(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220218BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220218BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20220218BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
H02J50/10
B60L53/12
(21)【出願番号】P 2018094199
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小林 信昭
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-182506(JP,A)
【文献】特開2010-268570(JP,A)
【文献】特開2000-142134(JP,A)
【文献】特開2011-098663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/00-50/90
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々単独の駆動で電動車両を走らせることが可能な第1駆動輪及び第2駆動輪と、
走行用の電力を蓄積するバッテリと、
前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪のそれぞれの動力を発生する第1モータ及び第2モータと、
前記第1モータと前記バッテリとの間で電力を変換する第1インバータと、
前記第2モータと前記バッテリとの間で電力を変換する第2インバータと、
地上の送電コイルから非接触に受電可能な受電コイルと、
前記第2モータのモータコイルと磁気結合された充電用コイルと、
前記電動車両の走行中に前記送電コイルから電力が送られたとき、前記第1モータの駆動により前記電動車両の走行を継続し、かつ、前記送電コイルから前記受電コイル、前記充電用コイル及び前記モータコイルを介して伝送された電力を前記第2インバータにより直流の電力に変換して前記バッテリへ供給する制御部と、
を備えることを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記第2モータのモータコイルは、互いに異なる位相の電流が流れる複数相のコイルを含み、
前記充電用コイルは、前記複数相のコイルにそれぞれ電磁結合された複数又は複数組のコイルを含み、
前記電動車両は、
前記受電コイルが受けた電力を前記複数又は複数組のコイルに分配する電力分配部を更に備え、
前記制御部は、前記複数又は複数組のコイルに互いに異なる位相の電流が流れるように前記電力分配部を制御することを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項3】
前記充電用コイルは、前記第2モータの固定子のコアの外周側に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中に非接触充電が可能な電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)などの電動車両は、走行用の電力を蓄積する高電圧バッテリと、走行用のモータと、高電圧バッテリの電力を受けてモータに駆動電流を出力するインバータとを有する。
【0003】
特許文献1には、高電圧バッテリの充電システムにおいて、車両の外部から200Vの商用電源を入力して高電圧バッテリを充電する技術が開示されている。この技術は、商用電源と高電圧バッテリとの間に、走行モータのコイルを流用した絶縁トランスを介在させることで、充電電力の伝送経路の絶縁設計を簡素にしている。
【0004】
以前より、地上設備の送電コイルから電動車両の受電コイルへ非接触に電力を伝送して電動車両の高電圧バッテリを充電する非接触充電システムが知られている。さらに近年では、自動車用の道路に沿って送電コイルを連続的に設けた非接触充電レーンについて提案及び試験が行われている。受電コイルを持った電動車両が、非接触充電レーンを走行することで、連続的に設けられた送電コイルから受電コイルへ次々に電力が伝送されて、電動車両の走行中に高電圧バッテリを充電できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
走行中に非接触充電を行う場合でも、受電コイルが受けた電力を、走行モータの巻線を流用した絶縁トランスを介して高電圧バッテリへ送られるようにすることで、特許文献1に示されるように充電電力の伝送経路の絶縁設計を簡素にできる。しかしながら、電動車両の走行中、走行モータは回転駆動されるため、走行モータのコイルを流用して絶縁トランスを設けることは不可能であると思われた。
【0007】
本発明は、走行中の非接触充電を可能としかつ充電電力の伝送経路の絶縁設計を簡素化できる電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、電動車両であって、
各々単独の駆動で電動車両を走らせることが可能な第1駆動輪及び第2駆動輪と、
走行用の電力を蓄積するバッテリと、
前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪のそれぞれの動力を発生する第1モータ及び第2モータと、
前記第1モータと前記バッテリとの間で電力を変換する第1インバータと、
前記第2モータと前記バッテリとの間で電力を変換する第2インバータと、
地上の送電コイルから非接触に受電可能な受電コイルと、
前記第2モータのモータコイルと磁気結合された充電用コイルと、
前記電動車両の走行中に前記送電コイルから電力が送られたとき、前記第1モータの駆動により前記電動車両の走行を継続し、かつ、前記送電コイルから前記受電コイル、前記充電用コイル及び前記モータコイルを介して伝送された電力を前記第2インバータにより直流の電力に変換して前記バッテリへ供給する制御部と、
を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動車両において、
前記第2モータのモータコイルは、互いに異なる位相の電流が流れる複数相のコイルを含み、
前記充電用コイルは、前記複数相のコイルにそれぞれ電磁結合された複数又は複数組のコイルを含み、
前記電動車両は、
前記受電コイルが受けた電力を前記複数又は複数組のコイルに分配する電力分配部を更に備え、
前記制御部は、前記複数又は複数組のコイルに互いに異なる位相の電流が流れるように前記電力分配部を制御することを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の電動車両において、
前記充電用コイルは、前記第2モータの固定子のコアの外周側に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非接触充電レーンの走行中、制御部は、第1モータによる第1駆動輪の駆動により電動車両の走行を継続しつつ、第2インバータを制御して第2モータのモータコイルと充電用コイルとを介して伝送された電力によりバッテリを充電できる。充電電力の伝送経路には、互いに磁気結合した充電用コイル及びモータコイルが介在し、これが絶縁トランスとして機能するので、充電電力の伝送経路の絶縁設計を簡素にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動車両の要部を示すブロック図である。
【
図2】受電コイルから高電圧バッテリまでの電力伝送経路の詳細を示す図である。
【
図3】後輪モータの内部を軸方向に見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電動車両の要部を示すブロック図である。
図2は、受電コイルから高電圧バッテリまでの電力伝送経路の詳細を示す図である。
図3は、後輪モータの内部を軸方向に見た平面図である。なお、
図3では、簡略化して、モータコイル311a~311cが巻回されるティース312hが3個の例を示したが、モータコイルが巻回されるティースは6個、9個、16個又は24個など、多く設けられていてもよい。
【0014】
本実施形態の電動車両1は、EVであり、地上設備である非接触充電レーンでの走行中に、非接触に電力を受けて高電圧バッテリ11の充電が可能な車両である。非接触充電レーンとは、
図1に示すように、走行レーンの表面部に複数の送電コイル120が道路に沿って連続的に設けられ、走行中の車両に送電コイル120から電磁作用を用いて電力か伝送される走行レーンである。
【0015】
本実施形態の電動車両1は、
図1に示すように、前輪2、後輪3、前輪モータ21、後輪モータ31、第1インバータ22、第2インバータ32、高電圧バッテリ11、受電コイル12、電力分配部13、充電用コイル14及び制御部18を備える。これらのうち、前輪2及び後輪3はそれぞれ本発明に係る第1駆動輪及び第2駆動輪の一例に相当し、前輪モータ21及び後輪モータ31はそれぞれ本発明に係る第1モータ及び第2モータの一例に相当する。高電圧バッテリ11は、本発明に係るバッテリの一例に相当する。
【0016】
前輪2及び後輪3は、各々単独の駆動で電動車両を走らせることが可能な駆動輪である。
【0017】
前輪モータ21及び後輪モータ31は、三相交流モータであり、それぞれモータ軸が変速機を介して前輪2及び後輪3に接続され、これらにトルクを伝達できる。
【0018】
後輪モータ31は、
図2に示すように、例えばスター結線された三相のモータコイル311a~311cを有する。なお、モータコイル311a~311cはΔ結線されていてもよい。モータコイル311a~311cは、
図3に示すように、固定子コア312の内周部のティース312hの周囲に巻回され、位相の異なる交流電流が流れることで回転磁界を発生し、回転子313にトルクを発生させる。
図3の例では、回転子313は永久磁石313aを有する同期モータを示しているが、誘導モータが適用されてもよい。
【0019】
高電圧バッテリ11は、例えばリチウムイオンバッテリ又はニッケル水素バッテリ等であり、走行用の電力を蓄積し、前輪モータ21及び後輪モータ31へ電力を供給する。
【0020】
第1インバータ22は、前輪モータ21と高電圧バッテリ11との間で電力を変換する。第1インバータ22は、高電圧バッテリ11の電力から三相の交流電流を生成して前輪モータ21へ出力することで、前輪モータ21からトルクを発生させる。また、回生時において、第1インバータ22は、前輪モータ21から戻される交流電流を直流電流に変換して高電圧バッテリ11へ送ることができる。
【0021】
第2インバータ32は、後輪モータ31と高電圧バッテリ11との間で電力を変換する。第2インバータ32は、
図2にも示すように、高電圧バッテリ11の電力からU相V相W相の交流電流を生成して後輪モータ31へ出力することで、後輪モータ31からトルクを発生させる。また、回生時あるいは非接触充電時において、第2インバータ32は、後輪モータ31のモータコイル311a~311cから戻される交流電流を直流電流に変換して高電圧バッテリ11へ送ることができる。
【0022】
受電コイル12は、車体下部に設けられ、地上設備の送電コイル120から電磁作用により非接触に受電できる。
【0023】
充電用コイル14は、
図2に示すように、後輪モータ31のモータコイル311a~311cと電磁結合され、モータコイル311a~311cと組み合わさって絶縁トランスとして機能する。詳細には、充電用コイル14は、3相のモータコイル311a~311cとそれぞれ電磁結合される3個のコイル14a~14cを含む。
図2及び
図3では、3相のモータコイル311a~311cが各相に1個のコイルを含む構成を示したが、各相に複数個のコイルを有し、それに対応して充電用コイル14も三相分×複数個(すなわち3組)のコイルを有する構成としてもよい。
【0024】
コイル14a~14cは、
図3に示すように、それぞれ対応するモータコイル311a~311cとモータ軸の径方向に並ぶ配置で、固定子コア312の外周部のティース312iの周囲に巻回されている。内周部のティース312hの内側端部と外周部のティース312iの外側端部とはブリッジ312jにより接続され、ティース312h、312i及びブリッジ312jとにより固定子コア312のモータ軸方向における端部にループが構成されている。コイル14a及びモータコイル311aの各コイルエンドの部分は上記のループ内に通されている。ブリッジ312jは、ティース312h、312iと一体的に形成され、固定子コア312の一部を構成している。モータコイル311a~311c及びコイル14a~14cに電流が流れたとき、この電流によって発生する磁束が、ティース312h、312i、ブリッジ312jにループ状に通り、これにより両方のコイルの強い磁気結合が得られる。
【0025】
電力分配部13は、受電コイル12が非接触で受けた電力を充電用コイル14に分配する。電力分配部13は、
図2に示すように、3組のコイル14a~14cに対応する3組のスイッチSWa1~SWc1、SWa2~SWc2を備え、これらの切替えにより、受電コイル12が受けた電力に基づき3組のコイル14a~14cに異なる位相の交流電流を分配することができる。スイッチSWa1~SWc1、SWa2~SWc2は、例えばパワー半導体のスイッチング素子である。
【0026】
制御部18は、1つのECU(Electronic Control Unit)あるいは互いに連係して動作する複数のECUから構成される。ECUは、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラム及び制御データを記憶した記憶装置、外部との間で信号を入出力するI/Oポートを有するマイクロコンピュータである。
【0027】
先ず、非接触充電を行っていない場合の制御動作を説明する。この場合、制御部18は、図示略の運転操作部(アクセルペダル等)からドライバーの操作に応じた信号を受け、この信号に基づいて第1インバータ22及び第2インバータ32を駆動する。これにより、前輪モータ21及び後輪モータ31は運転操作に応じたトルクを出力する。前輪モータ21及び後輪モータ31の駆動により、前輪2及び後輪3を合わせた全輪駆動の安定した走行が実現される。また、制御部18は、電動車両1の制動時、目標の回生電力を計算し、計算された回生電力が前輪モータ21及び後輪モータ31から得られるように、第1インバータ22及び第2インバータ32を駆動する。第1インバータ22及び第2インバータ32は、回生電力を直流に変換して高電圧バッテリ11に供給し、これにより高電圧バッテリ11が充電される。後輪モータ31の力行時及び回生時には、制御部18の制御に基づき電力分配部13が、充電用コイル14の各コイル14a~14cの配線端を開放する。これにより、各コイル14a~14cに電流は流れず、後輪モータ31は充電用コイル14から何らの作用を受けずに力行又は回生の運転を行える。
【0028】
次に、非接触充電レーンを走行する場合の制御動作を説明する。この場合、制御部18は、ドライバー又は上位の制御部からの非接触充電の要求に基づき、第1インバータ22の駆動により前輪モータ21から走行用のトルクを発生させ、かつ、電力分配部13と第2インバータ32とを充電の用途で制御する。前輪モータ21の力行又は制動の駆動により、電動車両1は走行を継続できる。電力分配部13は、充電用途の制御により、受電コイル12から受けた電力を3組のコイル14a~14cに分配する。電力の分配は、後輪モータ31の回転に合わせて、コイル14a~14cに異なる位相の電流が流れるように制御される。さらに、第2インバータ32は、充電用途の制御により、コイル14a~14cからモータコイル311a~311cを介して受けた電力を直流の電力に変換する。これにより、高電圧バッテリ11に充電電流が送られて、高電圧バッテリ11が充電される。あるいは、このときに変換された直流の電力の一部又は全部が、第1インバータ22に送られて前輪モータ21を駆動するために使用されてもよい。
【0029】
以上のように、本実施形態の電動車両1によれば、非接触充電を行っていないとき、制御部18は、第1インバータ22及び第2インバータ32を制御して、前輪モータ21及び後輪モータ31を力行駆動又は回生駆動する。これにより、前輪2と後輪3との全輪駆動により安定した走行が実現される。
【0030】
また、本実施形態の電動車両1によれば、停車して非接触充電を行う場合、停止中の後輪モータ31のモータコイル311a~311cと第2インバータ32とを利用して直流の電力を高電圧バッテリ11へ供給し、高電圧バッテリ11を充電できる。
【0031】
さらに、本実施形態の電動車両1によれば、非接触充電レーンの走行中、制御部18は、第1インバータ22を制御して前輪モータ21を駆動することで、電動車両1の走行を継続できる。加えて、制御部18は、第2インバータ32を制御して、受電コイル12で非接触に受けて後輪モータ31のモータコイル311a~311cを介して伝送された電力を充電電流に変換して高電圧バッテリ11に供給できる。これにより高電圧バッテリ11の走行中の充電が可能となる。非接触充電の電力伝送経路には、互いに磁気結合された充電用コイル14及びモータコイル311a~311cが存在し、これが絶縁トランスとして機能する。このため、受電コイル12に流れる電流が、直接に第2インバータ32又は高電圧バッテリ11に流れることがなく、高電圧バッテリ11の電力伝送経路を保護できる。非接触充電レーンの走行中、走行状態の変化により、送電コイル120から受電コイル12へ伝送される電力が急激に変化し、受電コイル12に瞬間的に大きな電流が流れるような事態を完全に無くすことは困難である。このような場合でも、上記の絶縁トランスの機能により、高電圧バッテリ11の電力伝送経路に特別な絶縁設計を施す必要なく、これを保護できる。また、絶縁トランスを別途設けたのでは、電動車両1の部品点数の増加、及び電動車両1の重量の増加を招くが、本実施形態では、後輪モータ31のモータコイル311a~311c及び固定子コア312を流用して絶縁トランスの機能を実現している。このため、電動車両1の部品点数の増加及び重量の増加を抑制できる。
【0032】
また、本実施形態の電動車両1によれば、後輪モータ31は、3相のモータコイル311a~311cを有する三相交流モータであり、充電用コイル14は、三相のモータコイル311a~311cにそれぞれ磁気結合された3個のコイル14a~14cを有する。さらに、電動車両1は、3個のコイル14a~14cに受電コイル12で受けた電力を分配する電力分配部13を備え、制御部18は、3組のコイル14a~14cに異なる位相の電流が流れるように電力分配部13を制御する。具体的には、後輪モータ31の回転子313の回転に合わせて効率的に3組のコイル14a~14cから3相のモータコイル311a~311cへ電力が伝送されるように、3組のコイル14a~14cに位相の異なる電流が流される。これにより、電動車両1の走行中、後輪モータ31の回転子313が回転していても効率的にコイル14a~14cからモータコイル311a~311cへ電力が伝送され、高電圧バッテリ11を効率的に充電することができる。さらに、電力分配部13を用いた電力分配の位相制御により、3組のコイル14a~14cを介してモータコイル311a~311cにも位相の異なる電流を流すことができる。これにより、三相モータの位相制御と同様の原理で、電力分配部13からの電力の一部又は全部を後輪モータ31の駆動電力として使用することができる。非接触充電の電力を高電圧バッテリ11に蓄積せずに、直接に後輪モータ31の駆動に使用することで、電動車両1の電費を向上できる。
【0033】
また、本実施形態の電動車両1によれば、充電用コイル14の各コイル14a~14cが、後輪モータ31の固定子コア312の外周側に配置されている。これにより、各コイル14a~14cの配線端が開放されているときには、充電用コイル14から後輪モータ31への影響が抑制され、充電用コイル14により損失が増加することなく後輪モータ31を駆動できる。一方、各コイル14a~14cに電流が流れたときには、コイル14a~14cとモータコイル311a~311cとの電磁結合により、これらの間で少ない損失で電力を伝送することができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限られるものでない。例えば、上記実施形態では、後輪モータ31のモータコイル311a~311bを充電の用途に流用する構成を示したが、前輪モータ21のモータコイルを充電の用途に流用してもよい。また、個別の駆動により電動車両を走らせることのできる第1駆動輪及び第2駆動輪は、前輪又は後輪以外に設けられていてもよい。また、モータコイル311a~311c及び充電用コイル14の各コイル14a~14cの配置、固定子コア312の構成など、実施形態に示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 電動車両
2 前輪
3 後輪
11 高電圧バッテリ
12 受電コイル
13 電力分配部
SWa1~SWc1、SWa2~SWc2 スイッチ
14 充電用コイル
14a~14c 充電用コイルの各コイル
18 制御部
21 前輪モータ
22 第1インバータ
31 後輪モータ
32 第2インバータ
311a~311c モータコイル
312 固定子コア
312h、312i ティース
312j ブリッジ
313 回転子