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特許7026709クランプ可能な送出プランジャを有する骨セメントアプリケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】クランプ可能な送出プランジャを有する骨セメントアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
A61B17/88
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020014198
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2020131024
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-03-23
(31)【優先権主張番号】10 2019 104 020.5
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510340506
【氏名又は名称】ヘレウス メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】フォクト セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ トーマス
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-185235(JP,A)
【文献】特開2016-028681(JP,A)
【文献】特開2017-164494(JP,A)
【文献】特開2014-121520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0291153(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015854(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259233(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0126320(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/88
A61B 17/56
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメント、特にポリメタクリル酸メチル骨セメントを提供するための骨セメントアプリケータであって、前記骨セメントアプリケータが
円筒状内部(2、52、102、152)を有するカートリッジ(1、51、101、151)と、
前記骨セメントを放出するための送出開口部(5)を有するカートリッジヘッド(4)であって、前記カートリッジヘッド(4)は前記送出開口部(5)を除いて前記カートリッジ(1、51、101、151)の前側で前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)を閉鎖する、カートリッジヘッド(4)と、
前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)に移動可能に配置され、前記円筒状内部(2、52、102、152)に案内される混合ロッド(7、57、157)とともに前記円筒状内部(2、52、102、152)で移動可能である混合部材(6)と、
前記カートリッジ(1、51、101、151)内に配置され、前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)の前記送出開口部(5)の方向に押圧可能に取り付けられた送出プランジャ(3、53、103、153)であって、前記送出プランジャ(3、53、103、153)は円筒状外周面(44、94、144、194)を有し、前記送出プランジャ(3、53、103、153)はその円筒状外周面(44、94、144、194)が前記カートリッジ(1、51、101、151)の内壁に当接して少なくとも所定の位置で支えられ、前記内壁は前記円筒状内部(2、52、102、152)を画定する、送出プランジャ(3、53、103、153)と、
前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記内壁上の前記円筒状内部(2、52、102、152)で、前記カートリッジ(1、51、101、151)の前側とは反対の後側の領域に配置される少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)であって、前記内壁は前記円筒状内部(2、52、102、152)を画定し、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)は前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記内壁から前記円筒状内部の方向に突出し、前記送出プランジャ(3、53、103、153)の前記円筒状外周面(44、94、144、194)は、少なくとも所定の位置において、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)によって前記円筒状内部(2、52、102、152)の中心円筒軸の方向に弾性変形可能であり、前記送出プランジャ(3、53、103、153)は、前記カートリッジ(1、51、101、151)の後側で前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)を用いて所定の位置にクランプ可能である、少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)を有する、骨セメントアプリケータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)が、前記カートリッジ(1、51、101、151)との一部分として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項3】
前記送出開口部(5)が、解放可能なクロージャによって前記カートリッジヘッド(4)内で閉鎖され、または閉鎖可能であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項4】
前記送出開口部(5)を閉鎖するために、ねじ山(26)が、前記カートリッジヘッド(4)上に配置され、その中またはその上で、前記ねじ山(26)に適合する嵌合ねじ山で前記クロージャがねじ込まれるか、またはねじ込み可能であることを特徴とする、請求項3に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項5】
前記送出プランジャ(3、53、103、153)の外径が、前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)の内径と同じサイズであるか、またはそれよりも小さいことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項6】
少なくとも1つの円周方向シール(12、62、112、162)および/または円周方向ワイパーリップ(42、92、142、192)が、前記送出プランジャ(3、53、103、153)の外周上に配置されることを特徴とする、請求項5に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項7】
前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)の内径が、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)の領域において、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)によって小さくなることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項8】
前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)の前記内径は、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)によって小さくなった内径よりも大きい外径を前記送出プランジャ(3、53、103、153)が有する程度に小さくなることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)が、円周方向の閉じたビードもしくは円周ビードのポーション、または軸方向に間隔を空けた少なくとも2つの円周方向の閉じたビード、もしくは軸方向に間隔を空けた円周ビードの少なくとも2つのポーションであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)が、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)の前側の面取り部であって、前記前側が前記カートリッジ(1、51、101、151)の前側に面する、面取り部と、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)の後側の面取り部であって、前記後側が前記カートリッジ(1、51、101、151)の後側に面する、面取り部とを有し、前記面取り部が前記カートリッジ(1、51、101、151)の円筒軸に垂直な領域に沿って配置されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項11】
2つ以上のクランプ要素(158)が前記円筒状内部の前記内壁(2、52、102、152)に、前記円筒状内部(2、52、102、152)の円筒軸に対してして軸方向に離間して配置されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項12】
前記送出プランジャ(3、53、103、153)の外壁であって、前記円筒状内部(2、52、102、152)の前記内壁に面する外壁が、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)の軸方向範囲と少なくとも同じサイズの軸方向範囲を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項13】
前記送出プランジャの外壁(3、53、103、153)であって、前記円筒状内部(2、52、102、152)の前記内壁に面する外壁が、閉じた中空円筒として形成されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)によって所定の位置にクランプされた前記送出プランジャ(3、53、103、153)が、前記カートリッジ(1、51、101、151)の円筒軸に沿って方向付けられた力の作用によって解放可能であり、前記カートリッジ(1、51、101、151)の前側の方向に押圧可能であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項15】
前記送出プランジャ(3、53、103、153)の前記円筒状外周面(44、94、144、194)が熱可塑性材料からなることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項16】
前記熱可塑性材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも1つのプラスチック材料から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項17】
前記骨セメントアプリケータが、前記送出プランジャ(3、153)に接続可能なシールプランジャ(9、159)を有し、前記送出プランジャ(3、153)が、前記円筒状外周面(44、194)と、ガスは透過するがセメント粉末は透過しないフィルタを有する通路とを備え、前記送出プランジャ(3、153)内の前記通路が、前記シールプランジャ(9、159)によって、不透過的に閉鎖可能であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項18】
前記送出プランジャ(3、153)内の前記通路が、前記シールプランジャ(9、159)を前記送出プランジャ(3、153)の開口部に挿入することによって、不透過的に閉鎖可能であり、前記開口部が、前記カートリッジ(1、151)の後側の方向に開かれ、前記通路が前記送出プランジャ(3、153)の前記開口部内に配置されることを特徴とする、請求項17に記載の骨セメントアプリケータ。
【請求項19】
骨セメントを製造するための方法であって、骨セメントペーストは、セメント粉末およびモノマー液体から、請求項1~13のいずれか一項に記載の骨セメントアプリケータを用いて製造され、前記方法は、以下の一連のステップ、
A)前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)に前記セメント粉末および前記モノマー液体を導入するステップ、または前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)の前記セメント粉末に前記モノマー液体を導入するステップと、
B)前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)に前記送出プランジャ(3、53、103、153)を押し込むことによって前記カートリッジ(1、51、101、151)を閉じるステップと、
C)前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)を用いて、前記カートリッジ(1、51、101、151)の後側の所定の位置に前記送出プランジャ(3、53、103、153)をクランプするステップと、
D)前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)で前記混合部材(6)を移動させて、前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)で前記骨セメントを混合するステップと、
E)前記カートリッジ(1、51、101、151)の前側の方向に前記送出プランジャ(3、53、103、153)を押圧するステップであって、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、158)のクランプ効果を解放する、ステップと、
F)前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)で前記送出プランジャ(3、53、103、153)を前記カートリッジヘッド(4)の方向に前進させることによって、前記骨セメントを、前記送出開口部(5)を通して前記カートリッジ(1、51、101、151)から排出するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項20】
前記セメント粉末は、前記モノマー液体より前に前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)に導入されること、または前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)に既に存在することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップC)において、前記送出プランジャ(3、53、103、153)を所定の位置にクランプする際に、前記送出プランジャ(3、53、103、153)が前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)の円筒軸方向に弾性変形されることを特徴とする、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記送出プランジャ(3、53、103、153)の後側の管状延長部は、その外側が前記送出プランジャ(3、53、103、153)の前記円筒状外周面(44、94、144、194)によって少なくとも所定の位置に画定され、前記少なくとも1つのクランプ要素(8、58、108、108、158)によって前記カートリッジ(1、51、101、151)の前記円筒状内部(2、52、102、152)の前記円筒軸方向に押圧されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップDにおいて、前記混合部材(6)は、前記混合ロッド(7、57、157)とともに移動し、次いで、混合ロッド(7、57、157)を、前記送出プランジャ(3、53、103、153)の前側であって、前記カートリッジ(1、51、101、151)の前側に面する前側に対して引き寄せられ、次いで、前記混合ロッド(7、57、157)を破断することを特徴とする、請求項1922のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記送出開口部(5)は、ステップE)またはF)の前に閉じられ、開かれることを特徴とする、請求項1923のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記骨セメントは、ペースト状ポリメタクリル酸メチル骨セメントである、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー液体と骨セメントペーストの母材成分としてのセメント粉末とから骨セメントを製造し、混合骨セメントペーストを送出するための骨セメントアプリケータに関する。
【0002】
本発明は、また、このような骨セメントアプリケータを使用して、骨セメントペースト、特にペースト状ポリメタクリル酸メチル骨セメントペーストを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)骨セメントは、Sir Charnley(非特許文献1)の基本的な業績に遡る。従来のポリメタクリル酸メチル骨セメント(PMMA骨セメント)は、粉末成分および液体モノマー成分から構成される(非特許文献2)。モノマー成分は、一般に、モノマーメタクリル酸メチルと、その中に溶解した活性化剤(N,N-ジメチル-p-トルイジン)を含む。セメント粉末または骨セメント粉末とも呼ばれる粉末成分は、重合、好ましくは懸濁重合、放射線不透過性を介して、メタクリル酸メチルおよびコモノマー、例えば、スチレン、アクリル酸メチルまたは類似のモノマーをベースとして生成される1つ以上のポリマー、放射線不透過性物質および開始剤ジベンゾイルペルオキシドを有する。粉末成分をモノマー成分と混合すると、可塑的に変形可能なペースト、実際の骨セメントまたは骨セメントペーストが、メタクリル酸メチル中の粉末成分のポリマーの膨張の結果として生成される。粉末成分をモノマー成分と混合すると、活性化剤N,N-ジメチル-p-トルイジンは過酸化ジベンゾイルと反応してラジカルを形成する。形成されたラジカルは、メタクリル酸メチルのラジカル重合を開始する。メタクリル酸メチルの重合が進行するにつれて、骨セメントペーストの粘度は、それが固化するまで増加する。
【0004】
PMMA骨セメントは、セメント粉末をモノマー液体と混合することによって、ヘラを使用して適切な混合ボウル内で混合され得る。この結果、気泡が骨セメントペースト中に混入し、硬化した骨セメントの機械的特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0005】
骨セメントペースト中に空気が混入するのを防止するために、複数の真空セメントシステムが記載されており、その例として、特許文献1~14が挙げられる。
【0006】
セメント技術のさらなる発展は、セメント粉末およびモノマー液体の両方が混合装置の別々の区画に既にパックされているが、セメント施工の直前までセメントシステムにおいて互いに混合されないセメントシステムによって代表される。このような閉じた完全に事前にパックされた混合システムは、特許文献15~27によって提案されている。
【0007】
特許文献16は、完全に事前にパックされた混合システムとしての貯蔵および混合装置を開示しており、この装置において、骨セメントペーストを製造するために必要とされる母材成分は、既に貯蔵および混合装置に貯蔵され、貯蔵および混合装置において組み合わされ、混合され得る。貯蔵および混合装置は、セメントカートリッジを閉じるための二部分からなる送出プランジャを有する。この場合、ガス透過性滅菌プランジャとガス不透過性シールプランジャとの組み合わせが使用される。
【0008】
ポリメタクリル酸メチル骨セメントは、セメント粉末が液体モノマー成分と混合されると、骨セメントペーストとしてまだ硬化していないペースト状の状態で適用される。混合装置を使用するとき、粉末/液体セメントの場合の骨セメントペーストは、カートリッジ内に配置される。このような従来のPMMA骨セメントの製造中に、一旦2つの母材成分が混合されると、形成された骨セメントペーストは、手動で操作可能な排出装置を用いて排出される。骨セメントペーストは、送出プランジャの移動によってカートリッジから押し出される。
【0009】
これらの単純な機械的排出装置は、特に、排出のために手動で操作されるロッカーアームによって駆動されるクランプロッドを使用する。手動で操作される排出装置は、数十年にわたって世界中で試みられ、試験されており、現在の技術水準を構成している。
【0010】
単純な真空混合システムでは、混合部材による混合中に送出プランジャが引き抜かれるのを防止するために、送出プランジャを混合プロセス中にカートリッジ内にロックしなければならない。さらに、送出プランジャは、加えられた真空が送出プランジャをカートリッジの内部に吸引しないように、カートリッジ内の所定の位置に固定されるべきである。
【0011】
送出プランジャを所定の位置に固定するための連動機構がこれまで提案されてきた。
【0012】
特許文献28は、送出プランジャの舌溝ラッチングを提案している。ラッチされた送出プランジャは、送出装置から軸方向に力を加えることによって、その位置から変位する。その結果、送出プランジャは解放され、混合されたセメントペーストをカートリッジから放出することができる。さらなる舌溝接続は、特許文献29および特許文献30に開示されている。
【0013】
特許文献31には、送出プランジャのウェブに係合して送出プランジャを所定の位置に係止する、手動で取り外すためのラグが記載されている。
【0014】
特許文献32は、骨セメントのための混合システムを開示しており、このシステムにおいて、送出プランジャは、送出プランジャに対して混合ロッドが移動しないようにするため、混合ロッドを用いて所定の位置にロックされ得る。混合ロッドは、送出プランジャと同様に、カートリッジに対して移動可能であるため、送出プランジャは、混合ロッドを送出プランジャにロックすることによって、カートリッジに対してラッチすることができない。
【0015】
特許文献33には、ラッチ環が記載されており、その内側はラッチ要素を有し、その外側は嵌合ラッチ要素を有する。外側ラッチ要素は、カートリッジの溝に係合し、内側ラッチ要素は、送出プランジャの溝に係合する。送出プランジャに軸方向に力を加えると、外側または内側ラッチ要素のラッチ係合に打ち勝ち、送出プランジャをカートリッジ内で軸方向に変位させることができる。
【0016】
特許文献34は、送出装置の中空円錐形ディスクによる圧力に送出プランジャが曝されると、ラッチ係合から内側に引き出されるラッチ要素を有する送出プランジャを記載している。
【0017】
これらのシステムの欠点は、ラッチが非常に厳密に規定された範囲にわたって作用することである。したがって、システムは、送出プランジャの変位に関して許容差を有さない。ラッチ点を超えると、送出プランジャが解放される。したがって、送出プランジャの挿入時、または送出プランジャを所定の位置にラッチする際に、不注意でラッチ点を超えて、不正確な動作が生じ得る場合があり、その結果、骨セメントの混合中に送出プランジャがラッチ解除状態で移動可能となる。
【0018】
さらに、ラッチ装置のいくつかは複雑な構造である。安価であっても同時に信頼性のある解決策が依然として必要とされている。
【0019】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。特に、本発明の目的は、安価であっても信頼性のある方法で送出プランジャを所定の位置に解放可能にロックすることができる骨セメントアプリケータおよび方法を開発することである。送出プランジャの解放は、好ましくは、追加の作業ステップなしに行われるべきである。骨セメントアプリケータおよび方法は、母材成分から骨セメントペーストを混合し、混合された骨セメントペーストを送出するために提供され、適切であるべきである。衛生上の理由から、装置を1回だけ使用できるように、構造は費用対効果が高いものでなければならない。
【0020】
また、本発明の目的は、ポリメタクリル酸メチル骨セメントを混合し、送出するための骨セメントアプリケータを開発することである。開発される骨セメントアプリケータは、ポリメタクリル酸メチル骨セメント粉末とカートリッジの内部のモノマー液体との混合を可能にすべきである。
【0021】
ここで、混合は、外部から手動で作動可能で、混合部材をその上に取り付けられた混合ロッドによって達成され得る。混合ロッドは、この目的のために、送出プランジャを通って案内され得る。次に、混合プロセス中に送出プランジャがカートリッジから引き出されないように、送出プランジャをカートリッジ内の所定の位置に機械的に固定することが必要である。さらに、セメント成分を混合する間、真空の影響下で、送出プランジャがカートリッジの内部に引き込まれないことが重要である。混合後、送出プランジャは、好ましくは、排出装置の作用によって解放されるべきである。送出プランジャを有するカートリッジは、この目的のために、送出プランジャが、連動ラッチ接続なしに、所定の位置に力連動して固定されるように構成されるべきである。次いで、この力連動固定は、送出プランジャが排出装置の作用によって固定領域から押し出されると、送出プランジャが、固定部品による制動効果なしにカートリッジの内側に沿って摺動することができるように構成されなければならない。
【0022】
送出プランジャはさらに、補助手段なしでは固定領域から手動で押し出すことができないように、所定の位置に固定可能でなければならない。押し出しは、骨セメントを排出するために従来使用されている機械的な排出装置でのみ可能であるべきである。
【0023】
ここで、骨セメントアプリケータは、事前にパックされたカートリッジシステムとして、および医療オペレータによって充填される混合システムとしての両方に適しているように構成されるべきである。開発される骨セメントアプリケータが、事前にパックされた混合システムとして使用される場合、特許文献16の教示に従って、二部分からなる送出プランジャを使用することが可能であるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】米国特許第6033105号明細書
【文献】米国特許第5624184号明細書
【文献】米国特許第4671263号明細書
【文献】米国特許第4973168号明細書
【文献】米国特許第5100241号明細書
【文献】国際公開第99/67015号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第1020167号明細書
【文献】米国特許第5586821号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1016452号明細書
【文献】独国特許出願公開第3640279号明細書
【文献】国際公開第94/26403号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第1005901号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1886647号明細書
【文献】米国特許第5344232号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0692229号明細書
【文献】独国特許発明第102009031178号明細書
【文献】米国特許第5997544号明細書
【文献】米国特許第6709149号明細書
【文献】独国特許発明第69812726号明細書翻訳文
【文献】欧州特許出願公開第0796653号明細書
【文献】米国特許第5588745号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/333176号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/310974号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/289406号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/132919号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/132917号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/256233号明細書
【文献】国際公開第90/13264号パンフレット
【文献】欧州特許第0397589号明細書
【文献】独国特許出願公開第2921565号明細書
【文献】国際公開第01/85070号パンフレット
【文献】独国特許出願公開第102012024710号明細書
【文献】独国特許出願公開第102007026034号明細書
【文献】国際公開第2004/100771号パンフレット
【非特許文献】
【0025】
【文献】Charnley,J.:Anchorage of the femoral head prosthesis of the shaft of the femurar. J.Bone Joint Surg.42(1960)28~30
【文献】K.-D.Kuhn:Knochenzemente fuer die Endoprothetik:Ein aktueller Vergleich der physikalischen und chemischen Eigenschaften handelsueblicher PMMA-Zemente[人工器官用の骨セメント:市販のPMMAセメントの物理的および化学的性質の現在の比較]、Springer-Verlag Berlin Heidelberg New York,2001
【発明の概要】
【0026】
本発明の目的は、骨セメント、特にポリメタクリル酸メチル骨セメントを提供するための骨セメントアプリケータによって達成され、この骨セメントアプリケータは、
A)円筒状内部を有するカートリッジと、
B)骨セメントを放出するための送出開口部を有するカートリッジヘッドであって、カートリッジヘッドは送出開口部を除いてカートリッジの前側でカートリッジの円筒状内部を閉鎖する、カートリッジヘッドと、
C)カートリッジの円筒状内部に移動可能に配置され、内部に案内される混合ロッドとともに内部で移動可能である混合部材と、
D)カートリッジ内に配置され、カートリッジの円筒状内部の送出開口部の方向に押圧可能に取り付けられた送出プランジャであって、送出プランジャは、円筒状外周面を有し、送出プランジャは、その円筒状外周面がカートリッジの内壁に当接して少なくとも所定の位置で支えられ、前記内壁は円筒状内部を画定する、送出プランジャと、
E)カートリッジの内壁上の円筒状内部で、カートリッジの前側とは反対の後側の領域に配置される少なくとも1つのクランプ要素であって、前記内壁は円筒状内部を画定し、前記少なくとも1つのクランプ要素はカートリッジの内壁から円筒状内部の方向に突出し、送出プランジャの円筒状外周面は、少なくとも所定の位置において、少なくとも1つのクランプ要素によって円筒状内部の中心円筒軸の方向に弾性変形可能であり、送出プランジャは、カートリッジの後側の少なくとも1つのクランプ要素を用いて所定の位置にクランプ可能である、少なくとも1つのクランプ要素を有する。
【0027】
送出プランジャは、好ましくは、カートリッジの後側上の少なくとも1つのクランプ要素を用いて、所定の位置に解放可能にクランプ可能である。ここで、解放可能とは、送出プランジャに対する軸方向圧力によって、送出プランジャが、少なくとも1つのクランプ要素によって生成されるクランプ効果から押し出されることができることを意味する。軸方向圧力とは、ピストンが、円筒状内部の円筒軸に沿って、またはそれに平行に、カートリッジの前側の方向に押圧されること、または押圧可能であることを意味する。
【0028】
少なくとも1つのクランプ本体によって引き起こされる非対称性とは別に、カートリッジの円筒状内部は、円筒状幾何学的形状を有する。円筒形状は、カートリッジの内部を作り得る最も単純な形状である。円筒形状は、幾何学的には、円形の基部領域を有する円筒だけでなく、任意の所望の基部領域を有する一般的な円筒の形状を意味すると理解されるべきである。したがって、カートリッジの内部の内壁は、任意の所望の基部領域、特に異なる基部領域、すなわち、円形または非円形の基部領域を有する円筒の円筒エンベロープによって形成され得る。しかしながら、本発明によれば、回転対称で、特に円形の基部領域を有する円筒形状が、製造が最も容易であるので、内部にとって好ましい。
【0029】
混合ロッドは、好ましくは、送出プランジャを通って案内され、送出プランジャに対して軸方向に移動可能に取り付けられ、好ましくは、回転移動可能に取り付けられ得る。
【0030】
骨セメントを製造するためのセメント粉末は、好ましくは、カートリッジの円筒状内部に配置され得る。
【0031】
送出プランジャの円筒状外周面は、送出プランジャがカートリッジの内部に配置され、その円筒状外周面が少なくとも1つのクランプ要素に隣接するときに、少なくとも1つのクランプ要素によって円筒状内部の円筒軸の方向に少なくとも所定の位置で弾性変形可能である。
【0032】
本発明の好ましいさらなる展開によれば、セメント粉末は、カートリッジの円筒状内部に配置され得る。骨セメントアプリケータは、この場合、事前にパックされたシステムであり、モノマー液体のみが、混合部材を用いて、円筒状内部で骨セメントを混合するために、カートリッジの円筒状内部に添加されるべきままで留まる。
【0033】
少なくとも1つのクランプ要素は、カートリッジとの一部分として形成され得る。
【0034】
このようにして、特に簡単で構成する費用効果の高い構造が達成される。さらに、このようにして、少なくとも1つのクランプ要素がカートリッジの内壁に対して移動することができ、それにって、その機能の損傷または変更を防止することが可能である。
【0035】
少なくとも1つのクランプ要素は、好ましくは、カートリッジとの一部品または一部分として形成される。したがって、少なくとも1つのクランプ要素の位置は、明確に画定される。したがって、少なくとも1つのクランプ要素は、プラスチック射出成形プロセスにおいてカートリッジと一緒に簡単に製造され得る。
【0036】
さらに、送出開口部は、解放可能なクロージャによってカートリッジヘッド内で閉鎖され、または閉鎖可能であり、送出開口部を閉鎖するために、ねじ山が、好ましくはカートリッジヘッド上に配置され、その中またはその上で、ねじ山に適合する嵌合ねじ山でクロージャがねじ込まれるか、またはねじ込み可能であることが提供され得る。
【0037】
このようにして、骨セメントは、母材成分または骨セメントのいずれも外に出ることなく、カートリッジの円筒状内部で混合され得る。
【0038】
クロージャは、好ましくは、ガスに対して透過性であり、液体および粉末に対して不透過性である。したがって、カートリッジの内部は、クロージャを通してガス滅菌され得る。
【0039】
さらに、送出プランジャの外径は、カートリッジの円筒状内部の内径と同じサイズであるか、またはそれよりも小さく、好ましくは、少なくとも1つの円周方向シールおよび/または円周方向ワイパーリップが、好ましくは送出プランジャの外周上に配置されることが提供され得る
【0040】
これは、送出プランジャがカートリッジの内部を走行できることを保証する。円周方向シール及びワイパーリップのために、骨セメントがカートリッジの後側で送出プランジャを越えて逃げないことと、骨セメントの可能な限り最大の割合をカートリッジから排出して使用され得ることを確実にすることができる。
【0041】
カートリッジの円筒状内部の内径は、少なくとも1つのクランプ要素によって少なくとも1つのクランプ要素の領域で小さくされ、内径は、好ましくは、送出プランジャが、少なくとも1つのクランプ要素によって小さくされた内径よりも大きい外径を有する程度に小さくされることもまた、好ましくは提供され得る。
【0042】
これは、送出プランジャがカートリッジの内部の所定の位置にクランプ可能であると同時に、適切な力を加えるとカートリッジの内部を摺動することができることを保証する。
【0043】
本発明のさらなる展開において、少なくとも1つのクランプ要素は、円周方向の閉じたビードもしくは円周ビードのポーション、または軸方向に間隔を空けた少なくとも2つの円周方向の閉じたビード、もしくは軸方向に間隔を空けた円周ビードの少なくとも2つのポーションであることが提供され得る。
【0044】
ここで、ビードまたはポーションは、連続的に形成されることも、あるいは中断されることもあり得る。そのようなクランプ要素は、製造が簡単であり、送出プランジャの均一なクランプ効果をもたらす。さらに、任意の半径方向から作用するクランプ効果が生じ得るので、これによって、カートリッジの内部において送出プランジャが傾き得るのを妨げる。
【0045】
さらに、少なくとも1つのクランプ要素が、少なくとも1つのクランプ要素の前側の面取り部であって、前記前側がカートリッジの前側に面する、面取り部と、前記少なくとも1つのクランプ要素の後側の面取り部であって、前記後側がカートリッジの後側に面する、面取り部を有し、前記面取り部がカートリッジの円筒軸に垂直に配置されるよう提供され得る。
【0046】
これによって、送出プランジャが突然、過度に解放されないようになる。さらに、送出プランジャは、このようにして、より容易にクランプ位置に導かれ得、送出プランジャ自体が自動的に中心に置かれる。
【0047】
また、2つ以上のクランプ要素が、円筒状内部の内壁に、内部の円筒軸に対して軸方向に離間して配置されるように提供され得る。
【0048】
これによって、送出プランジャのより安定したクランプ効果が提供され、送出プランジャは、軸方向に間隔を空けた少なくとも2つのクランプ要素から連続してそれ自体を放出し、その結果、クランプ効果の急激な放出が低減される。さらに、クランプ作用が明らかに増大する。
【0049】
本発明の好ましいさらなる展開によれば、円筒状内部の内壁に面する送出プランジャの外壁は、少なくとも1つのクランプ要素の軸方向範囲と少なくとも同じサイズである軸方向範囲を有し、送出プランジャの外壁の軸方向範囲は、好ましくは、少なくとも1つのクランプ要素の軸方向範囲のサイズの少なくとも2倍であることが提供され得る。
【0050】
これによって、少なくとも1つのクランプ要素が送出プランジャに完全なクランプ作用を及ぼすことが確実にできるようになる。
【0051】
さらに、送出プランジャの外壁であって、円筒状内部の内壁に面する外壁が、閉じた中空円筒として形成されることが提供され得る。
【0052】
中空円筒は、全体として半径方向に弾性圧縮されてもよく、それによりクランプ作用を改善する。
【0053】
少なくとも1つのクランプ要素によって所定の位置にクランプされた送出プランジャは、カートリッジの円筒軸に沿って方向付けられた力の作用によって解放可能であり、カートリッジの前側の方向に押圧可能であることがさらに提供され得る。
【0054】
これは、骨セメントアプリケータが、さらなる力および他の力を加える必要なしに、一方向駆動で使用され得ることを確実にする。
【0055】
送出プランジャの円筒状外周面は熱可塑性材料からなり、熱可塑性樹材料は、好ましくはプラスチック材料で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも1つから選択される。
【0056】
熱可塑性材料は、製造が簡単であり、クランプ効果に必要な弾性を提供する。
【0057】
本発明によれば、骨セメントアプリケータの他の部分は、また、上述のプラスチック材料の1つ、またはこれらのプラスチック材料ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートの複数からなり得る。
【0058】
また、骨セメントアプリケータは、送出プランジャに接続可能なシールプランジャを有し、送出プランジャは、円筒状外周面と、ガスは透過するがセメント粉末は透過しない通路とを備え、送出プランジャ内の通路は、シールプランジャによって、特にシールプランジャを送出プランジャの開口部に挿入することによって、不透過的に閉鎖可能であり、前記開口部は、カートリッジの後側の方向に開かれ、通路が送出プランジャの開口部内に配置されることが提供され得る。
【0059】
これは、カートリッジの内部を、好ましくはその中のセメント粉末と一緒に、エチレンオキシドのような滅菌ガスで滅菌することができることを意味する。
【0060】
本発明の目的はまた、骨セメント、特にペースト状ポリメタクリル酸メチル骨セメントを製造する方法によっても達成され、骨セメントペーストは、セメント粉末およびモノマー液体から、本発明による骨セメントアプリケータを使用して製造され、この方法は、以下の一連のステップ、すなわち、
A)カートリッジの円筒状内部にセメント粉末およびモノマー液体を導入するステップ、またはカートリッジの円筒状内部のセメント粉末にモノマー液体を導入するステップと、
B)カートリッジの円筒状内部に送出プランジャを押し込むことによってカートリッジを閉じるステップと、
C)少なくとも1つのクランプ要素を用いて、カートリッジの後側の所定の位置に送出プランジャをクランプするステップと、
D)カートリッジの円筒状内部で混合部材を移動させて、カートリッジの円筒状内部で骨セメントを混合するステップと、
E)カートリッジの前側の方向に送出プランジャを押圧するステップであって、少なくとも1つのクランプ要素のクランプ効果を解放する、ステップと、
F)カートリッジの内部で送出プランジャをカートリッジヘッドの方向に前進させることによって、骨セメントを、送出開口部を通してカートリッジから排出するステップを含むことを特徴とする。
【0061】
この方法は、好ましくは、医療方法ではない。この方法では、特に好ましくは、ヒトまたは動物の身体との相互作用がない。骨セメントは、送出開口部から流出した後、送出開口部に固定された送出パイプを通して押圧されるか、またはセメント固定に使用される前に容器に導入される。
【0062】
本発明による方法において、セメント粉末は、モノマー液体より前にカートリッジの内部に導入されること、またはカートリッジの円筒状内部に既に存在することが提供され得る。
【0063】
これは、カートリッジの内部をより良好に利用することができ、その体積をより小さくし、骨セメントのより効率的な混合が保証されることを意味する。
【0064】
さらに、ステップC)において送出プランジャを所定の位置にクランプする際に、送出プランジャがカートリッジの円筒状内部の円筒軸の方向に弾性変形され、送出プランジャの後側の管状延長部(その外側は、送出プランジャの円筒状外周面によって少なくとも所定の位置に画定される)は、好ましくは、少なくとも1つのクランプ要素によってカートリッジの円筒状内部の円筒軸の方向に押圧されることが提供され得る。
【0065】
これは、特に効果的で、同時に容易に解放可能なクランプ効果が達成されることを意味する。
【0066】
さらに、ステップD)において、混合部材は混合ロッドとともに移動し、次に、混合ロッドとともに送出プランジャの前面であって、カートリッジの前面に面する前面に対して引き寄せられ、次に、混合ロッドを破断するようにすることが提供され得る。
【0067】
これは、混合部材および混合ロッドが、骨セメントを排出する間に干渉しないことを意味する。
【0068】
また、ステップE)の前に、骨セメントアプリケータが、軸方向に移動可能で駆動可能なラムを有する排出装置に挿入され、ステップE)およびステップF)において、送出プランジャをラムとともに前進させることが提供され得る。
【0069】
これは、送出プランジャの強力な移動が、クランプ効果を解放し、骨セメントを放出するために使用され得ることを意味する。
【0070】
さらに、ステップE)またはF)の前に、送出開口部が閉じられ、開かれるようにされ得る。
【0071】
これは、骨セメントの混合中に、骨セメントが外に出るのを防止できることを意味する。
【0072】
本発明の基礎をなすのは、簡単なクランプ要素を使用することによって、固定位置に関してある程度の自由度を有しながら、送出プランジャをカートリッジに対して確実に、それでも解放可能に所定の位置に固定することが可能であり、したがって送出プランジャは、カートリッジの内部のある経路にわたって所定の位置に固定されるという驚くべき認識である。結果として、骨セメントは、送出プランジャが解放されることなく、カートリッジの内部で混合され得る。送出プランジャは、クランプ位置を越えてカートリッジの内部に単に押圧することによって解放することができる。少なくとも1つのクランプ要素が送出プランジャに及ぼす弾性変形のために、クランプ効果を解放すると、送出プランジャの形状は、その弛緩した元の状態に戻ることができ、したがって、骨セメントを排出するために、カートリッジの内部において緊密に面一で移動することができる。したがって、骨セメントアプリケータは、安価な構造であってもよい。
【0073】
機械的排出装置によってカートリッジヘッドの方向に送出プランジャに力を軸方向に加えると、送出プランジャは、そのクランプされたシートから押し出され、カートリッジヘッドの方向に変位する。少なくとも1つのクランプ要素は、カートリッジの内側のみに取り付けられ、送出プランジャは、カートリッジの内径よりも大きい直径を有する突起を有さないので、送出プランジャは、カートリッジの少なくとも1つのクランプ要素から解放されると、クランプ構成要素が制動効果を有することなく、カートリッジヘッドの方向に変位することができる。
【0074】
本発明による骨セメントアプリケータおよび方法の利点は、原則として、送出プランジャを解放し、内容物を放出するような方法で使用される、それ自体公知の直線運動にも基づく。骨セメントアプリケータは、プラスチック材料から非常に大量に製造することができ、内部およびセメント粉末を含むすべての部品がエチレンオキシドを用いて滅菌可能であるため、衛生的な単回使用製品として使用され得る。
【0075】
ポリメタクリル酸メチル骨セメントを混合し、送出するための本発明による好ましい例示的な骨セメントアプリケータは、中空円筒カートリッジと、カートリッジヘッド内の解放可能なクロージャと、それに固定された混合部材を有する混合ロッドと、送出プランジャとから構成され得る。少なくとも1つのクランプ要素がカートリッジの内側に取り付けられ、クランプ要素の内径がカートリッジの内径よりも小さく、送出プランジャが円筒状外壁によって画定され、送出プランジャの外径がカートリッジの内径と同じサイズであるかまたはそれよりも小さく、送出プランジャの外壁部が送出プランジャの長手方向軸の方向に弾性変形可能であり、送出プランジャがカートリッジ内に配置されて、少なくとも1つのクランプ要素が送出プランジャの長手方向軸の方向に送出プランジャの外壁を弾性変形させ、送出プランジャがカートリッジとともにくさび留めされるようにすることが提供され得る。
【0076】
送出プランジャは、特許文献16の教示に従い、一部分または二部分からなる構成であってもよいが、ここでは、その基準値となる完全な教示および内容が記載されている。さらに、または代替として、混合ロッドを、カートリッジヘッドを通して案内し、弾性変形可能な外壁を有する単純なプランジャを送出プランジャとして使用することも可能であり、このプランジャは、カートリッジの少なくとも1つのクランプ要素と一緒にくさび留めすることができる。
【0077】
本発明のさらなる例示的な実施形態を、13の概略図を参照して以下に説明するが、これらは、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、所定の位置にロックされていない送出プランジャと骨セメントを混合し、送出するための、本発明による第一の例示的な骨セメントアプリケータの概略断面図を示す。
図2図2は、所定の位置にロックされた送出プランジャを有する図1による骨セメントアプリケータの概略斜視断面図を示す。
図3図3は、排出装置による排出中の図1および図2による骨セメントアプリケータの概略斜視断面図を示す。
図4図4は、図1図3による骨セメントアプリケータの概略斜視外観図を示す。
図5図5は、図4による骨セメントアプリケータの概略斜視断面図を示す。
図6図6は、図4による骨セメントアプリケータのカートリッジおよび送出プランジャを、個々の概略斜視断面図として示す。
図7図7は、ロック解除された送出プランジャの領域における図1の拡大詳細図を示す。
図8図8は、ロックされた送出プランジャの領域における図2の拡大詳細図を示す。
図9図9は、排出装置で駆動される送出プランジャの領域における図3の拡大詳細図を示す。
図10図10は、骨セメントを混合し、図8と同様のロックされた送出プランジャを用いて送出するための、本発明による第二の例示的な骨セメントアプリケータの概略断面図の一部を示す。
図11図11は、骨セメントを混合し、図8と同様のロックされた送出プランジャを用いて送出するための、本発明による第三の例示的な骨セメントアプリケータの概略断面図の一部を示す。
図12図12は、図11による第三の例示的な骨セメントアプリケータのカートリッジを、個々の概略詳細斜視断面図として示す。
図13図13は、骨セメントを混合し、図7と同様のロック解除された送出プランジャを用いて送出するための、本発明による第四の例示的な骨セメントアプリケータの概略断面図の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1図9は、本発明による第一の骨セメントアプリケータの図を示す。図1図5は、本発明による第一の例示的な骨セメントアプリケータの種々概略全体図を示す。図6は、骨セメントアプリケータの2つの部分の断面図を示し、図7図9は、図1図3の拡大詳細を、本発明による骨セメントアプリケータの領域を通る詳細図としての概略断面図の形態で示す。全ての図において、骨セメントアプリケータの前側は、骨セメントアプリケータの下部に配置され、後側は、上部に配置される。
【0080】
本発明の第一の例示的な実施形態によれば、骨セメントアプリケータは、円筒状内部2を有するプラスチック材料の管状カートリッジ1を有し得る。軸方向に移動可能に取り付けられた送出プランジャ3は、カートリッジ1の円筒状内部2に配置され得る。カートリッジの前側(図の下部)では、円筒状内部2は、カートリッジと一体構造であってもよいカートリッジヘッド4によって閉鎖され得る。あるいは、カートリッジヘッド4は、別個の部品としてカートリッジ1にねじ込まれ得る。送出開口部5は、カートリッジヘッドに配置され得、この開口部を通して、カートリッジ1の円筒状内部2に存在または混合され得る骨セメント(図示せず)が、送出プランジャ3を用いて内部2から放出され得る。送出開口部5は、閉鎖可能であることも、または閉鎖されていることもあり得る。製造される骨セメントの母材成分としてのセメント粉末(図示せず)は、カートリッジ1の円筒状内部2に配置され得る。内部で骨セメントを混合するために、第二の母材成分としてモノマー液体(図示せず)を円筒状内部2内のセメント粉末に添加することができる。
【0081】
混合部材6は、内部2の内容物を互いに混合するために、円筒状内部2内に移動可能に配置され得る。混合部材6は、円筒状内部2内の混合ロッド7とともに軸方向に移動し、混合ロッド7の軸の周りを回転し得る。混合ロッド7は、送出プランジャ3内のリードスルーを通ってカートリッジ1の内部2内に案内され得る。あるいは、混合ロッド7は、カートリッジヘッドを通って案内され得る(図11および図12による第三の例示的な実施形態を参照)。
【0082】
送出プランジャ3を所定の位置にクランプするためのクランプ要素8としての2つの突出する円周レールは、カートリッジ1の後端の領域(図の上部)でカートリッジ1の内壁に配置され得る。送出プランジャ3がカートリッジ1の後端に押し込まれると、クランプ要素8は、送出プランジャ3に半径方向の圧力を加え得る。送出プランジャ3は、半径方向圧力によって弾性変形することができる。送出プランジャ3の弾性変形は、クランプ要素8のレベルで送出プランジャ3をクランプし得る。
【0083】
送出プランジャ3の後側に、送出プランジャ3を通る通路を密閉することができるシールプランジャ9が配置され得る。ガスに対しては透過性であるがセメント粉末に対しては不透過性である多孔質フィルタ10は、送出プランジャ3を通る通路内に配置され得る。カートリッジ1の内部2およびその内容物は、送出プランジャ3の通路を通り、オプションで多孔質フィルタ10を通るエチレンオキシドなどの滅菌ガスを用いて滅菌され得る。次に、シールプランジャ9が挿入され、通路を密閉し得る。通路が密閉されると、カートリッジ1の内部2は、真空下で骨セメントの混合を可能にするために排気され得る。
【0084】
内部2の排気を可能にするために、2つのゴム製円周方向シール12が、送出プランジャ3の外壁上に配置され得て、前記シールは、カートリッジ1の内壁、したがって円筒状内部2に対して送出プランジャ3を密閉する。シールプランジャ9は、同様に、円周方向シール14によって送出プランジャ3に対して密閉され得る。送出プランジャ3は、円周方向シール50(図7図8、および図9の詳細図を参照のこと)によって混合ロッド7に対してさらに密閉され得る。
【0085】
排出装置30が固定され得る複数の固定手段16(図9参照)は、カートリッジ1の裏側の後側に配置され得る。
【0086】
混合ロッド7は、ハンドル18で終端し得、このハンドル18によって、混合ロッド7、従って混合部材6をカートリッジ1の内部2内で移動させ得る。混合ロッド7を機械的に安定させるコア20は、混合ロッド7の内部に配置され得る。混合ロッド7は、送出プランジャ3を通るリードスルー内に移動可能に取り付けられ得る。混合ロッド7は、送出プランジャ3を通るリードスルーを通って軸方向に移動し、好ましくはリードスルー内で回転し得る。混合部材6が混合ロッド7に堅固に接続されている場合、混合部材6は、それに応じて、カートリッジ1の内部2内で軸方向に移動し、好ましくは回転し得る。このようにして、カートリッジ1の内容物は、混合部材6を用いて手動で混合可能である。混合部材6は、内部2を混合する働きをする複数の混合ブレード22を有し得る。混合部材6は、円筒状内部2の壁に当接する円周リングを有し得る。その結果、混合部材6を用いて内部2の全ての領域に到達することができ、したがって、内部2における骨セメントの完全な混合を確実にすることができる。
【0087】
取付具24は、カートリッジヘッド4上に配置され得る。送出開口部5は、取付具24の内部に配置され得る。送出パイプ(図示せず)を固定するための雌ねじ26は、取付具24に配置され得る。骨セメントは、送出パイプを介して施工され得、または後の使用のためにトレイ内に案内され得る。送出開口部5は、クロージャ(図示せず)で閉鎖され得る。例えば、雄ねじを有するねじ込み可能なクロージャを、取付具24の雌ねじ26にねじ込むことができる。骨セメントが完全に混合されると、クロージャを取り外すことができる。
【0088】
混合ロッド7は、骨セメントが混合ロッド7に入らないように、プラグ28でその前側を閉鎖され得る。
【0089】
排出装置30(その前部が図3に示される)は、クランプ要素8(図2図5および図8を参照のこと)を用いて送出プランジャ3のクランプ効果を解放するために使用され得る。このような排出装置30は、従来技術から周知であり、したがって、ここでは詳細に説明しない。排出装置30は、軸方向に前進可能なプッシュロッド32を有し得る。プッシュロッド32の先端に、送出プランジャ3がカートリッジ1内でカートリッジヘッド4の方向へ軸方向に前進可能であるディスク34が配置され得る。排出装置30は、嵌合固定手段36を介してカートリッジ1の固定手段16に、例えばバヨネットクロージャのように固定され得る。排出装置30は、クランプ効果(図2図5および図8参照)を解放するだけでなく、送出プランジャ3をカートリッジヘッド4の方向にさらに駆動し、カートリッジ1の内容物(すなわち、骨セメント)をカートリッジ1の内部から送出開口部5を通して放出することもできる。排出装置30は、カートリッジガンのように手動で駆動され得るか、あるいはガス圧または電気を用いて駆動され得る。
【0090】
カートリッジ1の内部2を排気するために、真空ポート38が、送出プランジャ3またはシールプランジャ9に配置され得る。シールプランジャ9が送出プランジャ3を通る通路を密閉するとき、ガスは、真空ポート38を通ってカートリッジ1の内部2から排気され得る。
【0091】
送出プランジャ3の中央領域は、混合ロッド7を案内するためのスリーブ40の形態であり得る。送出プランジャ3は、カートリッジ1の内壁および/または混合ロッド7へのその接続部に、ワイパーリップ42を有し得るが、このワイパーリップ42は、送出プランジャ3とカートリッジ1の内壁との間、および送出プランジャ3と混合ロッド7との間に、骨セメントが侵入して、逃げるのを防ぐことができる。
【0092】
送出プランジャ3をクランプ要素8でクランプするとき、クランプ要素8は、送出プランジャ3の円筒状外周面44を押圧し得る。ここで、円周方向クランプ要素8は、送出プランジャ3を半径方向に圧縮し得る。送出プランジャ3は、ここでは、クランプ要素8によって弾性変形され得、その結果、クランプ効果をもたらし、したがって、送出プランジャをロックする。クランプ効果が排出装置30によって解放されると、クランプ効果は解放され得、送出プランジャ3の弾性変形は、送出プランジャ3の新たな緩和によって、または送出プランジャ3の弾性変形領域、すなわち外周面44(図3および図9参照)の新たな緩和によって逆転され得る。
【0093】
スリーブ40は、支柱46を介して、送出プランジャ3の外周面44を含む送出プランジャ3の外側領域に接続され得る。送出プランジャ3を通る排出のための通路は、支柱46の間に形成され得る。多孔質フィルタ10は、環状ディスクとして形成され、支柱46上に載置され得る。多孔質フィルタ10が脱落するのを防止するために、送出プランジャ3は、多孔質フィルタ10を固定し、混合ロッド7を案内するための挿入スリーブ48を有し得る。
【0094】
第一の例示的な骨セメントアプリケータは、本発明に従って以下のように使用され得る。セメント粉末は、カートリッジ1の内部2に存在し得るか、または内部2に導入され得る。送出開口部5は、好ましくは、クロージャで閉鎖される。次いで、モノマー液体が添加され得る。シールプランジャ9は、密閉のために送出プランジャ3に挿入され得る。送出プランジャ3は、クランプ要素8が外周面44で送出プランジャ3を弾性変形させ、それによって送出プランジャ3を所定の位置にクランプする程度まで、カートリッジ1内に押し込まれ得る。真空ポート38を介して、カートリッジ1の内部2に真空を発生させることができる。セメント粉末は、混合部材6を内部2に移動させることによって、モノマー液体と混合され得る。送出プランジャ3は、ここでは、クランプ要素8によるクランプによってロックされるので、混合ロッド7とともに移動しない。混合部材6は、混合ロッド7とともにロックされた送出プランジャ3に引き寄せられ、混合ロッド7を破断し得る。
【0095】
次いで、骨セメントアプリケータを排出装置30に挿入することができる。送出プランジャ3は、プッシュロッド32を前進させることによって駆動することができる。ここで、クランプ効果は、最初に解放され得、したがって、送出プランジャ3は、クランプ要素8から解放される。クロージャは送出開口部5から取り外され得、送出パイプは雌ねじ26に固定され得る。送出プランジャ3をカートリッジヘッド4の方向にカートリッジ1の内部2にさらに前進させることによって、骨セメントを送出開口部5から押し出すことができ、そこで骨セメントペーストを、送出パイプを通して排出することができる。
【0096】
図10は、本発明による第二の骨セメントアプリケータの一部を断面図として示す。図において、骨セメントアプリケータの前側は、骨セメントアプリケータの下部に配置され、後側は、上部に配置される。本発明による第二の骨セメントアプリケータは、送出プランジャ53が一部分構造であることを除いて、図1図9による第一のものと同様である。
【0097】
本発明の第二の例示的な実施形態によれば、骨セメントアプリケータは、円筒状内部52を有するプラスチック材料の管状カートリッジ51を有し得る。軸方向に移動可能に取り付けられた送出プランジャ53は、カートリッジ51の円筒状内部52に配置され得る。円筒状内部52は、カートリッジの前側にあるカートリッジヘッドによって閉じられ得る(図10では図示せず)。送出開口部は、カートリッジヘッドに配置され得、この開口部を通して、カートリッジ51の円筒状内部52に存在し得るかまたは混合され得る骨セメント(図10では図示せず)が、送出プランジャ53を用いて内部52から放出され得る。送出開口部は、閉鎖可能であることも、または閉鎖されていることもあり得る。製造される骨セメントの母材成分としてのセメント粉末(図示せず)は、カートリッジ51の円筒状内部52に配置され得る。内部で骨セメントを混合するために、第二の母材成分としてモノマー液体(図示せず)を円筒状内部52内のセメント粉末に添加することができる。
【0098】
混合部材(図10では図示しないが、第一の例示的な実施形態と同様である)は、内部52の内容物を互いに混合するために、円筒状内部52内に移動可能に配置され得る。混合部材は、円筒状内部52内の混合ロッド57とともに軸方向に移動し、混合ロッド57の軸の周りを回転し得る。混合ロッド57は、送出プランジャ53内のリードスルーを通ってカートリッジ51の内部52内に案内され得る。
【0099】
送出プランジャ53を所定の位置にクランプするためのクランプ要素58としての突出レールは、カートリッジ51の後端の領域(図10の上部)でカートリッジ51の内壁に配置され得る。送出プランジャ53がカートリッジ51の後端に押し込まれると、クランプ要素58は、送出プランジャ53に半径方向の圧力を加え得る。送出プランジャ53は、半径方向の圧力によって弾性変形することができる。送出プランジャ53の弾性変形は、クランプ要素58のレベルで送出プランジャ53をクランプし得る。
【0100】
ガスに対しては透過性であるがセメント粉末に対しては不透過性である多孔質フィルタ60は、送出プランジャ53を通る通路内に配置され得る。カートリッジ51の内部52およびその内容物は、骨セメントを真空下で混合できるように、送出プランジャ53内の通路を通り、オプションで多孔質フィルタ60およびカートリッジ51の内部52を通るエチレンオキシドなどの滅菌ガスを用いて滅菌され得る。
【0101】
内部52の排気を可能にするために、2つのゴム製円周方向シール62が、送出プランジャ53の外壁上に配置され得て、前記シールは、カートリッジ51の内壁、したがって円筒状内部52に対して送出プランジャ53を密閉する。混合ロッド57は、同様に、円周方向シール64によって送出プランジャ53に対して密閉され得る。
【0102】
排出装置が固定され得る複数の固定手段66(図示されていないが、図3に類似している)は、カートリッジ51の後側の外側に配置され得る。
【0103】
混合部材は、カートリッジ51の内部52内で混合ロッド57とともに移動することができる。混合ロッド57を機械的に安定させるコア70は、混合ロッド57の内部に配置され得る。混合ロッド57は、送出プランジャ53を通るリードスルー内に移動可能に取り付けられ得る。混合ロッド57は、送出プランジャ53を通るリードスルーを通って軸方向に移動し、好ましくはリードスルー内で回転し得る。混合部材が混合ロッド57に堅固に接続されている場合、混合部材は、それに応じて、カートリッジ51の内部52内で軸方向に移動し、好ましくは回転し得る。これは、カートリッジ51の内容物が混合部材を用いて手動で混合可能なことを意味する。
【0104】
図3と同様の排出装置は、送出プランジャ53のクランプ効果をクランプ要素58(図10参照)で解放するために使用され得る。排出装置30は、クランプ効果(図10参照)を解放するだけでなく、送出プランジャ53をカートリッジヘッドの方向にさらに駆動し、カートリッジ51の内容物(すなわち、骨セメント)をカートリッジ51の内部から送出開口部を通して放出することもできる。
【0105】
カートリッジ51の内部52を排気するために、送出プランジャ53を通る通路に接続された真空ポート88が送出プランジャ53に配置され得る。ガスは、真空ポート88を通ってカートリッジ51の内部52から排気され得る。
【0106】
送出プランジャ53の中央領域は、混合ロッド57を案内するためのスリーブ90の形態であり得る。送出プランジャ53は、カートリッジ51の内壁および/または混合ロッド57へのその接続部に、ワイパーリップ92を有し得るが、このワイパーリップ92は、送出プランジャ53とカートリッジ51の内壁との間、および送出プランジャ53と混合ロッド57との間に、骨セメントが侵入して、逃げるのを防ぐことができる。
【0107】
送出プランジャ53をクランプ要素58でクランプするとき、クランプ要素58は、送出プランジャ53の円筒状外周面94を押圧し得る。ここで、円周方向クランプ要素58は、送出プランジャ53を半径方向に圧縮し得る。ここで、送出プランジャ53は、クランプ要素58によって弾性変形され得、その結果、クランプ効果をもたらし、したがって、送出プランジャをロックする。クランプ効果が排出装置によって解放されると、クランプ効果を解放し得、送出プランジャ53の弾性変形は、送出プランジャ53の新たな緩和によって、または送出プランジャ53の弾性変形領域、すなわち外周面94の新たな緩和によって逆転され得る。
【0108】
多孔質フィルタ60が脱落するのを防止するために、送出プランジャ53は、多孔質フィルタ60を固定し、混合ロッド57を案内するための挿入スリーブ98を有し得る。
【0109】
第二の例示的な骨セメントアプリケータは、本発明に従って以下のように使用され得る。セメント粉末は、カートリッジ51の内部52に存在し得るか、または内部52に導入され得る。送出開口部は、好ましくは、クロージャで閉鎖される。次いで、モノマー液体が添加され得る。送出プランジャ53は、クランプ要素58が外周面94で送出プランジャ53を弾性変形させ、それによって送出プランジャ53を所定の位置にクランプする程度までカートリッジ51内に押し込まれ得る。真空ポート88を介して、カートリッジ51の内部52に真空を発生させることができる。セメント粉末は、混合部材を内部52に移動させることによってモノマー液体と混合され得る。送出プランジャ53は、ここでは、クランプ要素58でクランプすることによってロックされるので、混合ロッド57とともに移動しない。混合部材は、混合ロッド57を用いてロックされた送出プランジャ53に引き寄せられ得、混合ロッド57を破断できる。
【0110】
次いで、骨セメントアプリケータを排出装置に挿入することができる。送出プランジャ53を駆動すると、最初にクランプ効果が解放され、したがって送出プランジャ53がクランプ要素58から解放され得る。クロージャは送出開口部から取り外され得、送出パイプはカートリッジ51に固定され得る。送出プランジャ53をカートリッジ51の内部52にさらに前進させることによって、骨セメントを送出開口部から押し出すことができ、骨セメントペーストを、送出パイプを通して排出することができる。
【0111】
図11および図12は、本発明による第三の骨セメントアプリケータの一部を断面図として示す。図において、骨セメントアプリケータの前側は、骨セメントアプリケータの下部に配置され、後側は、上部に配置される。本発明による第三の骨セメントアプリケータは、送出プランジャ103が一部分構造であり、混合ロッドのためのリードスルーがないことを除いて、図1図9による第一のものと同様である。
【0112】
本発明の第三の例示的な実施形態によれば、骨セメントアプリケータは、円筒状内部102を有するプラスチック材料の管状カートリッジ101を有し得る。軸方向に移動可能に取り付けられた送出プランジャ103は、カートリッジ101の円筒状内部102に配置され得る。円筒状内部102は、カートリッジの前側にあるカートリッジヘッドによって閉じることができる(図11および図12では図示せず)。送出開口部は、カートリッジヘッドに配置され得、この開口部を通して、カートリッジ101の円筒状内部102に存在し得るかまたは混合され得る骨セメント(図11および12では図示せず)が、送出プランジャ103を用いて内部102から放出され得る。送出開口部は、閉鎖可能であることも、または閉鎖されていることもあり得る。製造される骨セメントの母材成分としてのセメント粉末(図示せず)は、カートリッジ101の円筒状内部102に配置され得る。内部で骨セメントを混合するために、第二の母材成分としてモノマー液体(図示せず)を円筒状内部102内のセメント粉末に添加することができる。
【0113】
混合部材(図11および図12では図示しないが、第一の例示的な実施形態と同様である)は、内部102の内容物を互いに混合するために、円筒状内部102内に移動可能に配置され得る。混合部材は、円筒状内部102内の混合ロッド(図11および図12では図示せず)とともに軸方向に移動し、混合ロッドの軸の周りで回転され得る。混合ロッドは、カートリッジヘッドの送出開口部を通ってカートリッジ101の内部102に案内され得る。
【0114】
送出プランジャ103を所定の位置にクランプするためのクランプ要素108としての突出レールは、カートリッジ101の後端の領域(図の上部)でカートリッジ101の内壁に配置され得る。送出プランジャ103がカートリッジ101の後端に押し込まれると、クランプ要素108は、送出プランジャ103に半径方向の圧力を加え得る。送出プランジャ103は、半径方向の圧力によって弾性変形することができる。送出プランジャ103の弾性変形は、クランプ要素108のレベルで送出プランジャ103をクランプし得る。図12から明らかなように、クランプ要素は、より小さい接触面積によるクランプ作用を増大させるために、中断部を有する不連続レールとして形成され得る。
【0115】
ガスに対しては透過性であるがセメント粉末に対しては不透過性である多孔質フィルタ110は、送出プランジャ103を通る通路内に配置され得る。カートリッジ101の内部102およびその内容物は、骨セメントを真空下で混合できるように、送出プランジャ103内の通路を通り、オプションで多孔質フィルタ110およびカートリッジ101の内部102を通るエチレンオキシドなどの滅菌ガスを用いて滅菌され得る。
【0116】
内部102の排気を可能にするために、2つのゴム製円周方向シール112が、送出プランジャ103の外壁上に配置されて得て、前記シールは、カートリッジ101の内壁、したがって円筒状内部102に対して送出プランジャ103を密閉する。
【0117】
排出装置が固定され得る複数の固定手段116(図示されていないが、図3に類似している)は、カートリッジ101の後側の外側に配置され得る。
【0118】
混合部材は、カートリッジ101の内部102内の混合ロッドとともに移動することができる。混合ロッドは、カートリッジヘッドを通るリードスルー内に移動可能に取り付けられ得る。混合ロッドは、カートリッジヘッド内のリードスルーを通って軸方向に移動し、好ましくはリードスルー内で回転し得る。混合部材が混合ロッドに堅固に接続されている場合、混合部材は、それに応じて、カートリッジ101の内部102内で軸方向に移動し、好ましくは回転し得る。これは、カートリッジ101の内容物が混合部材を用いて手動で混合可能なことを意味する。
【0119】
図3と同様の排出装置は、送出プランジャ103のクランプ効果をクランプ要素108(図11参照)で解放するために使用され得る。排出装置30は、クランプ効果(図11参照)を解放するだけでなく、送出プランジャ103をカートリッジヘッドの方向にさらに駆動し、カートリッジ101の内容物(すなわち、骨セメント)をカートリッジ101の内部から送出開口部を通して放出することもできる。
【0120】
カートリッジ101の内部102を排気するために、送出プランジャ103を通る通路に接続された真空ポート138が送出プランジャ103に配置され得る。ガスは、真空ポート138を通ってカートリッジ101の内部102から排気され得る。
【0121】
カートリッジ101の内壁への接続部において、送出プランジャ103は、骨セメントが送出プランジャ103とカートリッジ101の内壁との間に侵入して、逃げるのを防止することができるワイパーリップ142を有し得る。
【0122】
送出プランジャ103をクランプ要素108でクランプするとき、クランプ要素108は、送出プランジャ103の円筒状外周面144を押圧し得る。ここで、円周方向クランプ要素108は、送出プランジャ103を半径方向に圧縮し得る。ここで、送出プランジャ103は、クランプ要素108によって弾性変形され得、その結果、クランプ効果をもたらし、したがって、送出プランジャをロックする。クランプ効果が排出装置で解放されると、クランプ効果は解放され得、送出プランジャ103の弾性変形は、送出プランジャ103の新たな緩和によって、または送出プランジャ103の弾性変形領域、すなわち外周面144の新たな緩和によって逆転され得る。
【0123】
第三の例示的な骨セメントアプリケータは、本発明に従って以下のように使用され得る。セメント粉末は、カートリッジ101の内部102に存在し得るか、または内部102に導入され得る。送出開口部は、好ましくは、クロージャで閉鎖される。次いで、モノマー液体が添加され得る。送出プランジャ103は、クランプ要素108が外周面94で送出プランジャ103を弾性変形させ、それによって送出プランジャ103を所定の位置にクランプする程度まで、カートリッジ101内に押し込まれ得る。真空ポート138を介して、カートリッジ101の内部102に真空を発生させることができる。セメント粉末は、混合部材を内部102に移動させることによってモノマー液体と混合され得る。送出プランジャ103は、クランプ要素108でクランプすることによってロックされるので、ここでは移動しない。混合部材は、混合ロッドとともにカートリッジヘッドに引き寄せられ得、混合ロッドは、送出開口部を開くように引き寄せられ得る。
【0124】
次いで、骨セメントアプリケータを排出装置に挿入することができる。送出プランジャ103を駆動すると、最初にクランプ効果を解放し、したがって送出プランジャ103がクランプ要素108から解放され得る。クロージャは送出開口部から取り外され得、送出パイプはカートリッジ101に固定され得る。送出プランジャ103をカートリッジ101の内部102にさらに前進させることによって、骨セメントを送出開口部から押し出すことができ、骨セメントペーストを、送出パイプを通して排出することができる。
【0125】
図13は、本発明による第四の骨セメントアプリケータの一部を断面図として示す。図において、骨セメントアプリケータの前側は、骨セメントアプリケータの下部に配置され、後側は、上部に配置される。本発明による第四の骨セメントアプリケータは、二重クランプ要素158を除いて、図1図9による第一の骨セメントアプリケータと同様である。第一の実施形態とは対照的に、2つの円周方向突出レールがクランプ要素158として設けられている。
【0126】
本発明の第四の例示的な実施形態によれば、骨セメントアプリケータは、円筒状内部152を有するプラスチック材料の管状カートリッジ151を有し得る。軸方向に移動可能に取り付けられた送出プランジャ153は、カートリッジ151の円筒状内部152に配置され得る。円筒状内部152は、カートリッジの前側にあるカートリッジヘッドによって閉じられ得る(図13に図示せず)。送出開口部は、カートリッジヘッドに配置され得、この開口部を通して、カートリッジ151の円筒状内部152に存在または混合され得る骨セメント(図13に図示せず)が、送出プランジャ153を用いて内部152から放出され得る。送出開口部は、閉鎖可能であることも、または閉鎖されていることもあり得る。製造される骨セメントの母材成分としてのセメント粉末(図示せず)は、カートリッジ151の円筒状内部152に配置され得る。内部で骨セメントを混合するために、第二の母材成分としてモノマー液体(図示せず)を円筒状内部152内のセメント粉末に添加することができる。
【0127】
混合部材(図13に図示しないが、第一の例示的な実施形態と同様である)は、内部152の内容物を互いに混合するために、円筒状内部152内に移動可能に配置され得る。混合部材は、円筒状内部152内の混合ロッド157とともに軸方向に移動し、混合ロッド157の軸の周りを回転し得る。混合ロッド157は、送出プランジャ153内のリードスルーを通ってカートリッジ151の内部152内に案内され得る。
【0128】
送出プランジャ153を所定の位置にクランプするためのクランプ要素158としての2つ突出する円周レールは、カートリッジ151の後端の領域(図13の上部)でカートリッジ151の内壁に配置され得る。送出プランジャ153がカートリッジ151の後端に押し込まれると、クランプ要素158は、送出プランジャ153に半径方向の圧力を加え得る。送出プランジャ153は、半径方向圧力によって弾性変形することができる。送出プランジャ153の弾性変形は、クランプ要素158のレベルで送出プランジャ153をクランプし得る。
【0129】
送出プランジャ153の後側に、送出プランジャ153を通る通路を密閉することができるシールプランジャ159が配置され得る。ガスに対しては透過性であるがセメント粉末に対しては不透過性である多孔質フィルタ160は、送出プランジャ153を通る通路内に配置され得る。カートリッジ151の内部152およびその内容物は、送出プランジャ153の通路を通り、オプションとして多孔質フィルタ160を通るエチレンオキシドなどの滅菌ガスを用いて滅菌され得る。次に、シールプランジャ159が挿入され、通路を密閉し得る。通路が密閉されると、カートリッジ151の内部152は、真空下で骨セメントの混合を可能にするために排気され得る。
【0130】
内部152の排気を可能にするために、2つのゴム製円周方向シール162が、送出プランジャ153の外壁上に配置され得て、前記シールは、カートリッジ151の内壁、したがって円筒状内部152に対して送出プランジャ153を密閉する。シールプランジャ159は、同様に、円周シール164によって送出プランジャ153に対して密閉され得る。送出プランジャ153は、円周シール200によって混合ロッド157に対してさらに密閉され得る。
【0131】
排出装置が固定され得る複数の固定手段166(図示されていないが、図3に類似している)は、カートリッジ151の後側の外側に配置され得る。
【0132】
混合部材は、カートリッジ151の内部152内で混合ロッド157とともに移動することができる。混合ロッド157を機械的に安定させるコア170は、混合ロッド157の内部に配置され得る。混合ロッド157は、送出プランジャ153を通るリードスルー内に移動可能に取り付けられ得る。混合ロッド157は、送出プランジャ153を通るリードスルーを通って軸方向に移動され得、好ましくはリードスルー内で回転し得る。混合部材が混合ロッド157に堅固に接続されている場合、混合部材は、それに応じて、カートリッジ151の内部152内で軸方向に移動移動し、好ましくは回転し得る。これは、カートリッジ151の内容物が混合部材を用いて手動で混合可能なことを意味する。
【0133】
図3と同様の排出装置は、送出プランジャ153のクランプ効果をクランプ要素158で解放するために使用され得る。排出装置30は、クランプ効果を解放するだけでなく、送出プランジャ153をカートリッジヘッドの方向にさらに駆動し、カートリッジ151の内容物(すなわち、骨セメント)をカートリッジ151の内部から送出開口部を通して放出することもできる。
【0134】
カートリッジ151の内部152を排気するために、真空ポート(図示せず)が送出プランジャ153に配置され得る。ガスは、真空ポートを通ってカートリッジ151の内部152から排気され得る。
【0135】
送出プランジャ153の中央領域は、混合ロッド157を案内するためのスリーブ190の形態であり得る。送出プランジャ153は、カートリッジ151の内壁および/または混合ロッド157へのその接続部にワイパーリップ192を有し得るが、このワイパーリップ192は、送出プランジャ153とカートリッジ151の内壁との間、および送出プランジャ153と混合ロッド157との間に、骨セメントが侵入して、逃げるのを防ぐことができる。
【0136】
送出プランジャ153をクランプ要素158でクランプするとき、クランプ要素158は、送出プランジャ153の円筒状外周面194を押圧し得る。ここで、円周方向クランプ要素158は、送出プランジャ153を半径方向に圧縮し得る。ここで、送出プランジャ153は、クランプ要素158によって弾性変形され得、その結果、クランプ効果をもたらし、したがって、送出プランジャをロックする。クランプ効果が排出装置で解放されると、クランプ効果は解放され得、送出プランジャ153の弾性変形は、送出プランジャ153の新たな緩和によって、または送出プランジャ153の弾性変形領域、すなわち外周面194の新たな緩和によって逆転され得る。
【0137】
多孔質フィルタ160が脱落するのを防止するために、送出プランジャ153は、多孔質フィルタ160を固定し、混合ロッド157を案内するための挿入スリーブ198を有し得る。
【0138】
第四の例示的な骨セメントアプリケータは、本発明に従って以下のように使用され得る。セメント粉末は、カートリッジ151の内部152に存在し得るか、または内部152に導入され得る。送出開口部は、好ましくは、クロージャで閉鎖される。次いで、モノマー液体が添加され得る。送出プランジャ153は、クランプ要素158が外周面194で送出プランジャ153を弾性変形させ、それによって送出プランジャ153を所定の位置にクランプする程度まで、カートリッジ151内に押し込まれ得る。真空ポートを介して、カートリッジ151の内部152に真空を発生させることができる。セメント粉末は、混合部材を内部152に移動させることによってモノマー液体と混合され得る。送出プランジャ153は、ここでは、クランプ要素158でクランプすることによってロックされるので、混合ロッド157とともに移動しない。混合部材は、混合ロッド157とともにロックされた送出プランジャ153に引き寄せられ、混合ロッド157を破断し得る。
【0139】
次いで、骨セメントアプリケータを排出装置に挿入することができる。送出プランジャ153を駆動すると、最初にクランプ効果を解放し、したがって送出プランジャ153がクランプ要素158から解放され得る。クロージャは送出開口部から取り外され得、送出パイプはカートリッジ151に固定され得る。送出プランジャ153をカートリッジ151の内部152にさらに前進させることによって、骨セメントを送出開口部から押し出すことができ、骨セメントペーストを、送出パイプを通して排出することができる。
【0140】
上記の説明、ならびに特許請求の範囲、図面、および例示的な実施形態に開示された本発明の特徴は、本発明をその様々な実施形態で実現するために、個別でも任意の所望の組合せでも必要不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0141】
1、51、101、151…カートリッジ
2、52、102、152…内部
3、53、103、153…送出プランジャ
4…カートリッジヘッド
5…送出開口部
6…混合部材
7、57、157…混合ロッド
8、58、108、158…クランプ要素
9、159…シールプランジャ
10、60、110、160…多孔質フィルタ
12、62、112、162…シール
14、64、164…シール
16、66、116、166…固定手段
18…ハンドル
20、70、170…コア
22…混合ブレード
24…取付具
26…雌ねじ
28…プラグ
30…排出装置
32…プッシュロッド
34…プレート
36…嵌合固定手段
38、88、138…真空ポート
40、90、190…スリーブ
42、92、142、192…ワイパーリップ
44、94、144、194…外周面
46…支柱
48、98、198…多孔質フィルタを固定するための挿入スリーブ
50、200…シール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図12
図13