(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】軌道のレールを溶接する溶接アセンブリおよび方法
(51)【国際特許分類】
E01B 29/17 20060101AFI20220218BHJP
E01B 29/46 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
E01B29/17
E01B29/46
(21)【出願番号】P 2018545974
(86)(22)【出願日】2017-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2017000136
(87)【国際公開番号】W WO2017148563
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-01-31
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ ミュールライトナー
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04645897(US,A)
【文献】特開昭54-102258(JP,A)
【文献】米国特許第06886470(US,B2)
【文献】米国特許第04410780(US,A)
【文献】米国特許第04175897(US,A)
【文献】実開昭50-080905(JP,U)
【文献】特表2016-530415(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0199925(US,A1)
【文献】特開平07-259005(JP,A)
【文献】実開昭53-045593(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0153354(US,A1)
【文献】特開昭49-089290(JP,A)
【文献】特開昭59-106603(JP,A)
【文献】米国特許第03451309(US,A)
【文献】特公昭30-002104(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 7/00-37/00
E01B 1/00-26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道のレールを溶接する溶接アセンブリ(1)であって、
鉛直線に関して当該溶接アセンブリ(1)の下側の画定部を形成し、溶接時に、前記レールのレール底部
と同じ高さに位置決めされる、アセンブリ下縁(6)と、
溶接ビードを除去するように設けられたせん断装置(7)であって、レール頭部に載置可能な頭部部分(8)と、それぞれ互いに運動可能な2つの側方部分(9)と、該側方部分(9)に続いており、せん断位置でレール底部に当接するようにそれぞれ設けられたレール底部区分(11)とから構成された、せん断装置(7)と、
を備える、溶接アセンブリ(1)において、
前記溶接アセンブリ(1)は、2つのアセンブリ部分(5)を有し、前記2つのアセンブリ部分(5)は、前記レールの長手方向(2)に関して互いに移動可能であり、かつ、それぞれが前記レールに当接可能なクランプジョー(4)を有し、
前記アセンブリ下縁(6)が、前記2つのアセンブリ部分(5)のそれぞれの底部に相当し、
前記せん断装置(7)の前記レール底部区分(11)は、駆動装置(15)によって鉛直方向に、前記アセンブリ下縁(6)の上方に位置する停止位置から、前記アセンブリ下縁(6)の下方に位置するせん断位置へ、当該溶接アセンブリ(1)のアセンブリ部分(5)に対して相対的に降下可能であることを特徴とする、溶接アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記せん断装置(7)は、前記側方部分(9)および前記レール底部区分(11)を、前記レールに向かう方向または前記レールから離れる方向に旋回させるために設けられた旋回駆動装置(12)とともに降下可能であることを特徴とする、請求項1記載の溶接アセンブリ(1)。
【請求項3】
請求項1または2記載の溶接アセンブリ(1)を用いて軌道のレールを溶接し、これに続いてせん断装置(7)によって溶接ビードをせん断する方法において、
溶接プロセスを、前記せん断装置(7)が持ち上げられているときに、溶接ビードを形成しながら実行し、その後、溶接アセンブリ(1)を、
前記クランプジョー(4)が溶接されたレール(3)を把持したままでともに持ち上げ、前記せん断装置(7)を、せん断位置へ降下させて、溶接ビードをせん断するために前記レール(3)に当接させることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道のレールを溶接する溶接アセンブリであって、鉛直線に関して溶接アセンブリの下側の画定部を形成しているアセンブリ下縁と、溶接ビードを除去するように設けられたせん断装置であって、レール頭部に載置可能な頭部部分と、それぞれ互いに運動可能な2つの側方部分と、せん断位置でレール底部に当接するように設けられたレール底部区分とから構成された、せん断装置と、を備える、溶接アセンブリに関する。
【0002】
さらに、本発明は、軌道のレールを溶接し、これに続いてせん断装置によって溶接ビードをせん断する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
いわゆる移動式のフラッシュ溶接のためのこの種の溶接アセンブリは、すでに多数の刊行物から、たとえば欧州特許第2315877号明細書または英国特許出願公開第2185703号明細書において、種々異なる態様で公知となっている。
【0004】
別の溶接アセンブリは、欧州特許第0132227号明細書において公知であり、この溶接アセンブリでは、2つのアセンブリ部分がトグル継手によって互いに結合されている。複数の摺動シリンダが、レールを把持するためのクランプ用駆動装置が設けられた横支持体に取り付けられている。
【0005】
米国特許第3978746号明細書には、溶接ビードを除去するせん断装置が詳説されている。両側方部分は、せん断するために接近旋回させることによって、レールに当接させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の課題は、溶接プロセスを改善することが可能な、冒頭で述べたタイプの溶接アセンブリまたは方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、冒頭で述べたタイプの溶接アセンブリまたは方法において、請求項1または4の特徴部に記載の構成によって解決される。
【0008】
レール底部区分またはせん断装置の全体が高さ調節可能なことにより、溶接アセンブリのレールクランプジョーに関してわずかにしか離間していないアセンブリ下縁を備える、特別に構成された溶接アセンブリを使用することが可能である。このことは、溶接プロセスのために、両レール端部が、不都合な応力を回避しながら、まくらぎからわずかにしか持ち上げられていないかまたは全く持ち上げられていない、という特別な利点を有する。
【0009】
せん断装置は、下側の区分に関して、アセンブリ下縁の上方に持ち上げられているので、せん断装置が溶接プロセスの間に偶然まくらぎの上方に位置する場合であっても、問題は生じない。最終的に行われるせん断プロセスには、溶接されたレールとともに溶接アセンブリをわずかに持ち上げることしか必要とされず、これにより、これに続いてレール底部区分を問題なくせん断位置へ降下させて旋回させることができる。すでに実行された溶接によって、ビードのせん断のために必要な持上げに起因するレール応力は、もはや問題にはならない。
【0010】
本発明のさらなる利点は、従属請求項および図面の記載から明らかになる。
【0011】
以下に、本発明を、図示した態様に基づき詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】溶接ビード用のせん断装置を備える溶接アセンブリの側面図である。
【
図2】せん断装置をレール長手方向で見た拡大図である。
【
図3】せん断装置をレール長手方向で見た拡大図である。
【
図4】せん断装置の変化態様の簡素化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
すでに種々異なる態様において公知の溶接アセンブリ1は、主に、レール長手方向2に関して互いに移動可能でありそれぞれレール3に当接可能なクランプジョー4を有する2つのアセンブリ部分5から成る。これらのアセンブリ部分5は、鉛直線に関して下側の画定部として、アセンブリ下縁6を有する。このアセンブリ下縁6は、特別な構造の本態様では、クランプジョー4からわずかにしか離間していない。両アセンブリ部分5の間には、溶接ビードをせん断して除去するように設けられたせん断装置7が配置されている。
【0014】
図2および
図3において看取可能であるように、せん断装置7は、レール頭部に載置可能な頭部部分8と、それぞれ互いに運動可能な2つの側方部分9と、せん断位置でレール底部10に当接するように設けられたレール底部区分11とから構成されている。両側方部分9は、接続されたレール底部区分11とともに、旋回駆動装置12によって軸線13まわりにレール3の両側に当接するように旋回可能である。旋回駆動装置12とともに支持体フレーム14に支持されたせん断装置7は、駆動装置15によって、鉛直方向(
図2の矢印18参照)に長孔ガイド16に沿って、支持ボディ17またはアセンブリ部分5に対して相対的に降下可能である。
【0015】
溶接プロセスは、せん断装置7が持ち上げられているときに溶接ビードを形成しながら実行される。このために、2本のレール3がクランプジョー4によって把持され、レール端部を加熱した後で押し合わされる。その際、溶接アセンブリ1の特別な構造に基づき、アセンブリ下縁6はほぼレール底部の高さに位置決めされているので、溶接プロセスは、溶接品質にとって不都合なレール応力を回避しながら、レールを持ち上げずにまたはレールをほとんど持ち上げずに実行することができる。
【0016】
溶接プロセスが終了するとすぐに、溶接アセンブリ1は、その時点では溶接された、依然として緊締されたレール3とともに、せん断装置7の下にまくらぎが位置している場合であってもせん断装置7を問題なく降下させることができる範囲内で持ち上げられる。この降下運動によって、せん断装置7の両レール底部区分11は、アセンブリ下縁6の上方に位置する停止位置(
図2参照)からアセンブリ下縁6の下方に位置するせん断位置(
図3参照)へ到る。
【0017】
続いて、両旋回駆動装置12が駆動されると、それぞれの側方部分9が、レール底部区分11とともにレール3に当接し、依然として高温状態の溶接ビードが、レール長手方向2にせん断装置7を移動させることによってせん断される。
【0018】
レール底部区分11に限定されたせん断装置7の、
図4に示す変化態様では、このせん断装置7は側方部分から独立して構成されている。せん断プロセスのために、両レール底部区分11を、停止位置(右半分参照)から作業位置(左側部分参照)へ降下させ、レール底部10の下方でせん断位置へ内側に旋回させることができる。本態様では、レール底部区分を有さずに構成された両側方部分は、単に旋回によってレール3に当接させればよい。