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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】冷凍成型トンカツの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/60 20160101AFI20220218BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
A23L13/60 Z
A23L3/36 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019029925
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020130086
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】397010859
【氏名又は名称】四国日清食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154276
【弁理士】
【氏名又は名称】乾 利之
(72)【発明者】
【氏名】矢野 文一
(72)【発明者】
【氏名】久保 智之
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-121052(JP,A)
【文献】特開昭62-040263(JP,A)
【文献】特公昭36-021478(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
豚肉の小肉塊及びミンチを70:30~90:10の重量比で含む原料肉と、当該原料肉の重量に対して食塩を0.3~1.5重量%混合し、無加水状態で混練することによって原料肉混練物の一体成型性を確保した後、当該原料肉混練物を分割し、所定形状に成型した後、バッター及びパン粉付けを行った後に冷凍する冷凍成型トンカツの製造方法。
【請求項2】
前記原料肉混練物の一体成型性を確保した後、当該原料肉混練物を分割し、棒状に成型した後、当該棒状成型品を長さ方向の所定間隔においてカットし、当該カット後のカット片を所定厚みに圧延することによって得られるカット片に対してバッター及びパン粉付けを行った後に冷凍する請求項1に記載の冷凍成型トンカツの製造方法。
【請求項3】
前記棒状成型品を長さ方向に所定間隔においてカットした一食分のカット片をカット面の一方を圧延コンベア上における接地面として順次載置し、当該コンベア上で上下方向において圧延したカット片に対してバッター及びパン粉付けを行った後に冷凍する請求項2に記載の冷凍成型トンカツの製造方法。
【請求項4】
前記棒状成型品を楕円形の棒状物とすることによってカット片の断面を楕円形とし、当該カット片の圧延コンベアへの載置時に楕円形カット面の圧延コンベアの進行方向に対する向きを無作為に変化させながら順次載置することとした請求項3に記載する冷凍成型トンカツの製造方法。
【請求項5】
前記豚肉がヒレ肉である請求項1~4のいずれかに記載の冷凍成型トンカツの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚肉の小肉塊及びミンチを利用して成型した原料肉成型物を利用し、冷凍した冷凍成型トンカツの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
豚肉に対してバッター及びパン粉を付着させた状態で凍結する冷凍トンカツは、外食等の分野で汎用されている調理前の加工食品である。当該冷凍トンカツは飲食店等において必要時にフライ処理等されて食される。
ここで、食肉の無駄のない利用法の観点や、トンカツの大きさや形状を揃える必要があることから、ミンチ等の細断した原料肉を一体に成型して所定形状の冷凍トンカツを製造する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-84052号
【0004】
しかし、当該製造方法においては、原料肉を混錬した場合に結着性を向上させて一体成型性を確保し、肉同士の貼り合わせを可能とするため原料肉以外に植物蛋白や各種塩類等を含有するピックル液(水分)を追加した状態で製造することとしていた。すなわち、原料肉に加水する方法により製造していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、豚肉本来の風味やトンカツのより自然な風味を味わうためには、無加水で細断した豚肉を利用して成型する冷凍成型トンカツを製造することが望まれていた。
そこで、本発明者らは、細断した豚肉を利用する冷凍成型トンカツにおいて良好な食感を有しつつ無加水で製造可能な方法を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らの鋭意研究の結果、豚肉の小肉塊及びミンチを利用し、当該小肉塊及びミンチについて70:30~90:10の重量比で含む原料肉と、当該原料肉の総重量に対して食塩を0.3~1.5重量%混合し、無加水状態で混練することによって、当該原料肉混練物の一体成型性を確保できることを見出した。そして、当該一体成型性を確保した当該原料肉混練物を分割し、所定形状に成型した後、バッター及びパン粉付けを行った後に冷凍した冷凍トンカツは、フライ後において良好な食感を有することを見出した。
すなわち、本願第一の発明は、
“豚肉の小肉塊及びミンチを70:30~90:10の重量比で含む原料肉と、当該原料肉の重量に対して食塩を0.3~1.5重量%混合し、無加水状態で混練することによって原料肉混練物の一体成型性を確保した後、当該原料肉混練物を分割し、所定形状に成型した後、バッター及びパン粉付けを行った後に冷凍する冷凍成型トンカツの製造方法。”、である。
【0007】
次に、請求項1に記載の冷凍トンカツの製造方法においては、前記原料肉混練物の一体成型性を確保した後、当該原料肉混練物を分割し、ケーシングに充填することで棒状に成型した後、当該棒状成型品を長さ方向の所定間隔においてカットし、当該カット後のカット片を所定厚みに圧延することによって得られる原料肉成型物に対してバッター及びパン粉付けを行った後に冷凍する方法が有効である。
すなわち、本願第二の発明は、
“前記原料肉混練物の一体成型性を確保した後、当該原料肉混練物を分割し、棒状に成型した後、当該棒状成型品を長さ方向の所定間隔においてカットし、当該カット後のカット片を所定厚みに圧延することによって得られるカット片に対してバッター及びパン粉付けを行った後に冷凍する請求項1に記載の冷凍成型トンカツの製造方法。”、である。
【0008】
次に、上記の棒状成型品のカット後においては、カット片においてカット面の一方を圧延コンベア上における接地面として順次載置し、当該コンベア上で圧延した原料肉成型物に対してバッター及びパン粉付けを行うことが有効であることを見出した。
すなわち、本願第三の発明は、
“前記棒状成型品を長さ方向に所定間隔においてカットした一食分のカット片をカット面の一方を圧延コンベア上における接地面として順次載置し、当該コンベア上で上下方向において圧延したカット片に対してバッター及びパン粉付けを行った後に冷凍する請求項2に記載の冷凍成型トンカツの製造方法。”、である。
【0009】
次に、前記棒状成型品においては、当該棒状成型品を楕円形の断面を有する棒状物とすることによってカット後のカット片の断面を楕円形として、当該カット片の圧延コンベアへの載置時に楕円形のカット面の圧延コンベアの進行方向に対する向きを無作為に変化させることによって、当該楕円形の向きによって伸びる方向が異なることで不定形になり、手造り感を向上させることができる。
すなわち、本願第四の発明は、
“前記棒状成型品を楕円形の棒状物とすることによってカット片の断面を楕円形とし、当該カット片の圧延コンベアへの載置時に楕円形カット面の圧延コンベアの進行方向に対する向きを無作為に変化させながら順次載置することとした請求項3に記載する冷凍成型トンカツの製造方法。”、である。
【0010】
次に、請求項1~4における冷凍成型トンカツにおける豚肉については豚肉のうち、ヒレ肉を使用することが好適である。
すなわち、本願第5の発明は、
“前記豚肉がヒレ肉である請求項1~4のいずれかに記載の冷凍トンカツの製造方法。”、である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ミートチョッパーの刃部(二枚刃)(左)とチョッパーのプレート(右)の例を示す写真である。
図2】棒状成型品のカット及び圧延を示す模式図である。
図3】軟包材のケーシングの例を示す写真である。
図4】カット片の楕円形の向きと圧延方向を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の形態について説明する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
─豚肉─
【0013】
本発明においては、豚肉の種々の部位を利用することができる。当該部位は、ロース、モモ、ヒレ等の部位が挙げられるが、特に本発明においては部位としてヒレ部が好ましい。
ここで、ヒレ肉とは食肉小売品質基準にも規定されているもので、豚における背骨の内側の左右にある肉をいう。脂肪が少なく、柔らかいという特徴を有する。また、ヒレ肉とはテンダーロインを含む。
─小肉塊─
【0014】
本発明にいう豚肉の小肉塊とは、概ねカット後の豚肉のサイズが概ね10mm~50mm程度で当該小肉塊の豚肉の一つの粒子の重量が概ね5g~30gの間のサイズのものをいう。ミンチでなく、当該小肉塊を利用することで、本発明により完成される冷凍トンカツにおいて、本物のトンカツ感を付与することができる。
尚、本発明に利用する豚肉の小塊肉は、市販の食肉スライサーやミートチョッパー等を用いて調製することができる。また、ミートチョッパーを利用する場合には、二枚刃でプレート目の大きなサイズ(例えば、図1に示すように2つ目でサイズが図1に示すタイプ)が例として挙げられる。
─ミンチ─
【0015】
本発明にいう豚肉ミンチとは、挽肉(ひきにく)とは、豚肉をミートチョッパーで細かく裁断したものやすり潰したものをいう。通常、プレート目のサイズを2~5mm程度の小さなものとすることで得られる
─配合割合─
【0016】
本発明においては、豚肉の小肉塊及びミンチを70:30~90:10の重量比で含む。
次に、当該原料肉の重量に対して食塩を0.3~1.5重量%混合し、無加水状態で混練する。水分を付加することなく、混錬することによって豚肉同士の貼り合わせが実現でき、原料肉混練物の一体成型性を確保することができる。
但し、本発明においては、必要に応じて香辛料、香料等の他の調味成分を含めてもよいことは勿論である。
─食塩─
【0017】
本発明においては、上記の原料肉に食塩を添加する。食塩自体が結着剤の役割を果たしているほか、食塩を添加し混練することによって肉に含まれているタンパク質の構造が変化し、一体成型性(結着力)を向上させることができる。本発明においては、本発明の原料肉より最終的に得られるフライ後のトンカツの食感等も考慮した上で、食塩については原料肉に対して0.2重量%~1.5重量%の範囲で添加することが好適である。さらに、好ましくは、0.3~0.8重量%である。
─混練時間─
【0018】
上述の配合割合の豚肉の小肉塊、ミンチ及び食塩をミキサーで混合する。混練時間は特手に限定されないが、また、ミキサーのサイズや攪拌回転数によって異なるが、概ね2分から5分程度である。
─原料肉混練物の一体性─
【0019】
本発明においては、良好な食感を維持しつつ、上述の配合割合において混練することによって結着力を向上させて無加水の状態でも小肉塊肉の貼り合わせが可能となる。すなわち、原料肉混練物の一体成型性を有することができる。得られた原料肉混練物は、バッター及びパン粉付けのために一食分ごとに分割した後においても原料肉を一体のまま成型することが可能であり、所定のトンカツの形状に成型することが可能となる。
─当該原料肉混練物を所定形状に成型─
【0020】
上述のように無加水で混錬した原料肉混練物について、分割してその所定量を一定の形状に成型することができる。成型の方法としては種々の方法が利用可能であり、圧延等によって所定の形状に調製することができる。
そして、所定形状に成型後において、バッター及びパン粉付けを行った後に冷凍して保存することができる。当該冷凍トンカツは必要に応じてフライ処理等の調理をすることによって調理後の喫食可能なトンカツとすることができる。
─当該原料肉混練物を棒状に成型─
【0021】
上述の原料肉混練物については、自由に成型することが可能であるが、特に大量生産を目的とする製造ラインにおいては、当該原料混練物を押出機等によって棒状に成型することが好ましい。具体的には、当該原料肉混練物を棒状に押し出す押出機を用いて当該原料混練物を棒状に押し出す方法がある。また、棒状の形状のケーシングを準備しておき、当該ケーシングに原料肉混練物を充填することによって棒状に成型することも可能である。尚、当該棒状ケーシングはプラスチック製等の軟包材や金属性のタイプのいずれも用いることも可能である。
【0022】
このように、棒状に成型することで、その後の工程で当該棒状成型品の長さ方向に所定間隔でカットして一食分のカット片(一食分の原料肉混練物)として加工することができ、その後の圧延等の工程を処理しやすく好適である(図2)。尚、棒状に成型する場合の当該棒状成型品の断面形状については、丸形状、四角形状の他、楕円形状等種々の形状を選択することができる。
【0023】
また、軟包材の棒状ケーシングを利用する場合においては、複数の所定長さの筒状の軟包材を利用して、当該軟包材の一端を紐で縛っておき、原料肉混練物を充填後において、他方の軟包材を折込んで封鎖する等の方法が挙げられる(図3)。このようにして原料肉混練物を複数の棒状成型品としておくことが好適である。
─ケーシング充填後の冷凍保管─
【0024】
本発明において上述のようにケーシングを利用して複数の棒状成型品とする場合、当該ケーシングされた状態で冷凍庫に凍結保管することも可能である。すなわち、このように冷凍保管しておくことで、必要な場合において、凍結されたケーシング充填された原料肉混練物を解凍してその後の工程を実施することができる。
─圧延工程─
【0025】
本発明においては、棒状成型品についてその長さ方向に所定間隔でカットして一食分とし圧延工程を介して一食分の冷凍トンカツ形状に成型することが好ましい。具体的には、上述の棒状成型品に対してスライサー等に投入して所定間隔でカットして一食分のカット片(一食分の原料肉混練物)として、スライス後の原料肉混練物をコンベア搬送し、順次、圧延コンベアによって圧延して所定厚みに調製する。
【0026】
尚、カット片をカット面の一方を圧延コンベア上における接地面として順次載置し、当該コンベア上でコンベア上方に設けられたローラ等を備えた圧延機を通過させることによりコンベア面とローラ間を通過させることにより上下方向において圧延する方法が可能である。
【0027】
さらに、棒状成型品の断面形状が楕円状とすることが好ましい。前記棒状成型品を楕円形の棒状物とすることによってカット片の断面を楕円形とし、当該カット片の圧延コンベアへの載置時に楕円形カット面の圧延コンベアの進行方向に対する向きを無作為に変化させながら順次載置することが有効である(図4)。
【0028】
このようにすることで、楕円形の向きによってカット片(一食分の原料肉混練物)の圧延されて伸びる方向が異なるために不定形となり、各カット片ごとに形状を微妙に異なるようにすることが可能なため、製造後に得られる成型トンカツにおいていわゆる手造り感を付与することができる。圧延後のカット片に対しては上述のようにバッター及びパン粉付けを行った後に冷凍して保存することができる。当該冷凍トンカツは必要に応じてフライ処理等の調理をすることによって調理後の喫食可能なトンカツとすることができる。
【実施例
【0029】
以下に本発明の実施例を示す。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<試験例1> 豚肉の小肉塊とミンチの配合比率が異なっている場合
[試験区1]
凍結された豚肉(ヨーロッパ・中南米・アメリカ産)のヒレ肉部分(テンダーロイン)を利用した。まず、小肉塊については、当該豚肉を半解凍の状態としてミートチョッパーに供し(チョッパーのプレートサイズは図1に示した2つ目)に供し、一つの小肉塊の重量が5g~30gとなるように調整した。
【0030】
次に、ミンチについては、当該豚肉を半解凍の状態としてミートチョッパー(プレート目のサイズ約6mm)を利用して処理することによって得た。
前記小肉塊を1kgとミンチを1kg(小肉塊:ミンチ=50:50)に対して食塩を0.10g(原料肉に対して0.5%)添加して、ミキサーによって3分間混練した。
当該混練物の一体成型性を調べた。評価は熟練の肉加工技術者3名によって行い、混練後の原料混練肉を分割して約1kgの採取し、当該分割片を保持した状態で結着保持が可能かどうかを評価した。評価は〇:一体成型性が良好、△:一体成型性がやや弱い、×:一体成型性が弱い、の3段階で評価した。評価結果を表1に示す。
【0031】
さらに、当該得られた豚肉混練物の約20gを圧延して厚み約7mm、上面及び下面のサイズが円形状となるように加工し、バッター及びパン粉を付加した後、冷凍することで冷凍トンカツを調製した。さらに、当該冷凍トンカツを植物油(なたね油)で170~175℃で約4分フライ処理することによってフライ後の成型肉を用いたトンカツを調製した。得られたトンカツを官能試験に供した。
【0032】
官能試験は、評価は熟練の肉加工技術者3名によって行い、得られたトンカツの食感(肉の硬さ)、結着性(肉のまとまり感)を評価基準として最良、悪いという点を主要な点として、◎:最良、〇:良好、△:普通、×:悪い、の4段階で評価した。結果を表1に示す。
[試験区2]
【0033】
前述の試験例1において、豚肉の小肉塊を1.4kgとミンチを0.6kg(小肉塊:ミンチ=70:30)とした点を除いては試験例1と同様に処理した。
[試験区3]
【0034】
前述の試験例1において、豚肉の小肉塊を1.6kgとミンチを0.4kg(小肉塊:ミンチ=80:20)とした点を除いては試験例1と同様に処理した。
[試験区4]
【0035】
前述の試験例1において、豚肉の小肉塊を1.8kgとミンチを0.2kg(小肉塊:ミンチ=90:10)とした点を除いては試験例1と同様に処理した。
[試験区5]
【0036】
前述の試験例1において、豚肉の小肉塊を2.0kgとミンチを0kg(小肉塊:ミンチ=100:0)とした点を除いては試験例1と同様に処理した。
各試験例における混練後の原料肉混練物の成型一体成及びフライ処理後のトンカツの評価について表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示したように原料に豚肉について、小肉塊:ミンチの配合比率が70:30~90:10の範囲において混練後の一体成型性及びフライ処理後の食感とも良好な結果が得らえた。
【0039】
<試験例2> 棒状成型品の断面形状を変化させた場合
[試験区8]
【0040】
凍結された豚肉(ヨーロッパ・中南米・アメリカ産)のヒレ肉部分(テンダーロイン)を利用した。まず、小肉塊については、当該豚肉を半解凍の状態としてミートチョッパーに供し(チョッパーのプレートサイズは図1に示した2つ目)に供し、一つの小肉塊の重量が5g~30gとなるように調整した。
【0041】
次に、ミンチについては、当該豚肉を半解凍の状態としてミートチョッパー(プレート目のサイズ6mm)を利用して処理することによって得た。
前記小肉塊を4kgとミンチを1kg(小肉塊:ミンチ=80:20)に対して食塩を0.025g(原料肉に対して0.5%)添加して、ミキサーによって3分間混練した。
当該混練物をプラスチック製の細長い軟包材のケーシングに充填し、断面が長形4.7~5.2cm、短径が3.5~4.0cmの楕円状で長さが約50cmとなるように押圧ししつつケーシング充填した。
【0042】
当該ケーシング充填後の原料肉を並べて凍結して、-18℃の温度下で一晩保存した。
翌日に冷凍したケーシング充填後の冷凍原料肉を解凍し、中心温度が-3~-5程度になったところで、9mmごとにスライス機に供し、厚みが約7mmの原料肉のカット片を調製した。
【0043】
当該カット片をカット面の一方を圧延コンベア上における接地面として順次載置し、当該コンベア上でコンベア上方に設けられたローラを備えた圧延機を通過させることによりコンベア面とローラ間を押圧して通過させることにより上下方向の押圧によって原料肉片を圧延して、カット片を押圧して冷凍トンカツの原料肉を調製した。
【0044】
尚、圧延コンベアで搬送する際、当該カット片の圧延コンベアへの載置時に楕円形カット面の圧延コンベアの進行方向に対する向きを無作為に変化させながら順次載置することとした。これによって、各カット片の圧延後の形状が楕円形の向きによって伸びる方向が異なるため、それぞれのカット片が不定形となった。
【0045】
得られた複数個の成型トンカツに対して、バッター液(成分として、加工デンプン、大豆粉、食塩等を含む)をその表面に付着させた後、パン粉を付着させた。
当該フライ前の成型トンカツをフライ処理(なたね油、170~175℃、約4分)を行い、油切りすることでフライ処理したトンカツを完成させた。
得られたフライ処理トンカツは食感が良好であるとともに、それぞれ微妙に形状が異なり、手造り感を有していた。
[試験区9]
【0046】
試験区8において、当該混練物をプラスチック製の細長い軟包材のケーシングに充填し、断面が半径4.7~4.9cmの円形状で長さが約50cmとなるように押圧しして、ケーシング充填した点を除いては試験区8と同様に処理した。
得られたフライ処理後の成型トンカツは食感は良好であったが、形状がほぼ一定であり、手造り感がやや不足していた。
図1
図2
図3
図4