(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】組織部位を治療するためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20220218BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20220218BHJP
A61M 5/14 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
A61M1/00 161
A61M27/00
A61M5/14
(21)【出願番号】P 2019211063
(22)【出願日】2019-11-22
(62)【分割の表示】P 2017503568の分割
【原出願日】2015-07-24
【審査請求日】2019-12-20
(32)【優先日】2014-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(72)【発明者】
【氏名】マーサー,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】プラット,ベンジャミン アンドリュー
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-274124(JP,A)
【文献】特表2007-534407(JP,A)
【文献】特表2013-524889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 27/00
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位を治療するため
のアセンブリであって、
複数のブランチと;
第1のポリウレタンフィルムと;
前記複数のブランチに沿って前記第1のポリウレタンフィルムに封止結合された第2のポリウレタンフィルムと;
前記複数のブランチのそれぞれに配置された複数の送給アパーチャと;および
前記複数のブランチと流体連通して位置決めされた発泡体ハブであって、前記発泡体ハブが、前記第1のポリウレタンフィルムと前記第2のポリウレタンフィルムとの間に位置決めされており、前記発泡体ハブおよび前記複数のブランチが、流
体経路を画成する発泡体ハブと
を備え、前記複数のブラン
チのそれぞれが、同じ背圧をもたらすように適合されていることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記第1のポリウレタンフィルムおよび前記第2のポリウレタンフィルムのそれぞれに配置された複数のフィルム開窓をさらに備えることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のフィルム開窓が、円形開口部、矩形開口部、多角形開口部、スリット、または線形の切れ目を備えることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数の送給アパーチャが、前記第1のポリウレタンフィルムに配置されていることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチのそれぞれが、実質的に同じ寸法を有することを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチのそれぞれが、2ミリメートル~6ミリメートルの内径を有することを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項7】
請求項5に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチのそれぞれが、4ミリメートルの内径を有することを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチのそれぞれの前記複数の送給アパーチャの数およびサイズが等しいことを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数の送給アパーチャのそれぞれが、0.1ミリメートル~0.8ミリメートルの直径を有することを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数の送給アパーチャが6個の送給アパーチャを備え、前記6個の送給アパーチャのそれぞれが、0.5ミリメートルの直径を有することを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数の送給アパーチャが12個の送給アパーチャを備え、前記12個の送給アパーチャのそれぞれが、0.35ミリメートルの直径を有することを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチのそれぞれが、前記発泡体ハブの周りで実質的に対称的に位置決めされていることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項13】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチのそれぞれが、前記発泡体ハブから外向きに延在していることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチが、前記発泡体ハブから外向きに、および260ミリメートル~300ミリメートルの最大縦方向寸法を有する卵形または円形領域を横切って延在していることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項15】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記複数のブランチが、前記発泡体ハブから外向きに、正方形または矩形の形状を有する領域を横切って延在していることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項16】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記発泡体ハブが、前記第1のポリウレタンフィルムと前記第2のポリウレタンフィルムとの間に位置決めされていることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項17】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記第1のポリウレタンフィルムの少なくとも一部分が、親水性であることを特徴とす
るアセンブリ。
【請求項18】
請求項1に記載
のアセンブリにおいて、前記第1のポリウレタンフィルムの少なくとも一部分が、プラズマ処理を備えることを特徴とす
るアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 USC § 119(e)下において、2014年7月24日出願の米国仮特許出願第62/028,672号(「Combination Fluid Instillation and Negative Pressure Dressing」)の利益を主張し、これを、あらゆる点において本願明細書に援用する。
【0002】
本開示は、概して、治療システムに関し、より詳細には、限定されるものではないが、組織部位を治療するのに好適なシステム、ドレッシング、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療事情に依存して、減圧は、とりわけ、減圧療法に使用されて、組織部位での肉芽形成、組織部位での流体の排出、創傷の閉じ、水腫の減少、灌流の促進、および流体管理を助長し得る。さらに、減圧療法と組み合わせてまたはその代わりに、治療液が組織部位に点滴注入または分配され得る。組織部位へのそのような流体の点滴注入は、感染の防止、治癒の増進、および他の治療効果を支援し得る。
【0004】
減圧療法または流体点滴注入を受けている組織部位に流体を分配させかつそこから流体を抜き出すことには、課題が存在し得る。例えば、組織部位の体積、サイズ、幾何学的形状、位置付け(orientation)、および他の要素は様々とし得る。さらに、これらの組織部位へのアクセスは、制限され得る。これらのおよび他の要素は、組織部位からの廃液の抜き出しおよび組織部位への治療液の分配を均一にまたは一様に実施することを困難にする。さらに、減圧療法サイクルと点滴注入流体サイクルとの間で流体の流れの方向が変化することにより、流体点滴注入サイクルへ切り替えると、減圧療法サイクルの最中に抜き出される廃液は、強制的に組織部位へ戻され得る。
【0005】
格段の難しさを示し得る組織部位のタイプは、腹膜腔、より典型的には、腹腔などの箇所を含み得る。組織部位が腹腔を含むとき、ケアの改善および効率的なケアを可能にし得、および最終的な治癒を阻害し得る腹膜炎、腹部コンパートメント症候群、および感染症のような合併症に対処し得る治療システムが、特に有益とし得る。それゆえ、様々なタイプの組織部位および位置付けに適合するように治療システムの改善を図ることにより、廃液の抜き出しおよび治療液の分配の均一性を高め、および効率を高め、そして治癒にかかる時間を望ましい状態にし得る。
【発明の概要】
【0006】
組織治療システム、ドレッシング、装置、および方法のいくつかの態様での欠点が、本明細書の様々な説明に役立つ非限定的な実施形態に図示されかつ説明されるように、対処される。
【0007】
いくつかの実施形態では、組織部位において流体点滴注入および減圧治療をもたらすための治療システムが、複数の流体分配ルーメンと、流体ハブと、複数の脚部材と、減圧ハブと、流体供給ルーメンと、減圧ルーメンとを含み得る。複数の流体分配ルーメンは、第1のフィルム層と第2のフィルム層との間に画成され得る。流体分配ルーメンのそれぞれは、流体分配ルーメンと流体連通する送給アパーチャを有し得る。流体ハブは、複数の流体分配ルーメンと流体連通して位置決めされ得る。さらに、流体ハブおよび複数の流体分配ルーメンは、流体点滴注入経路を画成し得る。複数の脚部材の各脚部材は、脚マニホールドを含み得る。減圧ハブは、複数の脚部材と流体連通し得る。さらに、減圧ハブおよび複数の脚部材は、流体点滴注入経路とは別個の減圧経路を画成し得る。流体供給ルーメンは、流体ハブと流体連通して結合されるように適合され得、および減圧ルーメンは、減圧ハブと流体連通して結合されるように適合され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、組織部位を治療するための点滴注入アセンブリは、流体分配ルーメンおよび流体ハブを含み得る。流体分配ルーメンは、長尺部と、長尺部に対して垂直に位置決めされた対向側面とを有し得る。流体分配ルーメンは、第1のフィルム層および第2のフィルム層によって画成され得る。第1のフィルム層は、対向側面においておよび流体分配ルーメンの長尺部に沿って、第2のフィルム層に封止結合され得る。送給アパーチャが、流体分配ルーメン内へと、および流体分配ルーメンと流体連通して、配置され得る。流体ハブは、流体分配ルーメンと流体連通して、位置決めされ得る。流体ハブは、第1のフィルム層と第2のフィルム層との間に位置決めされ得る。さらに、流体ハブおよび流体分配ルーメンは、流体点滴注入経路を画成し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、組織部位を治療するための治療システムの製造方法は、第1のフィルム層と第2のフィルム層との間に複数の流体分配ルーメンを画成するステップと、複数の流体分配ルーメンのそれぞれに送給アパーチャを配置するステップとを含み得る。流体分配ルーメンのそれぞれにある送給アパーチャは、それと流体連通し得る。方法は、さらに、流体分配ルーメンと流体連通させて流体ハブを位置決めするステップと、複数の脚部材を形成するステップと、減圧ハブと流体連通させて複数の脚部材を位置決めするステップとを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、組織部位に流体点滴注入および減圧治療をもたらす方法は、組織部位に隣接してドレッシングを位置決めするステップを含み得る。ドレッシングは、流体点滴注入経路と、この流体点滴注入経路とは別個の減圧経路とを含み得る。方法は、さらに、流体点滴注入経路と流体連通させて流体点滴注入リザーバを結合するステップと、減圧経路と流体連通させて減圧源を結合するステップとを含み得る。減圧経路との減圧源の結合は、流体点滴注入経路との流体点滴注入源の結合とは別個とし得る。方法は、さらに、流体点滴注入リザーバからの点滴注入流体を、流体点滴注入経路を経て組織部位に供給するステップを含み得る。さらに、方法は、減圧源からの減圧を、減圧経路を経て組織部位にもたらすステップと、減圧経路を経て、組織部位から流体を抜き出すステップとを含み得る。
【0011】
説明に役立つ実施形態の他の態様、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することにより、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、組織部位に位置決めするためのドレッシングの説明に役立つ実施形態を示す、組織部位において流体点滴注入および減圧治療をもたらすための治療システムの説明に役立つ実施形態の切り欠き図である。
【
図2】
図2は、点滴注入アセンブリおよび減圧アセンブリの説明に役立つ実施形態を示す、
図1の治療システムおよびドレッシングの一部分の斜視的な分解図である。
【
図5】
図5は、
図1のドレッシングの点滴注入アセンブリおよび減圧アセンブリの説明に役立つ実施形態の斜視的な分解図である。
【
図6】
図6は、
図1のドレッシングと一緒に使用するのに好適な治療システムの別の説明に役立つ実施形態の一部分の斜視的な分解図である。
【
図7A】
図7Aは、
図1の治療システムと一緒に使用するのに好適なドレッシングの別の説明に役立つ実施形態の上面の平面図である。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aに示す点滴注入アセンブリおよび減圧アセンブリの別の説明に役立つ実施形態の斜視的な分解図である。
【
図8A】
図8Aは、
図1の治療システムと一緒に使用するのに好適なドレッシングの別の説明に役立つ実施形態の上面の平面図である。
【
図8B】
図8Bは、
図8Aに示す点滴注入アセンブリおよび減圧アセンブリの別の説明に役立つ実施形態の斜視的な分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
非限定的な説明に役立つ実施形態の以下の詳細な説明において、本明細書の一部をなす添付図面を参照する。添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、他の実施形態を使用し得、および論理的な、構造的な、機械的な、電気的な、および化学的な変更がなされ得る。当業者が、本明細書で説明する実施形態を実施できるようにするのに必要ではない詳細に関する説明を避けるために、当業者に公知の特定の情報に関する説明を省略し得る。以下の詳細な説明は、非限定的であり、説明に役立つ実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。本明細書では、別段の指示がない限り、「または」は相互排他性である必要はない。
【0014】
図1を参照して説明すると、いくつかの説明に役立つ実施形態では、治療システム102が、治療装置104、ドレッシングシール部材106、分配マニホールド108、流体供給ルーメン110、減圧ルーメン112、およびドレッシング114を含み得る。治療システム102は、組織部位116に流体点滴注入および減圧治療をもたらすのに好適とし得る。組織部位116は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯、または任意の他の組織を含む、任意のヒト、動物、または他の生物の体の組織とし得る。組織部位116は、表皮118、真皮120、および皮下組織122を通って延在し得るか、または他の方法でそれらを含み得る。組織部位116は、
図1に示すように、表皮118の表面の下側に延在する表面下の組織部位とし得る。さらに、組織部位116は、表皮118の表面上に主に存在する表面組織部位(図示せず)とし得る。
【0015】
図1に示すように、組織部位116は、限定されるものではないが、腹腔124などの体腔に組織を含み得る。腹腔124は、腹腔内容物(abdominal contents)126、または腹腔124に近接する他の組織を含み得る。ドレッシング114は、腹腔124内に配置され、かつ腹腔内容物126の表面上に支持され得る。ドレッシング114はまた、左側方(left lateral)すなわち第1の結腸傍溝128および右側方(right lateral)すなわち第2の結腸傍溝130内にまたはそれらに近接して位置決めされ得る。第1の結腸傍溝128および第2の結腸傍溝130は、それぞれ、例えば、腹腔内容物126の間の腹腔124の対向する両側にある空間とし得る。第1の結腸傍溝128は、第2の結腸傍溝130から側方に配置され得るか、またはそうでなければ、第2の結腸傍溝130から組織部位116の反対側に位置決めされ得る。
図1は、腹腔124において展開された治療システム102を示すが、治療システム102は、限定されるものではないが、他のタイプの組織部位で使用され得る。さらに、組織部位116の治療は、限定されるものではないが、流体、例えば腹水および滲出液の除去、減圧療法、組織部位116への流体の点滴注入または分配、および組織部位116の保護を含み得る。
【0016】
引き続き
図1を参照して説明すると、治療装置104は、流体供給ルーメン110および減圧ルーメン112と流体連通して結合するためのものとし得る。流体供給ルーメン110および減圧ルーメン112は、下記で説明するように、ドレッシング114と流体連通して結合され得る。さらに、流体供給ルーメン110および減圧ルーメン112は、
図1に示すように、マルチルーメン導管115の一部と組み合わせられ得るかまたはその一部として形成され得る。
図6の別の説明に役立つ実施形態を参照して説明すると、流体供給ルーメン110および減圧ルーメン112は、例えば別個の導管、チューブ、またはパイプとし得る。
【0017】
治療装置104は、減圧源136、キャニスター138、陽圧源140、および流体点滴注入リザーバ142を含み得る。キャニスター138および流体点滴注入リザーバ142は、それぞれ、液体を保持しかつ流体を連通させるための任意の好適な収納装置とし得る。さらに、いくつかの実施形態では、治療装置104は、下記で説明するように、治療装置104の構成要素を制御するためのコントローラ146、陽圧弁148、および減圧弁150を含み得る。治療装置104の構成要素は、
図1に示すように互いに配置されるかまたは関連付けられて、治療装置104を形成し得る。しかしながら、他の実施形態では(図示せず)、治療装置104の構成要素は、治療装置104とは別個にすなわち独立して設けられ得る。
【0018】
減圧源136は、減圧ルーメン112と流体連通して結合するためのものとし得る。キャニスター138は、減圧源136と流体連通して位置決めされ得る。減圧源136は、キャニスター138を経て減圧ルーメン112と流体連通して結合されるように適合され得る。それゆえ、キャニスター138は、減圧源136から減圧を受けるための入口と、減圧を減圧ルーメン112に送給するための出口とを有し得る。減圧源136、減圧ルーメン112、およびキャニスター136は、限定されるものではないが、チューブ、パイプ、接着剤、ボンディング、溶接、連結器、または締まり嵌めなどの任意の好適な方法で、互いに流体的に結合され得る。
【0019】
陽圧源140は、流体供給ルーメン110と流体連通して結合するためのものとし得る。流体点滴注入リザーバ142は、陽圧源140と流体連通して位置決めされ得る。陽圧源140は、流体点滴注入リザーバ142を経て流体供給ルーメン110と流体連通して結合されるように適合され得る。それゆえ、流体点滴注入リザーバ142は、陽圧源140から陽圧を受ける入口と、陽圧および点滴注入流体を流体供給ルーメン110に送給するための出口とを有し得る。点滴注入流体は、陽圧によって流体点滴注入リザーバ142から流体供給ルーメン110へと促され得る。陽圧源140、流体供給ルーメン110、および流体点滴注入リザーバ142は、限定されるものではないが、チューブ、パイプ、接着剤、ボンディング、溶接、連結器、ユニオン継手、または締まり嵌めなどの任意の好適な方法で、互いに流体的に結合され得る。
【0020】
図1に示すように、可搬式ポンプ156が、減圧源136および陽圧源140の双方を提供し得る。例えば、ポンプ156は、吸引ポートまたはポンプ入口158と、排気ポートまたはポンプ出口160とを含み得る。ポンプ入口158は減圧源136を提供し、およびポンプ出口160は陽圧源140を提供し得る。減圧弁150は、減圧ルーメン112とポンプ入口158との間を流体連通させて位置決めされ得る。減圧源136からの減圧は、ポンプ入口158および減圧弁150を通って減圧ルーメン112まで連通され得る。陽圧弁148は、流体供給ルーメン110とポンプ出口160との間を流体連通させて位置決めされ得る。陽圧源140からの陽圧は、ポンプ出口160および陽圧弁148を通って流体供給ルーメン110まで連通され得る。ドレッシング114に適用された陽圧は、流体点滴注入リザーバ142からドレッシング114および組織部位116までの点滴注入流体の連通および分配を支援し得る。流体ヘッド、重力、および他の要因が、陽圧を適用してのまたは適用しないでの、点滴注入流体のドレッシング114および組織部位116への連通および分配を支援し得る。それゆえ、いくつかの実施形態は、陽圧源140を必要としないかもしれない。
【0021】
他の実施形態では、1つのポンプまたは第1のポンプが減圧源136を提供し、および別のポンプまたは第2のポンプ(図示せず)が陽圧源140を提供し得る。さらに、他の実施形態では、減圧源136は、減圧をもたらす任意の好適な装置、例えば、壁面吸い込み源、手押しポンプ、または他の減圧源などとし得る。同様に、他の実施形態では、陽圧源140は、陽圧をもたらす任意の好適な装置、例えば、コンプレッサー、圧縮空気シリンダー、蠕動ポンプ、または同様の陽圧源などとし得る。
【0022】
減圧源136および陽圧源140は、特定の適用例に好適な任意の組み合わせまたは方法で、ドレッシング114および組織部位116に減圧および陽圧をそれぞれ供給するように構成され得る。例えば、コントローラ146は、任意の好適な方法で減圧弁150、陽圧弁148、およびポンプ156に電気的に結合され得る。コントローラ146は、減圧弁150、陽圧弁148、およびポンプ156を互いに対して制御するためのソフトウェア、またはユーザがプログラム可能な設定を含み得る。減圧源136に第1のポンプ、および陽圧源140に第2のポンプを使用する実施形態では、第1のポンプおよび第2のポンプは、本明細書で説明するような減圧弁150および陽圧弁148と類似のコントローラ146によって制御され得る。他の実施形態では、減圧弁150および陽圧弁148は、開閉され得るかまたはそうでなければユーザによって手動で制御され得る。同様に、ポンプ156は、手動で制御され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、ポンプ156は作動され、および減圧弁150は、開放され得るか、または他の方法で、陽圧弁148と一斉作動されて、組織部位116へ減圧および陽圧を同時に連通させ得る。減圧の送給のための減圧弁150および陽圧の送給のための陽圧弁148の作動は、間欠的でもまたは連続的でもよい。他の実施形態では、ポンプ156は作動され、および減圧弁150は、陽圧弁148に関して周期的に動作するように構成され得る。例えば、減圧弁150は、減圧療法サイクルの最中に、ドレッシング114および組織部位116へ減圧を連通させるために開放または作動され得る。減圧療法サイクルの最中は、陽圧弁148は、閉鎖され得るかまたは作動していないとし得る。点滴注入流体サイクルの最中、陽圧弁148は、ドレッシング114および組織部位116に陽圧を連通させるために、開放または作動され得る。減圧弁150は、点滴注入流体サイクルの最中は、閉鎖され得るかまたは作動していないとし得る。減圧弁150は、例えば、点滴注入流体サイクルの最中に減圧弁150が閉鎖されているかまたは作動していないときに、減圧を大気に通気させるための減圧用通気孔162を有し得る。同様に、陽圧弁148は、例えば、減圧療法サイクルの最中に陽圧弁148が閉鎖されているかまたは作動していないときに、陽圧を大気に通気させるための陽圧用通気孔164を有し得る。
【0024】
減圧は、減圧源136から組織部位116へ適用されて、組織部位116からの腹水、滲出液、または他の流体の除去を促し得る。組織部位116に適用されている減圧の作用によって組織部位116から除去される流体は、1日当たり約5リットルまたはそれを上回るとし得る。さらに、減圧は、追加的な組織の成長を刺激し、かつ適切な場合には、組織部位116への点滴注入流体の分配を高めるために適用され得る。組織部位116における創傷の場合には、肉芽組織の成長、滲出液の除去、または細菌の除去は、治癒を促し得る。非創傷または非欠損組織の状況では、減圧は、組織の成長を促進し、それら組織を採取し、別の組織部位に移植してもよい。
【0025】
本明細書では、「減圧」は、治療を受けている組織部位における周囲圧力を下回る圧力を指し得る。いくつかの実施形態では、減圧は、大気圧を下回り得る。減圧はまた、組織部位における静水圧を下回り得る。別段の指示がない限り、本明細書で述べる圧力の値はゲージ圧である。送給される減圧は、一定圧力、変動圧力、間欠圧力、または連続的圧力とし得る。用語「真空」および「陰圧」を使用して、組織部位に適用される圧力を説明し得るが、組織部位に適用される実際の圧力は、通常完全な真空(complete vacuum)に関連付けられる圧力を上回り得る。減圧の上昇は、一般に、圧力の低下に対応し(周囲圧力に対してより負となる)、および減圧の低下は、圧力の上昇に対応し得る(周囲圧力に対してあまり負ではない)。組織部位に行われる減圧の量および性質は、一般に適用に応じて変動するが、いくつかの実施形態では、減圧は、約-5mm Hg~約-500mm Hgとし得る。他の実施形態では、減圧は、約-100mm Hg~約-200mm Hgとし得る。さらに他の実施形態では、減圧は、約-50mm Hg~約-300mm Hgとし得る。
【0026】
さらに、いくつかの実施形態では、治療システム102の構成要素、例えば、限定されるものではないが、減圧源136、治療装置104、またはコントローラ146は、-100mm Hg、-125mm Hg、および-150mm Hgの減圧に予め設定されたセレクタを含み得る。さらに、治療システム102はまた、いくつものアラーム、例えば、遮断アラーム、漏出アラーム、または低バッテリーアラームなどを含み得る。
【0027】
ドレッシングシール部材106は、ドレッシング114および組織部位116を覆って、ドレッシングシール部材106と組織部位116との間に流体シールおよび密閉空間166をもたらすように適合され得る。ドレッシングシール部材106の一部分は、組織部位116を取り囲む組織、例えば表皮118に重なってもよい。ドレッシング114および分配マニホールド108は、密閉空間166に位置決めされるようなサイズにされ得るかまたは他の方法でそのように適合され得る。例えば、ドレッシングシール部材106は、内側に面した側面168と、内側に面した側面168に対向して位置決めされた外側に面した側面170とを含み得る。密閉空間166は、ドレッシングシール部材106の内側に面した側面168と組織部位114との間にもたらされ得る。いくつかの実施形態では、ドレッシングシール部材106は、組織部位116と、組織部位116を取り囲む組織とを覆うように適合された液不透過性材料を含み得る。
【0028】
ドレッシングシール部材106は、流体シールを可能にし得る任意の材料から形成され得る。流体シールは、妥当な場合、所望の部位で、減圧を維持するのに適切なシールとし得る。ドレッシングシール部材106は、例えば、以下の材料:親水性ポリウレタン;セルロース系材料;親水性ポリアミド;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;親水性アクリル;親水性シリコーンエラストマー;例えば、14400g/m2/24時間の透湿度またはMVTR(インバーテッドカップ(inverted cup)技術)および約30ミクロンの厚さを有する、Expopack Advanced Coatings(Wrexham、United Kingdom)からのINSPIRE 2301材;薄く、コーティングされていないポリマードレープ;天然ゴム;ポリイソプレン;スチレンブタジエンゴム;クロロプレンゴム;ポリブタジエン;ニトリルゴム;ブチルゴム;エチレンプロピレンゴム;エチレンプロピレンジエンモノマー;クロロスルホン化ポリエチレン;多硫化ゴム;ポリウレタン(PU);EVAフィルム;コ-ポリエステル;シリコーン;シリコーンドレープ;3M Tegaderm(登録商標)ドレープ;Avery Dennison Corporation(Pasadena、California)から入手可能なものなどのポリウレタン(PU)ドレープ;例えば、Arkema(France)からのポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX);Expopack 2327;または他の適切な材料のうちの1つ以上を含み得る。
【0029】
ドレッシングシール部材106は、透湿性および液不透過性とし、それにより、密閉空間166から蒸気は出ることができるが、液体は出ることができないようにし得る。いくつかの実施形態では、ドレッシングシール部材106は、例えば、24時間当たり少なくとも約300g/m2の高MVTRを有する、可撓性で通気性のフィルム、膜、またはシートとし得る。ドレッシングシール部材106への高MVTR材の使用によって、上述の流体シールを維持しながらも、水蒸気が、ドレッシングシール部材106を通って、密閉空間166の外部へと通過できるようにし得る。他の実施形態では、蒸気移動が低いまたは全くないドレープが使用され得る。いくつかの実施形態では、ドレッシングシール部材106は、厚さが約15ミクロン(μm)~約50ミクロン(μm)の、ある範囲の医学的に好適なフィルムを含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、取付装置またはインターフェース接着剤172が、ドレッシングシール部材106と組織部位116との間に位置決めされるように適合され得る。例えば、インターフェース接着剤172は、組織部位116に対面するように、ドレッシングシール部材106の内側に面した側面168上に位置決めされ得るか、または適用され得る。いくつかの実施形態では、ドレッシングシール部材106は、インターフェース接着剤172によって、組織部位116を取り囲む組織、例えば表皮118に対して直接封止され得る。他の実施形態では、インターフェース接着剤172は、インターフェース接着剤172と表皮118との間に位置決めされるように適合されたガスケットまたはドレープ(図示せず)にドレッシングシール部材106を封止し得る。
【0031】
インターフェース接着剤172は、医学的に容認可能な接着剤とし、および多数の形態、例えば接着シーリングテープ、ドレープテープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、または他の好適なシール装置を取り得る。インターフェース接着剤172はまた、流動性を有し得る。さらに、インターフェース接着剤172は、限定されるものではないが、アクリル接着剤、ゴム系接着剤、高粘着性シリコーン接着剤、ポリウレタン、または他の接着物質を含み得る。いくつかの実施形態では、インターフェース接着剤172は、例えば、約15グラム/m2(gsm)~約70グラム/m2(gsm)の塗布量のアクリル接着剤を含む感圧接着剤とし得る。感圧接着剤は、表皮118および組織部位116に対面するように適合されたドレッシングシール部材106の側面、例えばドレッシングシール部材106の内側に面した側面168に適用され得る。いくつかの実施形態では、インターフェース接着剤172は、ドレッシングシール部材106の内側に面した側面168に適用されたまたは位置決め可能である層またはコーティングとし得る。いくつかの実施形態では、インターフェース接着剤172は、連続的でも、または非連続的でもよい。
【0032】
分配マニホールド108は、ドレッシングシール部材106とドレッシング114との間に位置決めするためのものとし得る。分配マニホールド108は、例えば、分配マニホールド108を組織部位116および密閉空間166に合うように任意の好適な方法で切断するかまたは他の方法で付形することなどによって、組織部位116においてドレッシング114に近接して、それに隣接して、またはそれと直接接触して位置決めされるように適合され得る。いくつかの実施形態では、分配マニホールド108は、組織部位116の一部分に近接して、それに隣接して、またはそれと直接接触して位置決めされ得る。分配マニホールド108は、分配マニホールド開口部174を有し、分配マニホールド開口部は、分配マニホールド108を貫通して配置され、かつドレッシング114の一部分を受け入れるように適合されて、例えば、流体供給ルーメン110と直接流体連通させてドレッシング114を結合し得る。さらに、分配マニホールド108は、ドレッシング114および組織部位116と流体連通して、ドレッシング114および組織部位116へ減圧を分配するように適合され得る。
【0033】
分配マニホールド108は、例えば、多孔性および透過性の発泡体または発泡体様の材料、経路を備えて形成された部材、グラフト、またはガーゼなどの、真空空間、または治療空間をもたらす任意のマニホールド材または柔軟性ボルスター材から形成され得る。いくつかの実施形態では、マニホールド材が流体を分配または収集するように動作可能であるという条件で、任意の材料または材料の組み合わせが、分配マニホールド108用のマニホールド材として使用され得る。例えば、用語マニホールドは、複数の細孔、経路、または流路を通して組織部位へ流体を送給できるかまたは組織部位から流体を除去できる物体または構造体を指し得る。複数の細孔、経路、または流路は相互に接続されて、マニホールドの周囲の領域に提供されるかまたはそこから除去される流体の分配を改善し得る。そのようなマニホールドの例は、限定されるものではないが、流路を形成するように配置された構造要素を有する装置、気泡質の発泡体、例えば連続気泡発泡体、多孔性組織集合体、および液体、ゲル、および流路を含むまたは硬化して流路を含む発泡体を含み得る。さらに、分配マニホールド108は生体適合性とし得る。いくつかの実施形態では、分配マニホールド108は、多孔質の疎水性材料を含み得る。そのような実施形態では、分配マニホールド108の疎水性は、分配マニホールド108が、流体を直接吸収しないようにするが、流体がそれを通過できるようにし得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、分配マニホールド108は、流体透過性である網状の連続気泡ポリウレタンまたはポリエーテル発泡体とし得る。1つのそのような材料は、Kinetic Concepts,Inc.(San Antonio、Texas)から入手可能なVAC(登録商標)GranuFoam(登録商標)材とし得る。しかしながら、適用例に依存して、GranuFoam(登録商標)材よりも高いまたは低い密度の材料が、分配マニホールド108に望ましいとし得る。考えられる多くの材料の中で、限定されるものではないが、以下のものが使用され得る:GranuFoam(登録商標)材、Foamex(登録商標)テクニカルフォーム(technical foam)(www.foamex.com)、成形された針状床構造(molded bed of nails structure)、Sercol Industrial Fabricsによって製造されたものなどのパターン化されたグリッド材料、Baltex(Derby、U.K.)によって製造されたものなどの3Dテキスタイル、ガーゼ、可撓性のチャネルを含む部材、およびグラフト。
【0035】
他の実施形態では、分配マニホールド108は、独立気泡を含む材料を含み得る。独立気泡は、分配マニホールド108内の隣接する気泡に流体的に接続されていなくてもよい。独立気泡は、分配マニホールド108内に選択的に配置されて、例えば、分配マニホールド108の外周面を経た流体の伝達を防止し得る。分配マニホールド108内にまたはその上に、吸収材料、吸い上げ材料、疎水性材料、および親水性材料などの他の層が含まれ得る。いくつかの実施形態では、分配マニホールド108は、銀イオン(ionic silver)および抗菌剤によって向上され得る。
【0036】
ドレッシング114は、点滴注入アセンブリ182と、点滴注入アセンブリ182に結合され得る減圧アセンブリ186とを含み得る。点滴注入アセンブリ182は、様々な流体、例えば、限定されるものではないが、薬、灌注流体、点滴注入流体、または治療液が、送給矢印188によって示すように、組織部位116に送給されるようにする。これらの流体および他の流体は、組織部位114に送給された後、抜き出し矢印190によって示すように、減圧アセンブリ186によって組織部位114から除去または抜き出され得る。
【0037】
図2を参照して説明すると、点滴注入アセンブリ182は、少なくとも1つの流体分配ルーメン202および流体ハブ206を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体分配ルーメン202は、
図2に示すような複数の流体分配ルーメン202とし得る。他の実施形態では、点滴注入アセンブリ182は、限定されるものではないが、特定の適用例に合わせるように、任意の数の流体分配ルーメン202を含み得る。流体分配ルーメン202は、組織部位116の密閉空間166に位置決めされるようなサイズにされ得るかまたは他の方法でそのように適合され得る。
【0038】
流体分配ルーメン202のそれぞれは、縦方向に延在する長尺部またはブランチ208と、長尺部またはブランチ208に実質的に垂直に位置決めされ得る対向側面210とを含み得る。流体分配ルーメン202は、第1のフィルム層212と第2のフィルム層214との間に、またはそれらフィルム層によって、画成され得る。第1のフィルム層212は、対向側面210において、および流体分配ルーメン202の長尺部またはブランチ208に沿って、限定されるものではないが、溶接、ボンディング、接着剤、セメント、または同様のボンディング手段などの任意の好適な方法で、第2のフィルム層214に封止結合され得る。第1のフィルム層212は、第2のフィルム層214と組織部位116との間に位置決めされるように適合され得る。
【0039】
さらに、流体分配ルーメン202のそれぞれは、少なくとも1つの送給アパーチャ216を含み、この送給アパーチャは、この送給アパーチャ216を保持する流体分配ルーメン202と流体連通し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの送給アパーチャ216は、
図2に示すように、複数の送給アパーチャ216とし得る。流体分配ルーメン202は、限定されるものではないが、特定の適用例に合わせるように、任意の数の送給アパーチャ216を含み得る。さらに、送給アパーチャ216は、実質的に均一に組織部位116に流体を送給するようなサイズ、形状にされ得るか、またはそのような構成に位置決めされ得る。送給アパーチャ216は、第1のフィルム層212を通して流体分配ルーメン202まで配置され、および第1のフィルム層212は、組織部位116に対面するように適合され得る。
【0040】
第1のフィルム層212および第2のフィルム層214は、組織が医療用ドレープに接着しないようにできる、非接着性材料、例えば医療用ドレープを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のフィルム層212および第2のフィルム層214は、通気性のポリウレタンフィルムを含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、第1のフィルム層212および第2のフィルム層214は、ドレッシングシール部材106に関して上述した材料のいずれかを含み得る。さらには、いくつかの実施形態では、第1のフィルム層212の少なくとも一部分は親水性とし得る。例えば、第1のフィルム層212は、第1のフィルム層212に親水性を与え得るプラズマ処理を含み得る。そのような親水性は、例えば、重力の作用によって組織部位116において低点まで引き寄せられるのではなく、第1のフィルム層212のより大きな表面上を覆って流体を被覆させるのを促し得るまたは向上させ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1のフィルム層212および第2のフィルム層214は、複数の開口部またはフィルム開窓218を含み得る。フィルム開窓218は、限定されるものではないが、円形開口部、矩形開口部、多角形開口部、スリット、または線形の切れ目などの、様々な形状を取り得る。さらに、フィルム開窓218は様々なサイズを有して、所望の流体の流れ、圧力の送給、または他のパラメータをもたらすための特定の適用例に合わせ得る。フィルム開窓218は、組織部位116と、減圧アセンブリ186と、分配マニホールド108との間に流体連通をもたらし得るかまたはそれらの間の流体連通を促し得る。流体送給ルーメン202および流体送給ハブ206には、フィルム開窓218が無くてもよい。
【0042】
さらに、他の実施形態では、点滴注入アセンブリ182にはフィルム開窓218が無くてもよい。そのような実施形態では、点滴注入アセンブリ182の表面領域のサイズは、例えば、点滴注入アセンブリ182の周囲、外周、または直径を小さくすることによって、減圧アセンブリ186よりも小さくされ得る。点滴注入アセンブリ182の表面領域を小さくすることによって、減圧アセンブリ186の周辺が、点滴注入アセンブリ182の周辺を越えて延在できるようにし、減圧アセンブリ186を組織部位116と直接流体連通させてまたは接触して位置決めし得る。
【0043】
流体ハブ206は、高さ部分を有し、および流体分配ルーメン202と流体連通して位置決めされ得る。流体ハブ206の高さ部分は、第2のフィルム層214の表面および点滴注入アセンブリ182から外向きに延在し得る。流体ハブ206は、第1のフィルム層212と第2のフィルム層214との間に位置決めされ得る。流体ハブポート220は、第2のフィルム層214を通して配置され、および流体供給ルーメン110と流体ハブ206との間に流体連通をもたらし得る。流体分配ルーメン202は、流体ハブ206の周囲におよびその周りで実質的に対称的に位置決めされ得る。流体ハブ206および流体分配ルーメン202は、流体点滴注入経路222を画成し得る。点滴注入アセンブリ182は、組織部位116と減圧アセンブリ186との間に位置決めされ得る。
図2に示すように、流体分配ルーメン202は、流体ハブ206から外向きに、および約260ミリメートル~約300ミリメートルの最大縦方向寸法を有する卵形または円形領域を横切って延在し得る。他の実施形態では、流体分配ルーメン202は、任意の所望の寸法および形状、例えば、円形、卵形、正方形、矩形、または他の形状などを有する領域を横切って延在し得る。
【0044】
図2に示すように、流体ハブ206は、例えば、発泡体などの、多孔質または流体透過性材料を含み得る。さらに、流体ハブ206は、細長くかつシリンダー状の形状とし得る。しかしながら、流体ハブ206は、限定されるものではないが、他の形状を有してもよい。他の実施形態では、流体ハブ206は、チューブ、チューブ状継手、パイプ、かかり付き接続部、または同様の構造体などの継手を含み得る。そのような実施形態では、継手は、第1のフィルム層212または第2のフィルム層214に予めボンディングされ得るかまたは直接成形され得、および流体供給ルーメン110と流体分配ルーメン202との間に流体的に結合されるように構成され得る。
【0045】
流体点滴注入経路222は、実質的に均一に組織部位116に流体を送給するように適合され得る。例えば、流体点滴注入経路222上の流体分配ルーメン202および送給アパーチャ216はそれぞれ、実質的に同じ背圧をもたらすように適合され得る。そのような構成は、流体が、流体分配ルーメンまたは送給アパーチャを通って、より自由に移動しないようにし得るか、またはそうでなければ、流体分配ルーメン202のうちの1つを、流体分配ルーメン202のうちの別のものよりも優先して、または送給アパーチャ216のうちの1つを、送給アパーチャ216のうちの別のものよりも優先して移動しないようにし得る。本明細書では、背圧は、ルーメンまたはアパーチャの限定空間などを通る流体の流れに対する抵抗を指し得る。背圧は、限定されるものではないが、空間のサイズ、空間内での湾曲または接合部の存在および形状、空間内の表面仕上げ、および他の特徴などの限定空間の幾何学的構成および材料特性から生じ得る。
【0046】
流体は、最も抵抗の小さい経路を辿る傾向を有し、それゆえ、不十分な流体分布が、流体分配ルーメン202のうちの別のものよりも、流体分配ルーメン202のうちの、流体の流れに対する背圧または抵抗の小さい1つのルーメンから生じ得る。同様に、不十分な流体分布は、流体送給アパーチャ216のうちの別のものよりも、流体送給アパーチャ216のうちの、流体の流れに対する背圧または抵抗が小さい1つのアパーチャから生じ得る。流体分配ルーメン202のサイズおよび構成および流体分配ルーメン202のそれぞれの送給アパーチャ216の数およびサイズの一貫性は、例えば、組織部位116への流体送給の均一性を高め得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、送給アパーチャ216は、流体分配ルーメン202のそれぞれでの数およびサイズが実質的に等しいとし得る。さらに、流体分配ルーメン202のそれぞれは、実質的に同じ寸法を有し得る。
【0047】
例えば、いくつかの実施形態では、流体分配ルーメン202の内径は、約2ミリメートル~約6ミリメートルとし得る。さらに、いくつかの実施形態では、流体分配ルーメン202の内径は約4ミリメートルとし得る。いくつかの実施形態では、送給アパーチャ216の直径は、約0.1ミリメートル~約0.8ミリメートルとし得る。本明細書で説明するように、流体送給アパーチャ216のサイズ、断面積、または直径よりも実質的に大きい流体分配ルーメン202の内径または断面積のサイジングによって、流体分配ルーメン202のそれぞれの内部に実質的に均一な圧力をもたらし得る。そのような実施形態では、分配ルーメン202内の流体の流速は、送給アパーチャ216を通る高速の流体の流速と比較して、実質的に低速とし得るかまたは実質的に静止し得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、流体分配ルーメン202のそれぞれは、流体分配ルーメン202と流体連通して第1のフィルム層212を通して配置された、6個(6)の送給アパーチャ216を有し得る。6個の送給アパーチャ216のそれぞれの直径は、約0.5ミリメートルとし得る。他の実施形態では、流体分配ルーメン202のそれぞれは、流体分配ルーメン202と流体連通して第1のフィルム層212を通して配置された、12個(12)の送給アパーチャ216を有し得る。12個(12)の送給アパーチャ216のそれぞれの直径は、約0.35ミリメートルとし得る。そのような構成は、例えば、約80cc/分~約120cc/分とし得る点滴注入アセンブリ182への流体点滴注入または送給速度に対し、十分な背圧をもたらし得る。他の構成および流体送給速度が可能である。概して、送給アパーチャ216の数の増加は、所望の量または範囲の背圧を維持するために必要とされ得る送給アパーチャ216のそれぞれの直径の減少に対応し得る。
【0049】
引き続き
図2を参照して説明すると、減圧アセンブリ186は、少なくとも1つの脚部材232および減圧ハブ234を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの脚部材232は、
図2に示すような複数の脚部材232とし得る。減圧アセンブリ186は、任意の数の脚部材232を含んで、限定されるものではないが、特定の適用例に合わせ得る。脚部材232は、密閉空間166に位置決めされるようなサイズにされ得るか、または他の方法でそのように適合され得る。さらに、いくつかの実施形態では、減圧アセンブリ186は、減圧ハブ234を貫通してまたはそこに配置された中心開口部236を含み、および中心開口部は、流体ハブ206を受け入れるようなサイズにされ得るかまたは他の方法でそのように適合され得る。流体ハブ206の高さ部分は、中心開口部236を通って延在するようなサイズにされ得るかまたは他の方法でそのように適合され得る。他の実施形態では、中心開口部236は、第2のフィルム層214および/または点滴注入アセンブリ182の流体ハブ206への流体供給ルーメン110の直接的な物理的な結合または直接的な流体結合のためのアクセスをもたらすのに好適な、任意の形状、サイズ、または構成を有し得る。
【0050】
脚部材232のそれぞれは、脚マニホールド238と、脚マニホールド238を覆う一方で脚マニホールド238との流体連通を可能にし得る脚封入材240とを含み得る。他の実施形態では、脚マニホールド238または脚封入材240は省略してもよい。脚マニホールド238は、多孔質または流体透過性材料、例えば、発泡体などを含み得る。いくつかの実施形態では、脚マニホールド238は、分配マニホールド108に関して上述した材料のいずれかを含み得る。脚封入材240は、脚マニホールド238を覆い、かつ組織が脚マニホールド238に接着するか、またはそうでなければ、脚マニホールド238と接触するのを妨げ得る。組織と脚マニホールド238との間のそのような接触の防止は、例えば、脚マニホールド238に使用されるより広範囲の材料、およびドレッシング114の治療適用例に対し、もたらされ得る。
【0051】
図2~5を参照して、および特に
図4A~4Bの詳細な図を参照して説明すると、脚封入材240は、脚部材232の内部242および外部244を画成し得る。脚マニホールド238は、脚部材232の内部242内に位置決めされ、および任意の好適な方法で脚封入材240によって封入され得る。例えば、脚封入材240は、第1の封入層246および第2の封入層248を含み得る。脚マニホールド238は、第1の封入層246と第2の封入層248との間に位置決めされ得る。第1の封入層246は、限定されるものではないが、溶接、接着剤、セメント、または同様のボンディング手段などの脚ボンド252によって、脚マニホールド238の外周縁250で第2の封入層248に結合され得る。脚ボンド252の長尺部は、非連続的とし得るため、第1の封入層246および第2の封入層248を経た脚部材232および脚マニホールド238との流体連通を高め得る。
【0052】
図5を参照して説明すると、第1の封入層246は第1の周辺254を有し、第1の周辺は、第2の封入層248の第2の周辺256と一致するようなサイズにされ得るかまたはそうでなければそのように適合され得る。第1の周辺254は、限定されるものではないが、脚ボンド252に関し上述したボンディング手段のいずれかによるなどの任意の好適な方法で、第2の周辺256に結合され得る。他の実施形態では、脚封入材240は、脚マニホールド238に巻き付くかまたはそれを覆うようなサイズおよび形状にされるか、またはそうでなければ脚部材232を形成する、単一層とし得る。さらに、他の実施形態では、脚封入材240は、脚マニホールド238の周りで互いに結合されるかまたはそれを覆うか、またはそうでなければ脚部材232を形成する、複数の層とし得る。
【0053】
図2~5を引き続き参照して説明すると、複数の脚開窓258が、脚封入材240を通して配置され、脚マニホールド238と脚部材232の外部244との間を流体連通させ得る。脚開窓258は、様々な形状、例えば、限定されるものではないが、円形開口部、矩形開口部、多角形開口部、スリット、または線形の切れ目を取り得る。さらに、脚開窓258は、所望の流体の流れ、圧力の送給、または他のパラメータをもたらす特定の適用例に合わせるような様々なサイズを有し得る。脚開窓258は、限定されるものではないが、組織部位116と、減圧アセンブリ186と、分配マニホールド108と、減圧ルーメン112との間の流体連通をもたらし得るかまたはそれを高め得る。
【0054】
脚封入材240は、組織が医療用ドレープに接着しないようにできる、医療用ドレープなどの非接着性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、脚封入材240は、通気性ポリウレタンフィルムを含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、脚封入材240は、ドレッシングシール部材106に関して上述した材料のいずれかを含み得る。
【0055】
脚部材232は、減圧ハブ234から外向きに延在し、かつ任意の好適な形状または構成で、減圧ハブ234と流体連通して位置決めされ得る。
図2~3に示すように、脚部材232は、減圧ハブ234から半径方向外向きに延在し得る。減圧ハブ234は、脚部材232が集められる、結合される、またはそうでなければ互いの方に方向付けられる減圧アセンブリ186の領域とし得る。減圧ハブ234を設ける減圧アセンブリ186の領域は、例えば、減圧アセンブリ186の中心領域とし得る。
【0056】
図2~3に示すように、いくつかの実施形態では、脚部材232は、例えば、脚部材232のそれぞれの間に延在し得る脚封入材240と連結され得る。さらに、いくつかの実施形態では、隣接する脚部材232の間の脚封入材240の一部分は、脚部材232の遠位端部の間での移動を可能にするために、拡張性、伸縮性、可撓性、弾性、または他の方法で変形可能とし得る。他の実施形態では、脚部材232の遠位端部は、互いに対して無関係に可動とし得る一方で、脚部材232の近位端部は、減圧ハブ234において結合され得るかまたはそこに集められ得る。
【0057】
脚部材232は、いくつもの異なる長さおよび形状、例えば細長い形状、矩形、楕円形、および他の形状を取り得る。
図2~5に示すように、いくつかの実施形態では、脚部材232は、脚部材232の長尺部に沿って位置決めされた複数の脚モジュール270を含み得る。脚部材232の長尺部に沿って、隣接する脚モジュール270のそれぞれの間に、操作ゾーン272が位置決めされ得る。操作ゾーン272は、脚モジュール270と比べてサイズが小さい領域を提供し、ドレッシング114のサイジングのための脚モジュール270の分離または除去を促し得る。いくつかの実施形態では、操作ゾーン272は、脆弱または穿孔領域を含んで、例えば、切断または引き裂きによる、ドレッシング114のサイジングを容易にし得る。脚部材232のそれぞれの脚モジュール270は、互いに流体連通し得る。いくつかの実施形態では、臨床医は、操作ゾーン272を切断するか、または引っ張ることによって操作ゾーン272を引き裂いて、ドレッシング114をサイジングし得る。さらに、
図3に示すように、いくつかの実施形態では、ドレッシング114をサイジングするためのガイドとして、可視的な目印276が、ドレッシング114または脚部材232の表面上に適用され得る。可視的な目印276は、例えば、操作ゾーン272を横切り得る切断線またはサイズ目盛を含み、ドレッシング114の切断、引き裂き、または他の方法でのサイジングに利便性をもたらし得る。そのような実施形態では、流体分配ルーメン202は、ドレッシング114に考えられる最小サイズを示す可視的な目印276内に存在するかまたは入ってきて、例えば、ドレッシング114のサイジング時に流体分配ルーメン202が働かないようにし得る。ドレッシング114のサイジングが特徴または懸案事項ではないとし得る他の実施形態では、例えば、流体分配ルーメン202は、所望の通りのドレッシング114のいずれかの領域内へと延在し得るかまたは領域内に存在し得る。
【0058】
減圧ハブ234および脚部材232は、例えば、
図1、
図2、および
図4Bに示すように、流体点滴注入経路222とは別個の減圧経路280を画成し得る。流体は、脚部材232から減圧ハブ234の方へ流れ得る。
図1の流体抜き出し矢印190に示すように、流体は、脚開窓258に入り、および脚部材232内へ、減圧ハブ234の方に向かって流れ得る。点滴注入アセンブリ182の第1のフィルム層212および第2のフィルム層214は、減圧アセンブリ186の脚部材232および減圧ハブ234から流体分配ルーメン202および流体ハブ206を分離し得る。流体分配ルーメン202は、組織部位116と脚部材232との間に位置決めされ得る。さらに、第2のフィルム層214は、第1のフィルム層212と減圧経路280との間に位置決めされ得る。
【0059】
図3~4Bに示すように、減圧アセンブリ186は、限定されるものではないが、脚ボンド252に関連して上述したボンディング手段のいずれかを含み得るアセンブリボンド282によって、点滴注入アセンブリ182に結合され得る。それゆえ、アセンブリボンド282は、第1のフィルム層212、第2のフィルム層214、第1の封入層246、および第2の封入層248を連結し得る。
【0060】
分配マニホールド108は、減圧アセンブリ186の減圧ハブ234に隣接して、およびドレッシングシール部材106と減圧アセンブリ186の脚部材232との間に位置決めされるように適合され得る。分配マニホールド108は、脚部材232に減圧を分配するように適合され得る。いくつかの実施形態では、分配マニホールド108は、減圧ハブ234を経て脚部材232に減圧を分配するように適合され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、分配マニホールド108を貫通して配置された分配マニホールド開口部174は、点滴注入アセンブリ182の流体ハブ206を受け入れ得る。流体ハブ206の高さ部分は、分配マニホールド開口部174を通って延在するようなサイズにされ得るかまたは他の方法でそのように適合され得る。
【0062】
流体供給ルーメン110は、点滴注入アセンブリ182と流体連通して位置決めするためのものとし得る。例えば、流体供給ルーメン110は、ドレッシングシール部材106上にあるとし得るかまたはドレッシングシール部材を貫通して延在し得る、
図1に示す流体供給接続部284において、流体ハブ206と流体連通して結合されるように適合され得る。
【0063】
減圧ルーメン112は、減圧アセンブリ186と流体連通して位置決めされるようにし得る。例えば、減圧ルーメン112は、
図1に示すように、ドレッシングシール部材106上にあるとし得るかまたはドレッシングシール部材を貫通して延在し得る減圧接続部286において、減圧ハブ234と流体連通して結合されるように適合され得る。いくつかの実施形態では、減圧ルーメン112は、分配マニホールド108によって減圧ハブ234と流体連通して結合されるように適合され得る。減圧ルーメン112は、減圧接続部286と、流体供給ルーメン110の全長部分から流体的に隔離されている減圧源136との間に、長尺部を有し得る。流体供給ルーメン110の長尺部は、流体供給接続部284と流体点滴注入リザーバ142との間とし得る。さらに、減圧ルーメン112および減圧接続部286は、流体供給ルーメン110および流体供給接続部284から流体的に隔離され得る。
【0064】
図1~2を参照して説明すると、導管インターフェース290が、減圧接続部286および流体供給接続部284を提供し得る。導管インターフェース290は、任意の好適な方法で、減圧ルーメン112および流体供給ルーメン110を、ドレッシングシール部材106を貫通させてドレッシング114に流体的に接続するようなサイズ、形状にされ得るか、またはそうでなければ、そのように適合され得る。例えば、1つ以上のシール部材アパーチャ292は、ドレッシングシール部材106を貫通して配置されて、分配マニホールド108、ドレッシング114、および密閉空間166内に位置決めされた他の構成要素への流体連通およびアクセスをもたらし得る。シール部材アパーチャ292は、限定されるものではないが、分配マニホールド108およびドレッシング114との、流体供給ルーメン110、減圧ルーメン112、および導管インターフェース290の流体接続を容易にし得る。さらに、減圧接続部286を流体供給接続部284から流体的に隔離する必要があるので、ドレッシングシール部材106の、シール部材アパーチャ292に近接する複数の部分は、例えば、インターフェース接着剤172などの接着剤によって、分配マニホールド108およびドレッシング114に結合され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、導管インターフェース290は、減圧ルーメン112および流体供給ルーメン110の一部として形成または成形され得る。他の実施形態では、減圧ルーメン112および流体供給ルーメン110は、例えば、締まり嵌めによって導管インターフェース290にボンディングまたは固定され得る。導管インターフェース290の一部分、例えばフランジ294は、ドレッシングシール部材106に結合されて、導管インターフェース290を、ドレッシングシール部材106を通ってドレッシング114と流体連通させて位置決めし得る。導管インターフェース290は、例えば、接着剤または他のボンディング手段などによる任意の好適な方法で、ドレッシングシール部材106に結合され得る。いくつかの実施形態では、導管インターフェース290をドレッシングシール部材106に結合するための接着剤は、上述のドレッシングシール部材106に使用されるインターフェース接着剤172とし得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、
図1~2に示すように、導管インターフェース290は、マルチポートインターフェース290aとし、減圧接続部286および流体供給接続部284の双方を、マルチポートインターフェース290a内の個別の流体的に隔離されたポートとして提供し得る。そのような実施形態では、マルチポートインターフェース290a内の隔壁296は、インターフェース接着剤172などの接着剤によって、流体ハブ206および/または第2のフィルム層214に結合され、流体供給接続部284を減圧接続部286から流体的に隔離し得る。流体供給接続部284から減圧接続部286を流体的に隔離する他の構成が可能である。
【0067】
他の実施形態では、
図6に示すように、導管インターフェース290は、減圧接続部286または流体供給接続部284のいずれかを提供し得る単一ポートインターフェース290bとし得る。それゆえ、第1の単一ポートインターフェース290bは流体供給接続部284を提供し、および第2の単一ポートインターフェース290bは減圧接続部286を提供し得る。他の実施形態では、流体供給ルーメン110は、流体ハブ206に直接、流体的に結合され、および減圧ルーメン112は、導管インターフェース290を用いずに、ドレッシングシール部材106を貫通して分配マニホールド108に直接、流体的に結合され得る。
【0068】
図1~4Bを全体的に参照して説明すると、治療システム102の動作のいくつかの説明に役立つ実施形態では、ドレッシング114は、組織部位116に適合するサイズにされ、かつ腹腔124などの組織部位116にまたはその内部に配置され得る。ドレッシング114のサイジングが必要な場合、ドレッシング114の余分な部分が、例えば、所望のサイズの可視的な目印276に近接してドレッシング114を切断するかまたは引き裂くことによって、除去され得る。いくつかの実施形態では、ドレッシング114は、所望のサイズの可視的な目印276から外側にある(outboard)脚モジュール270で切断され得るかまたは引き裂かれ得る。ドレッシング114に取り付けられたままの脚モジュール270の切断されたまたは引き裂かれた部分は、脚マニホールド238の一部分および脚封入材240の一部分を含み得る。脚マニホールド238の残りの部分は、隣接するまたは内側にある(inbound)操作ゾーン272においてドレッシング114から分離され、かつ脚封入材240の領域内から除去され得る。このようにして、脚封入材240の一部分は、脚マニホールド238と組織部位116との間の接触を防止するために脚マニホールド238の縁を越えて延在するドレッシング114に取り付けられたままとなり得る。
【0069】
ドレッシング114は、腹腔内容物126と接触して位置決めされ得、および脚部材232は、第1の結腸傍溝128および第2の結腸傍溝130内にまたはそれに近接して位置決めされ得る。展開時、ドレッシング114は、全ての露出した内臓を覆い、かつ内臓を、腹腔126の壁との接触から分離し得る。ドレッシング114は、そのような被覆を可能にするサイズおよび形状にされ得る。
【0070】
ドレッシング114を組織部位116に配置するとき、点滴注入アセンブリ182は、組織部位116に対面して、および組織部位116と減圧アセンブリ186との間に位置決めされ得る。分配マニホールド108は、組織部位116において、ドレッシング114に隣接してまたはそれと接触して位置決めされ得る。例えば、分配マニホールド108は、ドレッシング114の減圧ハブ234に隣接してまたはそれと接触して位置決めされ得る。さらに、分配マニホールド開口部174は、点滴注入アセンブリ182の流体ハブ206に係合するかまたはそれを受け入れるように位置決めされ得る。流体ハブ206の高さ部分は、分配マニホールド108の厚さ部分を貫通して延在し、限定されるものではないが、ドレッシングシール部材106、導管インターフェース290、または流体供給ルーメン110に接触して、上述の流体供給接続部284を作製し得る。
【0071】
分配マニホールド108およびドレッシング114は、組織部位116においてドレッシングシール部材106で覆われて、分配マニホールド108を備える密閉空間166をもたらし、および密閉空間166内にドレッシング114を位置決めし得る。ドレッシングシール部材106は、組織部位116の周りに位置決めされて、上述のようなインターフェース接着剤172を用いて、流体的に密封され得る。シール部材アパーチャ292は、ドレッシングシール部材106上に既に設けられていない場合には、切り込んで形成され得るか、またはそうでなければ、必要に応じてドレッシングシール部材106を貫通して配置され得る。減圧接続部286および流体供給接続部284は、例えば、導管インターフェース290によって、または減圧ルーメン112を分配マニホールド108に、および流体供給ルーメン110を点滴注入アセンブリ182に直接結合することによって、作製され得る。
【0072】
減圧源136の作動によって、減圧ルーメン112および分配マニホールド108を経て減圧アセンブリ186に減圧をもたらし得る。点滴注入流体リザーバ142は、例えば、陽圧源140を作動させるかまたは点滴注入流体に影響を与える重力の作用によって、流体供給ルーメン110を経て点滴注入アセンブリ182に点滴注入流体をもたらし得る。減圧および点滴注入流体は、ドレッシング114に一斉に、同時に、または周期的に、時間的に交互にもたらされ得る。さらに、減圧および点滴注入流体は、ドレッシング114に間欠的にまたは連続的に適用され得る。
【0073】
減圧源136が作動されると、分配マニホールド108は、減圧を減圧ハブ234に、および減圧ハブ234を経て減圧経路280の脚部材232に、分配し得る。
図1に、抜き出し矢印190によって示すように、組織部位116からの流体は、点滴注入アセンブリ182内のフィルム開窓218および減圧アセンブリ186内の脚開窓258を通って引き出されるかまたは抜き出されて、脚部材232に入り得る。脚部材232内の流体は、脚部材232を通って減圧ハブ234および分配マニホールド108まで連通され、そこで、流体は、減圧ルーメン112およびキャニスター138に引き込まれ得る。
【0074】
陽圧源が作動されるとき、または点滴注入流体が他の方法でドレッシング114に送給されるとき、
図1の送給矢印188によって示すように、点滴注入流体は、流体ハブポート220を通って点滴注入流体流路222の流体ハブ206内へと通過し得る。点滴注入流体は、流体ハブ206から、流体分配ルーメン202、および流体分配ルーメン202内の送給アパーチャ216を通って、組織部位116へ連通され得る。流体点滴注入経路222の構成および上述のような関連の背圧は、実質的に均一な組織部位116への点滴注入流体の送給を容易にし得る。
【0075】
流体点滴注入経路222を通って組織部位116に点滴注入されるかまたは送給される流体は、組織部位116に到達するまでまたはそれと直接接触するまで、減圧経路280から物理的におよび流体的に分離されたままとし得る。ひとたび組織部位116に送給されたら、点滴注入流体は、例えば、先に点滴注入された流体、創傷液、組織流体、および廃液とみなされ得る他の流体と混ぜ合わされ得る。減圧がドレッシング114に適用されると、組織部位116からの組織液または創傷液、および組織部位116に先に送給された任意の点滴注入流体は、別個の減圧経路280を経て抜き出され得る。減圧経路280を経て組織部位116から抜き出される流体は、点滴注入流体流路222から物理的および流体的に分離されたままとし得る。減圧経路280と流体点滴注入経路222との間のそのような分離は、例えば、脚部材232、減圧ハブ234、および分配マニホールド108内に留まり得る流体が、組織部位116から抜き出された後または抜き出されている最中、流体点滴注入の期間中に、組織部位116に強制的に戻されないようにし得る。
【0076】
さらに、流体点滴注入経路222からの減圧経路280の分離は、点滴注入流体の有効利用を促進し得る。例えば、上述の通り、分配マニホールド108、減圧ハブ234、および脚マニホールド238は、多孔質の流体透過性材料、例えば発泡体を含み得る。この流体透過性材料は、組織部位116から流体を抜き出すために減圧下にある間、開放したまままたは流体透過性のままとし得る流体流通路を含み得る。さらに、組織部位116から抜き出された流体は、減圧ルーメン112に引き入れられる前、ドレッシング114の減圧アセンブリ186内に貯留され得る。減圧下にある間に流体貯留および透過性をもたらす能力は、分配マニホールド108および減圧アセンブリ186が、陽圧下にあるとし得る流体点滴注入経路222と比較して、より高い容積または流体貯留能力を有することを必要とし得る。別個の流体点滴注入経路222を経て組織部位116に点滴注入されるまたは送給される流体は、治療システム102の複数の部分、例えばより高い容積とし得る分配マニホールド108および減圧アセンブリ186を通過する必要がないかもしれない。そのような構成は、点滴注入流体の分配および有効利用を向上させ得る。
【0077】
全体的に
図1~4Bを引き続き参照して、さらに、組織部位に流体点滴注入および減圧治療をもたらす方法について説明する。いくつかの実施形態では、組織部位に流体点滴注入および減圧治療をもたらす方法は、組織部位116に隣接してドレッシング114を位置決めすることを含み得る。ドレッシング114は、流体点滴注入経路222と、流体点滴注入経路222から分離された減圧経路280とを含み得る。方法は、さらに、流体点滴注入経路222と流体連通させて流体点滴注入リザーバ142を結合すること、および減圧経路280と流体連通させて減圧源136を結合することを含み得る。減圧経路280との減圧源136の結合は、流体点滴注入経路222との流体点滴注入源142の結合から分離され得る。方法は、さらに、流体点滴注入リザーバ142から流体点滴注入経路222を通って組織部位116へ点滴注入流体を供給することを含み得る。さらに、方法は、減圧源136からの減圧を、減圧経路280を通して組織部位116へもたらし、および減圧経路280を通って組織部位116から流体を抜き出すことを含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、組織部位116は腹腔124とし、および組織部位116に隣接してドレッシング114を位置決めすることは、ドレッシング114の少なくとも一部分を、腹腔124の結腸傍溝、例えば第1および/または第2の結腸傍溝128、130に近接して配置することを含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、ドレッシング114に近接して分配マニホールド108を配置することを含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、方法は、ドレッシングシール部材106によってドレッシング114を覆って、ドレッシングシール部材106と組織部位116との間に密閉空間166をもたらすことを含み得る。分配マニホールド108は、密閉空間166内に位置決めされ得る。減圧源136から減圧経路280を通って組織部位116へと減圧をもたらすことは、分配マニホールド108を通って減圧経路280に減圧を分配することを含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法は、組織部位116に配置するためにドレッシング114をサイジングすることを含み得る。ドレッシング114のサイジングは、所望のサイズの可視的な目印276に近接してドレッシング114を切断するかまたは引き裂くことを含み得る。
【0081】
図3~5を参照して説明すると、さらに、組織部位を治療するための治療システムの製造方法が説明される。いくつかの実施形態では、組織部位116を治療するための治療システム102の製造方法は、第1のフィルム層212と第2のフィルム層214との間に複数の流体分配ルーメン202を画成し、および流体分配ルーメン202のそれぞれに送給アパーチャ216を配置することを含み得る。流体分配ルーメン202のそれぞれの送給アパーチャ216は、この送給アパーチャ216が配置された流体分配ルーメン202と流体連通し得る。方法は、さらに、流体分配ルーメン202と流体連通させて流体ハブ206を位置決めし、複数の脚部材232を形成し、および減圧ハブ234と流体連通させて脚部材232を位置決めすることを含み得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1のフィルム層212と第2のフィルム層214との間に複数の流体分配ルーメン202を画成することは、流体分配ルーメン202のそれぞれの対向側面210および長尺部に沿って第1のフィルム層212を第2のフィルム層214に結合することを含み得る。第1のフィルム層212は、組織部位116に対面するように適合され得る。いくつかの実施形態では、流体分配ルーメン202のそれぞれに配置された送給アパーチャ216は、複数の送給アパーチャ216とし得る。それゆえ、方法は、さらに、流体分配ルーメン202のそれぞれに複数の送給アパーチャ216を配置することを含み得る。送給アパーチャ216のうちの少なくとも1つは、第1のフィルム層212を貫通して流体分配ルーメン202のそれぞれに配置され得る。いくつかの実施形態では、送給アパーチャ216は、数およびサイズが等しいとし、および流体分配ルーメン202のそれぞれは、実質的に同じ寸法を有し得る。さらに、流体分配ルーメン202は、流体ハブ206の周囲におよびその周りで実質的に対称的に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、流体分配ルーメン202と流体連通させて流体ハブ206を位置決めすることは、流体分配ルーメン202を画成するかまたは第1のフィルム層212を第2のフィルム層214に結合する前に、第1のフィルム層212と第2のフィルム層214との間に流体ハブ206を位置決めすることを含み得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、脚部材232のそれぞれに関し、複数の脚部材232を形成することは、脚封入材240内に脚マニホールド238を封入し、および脚封入材240を経て、脚マニホールド238と流体連通する、複数の脚開窓258を配置することを含み得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、脚封入材240は、第1の封入層246および第2の封入層248を含み、および方法は、さらに、第1の封入層246と第2の封入層248との間に脚マニホールド238を位置決めし、および脚マニホールド238の周りで第1の封入層246を第2の封入層248に結合することを含み得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、中心開口部236に減圧ハブ234を通して配置することを含み得る。中心開口部236は、流体ハブ206を受け入れるようなサイズにされ得る。さらに、方法は、中心開口部236内に流体ハブ206を位置決めすることを含み得る。流体ハブ206は、中心開口部236を通って延在するように構成された高さ部分を有し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のフィルム層212と複数の脚部材232との間に第2のフィルム層214を位置決めすることを含み得る。流体分配ルーメン202は、組織部位116と複数の脚部材232との間に位置決めされるように適合され得る。
【0087】
方法は、さらに、アセンブリボンド282によって、第1のフィルム層212、第2のフィルム層214、第1の封入層246、および第2の封入層248を連結することを含み得る。いくつかの実施形態では、第2のフィルム層214に第1のフィルム層212を結合し、かつ複数の脚部材232を形成することは、第1のフィルム層212、第2のフィルム層214、第1の封入層248、および第2の封入層248を連結する前に、行われ得る。
【0088】
図7A~7Bを参照して説明すると、治療システム102と一緒に使用するのが好適なドレッシング714の別の説明に役立つ実施形態が提供される。ドレッシング714は、ドレッシング114と同様の構造および動作を有する同様の構成要素を含み得るため、
図7A~7Bに現れる同じ要素の符号は、ドレッシング114の同じ構成要素を指し得る。
【0089】
ドレッシング114と比較すると、ドレッシング714は、第1の封入層246を省略し得る。さらに、ドレッシング714は第1のフィルム層712を含み、この第1のフィルム層は、第2のフィルム層214よりもサイズが小さく、およびドレッシング114に関連して説明したフィルム開窓218が無くてもよい。例えば、第1のフィルム層712は、限定されるものではないが、第2のフィルム層214よりも小さな直径、外周、または周囲を有して、第2のフィルム層214の周辺が、第1のフィルム層712の周辺を越えて延在するように適合され得る。そのような構成では、本明細書で説明するように第1のフィルム層712が第2のフィルム層214に対して結合または位置決めされるとき、フィルム開窓218および第2のフィルム層214は、組織部位116と直接流体連通または接触して位置決めされ得る。第1のフィルム層212と同様に、第1のフィルム層712は、組織部位116に対面するように適合され、および第1のフィルム層212に関して上述したようなものと同様の材料を含み得る。
【0090】
さらに、ドレッシング714は、複数の流体分配ルーメン702および複数の送給アパーチャ716を含み得る。流体分配ルーメン702は、上述の流体分配ルーメン202とは異なり、対向側面710を備える、直線的な長手方向形状を有し得る。第1のフィルム層712は、対向側面710で第2のフィルム層214に封止結合されて、流体分配ルーメン202と類似する流体分配ルーメン702を形成し得る。同様に、送給アパーチャ716は、送給アパーチャ216の位置決めとは異なる、共通の長手方向軸に沿って位置決めされ得る。しかしながら、そうでなければ、流体分配ルーメン702および送給アパーチャ716の動作は、それぞれ流体分配ルーメン202および送給アパーチャ216と類似し得る。
【0091】
引き続き
図7A~7Bを参照して説明すると、同様に、組織部位116の治療において治療システム102と一緒に使用するためのドレッシング714を製造する方法の別の説明に役立つ実施形態が提供されている。いくつかの実施形態では、脚封入材240は、第2のフィルム層214および第2の封入層248を含み得、および方法は、第2のフィルム層214と第2の封入層248との間に脚マニホールド238を位置決めし、および脚マニホールド238の周りで第2の封入層248に第2のフィルム層214を結合することを含み得る。脚ボンド252は、分配ルーメン702を横切ることなく、第2のフィルム層214を第2の封入層248に結合し得る。いくつかの実施形態では、脚マニホールド238の周りで第2のフィルム層214を第2の封入層248に結合する前に、第1のフィルム層712は第2のフィルム層214に結合されて、複数の流体分配ルーメン702を画成し得る。
【0092】
図8A~8Bを参照して説明すると、治療システム102と一緒に使用するのに好適なドレッシング814の別の説明に役立つ実施形態が提供される。ドレッシング814は、ドレッシング114と同様の構造および動作を有する同様の構成要素を含み得るため、
図8A~8Bに現れる同じ要素の符号は、ドレッシング114の同じ構成要素を指し得る。
【0093】
ドレッシング114と比較すると、ドレッシング814は、第1の封入層246および第2の封入層248を省略し得る。さらに、ドレッシング814は、それぞれドレッシング114の脚部材232および減圧ハブ234と動作が類似し得る複数の脚部材832および減圧ハブ834を含み得る。しかしながら、図示の通り、脚部材832は、連結されたりまたは連続的な材料片から形成されたりすることなく、減圧ハブ834に集められ得るか、または減圧ハブの方に向けられ得る。脚部材832のそれぞれは、脚マニホールド838および脚封入材240を含み得る。脚マニホールド838は、脚マニホールド238に関して上述した材料のいずれかから構成され得る。脚部材832は、減圧ハブ834において結合されるのではなく、そこに集められ得るが、ドレッシング814が、ドレッシング114と類似の方法で、分配マニホールド108と一緒に組織部位116に位置決めされるとき、分配マニホールド108は、脚部材832間の流体連通をもたらすかまたは高めるために、減圧ハブ834において脚部材832に重なり得る。
【0094】
引き続き
図8A~8Bを参照して説明すると、組織部位116を治療する際に治療システム102と一緒に使用するためのドレッシング814の製造方法の別の説明に役立つ実施形態も提供されている。いくつかの実施形態では、脚封入材240は、第1のフィルム層212および第2のフィルム層214とし、および方法は、第1のフィルム層212と第2のフィルム層214との間に脚マニホールド838を位置決めし、および脚マニホールド838の周りで第1のフィルム層212を第2のフィルム層214に結合することを含み得る。脚ボンド252は、分配ルーメン202を横切ることなく、第1のフィルム層212を第2のフィルム層214に結合し得る。
【0095】
本明細書は、いくつかの説明に役立つ非限定的な実施形態に文脈で利点を開示したが、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、様々な変更、代替、置換、および修正をなし得る。さらに、いずれか一つの実施形態に関連して説明された任意の特徴はまた、任意の他の実施形態にも適用可能とし得る。