(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】ビデオのハイライトを認識するための頭部回転追跡デバイス
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20220218BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220218BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
G03B17/56 A
G03B15/00 P
H04N5/232 030
H04N5/232 990
(21)【出願番号】P 2018556334
(86)(22)【出願日】2016-09-29
(86)【国際出願番号】 US2016054540
(87)【国際公開番号】W WO2017189036
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2018-12-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-08
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518324739
【氏名又は名称】シュンユエン・カイファ(ベイジン)・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ツェン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】シャオウェイ・タイ
(72)【発明者】
【氏名】ユション・イェー
【合議体】
【審判長】瀬川 勝久
【審判官】野村 伸雄
【審判官】松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-86906(JP,A)
【文献】特開平7-199281(JP,A)
【文献】特開2002-135641(JP,A)
【文献】特開平9-37137(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0105010(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0015708(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0136916(US,A1)
【文献】特表2015-518683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/00
G03B 17/00
H04N 5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実現される方法であって、
ユーザに装着された回転追跡デバイスから、競技を見ることに関するユーザの頭部回転データを受信するステップと、
前記頭部回転データをフィルタリン
グして、フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと、
前記フィルタリン
グされた頭部回転データに基づいて、対応する回転制御データを生成するステップと、
前記回転制御データに基づいて、回転システムがユーザの頭部の回転と同期的に回転するように指示するステップと、を含み、
前記フィルタリングされた頭部回転データを
生成するステップは、
前記頭部回転データを
、所定の期間に対応する所定の長さを有するスライドウインドウバッファに記憶するステップと、
前記所定の期間中における複数のサンプリング点を設定し、前記スライドウインドウバッファに記憶した頭部回転データに対して各サンプリング点にお
いて測定されるパラメータから、前記所定の期間に亘る頭部回転データの少なくとも1つの変化パターンを決定するステップと、
前記少なくとも1つの変化パターンを、所定のフィルターにかけることで、フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと、
を含む、
コンピュータにより実現される方法。
【請求項2】
前記回転システムと前記ユーザに装着された回転追跡デバイスを校正するステップを含み、
前記回転システムと前記回転追跡デバイスは異なる2つの座標系にある、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記校正するステップは、
前記回転システムの作業スペースの複数の境界を決定し、前記回転システムの作業スペースの境界は前記回転システムが実行可能な回転の限界を示すステップと、
前記回転追跡デバイスによって限定された校正点に基づいて、決定された回転システムの作業スペースの境界を調整するステップと、を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップは、
決定された変化パターンが線形であることに応答して、前記頭部回転データに線形回帰プロセスを適用するステップと、
線形回帰に基づいて、前
記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと、を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップは、
決定された変化パターンが非線形であることに応答して、前記スライドウインドウバッファに記憶されている頭部回転データのメジアンを算出するステップと、
前記頭部回転データのメジアンに基づいて、前
記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと、を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
対応する回転制御データを生成するステップは、
各回転点に対応する頭部回転データに基づいて、各回転点用の回転量と回転方向を算出するステップと、
各回転点用の複数の回転回動指令を生成するステップと、を含み、
回転回動指令は、前記回転システムによって実行すべき回転量と回転方向の情報を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記回転システムから各回転点用の回転回動フィードバックデータを受信し、各回転点用の回転回動フィードバックデータは、前記回転システムによって実行された実際の回転量と回転方向とを示す情報を含むステップと、
受信された現在の回転点用の回転回動フィードバックデータに基づいて、次の回転点用の回転制御データを生成するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記回転システムが前記ユーザの頭部の回転と同期的に回転するように指示するステップは、
前記回転システムが対応する各回転点において、前記回転システムの作業スペースの境界内に、同じ方向と同じ回転量で、前記ユーザの頭部の回転にフォローするように指示するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザから指令を受信して、前記回転システムに取付けられた競技のビデオクリップをキャプチャするためのビデオキャプチャデバイスを起動するステップと、
前記回転システムが前記ビデオクリップをキャプチャする時に、前記ユーザの頭部の回転にフォローするように指示するステップと、
を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
実行可能なコンピュータプログラム指令が記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
コンピュータプロセッサによって実行される時に、前記指令は、前記コンピュータプロセッサに、
ユーザに装着された回転追跡デバイスから、競技を見ることに関するユーザの頭部回転データを受信するステップと、
前記頭部回転データをフィルタリン
グして、フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと、
前記フィルタリン
グされた頭部回転データに基づいて、対応する回転制御データを生成するステップと、
前記回転制御データに基づいて、回転システムがユーザの頭部の回転と同期的に回転するように指示するステップと、を実行させ、
前記フィルタリングされた頭部回転データを
生成するための指令は、前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプロセッサに、
前記頭部回転データを
、所定の期間に対応する所定の長さを有するスライドウインドウバッファに記憶するステップと、
前記所定の期間中における複数のサンプリング点を設定し、前記スライドウインドウバッファに記憶した頭部回転データに対して各サンプリング点にお
いて測定されるパラメータから、前記所定の期間に亘る頭部回転データの少なくとも1つの変化パターンを決定するステップと、
前記少なくとも1つの変化パターンを、所定のフィルターにかけることで、フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと
を実行させる指令を含む、
非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
コンピュータプログラム指令を更に含み、
前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプログラム指令は、前記コンピュータプロセッサに、
前記回転システムと前記ユーザに装着された回転追跡デバイスとを校正するステップを実行させ、
前記回転システムと前記回転追跡デバイスは2つの異なる座標系にある、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記回転システムと前記回転追跡デバイスとを校正するための指令に、前記コンピュータプロセッサにより実行される時に前記コンピュータプロセッサに以下のステップを実行させる指令を含み、
該ステップは、
前記回転システムの作業スペースの複数の境界を決定し、前記回転システムの作業スペースの境界は前記回転システムが実行可能な回転の限界を示すステップと、
前記回転追跡デバイスによって限定された校正点に基づいて、決定された回転システムの作業スペースの境界を調整するステップと、を含む、
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
前記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するための指令は、前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプロセッサに以下のステップを実行させる指令を含み、
該ステップは、
決定された変化パターンが線形であることに応答して、前記頭部回転データに線形回帰プロセスを適用するステップと、
線形回帰に基づいて前
記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと、を含む、
請求項10~12のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
前記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するための指令は、前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプロセッサに以下のステップを実行させる指令を含み、
該ステップは、
決定された変化パターンが非線形であることに応答して、前記スライドウインドウバッファに記憶されている頭部回転データのメジアンを算出するステップと、
前記頭部回転データのメジアンに基づいて、前
記フィルタリン
グされた頭部回転データを生成するステップと、を含む、
請求項10~12のいずれか一項に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項15】
対応する回転制御データを生成するための指令は、前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプロセッサに以下のステップを実行させる指令を含み、
該ステップは、
各回転点に対応する頭部回転データに基づいて、各回転点用の回転量と回転方向を算出するステップと、
各回転点用の複数の回転回動指令を生成し、回転回動指令は前記回転システムによって実行すべき回転量と回転方向の情報を含むステップと、を含む、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項16】
コンピュータプログラム指令を更に含み、
前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプログラム指令は、前記コンピュータプロセッサに、
前記回転システムから各回転点用の回転回動フィードバックデータを受信し、各回転点用の回転回動フィードバックデータは、前記回転システムによって実行された実際の回転量と回転方向とを示す情報を含むステップと、
受信された現在の回転点用の回転回動フィードバックデータに基づいて、次の回転点用の回転制御データを生成するステップと、を実行させる、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項17】
前記回転システムが前記ユーザの頭部の回転と同期的に回転するように指示するための指令は、前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプロセッサに以下のステップを実行させる指令を含み、
該ステップは、
前記回転システムが対応する各回転点において、前記回転システムの作業スペースの境界内に、同じ方向と同じ回転量で、前記ユーザの頭部の回転にフォローするように指示するステップである、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項18】
コンピュータプログラム指令を更に含み、
前記コンピュータプロセッサにより実行される時に、前記コンピュータプログラム指令は、前記コンピュータプロセッサに、
前記ユーザから指令を受信して、前記回転システムに取付けられた競技のビデオクリップをキャプチャするためのビデオキャプチャデバイスを起動するステップと、
前記回転システムが前記ビデオクリップをキャプチャする時に前記ユーザの頭部の回転にフォローするように指示するステップと、を実行させる、
請求項10に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項19】
コンピュータシステムであって、
ユーザが競技を見ることに関するユーザの頭部回転運動を追跡し、前記ユーザにより前記ユーザの頭部の部位に装着する回転追跡デバイスと、
前記回転追跡デバイスと通信可能に接続する回転台と、
を含み、
前記回転台は、
追跡されたユーザの頭部回転運動を分析し、分析されたユーザの頭部回転運動に基づいて回転制御データを生成する制御モジュールと、
前記回転制御データに基づいてユーザの頭部の回転と同期的にビデオキャプチャデバイスを回転させる回転システムと、
を含み、
追跡されたユーザの頭部回転運動を分析することは、
前記ユーザの頭部回転運動を示す頭部回転データを
、所定の期間に対応する所定の長さを有するスライドウインドウバッファに記憶することと、
前記所定の期間中における複数のサンプリング点を設定し、前記スライドウインドウバッファに記憶した頭部回転データに対して各サンプリング点にお
いて測定されるパラメータから、前記所定の期間に亘る頭部回転データの少なくとも1つの変化パターンを決定することと、
前記少なくとも1つの変化パターンを、所定のフィルターにかけることで、フィルタリン
グされた頭部回転データを生成することと、
を含む、
コンピュータシステム。
【請求項20】
前記制御モジュールは、更に、前記回転システムと前記ユーザに装着された回転追跡デバイスとを校正するために用いられ、
前記回転システムと前記回転追跡デバイスは2つの異なる座標系にある、
請求項19に記載のコンピュータシステム。
【請求項21】
前記回転システムを校正することは、
前記回転システムの作業スペースの複数の境界を決定し、前記回転システムの作業スペースの境界は、前記回転システムが実行可能な回転の限界を示すことと、
前記回転追跡デバイスによって限定された校正点に基づいて、決定された回転システムの作業スペースの境界を調整することと、を含む、
請求項20に記載のコンピュータシステム。
【請求項22】
回転制御データを生成することは、
各回転点に対応する頭部回転データに基づいて、各回転点用の回転量と回転方向を算出することと、
各回転点用の複数の回転回動指令を生成し、回転回動指令は前記回転システムによって実行すべき回転量と回転方向の情報を含む、
請求項19に記載のコンピュータシステム。
【請求項23】
前記制御モジュールは、更に、
前記回転システムから各回転点用の回転回動フィードバックデータを受信し、各回転点用の回転回動フィードバックデータは、前記回転システムによって実行された実際の回転量と回転方向とを示す情報を含み、
受信された現在の回転点用の回転回動フィードバックデータに基づいて、次の回転点用の回転制御データを生成する、
請求項19に記載のコンピュータシステム。
【請求項24】
前記回転システムに接続され且つ競技の一つまたは複数のビデオをキャプチャするためのビデオキャプチャデバイスを、前記ユーザにより制御する遠隔制御器をさらに含む、
請求項19に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は基本的にデジタルコンテンツの処理に関し、特に、視聴者の頭部回転運動を追跡し、且つ、回転台におけるビデオキャプチャデバイス(例えば、携帯電話)と視聴者の頭部回転運動とを同期することによって運動ビデオにおけるビデオのハイライトをキャプチャすることに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンとタブレット・コンピュータなどのモバイル算出デバイスの進歩につれ、各種の競技に関するビデオを記録できる人が増えており、例えば、運動ビデオを記録して、記録した運動ビデオにおけるビデオのハイライトを他人とシェアする。運動ビデオにおけるビデオのハイライトは運動ビデオの一部であり、運動ビデオにキャプチャした重要な競技(例えば、サッカーゲームビデオにおけるゴール又はシュートを含んだショットビデオクリップ)を表示する。
【0003】
視聴者が彼/彼女のスマートフォンとタブレット・コンピュータによって長時間のスポーツ競技を安定に記録することは相当に困難である。そのうち、1つの課題は、大型のスポーツ競技場内に行われるスポーツ競技における高速運動をキャプチャすることである。サッカー、バスケットボール、野球、ホッケー及び他の類似する運動について、普通は、スポーツ競技場は通常かなり大きいので、選手たちも当該大型のスポーツ競技場に遍在する。そのため、スポーツゲーム/競技期間に選手の動きを追跡するように、スポーツ競技の視聴者/観衆は頭部を頻繁に回転する必要がある。もう1つの課題は、生放送の競技において、ビデオのハイライトは何時起こるのを予測することである。従って、スポーツゲーム/競技或いは生放送の競技における予測不能なビデオのハイライトをキャプチャするために、視聴者はスポーツゲーム/競技全般に集中しなければならず、疲労や失敗が生じ、スポーツゲーム/競技のハイライトを見逃し、スポーツゲーム/競技に対する視聴の楽しみが損なわれる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施例において、ユーザの頭部回転運動を追跡し、且つ回転台におけるビデオキャプチャデバイス(例えば、携帯電話)の回転とユーザの頭部回転運動とを同期することによってスポーツ競技におけるビデオのハイライトを容易にキャプチャする方法が提供される。回転台の制御モジュールは、ユーザに装着された回転追跡デバイスによって、競技を視聴することに関するユーザの頭部回転データを受信する。制御モジュールは受信された頭部回転データにおけるノイズモーションをフィルタリングし、フィルタリングされた頭部回転データを生成する。制御モジュールはさらにフィルタリングされた頭部回転データに基づいて対応する回転制御データを生成する。制御モジュールは、ユーザの頭部回転と同期的に回転するように、回転制御データに基づいて回転台の回転システムを指示する。
【0005】
本明細書に記載された特徴および利点はすべてを網羅するものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点は、図面、明細書、および請求項を考慮して当業者には明らかである。さらに、本明細書で使用される言語は、主に、可読性および指導目的のために選択されたものであり、開示された主題を描写または制限するために選択されていない可能性があることに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
これらの図面は、例示のみを目的として、本開示の様々な実施形態を示している。当業者であれば、以下の説明から、本明細書で説明する構造および方法の代替実施形態を、本明細書に記載の開示の原理から逸脱することなく使用できることを容易に認識する。
【
図1】1つの実施例によるユーザの頭部回転運動を追跡し、且つ、回転台に接続されるビデオキャプチャデバイス(例えば、携帯電話)とスポーツ競技期間におけるユーザの頭部回転運動とを同期する環境を示すブロック図である。
【
図2】1つの実施例による回転台におけるビデオキャプチャデバイス(例えば、携帯電話)の回転とユーザの頭部回転とを同期するビデオのハイライトの追跡システムを示すブロック図である。
【
図3】1つの実施例による回転台の制御モジュールにおけるセンサデータ分析モジュールを示すフローチャートである。
【
図4】1つの実施例による回転台の制御モジュールにおける回転制御モジュールを示すフローチャートである。
【
図5】1つの実施例による回転台に取付けられたビデオキャプチャデバイス(例えば、携帯電話)の回転とユーザがスポーツ競技を見ることに関するユーザの頭部回転とを同期する過程を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
I環境の概要
ユーザの頭部回転運動を追跡し、且つ回転台におけるビデオキャプチャデバイス(例えば、携帯電話)の回転とユーザの頭部回転運動とを同期することによってスポーツ競技におけるビデオのハイライトを容易にキャプチャする方法が提供される。ユーザがスポーツ競技を見ると同時に追跡デバイス(例えば、一つまたは複数の運動センサを有する回転追跡デバイス)を彼/彼女の身体部位に(例えば、頭部、彼/彼女の頭部の上の帽子に)装着する。追跡デバイスはユーザの頭部運動(例えば、頭部が水平面における回転)を追跡する。ユーザの頭部回転運動を示す運動データは回転台へ送信され、指令を生成するように処理され、回転台に取付けたビデオキャプチャデバイス(例えば、携帯電話)を駆動し、ユーザの頭部回転運動にフォローする。スポーツ競技のビデオクリップをキャプチャするように、ユーザは遠隔制御器によって回転台上に取付けたビデオキャプチャデバイスを起動し、当該ビデオクリップはユーザが興味を持つ内容である。追跡デバイスがユーザの頭部回転運動を追跡することにつれ、回転台に取付けられたビデオキャプチャデバイスはスポーツ競技期間にユーザの視野にフォローするように保持される。スポーツ競技にキャプチャしたビデオは、スポーツ競技における一つまたは複数のビデオのハイライトを認識するように分析される。ユーザは、ビデオキャプチャデバイスは彼/彼女が所望の内容をキャプチャするかを常に確認することから逃れ、逆に、ユーザはスポーツ競技に集中して楽しめる。
【0008】
本開示において、「デジタルコンテンツ」とは、通常、機械が読取可能且つメモリ可能の製品を指す。デジタルコンテンツは、例えば、ビデオと音声との組合せを含んでよい。代わりに、デジタルコンテンツは静止画像であってよい。実施例の簡潔性及び説明する目的に基づき、デジタルコンテンツは「ビデオ」と称されるが、この述語は分析可能なデジタルコンテンツの類型を規制するものではない。
【0009】
図1は1つの実施例によるユーザの頭部回転運動を追跡し、且つ、スポーツ競技期間に回転台130に接続するビデオキャプチャデバイスとユーザの頭部回転運動とを同期する環境100を示すブロック図である。
図1に示された実施例は、彼/彼女の帽子上頭部回転追跡デバイス104を装着したユーザ102と、ビデオキャプチャデバイス106(例えば、ユーザ102の携帯電話)と、ユーザ102によって回転台130に取付けられたビデオキャプチャデバイス106を制御する遠隔制御器112とを含み、回転台130は制御モジュール108と回転システム110とを含む。ユーザ102はスポーツ競技場120に行われるスポーツ競技を見て、ビデオキャプチャデバイス106を制御してスポーツ競技における一つまたは複数のビデオをキャプチャする。
図1における各実体が実行する機能は、実施例が異なることにつれて異なる。これらの実体におけるそれぞれは、物理的に互いに遠隔されるが、コンピュータネットワークにより通信的に接続される算出デバイスを含む。コンピュータネットワークは一般的にインターネットであるが、他のネットワークであってもよく、LAN、MAN、WAN、モバイル有線又は無線ネットワーク、クラウドネットワーク、プライベートネットワーク、仮想プライベートネットワーク、ブルートゥース(登録商標)或いは低消費ブルートゥース(BLE)無線ネットワーク、ポイントツーポイントネットワーク又はその組合せを含んでいるが、これに限らない。ある設定において、実体はカスタマイズ及び/或いは専門の通信技術により通信する。
【0010】
ユーザ102はスポーツ競技場120に行われる競技にフォローする。例えば、ユーザ102はスポーツ競技場120又はスポーツ競技場120の近傍領域における(例えば、スポーツ競技場120のサッカースポーツ競技場の境界線にある)ボール運動、選手運動及び/或いは他の動きにフォローする。ユーザ102は、彼/彼女の頭部を左又は右に水平に回転させ、又は彼/彼女の頭部を鉛直に上下運動させる(例えば、頷くこと)ことによりスポーツ競技場120に行われる競技にフォローする。三次元(3D)ガイドシステムにおける水平軸に沿うユーザ102の頭部運動も「ヨーレイト回転」又は「回転」とも称される。3Dガイドシステムにおける鉛直軸に沿うユーザ102の頭部運動は「傾斜」とも称される。シンプルにするように、本文のみにおいては各実施例によりユーザ102の頭部のヨーレイト回転、分析可能なユーザの頭部運動の類型を制限するものではない。
【0011】
図1に示した実施例において、ユーザ102は頭部回転追跡デバイス104(「追跡デバイス104」とも称される)を彼/彼女の帽子に装着し、追跡デバイス104はスポーツ競技場120における運動を見ることに関するユーザ102の頭部回転運動を追跡する。一つの実施例において、追跡デバイス104は、ユーザの頭部、野球帽/帽子、ユーザの頭部にある耳或いは他の部位に装着可能な一つまたは複数の小型センサを含む。
図2を参照して追跡デバイス104をさらに説明する。制御回転システム110が同期する手段によりユーザ102の頭部回転を追跡するように制御するために、ユーザの頭部回転データを回転台130の制御モジュール108に送信する。
【0012】
ユーザ102は遠隔制御器112によって回転台130に取付けられたビデオキャプチャデバイス106を制御し、例えば、ビデオキャプチャ過程の期間内にビデオキャプチャデバイス106をオンまたはオフにする。一つの実施例において、遠隔制御器112は、ユーザ102により、例えば、ビデオキャプチャデバイス106を起動してスポーツ競技場120に行われるスポーツ競技のビデオクリップをキャプチャするなどの機能を実行する電子デバイスである。遠隔制御器112はユーザインターフェース(UI)、例えば、物理ボタンを有してよく、当該ユーザインターフェースにより、ユーザ102と遠隔制御器112とのインタラクションが可能になる。遠隔制御器112の例示として、通常のリモートコントロールデバイス及び最新の電子デバイス、例えば、スマートウォッチなどがある。遠隔制御器112は有線又は無線の手段によりビデオキャプチャデバイス106に通信的に接続される。
【0013】
ビデオキャプチャデバイス106はユーザ102によりデジタルコンテンツ(例えば、スポーツ競技場120に行われるスポーツ競技のビデオクリップを記録する)をキャプチャする電子デバイスである。一つの実施例において、ビデオキャプチャデバイス106はユーザ102の携帯電話であり、画像キャプチャデバイスとキャプチャしたデジタルコンテンツを送信するトランスミッタを含む。ビデオキャプチャデバイス106は、例えば、スマートフォン(例えば、ユーザ102の携帯電話)、タブレット・コンピュータ、デジタル一眼カメラ(DSLR)或いは任意の適宜なユーザデバイス或いはデジタルコンテンツをキャプチャするキャプチャデバイスであってよい。簡単に説明するために、デジタルコンテンツをキャプチャする各種の電子デバイスは通常、ビデオキャプチャデバイス106と称する。ビデオキャプチャデバイス106は、デジタルコンテンツをキャプチャするように、遠隔制御器112により遠隔的にトリガされる。ある配置において、ビデオキャプチャデバイス106は所定の時間帯(例えば、30秒)以内のデジタルコンテンツをキャプチャする。他の配置において、ビデオキャプチャデバイス106は遠隔制御器112により遠隔的にトリガされる時にデジタルコンテンツに対するキャプチャを始め、且つ、遠隔制御器112により再び遠隔的にトリガされる時にデジタルコンテンツに対するキャプチャを終了する。ビデオキャプチャデバイス106はキャプチャしたデジタルコンテンツをクラウド記憶デバイスに送信できる。ビデオキャプチャデバイス106は回転台130に取り付けられ、又は他の手段により回転台130に接続される。他の実施例において、ビデオキャプチャデバイス106とユーザ102の運動デバイスは2つの独立した実体であってよい。
【0014】
ユーザ102は、例えば、ビデオキャプチャデバイスなどの運動デバイスによってスポーツ競技のビデオクリップを記録し、且つデジタルコンテンツを消費する。例えば、記録したビデオクリップ又はそのハイライトなどがある。例えば、ユーザ102は運動デバイスによってビデオキャプチャデバイス106がキャプチャしたビデオクリップ及びキャプチャしたビデオクリップから生成したビデオのハイライトを消費する機能を実行する。ユーザ102の運動デバイスは、スマートフォン、タブレット・コンピュータ或いはビデオクリップを消費する任意の適宜のユーザデバイス又は算出デバイスであってよい。また、ユーザ102の運動デバイスにユーザインターフェースが提供され、例えば物理的なボタン及び/又は画面上の押しボタンが提供され、当該ユーザインターフェースにより、ユーザ102は運動デバイスとインタラクションを行い、ビデオクリップを視聴、シェア及び/又は消費する機能を実行する。
【0015】
回転台130は、追跡デバイス104にキャプチャした頭部回転データに基づいて生成した命令により、回転台130に取付けられたビデオキャプチャデバイス106(例えば、ユーザ102のビデオカメラを有する携帯電話)をユーザ102の頭部回転にフォローするように駆動する。
図1に示された実施例において、回転台130は、追跡デバイス104からユーザ102の頭部回転データを受信し、回転制御データを生成するように(例えば、回転運動命令或いは指令)頭部回転データを処理し、回転制御データを回転システム110に送信する制御モジュール108を備える。回転システム110は回転制御データを受信し、指令に基づいて一つまたは複数の命令を実行し、ユーザ102の頭部回転運動と同期的に回転台130に取付けたビデオキャプチャデバイス106を回転させる。制御モジュール108と回転システム110とは互いに通信的に接続される。
図2を参照して回転台130をさらに説明する。
【0016】
II示例的な算出システム構成
図2は、1つの実施例による回転台(例えば、
図1に示された回転システム110)におけるビデオキャプチャデバイス(例えば、
図1に示されたビデオキャプチャデバイス106)の回転とユーザ(例えば、
図1に示されたユーザ102)の頭部回転とを同期するビデオのハイライトの追跡システム200を示すブロック図である。
図2に示した実施例において、ビデオのハイライトの追跡システム200は(「追跡システム200」とも称される)回転追跡デバイス210(例えば、
図1に示された頭部回転追跡デバイス104)と回転台220(例えば、
図1に示された回転台130)を含む。回転台220は制御モジュール222(例えば、
図1に示された制御モジュール108)と回転システム224(例えば、
図1に示された回転システム110)を含む。制御モジュール222はセンサデータ分析モジュール204(「分析モジュール204」とも称される)と回転制御モジュール206を含む。他の実施例において、追跡システム200は別の及び/又は異なるモジュールを含んでよく、例えば、
図1に示されたユーザ102が使用される遠隔制御器112がある。
【0017】
回転追跡デバイス210はユーザが競技(例えば、スポーツ競技)を見ることに関するユーザ(例えば、
図1に示されたユーザ102)の頭部運動を追跡する。一つの実施例において、ユーザの頭部運動はユーザの頭部のヨーレイト回転(例えば、ユーザはユーザの目の水平視野に沿って彼/彼女の頭部を左右に回転すること)を含む。他の実施例は、ユーザの頭部の傾斜運動(例えば、ユーザが頷くこと)或いはユーザの頭部のヨーレイト回転と傾斜運動を含む。
【0018】
一つの実施例において、回転追跡デバイス210は、ユーザの頭部、野球帽/帽子、ユーザの頭部にある耳或いは他の部位に装着可能の一つまたは複数の小型センサを含む。回転追跡デバイス210のセンサは、ユーザがスポーツ競技を見ることに関するユーザの頭部回転を追跡し、トランスミッタを介してキャプチャした頭部回転データを制御モジュール222に送信する。例えば、回転追跡デバイス210は、慣性磁気ユニット(IMU)を含んでよく、ユーザの頭部の運動を表示する運動データをキャプチャする3軸電子コンパス、ジャイロ、3軸加速度センサ及び他のデバイスにおける一つまたは複数のセンサを含んでよい。回転追跡デバイス210は、ユーザがスポーツ競技を見ることに関するユーザの頭部回転を連続的でリアルタイムに追跡する。ある配置において、回転追跡デバイス210が頭部回転データをキャプチャした際に、ブルートゥースモジュールを介して頭部回転データを連続的に回転台220の制御モジュール222に無線方式で送信する。他の配置において、回転追跡デバイス210は(例えば、10秒毎に)頭部回転データを周期的に制御モジュール222に送信する。
【0019】
回転台220は制御モジュール222と回転システム224とを含む。制御モジュール222は回転追跡デバイス210からユーザの頭部回転データを受信し、回転制御データを生成するように頭部回転データを処理し、回転制御データを回転システムに送信する。
図2に示した実施例において、制御モジュール222はセンサデータ分析モジュール204(「分析モジュール204」とも称される)と回転制御モジュール206とを含む。分析モジュール204は回転追跡デバイス210からユーザの頭部回転データを受信し、分析された頭部回転データを生成するように受信された頭部回転データを処理し、分析された頭部回転データを回転制御モジュール206に送信する。回転制御モジュール206は分析された頭部回転データに基づいて回転制御データを生成し、回転制御データを回転システム224に送信する。回転制御データは、校正回転システム224と回転追跡デバイス210(例えば、回転システム224の回転DCモータの回転とユーザの頭部回転とを照準することにより)を校正するための指令と、回転システム224におけるモータギヤが回転可能に回転システム224に取付したビデオキャプチャデバイス(未図示)をユーザの頭部回転と同期的にフォローするように駆動する指令とを含む。それぞれ
図3と
図4を参照し、分析モジュール204回転制御モジュール206をさらに説明する。代わりの配置において、他の又は異なる部材を使用してよい。例えば、もう1つの実施例において、分析モジュール204は回転追跡デバイス210の実体として含まれ、且つ、回転制御モジュール206は回転システム224の実体として含まれる。
【0020】
回転システム224は回転制御モジュール206から回転制御データを受信し、回転システム224に回転可能に取付けられたビデオキャプチャデバイスは同期的にユーザの頭部回転にフォローする。回転システム224が後続きの回転を実行するように回転制御データを調整するために、回転システム224はフィードバックデータを回転制御モジュール206に送信する。
【0021】
一つの実施例において、回転システム224は送受信機(例えば、ブルートゥースモジュール)を含み、モータギヤとエンコーダの回転DCモータ、モータコントローラ、ドライバ及び一つまたは複数の機械部材を備える。送受信機は回転制御モジュール206から回転制御データを受信してフィードバックデータを回転制御モジュール206に送信する。モータギヤは回転DCモータのトルクを増幅してモータが回転システム224の回転を駆動できるようにする。エンコーダはモータの回転を測定し、そのうち、モータの回転に対する測定は、モータの後続きの回転を制御するためのフィードバックデータとして応用される。モータコントローラは受信された回転制御データにおける指令を説明し、指令に含まれる一つまたは複数の命令を実行して回転システム224の位置と速度を制御する。モータドライバは、直接に回転システム224の速度と位置とを制御するための制御可能な電圧によりDCモータを駆動する。
【0022】
回転システム224の機械部材における1つは、ビデオキャプチャデバイスを回転システム224に取付ける終端コネクタを含む。回転システム224は2つ又はより多い機械リミットスイッチをさらに含み、終端コネクタの回転領域を規制する。終端コネクタの回転領域は終端コネクタの作業スペースとも称される。終端コネクタが終端コネクタの作業スペースの境界に達する際、リミットスイッチをトリガし、回転システム224のモータが更なる回転を停止するようにさせる。
【0023】
一つの実施例において、エンコーダは回転システム224の終端コネクタの相対位置を測定する。2つのリミットスイッチは、終端コネクタの位置の基準線としてよい。2つのリミットスイッチ
【数1】
の中間点
【数2】
は、終端コネクタの作業スペースの原点として定義され、回転システム224に使用される回転台座標においては
【数3】
と記される。一方、分析モジュール204により分析される頭部回転データは異なる座標系にある(例えば、地磁気気座標系)。追跡システム200がその配置ステップに設定される際、(例えば、回転制御モジュール206による)終端コネクタの回転とユーザの頭部回転とを照準するように校正過程を実行する(例えば、回転制御モジュール206による)。
図4における校正モジュール402を参照して校正過程をさらに説明する。
【0024】
III示例的センサデータ分析モジュール
図3は1つの実施例による回転台220における制御モジュール222のセンサデータ分析モジュール204を含むフローチャートである。分析モジュール204は回転追跡デバイス210からユーザの頭部回転データを受信し、分析された頭部回転データを生成するように受信された頭部回転データを処理し、分析された頭部回転データを制御モジュール222の回転制御モジュール206に送信する。
図3に示した実施例において、分析モジュール204は受信機302、運動センサデータベース304、フィルタリングモジュール306及び運動処理モジュール308を含む。代わりの配置において、異なる又は他の部材を使用してよい。例えば、フィルタリングモジュール306は、ユーザの頭部回転からノイズモーションをフィルタリングするように回転追跡デバイス210に含まれてよい。
【0025】
受信機302は回転追跡デバイス210から頭部回転データ310を受信し、受信された頭部回転データを運動センサデータベース304に記憶する。ある配置において、運動センサデータベース304は、フィルタリングモジュール306から送信したフィルタリングされた頭部回転データ及び/或いは運動処理モジュール308から送信した分析された頭部回転データ320も記憶する。
【0026】
フィルタリングモジュール306はフィルタリングされた頭部回転データを生成するように受信された頭部回転データにおけるノイズモーションをフィルタリングするために、受信された頭部回転データをフィルタリングし、フィルタリングされた頭部回転データを運動センサデータベース304に記憶する。ユーザがスポーツ競技を見ることに関する受信された頭部回転データにおけるノイズモーションとは、回転台220を制御してスポーツ競技のビデオクリップをキャプチャする際に振れが生じ可能な運動データである。ユーザがスポーツ競技を見る際に、ユーザが彼/彼女の頭部をランダムに回転する可能性が非常に高い。例えば、彼/彼女が周りの人と会話したり観客席にいる他の観衆の活動を観察したりすると、ユーザの視野がスポーツ競技場(例えば、
図1に示されたスポーツ競技場120)の外に逸らす可能性が高い。回転システム224の回転を同期する時に、ユーザがスポーツ競技を見ると共に彼/彼女の頭部を揺れたり又はチューインガムを噛んだりすることに関する運動もノイズモーションである。フィルタリングモジュール306は、当業者が周知の一つまたは複数のフィルタリング技術を実施することにより(例えば、ローパスフィルタリング、ハイパスフィルタリング、相補フィルタリング及びカルマンフィルタリング)受信された頭部回転データをフィルタリングする。
【0027】
一つの実施例において、フィルタリングモジュール306は、先ず、ノイズモーションを含む受信された頭部回転データを処理したサンプリング率に基づいて適宜なフィルタリング(例えば、ローパスフィルタリング)を選択する。フィルタリングモジュール306は受信された頭部回転データにおけるノイズモーション(例えば、所定の長さの固定長さを有するスライドウインドウバッファにより受信された頭部回転データを記憶する)をフィルタリングする。各サンプリング点において、スライドウインドウバッファに記憶した頭部回転データの変化パターンをチェックする。受信された頭部回転データが線形に変化する場合、サンプリング点におけるフィルタリングされた頭部回転データは線形回帰によって回帰処理された受信された頭部回転データである。受信された頭部回転データが非線形に変化する場合、サンプリング点におけるフィルタリングされた頭部回転データは固定長さを有するスライドウインドウバッファにおける受信された頭部回転データのメジアンである。固定長さを有するスライドウインドウバッファをもって各サンプリング点における受信された頭部回転データの変化パターンをチェックすることにより、フィルタリングモジュール306は速やかで正確にフィルタリング受信されたユーザの頭部回転データをフィルタリングすることができる。受信された頭部回転データを回転システム224の回転を制御することに適宜な範囲内に規制するために、フィルタリングモジュール306は、フィルタリングされた頭部回転データと、校正過程期間内にデフォルト値に設定する又は設定される予定閾値
【数4】
とを対比する。
【0028】
運動処理モジュール308は、分析された頭部回転データを生成するようにフィルタリングされた頭部回転データを処理し、分析された頭部回転データを運動センサデータベース304に記憶する。一つの実施例において、分析された頭部回転データは、回転追跡デバイス210により追跡されたユーザの頭部運動のデータを精確に説明する構成と、回転システム224における回転を校正したり制御したりすることができることに関するタイミング情報と他の任意の情報とを含む(例えば、頭部回転追跡デバイス210における各センサを説明する情報)。一つの実施例において、分析された頭部回転データには、水平面の校正過程における回転追跡デバイス方向に対する回転追跡デバイス方向も含まれる。水平面における回転追跡デバイス方向はヨーレイトとも称される。
【0029】
IV示例的回転制御モジュール
図4は1つの実施例による回転台220の制御モジュール222の回転制御モジュール206を示すフローチャートである。回転制御モジュール206は分析モジュール204から分析された頭部回転データ410を受信し、受信された分析された頭部回転データに基づいて回転制御データを生成し、回転システム224がユーザの頭部回転と同期的に回転するように制御する。
図4に示した実施例において、回転制御モジュール206は、校正モジュール402と、切替モジュール404と、フィードバック制御モジュール406と、送受信機408とを含む。代わりの配置において、異なる又は他の部材を使用してよい。
【0030】
校正モジュール402は、回転追跡デバイス210を用いて、回転システム224を校正し、回転追跡デバイス210は回転追跡デバイス210を装着するユーザ(例えば、ユーザ102)の頭部回転データを生成する。一つの実施例において、回転システム224は校正過程を開始/停止する校正押しボタンと、校正期間においてユーザが彼/彼女の頭部どの方向に面すべきかを指示するマークラインとを有する。前記のように、回転追跡デバイス210により追跡される頭部回転は、回転システム224に使用された座標系と異なる座標系にあってよい(例えば、地磁気気座標系v.回転台座標系)。従って、追跡システム200が起動されると、地磁気座標に測定された頭部回転は、回転システム224の終端コネクタの回転と照準する必要がある。
【0031】
一つの実施例において、校正モジュール402が校正を実行する過程は以下の通りである。即ち、(1)校正モジュール402は、回転追跡デバイス210がその回転追跡センサをスポーツ競技場(例えば、
図1に示されたスポーツ競技場120)の中央に指して所定の時間帯(例えば、10秒)内において静止のままに維持するようにする指示を行う。(2)校正モジュール402は、第1リミットスイッチをトリガするまで、終端コネクタが固定の回転速度で第1リミットスイッチへ回転するように指示する。(3)校正モジュール402は、第2リミットスイッチをトリガするまで、終端コネクタが所定の回転速度で第2リミットスイッチへ回転するように指示する。(4)校正モジュール402は終端コネクタを第1リミットスイッチと第2リミットスイッチとの間の中間点へ回転するようにさせ、所定の期間にそこを留まるように指示する。一つの実施例において、校正過程は回転追跡デバイス210を装着するユーザによりマニュアルに開始する。ユーザが閾値
【数5】
を設定したい場合、ユーザは閾値
【数6】
が指示した位置まで終端コネクタをマニュアルに回転する。そうではない場合に、閾値
【数7】
はデフォルト値
【数8】
に設定される(即ち、
【数9】
)。
【0032】
切替モジュール404は分析モジュール204から分析された頭部回転データ410を受信し、受信された頭部回転データに基づいて回転制御データを生成する。回転制御データは、回転システム224がユーザの頭部回転と同期にその終端コネクタを回転させるように指示するための指令或いは命令を含む。つまり、回転システム224はユーザの頭部回転を同期にフォローする。例えば、ユーザが彼/彼女の頭部を左側へ
【数10】
度回転する際に、回転システム224も左側へ
【数11】
度回転する。
【0033】
一つの実施例において、切替モジュール404は、回転システム224の終端コネクタの回転領域境界に関する回転制御データを生成する。例えば、切替モジュール404は頭部回転に従うように終端コネクタを回転した現在の角度は、終端コネクタによって回転システム224に取付けたビデオキャプチャデバイスは終端コネクタの回転領域境界内に保持するかを決める。回転システム224が行う回転が回転領域境界を超えた場合、切替モジュール404は、回転システム224に回転を停止させ、フィードバックの目的で回転システム224が実行する実際の回転を記録するように指示するための指令を生成する。
【0034】
フィードバック制御モジュール406からフィードバックデータを受信すると、切替モジュール404は回転システム224が後続きの回転を行う回転制御データを更新する。例えば、回転システム224により現在の回転を実行する回転命令は左側へ20度を回転してよいが、回転システム224は左側へ15度のみを回転してよい。回転システム224はフィードバック制御モジュール406を介して切替モジュール404に現在の回転(即ち、左へ15度)を提供する。切替モジュール404は、現在の点に対して実行する実際の回転に基づいて次の回転点の回転制御データを調整する。例えば、現在の回転点のフィードバックデータのない次の回転点の回転命令が左側へ10度の場合、次の回転点の調整した回転命令は左側へ15度(仮に回転システム224が次の回転点の回転命令を実行する時は依然として回転領域境界内にあるとする)である。
【0035】
フィードバック制御モジュール404は回転システム224がそれぞれの回転点に対して実行された実際の回転を測定し、回転制御データを調整するために、各回転点のフィードバックデータとして実際の回転を切替モジュール404に提供する。代わりに、フィードバック制御モジュール404は、各回転点算出回転システム224が実行された実際の回転と各回転点に対する所望回転(即ち、対応するユーザの頭部回転)との間の差を、回転制御データ調整のためにフィードバックデータとして切替モジュール404に提供する。
【0036】
送受信機408は切替モジュール404により生成した回転制御データ430を回転システム224に送信する。送受信機708はフィードバック制御モジュール406からフィードバックデータ420を受信し、後続きの回転を行うように回転制御データを調整するために、フィードバックデータを切替モジュール404に送信する。
【0037】
ビデオキャプチャデバイスとユーザの頭部回転とを同期するための例示的な方法である。
【0038】
図5は1つの実施例による回転台(例えば、
図1に示された回転台130)に取付けられたビデオキャプチャデバイスの回転とユーザがスポーツ競技を見ることに関するユーザ(例えば、
図1に示されたユーザ102)の頭部回転運動とを同期する過程を示す流れ図である。最初は、ビデオのハイライトの追跡システム200によりユーザが装着する回転追跡デバイス210と回転システム224とを校正する(502)。校正過程は回転システム224の終端コネクタの作業スペースを限定する2つの境界を設定する。終端コネクタは、スポーツ競技のビデオクリップをキャプチャするように、ビデオキャプチャデバイス(例えば、ビデオカメラ)を回転システム224に取付ける。回転追跡デバイス210はユーザがスポーツ競技を見る期間内の頭部運動(例えば、ヨーレイト回転)を追跡する。ビデオのハイライトの追跡システム200は回転追跡デバイス210から頭部回転データを受信して(504)頭部回転データ(例えば、固定長さのスライドウインドウバッファによる)からノイズモーション(例えば、ユーザがスポーツ競技を見ると同時にチューインガムを噛んだり、彼/彼女の足を揺らしたりする運動など)をフィルタリングする(506)。ビデオのハイライトの追跡システム200は分析された頭部回転データを生成し(508)、データ構成においてユーザの頭部運動を精確に説明する。ビデオのハイライトの追跡システム200は分析された頭部回転データに基づいて対応する回転制御データを生成する(510)。回転制御データは指令510を含み、回転システム224により実行されると、指令512は、回転システム224に回転可能に取付けられたビデオキャプチャデバイスをユーザの頭部回転に同期的にフォローさせる。
【0039】
本開示の実施例に提供する技術案は、ユーザがスポーツ競技を楽しめるとともに競技の一つまたは複数のビデオクリップを容易に記録させる。ユーザは興味を持つスポーツ競技のビデオクリップをキャプチャするように、遠隔制御器によって回転台上に取付けたビデオキャプチャデバイスを起動する。追跡デバイスがユーザの頭部回転運動を追跡することにつれ、回転台に取付けられたビデオキャプチャデバイスはスポーツ競技期間にユーザの視野にフォローするように保持される。スポーツ競技にキャプチャしたビデオは、スポーツ競技における一つまたは複数のビデオのハイライトを認識するように分析される。ユーザは、ビデオキャプチャデバイスは彼/彼女が所望の内容をキャプチャするかを常に確認することから逃れ、逆に、ユーザはスポーツ競技に集中して楽しめる。
【0040】
まとめ
本開示の実施形態に関する前述の説明は、例示のために提示されたものであり、包括的であること、または開示された正確な形態に本開示を限定することを意図するものではない。当業者であれば、上記の開示に基づき、多くの変更および変形が可能であることを理解することができる。
【0041】
この説明のいくつかの部分は、情報の操作のアルゴリズムおよび記号表現に関して本開示の実施形態を説明する。これらのアルゴリズムの説明および表現は、データ処理技術分野の当業者によって、それらの仕事の内容を他の当業者に効果的に伝えるために一般的に使用される。これらの操作は、機能的に、計算的に、または論理的に記載されているが、コンピュータプログラムまたは同等の電気回路、マイクロコードなどによって実現されると理解される。さらに、これらの操作の構成を一般性を失うことなく、モジュールと呼ぶことは時には便利であることも判明している。記載された動作およびそれらに関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせで具体化されてもよい。
【0042】
本明細書で説明するステップ、動作、またはプロセスのいずれかは、単独または他のデバイスと組み合わせて、1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールで実行または実装することができる。 一つの実施例では、ソフトウェアモジュールは、記述されたステップ、動作またはプロセスのいずれかまたはすべてを実行するコンピュータプロセッサによって実行されるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品で実装される。
【0043】
本開示における実施形態は本明細書の操作を実行するための装置にも関する。この装置は、必要な目的のために特別に構成することができ、および/またはコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成された汎用コンピューティング装置を含むことができる。そのようなコンピュータプログラムは、非一時的、有形のコンピュータ可読記憶媒体、またはコンピュータシステムバスに結合することができる電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体に記憶することができる。 さらに、本明細書で言及される任意のコンピューティングシステムは、単一のプロセッサを含むことができ、またはコンピューティング能力の向上のために複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであってもよい。
【0044】
開示された実施形態はまた、本明細書で説明されるコンピューティングプロセスによって生成される製品に関する。そのような製品は、情報が非一時的で有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶される算出プロセスから生じる情報を含むことができ、本明細書に記載のコンピュータプログラム製品または他のデータ組み合わせの任意の実施形態を含むことができる。
【0045】
最後に、明細書で使用されている言語は、主に読みやすさと説明目的のために選択されており、本発明の主題を描写したり制限したりするように選択されていない可能性があります。したがって、本開示の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、本願に基づいてアプリケーションに発行される任意の請求によって制限されることが意図される。したがって、本開示の実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲を例示するものであり、限定するものではない。