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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】工作機械上で被加工物をロックする装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20220218BHJP
   B25B 5/06 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
B23Q3/06 301B
B23Q3/06 301D
B25B5/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018530890
(86)(22)【出願日】2017-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 IB2017051703
(87)【国際公開番号】W WO2017163214
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】UA2016A002578
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518204969
【氏名又は名称】ハイドロブロック エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ザンニ,ダヴィデ
【審査官】中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第03334401(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01281480(EP,A1)
【文献】米国特許第05192058(US,A)
【文献】特開2016-006353(JP,A)
【文献】特開昭58-166107(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200693(JP,U)
【文献】特開平08-090103(JP,A)
【文献】IT 1391930 B1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B25B 1/18
B25B 5/06
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のピストン(3、4)が主線(A)に沿って摺動可能に挿入されている少なくとも1個の第1の油圧シリンダ(2)であって、ピストンはヘッド(3)と前記第1の油圧シリンダ(2)から突き出しているロッド(4)とを有し、
前記ロッド(4)の外側端部に固定されている少なくとも1個の横断方向のブラケット(5)が存在し、
被加工物(P)を受け入れロックするように前記ブラケット(5)と共に動作するように構成されている、前記第1の油圧シリンダ(2)の外側端部(6)に固定されている横断方向の対向ブラケット(7)が存在し、
前記第1の油圧シリンダ(2)と前記ヘッド(3)との間には、前記ロッド(4)を最大突き出しの第1のホーム位置から工作機械(M)上で作業される少なくとも1個の被加工物(P)に前記ブラケット(5)が接触している第1の動作位置まで後向きに移動させるように、加圧されている油圧流体の供給を受けることが可能な少なくとも1個の第1のチャンバ(8)が存在し、
前記ヘッド(3)の前記ロッド(4)に対する反対側には、前記ロッド(4)を前記第1のホーム位置に戻すように加圧されている油圧流体の供給を受けることが可能な少なくとも1個の第2のチャンバ(10)が存在する、
第1の油圧シリンダ(2)と、
前記第1の油圧シリンダ(2)と前記ピストン(3、4)との間に介在し、前記第1のホーム位置からの後向きのロッド(4)の移動の第1のステップ中に、前記ブラケット(5)を前記対向ブラケット(7)に揃えるように前記ブラケット(5)を前記主線(A)を中心に所定の角度だけ同時に回転させ、後向きの移動の第2のステップ中に、前記第1の動作位置に到達するまで、前記ブラケット(5)を回転させずに前記主線(A)に沿って摺動させる回転/並進手段(11、12、13、14)と、
前記工作機械(M)に固定可能で、前記第1の油圧シリンダ(2)が前記主線(A)に沿って摺動可能に内部に挿入されている少なくとも1個の第2の油圧シリンダ(15)であって、前記ロッド(4)が前記第1の動作位置にあるときに、加圧されている油圧流体の前記第1のチャンバ(8)内への供給は、前記第1の油圧シリンダ(2)に、前記第1の油圧シリンダ(2)を前記第1の油圧シリンダ(2)が前記第2の油圧シリンダ(15)にほとんど挿入されている第2のホーム位置から前記対向ブラケット(7)が前記ブラケット(5)の反対側で前記被加工物(P)に接触している第2の動作位置にシフトさせる主要な力(F)を作用させるように構成されている、第2の油圧シリンダ(15)と、
前記第1の油圧シリンダ(2)と前記第2の油圧シリンダ(15)との間に介在しており、前記第1の油圧シリンダ(2)を前記第2の動作位置にロックするように構成されている一時ロック手段(36、37)と、
を有し、
前記第1の油圧シリンダ(2)と前記第2の油圧シリンダ(15)との間に、前記第1の油圧シリンダ(2)の前記第2のホーム位置から前記第2の動作位置へのシフト中に加圧されている空気を内部に供給するように構成されている空圧供給手段(29、30、31)に関連付けられている補助チャンバ(28)が存在し、前記加圧されている空気の供給によって、前記主要な力(F)と同じ方向で共に動作する補助力(Fa)を前記主線(A)に沿って前記第1の油圧シリンダ(2)に作用させることを特徴とする、
工作機械上で被加工物をロックする装置(1)。
【請求項2】
前記第1の油圧シリンダ(2)は、対応する外側の端部(6)に対向している内側の端部(27)を有しており、前記補助チャンバ(28)は、少なくとも部分的に内側の端部(27)の位置に作られていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記空圧供給手段(29、30、31)は、
前記ピストン(3、4)と、前記第1の油圧シリンダ(2)と、前記第2の油圧シリンダ(15)との間に存在している摩擦力と、
前記主線(A)に沿った前記ピストン(3、4)と前記第1の油圧シリンダ(2)との重量の力の成分と、
を少なくとも部分的に補償するように前記補助力(Fa)の大きさを調整するように構成されている空気圧力を調整する調整手段(31)を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記空圧供給手段(29、30、31)は、前記第2の油圧シリンダ(15)内に作られており、前記補助チャンバ(28)の位置の挿入口(32)で終わっている少なくとも1個の供給ダクト(29)を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記空圧供給手段(29、30、31)は、前記第2のホーム位置にある前記第1の油圧シリンダ(2)を検出する検出手段(30)を有している、ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記空圧供給手段(29、30、31)は、前記第2のホーム位置にある前記第1の油圧シリンダ(2)を検出する検出手段(30)、及び、前記第2の油圧シリンダ(15)内に作られており、前記補助チャンバ(28)の位置の挿入口(32)で終わっている少なくとも1個の供給ダクト(29)を有しており、
前記検出手段(30)は、
前記第2のホーム位置で、前記挿入口(32)を閉じる前記第1の油圧シリンダ(2)の少なくとも1個の部分(34)と、
前記挿入口(32)と、前記供給ダクト(29)とが閉じたことを検出するように構成されている少なくとも1個の検出システムと、
を有していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記第1の油圧シリンダ(2)を前記第2のホーム位置に戻すように構成されている油圧戻し手段(39、40、41、42、43)を有することを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記油圧戻し手段(39、40、41、42、43)は、前記第2の油圧シリンダ(15)内に作られており、少なくとも1個の作動ピン(40、41)が2次線(B)に沿って摺動可能に挿入されており、前記作動ピン(40、41)を前記2次線(B)に沿ってシフトし、前記第1の油圧シリンダ(2)を前記第2のホーム位置に向けて押すように加圧されている油圧流体供給を受けることが可能な少なくとも1個の座部(39)を有していることを特徴とする、請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記作動ピン(40、41)は、前記座部(39)に向いている第1の端部(40)と、前記補助チャンバ(28)内に位置しており、前記第1の油圧シリンダ(2)の前記少なくとも1個の部分(34)に接触している前記第1の端部(40)とは反対の第2の端部(41)とを有していることを特徴とする、請求項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前期油圧戻し手段(39、40、41、42、43)は、
前記座部(39)を同じ油圧流体の供給を受けることができる前記第2のチャンバ(10)に接続する少なくとも1個の接続チャネル(42)と、
前記ロッド(4)の前記第1のホーム位置への戻りが前記第1の油圧シリンダ(2)の前記第2のホーム位置への戻りの前に発生するように、前記作動ピン(40、41)のシフトに対抗し、前記作動ピン(40、41)のシフトを遅延させるように校正されている少なくとも1個の弾性要素(43)と、
を有することを特徴とする、請求項8または9に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記2次線(B)は、前記主線(A)に平行であることを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記一時ロック手段(36、37)は、前記第1の油圧シリンダ(2)と前記第2の油圧シリンダ(15)との間に形成されており、少なくとも1個の弾性ブッシュ(37)が前記第1の油圧シリンダ(2)に接触して存在する少なくとも1個の第3のチャンバ(36)を有しており、前記第3のチャンバ(36)への加圧されている油圧流体の供給は、前記第1の油圧シリンダ(2)を前記第2の油圧シリンダ(15)に対して定位置にロックできる摩擦力を生成するように前記弾性ブッシュ(37)を前記第1の油圧シリンダ(2)に押圧するように構成されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械上で被加工物をロックする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、工作機械での機械加工が必要な機械的被加工物の大量生産においては、ロボットが機械加工される被加工物を工作機械まで搬送し、油圧形式の適切な手段が被加工物を引き継ぎ、その機械加工ができるように定位置にロックする。
【0003】
機械加工が終了すると、前述の手段が機械加工された被加工物を解放し、ロボットによって再び運び出される。
【0004】
この目的に使用される一型式の油圧手段は、ヘッド及び遠方端部がシリンダから突き出している同軸のロッドを有している中空のピストンが摺動可能に挿入されている第1の油圧シリンダから本質的になる油圧装置を有している。
【0005】
ピストン内のキャビティは、ピストンヘッドの側にだけ開いている。
【0006】
このキャビティに螺旋ばねが挿入されており、その一方の端部がロッドの閉じている端部に置かれているのに対して、他方の端部は、第1のシリンダの対応する端部の閉じる要素から始まっており、同じキャビティ内に部分的に挿入されている同軸のペグの内側の端部に当接している。
【0007】
螺旋ばねは、第1のシリンダからの関連するロッドの突き出し(油圧装置のホーム状態に対応)が最大で、その位置で、ピストンヘッドが第1のシリンダ内に設けられている環状のショルダ上にもたせかけられている位置にピストンを保持している。
【0008】
一部をピストンによって区分され、残りを第1のシリンダの内側の表面によって区分されている第1のチャンバに加圧されている油を供給することによって、ロッドを後向きに第1のシリンダ内に移動させるようにピストンをシフトさせることができる。
【0009】
ロッドを後向きに移動させるためには、前述の螺旋ばねの対抗する力にうち勝たなければならない。
【0010】
ロッドの後向きの移動に加えて、ロッドをある角度だけ回転させるための手段も設けられている(回転/並進)。
【0011】
これらの手段は、ピストンヘッドに設けられている関連する座部から部分的に突き出している1対のボールを有している。
【0012】
ロッドが後向きに運動すると、ピストンヘッドは、ボールを前述のペグの側方表面上に対称に構成されているそれぞれのトラックを強制的に移動させる。
【0013】
トラックのパターンは、加圧されている油が前述の第1のチャンバに供給されたときに、後向きの移動及びピストン及びそのためロッドのそれらの軸線を中心とした同時の回転の第1の段階及びロッドの(回転なしの)後向きの移動だけの第2の段階のようになっている。
【0014】
装置は、(ピストンとして作動する)第1のシリンダを摺動可能に受け入れるように構成されている第2のシリンダも有しており、前述のロッドが突き出している第1のシリンダの端部が第2のシリンダから外向きに突き出しており、最大の突き出しはストロークの終了の媒体によって限定されている。
【0015】
第2のシリンダは、被加工物の機械加工を実行しなければならない工作機械の近くに配置されている適切な支持部分に固定されている。加圧されている油の前述の第1のチャンバへの供給を続けると、第1のシリンダがストローク終了にまだ到達していない場合、第1のシリンダは第2のシリンダからのその突き出しを増加させる傾向にある。
【0016】
この点で、ロッドの外側の円錐状端部の位置で、共通にブラケットと呼ぶ側方に突き出している要素がリングナットによってロッドに固定されているのに対して、側方に突き出している他の要素、つまり対向ブラケットが第1のシリンダの外側端部に固定されていることを理解すべきである。
【0017】
そのため、加圧されている油が前述の第1のチャンバに供給されたときに、(前述のボール手段と関連するトラックとのおかげで)第1の段階でブラケットが第1のシリンダの端部に近づき、同時にブラケットが対向ブラケットに揃う角度だけ回転するのに対して(回転/並進)、第2の段階(ロックストローク)では、ブラケットだけが近づくという結果になる。
【0018】
ブラケットと対向ブラケットとの間に、機械加工される(ロボットに搬送され、依然としてロボットに保持されている)被加工物が工作機械上に以前から位置していると、加圧されている油が前述の第1のチャンバに供給されるのに続いて、ブラケットが被加工物の表面に接触する。
【0019】
加圧されている油が引き続き第1のチャンバに供給されると、ブラケットのさらなる後向きの移動が被加工物の存在によって抵抗を受け、第1のシリンダは外向きの移動を自動的に開始し、その結果、対向ブラケットも被加工物に近づく。
【0020】
対向ブラケットが被加工物に接触しているときに、油が継続して供給されると、圧力が上昇し、そのためブラケット及び対向ブラケットが被加工物に及ぼす力が上昇する。
【0021】
油内が所定の圧力に到達すると、装置の外部のシーケンス弁が、第2のシリンダの内側の表面によって部分的に区切られ、第1のシリンダの外側の表面によって残りの部分が区切られているチャンバ(以降では第3のチャンバと呼ぶ)への供給手順も開始する。そのようなチャンバ内に、外側の表面に接触している弾性ブッシュであって、第1のシリンダを第2のシリンダに対してロックする摩擦力を発生させる油の圧力が、弾性ブッシュを第1のシリンダの表面に付着させる値に到達すると、かなり薄く第1のシリンダを囲んでいるその一部が変形する弾性ブッシュが存在している。
【0022】
被加工物がロックされると、すべての予定された機械加工作業をここで実施することができる。
【0023】
これらの機械加工作業がいったん完了すると、第1のシリンダを解放するだけでなく、(前述の螺旋ばねの作動のおかげで)装置をそのホーム位置(ロッドの最大突き出し)に自動的に戻すために、(前述の両チャンバの圧力が零に低下するように)油供給ラインの排出を行わなければならない。
【0024】
ただし、前述の油圧装置は、単一動作型式であって、つまり、ロッドの反対のピストンヘッドの側に、従来の通気によって外側に連通しているさらなるチャンバ(以降では第2のチャンバと呼ぶ)が存在していることを理解すべきである。
【0025】
しかし、前述の既知の油圧装置には多数の欠点がある。
【0026】
特に、ロッドを後向きに移動させるためには、ロッド自体のキャビティ内に収容されている螺旋ばねの力にうち勝たなければならないので、第1のチャンバに供給される油の圧力は相当な値(20バールにもなる)に到達することがある。
【0027】
この大きさの圧力値によって、密封ガスケットが圧縮され、それが関連する摩擦力を際だって増加させ、ブラケット及び/または対向ブラケットによって機械加工される被加工物に作用する力が無視できなくなり、機械加工された被加工物が要求される公差を満たさず廃棄されるほど、被加工物が過度に変形する(特に被加工物が薄く本来強くない時)。
【0028】
他の欠点は、中空のロッド内に収容されている螺旋ばねが時間の経過につれてその弾性の初期の特性を失うということであり;そのため、機械加工後に被加工物をロボットによって取り除くときに、加工物自体がブラケットと干渉し、損傷し、その結果、廃棄される危険性のある、ブラケットと対向ブラケットとの間の最大開口(ホーム位置)の減少を回避するために、ばねの交換のための定期的な保守を予定しなければならない。
【0029】
さらなる欠点は、前述の装置が単作動である、つまり前述の第2チャンバが外部と連通していることである。
【0030】
この連通によって、腐食現象が発生する可能性があるだけでなく、被加工物の機械加工によって生じるごみ及び/または粒子がこのチャンバの入口に存在し、装置の動作を変える可能性がある。
【0031】
この型式の装置の理想的な状況は、特に被加工物が本質的に強くない場合に、被加工物に作用する力によって被加工物が変形するのを防ぐように、第1のシリンダが第2のシリンダに対して定位置にロックされる前にはブラケット及び対向ブラケットが保持される被加工物に軽く触れるだけであることであろう。
【0032】
前述の欠点を少なくとも部分的に克服するために、特許文献1は、機械加工される被加工物をロックする、前述の螺旋ばねがなく、ホーム位置へ自動的に復帰させるために適切な油圧動作媒体を供給する油圧装置を提供している。
【0033】
実際に、前述の第2のチャンバを外部と(穴を通して)連通させる代わりに、特許文献1に示している装置では、装置をそのホーム状態に戻すために、加圧されている油を供給可能な同等のチャンバ(穴なし)が設けられている。
【0034】
したがって、(ロッドの後向きの移動に抵抗する螺旋ばねの力にうち勝たなければならない)既知の単作動装置で要求される圧力(たとえば、20バール)よりもかなり低い油圧力(たとえば5バール)でピストンが移動する双作動油圧動作を行う密封装置が得られる。
【0035】
特許文献1に示されている装置を、さらに改良することもできる。
【0036】
実際、装置内部での油圧力の低下によってより低い圧力を受けるシールは、既知の単作動装置よりも発生させる摩擦力が相当に低下するが、いずれにしても依然として無視できる大きさではないことがわかる。
【0037】
そのような残留摩擦力は、実際、ロッドの第1のシリンダに対する往復シフト及び第2のシリンダに対する第1のシリンダの往復シフトに対する抵抗として反作用し、対向ブラケットの移動は、被加工物の存在によってブラケットがさらに後向きに移動するのが妨害されるときに基本的に発生することを考慮すると、残留摩擦力が被加工物に反力の形態で機械的に作用し、1ミリの数百分の1だけ被加工物がシフト/変形する危険性があることは容易に理解される。
【0038】
摩擦力に起因するこれらの反力に対して、必要に応じて、たとえば垂直な軸線上に配置されている場合、被加工物から吊り下げられて、下向きの力を作用させているピストン及び第1のシリンダの重力の成分も追加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【文献】イタリア特許1391930号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
本発明の主要な目的は、前述の改良を達成可能で、張力の観点から負荷を一切作用させず、変形させずに工作機械上で機械加工される被工作物を安定してロックできるようにする被工作物を工作機械上でロックする装置を提供することである。
【0041】
本発明の他の目的は、簡素で、合理的で、容易で、使用が効果的で、手頃な解決策において、従来技術の前述の欠点を克服可能な工作機械上で被工作物をロックする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
前述の目的は、請求項1の特徴を有している工作機械上で被工作物をロックする本装置によって達成される。
【0043】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面において例示的ではあるが非限定的な例として示している工作機械上で被加工物をロックする装置の好適なしかし排他的ではない実施形態の説明から、より明らかになることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、本発明の装置の不等角投影図である。
図2図2は、本発明の装置の分解図である。
図3図3は、本発明の装置の上面図である。
図4図4は、本発明の装置の図3の平面IV-IVに沿った断面図である。
図5図5は、ロッド及び第1の油圧シリンダがホーム位置にある、本発明の装置の図3の平面V-Vに沿った断面図である。
図6図6は、ロッドが動作位置にあって、第1の油圧シリンダがホーム位置にある、本発明の装置の図5と同じ平面に沿った断面図である。
図7図7は、ロッド及び第1の油圧シリンダが動作位置にある、本発明の装置の図5と同じ平面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
そのような図を特に参照して、工作機械上で被加工物をロックする装置は全体を通して参照番号1で示されている。
【0046】
装置1は、被加工物Pが工作機械Mの近くに配置された後、機械加工作業の開始前に、少なくとも被加工物Pをロックすることを特に意図している。
【0047】
装置1は、少なくとも第1の油圧シリンダ2を有しており、主線Aに沿って第1の油圧シリンダ2内を両方向に摺動可能な少なくとも1個のピストン3、4が挿入されている。
【0048】
ピストン3、4は、ヘッド3及びロッド4を有している。
【0049】
ヘッド3及びロッド4は、1個の胴体片に作られている、つまり、1個の一体の胴体に作られているが、2個または3個以上の別個の片に作られ、それから組み立てられている代替の実施形態を除外することはできない。
【0050】
ロッド4は、主線Aに沿って延びており、第1の油圧シリンダ2の外側に突き出しており;ロッド4の外側の端部には、少なくとも1個の横断方向のブラケット5が固定されている。
【0051】
第1の油圧シリンダ2は、主線Aに沿って延びており、ロッド4の外側端部の近くに配置されている一方の端部を有しており、同様に、第1の油圧シリンダ2の外側の端部6と呼ばれる。
【0052】
第1の油圧シリンダ2の外側端部6には、被加工物Pを受け入れロックするようにブラケット5と共に動作するように構成されている横断方向の対向ブラケット7が固定されている。
【0053】
ヘッド3は、密封されている状態で、第1の油圧シリンダ2の内側の表面の内側を摺動する。
【0054】
第1の油圧シリンダ2とヘッド3との間に、ロッド4を最大突き出しの第1のホーム位置からブラケット5が被加工物Pに接触している第1の動作位置まで後向きに移動させるように加圧されている油圧流体の供給を受けることができる少なくとも第1のチャンバ8が存在している。
【0055】
本説明において、油圧流体は、油圧回路内でエネルギーの搬送用の搬送媒体として使用される液体状態の(そのため、理想的には圧縮不能の)任意の流体を意味し;油圧流体は、従来の合成油からなることが好ましいが、油圧流体が、鉱物油、植物油、または水等であるかもしれない代替の実施形態を除外することはできない。
【0056】
第1のホーム位置において、ヘッド3は、第1の油圧シリンダ2の内側の壁に形成されているショルダ9に当接して配置されており、第1のチャンバ8は実質的に容積がない。
【0057】
ロッド4を第1のホーム位置に戻すように加圧されている油圧流体の供給を受けることが可能な第2のチャンバ10がロッド4に対してヘッド3の反対側に少なくとも存在しており;言い換えれば、第1の油圧シリンダ2は、ピストン3、4の後向きの動作及び油圧引き出しのための双作動動作をする。
【0058】
第1のホーム位置では、ブラケット5は、対向ブラケット7と揃っていないが、所定の角度で回転している。
【0059】
第1の油圧シリンダ2とピストン3、4との間に、回転/並進手段11、12、13、14を介在させ、回転/並進手段11、12、13、14は、ロッド4の第1のホーム位置からの後向きの移動の第1のステップ中に、ブラケット5を対向ブラケット7に揃えるようにロッド4を主線Aを中心に所定の角度だけ同時に回転させ、後向きの移動の第2のステップ中に、第1の動作位置に到達するまで、ロッド4を回転させずに主線Aに沿って摺動させる。
【0060】
回転/並進手段11、12、13、14は、ピストン3、4内に形成された同軸の止まり穴11及び第1の油圧シリンダ2に結合されており、第2のチャンバ10の内部に向けて延びており、同軸の止まり穴11に少なくとも部分的に挿入された状態に維持されることを意図している同軸のペグ12を有している。
【0061】
同軸のペグ12の、側部表面上に、3個のトラック13が形成されており、その各々は、対応するボール14を部分的に受け入れ、同軸の止め穴11の内側の壁に形成されている対応するキャビティに残りの部分が収容されるように構成されている。
【0062】
トラック13は、第1の伸長によって、実質的に螺旋方向に沿って延び、第2の伸長によって、実質的に直線状であって、主線Aに平行な方向に沿って延びる。
【0063】
ボール14及び対応するトラック13の組み立てによって、ピストン3、4が後向きの移動の第1の段階中に回転及び並進し、後向きの移動の第2の段階中に回転せずに摺動できるようにする。
【0064】
装置1は、工作機械Mに固定可能で、内部に第1の油圧シリンダ2が挿入されている少なくとも第2の油圧シリンダ15を有している。
【0065】
第1の油圧シリンダ2は、主線Aに沿って両方向に摺動して、今度は、ピストンの機能を実行可能である。
【0066】
第2の油圧シリンダ15内に挿入されているピン17の端部が進入する第1の油圧シリンダ2内に設けられているスロット16を有している手段は、第1の油圧シリンダ2が第2の油圧シリンダ15に対して回転するのを防止する。
【0067】
ピン17は、第2の油圧シリンダ15の壁内に形成されているねじ穴18内に締め込まれているねじからなるので便利である。
【0068】
第2の油圧シリンダ15は、たとえば、装置1を工作機械Mに固定できるようにする主ブロック19及び主ブロック19から主線Aに沿って延びているライナ20有している。
【0069】
主ブロック19及びライナ20は、1個の胴体片に作られている、つまり、1個の一体の胴体に作られているが、2個または3個以上の別個の片に作られ、それから組み立てられている代替の実施形態を除外することはできない。
【0070】
主ブロック19の反対側で、ライナ20は、それによって、組み立て段階で装置1の内部に構成要素に導入可能にし、ライナ20に固定可能な閉じる底部21によって閉じることができる開口で終わっている。
【0071】
加圧されている油圧流体を、第1の油圧シリンダ2内に定められている第1のチャンバ8及び第2チャンバ10の内部に導入するために、第1の油圧シリンダ2、第2の油圧シリンダ15、及び閉じる底部21の近くのライナ20の内部に配置されている分配器要素24の壁を貫通して複数のチャネル22、23が設けられている。
【0072】
使用時に、分配器要素24は、動かず、第2の油圧シリンダ15と一体の部分である。
【0073】
チャネル22、23は、加圧されている油圧流体を第1のチャンバ8内に供給する多数の第1のチャネル22と、加圧されている油圧流体を第2のチャンバ10内に供給する多数の第2のチャネル23とに分割されている。
【0074】
分配器要素24は、実質的に円環状であって、ライナ20の内側の壁に関連している外側の表面25及び、第1のシリンダ2の一部が挿入されている中央の穴26を有している。
【0075】
この点について、第1の油圧シリンダ2は、対応している外側の端部6とは反対であって、中央の穴26内に側部から側部まで挿入されている内側の端部27を有していることが強調される。
【0076】
分配器要素24は、実際には、第2の油圧シリンダ15上に形成されているチャネル22、23を、第1の油圧シリンダ2内に形成されているチャネル22、23と流体によって接続する。
【0077】
第1のチャネル22に関連付けられている第1の入口C1及び第2のチャネル23に関連付けられている第2の入口C2によって、チャネル自体は、油圧流体を適切なシーケンシャル弁によって装置1に供給する従来のポンプに接続されている。
【0078】
ロッド4が第1の動作位置にあるときに、加圧されている油圧流体の第1のチャンバ8へのさらなる供給によって、第1の油圧シリンダ2を、第1の油圧シリンダ2が第2の油圧シリンダ15内にほとんど挿入されている第2のホーム位置から、対向ブラケット7が被加工物Pにブラケット5の反対側で接触している第2の動作位置にシフトさせる主要な力Fが第1の油圧シリンダ2に作用するように構成されている。
【0079】
第2のホーム位置から第1のホーム位置への第1の油圧シリンダ2の移動は、加圧されている油圧流体の第1のチャンバ8内の流れによって発生しない。
【0080】
第1の油圧シリンダ2と第2の油圧シリンダ15との間には、第1の油圧シリンダ2が第2のホーム位置から第2の動作位置へシフトする時に、加圧されている空気を補助チャンバ28に供給するように構成されている空圧供給手段29、30、31に関連している補助チャンバ28が実際には存在している。
【0081】
加圧されている空気の供給によって、主要な力Fと同じ方向で主要な力Fと共に作用する補助力Faが主軸Aに沿って第1の油圧シリンダ2に実際に作用する。
【0082】
そのため、主要な力Fと補助力Faとの組み合わされた効果のおかげで第1の油圧シリンダ2の第2のホーム位置から第2の動作位置へのシフトが起こる。
【0083】
通常、補助チャンバ28は、第1の油圧シリンダ2の内側の端部27の位置に少なくとも部分的に作られている。
【0084】
より詳細には、第1の油圧シリンダ2の内側の端部27及び補助チャンバ28は、閉じる下部21の近くに配置されており、補助チャンバ28の第1の部分がライナ20、閉じる下部21、分配器要素24、及び内側の端部27の表面によって区分されている。
【0085】
補助チャンバ28の第2の部分が、分配器要素24に対して反対側から延びており、分配器要素24及び第1の油圧シリンダ2の表面によって区分されているので便利である。
【0086】
補助チャンバ28の第1と第2の部分とは、分配器要素24を貫通して形成されている接続ダクト46によって流体による連通状態にある。
【0087】
補助チャンバ28の第1の部分及び第2の部分の両方は、第1の油圧シリンダ2上で加圧されている空気が補助力Faを生成するように動作する有用な表面を定めている。
【0088】
空圧供給手段29、30、31は、第2の油圧シリンダ15内に作られており、補助チャンバ28の位置の挿入口32で終わっている少なくとも1個の供給ダクト29を有している。
【0089】
図示の特定の実施形態において、供給ダクト29は、ライナ20、分配器要素24、及び閉じる下部21を順番に貫通しており、挿入口32は、閉じる下部21上に形成されている。
【0090】
供給ダクト29は、パイプ33によって、従来の電動圧縮機及び/または構内の標準的な空圧供給ネットワークなどの圧縮空気源に接続されるように、接続されるライナ20から引き出されている。
【0091】
空圧供給手段29、30、31は、第1の油圧シリンダ2が第2のホーム位置にあることを検出するように構成されている検出手段30も有している。
【0092】
検出手段30は、たとえば、
第2のホーム位置で、挿入口32を閉じる前記第1の油圧シリンダ2の少なくとも1個の部分34と;
挿入口32と供給ダクト29とが閉じたことを検出するように構成されている少なくとも1個の検出システムと、
を有している。
【0093】
部分34は、第1の油圧シリンダ2の内側の端部27に関連しており、第2のホーム位置で閉じる下部21に当接して挿入口32を塞ぐプレートからなるので便利である。
【0094】
他方、(図には詳細を示していない)検出システムは、空気圧力およびまたはその流量に応じて、供給ダクト29が塞がれているかどうかを学習することができる圧力スイッチ等の型式のシステムからなり、第1の油圧シリンダ2が第2のホーム位置にあるときに塞ぎが発生するので、検出手段30は第2のホーム位置を検出することができる。
【0095】
検出手段30によって、工作機械Mの管理及び制御ユニットに連動させる制御信号を生成することができ;このように、管理及び制御ユニットは装置1が被加工物Pの解放構成にあることを学習し、完全に安全な被加工物Pの搭載及び取り出しのために被加工物Pをロボットに移動させるように命令することができる。
【0096】
空圧供給手段29、30、31は、
ピストン3、4と、第1の油圧シリンダ2と、第2の油圧シリンダ15との間に存在している摩擦力と;
主線Aに沿ったピストン3、4と第1の油圧シリンダ2との重量の力の成分と、
を少なくとも部分的に補償するように補助力Faの大きさを調整するように構成されている空気圧力を調整する調整手段31を有している。
【0097】
言い換えると、たとえば、パイプ33に沿って位置しており、手動で調整可能な調整弁35からなる空気圧力調整手段31は、装置1の実際の動作条件に依存して空圧供給手段29、30、31のトリガを校正できるようにする。
【0098】
実際に、工作機械Mを設定するときには、オペレータは、装置1による被加工物Pの1個または2個以上のロックテストを実施して、たとえばマイクロメータダイアルゲージによって、被加工物Pがブラケット5と対向ブラケット7とが加える力のせいでどれだけシフト及び/または変形するかを計測する。
【0099】
被加工物Pの数百分の1ミリに過ぎないこともあるシフト及び/または変形が、空圧供給手段29、30、31のおかげで完全になくなり;実際、オペレータは、空気圧力、その結果、補助力Faを変更して、マイクロメータダイアルゲージによって計測される被加工物Pのシフトが、補助力Faが被加工物Pに作用させる可能性のある摩擦力及びピストン3、4及び第1の油圧シリンダ2の重量を完全に補償している状況に該当するゼロシフトの計測値であるように調整弁35を手動で調整する。
【0100】
この点について、ブラケット5が被加工物Pと既に接触しており、そのため、被加工物Pをシフト及び/または変形させがちな反力を被加工物P上で発生させているせいで、ピストン3、4と第1の油圧シリンダ2との間で発生する主要な力Fに対して起こることとは異なり、補助力Faは、第1の油圧シリンダ2と第2の油圧シリンダ15との間で発生し、ピストン3、4上で反力を一切発生させないことが強調される。
【0101】
言い換えると、補助力Faは、被加工物Pの「外部」であって、前述の反力を補償するように所望の大きさに設定できる。
【0102】
ブラケット5と対向ブラケット7とが第1の作動位置と第2の作動位置にそれぞれいったん配置されると、装置1は、工作機械Mが必要な機械加工作業を実施できるように、被加工物Pを安定してロックした状態に維持しなければならない。
【0103】
この目的のために、第1の油圧シリンダ2と第2の油圧シリンダ15との間に、第1の油圧シリンダ2を第2の動作位置にロックするように構成されている一時ロック手段36、37が介在している。
【0104】
一時ロック手段36、37は、第1の油圧シリンダ2と第2の油圧シリンダ15との間に形成されており、少なくとも1個の弾性ブッシュ37が第1の油圧シリンダ2に接触して存在する少なくとも1個の第3のチャンバ36を有しており、第3のチャンバ36への加圧されている油圧流体の供給は、第1の油圧シリンダ2を第2の油圧シリンダ15に対して定位置にロックできる摩擦力を生成するように弾性ブッシュ37を第1の油圧シリンダ2に押圧するように構成されている。
【0105】
第3のチャンバ36は、第2の油圧シリンダ15の内側の壁に形成されており、その内部に収容されている弾性ブッシュ37が第1の油圧シリンダ2の寸法に合わせて実質的に包んでおり、比較的薄い部分を特徴としており、加圧されている油圧流体を第3のチャンバ36に供給することによって、弾性ブッシュ37の比較的薄い部分が第1の油圧シリンダ2に押し付けられるようになっている。
【0106】
第3のチャンバ36内の、油圧流体の圧力が十分な場合、第1の油圧シリンダ2と弾性ブッシュ37との間の摩擦力が上昇するので第1のシリンダは、定位置にロックされたままであって、工作機械M上の被加工物Pの機械加工に進むことができる。
【0107】
加圧されている油圧流体の第3のチャンバ36内への供給は、第3のチャンバ36を前述のポンプと流体によって連通させるライナ20の壁を貫通して形成されている第3のチャネル38によって行われる。
【0108】
第2の油圧シリンダ15のロック状態は、工作機械Mの管理及び制御ユニットに装置1が被加工物Pのロック構成にあることを通知するそれ自体既知の種類の閉じる制御弁45によって検出可能であるので便利である。
【0109】
被加工物Pに対する機械加工作業がいったん終了すると、装置1は、開始構成に戻ることができる。
【0110】
前述のように、ロッド4は、ブラケット5が機械加工されている被加工物Pから離れるように、加圧されている油圧流体の供給を受けることが可能な第2のチャンバ10によって、第1のホーム位置に戻るように構成されている。
【0111】
対向ブラケット7も離れるように移動させるために、装置1は、第1の油圧シリンダ2を第2のホーム位置に戻すように構成されている油圧戻し手段39、40、41、42、43を有している。
【0112】
油圧戻し手段39、40、41、42、43は、第2の油圧シリンダ15内に、具体的には前述のように第2の油圧シリンダ15の一部である分配器要素24内に作られている少なくとも1個の座部39を有している。
【0113】
座部39内には、少なくとも1個の作動ピン40、41が2次線Bに沿って摺動可能に挿入されている。
【0114】
座部39は、作動ピン40、41を2次線Bに沿ってシフトさせ、第1の油圧シリンダ2を第2のホーム位置に向けて押すように、加圧されている油圧流体の供給を受けることが可能である。
【0115】
作動ピン40、41は、座部39に向いている第1の端部40と、補助チャンバ28内に位置しており、第1の油圧シリンダ2の部分34に接触している第1の端部40とは反対の第2の端部41とを有している。
【0116】
油圧戻し手段39、40、41、42、43は、
座部39を第2のチャンバ10に接続し、座部39及び第2のチャンバ10が第2の入口C2からの同じ油圧流体の供給を受けることができるようにする少なくとも1個の接続チャネル42と;
ロッド4の第1のホーム位置への戻りが第1の油圧シリンダ2の第2のホーム位置への戻りの前に発生するように、作動ピン40、41のシフトに対抗し、作動ピン40、41のシフトを遅延させるように校正されている少なくとも1個の弾性要素43と、
を有している。
【0117】
実際に、油圧流体が、第2の入口C2に供給されると、油圧流体の圧力は第2のチャンバ10のヘッド3及び座部39の内部の作動ピン40、41の両方に作用する。
【0118】
油圧流体の圧力が、弾性部材43の校正値未満に維持される限り、油圧流体はロッド4を第1の動作位置から第2の動作位置にシフトすることによって、第2のチャンバ10の内部だけに流れる。
【0119】
ヘッド3がショルダ9に到達したときに、油圧流体の圧力は増加し、弾性部材43の校正値に到達し、その弾性力を越える。
【0120】
このように、作動ピン40、41は、2次線に沿って座部39までシフトし、第1の油圧シリンダ2を第2のホーム位置に戻すように、部分34を初期構成に向けて押す。
【0121】
2次線Bは、まっすぐで、主線Aに平行なので役立つ。
【0122】
しかし、作動ピン40、41の摺動が主線Aに対して曲線または斜めの軌道(つまり直交してもいないし平行でもない)に沿って行われ、少なくとも1個の主線Aに平行なシフト成分を有することも除外することはできない。
【0123】
説明し図示したような装置1は、加圧されている油圧流体に接触している数個の部品を有しており、そのため、簡単に示すために参照番号44で共通に識別されている装置1のさまざまな点に配置されている適切な密封部分が設けられている。
【0124】
本発明の動作は、以下のようである。
【0125】
ロッド4が第1のホーム位置にあって、第1の油圧シリンダ2が第2のホーム位置にある開始状態から始まって、加圧されている油圧流体を第1の入口C1(図6)の位置で供給すると、油圧流体は、第1のチャネル22を第1のチャンバ8まで流れて上がり、ヘッド3及びロッド4を後退させるように押す。
【0126】
前述のように、ロッド4は、後向きのストロークにおいて、最初は後向きに移動し、同時に回転し、それから、ブラケット5が被加工物Pに接触するまで、後向きにだけ移動する。
【0127】
加圧されている油圧流体を第1の入り口C1で供給し続け、同時に空気をパイプ33から供給し続けることによって、対向ブラケット7が被加工物Pに接触するまで、第1の油圧シリンダ2が主線Aに沿って動き始める。
【0128】
この時点で、ロボットによって通常配置される被加工物Pが既に対向ブラケット7に接触している場合、対向ブラケット7はシフトせず、ブラケット5だけが被加工物Pに近づくことを理解すべきである。
【0129】
装置1の動作の説明を再開すると、第1のチャンバ8内の油圧流体が所定の圧力値を超えると、シーケンシャル弁(従来の型式であるので不図示)による油圧流体の第3のチャネル38への供給によって、第3のチャンバ36の加圧が可能になり、弾性ブッシュ37の最も薄い部分が第1の油圧シリンダの外側の壁に押し付けられ、工作機械M上での被加工物Pの機械加工作業が行われている間、第1の油圧シリンダ2を定位置にロックする。
【0130】
この機械加工作業がいったん終了し、加圧されている油圧流体を第1の入口C1及び第3のチャネル38の位置で供給するラインの排出後、加圧された流体が第2の入口C2の位置で供給され、それから第2のチャンバ10の位置で供給され、したがって、ヘッド3及びロッド4が第1の動作位置から第1のホーム位置へシフトされる。
【0131】
前述のように、ヘッド3がショルダ9に到達すると、油圧流体は、座部39に流入し始め、また第1の油圧シリンダ2を第2のホーム位置に戻す(したがって、動作サイクルは完了する)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7