第1充放電速度で行うとともに、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達している場合、前記第1ドライブトランジスタの制御端子に対する電荷の充放電を、前記第1パルス信号に基づいて第1充放電速度よりも速い第2充放電速度で行うプリドライバと、
を備え
、
前記第1ドライブトランジスタは、前記バッテリ電圧が供給される電圧供給端子と、前記外部出力端子と、の間に設けられたハイサイドドライバであって、
前記電圧モニタは、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧以上に達しているか否かをモニタするように構成されている、
半導体装置。
【請求項2】
前記プリドライバは、
前記第1ドライブトランジスタの制御端子に対する電荷の充放電を第1パルス信号に基づいて制御する第1スイッチ部と、
前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達している場合、第1スイッチ部とともに前記第1ドライブトランジスタの制御端子に対する電荷の充放電を第1パルス信号に基づいて制御する第2スイッチ部と、を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2スイッチ部は、前記第1ドライブトランジスタの制御端子に対する電荷の充放電を前記第1スイッチ部の場合よりも速い充放電速度で行うように構成されている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ部は、
電源電圧が供給される電源電圧端子と、前記第1ドライブトランジスタの制御端子と、の間に設けられた第1定電流源と、
前記第1定電流源に直列に設けられ、前記第1パルス信号に基づいてオンオフが制御される第1スイッチ素子と、
前記第1ドライブトランジスタの制御端子と、前記外部出力端子と、の間に設けられた第2定電流源と、
前記第2定電流源に直列に設けられ、前記第1パルス信号に基づいて前記第1スイッチ素子と相補的にオンオフが制御される第2スイッチ素子と、を備えた、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2スイッチ部は、
前記電源電圧端子と前記第1ドライブトランジスタの制御端子との間に設けられ、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達している場合、前記第1パルス信号に基づいてオンオフが制御される第3スイッチ素子と、
前記第1ドライブトランジスタの制御端子と前記外部出力端子との間に設けられ、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達している場合、前記第1パルス信号に基づいて前記第3スイッチ素子と相補的にオンオフが制御される第4スイッチ素子と、を備えた、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記プリドライバは、
電源電圧が供給される電源電圧端子と、前記第1ドライブトランジスタの制御端子と、の間に設けられ、前記電圧モニタによるモニタ結果に応じた値の電流が流れる第1定電流源と、
前記第1定電流源に直列に設けられ、前記第1パルス信号に基づいてオンオフが制御される第1スイッチ素子と、
前記第1ドライブトランジスタの制御端子と、前記外部出力端子と、の間に設けられ、前記電圧モニタによるモニタ結果に応じた値の電流が流れる第2定電流源と、
前記第2定電流源に直列に設けられ、前記第1パルス信号に基づいて前記第1スイッチ素子と相補的にオンオフが制御される第2スイッチ素子と、を備えた、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1定電流源及び前記第2定電流源は、何れも、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達している場合、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達していない場合よりも大きな値の電流を流すように構成されている、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電圧モニタは、前記第1ドライブトランジスタの制御端子の電圧をモニタした結果から、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧以上に達しているか否かを判断するように構成されている、
請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電圧モニタは、
前記外部出力端子の電圧と前記所定電圧とを比較して比較結果をモニタ結果として出力するコンパレータを有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記電圧モニタは、
クランプ電圧以下の前記外部出力端子の電圧を前記クランプ電圧にクランプするクランプ回路と、
前記クランプ回路の出力電圧をレベルシフトさせてモニタ結果として出力するレベルシフタと、
を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1ドライブトランジスタのオンオフの切り替わりに応じたタイミングで前記電流検出部の検出電流をサンプリングして所定期間ホールドするサンプルホールド回路をさらに備えた
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記負荷は、ソレノイドバルブである、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記負荷は、インダクタを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
請求項1に記載の半導体装置と、
前記半導体装置によって駆動される前記負荷と、
を備えた、半導体システム。
【請求項15】
請求項1に記載の半導体装置と、
前記半導体装置によって駆動される前記負荷であるソレノイドバルブと、
エンジンと、
前記ソレノイドバルブの電磁力によって前記エンジンの駆動力の伝達を制御するクラッチと、
前記クラッチを介して前記エンジンから伝達された駆動力を、走行状態に応じた回転数及びトルクに変化させてタイヤを回転させるトランスミッションと、
を備えた制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置、半導体システム及び制御システムに関し、例えば電流検出精度を向上させるのに適した半導体装置、半導体システム及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、クラッチの開閉を制御するソレノイドバルブに対する電流の供給を制御する電子制御ユニット(半導体装置)が搭載されている。電子制御ユニットは、ソレノイドバルブに対する電流の供給を制御してクラッチの開閉を制御することにより、自動車の発進、停止、変速時にエンジンの駆動力をトランスミッションに伝えたり遮断したりしている。ここで、電子制御ユニットは、ソレノイドバルブに対する電流の供給を精度良く制御することにより、クラッチの開閉を正確に行う必要がある。
【0003】
そのため、電子制御ユニットには、ソレノイドドライバから出力される電流の値が正常値を示しているか否かを検出する電流検出回路が設けられている。当然ながら、この電流検出回路には、高精度に電流を検出することが求められている。
【0004】
電流検出精度の高い電流検出回路としては、シャント抵抗を用いてドライバに流れる電流を検出する電流検出回路が知られている。しかしながら、シャント抵抗方式の電流検出回路では、回路規模が増大してしまうという問題があった。
【0005】
このような問題に対する解決策が特許文献1に開示されている。特許文献1には、ドライバに流れる電流に比例する電流が流れるセンストランジスタを用いて当該ドライバに流れる電流を検出する電流検出回路の構成が開示されている。それにより、回路規模の増大が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成では、ドライバに流れる電流を精度良く検出することができないという問題があった。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置は、外部に設けられた負荷に流れる電流の供給を制御する第1ドライブトランジスタと、前記第1ドライブトランジスタに流れる電流に比例する電流が流れる第1センストランジスタを有し、当該第1センストランジスタに流れる電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部によって検出された電流の値に応じたデューティ比の第1パルス信号を生成する制御部と、前記第1ドライブトランジスタと前記負荷との間の外部出力端子の電圧が所定電圧に達しているか否かをモニタする電圧モニタと、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達していない場合、前記第1ドライブトランジスタの制御端子に対する電荷の充放電を、前記第1パルス信号に基づいて第1充放電速度で行うとともに、前記外部出力端子の電圧が前記所定電圧に達している場合、前記第1ドライブトランジスタの制御端子に対する電荷の充放電を、前記第1パルス信号に基づいて第1充放電速度よりも速い第2充放電速度で行うプリドライバと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
前記一実施の形態によれば、電流検出精度を向上させることが可能な半導体装置及び半導体システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる電子制御ユニットが搭載された自動車の外観図である。
【
図2】実施の形態1にかかる電子制御ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示す電子制御ユニットの具体的な構成例を示す図である。
【
図4】電圧モニタの第1の具体的な構成例を示す図である。
【
図5】電圧モニタの第2の具体的な構成例を示す図である。
【
図6】
図5に示す電圧モニタの動作を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図3に示す電子制御ユニットの構成要素のうち駆動部及び駆動補助部を示した図である。
【
図8】
図3に示す電子制御ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【
図9】実施の形態1にかかる電子制御ユニットの第1変形例を示す図である。
【
図10】
図9に示す電子制御ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【
図11】実施の形態1にかかる電子制御ユニットの第2変形例を示すブロック図である。
【
図12】実施の形態2にかかる電子制御ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図13】
図12に示す電子制御ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【
図14】実施の形態3にかかる電子制御ユニットの具体的な構成例の一部を示す図である。
【
図15】
図14に示す電子制御ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【
図16】実施の形態4にかかる電子制御ユニットの具体的な構成例の一部を示す図である。
【
図17】
図16に示す電子制御ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【
図18】実施の形態5にかかる電子制御ユニットの具体的な構成例の一部を示す図である。
【
図19】実施の形態1に至る前の構想に係る電子制御ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図20】
図19に示す電子制御ユニットの具体的な構成例を示す図である。
【
図21】
図20に示す電子制御ユニットの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0013】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる電子制御ユニット(ECU;Electronic Control Unit)が搭載された自動車の外観図である。
【0014】
図1に示すように、自動車には、例えば、エンジン101、クラッチ102、トランスミッション103、ディファレンシャルギア104、タイヤ105、ソレノイドバルブ(負荷)106、及び、電子制御ユニット(半導体装置)1が搭載されている。
【0015】
例えば、電子制御ユニット1は、ソレノイドバルブ106に対する電流の供給を制御する。ソレノイドバルブ106は、ソレノイドドライバから供給された電流をインダクタ等によって電磁力に変換した後、その電磁力を用いてクラッチ102の開閉を制御する。それにより、自動車の発進、停止、変速時におけるエンジン101の駆動力のトランスミッション103への伝達が制御される。トランスミッション103は、エンジン101の駆動力を、走行状態に応じた回転数及びトルクに変化させた後、ディファレンシャルギア104に伝達し、タイヤ105を回転させる。
【0016】
ここで、電子制御ユニット1は、ソレノイドバルブ106に対する電流の供給を精度良く制御することにより、クラッチ102の開閉を正確に行う必要がある。そのため、電子制御ユニット1には、ソレノイドドライバから出力される電流の値が正常値を示しているか否かを検出する電流検出部が設けられている。当然ながら、この電流検出部には、高精度に電流を検出することが求められている。
【0017】
(発明者による事前検討)
上述した自動車に搭載された電子制御ユニット1の詳細について説明する前に、まず、本発明者が事前検討した電子制御ユニット50について、
図19~
図21を用いて説明する。
【0018】
(電子制御ユニット50の構成)
図19は、実施の形態1に至る前の構想に係る電子制御ユニット50の構成例を示すブロック図である。なお、
図19には、電子制御ユニット50によって電流の供給が制御される負荷Ld1も示されている。
【0019】
図19に示すように、電子制御ユニット50は、負荷Ld1を駆動する駆動部51と、駆動部51の出力電流を検出する電流検出部52と、電流検出部52の検出結果に基づいて駆動部51による負荷Ld1の駆動を制御する制御部53と、を備える。
【0020】
図20は、
図19に示す電子制御ユニット50の具体的な構成例を示す図である。
図20に示すように、電子制御ユニット50では、駆動部51が、ドライブトランジスタMN51と、ドライブトランジスタMN52と、を有し、電流検出部52が、センストランジスタTr51と、センストランジスタTr52と、電流モニタ521と、を有する。
【0021】
ドライブトランジスタMN51は、例えば高耐圧のNチャネルMOSトランジスタであって、ハイサイドドライバとして用いられる。具体的には、ドライバトランジスタMN51は、制御部53から出力されたパルス信号HSに基づいて、バッテリ電圧Vbatが供給される電圧供給端子INと、負荷Ld1に接続された外部出力端子OUTと、の間に流れる電流を制御する。
【0022】
ドライブトランジスタMN52は、例えば高耐圧のNチャネルMOSトランジスタであって、ローサイドドライバとして用いられる。具体的には、ドライブトランジスタMN52は、制御部53から出力されたパルス信号LSに基づいて、外部出力端子OUTと、基準電圧GNDが供給される基準電圧端子(以下、基準電圧端子GNDと称す)と、の間に流れる電流を制御する。
【0023】
負荷Ld1は、例えばインダクタを有するソレノイドバルブ106であって、駆動部51から供給される電流を、電磁力に変換する。ソレノイドバルブ106は、その電磁力を用いて油圧を制御し、これによりクラッチ102の開閉を制御する。
【0024】
センストランジスタTr51は、ドライブトランジスタMN51と同じく高耐圧のNチャネルMOSトランジスタによって構成されている。例えば、センストランジスタTr51のトランジスタサイズは、ドライブトランジスタMN51のトランジスタサイズの1/1000倍である。
【0025】
具体的には、センストランジスタTr51では、ドレインが電圧供給端子INに接続され、ソースが電流モニタ521に接続され、ゲートにパルス信号HSが供給されている。そのため、センストランジスタTr51のソース-ドレイン間には、ドライブトランジスタMN51のソース-ドレイン間に流れる電流に比例する電流(具体的には、1/1000倍の電流)が流れる。
【0026】
センストランジスタTr52は、ドライブトランジスタMN52と同じく高耐圧のNチャネルMOSトランジスタによって構成されている。例えば、センストランジスタTr52のトランジスタサイズは、ドライブトランジスタMN52のトランジスタサイズの1/1000倍である。
【0027】
具体的には、センストランジスタTr52では、ドレインが外部出力端子OUTに接続され、ソースが電流モニタ521に接続され、ゲートにパルス信号LSが供給されている。そのため、センストランジスタTr52のソース-ドレイン間には、ドライブトランジスタMN52のソース-ドレイン間に流れる電流に比例する電流(具体的には、1/1000倍の電流)が流れる。
【0028】
電流モニタ521は、センストランジスタTr51,Tr52のそれぞれに流れる電流をモニタする。電流モニタ521によるモニタ結果は、電流検出部52の検出結果として出力される。
【0029】
制御部53は、パルス信号HS,LSを用いてドライブトランジスタMN51,MN52を交互に駆動する。ここで、制御部53は、電流検出部52による検出結果に基づいて、パルス信号HS,LSのデューティ比を制御する。それにより、ドライブトランジスタMN51,MN52の駆動期間が調整される。
【0030】
(電子制御ユニット50の動作)
続いて、電子制御ユニット50の動作を、
図21を用いて説明する。
図21は、電子制御ユニット50の動作を示すタイミングチャートである。
【0031】
図21に示すように、まず、パルス信号HSがLレベルの状態で、パルス信号LSがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t51)。それにより、ドライブトランジスタMN52のゲート-ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthを下回るため、ドライブトランジスタMN52はオンからオフに切り替わる(時刻t51)。このとき、ドライブトランジスタMN52はオフするが、ドライブトランジスタMN52のドレイン-ソース間に形成されたボディダイオードに負荷Ld1のインダクタによって生成された回生電流が流れるため、外部出力端子OUTの電圧Voは、基準電圧GNDからボディダイオードの降下電圧分だけ低い値までさらに低下する。
【0032】
その後、パルス信号LSがLレベルの状態で、パルス信号HSがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t52)。それにより、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsが上昇し始める(時刻t52)。その後、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthまで上昇すると、ドライブトランジスタMN51はオフからオンに切り替わる(時刻t53)。それにより、負荷Ld1に流れる電流の経路は、ドライブトランジスタMN52の経路からドライブトランジスタMN51の経路に切り替わる。このとき、ドライブトランジスタMN52に電流が流れなくなるためセンストランジスタTr52によって検出される電流が0になるのに対し、ドライブトランジスタMN51に流れる電流が上昇し始めるためセンストランジスタTr51によって検出される電流は上昇し始める。
【0033】
ドライブトランジスタMN51がオフからオンに切り替わると、外部出力端子OUTの電圧Voはバッテリ電圧Vbatに向けて上昇し始める(時刻t53)。ここで、電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達するまでの期間中(時刻t53~t54)、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間容量Cgsは見かけ上変化しない。そのため、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsはほとんど変化しない(時刻t53~t54)。その後、電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達すると(時刻t54)、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間容量Cgsが充電され始めるため、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsは、再び上昇を開始し(時刻t54)、Hレベルに相当する上限電圧で安定する(時刻t55)。
【0034】
ここで、ドライブトランジスタMN51がオフからオンに切り替わってから、ドライブトランジスタMN51がフルオンする直前までの期間(時刻t53~t55)では、ドライブトランジスタMN51及びセンストランジスタTr51のそれぞれに流れる電流の比が所望の比になっていないため、電流検出部52は精度良く電流検出を行うことができない。
【0035】
その後、一定期間が経過すると、パルス信号LSがLレベルの状態で、パルス信号HSがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t56)。それにより、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間容量Cgsが放電され始めるため、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsは低下し始める(時刻t56)。その後、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthを下回ると、ドライブトランジスタMN51はオンからオフに切り替わる(時刻t57)。それにより、電圧Voは下降し始める(時刻t57)。ここで、電圧Voが基準電圧GNDにまで下降している期間中(時刻t57~t58)、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間容量Cgsは見かけ上変化しない。そのため、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsはほとんど変化しない。その後、電圧Voが基準電圧GNDに達すると(時刻t58)、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間容量Cgsが放電され始めるため、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsは、再び下降を開始し(時刻t58)、Lレベルに相当する電圧で安定する(時刻t59)。
【0036】
ここで、ドライブトランジスタMN51がフルオン状態からオフに遷移し始めてから、ドライブトランジスタMN51がオンからオフに切り替わるまでの期間(時刻t56~t58)では、ドライブトランジスタMN51及びセンストランジスタTr51のそれぞれに流れる電流の比が所望の比になっていないため、電流検出部52は精度良く電流検出を行うことができない。
【0037】
その後、ドライブトランジスタMN51に流れる電流が0になるが、ドライブトランジスタMN52のドレイン-ソース間に形成されたボディダイオードに負荷Ld1のインダクタによって生成された回生電流が流れるため、外部出力端子OUTの電圧Voは、基準電圧GNDからボディダイオードの降下電圧分だけ低い値までさらに低下する(時刻t58~t60)。
【0038】
その後、パルス信号HSがLレベルの状態で、パルス信号LSがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t60)。それにより、ドライブトランジスタMN52がオフからオンに切り替わるため、外部出力端子OUTの電圧Voは、基準電圧GNDレベルを示す。
【0039】
電子制御ユニット50では、このような動作が繰り返される。そして、制御部53は、電流検出部52による検出結果に基づいて、パルス信号HS,LSのデューティ比を制御する。それにより、ドライブトランジスタMN51,MN52の駆動期間が調整される。
【0040】
以上に説明したように、電子制御ユニット50では、ドライブトランジスタMN51がオフからオンに切り替わってから、ドライブトランジスタMN51がフルオンする直前までの期間(時刻t53~t55)、及び、ドライブトランジスタMN51がフルオン状態からオフに遷移し始めてから、ドライブトランジスタMN51がオンからオフに切り替わるまでの期間(時刻t56~t58)において、電流検出部52が精度良く電流検出を行うことができないという問題があった。
【0041】
なお、ドライブトランジスタMN51のゲート-ソース間電圧Vgsが一定の値を示すプラトー期間(例えば、時刻t53~t54、時刻t57~t58)では、外部出力端子OUTの電圧Voの立ち上がり及び立ち下がり変化による電磁放射ノイズの発生を防ぐため、電圧Voの立ち上がり及び立ち下がりのスルーレートは緩やかになるように制限される。特に、負荷Ld1がソレノイドバルブ106の場合、負荷Ld1と電子制御ユニット50とが離れているため、負荷Ld1と電子制御ユニット50とをつなぐ配線がアンテナとなってノイズを放射しやすい状態になっており、スルーレートを制限する対策は必須となっている。そのため、プラトー期間を短縮することは実質的に困難である。
【0042】
そこで、ドライブトランジスタのオフからオン及びオンからオフへの遷移期間のうち、ドライブトランジスタのゲート-ソース間電圧Vgsが一定の値を示すプラトー期間以外の期間を短縮させて、精度良く電流検出を行うことのできない期間を短縮させることにより、電流検出部による電流検出精度を向上させた、実施の形態1にかかる電子制御ユニット1が見出された。
【0043】
(実施の形態1にかかる電子制御ユニット1)
図2は、実施の形態1に係る電子制御ユニット(半導体装置)1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2には、電子制御ユニット1によって電流の供給が制御される負荷Ld1も示されている。
【0044】
図2に示すように、電子制御ユニット1は、負荷Ld1を駆動する駆動部11と、駆動部11の出力電流を検出する電流検出部12と、電流検出部12の検出結果に基づいて駆動部11による負荷Ld1の駆動を制御する制御部13と、駆動部11による負荷Ld1の駆動を補助する駆動補助部14と、を備える。また、駆動補助部14は、電圧モニタ141と、プリドライバ142と、を有する。
【0045】
図3は、
図2に示す電子制御ユニット1の具体的な構成例を示す図である。
図3に示すように、電子制御ユニット1では、駆動部11が、ドライブトランジスタMN1と、ドライブトランジスタMN2と、を有し、電流検出部12が、センストランジスタTr1と、センストランジスタTr2と、電流モニタ121と、を有する。さらに、駆動補助部14に設けられたプリドライバ142は、定電流源Id11,Id12と、スイッチ素子SW11,SW12と、スイッチ素子SW13,SW14と、論理積回路(以下AND回路と称す)AD11,AD12と、インバータIV11と、を有する。なお、定電流源Id11,Id12と、スイッチ素子SW11,SW12とによって第1のスイッチ部が構成される。スイッチ素子SW13,SW14によって第2のスイッチ部が構成される。
【0046】
ドライブトランジスタMN1は、例えば高耐圧のNチャネルMOSトランジスタであって、ハイサイドドライバとして用いられる。具体的には、ドライブトランジスタMN1は、制御部13から出力されたパルス信号HSに基づいて、バッテリ電圧が供給される電圧供給端子INと、負荷Ld1に接続された外部出力端子OUTと、の間に流れる電流を制御する。
【0047】
ドライブトランジスタMN2は、例えば高耐圧のNチャネルMOSトランジスタであって、ローサイドドライバとして用いられる。具体的には、ドライブトランジスタMN2は、制御部13から出力されたパルス信号LSに基づいて、外部出力端子OUTと、接地電圧等の基準電圧GNDが供給される基準電圧端子(以下、基準電圧端子GNDと称す)と、の間に流れる電流を制御する。
【0048】
負荷Ld1は、例えばインダクタを有するソレノイドバルブ106であって、駆動部11から供給される電流を、電磁力に変換する。ソレノイドバルブ106は、その電磁力を用いて油圧を制御し、これによりクラッチ102の開閉を制御する。ここで、負荷Ld1は、電子制御ユニット1eの外部出力端子OUTと、基準電圧端子GNDと、の間に設けられている。そのため、本例では、ハイサイドドライバであるドライブトランジスタMN1が負荷Ld1の駆動に用いられ、ローサイドドライバであるドライブトランジスタMN2が負荷Ld1の回生電流の放出に用いられる。
【0049】
センストランジスタTr1は、ドライブトランジスタMN1と同じく高耐圧のNチャネルMOSトランジスタによって構成されている。例えば、センストランジスタTr51のトランジスタサイズは、ドライブトランジスタMN51のトランジスタサイズの1/1000倍である。
【0050】
具体的には、センストランジスタTr1では、ドレインが電圧供給端子INに接続され、ソースが電流モニタ121に接続され、ゲートにパルス信号HSが供給されている。そのため、センストランジスタTr1のソース-ドレイン間には、ドライブトランジスタMN1のソース-ドレイン間に流れる電流に比例する電流(具体的には、1/1000倍の電流)が流れる。
【0051】
センストランジスタTr2は、ドライブトランジスタMN2と同じく高耐圧のNチャネルMOSトランジスタによって構成されている。例えば、センストランジスタTr2のトランジスタサイズは、ドライブトランジスタMN2のトランジスタサイズの1/1000倍である。
【0052】
具体的には、センストランジスタTr2では、ドレインが外部出力端子OUTに接続され、ソースが電流モニタ121に接続され、ゲートにパルス信号LSが供給されている。そのため、センストランジスタTr2のソース-ドレイン間には、ドライブトランジスタMN2のソース-ドレイン間に流れる電流に比例する電流(具体的には、1/1000倍の電流)が流れる。
【0053】
電流モニタ121は、センストランジスタTr1,Tr2のそれぞれに流れる電流をモニタする。電流モニタ121によるモニタ結果は、電流検出部12の検出結果として出力される。
【0054】
制御部13は、パルス信号HS,LSを用いてドライブトランジスタMN1,MN2を交互に駆動する。ここで、制御部13は、電流検出部12による検出結果に基づいて、パルス信号HS,LSのデューティ比を制御する。それにより、ドライブトランジスタMN1,MN2の駆動期間が調整される。
【0055】
電圧モニタ141は、外部出力端子OUTの電圧Voをモニタする。
【0056】
(電圧モニタ141の第1の具体的構成例)
図4は、電圧モニタ141の第1の具体的な構成例を電圧モニタ141aとして示す図である。
図4に示すように、電圧モニタ141aは、コンパレータCMP1を備える。
【0057】
コンパレータCMP1は、外部出力端子OUTの電圧Voと、バッテリ電圧Vbatと、を比較して、その比較結果をモニタ結果VoCLPとして出力する。例えば、コンパレータCMP1は、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatを下回る場合、Lレベルのモニタ結果VoCLPを出力し、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達した場合、Hレベルのモニタ結果VoCLPを出力する。
【0058】
なお、本実施の形態では、コンパレータCMP1が、外部出力端子OUTの電圧Voと、バッテリ電圧Vbatと、を比較する場合を例に説明するが、これに限られない。コンパレータCMP1は、外部出力端子OUTの電圧Voと、バッテリ電圧Vbatより低い任意の所定電圧と、を比較するように構成されていてもよい。また、コンパレータCMP1は、ヒステリシス特性を持つように構成されてもよい。それにより、チャタリングによるモニタ結果VoCLPの変動を抑制することができる。
【0059】
(電圧モニタ141の第2の具体的構成例)
図5は、電圧モニタ141の第2の具体的な構成例を電圧モニタ141bとして示す図である。
図6は、電圧モニタ141bの動作を示すタイミングチャートである。
【0060】
電圧モニタ141bは、クランプ回路1411と、レベルシフタ1412と、を備える。クランプ回路1411は、クランプ電圧以下の外部出力端子OUTの電圧Voをクランプ電圧にクランプする。具体的には、クランプ回路1411は、バッテリ電圧Vbatよりも電源電圧VDD(=3.3V)だけ低い電圧(即ち、Vbat-3.3V)以下の電圧VoをVbat-3.3Vにクランプする。レベルシフタ1412は、クランプ回路1411の出力電圧を、基準電圧GNDレベル、及び、電源電圧VDDレベル(=3.3V)の何れかにレベルシフトさせて、モニタ結果VoCLPとして出力する。
【0061】
図3に戻り説明を続ける。
プリドライバ142において、定電流源Id11及びスイッチ素子SW11は、電源電圧VDDが供給される電源電圧端子(以下、電源電圧端子VDDと称す)と、ドライブトランジスタMN1のゲートと、の間に直列に設けられている。スイッチ素子SW11は、パルス信号HSに基づいてオンオフの切り替えを行う。定電流源Id12及びスイッチ素子SW12は、ドライブトランジスタMN1のゲート及びソース(外部出力端子OUT)間に直列に設けられている。スイッチ素子SW12は、パルス信号HSをインバータIV11によって反転させた信号に基づいてオンオフの切り替えを行う。
【0062】
例えば、パルス信号HSがHレベルの場合、スイッチ素子SW11がオンし、スイッチ素子SW12がオフするため、ドライブトランジスタMN1のゲートには、定電流源Id11からスイッチ素子SW11を介して電荷が蓄積される。それにより、ドライブトランジスタMN1はオフからオンに切り替わる。他方、パルス信号HSがLレベルの場合、スイッチ素子SW11がオフし、スイッチ素子SW12がオンするため、ドライブトランジスタMN1のゲートに蓄積された電荷は、スイッチ素子SW12及び定電流源Id12を介して、外部出力端子OUTに放電される。それにより、ドライブトランジスタMN1はオンからオフに切り替わる。
【0063】
AND回路AD11は、モニタ結果VoCLPと、パルス信号HSと、の論理積を出力する。AND回路AD12は、モニタ結果VoCLPと、パルス信号HSの反転信号と、の論理積を出力する。スイッチ素子SW13は、電源電圧端子VDDと、ドライブトランジスタMN1のゲートと、の間に設けられ、AND回路AD11の出力に基づいてオンオフの切り替えを行う。スイッチ素子SW14は、ドライブトランジスタMN1のゲート及びソース(外部出力端子OUT)間に設けられ、AND回路AD12の出力に基づいてオンオフの切り替えを行う。
【0064】
例えば、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatを下回っている場合、電圧モニタ141からLレベルのモニタ結果VoCLPが出力されるため、AND回路AD11,AD12は、パルス信号HSに関わらずLレベルの信号を出力する。それにより、スイッチ素子SW13,SW14は何れもオフする。このとき、第2のスイッチ部によるドライブトランジスタMN1のゲートに対する電荷の充放電は行われない。
【0065】
それに対し、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達している場合、電圧モニタ141からHレベルのモニタ結果VoCLPが出力されるため、AND回路AD11,AD12は、それぞれパルス信号HS及びその反転信号をそのまま出力する。
【0066】
具体的には、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達している場合において、パルス信号HSがHレベルの場合、AND回路AD11はHレベルの信号を出力し、AND回路AD12はLレベルの信号を出力する。それにより、スイッチ素子SW13がオンし、スイッチ素子SW14がオフするため、ドライブトランジスタMN1のゲートには、スイッチ素子SW13を介して、スイッチ素子SW11の場合よりも速い充放電速度で電荷が蓄積される。それにより、ドライブトランジスタMN1は急速にオフからオンに切り替わる。
【0067】
他方、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達している場合、パルス信号HSがLレベルの場合、AND回路AD11はLレベルの信号を出力し、AND回路AD12はHレベルの信号を出力する。それにより、スイッチ素子SW13がオフし、スイッチ素子SW14がオンするため、ドライブトランジスタMN1のゲートに蓄積された電荷は、スイッチ素子SW14を介して、スイッチ素子SW12の場合よりも速い充放電速度で、外部出力端子OUTに放電される。それにより、ドライブトランジスタMN1は急速にオンからオフに切り替わる。
【0068】
(電子制御ユニット1の動作)
続いて、電子制御ユニット1の動作を、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、
図3に示す電子制御ユニット1の構成要素のうち駆動部11及び駆動補助部14を示した図である。
図8は、電子制御ユニット1の動作を示すタイミングチャートである。
【0069】
まず、パルス信号HSがLレベルの状態で、パルス信号LSがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t11)。それにより、ドライブトランジスタMN2のゲート-ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthを下回るため、ドライブトランジスタMN2はオンからオフに切り替わる(時刻t11)。このとき、ドライブトランジスタMN2はオフするが、ドライブトランジスタMN2のドレイン-ソース間に形成されたボディダイオードに負荷Ld1のインダクタによって生成された回生電流が流れるため、外部出力端子OUTの電圧Voは、基準電圧GNDからボディダイオードの降下電圧分だけ低い値までさらに低下する。
【0070】
その後、パルス信号LSがLレベルの状態で、パルス信号HSがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t12)。それにより、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsが上昇し始める(時刻t12)。その後、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthまで上昇すると、ドライブトランジスタMN1はオフからオンに切り替わる(時刻t13)。それにより、負荷Ld1に流れる電流の経路は、ドライブトランジスタMN2の経路からドライブトランジスタMN1の経路に切り替わる。このとき、ドライブトランジスタMN2に電流が流れなくなるためセンストランジスタTr2によって検出される電流が0になるのに対し、ドライブトランジスタMN1に流れる電流が上昇し始めるためセンストランジスタTr1によって検出される電流は上昇し始める。
【0071】
ドライブトランジスタMN1がオフからオンに切り替わると、外部出力端子OUTの電圧Voはバッテリ電圧Vbatに向けて上昇し始める(時刻t13)。ここで、電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達するまでの期間中(時刻t13~t14)、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間容量Cgsは見かけ上変化しない。そのため、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsはほとんど変化しない(時刻t13~t14)。その後、電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達すると(時刻t14)、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間容量Cgsが充電され始めるため、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsは、再び上昇を開始し(時刻t14)、Hレベルに相当する上限電圧で安定する(時刻t15)。
【0072】
ここで、ドライブトランジスタMN1がオフからオンに切り替わってから、ドライブトランジスタMN1がフルオンする直前までの期間(時刻t13~t15)では、ドライブトランジスタMN1及びセンストランジスタTr1のそれぞれに流れる電流の比が所望の比になっていないため、電流検出部12は精度良く電流検出を行うことができない。
【0073】
しかしながら、この期間のうち、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsが一定の値を示す第1プラトー期間(時刻t13~t14)では、電圧Voの立ち上がり変化による電磁放射ノイズの発生を防ぐため、電圧Voの立ち上がりのスルーレートは緩やかになるように制限されている。そのため、第1プラトー期間を短縮させることは困難である。それに対し、第1プラトー期間が終了してから、ドライブトランジスタMN1がフルオンして第2プラトー期間が始まるまでの期間(時刻t14~t15)では、電圧Voがバッテリ電圧Vbatで安定しているため、電圧Voのスルーレートの制限を考慮する必要はない。そこで、本実施の形態では、第1プラトー期間と第2プラトー期間との間(時刻t14~t15)を短縮させることにより、精度良く電流検出を行うことのできない期間を短縮させている。
【0074】
具体的には、電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達することによって電圧モニタ141がHレベルのモニタ結果VoCLPを出力している期間(時刻t14~t17)のうち、パルス信号HSがHレベルを示す期間に、第2スイッチ部であるスイッチ素子SW13をオンし、スイッチ素子SW14をオフする(時刻t14~t16)。それにより、ドライブトランジスタMN1のゲートには第1スイッチ部を用いた場合よりも速い充電速度で電荷が蓄積されるため、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsは、急速に上昇する(時刻t14~t15)。それにより、第1プラトー期間と第2プラトー期間との間(時刻t14~t15)が短縮されるため、精度良く電流検出を行うことのできない期間が短縮される。その結果、電流検出部12は、電流検出精度を向上させることができる。
【0075】
その後、一定期間が経過すると、パルス信号LSがLレベルの状態で、パルス信号HSがHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t16)。それにより、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間容量Cgsが放電され始めるため、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsは低下し始める(時刻t16)。その後、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthを下回ると、ドライブトランジスタMN1はオンからオフに切り替わる(時刻t17)。それにより、電圧Voは下降し始める(時刻t17)。ここで、電圧Voが基準電圧GNDに下降するまで期間中(時刻t17~t18)、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間容量Cgsは見かけ上変化しない。そのため、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsはほとんど変化しない。その後、電圧Voが基準電圧GNDに達すると(時刻t18)、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間容量Cgsが放電され始めるため、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsは、再び下降を開始し(時刻t18)、Lレベルに相当する電圧で安定する(時刻t19)。
【0076】
ここで、ドライブトランジスタMN1がフルオン状態からオフに遷移し始めてから、ドライブトランジスタMN1がオンからオフに切り替わるまでの期間(時刻t16~t18)では、ドライブトランジスタMN1及びセンストランジスタTr1のそれぞれに流れる電流の比が所望の比になっていないため、電流検出部12は精度良く電流検出を行うことができない。
【0077】
しかしながら、この期間のうち、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsが一定の値を示す第3プラトー期間(時刻t17~t18)では、電圧Voの立ち下がり変化による電磁放射ノイズの発生を防ぐため、電圧Voの立ち下がりのスルーレートは緩やかになるように制限されている。そのため、第3プラトー期間を短縮させることは困難である。それに対し、第2プラトー期間が終了してから、第3プラトー期間が始まるまでの期間(時刻t16~t17)では、電圧Voがバッテリ電圧Vbatで安定しているため、電圧Voのスルーレートの制限を考慮する必要はない。そこで、本実施の形態では、第2プラトー期間と第3プラトー期間との間(時刻t16~t17)の期間を短縮させることにより、精度良く電流検出を行うことのできない期間を短縮させている。
【0078】
具体的には、電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達することによって電圧モニタ141がHレベルのモニタ結果VoCLPを出力している期間(時刻t14~t17)のうち、パルス信号HSがLレベルを示す期間に、第2スイッチ部であるスイッチ素子SW13をオフし、スイッチ素子SW14をオンする(時刻t16~t17)。それにより、ドライブトランジスタMN1のゲートに蓄積された電荷は第1スイッチ部を用いた場合よりも速い放電速度で放電される。それにより、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsは、急速に下降する(時刻t16~t17)。それにより、第2プラトー期間と第3プラトー期間との間(時刻t16~t17)が短縮されるため、精度良く電流検出を行うことのできない期間が短縮される。その結果、電流検出部12は、電流検出精度を向上させることができる。
【0079】
その後、ドライブトランジスタMN1に流れる電流が0になるが、ドライブトランジスタMN2のドレイン-ソース間に形成されたボディダイオードに負荷Ld1のインダクタによって生成された回生電流が流れるため、外部出力端子OUTの電圧Voは、基準電圧GNDからボディダイオードの降下電圧分だけ低い値までさらに低下する(時刻t18~t20)。
【0080】
その後、パルス信号HSがLレベルの状態で、パルス信号LSがLレベルからHレベルに切り替わる(時刻t20)。それにより、ドライブトランジスタMN2がオフからオンに切り替わるため、外部出力端子OUTの電圧Voは、基準電圧GNDレベルを示す。
【0081】
電子制御ユニット1では、このような動作が繰り返される。そして、制御部13は、電流検出部12による検出結果に基づいて、パルス信号HS,LSのデューティ比を制御する。それにより、ドライブトランジスタMN1,MN2の駆動期間が調整される。
【0082】
このように、本実施の形態にかかる電子制御ユニット1は、ドライブトランジスタMN1のオフからオンの遷移期間、及び、ドライブトランジスタMN1のオンからオフへの遷移期間のうち、ドライブトランジスタMN1のゲート-ソース間電圧Vgsが一定の値を示すプラトー期間以外の期間を短縮させて、精度良く電流検出を行うことのできない期間を短縮させることにより、電流検出部による電流検出精度を向上させることができる。
【0083】
(電子制御ユニット1の第1変形例)
図9は、電子制御ユニット1の第1変形例を電子制御ユニット1aとして示す図である。なお、
図9には、電子制御ユニット1aの構成要素のうち駆動部11及び駆動補助部14のみが示されている。また、
図9には、電子制御ユニット1aによって電流の供給が制御される負荷Ld1も示されている。
【0084】
図9に示すように、電子制御ユニット1aでは、電子制御ユニット1の場合と比較して、電圧モニタ141が、外部出力端子OUTの電圧Voの代わりに、ドライブトランジスタMN1のゲート電圧をモニタしている。それにより、電圧モニタ141は、外部出力端子OUTの電圧Voを間接的にモニタすることができる。電子制御ユニット1aのその他の構成については、電子制御ユニット1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0085】
図10は、電子制御ユニット1aの動作を示すタイミングチャートである。
図10に示すように、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達している場合、ドライブトランジスタMN1のゲート電圧Vgは、電圧Voよりもゲート-ソース間電圧Vgsだけ高い電圧レベルを示す。そのため、例えば、電圧モニタ141は、ゲート電圧Vgが、電圧Voよりもゲート-ソース間電圧Vgsだけ高い電圧レベルを示した場合、Hレベルのモニタ結果VoCLPを出力し、それ以外の場合、Lレベルのモニタ結果VoCLPを出力するように構成される。
【0086】
このように、電子制御ユニット1aは、電子制御ユニット1の場合と同等程度の効果を奏することができる。さらに、電子制御ユニット1aでは、電圧モニタ141が、ドライブトランジスタMN1の安定したゲート電圧Vgをモニタしているため、外部出力端子OUTの電圧Voが受けるリンギングの影響を受けることなく、より正確な電圧Voを間接的にモニタすることができる。
【0087】
(電子制御ユニット1の第2変形例)
図11は、電子制御ユニット1の第2変形例を電子制御ユニット1bとして示すブロック図である。なお、
図11には、電子制御ユニット1bによって電流の供給が制御される複数の負荷Ld1も示されている。
【0088】
図11に示すように、電子制御ユニット1bは、駆動部11、電流検出部12、及び、駆動補助部14の組み合わせを複数組と、それらの組み合わせに対して共通に設けられた制御部13と、を備え、複数の負荷Ld1を駆動している。各構成要素の回路構成及び動作については、電子制御ユニット1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0089】
このように、電子制御ユニット1bは、電子制御ユニット1の場合と同等程度の効果を奏することができる。
【0090】
<実施の形態2>
図12は、実施の形態2にかかる電子制御ユニット1cの構成例を示すブロック図である。また、
図13は、電子制御ユニット1cの動作を示すタイミングチャートである。
【0091】
図12に示すように、電子制御ユニット1cは、電子制御ユニット1と比較して、サンプルホールド回路15をさらに備える。電子制御ユニット1bのその他の構成については、電子制御ユニット1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
図13に示すように、サンプルホールド回路15は、例えば、パルス信号LSの立ち下がりタイミングで電流検出部12の検出電流をサンプリングして所定期間ホールドするとともに(時刻t11~t15付近)、パルス信号HSの立ち下がりタイミングで電流検出部12の検出電流をサンプリングして所定期間ホールドする(時刻t16~t20付近)。制御部13は、サンプルホールド回路15によってホールドされた検出電流の値に応じて、パルス信号HS,LSのデューティ比を制御する。
【0093】
それにより、負荷Ld1に流れる電流の経路がドライブトランジスタMN1の経路からドライブトランジスタMN2の経路に切り替わるタイミングにおいて発生する電流検出誤差が低減される。
【0094】
<実施の形態3>
図14は、実施の形態3にかかる電子制御ユニット1dの具体的な構成例を示す図である。なお、
図14には、電子制御ユニット1dの構成要素のうち駆動部11及び駆動補助部14のみが示されている。また、
図14には、電子制御ユニット1dによって電流の供給が制御される負荷Ld1も示されている。
【0095】
図14に示すように、電子制御ユニット1dでは、プリドライバ142が、AND回路AD11,AD12及びスイッチ素子SW13,SW14の代わりに、トランジスタTR11~TR14と、NOR回路NR1と、を備える。そのうち、トランジスタTR12~TR14は、電圧モニタ141としての役割も果たす。
【0096】
トランジスタTR11,TR12は、ドライブトランジスタMN1のゲートと外部出力端子OUTとの間に直列に設けられている。トランジスタTR11は、NOR回路NR1の出力信号に基づいてオンオフを切り替える。トランジスタTR12,TR13は、カレントミラー回路を構成している。したがって、トランジスタTR13には、トランジスタTR12に流れる電流に応じた電流Idisが流れる。トランジスタTR14には定電流源Idacが流れる。
【0097】
例えば、電流Idisが電流Idacより小さい場合、トランジスタTR13,TR14間のノードN1の電圧VcmpはHレベルを示す。それにより、NOR回路NR1の出力信号がLレベルを示すため、トランジスタTR11はオフする。それに対し、電流Idisが電流Idac以上場合、電圧VcmpはLレベルを示す。それにより、NOR回路NR1の出力信号がHレベルを示すため、トランジスタTR11はオンする。
【0098】
図15は、電子制御ユニット1dの動作を示すタイミングチャートである。
図15に示すように、パルス信号HSがLレベルの場合、スイッチ素子SW11がオフするため、ドライブトランジスタMN1のゲート電圧VgはLレベルに維持される。このとき、ドライブトランジスタMN1はオフしているため、外部出力端子OUTの電圧VoはLレベルを示す(時刻t31)。その後、パルス信号HSがLレベルからHレベルに切り替わると(時刻t32)、スイッチ素子SW11がオフからオンに切り替わるため、ドライブトランジスタMN1のゲート電圧は上昇する。それにより、ドライブトランジスタMN1がオンするため、外部出力端子OUTの電圧Voはバッテリ電圧Vbatまで上昇する(時刻t33)。その後、パルス信号HSがHレベルからLレベルに切り替わると(時刻t34)、スイッチ素子SW11がオンからオフに切り替わるため、ドライブトランジスタMN1のゲートへの電荷の供給は停止する。また、このとき、ドライブトランジスタMN1のゲート電圧VgがHレベルを示すため、トランジスタTR13に流れる電流Idisは、トランジスタTR14に流れる電流Idacよりも大きくなっている。そのため、電圧VcmpはLレベルを示している。それにより、NOR回路NR1の出力信号がHレベルになるため、トランジスタTR11がオンする。その結果、ドライブトランジスタMN1のゲート電圧Vgは急速に下降する(時刻t34~t35)。その後、電流Idisが電流Idacより小さくなると、電圧VcmpがLレベルからHレベルに切り替わるため、NOR回路NR1の出力信号はHレベルからLレベルに切り替わる(時刻t35)。それにより、トランジスタTR11がオフするため、ドライブトランジスタMN1のゲート電圧Vgの急速な下降は停止する(時刻t35)。
【0099】
電子制御ユニット1dのその他の動作については、電子制御ユニット1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0100】
電子制御ユニット1dは、電子制御ユニット1の場合と同等程度の効果を奏することができる。さらに、電子制御ユニット1dは、電圧モニタ141を簡単な回路構成のみで実現することができるため、回路規模の増大を抑制することができる。
【0101】
<実施の形態4>
図16は、実施の形態4にかかる電子制御ユニット1eの具体的な構成例を示す図である。なお、
図16には、電子制御ユニット1eの構成要素のうち駆動部11及び駆動補助部14のみが示されている。また、
図16には、電子制御ユニット1eによって電流の供給が制御される負荷Ld1も示されている。
【0102】
ここで、負荷Ld1は、バッテリ電圧Vbatが供給されるバッテリ電圧端子と、電子制御ユニット1eの外部出力端子OUTと、の間に設けられている。そのため、本例では、ローサイドドライバであるドライブトランジスタMN2が負荷Ld1の駆動に用いられ、ハイサイドドライバであるドライブトランジスタMN1が負荷Ld1の回生電流の放出に用いられる。
【0103】
また、電子制御ユニット1eでは、プリドライバ142の代わりにプリドライバ143が設けられている。プリドライバ142は、パルス信号HSに基づいてドライブトランジスタMN1の駆動を制御していたが、プリドライバ143は、パルス信号LSに基づいてドライブトランジスタMN2の駆動を制御する。
【0104】
プリドライバ143は、定電流源Id21,Id22と、スイッチ素子SW21,SW22と、スイッチ素子SW23,SW24と、AND回路AD21,AD22と、インバータIV21と、を有する。なお、プリドライバ143における定電流源Id21,Id22、スイッチ素子SW21,SW22、スイッチ素子SW13,SW14、AND回路AD21,AD22、及び、インバータIV21は、プリドライバ142における定電流源Id11,Id12、スイッチ素子SW11,SW12、スイッチ素子SW13,SW14、AND回路AD11,AD12、及び、インバータIV11に対応している。
【0105】
電子制御ユニット1eのその他の構成については、電子制御ユニット1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0106】
図17は、電子制御ユニット1eの動作を示すタイミングチャートである。
図17に示すタイミングチャートでは、
図8に示すタイミングチャートと比較して、ドライブトランジスタMN2に流れる電流と、ドライブトランジスタMN1に流れる電流と、の関係が逆になっている。また、出力電圧VoのHレベルとLレベルとの関係が逆になっている。そのため、電圧モニタ141は、出力電圧Voが低下して基準電圧GNDに達した場合、Hレベルのモニタ結果VoCLPを出力し、出力電圧Voが基準電圧GNDを上回る場合、Lレベルのモニタ結果VoCLPを出力する。電子制御ユニット1eのその他の動作については、基本的には電子制御ユニット1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0107】
電子制御ユニット1eは、電子制御ユニット1の場合と同等程度の効果を奏することができる。つまり、電子制御ユニット1eは、ドライブトランジスタMN2のオフからオンの遷移期間、及び、ドライブトランジスタMN2のオンからオフへの遷移期間のうち、ドライブトランジスタMN2のゲート-ソース間電圧Vgsが一定の値を示すプラトー期間以外の期間を短縮させて、精度良く電流検出を行うことのできない期間を短縮させることにより、電流検出部12による電流検出精度を向上させることができる。
【0108】
本実施の形態では、電圧モニタ141が、外部出力端子OUTの電圧Voをモニタする場合を例に説明したが、これに限られない。電圧モニタ141は、ドライブトランジスタMN2のゲート電圧Vgをモニタすることにより、外部出力端子OUTの電圧Voを間接的にモニタするように構成されてもよい。
【0109】
また、本実施の形態では、電圧モニタ141は、出力電圧Voが基準電圧GNDに達した場合にHレベルのモニタ結果VoCLPを出力する場合を例に説明したが、これに限られない。電圧モニタ141は、出力電圧Voが基準電圧GNDよりも高い任意の所定電圧に達した場合にHレベルのモニタ結果VoCLPを出力するように構成されてもよい。
【0110】
また、本実施の形態では、プリドライバ142の代わりにプリドライバ143が設けられた場合を例に説明したが、これに限られない。プリドライバ142,143が共に設けられてもよい。
【0111】
<実施の形態5>
図18は、実施の形態5にかかる電子制御ユニット1fの具体的な構成例を示す図である。なお、
図18には、電子制御ユニット1fの構成要素のうち駆動部11及び駆動補助部14のみが示されている。また、
図18には、電子制御ユニット1fによって電流の供給が制御される負荷Ld1も示されている。
【0112】
図18に示すように、電子制御ユニット1fでは、駆動補助部14が、電圧モニタ141とプリドライバ142fとを備える。プリドライバ142fは、プリドライバ142と比較して、AND回路AD11,AD12及びスイッチ素子SW13,SW14を備えず、定電流源Id11,Id12の代わりに可変式の定電流源Id11f,Id12fを備える。電子制御ユニット1fのその他の構成については、電子制御ユニット1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0113】
例えば、パルス信号HSがHレベルの場合、スイッチ素子SW11がオンし、スイッチ素子SW12がオフするため、ドライブトランジスタMN1のゲートには、定電流源Id11fからスイッチ素子SW11を介して電荷が蓄積される。それにより、ドライブトランジスタMN1はオフからオンに切り替わる。他方、パルス信号HSがLレベルの場合、スイッチ素子SW11がオフし、スイッチ素子SW12がオンするため、ドライブトランジスタMN1のゲートに蓄積された電荷は、スイッチ素子SW12及び定電流源Id12fを介して、外部出力端子OUTに放電される。それにより、ドライブトランジスタMN1はオンからオフに切り替わる。
【0114】
定電流源Id11f,Id12fは、何れも、電圧モニタ141のモニタ結果VoCLPに基づいて、定電流の値を選択的に切り替える。
【0115】
例えば、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatを下回っている場合、
電圧モニタ141からLレベルのモニタ結果VoCLPが出力されるため、定電流源Id11f,Id12fは、何れも第1の定電流を選択して出力する。それに対し、外部出力端子OUTの電圧Voがバッテリ電圧Vbatに達している場合、電圧モニタ141からHレベルのモニタ結果VoCLPが出力されるため、定電流源Id11f、Id12fは、何れも第1の定電流よりも大きな値を示す第2の定電流を選択して出力する。
【0116】
電子制御ユニット1fは、電子制御ユニット1の場合と同等程度の効果を奏することができる。
【0117】
以上のように、上記実施の形態1~5に係る電子制御ユニットは、負荷の駆動に用いられるドライブトランジスタ(例えばMN1)のオフからオンの遷移期間、及び、ドライブトランジスタ(例えばMN1)のオンからオフへの遷移期間のうち、ドライブトランジスタ(例えばMN1)のゲート-ソース間電圧Vgsが一定の値を示すプラトー期間以外の期間を短縮させて、精度良く電流検出を行うことのできない期間を短縮させることにより、電流検出部による電流検出精度を向上させることができる。
【0118】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0119】
上記実施の形態1~5では、負荷Ld1がソレノイドバルブであって、電子制御ユニットがソレノイドドライバとして動作する場合を例に説明したがこれに限られない。インダクタを含む負荷Ld1であれば、電子制御ユニットはDCDCコンバータとして動作するように構成されてもよい。
【0120】
例えば、上記の実施の形態に係る半導体装置では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(p型もしくはn型)を反転させた構成としてもよい。そのため、n型、及びp型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をp型、第2の導電型をn型とすることもできるし、反対に第1の導電型をn型、第2の導電型をp型とすることもできる。
【符号の説明】
【0121】
1 電子制御ユニット
1a~1f 電子制御ユニット
11 駆動部
12 電流検出部
13 制御部
14 駆動補助部
15 サンプルホールド回路
141 電圧モニタ
142 プリドライバ
101 エンジン
102 クラッチ
103 トランスミッション
104 ディファレンシャルギア
105 タイヤ
106 ソレノイドバルブ
121 電流モニタ
141 電圧モニタ
141a,141b 電圧モニタ
142 プリドライバ
142f プリドライバ
143 プリドライバ
1411 クランプ回路
1412 レベルシフタ
AD11、ADD12 論理積回路
AD21、ADD22 論理積回路
CMP1 コンパレータ
Id11、Id12 定電流源
Id11f、Id12f 定電流源
Id21、Id22 定電流源
IV11、IV21 インバータ
Ld1 負荷
MN1 ドライブトランジスタ
MN2 ドライブトランジスタ
NR1 NOR回路
SW11,SW12 スイッチ素子
SW13,SW14 スイッチ素子
SW21,SW22 スイッチ素子
SW23,SW24 スイッチ素子
Tr1 センストランジスタ
Tr2 センストランジスタ
TR11~TR14 トランジスタ