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特許7026628傾斜センサーを備えた電気的に作動するエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】傾斜センサーを備えた電気的に作動するエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20220218BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20220218BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F47/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018544876
(86)(22)【出願日】2017-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2017053707
(87)【国際公開番号】W WO2017144380
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】16157434.8
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0245654(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0305409(US,A1)
【文献】国際公開第2015/117700(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/51
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体エアロゾル形成基体を受けるための電気的に作動するエアロゾル発生システムであって、
液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分と、
前記液体貯蔵部分から液体エアロゾル形成基体を受けるように配置される、エアロゾル発生手段と、
液体エアロゾル形成基体を前記液体貯蔵部分から前記エアロゾル発生手段に移動するように配置される、一つ以上の毛細管芯と、
前記液体貯蔵部分の向きを感知するように配置される、傾斜センサーと、
前記傾斜センサーによって感知される、前記液体貯蔵部分の前記向きを監視するように、および前記液体貯蔵部分の前記向きに基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成される、電気回路と、を含む、電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記一つ以上の毛細管芯が、前記液体貯蔵部分の端部の方に配置される、請求項1に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項3】
制御システムが、前記液体貯蔵部分から枯渇した液体エアロゾル形成基体の量または前記液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇のレートを判定するように構成される、請求項1または2に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記電気回路が、所定の電力を前記エアロゾル発生手段に供給し、および 前記液体貯蔵部分の前記向きと、前記エアロゾル発生手段に供給される前記電力とに基づいて、前記液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように配置される、請求項1、2または3に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記エアロゾル発生手段が、一つ以上の電気発熱体を含む電気ヒーターを含む、請求項1~4のいずれかに記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記電気回路が、前記一つ以上の電気発熱体の電気抵抗を測定するように配置される、請求項5に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記エアロゾル発生システムが、前記一つ以上の電気発熱体の温度を感知するように配置される、温度センサーを含む、請求項5に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記電気回路が、
経時的に前記一つ以上の発熱体の抵抗または温度を監視することによって、前記電気ヒーターの起動を監視するように、および、前記液体貯蔵部分の向きおよび前記一つ以上の電気発熱体の前記抵抗または温度に基づいて、前記液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成される、請求項6または7に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記電気回路が、所定の電力を前記エアロゾル発生手段に供給するように構成されており、前記電気回路が、前記液体貯蔵部分の前記向きおよび前記一つ以上の電気発熱体に供給される前記電力と前記一つ以上の電気発熱体の結果的な抵抗または温度の変化との間の関係に基づいて、前記液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成される、請求項6、7または8に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記電気回路がさらに、
所定の電力を前記エアロゾル発生手段に供給し、
前記一つ以上の電気発熱体の電気抵抗を測定し、
前記エアロゾル発生手段に供給される前記電力、
前記一つ以上の電気発熱体の前記電気抵抗または温度、および、
前記一つ以上の電気発熱体に供給される前記電力と前記一つ以上の電気発熱体の結果的な抵抗または温度の変化との間の関係、のうちの一つ以上に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇の第一の推定を決定し、
前記枯渇の第一の決定された推定、および前記傾斜センサーによって感知される、前記液体貯蔵部分の前記向きに基づいて、前記液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の枯渇の第二の推定を決定する、請求項~9のいずれか一項に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記電気回路が、前記液体エアロゾル形成基体の前記判定された枯渇に基づいて、前記液体貯蔵部分内に残っている液体エアロゾル形成基体の推定量を判定するように構成される、請求項1~10のいずれかに記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定することによって、および枯渇した量を既知の初期量から差し引いて、前記液体貯蔵部分内に残っている液体エアロゾル形成基体の推定量を提供することによって、前記電気回路が前記液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の推定量を判定するように構成される、請求項11に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項13】
主要ユニットおよびカートリッジを備え、前記主要ユニットが電源および前記電気回路を備え、前記カートリッジが前記液体貯蔵部分を備える、請求項1~12のいずれかに記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記カートリッジが主要装置によって取り外し可能に受けられる時に、前記液体貯蔵部分の前記向きを感知するように配置される前記傾斜センサーをさらに備える、請求項13に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム用の主要ユニット。
【請求項15】
前記液体貯蔵部分の前記向きを感知するように配置される前記傾斜センサーをさらに備える、請求項13に記載の電気的に作動するエアロゾル発生システム用のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に作動するエアロゾル発生システムに関連する。特に本発明は、電気的に作動する喫煙システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの一つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。液体基体を霧状にする電気的に作動する喫煙システムは典型的に、電池および制御電子回路を備えた装置部分と、エアロゾル形成基体の供給源および電気的に作動するアトマイザーを備えたカートリッジ部分とを備える。エアロゾル形成基体の供給およびアトマイザーの両方を備えるカートリッジは、「カトマイザー」と呼ばれることもある。アトマイザーは一般的に、ヒーター組立品である。一部の公知の実施例において、エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体であり、アトマイザーは液体エアロゾル形成基体内に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤのコイルを備える。カートリッジ部分はまた典型的に、ユーザーが吸引してエアロゾルを口に引き出しうるマウスピースを備える。電気的に作動する喫煙システムの他の配置も可能である。例えば、喫煙システムは三つのパーツを備え、電池および制御電子回路を備えた主要ユニットと、エアロゾル形成基体の供給源を備えたカートリッジ部分と、アトマイザーを備えた電気的に作動するアトマイザー部分とを備えうる。カートリッジ部分およびアトマイザー部分のどちらも使い捨てとしうる。
【0003】
電気的に作動するエアロゾル発生システム(上記言及の喫煙システムを含む)は、液体エアロゾル形成基体の枯渇および液体貯蔵部分内に残っている液体エアロゾル形成基体の量の表示を提供するなど、その他の機能を実行するように構成されうる。例えば、国際特許公開第2012085203A1号では、発熱体に印加される電力と発熱体の結果的な温度変化との間の関係に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成された電気回路を備えた、電気的に作動するエアロゾル発生システムを記載している。枯渇の判定は、多くの理由から有利である。例えば、液体貯蔵部分が空またはほぼ空の時に、不十分な液体エアロゾル形成基体が電気ヒーターに供給されうる。これは、発生されたエアロゾルが望ましい属性、例えばエアロゾル粒子のサイズや化学組成を有しないことを意味しうる。このことはユーザーにとって良くない体験をもたらしうる。加えて、液体貯蔵部分がいつ空またはほぼ空になったかを判定できれば、ユーザーが液体貯蔵部分の交換または再充填を準備できるように、ユーザーに知らせることができるかもしれない。
【0004】
電気的に作動するエアロゾル発生システムによる液体エアロゾル形成基体の枯渇の判定は、できる限り正確であることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様において、液体エアロゾル形成基体を受けるための電気的に作動するエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生システムは、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分と、液体貯蔵部分から液体エアロゾル形成基体を受けるように配置されたエアロゾル発生手段とを備える。一つ以上の毛細管芯は、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分からエアロゾル発生手段に移動するように配置される。傾斜センサーは液体貯蔵部分の向きを感知するように配置される。電気回路は、傾斜センサーによって感知される、液体貯蔵部分の向きを監視するように、および液体貯蔵部分の向きに基づいて液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成される。
【0006】
本発明の電気的に作動するエアロゾル発生システムの使用時に、液体エアロゾル形成基体は、毛細管作用によって一つ以上の毛細管芯を通して引き出される。一つ以上の毛細管芯内の液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生手段で受けられる。エアロゾル発生手段が起動されると、エアロゾル発生手段で受けられる液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生手段によって霧状にされ、吸入のために液体貯蔵部分からユーザーへと引き出される。これによって、液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量が枯渇する。
【0007】
通常の使用中、十分な液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分内に保持されている時、一つ以上の毛細管芯の毛細管の性質および液体エアロゾル形成基体の性質は、一つ以上の毛細管芯が液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分からエアロゾル発生手段へと規則正しく引き出すことを確実にする。液体エアロゾル形成基体が一つ以上の毛細管芯に沿って引き出されるレートは、吸い上げレート、または吸入レートとして公知である。吸い上げレートは、液体エアロゾル形成基体の属性(例えば、液体エアロゾル形成基体の粘性など)に依存しうる。別の言い方をすると、吸い上げレートは、重力によって影響を与えられうる。吸い上げレートはまた、1つ以上の毛細管芯の向きに依存しうる。例えば、直立した毛細管芯を上向きに通して引き出された液体エアロゾル形成基体の吸い上げレートは、倒立した毛細管芯を下向きに通して引き出された液体エアロゾル形成基体の吸い上げレートよりも低いことがある。
【0008】
液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇は、一つ以上の毛細管芯の吸い上げレートおよび向きに依存しうる。例えば使用時に、エアロゾル発生手段が起動された時、倒立した毛細管芯を下向きに通して引き出された液体エアロゾル形成基体は、直立した毛細管芯を上向きに通して引き出された液体エアロゾル形成基体よりも速いレートで、エアロゾル発生手段で受けられうる。このことは、一つ以上の毛細管芯が倒立状態である時の作動の間、エアロゾル発生手段で多くの量の液体エアロゾル形成基体が受けられることをもたらしうる。このことは、一つ以上の毛細管芯が直立状態である時と比較して、一つ以上の毛細管芯が倒立状態である時のエアロゾル発生手段の作動の間、多くの量の液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分から涸渇することをもたらしうる。
【0009】
本明細書で使用される場合、一つ以上の毛細管芯は、一つ以上の毛細管芯が液体エアロゾル形成基体を下向きに引き出すように配置される時に倒立状態として記述され、一つ以上の毛細管芯が液体エアロゾル形成基体を上向きに引き出すように配置される時に直立状態として記述される。下向きは、重力と同じ方向への動作を説明するために用いられ、上向きは、重力と反対方向への動作を説明するために用いられる。
【0010】
一つ以上の毛細管芯の向きは、液体貯蔵部分の向きに依存しうる。従って、液体貯蔵部分の向きの変動は、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇の変動をもたらしうる。本明細書で使用される場合、液体貯蔵部分の向きおよび一つ以上の毛細管芯の向きは、互換的に用いられる。別の言い方をすると、液体貯蔵部分は、一つ以上の毛細管芯が倒立している時に倒立状態として記述され、液体貯蔵部分は、一つ以上の毛細管芯が直立している時に直立状態として記述される。
【0011】
本発明の電気回路は、液体貯蔵部分の向きの測定に基づいて、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成される。言い換えれば、液体貯蔵部分の向きの変動を考慮に入れて、電気回路は液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇の判定を補正または調節するように構成される。この向きの補正または調節は、液体貯蔵部分の液体エアロゾル形成基体の枯渇の判定の精度を向上させうる。これはユーザーの体験を向上させうる。例えば、より正確に枯渇が判定されることで、液体エアロゾル形成基体の判定された残量が低下した時に、液体貯蔵部分を交換または再充填する必要があることを電気回路がユーザーに示すことを可能にしうる。これによって、液体エアロゾル形成基体の浪費を低減しうるとともに、エアロゾル発生システムを使用するコストをユーザーのために低減しうる。
【0012】
本明細書で使用される「液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇または消費」という表現は、液体貯蔵部分から除去された液体エアロゾル形成基体の量を意味しうる。液体貯蔵部分から枯渇した液体エアロゾル形成基体の判定された量は、絶対量でもよく、パーセント値などの相対量でもよい。枯渇または消費はまた、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の枯渇率を意味しうる。枯渇レートは、液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量の一定期間の減少を含みうる。
【0013】
電気回路はまた、判定された枯渇に基づいて、液体貯蔵部分内に残っている液体エアロゾル形成基体の量を判定するように構成されうる。電気回路はまた、判定された枯渇に基づいて、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体が枯渇するまたは使い果たされるまでの残りの時間もしくは残りの吸煙回数を決定するように構成されうる。液体エアロゾル形成基体は、液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量が所定の閾値よりも低く減少した時に、液体貯蔵部分から枯渇したまたは使い果たされたと見なされうる。
【0014】
傾斜センサーは、液体貯蔵部分の向きを感知するための任意の適切なタイプの傾斜センサーまたは傾斜計としうる。傾斜センサーは加速度計でありうる。適切なタイプの傾斜センサーには、とりわけ、MEMSセンサー、ローリングボールセンサー、力平衡式センサー、電解センサー、および容量性傾斜センサーが挙げられる。
【0015】
傾斜センサーは、液体貯蔵部分の向きを感知するために、液体貯蔵部分に対して任意の適切な場所に配置されうる。
【0016】
傾斜センサーは液体貯蔵部分内に配置されうる。傾斜センサーが液体貯蔵部分内に配置されている場合、傾斜センサーは、流体不透過性被覆で被覆されるか、または流体不透過性ハウジングで囲まれて、液体エアロゾル形成基体との接触から傾斜センサーを保護しうる。
【0017】
傾斜センサーは液体貯蔵部分に隣接して配置されうる。これは、液体貯蔵部分内に配置された傾斜センサーと比較して傾斜センサーのコストを低減させうる。なぜなら、液体貯蔵部分に隣接して配置された傾斜センサーは、液体エアロゾル形成基体との接触からの追加的な保護を必要としないことがあるためである。
【0018】
エアロゾル発生システムは、取り外し可能に結合可能な複数の構成要素を備えうる。例えば、エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分を備えたカートリッジと、電気回路を備えた主要ユニットとを備えうる。傾斜センサーは、取り外し可能に結合可能な複数の構成要素のいずれかに配置されてもよい。傾斜センサーは主要ユニット内またはカートリッジ内に配置されうる。主要ユニットは複数回使用できるように構成されうる。カートリッジは単回使用用に構成されてもよく、使い捨てとしうる。エアロゾル発生システムの単回使用後、傾斜センサーがカートリッジとともに捨てられないように、傾斜センサーを主要ユニット内に配置することは有利でありうる。これはカートリッジのコストを低減させうる。
【0019】
電気回路は任意の適切な構成要素を備えうる。電気回路はマイクロプロセッサを備えうる。マイクロプロセッサはプログラム可能なマイクロプロセッサとしうる。
【0020】
電気回路はメモリを備えうる。メモリはルックアップテーブルを格納しうる。ルックアップテーブルは、保存された基準向き情報を含みうる。ルックアップテーブルは、保存された液体エアロゾル形成基体枯渇情報を含みうる。保存された枯渇情報は、液体貯蔵部分から枯渇した液体エアロゾル形成基体の量に関連する情報を含んでもよく、または液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇率に関連する情報を含んでもよい。保存された基準向き情報はルックアップテーブル内で、保存された枯渇情報と関連付けられうる。
【0021】
電気回路は、傾斜センサーからの液体貯蔵部分の向きの測定値とルックアップテーブル内の保存された基準向き情報を比較するように構成されうる。電気回路は向きの測定値を、保存された液体エアロゾル形成基体枯渇情報と関連付けるように構成されうる。電気回路は比較に基づいて、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇の推定を決定するように構成されうる。
【0022】
電気回路は、エアロゾル発生システムの一つ以上の量の測定値(例えば、エアロゾル発生手段に供給される電力の測定値)に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇の第一の推定を決定するように構成されうる。電気回路は、枯渇の第一の決定された推定、および液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体の向きの測定値に基づいて、枯渇の第二の推定を決定するようにさらに構成されうる。これによって、枯渇の第一の決定された推定が改善されうる。
【0023】
ルックアップテーブル内に保存された枯渇情報は、第一の推定を調節して液体貯蔵部分の向きの変動について補正するために、乗数または因数として使用されうる数値を含みうる。電気回路は、液体貯蔵部分の向きの測定値を、ルックアップテーブル内に保存された基準向き情報と比較するように構成されうる。電気回路は、その比較に基づいて、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体の向きの測定値を、保存された枯渇情報の乗数または因数と関連付けるように構成されうる。電気回路は、枯渇の第一の推定と、測定された向き情報と一致した基準向き情報と関連付けられた、ルックアップテーブル内に保存されている乗数または因数とに基づいて、枯渇の第二の推定を決定するように構成されうる。電気回路は、枯渇の第一の推定と、測定された液体エアロゾル形成基体向きの情報と関連付けられた乗数または因数との積に基づいて、枯渇の第二の推定を決定するように構成されうる。
【0024】
ルックアップテーブル内に保存された基準向き情報およびルックアップテーブル内に保存された枯渇情報は、較正手順で判定されうる。例えば、液体貯蔵部分は、既知の液体エアロゾル形成基体で充填されてもよく、液体貯蔵部分は、既知の向きに保持されてもよく、液体貯蔵部分から液体エアロゾル形成基体を枯渇するために公知の喫煙法を実施してもよい。液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量は、定期的に測定されうるとともに、枯渇が計算されうる。計算された枯渇は、ルックアップテーブル内に保存されてもよく、既知の向き情報と関係付けられてもよい。この処理は、様々な液体貯蔵部分の向きで繰り返されてもよい。較正手順はエアロゾル発生システムが初めて使用される前に、ユーザーによって、例えば工場で製造者によって実施されうる。
【0025】
電気回路は、液体貯蔵部分の向きの測定値に基づいて、枯渇を計算するように構成されうる。電気回路は、一つ以上の毛細管芯の寸法および属性と、液体エアロゾル形成基体の流体属性と、液体貯蔵部分の向きの測定値とに基づいて、枯渇の推定を計算するように構成されうる。
【0026】
例えば、液体貯蔵部分の向きは、液体貯蔵部分の長手方向軸と垂直軸との間の角度とみなされうる。別の言い方をすると、液体貯蔵部分の長手方向軸と垂直軸との間の角度は、液体貯蔵部分が倒立している時に0°であってもよく、液体貯蔵部分が直立している時に180°であってもよく、液体貯蔵部分が水平である時に90°または270°であってもよい。液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇は、液体貯蔵部分の長手方向軸の間の角度のコサインと比例的でありうる。そのため、枯渇への最大の正の効果は、液体貯蔵部分が倒立している時に提供され、枯渇への最大の負の効果は、液体貯蔵部分が直立している時に提供され、枯渇への最小の効果は、液体貯蔵部分が水平である時に提供される。
【0027】
液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量はまた、吸い上げレートに影響を与えうる。別の言い方をすると、液体貯蔵部分が倒立している時に、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の量は、より多く、液体エアロゾル形成基体によって一つ以上の毛細管芯に加えられうる圧力は、より大きい。
【0028】
液体貯蔵部分に対する一つ以上の毛細管芯の配置はまた、吸い上げレートに影響を与えうる。一つ以上の毛細管芯が液体エアロゾル形成基体を下向きに引き出すように、液体貯蔵部分が倒立している時、一つ以上の毛細管芯を通る吸い上げレートは、一つ以上の毛細管芯が液体貯蔵部分の最も下流の端に配置されるのにつれて増加しうる。これは、一つ以上の毛細管芯より大きい液体エアロゾル形成基体の容積からの一つ以上の毛細管芯への圧力が増加しうるからでありうる。例えば、一つ以上の毛細管芯は、液体貯蔵部分の端部の方へ配置されうる。一つ以上の毛細管芯は液体貯蔵部分の端部に配置されうる。液体貯蔵部分は、長さを有していてもよく、一つ以上の毛細管芯は、液体貯蔵部分の端部と端部から液体貯蔵部分の約30%の長さ離れた位置との間に配置されてもよい。一つ以上の毛細管芯が液体貯蔵部分の端部に配置される場合、100%の液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分が倒立した時に、一つ以上の毛細管芯の上方に配置されうる。一つ以上の毛細管芯が、液体貯蔵部分の端部から液体貯蔵部分の約30%の長さに配置される場合、70%の液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分が倒立した時に、一つ以上の毛細管芯の上方に配置されうる。
【0029】
電気回路は、較正手順で決定された一つ以上の一定値と、液体貯蔵部分の向きの測定値との間の関係に基づいて、枯渇を計算するように構成されうる。
【0030】
電気回路は、所定の電力をエアロゾル発生手段に供給するように配置されうる。エアロゾル発生手段は、電気回路による所定の電力の供給に伴い起動されうる。電気回路は、エアロゾル発生手段に供給される電力を監視するように構成されうる。電気回路はまた、エアロゾル発生手段に供給される電力に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。言い換えれば、電気回路は、エアロゾル発生手段に供給される電力の測定値と、液体貯蔵部分の向きの測定値とに基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。
【0031】
エアロゾル発生手段は、一つ以上の電気発熱体を備えた電気ヒーターを備えうる。電気回路は一つ以上の電気発熱体の抵抗を感知するように配置されうる。電気回路は、測定した抵抗に基づいて、一つ以上の電気発熱体の温度を確認するように構成されうる。この構成は別個の温度センサーを含むための電気回路を必要としないため、有利でありうる。別個の温度センサーは、エアロゾル発生システム内の貴重なスペースを占めることになりかねず、また高価になりかねない。電気抵抗は、「アクチュエータ」(発熱体用)および「センサー」(温度測定)の両方として使用される。
【0032】
電気回路は一つ以上の電気発熱体の電気抵抗を測定するように配置されうる。電気回路は、一つ以上の電気発熱体を通る電流および一つ以上の電気発熱体での電圧を測定することによって、一つ以上の電気発熱体の電気抵抗を測定するように配置されうる。電気回路は、測定された電流および電圧から少なくとも一つの発熱体の電気抵抗を決定するように構成されうる。電気回路は、既知の抵抗を有し、少なくとも一つの発熱体と直列の抵抗器を備えてもよく、また、この電気回路は、既知の抵抗の抵抗器の両端の電圧を測定すること、および測定した電圧および既知の抵抗から少なくとも一つの発熱体を流れる電流を決定することによって、少なくとも一つの発熱体を流れる電流を測定するように配置されうる。
【0033】
電気回路は、経時的に一つ以上の発熱体の抵抗を監視することによって、電気ヒーターの起動を監視するように構成されうる。電気回路は、一つ以上の電気発熱体の抵抗の測定値と、液体貯蔵部分の向きの測定値とに基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。
【0034】
電気回路は、電気抵抗の測定値から一つ以上の電気発熱体の温度を確認するように構成されうる。一つ以上の発熱体が、適切な抵抗温度係数などの適切な性質を持つ場合、一つ以上の発熱体の温度は、一つ以上の発熱体の電気抵抗の測定値から確認されうる。電気回路は、一つ以上の発熱体の確認された温度と、液体貯蔵部分の向きとに基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。
【0035】
電気的に作動するエアロゾル発生システムは、一つ以上の電気発熱体の温度を感知するように配置される、温度センサーを含みうる。電気回路は、経時的に温度センサーによって感知される一つ以上の発熱体の温度を監視することによって、電気ヒーターの起動を監視するように構成されうる。電気回路は、一つ以上の電気発熱体の温度の測定値に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。電気回路は、一つ以上の電気発熱体の温度と、液体貯蔵部分の向きとに基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。
【0036】
電気回路は、液体貯蔵部分内の液体エアロゾル形成基体が枯渇する際の連続した加熱サイクルにわたる、感知または確認された温度の上昇を監視することによって、ヒーターで加熱された液体エアロゾル形成基体の枯渇が判定されるように配置されてもよい。電気回路は、それぞれの加熱サイクルの部分にわたる一つ以上の発熱体の感知または確認された温度の上昇レートを、液体貯蔵部分内の液体エアロゾル形成基体が枯渇する際の連続的な加熱サイクルにわたって監視することによって、ヒーターで加熱された液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。電気回路は、それぞれの加熱サイクルの部分にわたる一つ以上の発熱体の感知または確認された温度の経時的な積分値の増大を、液体貯蔵部分内の液体エアロゾル形成基体が枯渇する際の連続的な加熱サイクルにわたって監視することによって、ヒーターで加熱された液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように配置されうる。
【0037】
電気回路は発熱体の温度を最高温度に制限するように構成されうる。電気回路は、最高温度を維持するために発熱体に印加される電力量を監視することによって、ヒーターで加熱されたエアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。
【0038】
電気回路は、液体貯蔵部分の向きに基づいて、および一つ以上の電気発熱体に供給される電力と、一つ以上の電気発熱体の抵抗または温度の変化との間の関係に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。
【0039】
液体エアロゾル形成基体の量が閾値よりも減少した場合、例えば液体貯蔵部分が空またはほぼ空の場合に、不十分な液体エアロゾル形成基体がヒーターに供給され得る。これは発熱体の温度の上昇をもたらしうる。温度センサーによって感知される発熱体の温度、または一つ以上の電気発熱体の抵抗は、液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量が所定の閾値まで減少したことを、電気回路が判定できるようにしうる。
【0040】
電気回路は液体貯蔵部分内の液体エアロゾル形成基体の量を判定するように構成されうる。液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の判定された量は、絶対量または相対量、例えば百分率値であってもよく、もしくは液体貯蔵部分内の液体エアロゾル形成基体の閾値量よりも多い場合も少ない場合もある量定であってもよい。
【0041】
電気回路は、液体エアロゾル形成基体の判定された枯渇に基づいて、液体貯蔵部分内に残っている液体エアロゾル形成基体の推定量を判定するように構成されうる。電気回路は、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定することによって、および既知の初期量から枯渇した量を差し引いて、液体貯蔵部分内に残っている液体エアロゾル形成基体の推定量を提供することによって、液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の推定量を判定するように構成されうる。
【0042】
電気回路は液体貯蔵部分の存在を検出するためのセンサーを備えうる。センサーは、ある液体貯蔵部分を別の液体貯蔵部分と区別し、よって液体貯蔵部分が満杯の時に液体貯蔵部分内にどれだけの液体エアロゾル形成基体が含まれているかを確認するように構成されうる。センサーはまた、液体貯蔵部分内の液体の組成を判定するように構成されうる。センサーは、液体貯蔵部分上にあるしるし、または液体貯蔵部分の形状またはサイズに基づいて、液体貯蔵部分内の液体の組成を判定するように構成されうる。使用時に電気回路は、液体貯蔵部分の向きと、液体エアロゾル形成基体の組成と、エアロゾル発生手段の監視された起動とに基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成されうる。
【0043】
エアロゾル発生システムは、ユーザーによって判定された枯渇情報を表示するための表示手段を備えうる。例えば、エアロゾル発生システムは、ディスプレイまたはLEDアレイなどの、視覚的表示手段を備えうる。例えば、エアロゾル発生手段は、ブザーまたは拡声器などの聴覚的表示手段を備えうる。電気回路は、ユーザーによって判定された枯渇情報を表示するように構成されうる。例えば、電気回路は判定された枯渇情報をディスプレイ上でユーザーに表示するように構成されうる。
【0044】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生手段の起動を制御するように構成された電気回路を備えうる。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生手段に電力を供給するように構成された電気回路を備えうる。エアロゾル発生手段に電力を供給するように構成された電気回路は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定するように構成された電気回路としうる。
【0045】
電気回路は、ユーザーが吸煙をしていることを示す気流を検出するセンサーまたは吸煙検出器を備えうる。電気回路は、吸煙をするユーザーをセンサーが感知する時、所定の電力で電流パルスをエアロゾル発生手段に提供するように配置されうる。電流パルスの時間周期は、霧状にされることが望ましい液体の量に応じて、あらかじめ設定されうる。この目的のために、電気回路はプログラム可能でもよい。電気回路は、エアロゾル発生手段への電流パルスの時間周期の合計時間を監視するように構成されうる。電気回路はまた、液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量が、いつ枯渇するかを推定するように構成されうる。
【0046】
液体貯蔵部分は、任意の適切な形状およびサイズとしうる。例えば、液体貯蔵部分は、実質的に円筒形としうる。液体貯蔵部分の断面は、例えば実質的に円形、楕円形、正方形または長方形としうる。
【0047】
液体貯蔵部分はハウジングを備えうる。ハウジングは基部と、基部から延在する一つ以上の側壁とを備えうる。基部および一つ以上の側壁は、一体的に形成されうる。基部および一つ以上の側壁は、相互に取り付けられているまたは固定されている明確な要素としうる。ハウジングは剛直なハウジングとしうる。本明細書で使用される「剛直なハウジング」という用語は、自立型のハウジングを意味するように使用される。液体貯蔵部分の剛直なハウジングは、エアロゾル発生手段に対する機械的な支持を提供しうる。液体貯蔵部分は一つ以上の可撓性の壁を備えうる。可撓性の壁は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体の容積に適合するように構成されうる。液体貯蔵部分のハウジングは、任意の適切な材料を備えうる。液体貯蔵部分は、実質的に流体不透過性の材料を備えうる。液体貯蔵部分のハウジングは、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体がハウジングを通してユーザーに見えうるように、透明または半透明の部分を備えうる。
【0048】
液体貯蔵部分は、実質的にシールされうる。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体が液体貯蔵部分からエアロゾル発生手段に流れるための一つ以上の出口を備えうる。液体貯蔵部分は一つ以上の半開きの入口を備えうる。これによって、周囲空気が液体貯蔵部分に入ることを可能にしうる。一つ以上の半開きの入口は、周囲空気が液体貯蔵部分に入るのを可能にする透過性であり、かつ液体貯蔵部分の内側にある空気および液体が液体貯蔵部分から出るのを実質的に妨げる不透過性である、半透過性の膜または一方向バルブでもよい。一つ以上の半開きの入口は、特定の条件下で空気が液体貯蔵部分に通過して入ることを可能にしうる。
【0049】
液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体は、周囲空気から保護されうる。一部の実施形態において、周囲光は、液体の劣化のリスクを回避するために、液体貯蔵部分に進入できないことがある。これによって、高レベルの衛生が維持されるようにもなりうる。液体貯蔵部分が再充填可能ではない場合、液体貯蔵部分内に保持された液体エアロゾル形成基体が使い尽くされた時、または所定の閾値まで低下した時に、液体貯蔵部分は、ユーザーによって交換される必要がありうる。こうした交換の間、液体エアロゾル形成基体によるユーザーの汚染を阻止することが好ましい場合がある。液体貯蔵部分が再充填可能な場合、液体貯蔵部分内に保持される液体エアロゾル形成基体の量が所定の閾値まで低下した時、液体貯蔵部分は充填されうる。液体貯蔵部分は、所定の吸煙数または加熱サイクル数のために十分な液体エアロゾル形成基体を保持するように配置されうる。
【0050】
一つ以上の毛細管芯は、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分からエアロゾル発生手段に移動するように配置される。一つ以上の毛細管芯は毛細管材料を備えうる。毛細管材料は、液体を材料の一方の端から他方へ能動的に運ぶ材料である。
【0051】
毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを備えてもよく、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は繊維質の構造を有する場合がある。毛細管材料はスポンジ状の構造を有する場合がある。毛細管材料は一束の毛細管を含みうる。毛細管材料は複数の繊維を含みうる。毛細管材料は複数の糸を含みうる。毛細管材料は微細チューブを含みうる。繊維、糸または微細チューブは一般的に、液体をエアロゾル発生手段に運ぶように整列されうる。毛細管材料は、繊維と糸と微細チューブの組み合わせを含みうる。毛細管材料はスポンジ様の材料を含んでもよい。毛細管材料は発泡体様の材料を含んでもよい。
【0052】
毛細管材料は、適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、スポンジまたは発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、液体が毛細管作用によって毛細管材料を通って移動されることを可能にする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および原子圧を含むがこれに限定されない物理的特性を有する。
【0053】
一つ以上の毛細管芯は、液体貯蔵部分に保持された液体と接触するように配置されうる。一つ以上の毛細管芯は液体貯蔵部分の中へと延在しうる。この場合、使用時に液体は、一つ以上の毛細管芯内の毛細管作用によって、液体貯蔵部分からエアロゾル発生手段に移動されうる。一つ以上の毛細管芯は、第一の端および第二の端を有しうる。第一の端は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体をエアロゾル発生手段に引き出すために、液体貯蔵部分内に延在しうる。第二の端は、エアロゾル発生システムの空気経路内に延在しうる。第二の端は、エアロゾル発生手段の一つ以上のエアロゾル発生要素を備えうる。第一の端および第二の端は、液体貯蔵部分の中へ延在しうる。エアロゾル発生手段の一つ以上のエアロゾル発生要素は、第一の端と第二の端の間で芯の中央部分に配置されうる。使用時に、一つ以上のエアロゾル発生要素が起動される時、一つ以上の毛細管芯内の液体エアロゾル形成基体は、一つ以上のエアロゾル発生要素で、およびその周りで霧状にされる。
【0054】
液体エアロゾル形成基体は、液体が毛細管作用によって一つ以上の毛細管芯を通して運ばれることを可能にする物理的特性(粘性を含む)を有しうる。
【0055】
エアロゾル発生手段は、液体貯蔵部分から一つ以上の毛細管芯を介して液体エアロゾル形成基体を受けるように配置される。エアロゾル発生手段はアトマイザーでもよい。エアロゾル発生手段は一つ以上のエアロゾル発生要素を含みうる。エアロゾル発生手段は、受けた液体エアロゾル形成基体を熱を用いて霧状にするように構成されうる。エアロゾル発生手段は、受けた液体エアロゾル形成基体を霧状にするための加熱手段を備えうる。一つ以上のエアロゾル発生要素は発熱体でありうる。エアロゾル発生手段は、受けた液体エアロゾル形成基体を超音波振動を用いて霧状にするように構成されうる。エアロゾル発生手段は超音波振動子を含みうる。一つ以上のエアロゾル発生要素は、一つ以上の振動可能な要素を含んでもよい。
【0056】
エアロゾル発生手段は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された加熱手段を含みうる。加熱手段は一つ以上の発熱体を含みうる。一つ以上の発熱体は、受けたエアロゾル形成基体を最も効果的に加熱するように適切に配置されてもよい。一つ以上の発熱体は、主に伝導によってエアロゾル形成基体を加熱するように配置されうる。一つ以上の発熱体は、エアロゾル形成基体と実質的に直接接触して配置されうる。一つ以上の発熱体は、一つ以上の熱伝導性要素によってエアロゾル形成基体に熱を伝達するように配置されてもよい。一つ以上の発熱体は使用時に、エアロゾル発生システムを通して引き出された周囲空気に熱を伝達するように配置されてもよく、そうすることで対流によってエアロゾル形成基体を加熱しうる。一つ以上の発熱体は、周囲空気がエアロゾル形成基体を通して引き出される前に、周囲空気を加熱するように配置されてもよい。一つ以上の発熱体は、周囲空気がエアロゾル形成基体を通して引き出された後に、周囲空気を加熱するように配置されてもよい。
【0057】
加熱手段は電気的な加熱手段または電気ヒーターであってもよい。電気ヒーターは一つ以上の電気発熱体を含みうる。電気ヒーターは単一の発熱体を備えうる。電気ヒーターは二つ以上の発熱体、例えば二つ、または三つ、または四つ、または五つ、または六つ、またはそれ以上の発熱体を含んでもよい。一つ以上の電気発熱体は電気抵抗性の材料を含みうる。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられうる。
【0058】
一つ以上の電気発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、一つ以上の電気発熱体は一つ以上の加熱用ブレードの形態を取ってもよい。一つ以上の電気発熱体は、異なる導電性部分または一つ以上の電気抵抗性の金属チューブを持つケーシングまたは基体の形態を取ってもよい。
【0059】
加熱手段は誘導加熱手段を含んでもよい。誘導加熱手段は、カートリッジに関連して以下でより詳細に説明される。
【0060】
エアロゾル発生手段は、一つ以上の毛細管芯の部分を取り囲む一つ以上の加熱ワイヤーまたはフィラメントを含みうる。加熱ワイヤーまたはフィラメントは、一つ以上の毛細管芯の取り囲まれた部分を支持しうる。
【0061】
エアロゾル発生手段は、一つ以上の振動可能な要素と、一つ以上の振動可能な要素で振動を励起するように配置された一つ以上のアクチュエータとを含んでもよい。一つ以上の振動可能な要素は、エアロゾル形成基体が通過して霧状にされる複数の通路を含んでもよい。一つ以上のアクチュエータは一つ以上の圧電変換器を含みうる。
【0062】
液体貯蔵部分は液体エアロゾル形成基体の供給源を保持しうる。液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体を備えうる。本発明に関連して本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出することができる基体を記述するために使用される。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱によって放出されうる。揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を振動可能な要素の通路を通して移動することによって放出されうる。
【0063】
エアロゾル形成基体は室温で液体でありうる。液体エアロゾル形成基体は液体成分と固体成分の両方を含みうる。液体エアロゾル形成基体はニコチンを含みうる。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0064】
液体エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にする、およびシステムの動作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)であってもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0065】
液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物エキス、および天然の風味または人工の風味を含みうる。液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンであってもよい。エアロゾル形成体はプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.5%~約10%のニコチン濃度を有してもよい。
【0066】
担体材料は、液体エアロゾル形成基体を保持するために液体貯蔵部分内に配置されうる。担体材料は、任意の適切な吸収体の材料、例えば発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成しうる。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムを使用する前に、担体材料内に保持されてもよい。液体エアロゾル形成基体は使用時に、担体材料内に放出されうる。液体エアロゾル形成基体は使用前に、即時に担体材料内に放出されうる。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供しうる。カプセルのシェルは加熱手段による加熱に伴い溶けて、液体エアロゾル形成基体を担体材料に放出しうる。カプセルは、液体と組合せで固体を含む場合がある。
【0067】
エアロゾル発生システムは一つ以上の電力供給源を備えうる。電源は電池としうる。電池は、例えばリチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池といったリチウム系の電池でもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池でもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また数多くの充放電サイクルのために構成されてもよい。電源は、1回以上の喫煙体験のための十分なエネルギーの保存を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の回数の吸煙、または加熱手段およびアクチュエータの不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有しうる。
【0068】
エアロゾル発生システムは、スイッチまたはボタンなどのユーザー入力を含んでもよい。これによって、ユーザーはシステムの電源を入れることができるようになる。スイッチまたはボタンは、エアロゾル発生手段を起動させうる。スイッチまたはボタンは、エアロゾル発生を起こしうる。スイッチまたはボタンによって、制御電子回路が吸煙検出器からの入力を待機するように制御電子回路を準備してもよい。
【0069】
エアロゾル発生システムはハウジングを備えうる。ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料には例えば、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないものでありうる。
【0070】
ハウジングは電源を受けるためのくぼみを含みうる。ハウジングはマウスピースを備えてもよい。マウスピースは少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを含みうる。マウスピースは二つ以上の空気吸込み口を含みうる。一つ以上の空気吸込み口は、エアロゾルがユーザーに送達される前にその温度を低減することができ、エアロゾルがユーザーに送達される前にその濃度を減少させうる。
【0071】
エアロゾル発生システムは携帯型であってもよい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこに匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生システムの全長は約30mm~約150mmとしうる。エアロゾル発生システムの外径は約5mm~約30mmとしうる。
【0072】
エアロゾル発生システムはマウスピース部分を備えうる。マウスピース部分は、ユーザーがマウスピース部分で吸引、吸煙、または引き出しを行い、霧状化構成要素を通してエアロゾル発生手段を通過して空気を引き出すことを可能にするように構成されうる。
【0073】
エアロゾル発生システムはハウジングを有しうる。ハウジングは、電源および制御電子回路を備える主要ユニットと接続するための接続部分を備えうる。接続部分は、例えばねじ式取付、押し込みばめまたはバヨネット式取付を含みうる。
【0074】
このエアロゾル発生システムは、主要ユニットおよびカートリッジを含みうる。主要ユニットは制御システムを備える。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分を備える。主要ユニットは、カートリッジを取り外し可能に受けるように構成されうる。傾斜センサーは、カートリッジが主要ユニットによって受けられる時に、液体貯蔵部分の向きを感知するように配置されうる。
【0075】
主要ユニットは一つ以上の電力供給源を備えうる。主要ユニットはエアロゾル発生手段を備えうる。
【0076】
カートリッジはエアロゾル発生手段を備えうる。カートリッジがエアロゾル発生手段を備える場合、カートリッジは「カトマイザー」と呼ばれうる。
【0077】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生手段を備えたエアロゾル発生構成要素を備えうる。エアロゾル発生構成要素は、主要ユニットやカートリッジとは別個としうる。エアロゾル発生構成要素は、主要ユニットおよびカートリッジのうちの少なくとも一つによって取り外し可能に受けられうる。
【0078】
主要ユニットは傾斜センサーを含みうる。カートリッジは傾斜センサーを含みうる。
【0079】
エアロゾル発生手段は、実質的に本発明の第一の態様に関連して上述の通り加熱手段を含みうる。加熱手段は誘導加熱手段であることができ、従ってカートリッジと主要ユニットの間に電気的な接点が一切形成されない。主要ユニットは、インダクタコイルと、高周波振動電流をインダクタコイルに提供するように構成される電源とを備えうる。カートリッジは、エアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられたサセプタ素子を備えうる。本明細書で使用される高周波振動電流という用語は、10kHz~20MHzの周波数を有する、振動する電流を意味する。
【0080】
カートリッジは、主要ユニットに取り外し可能に結合されうる。カートリッジは、エアロゾル形成基体が消費された時に、主要ユニットから取り外されうる。カートリッジは使い捨てであることが好ましい。ところが、カートリッジは再使用可能でもよく、またカートリッジは液体エアロゾル形成基体で再充填可能でもよい。カートリッジは主要ユニット内で交換可能としうる。主要ユニットは再使用可能としうる。
【0081】
カートリッジは、低コストで信頼でき再現可能な方法で製造されうる。本明細書で使用される「取り外し可能に結合される」という用語は、主要ユニットまたはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび主要ユニットが互いに結合および分離できることを意味するように使用される。
【0082】
カートリッジは単純なデザインを有しうる。カートリッジはハウジングを有し、その中に液体エアロゾル形成基体が保持される。カートリッジハウジングは剛直なハウジングとしうる。ハウジングは液体に対して不透過性の材料を含みうる。
【0083】
主要ユニットはハウジングを有しうる。ハウジングは霧状化構成要素と接続するための接続部分を備えうる。主要ユニットのハウジングは、霧状化構成要素のハウジングの接続部分に対応する接続部分を有しうる。接続部分は、例えばねじ式取付、押し込みばめまたはバヨネット式取付を含みうる。
【0084】
カートリッジはリッドを備えてもよい。リッドは、カートリッジを主要ユニットに結合する前に剥がされるようにしうる。リッドは穿孔可能であってもよい。
【0085】
主要ユニットは、カートリッジを受けるためのくぼみを備えうる。主要ユニットは、電源を受けるためのくぼみを備えうる。
【0086】
主要ユニットはエアロゾル発生手段を備えうる。主要ユニットは、エアロゾル発生システムの一つ以上の制御システムを備えうる。主要ユニットは電源を備えうる。電源は主要ユニットに取り外し可能に結合されうる。
【0087】
主要ユニットはマウスピースを備えうる。マウスピースは少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを含みうる。マウスピースは二つ以上の空気吸込み口を含みうる。
【0088】
主要ユニットは、カートリッジのリッドを穿孔するための穿孔要素を備えうる。マウスピースは穿孔要素を備えうる。マウスピースは、少なくとも一つの空気吸込み口と穿孔要素の遠位端との間に延在する少なくとも一つの第一の導管を含みうる。マウスピースは、穿孔要素の遠位端と少なくとも一つの空気出口との間に延在する少なくとも一つの第二の導管を含みうる。マウスピースは、使用時にユーザーがマウスピースを吸った時、空気が少なくとも一つの空気吸込み口から延在する空気通路に沿って、少なくとも一つの第一の導管を通り、カートリッジの一部分を通り、少なくとも一つの第二の導管を通り、少なくとも一つの出口を出るように配置されうる。これによって、主要ユニットを通した気流が改善され、エアロゾルがより簡単にユーザーに送達されることを可能となる。
【0089】
使用時にユーザーは、本明細書に記述されたカートリッジを、本明細書に記述された主要ユニットのくぼみに挿入しうる。ユーザーは、マウスピースを主要ユニットの本体に取り付けることができ、これによってカートリッジを穿孔部分で穿孔することができる。ユーザーはスイッチまたはボタンを押して主要ユニットを起動させることができる。ユーザーはマウスピースで吸い込んで、空気を一つ以上の空気吸込み口を通して主要ユニット内へと引き出すことができる。空気は電気回路の吸煙検出器上を通過してもよく、また電気回路は気流を検出してエアロゾル発生手段を起動しうる。空気は、起動されたエアロゾル発生手段の一部を通過し、霧状にされたエアロゾル形成基体に混入され、ユーザーによって吸入されるマウスピースの空気出口を通じて主要ユニットから出ることができる。エアロゾル発生手段の起動に伴い、電気回路は傾斜センサーを使用して、液体貯蔵部分の向きを測定しうる。電気回路はまた、向きの測定値に基づいて、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定しうる。電気回路はまた、液体エアロゾル形成基体の枯渇をユーザーに表示するために、主要ユニットのディスプレイ上に消費量を表示しうる。
【0090】
実質的に上述の通り、カートリッジおよび主要ユニットを備えた部品のキットが提供されうる。本発明の態様によるエアロゾル発生システムは、カートリッジおよび主要ユニットを組み立てることによって提供されうる。部品のキットの構成要素は取り外し可能に接続されうる。部品のキットの構成要素は互換性を有しうる。部品のキットの構成要素は使い捨てであってもよい。部品のキットの構成要素は再使用可能であってもよい。
【0091】
本発明の第二の態様において、本発明の第一の態様による電気的に作動するエアロゾル発生システム用の主要ユニットが提供されている。主要ユニットは電気回路および傾斜センサーを含む。傾斜センサーは、カートリッジが主要ユニットに取り外し可能に結合される時に、液体貯蔵部分の向きを感知するように配置されうる。主要ユニットはエアロゾル発生手段をさらに備えうる。
【0092】
本発明の第三の態様において、本発明の第一の態様による電気的に作動するエアロゾル発生システム用のカートリッジが提供されている。カートリッジは液体貯蔵部分および傾斜センサーを含む。カートリッジはエアロゾル発生手段をさらに備えうる。
【0093】
電気的に作動するエアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。
【0094】
エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定する方法は、エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分内に液体エアロゾル形成基体を保持することと、液体貯蔵部分の向きを感知する傾斜センサーを配置することと、液体貯蔵部分の向きを測定することと、液体貯蔵部分の向きに基づいて液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定することとを含みうる。
【0095】
方法は、エアロゾル発生手段に供給される電力、一つ以上の電気発熱体の抵抗または温度、および一つ以上の電気発熱体に供給される電力と一つ以上の電気発熱体の結果的な抵抗または温度の変化との間の関係のうちの一つ以上に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇の第一の推定を決定することをさらに含みうる。方法は、枯渇の第一の決定された推定と、傾斜センサーによって感知される、液体貯蔵部分の向きとに基づいて、液体貯蔵部分内に保持されている液体エアロゾル形成基体の枯渇の第二の推定を決定することをさらに含みうる。
ここで本発明による実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみではあるが詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1図1は、本発明による電気的に作動するエアロゾル発生システムの第一の実施形態の概略図である。
図2図2は、本発明による電気的に作動するエアロゾル発生システムの第二の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図1は、電気的に作動する喫煙システムの形態の、電気的に作動するエアロゾル発生システム100の概略図である。システム100は主要ユニット101およびカートリッジ200を備える。主要ユニット101は電池110および電気回路120を備える。カートリッジ200は液体貯蔵部分210およびエアロゾル発生手段220を備える。カートリッジ200はエアロゾル発生手段220を備えるため、カートリッジ200は「カトマイザー」と呼ばれうる。
【0098】
液体貯蔵部分210は実質的に環状の円筒形であり、また液体エアロゾル形成基体230を担体材料中に保持するように構成される。気流経路240は、液体貯蔵部分210が環状の円筒形の容積を形成するように、液体貯蔵部分210の中央を通過する。毛細管芯250は気流経路240を横切って、液体貯蔵部分210の向かい合った側の間に延在する。毛細管芯250は、液体エアロゾル形成基体を毛細管芯250に沿っていずれかの端から引き出すように配置されている毛細管材料を備える。毛細管芯250は、マウスピース260に近接する、液体貯蔵部分210の遠位端の方に配置される。
【0099】
図1に示す通り、エアロゾル発生手段220は、気流経路240内の毛細管芯250の中央セクションの周りに巻き付かれたヒーターフィラメントの形態の電動ヒーターを備える。ヒーターは、電気回路120を経由して主要ユニット101の電池110に電気的に接続されている。電力は電気回路120の制御下で、主要ユニット101内の電池110からカートリッジ200内のヒーター220に供給される。毛細管芯250は、液体貯蔵部分210からエアロゾル発生手段220へと液体エアロゾル形成基体230を送達する。
【0100】
カートリッジ200はまた、ユーザーが引き出しを行うための、気流経路240の一端に配置されたマウスピース260を備える。マウスピース260は、ユーザーが吸って、気流経路240を通して空気を引き出す空気出口(図示せず)を備える。
【0101】
傾斜センサー130は、主要ユニット101内に配置される。傾斜センサー130は、カートリッジ200が主要ユニット101によって受けられる時に、カートリッジ200の液体貯蔵部分210の向きを感知するように配置される。
【0102】
図1に図示されたシステム100は、以下の通り作動する。ユーザーがカートリッジ200のマウスピース260を吸うと、空気が主要ユニット101およびカートリッジ200のハウジングにある入口の孔(図示せず)を通って、気流経路240に引き出される。マイクロホン(図示せず)などの気流センサーが、電気回路120内に提供され、マウスピース260で引き出すユーザーによって誘発される空気流を感知する。十分な気流が検出されると、電気回路120は、電池110からエアロゾル発生手段220に電力を供給する。これによってヒーターが起動され、ヒーターフィラメントがヒーターフィラメントのすぐ近くにある毛細管芯250の中央セクションに保持されている液体エアロゾル形成基体230を加熱して気化させる。結果的に生じる蒸気は、気流経路240内に放出され、気流経路を通り、エアロゾル発生手段を通過する空気内で冷却される。冷却された蒸気は凝縮してエアロゾルを形成する。エアロゾルは気流内に引き出され、気流経路240を通り、マウスピース260へと流れ、ユーザーの口へと流れる。ユーザーがマウスピースで吸うのを止めて、気流センサーを通過する気流が閾値レベルよりも低下した時、電気回路120はエアロゾル発生手段220への電力供給を停止する。毛細管芯250には、毛細管作用によって、液体貯蔵部分210からの液体エアロゾル形成基体230が補充される。
【0103】
使用時に、電気回路120は、液体貯蔵部分210の向きを定期的に測定し、液体貯蔵部分210の向きの測定値に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を判定する。
【0104】
一部の実施形態において、電気回路120はルックアップテーブルを格納するメモリ(図示せず)を含む。ルックアップテーブルは、枯渇情報と関連付けられた基準向き情報を含む。これらの実施形態において、電気回路は向きの測定値をルックアップテーブル内に保存された基準向き情報と比較する。向きの測定値と基準向きとの間の一致が判定されると、電気回路は、ルックアップテーブル内の一致した基準向き情報と関連付けられた枯渇情報を判定する。こうして、電気回路は、液体貯蔵部分210からの液体エアロゾル形成基体230の枯渇を判定する。
【0105】
主要ユニット101、301はまた、ディスプレイ(図示せず)を備えうる。電気回路は、関連付けられた枯渇情報をディスプレイに送信して、液体貯蔵部分210からの液体エアロゾル形成基体230の枯渇についてユーザーに知らせうる。
【0106】
一部の実施形態において、電気回路は、液体貯蔵部分の向きの測定値に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇を計算するように構成されることが理解される。例えば、図2は、垂直軸A-Aに対して角度αで、倒立して保持された液体貯蔵部分210を示す。液体貯蔵部分210の向きは、液体貯蔵部分の長手方向軸と垂直軸A-Aとの間の角度αとみなされうる。液体貯蔵部分から枯渇される液体エアロゾル形成基体の枯渇のレートまたは量は、式1に示すように計算されうる。
【数1】
【0107】
判定される枯渇のレートまたは判定される枯渇の量のいずれかである判定される枯渇DDは、枯渇定数DCと向き角度αのコサインの積から計算されうる。枯渇定数DCは、較正手順から、または一つ以上の毛細管芯および液体エアロゾル形成基体の既知の属性を用いた計算から、判定されうる。
【0108】
当然のことながら、枯渇はいくつかの変数の関数でありうる。そのため、全体の枯渇は、いくつかの態様を含んでもよく、その態様のうちの1つは、式1に示すような液体貯蔵部分の傾斜に関連して判定される枯渇DDである。枯渇はまた、その他の態様の枯渇に関して判定されてもよく、それは、液体エアロゾル形成基体の温度およびエアロゾル発生手段に供給される電力などの変数に依存しうる。全体の枯渇についての推定は、それぞれの態様について判定される枯渇の組み合わせから判定されうる。
【0109】
一部の実施形態において、電気回路120は、液体貯蔵部分210の向きの測定値に基づいて、液体貯蔵部分210内に残っている液体エアロゾル形成基体230の量と、残りの吸煙時間または回数とのうちの一つ以上を判定するようにさらに構成される。電気回路120はまた、液体貯蔵部分210内に残っている液体エアロゾル形成基体230の判定された量、および残りの吸煙時間または回数をディスプレイ上に表示しうる。
【0110】
一部の実施形態において、電気回路は、エアロゾル発生システムのその他の量を測定するように構成される。
【0111】
例えば、電気回路120はエアロゾル発生手段に供給される電力を測定するように構成されうる。この実施形態では、電気回路は、エアロゾル発生手段に供給される電力の測定値に基づいて、液体エアロゾル形成基体の枯渇の第一の推定を決定するように構成される。さらに、この実施形態では、ルックアップテーブル内に保存され、基準向き情報と関連付けられた枯渇情報は、枯渇の第一の推定を調節するための乗数を含む。こうして、電気回路は枯渇の第一の推定に、液体貯蔵部分の向きの測定値から決定された乗数をかける。電気回路は次に、枯渇の第一の推定と乗数の積に基づいて、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体の枯渇の第二の推定を決定する。電気回路は、枯渇の第二の推定をディスプレイに送信して、枯渇についてユーザーに知らせうる。
【0112】
本明細書に記述された例は端的な例であること、および異なる機能性またはより高度な機能性を提供するために、例示された回路に変更・修正がなされうることが理解される。
図1
図2