(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】水性組成物を形成する方法
(51)【国際特許分類】
C08G 61/12 20060101AFI20220218BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20220218BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20220218BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20220218BHJP
H01L 51/40 20060101ALI20220218BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220218BHJP
H01L 51/48 20060101ALI20220218BHJP
H01L 51/42 20060101ALI20220218BHJP
H01L 51/46 20060101ALI20220218BHJP
C08L 65/00 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
C08G61/12
H01L29/28 250G
H01L29/28 100A
H01L29/78 618B
H01L29/28 310J
H01L29/28 220A
H01L29/78 618A
H01L31/04 182A
H01L31/08 T
H01L31/04 150
C08L65/00
(21)【出願番号】P 2020140695
(22)【出願日】2020-08-24
(62)【分割の表示】P 2016521748の分割
【原出願日】2014-10-10
【審査請求日】2020-09-15
(32)【優先日】2013-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】317010082
【氏名又は名称】クロミション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】マケアン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ムエンマルト,ドゥアングラットチャニーコルン
(72)【発明者】
【氏名】エスキベル・グスマン,ハイル・アサエル
(72)【発明者】
【氏名】ベーレント,ジョナサン・マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】フォスター,アンドルー・ブライアン
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-274035(JP,A)
【文献】特開平02-258832(JP,A)
【文献】特開2009-235127(JP,A)
【文献】特表2011-528383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00-61/12
H01L 51/30
H01L 51/05
H01L 29/786
H01L 51/40
H01L 21/336
H01L 51/48
H01L 51/42
H01L 51/46
C08L 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に分散された複数のナノ粒子を含む水性組成物
を形成する方法であって、
(a)前記ナノ粒子が、1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから形成されたコアを含み、
(b)前記ナノ粒子の粒径が、400nm未満であり、
(c)前記水性媒体中の前記ナノ粒子の濃度が、12mM以上であり、
前記非架橋のπ共役有機ポリマーが、炭素-炭素の三重結合を含まない真性半導体であ
り、
前記方法が、
(i)乳化重合またはミニエマルジョン重合技術により前記ナノ粒子を形成して、ナノ粒子の水性懸濁液を形成するステップと、
(ii)前記ナノ粒子の懸濁液を場合により精製するステップと
を含む、
方法。
【請求項2】
前記ナノ粒子の前記コアが、前記1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから本質的になるものである、請求項1に記載の
方法。
【請求項3】
前記非架橋のπ共役有機ポリマーのポリマー骨格が、荷電されていないものである、請求項1または2に記載の
方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子のコアが、安定剤で覆われている、請求項1~3のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項5】
前記非架橋のπ共役有機ポリマー中に存在するモノマー単位が、
【化1】
[ここで、式中、R、R
1及びR
2は、水素、または有機置換基(例えば、1~30個の炭素原子を場合により含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えば、N、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)であり、Mは、金属(例えば、Ir、Pt、Rh、Re、Ru、Os、Cr、Cu、PdまたはAu)であり、
Lは、リガンド(例えば、ハロゲン化物、または1~30個の炭素原子を場合により含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)であり、
上記構造は、それぞれ、1個または複数の有機置換基(例えば、1~30個の炭素原子を場合により含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)で場合によりさらに置換されている。]
からなる群より選択される、請求項1に記載の
方法。
【請求項6】
前記非架橋のπ共役有機ポリマー中に存在するモノマー単位が、
【化2】
[ここで、式中、R、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、水素、または1~30個の炭素原子を含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基から選択されるものであり、
aは、0、1、2または3であり、bは、0、1、2または3であり、c及びdは、0、1または2であり、e及びfは、0または1であり、xは、0、1、2、3または4であり、
yは、0、1、2、3または4であり、zは、0、1、2、3または4である。]
からなる群より選択される、請求項1に記載の
方法。
【請求項7】
前記水性媒体が水である、請求項1~6のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項8】
前記ナノ粒子のサイズが、30~300nmの範囲内である、請求項1~7のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項9】
前記水性媒体中の前記ナノ粒子の濃度が、15mM以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項10】
前記ナノ粒子が、Stille反応または鈴木重合反応によって形成されている、請求項
1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ粒子に関し、特に、π共役ポリマーのナノ粒子に関する。また、本発明は
、これらのポリマーのナノ粒子を含む水性組成物、ナノ粒子を作製する方法、並びにこれ
らのナノ粒子の電子デバイス及び部品の製造での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
π共役の材料(π-conjugated materials)は、多くの注目を集めてきている。なぜなら
、これらは、例えば、有機薄膜トランジスタ/有機電界効果トランジスタ(OTFT/O
FET)、有機光起電性太陽電池(OPV)または有機発光ダイオード(OLED)等の
部品またはデバイスの製造に対して、より低コストの可能性と、より柔軟なアプローチを
提供するものであるからである。
【0003】
これらの材料を使用する動機(drive)は、π共役の材料が、高結晶性無機半導体に比較
して作製するのに非常に安価であるという事実に起因している。π共役の材料は、比較的
に安価な製造方法でデバイスを作製するために使用することができる。特に、デバイスの
製造に使用される大部分の有機材料は、1種または複数の一般的な有機溶媒中に可溶性で
あり、これは、多くのデバイスを何分の1かのコストで製造できる溶液プロセシングの可
能性を可能とする。また、殆どのデバイスは、高性能を達成するためにアニーリングステ
ップが必要としている。このステップは、通常高温(シリコンに対しては、少なくとも5
00℃)で実施されるが、有機半導体材料に対しては、所要の温度ははるかに低い。有機
材料のアニーリング温度がより低い場合、有機デバイスのための基板の選択性が柔軟とな
る。これによって、シリコンの高いアニーリング温度に耐えることができなかった透明な
プラスチック等の材料の使用が可能となる。
【0004】
有機半導体デバイス及び有機光起電性デバイスの製造に関する最新技術の1つの欠点は
、製造工程で一般に使用されている有機溶媒が、作業場に伴う健康及び安全問題、並びに
安全な貯蔵及び廃棄に関する環境問題を有していることにある。
【0005】
さらに、所要のプロセシング温度は、無機半導体材料に対してより低いが、有機半導体
デバイス及び有機光起電性デバイスの製造工程の間に、100℃近くまたはそれを超える
温度が利用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、有効であり、安全(すなわち、有害な有機溶媒が使用される必要性を回避
する)であり、より低いプロセシング温度が使用できる、有機半導体デバイス及び有機光
起電性デバイスの製造のための改良された技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、π共役ポリマーのナノ粒子が、有機半導体及び光起電性デバイスまたは部品
の製造のために、水性媒体中で使用できるという認識に帰するものである。水性媒体の使
用は、有機半導体及び光起電性デバイスまたは部品の製造の間に、刺激の強い(harsh)有
機溶媒を使用する必要性を回避することができる。さらに、本発明に係る製造方法によれ
ば、有機半導体及び光起電性デバイスを、有機溶媒中に十分に可溶性ではないポリマーか
ら製造することを可能とする。
【0008】
本発明は、水性媒体中に分散された複数のナノ粒子を含む水性組成物であって、
(i)ナノ粒子は、1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから形成され、
(ii)ナノ粒子は、400nm未満の粒径を有し、
(iii)水性媒体中のナノ粒子の濃度は、12mM以上であり、
非架橋のπ共役有機ポリマーは、炭素-炭素の三重結合をまったく含まない水性組成物
を提供する。
【0009】
本発明は、水性媒体中に分散された複数のナノ粒子を含む水性組成物であって、
(i)ナノ粒子は、1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから形成されるコア
を含み、
(ii)ナノ粒子は、400nm未満の粒径を有し、
(iii)水性媒体中のナノ粒子の濃度は、12mM以上であり、
非架橋のπ共役有機ポリマーは、炭素-炭素の三重結合をまったく含まない真性半導体
である水性組成物をさらに提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された水性組成物を形成する方法で
あって、
(i)乳化重合またはミニエマルジョン重合技術によりナノ粒子を形成して、ナノ粒子
の水性懸濁液を形成するステップと、
(ii)ナノ粒子懸濁液を場合により精製するステップと
を含む方法を提供する。
【0011】
より適切には、ナノ粒子は、Stille反応または鈴木重合反応によって形成される
ものである。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、1種または複数の非架橋のπ共役ポリマー(non-cro
ss-linked π-conjugated polymer)を含むナノ粒子であって、
(i)有機溶媒[例えばクロロベンゼン]中の溶解度が10mg/ml未満である、1
種または複数の非架橋のπ共役ポリマーを含み、
(ii)400nm未満の粒径を有する、
ナノ粒子を提供する。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義されたナノ粒子を形成する方法であ
って、
(i)乳化重合またはミニエマルジョン重合技術によりナノ粒子を形成して、ナノ粒子
の懸濁液を形成するステップ、
(ii)1種または複数の反応副生成物を除去するために、ナノ粒子懸濁液を場合によ
り精製するステップ、及び/または
(iii)ナノ粒子を場合により単離するステップ
を含む方法を提供する。
【0014】
より適切には、ナノ粒子は、Stille反応または鈴木重合反応によって形成される
ものである。
【0015】
さらなる態様において、本発明は、有機半導体または光起電性デバイスもしくは部品を
調製する方法であって、
(i)本明細書のナノ粒子を含む水性組成物を基板上に堆積するステップと、
(ii)基板をナノ粒子のガラス転移温度(Tg)を超える温度まで加熱して、基板上
にπ共役有機ポリマーの膜を形成するステップと
を含む方法を提供する。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された方法によって、得ることが可
能な、得られるまたは直接得られるπ共役膜を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、有機半導体または光起電性デバイスもしくは部品を
調製するために、本明細書で定義された水性組成物またはナノ粒子の使用を提供する。
【0018】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された方法によって、得ることが可
能な、得られるまたは直接得られる有機半導体または有機光起電性デバイスまたは部品を
提供する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された有機半導体膜を含む、有機半
導体または有機光起電性デバイスまたは部品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<定義>
本明細書及び特許請求の範囲に使用する用語は、別な提示がされた場合を除き、以下の
通りの意味を有する。
【0021】
用語「有機(organic)」は、有機材料及び有機金属材料が含まれる。例えば「π共役有
機ポリマー(organic π-conjugated polymers)」には、π共役有機ポリマー及び有機金属
π共役ポリマーの両方が含まれる。
【0022】
用語「真性半導体(intrinsic semiconductor(s))」は、不純物が添加されておらず、熱
平衡において電子及び正孔の密度が等しい、殆ど純粋な半導体を表す。また、真性半導体
は、i-タイプ半導体またはアンドープ半導体、すなわち、特筆すべきドーパント種がな
にも存在しない純粋な半導体として当技術分野で知られている。
【0023】
用語「粒径(particle size)」は、例えば、Malvern Zetasizerを用
いる等の動的光散乱技術により決定された場合、数平均粒径、またはz平均粒径のいずれ
かを表す。数平均粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)解析を参照する場合に引用される。
【0024】
用語「Stille反応(Stille reaction)」は、Stilleカップリング(Stille c
oupling)としても知られており、有機スズ化合物とsp2混成有機ハロゲン化物とが関与
する、パラジウムによって触媒される周知の化学反応カップリングを表す。反応は、有機
合成において広範に使用される。共役ポリマー系の生成のためのStille重合反応の
使用は、例えば、Chem.Rev.2011、111、1493~1528に記載され
ている。一般的な反応スキームは、
(R)3Sn-R1+X-R2→R1-R2
[式中、
Rは、(1~6C)アルキル等のヒドロカルビル置換基であり、
R1及びR2は共に、本明細書で定義された非架橋性有機半導体ポリマーのπ共役モノ
マー単位であるか、またはR1及びR2は一緒になって(R1-R2)、非架橋性有機半
導体ポリマーのπ共役モノマー単位を形成し、
Xは、反応性基、典型的にはCl、Br、I等のハロゲン化物、またはトリフラート、
CF3SO3
-等の擬ハロゲン化物である]
で示される。
【0025】
用語「鈴木反応(Suzuki reaction)」は、アリール-またはビニル-ボロン酸とアリー
ル-またはビニル-ハロゲン化物との周知の有機反応を表す。鈴木反応は、典型的にはパ
ラジウム(0)錯体触媒によって触媒される。この反応は、化学分野において周知であり
、以下に示す一般的な反応スキーム
【化1】
に従う。
反応は、ハロゲン化物の代わりに、トリフラート(OTf)等の擬ハロゲン化物とも作
用する。ボロン酸エステル及び有機トリフルオロボラート塩を、ボロン酸の代わりに使用
してもよい。ポリマー合成に対しては、R
1及びR
2は、モノマー単位を表す。
【0026】
用語「アルキル(alkyl)」は、直鎖及び分枝鎖両方のアルキル基が含まれる。「プロピ
ル(propyl)」等の個々のアルキル基は、直鎖型のみに特異的であり、「イソプロピル(iso
propyl)」等の個々の分枝鎖アルキル基は、分枝鎖型のみに特異的である。例えば「(1
~20C)アルキル」には、(1~14C)アルキル、(1~12C)アルキル、プロピ
ル、イソプロピル及びt-ブチルが含まれる。本明細書で挙げられる他の基に対して、同
様の規則が適用される。
【0027】
用語「アルケニル(alkenyl)」及び「アルキニル(alkynyl)」は、直鎖及び分枝鎖両方の
アルケニル基及びアルキニル基が含まれる。
【0028】
用語「ハロ(halo)」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを表す。
【0029】
用語「フルオロアルキル(fluoroalkyl)」は、1個または複数のフルオロ原子で置換さ
れた、本明細書で定義されたアルキル基、例えば、-CF3、または-CH2CF3等を
意味する。
【0030】
用語「アリール(aryl)」は、フェニル、ナフタレンまたはアントラセン環を表すために
本明細書で使用される。一実施形態において、この用語「アリール(aryl)」は、フェニル
またはナフタレンであり、特にフェニルである。
【0031】
用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」または「ヘテロ芳香族(heteroaromatic)」は、N
、O、S、SiまたはSeから選択される1個または複数(例えば、1~4個、特に1個
、2個または3個)のヘテロ原子を取り込んだ、芳香族単環式環、二環式環または三環式
環を意味する。ヘテロアリール基の例は、5~18の環員を含有する単環式、二環式及び
三環式基である。ヘテロアリール基は、例えば、5員もしくは6員の単環式環、8員、9
員もしくは10員の二環式環または15員、16員、17員もしくは18員の三環式環と
することができる。より適切には、二環式環または三環式環系中の各環は、5個または6
個の環原子を含むものである。
【0032】
用語「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」、「複素環式(heterocyclic)」または「複素環
(heterocycle)」は、非芳香族の飽和または部分的に飽和の単環式、縮合、架橋、または
スピロの二環式複素環系を意味する。ヘテロシクリルという用語には、一価の種及び二価
の種の両方が含まれる。単環式複素環式環は、その環中に、窒素、酸素または硫黄から選
択される1~5個(適切には、1個、2個または3個)のヘテロ原子を有し、約3~12
個(適切には3~7個)の環原子を含有する。二環式複素環は、その環中に、7~17員
原子、適切には7~12員原子を含有する。二環式複素環は、約7~約17個の環原子、
適切には、7~12個の環原子を含有する。二環式複素環式環は、縮合、スピロ、または
架橋の環系であってもよい。当業者には理解されるように、任意の複素環は、炭素または
窒素原子を介して等、任意の適切な原子を介して、別の基に連結されていてもよい。
【0033】
用語「重合性基(polymerisable group)」は、重合することができる任意の官能基を表
すために、本明細書で使用される。このような基の例には、オキシラン、オキセタン、ア
クリラート、メタクリラート、スチレンまたは場合により(1~20C)アルキルで置換
されているヘテロアリール基(特にチオフェン)が含まれる。
【0034】
<水性組成物>
前述のように、本発明は、水性媒体中に分散された複数のナノ粒子を含む水性組成物で
あって、
(i)ナノ粒子は、1種または複数の非架橋のπ共役ポリマーを含み、
(ii)ナノ粒子は、400nm未満の粒径を有し、
(iii)水性媒体中のナノ粒子の濃度は、12mM以上である、
水性組成物を提供する。
【0035】
また、別の態様において、本発明は、水性媒体中に分散された複数のナノ粒子を含む水
性組成物であって、
(i)ナノ粒子は、1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから形成されるコアを
含み、
(ii)ナノ粒子は、400nm未満の粒径を有し、
(iii)水性媒体中のナノ粒子の濃度は、12mM以上であり、
非架橋のπ共役有機ポリマーは、炭素-炭素の三重結合(carbon-carbon triple bonds)を
まったく含まない真性半導体である水性組成物を提供する。
【0036】
より適切には、ナノ粒子のコアは、ポリマー酸(polymeric acid)またはポリアニオン成
分をまったく含まないものである。
【0037】
一実施形態において、ナノ粒子のコアは、本明細書で定義された1種または複数の非架
橋のπ共役有機ポリマーから本質的になる。
【0038】
さらなる実施形態において、ナノ粒子のコアは、本明細書で定義された1種または複数
の非架橋のπ共役有機ポリマーからなり、(すなわち、これらは非架橋のπ共役有機ポリ
マーからのみ形成され、ナノ粒子のコア中には他のポリマー材料は存在しない)。
【0039】
より適切には、非架橋のπ共役有機ポリマーのポリマー骨格は、荷電されていないもの
であり、さらに適切には、非架橋のπ共役有機ポリマー全体は、荷電されていないもので
ある。
【0040】
ナノ粒子のコアは、ナノ粒子を水性組成物中に分散させるか、または容易に分散性に維
持させる役割を果たすものであり、適切な安定剤の被覆、例えば界面活性剤または乳化剤
によって囲まれていてもよい。
【0041】
ナノ粒子は、1種または複数の非架橋のπ共役ポリマーを含む。ナノ粒子を形成するこ
とが可能な任意の適切なπ共役ポリマーを使用してもよい。
【0042】
より適切には、本発明に係るπ共役ポリマーは、炭素-炭素の三重結合をまったく含ま
ない。したがって、一態様において、本発明は、炭素-炭素の三重結合をまったく含まな
いπ共役ポリマーに関する。炭素-炭素の三重結合中の電子は、π電子が十分に非局在化
されない立体配座を生じさせるものである。
【0043】
非架橋のπ共役ポリマーを形成するのに使用されるモノマー単位は、単独でまたは組み
合わせてπ共役環系(π-conjugated ring system)を有するモノマーを提供する様々な化
学部分の選択を含み得ることは、当業者には理解されよう。
【0044】
単独でまたは任意の適切な組合せのいずれかでモノマー単位中に存在してもよい、適切
なπ共役環系の例には、単環式アリール基(例えばフェニル環)、多環式アリール環系(
例えば、フルオレン環系、ナフチル環)、単環式ヘテロアリール環(例えばチオフェン環
)または多環式ヘテロアリール環系(例えば、ベンゾチアゾール、ベンゾジアザタゾー(b
enzodiazathazole)環、チエノ[3,2-b]チオフェン、またはピロロ[3,4-c]
ピロール)または他の共役複素環式環系(例えば、ピロロ-ピロール-1,4-ジオン環
)が含まれる。ここで、各部分は、1種または複数の有機基、例えば、1~30個の炭素
原子を場合により含み、1個または複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、Si、または
P)を場合により含むヒドロカルビル置換基で場合により置換されており、2つ以上のこ
のような部分が存在する場合、これらは、結合により、またはアミン結合(例えば、ビア
リールアミンまたはトリアリールアミン基等)を介して共に連結されていてもよい。
【0045】
本発明に係るモノマーまたはポリマー中に存在してもよい特定のπ共役部分のさらなる
例には、
【化2】
[式中、R、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素または有機置換基(例えば、1~3
0個の炭素原子を場合により含み、1個または複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、S
i、またはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳
香族基)であり、
Mは、金属(例えば、Ir、Pt、Rh、Re、Ru、Os、Cr、Cu、Pd、また
はAu)であり、
Lは、リガンド(例えば、ハロゲン化物、または1~30個の炭素原子を場合により含
み、1個または複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、Si、またはP)を場合により含
むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)であり、
上記構造のそれぞれは、1個または複数の有機置換基(例えば、1~30個の炭素原子
を場合により含み、1個または複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、Si、またはP)
を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)で場合
によりさらに置換されている]
が含まれる。
【0046】
これらの部分は、本明細書で定義された非架橋のπ共役有機ポリマーのモノマー単位を
提供するために、単独でまたは様々な異なる組合せで使用してもよいと理解される。
【0047】
一実施形態において、有機置換基は、(1~20C)アルキル、(2~20C)アルケ
ニル、(2~20C)アルキニル、(2~20C)アルカノイル、もしくは(1~20C
)アルキル-SO2-;または
-Z1-Q1基
[式中、
Z1は、直接結合(direct bond)、-CO-または-SO2-であり、
Q1は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、(3~8C)シクロアルキル、
アリール-(1~10C)アルキル、ヘテロアリール-(1~10C)アルキル、ヘテロ
シクリル-(1~10C)アルキル、または(3~8C)シクロアルキル-(1~10C
)アルキルから選択され;
ここで、各(1~20C)アルキル、(2~20C)アルケニル、(2~20C)アル
キニル、(2~20C)アルカノイル、(1~20C)アルキル-SO2-、またはQ1
基は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、(1~20C)アルキル、(1~10C)フ
ルオロアルキル(1~10C)フルオロアルコキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル
、メルカプト、スルホニルアミノ、(1~10C)アルコキシ、(2~10C)アルカノ
イル、(1~10C)アルカノイルオキシから選択される1個または複数の置換基で場合
によりさらに置換されている]
からなる群より選択される。
【0048】
特定の実施形態において、非架橋のπ共役ポリマーは、
【化3】
[式中、R、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、水素、または1~30個
の炭素原子を含み1個または複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、Si、またはP)を
場合により含むヒドロカルビル置換基からそれぞれ独立に選択され、
aは、0、1、2または3であり;bは、0、1、2または3であり;c及びdは0、
1または2であり;e及びfは、0または1であり;xは、0、1、2、3または4であ
り;yは、0、1、2、3または4であり;zは、0、1、2、3または4である]
の1種または複数からなる群より選択されるモノマー単位を含む。
【0049】
ナノ粒子を形成する、非架橋のπ共役ポリマーは、適切には、10から1000の間の
重合度を有する。
【0050】
一実施形態において、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、水素、(
1~20C)アルキル、(2~20C)アルケニル、(2~20C)アルキニル、(2~
20C)アルカノイル、(1~20C)アルキル-SO2-;または
-Z1-Q1基
[式中、Z1は、直接結合、-CO-または-SO2-であり;
Q1は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、(3~8C)シクロアルキル、
アリール-(1~10C)アルキル、ヘテロアリール-(1~10C)アルキル、ヘテロ
シクリル-(1~10C)アルキル、または(3~8C)シクロアルキル-(1~10C
)アルキルから選択され;
ここで、各(1~20C)アルキル、(2~20C)アルケニル、(2~20C)アル
キニル、(2~20C)アルカノイル、(1~20C)アルキル-SO2-、またはQ1
基は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、(1~20C)アルキル、(1~10C)フ
ルオロアルキル(1~10C)フルオロアルコキシ、アミノ、カルボキシ、カルバモイル
、メルカプト、スルホニルアミノ、(1~10C)アルコキシ、(2~10C)アルカノ
イル、(1~10C)アルカノイルオキシから選択される1個または複数の置換基で場合
によりさらに置換されている]
からそれぞれ独立に選択される。
【0051】
さらなる実施形態において、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、水
素または(1~20C)アルキルからそれぞれ独立に選択される。
【0052】
特定の実施形態において、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、存在
する場合、すべて(1~20C)アルキルである。
【0053】
さらなる実施形態において、非架橋のπ共役ポリマーは、
【化4】
[式中、存在する各R、R
1、R
2及びR
5基は、独立に、上記に定義されている通りで
ある]の1種または複数からなる群より選択されるモノマー単位を含む。
【0054】
本実施形態において、重合度は、適切には10から1000の間である。
【0055】
さらなる実施形態において、非架橋のπ共役ポリマーは、
【化5】
の1種または複数からなる群より選択されるモノマー単位を含む。
【0056】
水性媒体は、ナノ粒子が分散されている水性ビヒクルを提供する。媒体は、溶解された
物質及び他の水混和性溶媒等のさらなる成分を含んでもよい。しかしながら、特定の実施
形態において、水性媒体は、水、特に精製水である。
【0057】
より適切には、ナノ粒子は、300nm未満、より適切には250nm未満の粒径を有
するものである。
【0058】
一実施形態において、ナノ粒子のサイズは、30~400nmの範囲内である。
【0059】
別の実施形態において、ナノ粒子のサイズは、30~300nmの範囲内である。
【0060】
さらなる実施形態において、ナノ粒子のサイズは、50~250nmの範囲内である。
【0061】
別の実施形態において、ナノ粒子のサイズは、100~250nmの範囲内である。
【0062】
ナノ粒子の濃度に関する濃度は、重合反応に使用される最初のモノマー濃度に基づいて
おり、モノマーの、ポリマーへの100%の変換率と仮定する。
【0063】
さらなる実施形態において、水性媒体中のナノ粒子の濃度は、15mM以上である。さ
らなる実施形態において、水性媒体中のナノ粒子の濃度は、20mM以上である。さらな
る実施形態において、水性媒体中のナノ粒子の濃度は、25mM以上である。
【0064】
本発明に係るポリマーにおいて、重合度は、より適切には20から800、更に適切に
は30から600の間である。
【0065】
一実施形態において、本発明に係る水性組成物は、粒子を懸濁液中に保持するために、
安定剤をさらに含む。例えば、当技術分野で公知の非イオン性、カチオン性またはアニオ
ン性安定剤等の任意の適切な安定剤を使用してもよい。適切な安定剤の特定の例には、非
イオン性安定剤、例えば、
・TritonX系列オクチルフェノールエトキシラート、Tergitol系列ノニ
ルフェノールエトキシラート(Dow Chemical Company);
・Brij系列ポリ(オキシエチレン)グリコールアルキルエーテル、Superon
ic系列、Tween系列ポリソルベート界面活性剤(Croda);
・エチレンオキシド及びプロピレンオキシドをベースとする、Pluronic系列の
ブロックコポリマー(BASF);
・エチレンオキシド及びプロピレンオキシドをベースとする、Tetronic系列の
5官能性ブロックコポリマー、Lutensol系列(BASF):
・Igepal系列、Rhodasurf系列及びAntarox系列(Rhodia
);
・Merpol系列(Stepan Co.);
アニオン性安定剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsuplhate)(SDS
);または、カチオン性安定剤、例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTA
B)
が含まれる。
【0066】
<水性組成物の調製>
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された水性組成物を形成する方法で
あって、
(i)水性媒体中で乳化重合またはミニエマルジョン重合技術によりナノ粒子を形成して
、ナノ粒子の水性懸濁液を形成するステップ、及び
(ii)ナノ粒子懸濁液を場合により精製するステップ
を含む方法を提供する。
【0067】
本発明に係るナノ粒子は、当技術分野で公知の任意の適切な技術によって形成してもよ
い。適切には、ナノ粒子は、乳化重合または分散重合技術により調製される。このような
技術は、当技術分野で公知の標準的な重合反応を使用してもよい。
【0068】
乳化重合の場合、モノマー成分は、触媒(例えば、Pd(PPh3)4、IPr*Pd
TEACl2またはPd2(dba)3/P(o-tol)3)と共に適切な有機溶媒(
例えば、クロロベンゼン、トルエンまたはキシレン)に溶解される。次いで、この溶液を
水及び適切な乳化剤の水性媒体に添加する。任意の適切な乳化剤、例えば、SDS、Tr
iton X102、Brij L23、及び/またはTween 20等を使用しても
よい。得られたエマルジョンを撹拌、及び/または超音波処理して、エマルジョン、適切
にはミニエマルジョンを形成してもよい。エマルジョン混合物を、有機半導体ポリマーナ
ノ粒子を形成するために、一定期間(例えば、1時間~2日)30から100℃の間の温
度((Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3/P(o-tol)3に対しては、適切
には70から95℃の間、より適切には80から95℃の間、及びIPr*PdTEAC
l2に対しては、理想的には30℃)まで緩やかに加熱させてもよい。当業者には、加熱
する温度は(本明細書の実施例のセクションのように)用いる触媒系に依存することが理
解される。
【0069】
一実施形態において、ナノ粒子は、Stille反応または鈴木カップリング反応のい
ずれかによって形成される。このようなカップリング反応は、当技術分野で公知である。
【0070】
ステップ(ii)において、乳化重合またはミニエマルジョン重合反応の後に形成され
たナノ粒子の水性懸濁液は、任意の望ましくない成分、例えば、触媒、未反応の反応物、
エマルジョン/分散体を安定化するのに使用された界面活性剤等を除去するために、場合
により精製される。適切には、この精製ステップは、工程中で用いられる。当技術分野で
公知の任意の適切な精製技術を使用してもよい。例えば、懸濁液を、重合反応後に存在す
る金属性試薬(例えば触媒)を除去するために、当技術分野で公知の金属捕捉手順にかけ
てもよい。これは、例えば、ステップ(i)からの懸濁液、またはステップ(ii)から
の精製された懸濁液を、SiliaMetSチオ尿素及びSiliaMetS TAAc
ONaの混合物と接触させることによって達成され得る。透析及び限外ろ過技術も、ある
種の成分、例えば、存在する任意の界面活性剤を除去するために使用してもよい。
【0071】
一実施形態において、ナノ粒子を、当技術分野で公知の任意の適切な分離技術によって
、水性懸濁液から分離または単離してもよい。適切には、ナノ粒子は、遠心分離によって
懸濁液から分離される。次いで、単離されたナノ粒子を所望の水性媒体に再分散してもよ
い。
【0072】
<ナノ粒子>
別の態様において、本発明は、1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーを含むナ
ノ粒子であって、
(i)有機溶媒[例えばクロロベンゼン]中の溶解度が10mg/ml未満である、1種
または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーを含み、
(ii)400nm未満の粒径を有する
ナノ粒子を提供する。
【0073】
ナノ粒子は、低有機溶媒溶解度(low organic solubility)、すなわち有機溶媒(例えば
、室温のクロロベンゼン)中の溶解度が10mg/ml未満であるものであり、1種また
は複数のπ共役有機ポリマーを含む。この基準を満たす任意の適切なπ共役ポリマーを使
用してもよい。
【0074】
一実施形態において、低有機溶解度の非架橋のπ共役有機ポリマーは、有機溶媒(例え
ば、室温のクロロベンゼン)中の溶解度が5mg/ml未満である。
【0075】
一実施形態において、低有機溶解度の非架橋のπ共役有機ポリマーは、有機溶媒(例え
ば、室温のクロロベンゼン)中の溶解度が1mg/ml未満である。
【0076】
特定の実施形態において、非架橋のπ共役有機ポリマー中に存在するモノマー単位は、
【化6】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、n、c、d、e及びfは、上記に定義された通りであ
る]
である。
【0077】
さらなる実施形態において、非架橋性有機半導体ポリマー中に存在するモノマー単位は
以下の構造式:
【化7】
[式中、R
1及びR
2は、上記に定義された通りであり、nは、上記に定義された通りで
ある]
を有する。
【0078】
さらなる実施形態において、非架橋性有機半導体ポリマー中に存在するモノマー単位は
、
【化8】
である。
【0079】
より適切には、ナノ粒子は300nm未満の粒径を有し、さらに適切には250nm未
満の粒径を有する。
【0080】
一実施形態において、ナノ粒子のサイズは、30~400nmの範囲内である。
【0081】
別の実施形態において、ナノ粒子のサイズは、30~300nmの範囲内である。
【0082】
さらなる実施形態において、ナノ粒子のサイズは、50~250nmの範囲内である。
【0083】
別の実施形態において、ナノ粒子のサイズは、100~250nmの範囲内である。
【0084】
<ナノ粒子の調製>
本発明は、本明細書で定義されたナノ粒子を形成する方法であって、
(i)乳化重合またはミニエマルジョン重合技術によりナノ粒子を形成して、ナノ粒子の
懸濁液を形成するステップ、
(ii)1種または複数の反応副生成物を除去するために、ナノ粒子懸濁液を場合により
精製するステップ、及び/または
(iii)ナノ粒子を場合により単離するステップ
を含む方法をさらに提供する。
【0085】
一実施形態において、ナノ粒子は、Stille重合反応によって形成される。
【0086】
反応は、適切には、乳化重合またはミニエマルジョン重合反応として実施される。
【0087】
当業者なら、反応時間、反応温度等を含めて、Stille重合反応のための適切な反
応条件を選択することが可能である。
【0088】
代替の実施形態において、ナノ粒子は、鈴木カップリング反応によって調製される。
【0089】
<有機半導体デバイス及び部品>
さらなる態様において、本発明は、有機半導体デバイスまたは部品を調製する方法であ
って、
(i)本明細書で定義された、ナノ粒子を含む水性組成物を、基板上に堆積させるステッ
プ、及び
(ii)基板をナノ粒子のガラス転移温度(Tg)を超える温度まで加熱して、基板表面
上に有機半導体ポリマーの膜を形成するステップ
を含む方法を提供する。
【0090】
本発明に係る方法は、優れた有機半導体特性を有するデバイス及び部品を提供する。さ
らに、本方法は、従来使用されている刺激が強いハロゲン化溶媒ではなく、水性組成物を
使用するものである。
【0091】
本発明に係る方法はまた、従来の技術(それによって、工程全体にわたり100℃を超
える温度が必要であり得る)の代わりに、溶液がより低い温度(または周囲温度でさえ)
に適用されることを可能にする。
【0092】
さらに、ナノ粒子の形態の有機半導体ポリマーを適用することによって、本発明に係る
方法は、膜が、従来利用されている溶媒に難溶性のポリマーから形成されることを可能に
する。
【0093】
上記の利点は、プロセシングの主要な利点もたらすことである。
【0094】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された方法によって、得ることが可
能な、得られるまたは直接得られる有機半導体膜を提供する。
【0095】
さらなる態様において、本発明は、有機半導体膜の調製に関して定義された、水性組成
物またはナノ粒子の使用を提供する。
【0096】
さらなる態様において、本発明は、有機半導体デバイスまたは部品の調製に関して定義
された、水性組成物またはナノ粒子の使用を提供する。
【0097】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された方法によって、得ることが可
能な、得られるまたは直接得られる有機半導体膜、デバイスまたは部品を提供する。
【0098】
さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義された有機半導体膜を含む、有機半
導体デバイスまたは部品を提供する。
【0099】
有機半導体部品またはデバイスは、当技術分野で公知の任意の適切な部品またはデバイ
スあってもよい。例えば、部品またはデバイスは、光学的または電気光学的部品またはデ
バイスであってもよい。適切な部品またはデバイスの例には、有機電界効果トランジスタ
(OFET)、薄膜トランジスタ(TFT)、集積回路(IC)の部品、無線周波認識(
RFID)標識、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネセンスディスプレ
イ、フラットパネルディスプレイ、バックライト、光検出器、センサ、論理回路、記憶素
子、コンデンサー、光起電性(PV)電池、光導電体及び電子写真素子が含まれる。
【0100】
本方法のステップ(ii)において、基板は、通常100℃を超える温度まで加熱され
る。
【0101】
特に、光起電性デバイスの調製に対しては、本発明に係るナノ粒子は、電子アクセプタ
ー(例えばn-タイプ半導体、バックミンスターフラーレン、すなわち、C60、C70
、PCBM)と混合してもよく、またはナノ粒子を電子アクセプターの存在下で調製する
。
【0102】
半導体デバイスを製造する方法の一例を、実施例のセクションで説明する。
【0103】
付随する図面を参照して、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】
図1は、ミニエマルジョン重合方法の略図である。
【
図2】
図2は、実施例3の反応1から4によって得られたナノ粒子のUV-可視光吸収(破線)及びPL発光スペクトル(実線)であり、反応1及び3に対してはλ
ex=390nm、反応2及び4に対してはλ
ex=450nmである。
【
図3】
図3は、ガラス上のトップゲート/ボトムコンタクト型デバイスの概略図である(実施例4を参照)。
【
図4】
図4は、ナノ粒子PBTTTトップゲート/ボトムコンタクト型トランジスタの伝達曲線(transfer curve)の一例、及び同じデバイスの出力特性を示すグラフである(実施例4を参照)。
【
図5】
図5は、線状のPBTTTトップゲート/ボトムコンタクト型トランジスタの伝達曲線のさらなる例、及び同じデバイスの出力特性を示すグラフである(実施例4を参照)。
【実施例】
【0105】
[実施例1]
<ポリ(2,5-ビス(3-テトラデシルチオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]
チオフェン)(PBTTT)及びポリ(3,6-ジ(2-チエン-5-イル)-2,5-
ジ(2-オクチルドデシル)-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン)チエノ
[3,2-b]チオフェン(PDPPTT)の共役ナノ粒子の調製>
ポリ(2,5-ビス(3-テトラデシルチオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]
チオフェン)(PBTTT)1及びポリ(3,6-ジ(2-チエン-5-イル)-2,5
-ジ(2-オクチルドデシル)-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン)チエ
ノ[3,2-b]チオフェン(PDPPTT)2は共に、有機電界効果トランジスタ(O
FET)中の半導体層として高い正孔キャリア移動度を有する。
【0106】
PBTTT及びPDPPTTの構造を下記に示す。
【化9】
【0107】
本実施例では、ポリマーを下記2つのステップからなるミニエマルジョン重合の技術に
よって合成した。
1.水中の乳化剤溶液に有機溶液を注入することによって、モノマー/触媒の小滴を形
成するステップ。
2.2,5-ビストリメチルスタンニル-チエノ[3,2-b]チオフェンと、5,5
’-ジブロモ-4,4’-ジテトラデシル-2,2’-ビチオフェン(PBTTTに対し
て)、または3,6-ジ(2-ブロモチエン-5-イル)-2,5-ジ(2-オクチルド
デシル)-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン(PDPPTTに対して)と
の間のStilleクロスカップリング反応によるミニエマルジョン中で重合するステッ
プ。
【0108】
【0109】
[実験]
<3-テトラデシルチオフェンの合成>
【化10】
還流凝縮器を備え乾燥した100mL三口丸底フラスコをアルゴンでフラッシュし、マ
グネシウム(1.23g、51mmol)、I
2の結晶一片、及び60mLの無水THF
を充填した。この溶液に、1-ブロモテトラデカン(14.6mL、49mmol)を撹
拌下で滴下添加した。反応混合物を窒素雰囲気下、1時間緩やかに還流した。別のフラス
コ中で、3-ブロモチオフェン(4.6mL、49mmol)及びNi(dppe)Cl
2(155mg、0.29mmol)を、30mLの無水ジエチルエーテルに溶解した。
1-マグネシオブロモテトラデカンの溶液を、3-ブロモチオフェン及びNi(dppe
)Cl
2触媒を含有するフラスコにカニューレで入れた。反応を窒素雰囲気下一晩緩やか
に還流した。反応混合物を、氷及びHClを含有するビーカー中に注ぐことによってクエ
ンチした。有機相をブライン及び水で3回洗浄し、ジエチルエーテルで抽出した。エーテ
ル相をMgSO4で乾燥し、ろ過し、溶媒を除去した。3-テトラデシルチオフェンをカ
ラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ペンタン)によって精製した。
1H NMR (CDCl
3, 400
MHz): δ 7.22-7.20 (m, 1H), 6.91-6.88 (m, 2H), 2.60-2.58 (t, J=7.6 Hz, 2H), 1.6
4 (m, 2H), 1.32-1.25 (m, 22H), 0.89-0.87 (t, J=6.6 Hz, 3H).
13C NMR (CDCl
3, 75 M
Hz,) δ 143.5, 138.4, 125.2, 119.3, 34.3, 32.1, 30.7, 30.4, 29.8, 29.8, 29.8, 29
.6, 29.5, 29.5, 29.3, 22.9, 22.5, 14.3.
【0110】
<2-ブロモ-3-テトラデシルチオフェンの合成>
【化11】
化合物3-テトラデシルチオフェン(3g、11mmol)を、0℃でCHCl
3と酢
酸の混合物(5mL/5mL)に溶解した。NBS(2.47g、14mmol)を少し
ずつ添加し、0℃で20分間撹拌した。溶液を水(2×50mL)、飽和NaHCO
3(
1×50mL)で洗浄し、最終的に水(1×50mL)で洗浄した。有機層を無水MgS
O
4で乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ペンタン)により精製し
て、2-ブロモ-3-テトラデシルチオフェンを無色の油として回収した(1.6g、収
率42%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 6.90 (d, J=7.6 Hz, 1H), 6.81 (d, J=7.6 H
z, 1H), 2.60-2.50 (t, J=7.6 Hz, 2H), 1.65-1.50 (m, 2H,), 1.40-1.15 (m, 22H), 0.9
1-0.81 (t, J=6.6 Hz, 3H).
13C NMR (CDCl
3, 75 MHz,) δ 142.1, 128.4, 125.3, 108.9
, 53.9, 32.1, 29.9, 29.9, 29.8, 29.8, 29.7, 29.6, 29.5, 29.5, 29.4, 22.9, 22.9,
14.3.
【0111】
<5,5’-ジブロモ-4,4’-ジテトラデシル-2,2’-ビチオフェンの合成>
【化12】
ジイソプロピルアミン(465mg、4.6mmol)を30mLのTHFに添加し、
溶液を0℃まで冷却した。1.6M n-BuLi(n-Buli)溶液(2.6mL、4.2m
mol)を30分の間滴下添加した。得られた混合物を0℃でさらに30分間撹拌した後
、-78℃まで冷却し、次いで5mL無水THF中の2-ブロモ-3-テトラデシルチオ
フェン(1.5g、4.2mmol)溶液を滴下添加した。反応混合物を-78℃で60
分間撹拌した後、無水塩化銅(II)(0.46g、5mmol)を一度に添加した。反
応混合物を-78℃に30分間維持し、この場合、反応混合物の色が透明な緑色/青緑色
から、透明な青色、透明な紫色、透明な茶色、濁った茶色に変化した。冷却を取り外し、
反応混合物を一晩室温まで加温させた。反応混合物を、希塩酸により中性pHまで反応混
合物を酸性化することにより後処理し、次いでエーテル(3×50mL)で抽出し、合わ
せたエーテル層を水(2×50mL)で洗浄し、次いでエーテル層をMgSO
4で乾燥し
た。溶媒を減圧下で除去し、得られた茶色の油をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、
ヘキサン)を用いて精製して、粗生成物を得た。粗生成物を少量のクロロホルムに溶解し
、0℃に冷却したメタノール中で沈殿させ、真空下室温で乾燥し、最後に酢酸エチルから
再結晶させて、2.42g(3.4mmol、81%)の生成物をふわふわした明るい黄
色の結晶として得た。
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 6.79 (s, 2H), 2.55 (t, J=7.6 Hz,
4H), 1.57 (五重線, 4H), 1.28 (m, 44H), 0.88 (t, J=7.6 Hz, 6H).
13C NMR (CDCl
3, 7
5 MHz,) δ 143.0, 136.2, 124.5, 107.9, 53.4, 32.0, 29.7, 29.7, 29.7, 29.7, 29.6,
29.6, 29.4, 29.4, 29.2, 22.7, 22.7, 14.2; HRMS (MALDI): m/z C
30H
60Br
2S
2の計算値
: 716.25 (100%), 718.25 (54.3%); 714.25 (49.0%) [M]+; 実測値: 716, 718, 714; C
36
H
60Br
2S
2の元素分析計算値: C, 60.32; H, 8.44; Br, 22.29; S, 8.95; 実測値C, 60.25;
H, 8.48; Br, 22.36; S, 8.84.
【0112】
<9-(ヨードメチル)ノナデカンの合成>
【化13】
0℃で40mLのジクロロメタン中の2-オクチル-ドデカノール(14.8mL、4
2mmol)の撹拌溶液に、トリフェニルホスフィン(11.9mL、50mmol)及
びイミダゾール(2.8mL、50mmol)を添加した。混合物を15分間撹拌した後
、ヨウ素(12.1g、48mmol)を添加した。反応物を2時間に亘って室温まで加
温させた後、5mLの飽和Na
2SO
3を添加した。明るい黄色の反応混合物を真空中で
濃縮し、ペンタン(50mL)で希釈し、水(100mL)で3回及びブライン(100
mL)で1回洗浄した。得られたペンタン溶液を3cmのプラグを通過させ、真空中で濃
縮して、生成物を無色の油として得た(16.6g、98%)。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz
): δ 3.28 (d, J=4.5 Hz, 2H), 1.11-1.34 (m, 33H), 0.85-0.94 (m, 6H).
13C NMR (CD
Cl
3, 75 MHz,) δ 38.8, 34.6, 32.1, 32.0, 29.9, 29.8, 29.7, 29.5, 28.9, 22.9, 22.
8, 17.1, 14.3.
【0113】
<3,6-ジチオフェン-2-イル-2,5-ジヒドロ-ピロロ[3,4-c]ピロール
-1,4-ジオンの合成>
【化14】
ナトリウム(3.16g、137mmol)、t-アミルアルコール(45mL)及び
塩化鉄(III)(50mg)をフラスコに添加した。混合物をナトリウムが消滅するま
で1時間最大で95~102℃まで加温し、次いで85℃まで冷却した。2-チオフェン
カルボニトリル(8.53mL、92mmol)を一度に注入した。5mLのt-アミル
アルコール中のコハク酸ジエチル(6.09mL、37mmol)を15分でゆっくり滴
下した。混合物を85℃に2時間維持し、次いで50℃まで冷却した。次いで混合物をメ
タノール(25mL)で希釈した。氷酢酸(15mL)をゆっくり添加し、混合物を2分
間還流した。混合物を再び50℃まで冷却し、メタノール(25mL)で希釈した。懸濁
液をろ過した。固体生成物を温水及びメタノールで洗浄し、真空下60℃の温度で乾燥し
て、濃い赤色の固体(6g、55%)を得た。生成物は、さらに精製することなく、次の
ステップに使用した。
1H NMR (DMSO-D
6), 400 MHz): δ 11.26 (s, 2H), 8.21 (d, J=3.7
Hz, 2H), 7.96 (d, J=4.9 Hz, 2H), 7.30 (dd, J
1=3.7 Hz, J
2=4.9 Hz, 2H).
13C NMR (
CDCl
3, 75 MHz,) δ 161.8, 136.2, 132.7, 131.3, 130.9, 128.8, 108.9.
【0114】
<2,5-ビス(2-オクチルドデシル)-3,6-ジ(チオフェン-2-イル)-2,
5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオンの合成>
【化15】
無水カリウムtert-ブトキシド(1.15g、10mmol)及び3,6-ジチオ
フェン-2-イル-2,5-ジヒドロ-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン
(1.4g、5mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、40mL)に溶解
し、アルゴン下120℃まで1時間加熱した。9-(ヨードメチル)ノナデカン(11.
42g、28mmol)を滴下添加し、混合物を一晩130℃で加熱した。溶液を室温ま
で冷却した。これを水(200mL)中に注ぎ、ジクロロメタンにより抽出した。有機層
を回収し、無水MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲル、溶離
液としてジクロロメタン/石油エーテル(1:5)によるフラッシュクロマトグラフィー
によって精製し、表題の化合物(titled compound)(1g、25%)を得た。
1H NMR (CDC
l
3, 400 MHz): δ 8.87 (d, J=4.0 Hz,2H), 7.62 (d, J=4.8 Hz, 2H), 7.27(m, 2H), 4.0
2 (d, J=8.0 Hz, 4H), 1.90 (s, 2H), 1.18-1.34 (m, 32H), 0.85 (m, 12H).
13C (CDCl
3
, 100 MHz): δ 161.9, 140.6, 135.4, 130.8, 130.0, 128.5, 108.1, 46.3, 37.9, 32.1
, 32.0, 30.2, 30.2, 29.8, 29.8, 22.8, 22.8, 14.3, 14.3. HRMS (MALDI): m/z C
54H
88
N
2O
2S
2の計算値: 860.63 (100%), 861.63 (61.8%), 862.64 (17.4%); [M]+; 実測値: 860
, 861, 862, 863, 864.
【0115】
<3,6-ジ(2-ブロモチエン-5-イル)-2,5-ジ(2-オクチルドデシル)-
ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオンの合成>
【化16】
アルミニウムフォイルで包んだアルゴン下のSchlenkフラスコ(Schlenk flask)
中で、2,5-ビス(2-オクチルドデシル)-3,6-ジ(チオフェン-2-イル)-
2,5-ジヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン(400mg、0.4
6mmol)を無水クロロホルム(20mL)に溶解した。N-ブロモスクシンイミド(
215mg、1.21mmol)を少しずつ添加し、混合物をアルゴン下室温で一晩撹拌
した。次いで、反応混合物を氷水(250mL)中に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。
有機層を回収し、無水MgSO
4で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲル
、溶離液としてジエチルエーテル/ヘキサン(1:30)によるフラッシュクロマトグラ
フィーによって精製した。次いで化合物をメタノールに懸濁させ、ろ過し、残っている結
晶を熱水、冷メタノールで洗浄し、真空下で乾燥して、暗赤色の固体(450mg、95
%)を得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 8.62 (d, J=4 Hz, 2H), 7.21 (d, J=4.4 Hz,
2H), 3.92 (d, J=8.0 Hz, 4 H), 1.85 (s, 2H), 1.18-1.30 (m, 32H), 0.86 (m, 12H).
13C (CDCl
3, 100 MHz): δ 161.6, 139.6, 135.6, 131.6, 131.4, 119.2, 108.2, 46.5,
38.0, 32.2, 32.1, 31.4, 30.2, 30.0, 30.0, 29.8, 29.7, 29.6, 29.5, 26.4, 22.9, 22
.9, 14.4. HRMS (MALDI): m/z C
54H
86Br
2N
2O
2S
2の計算値: 1018.45 (100%), 1020.45 (64
.4%); [M]+; 実測値: 1016, 1017, 1018, 1019, 1020.
【0116】
<2,5-ビストリメチルスタンニル-チエノ[3,2-b]チオフェンの合成>
【化17】
チエノ[3,2-b]チオフェン(1.11g、7.9mmol)をアルゴン下20m
lの無水THFに溶解し、-50℃まで冷却した。10mL(16.6mmol)のヘキ
サン中の1.6M n-ブチルリチウム溶液を45分間滴下添加した。混合物を-50℃
で2時間撹拌し、次いで18mLの無水THF中のトリメチルスズクロリド(3.47g
、17.4mmol)を添加した。溶液を-50℃で2時間撹拌し、次いで室温まで加温
し、この温度で一晩撹拌した。溶液を100mlのジエチルエーテルで希釈し、重炭酸ナ
トリウム水溶液で抽出し、乾燥し、蒸発させた。残渣を-20℃でアセトニトリルから結
晶化させて、1.9g(58%)の無色の結晶を得た。
1H NMR (CD
2Cl
2, 300 MHz,): δ
7.28 (s, 2H), 0.41 (s, 2H);
13C NMR (CDCl
3, 75 MHz,): δ 147.6, 141.4, 126.1, -8
.1.
【0117】
[1A PBTTTナノ粒子の乳化重合]
【化18】
Schlenkチューブ(Schlenk tube)中で、ヘキサデカン(0.03mL)を、イオ
ン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム(410mg、脱イオン水中2wt%)の水溶
液(16mL)に添加した。次いで、Schlenkチューブをアルゴンで(3回)慎重
に排気/再充填することによって、次いでアルゴンを、撹拌溶液を通して30分間吹き込
むことによって、内容物を室温で脱気した。アルゴン雰囲気を有するグローブボックス内
で、別の25mL Schlenkチューブ中に、5,5’-ジブロモ-4,4’-ジテ
トラデシル-2,2’-ビチオフェン(200mg、279μmol)、2,5-ビスト
リメチルスタンニル-チエノ[3,2-b]チオフェン(130mg、279μmol)
、Pd
2(dba)
3(5mg、5.6μmol)及びP(o-tol)
3(7mg、2
2.3μmol)を添加し、次いで4mLのトルエンに溶解する。次いで、撹拌溶液を通
してアルゴンを10分間吹き込むことによって、モノマー/触媒溶液を脱気した。最後に
、モノマー/触媒混合物を、撹拌した界面活性剤溶液中に添加し、得られた混合物を予備
エマルジョン化のために10分間撹拌した。混合物を10分間超音波処理することによっ
て、ミニエマルジョンを調製した。次いで、混合物を最大85℃まで加熱した。この温度
を、アルゴン雰囲気下700rpmの撹拌速度で24時間維持した。次いで、ナノ粒子懸
濁液を2Lの脱イオン水に浸漬された透析膜チューブを介して5日間透析する(界面活性
剤の最大量を回避するために水を毎日交換する)。その後、懸濁液をビーカー並びにSi
liaMetS(登録商標)チオ尿素(5mg、添加量1.08mmol/g)とSil
iaMetS(登録商標)TAAcONa(1188mg、添加量0.47mmol/g
)の混合物中に注ぐ。捕捉される金属及び使用される金属捕捉剤の量は、Silicyc
le(登録商標)社によって提唱された以下の式:
【数1】
【数2】
に従って計算される。
【0118】
混合物を室温で24時間撹拌し、次いで綿を通してろ過して、SiO2/Si基板上へ
の堆積にすぐに使用することができる懸濁液を得る。GPC(CH5Cl)Mn(164
28g/mol)、Mw(31458g/mol)。
【0119】
[1B PDPPTTナノ粒子の乳化重合]
【化19】
Schlenkチューブ中で、ヘキサデカン(0.05mL)を、イオン性界面活性剤
、ドデシル硫酸ナトリウム(625mg、脱イオン水中2wt%)の水溶液(25mL)
に添加した。次いで、Schlenkチューブをアルゴンで(3回)慎重に排気/再充填
することによって、次いでアルゴンを、撹拌溶液を通して30分間吹き込むことによって
、内容物を室温で脱気した。アルゴン雰囲気を有するグローブボックス内で、別の25m
L Schlenkチューブ中に、3,6-ジ(2-ブロモチエン-5-イル)-2,5
-ジ(2-オクチルドデシル)-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン(10
0mg、98μmol)、2,5-ビストリメチルスタンニル-チエノ[3,2-b]チ
オフェン(46mg、98μmol)、Pd
2(dba)
3(1.8mg、1.96μm
ol)及びP(o-tol)
3(2.4mg、7.85μmol)を添加し、次いで2m
Lのトルエンに溶解する。次いで、撹拌溶液を通してアルゴンを10分間吹き込むことに
よって、モノマー/触媒溶液を脱気した。最後にモノマー/触媒混合物を、撹拌した界面
活性剤溶液中に添加し、得られた混合物を予備エマルジョン化のために10分間撹拌した
。混合物を10分間超音波処理することによって、ミニエマルジョンを調製した。次いで
、混合物を最大85℃まで加熱した。アルゴン雰囲気下700rpmの撹拌速度で、この
温度を24時間維持した。次いで、ナノ粒子懸濁液を、2Lの脱イオン水に浸漬された透
析膜チューブを介して5日間透析する(界面活性剤の最大量を回避するために水を毎日交
換する)。その後、懸濁液をビーカー並びにSiliaMetS(登録商標)チオ尿素(
2mg、添加量1.08mmol/g)とSiliaMetS(登録商標)TAAcON
a(418mg、添加量0.47mmol/g)の混合物中に注ぐ。混合物を室温で24
時間撹拌し、次いで綿を通してろ過する。GPC(CH
5Cl)Mn(13422g/m
ol)、Mw(178131g/mol)。
【0120】
[1C PDPPTTナノ粒子の乳化重合(10mg/mL)]
Schlenkチューブ中で、ヘキサデカン(0.01mL)を、イオン性界面活性剤
、ドデシル硫酸ナトリウム(333mg、脱イオン水中2wt%)の水溶液(13mL)
に添加した。次いで、Schlenkチューブをアルゴンで(3回)慎重に排気/再充填
することによって、次いでアルゴンを、撹拌溶液を通して30分間吹き込むことによって
、内容物を室温で脱気した。アルゴン雰囲気を有するグローブボックス内で、別の25m
L Schlenkチューブ中に、3,6-ジ(2-ブロモチエン-5-イル)-2,5
-ジ(2-オクチルドデシル)-ピロロ[3,4-c]ピロール-1,4-ジオン(80
mg、78μmol)、2,5-ビストリメチルスタンニル-チエノ[3,2-b]チオ
フェン(37mg、78μmol)、Pd2(dba)3(1.4mg、1.57μmo
l)及びP(o-tol)3(1.91mg、6.28μmol)を添加し、次いで3.
2mLのクロロベンゼンに溶解する。次いで、撹拌溶液を通してアルゴンを10分間吹き
込むことによって、モノマー/触媒溶液を脱気した。最後にモノマー/触媒混合物を、撹
拌された界面活性剤溶液中に添加し、得られた混合物を予備エマルジョン化のために10
分間撹拌した。混合物を10分間超音波処理することによって、ミニエマルジョンを調製
した。次いで、混合物を最大85℃まで加熱した。アルゴン雰囲気下700rpmの撹拌
速度で、この温度を24時間維持した。ナノ粒子を、1.5mLエッペンドルフ(1.4
mL脱イオン水が追加された)中で、反応混合物0.1mLの遠心分離(14000rp
mで30分間)によって抽出する。粒子を脱イオン水中に再懸濁させることによって洗浄
し、続いて14000rpmで30分間遠心分離する(工程を3回実施する)。その後粒
子を脱イオン水(10mg/mL)に再懸濁させ、ビーカー並びにSiliaMetS(
登録商標)チオ尿素(2mg、添加量1.08mmol/g)とSiliaMetS(登
録商標)TAAcONa(334mg、添加量0.47mmol/g)の混合物中に注ぐ
。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで綿を通してろ過する。
【0121】
<ナノ粒子の特性決定>
[ナノ粒子のサイズ及びゼータ電位]
ナノ粒子試料を、反応混合物から1mgの粒子を抜き取ることで調製する。試料を脱イ
オン水(1.5mLの全体の体積)で洗浄する。試料の遠心分離(14000rpmで2
0分間)後、水を除去する。この工程を3回実施する。ナノ粒子分散体のサイズ及びゼー
タ電位を、Malvern Zetasizer、Nano ZSを用いて20℃の温度
で測定した。
【0122】
PBTTT粒子(1A)の粒径は、166nm(PDI 0.078)であった。
【0123】
PDPPTT粒子(1B)の粒径は、217nm(PDI 0.272)であり、PD
PPTT(10mg/ml)粒子(1C)のサイズは149nm(PDI 0.202)
であった。
【0124】
[金属捕捉]
Stilleクロスカップリングからのパラジウム及びスズ不用物(wastes)を、Sil
icycle(登録商標)社製官能化シリカゲル:SiliaMet-チオ尿素(Pd)
及びSiliaMet-TAAcONa(Sn)により除去する。
【化20】
【0125】
パラジウム及びスズ濃度を、誘導結合プラズマ-質量分析計(ICP-MS)によって
確認した。それは、PBTTT粒子に対して、微少量の金属(表1を参照)を示し、これ
はすべての金属が除去されると思われることを示唆する。
【0126】
【0127】
[実施例2]
<エマルジョン系中の共役ポリマーナノ粒子(CPN)の調製>
一連の共役ポリマーナノ粒子(CPN)の安定なエマルジョンを、以下のスキーム1に
示す、9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸ビス(1,3-プロパンジオ
ール)エステル(1)と、ジブロモモノマー構造(2、3、4または5)のそれぞれとの
鈴木クロスカップリング反応を介して合成した。いずれの場合も、2種のモノマー及びパ
ラジウム触媒、(IPr*)PdCl2(TEA)(2mol%、構造6)をキシレンに
溶解し、非イオン性界面活性剤、Triton X-102(典型的には、水中5wt%
)を用いてエマルジョンとして分散した。使用した塩基はテトラエチルアンモニウムヒド
ロキシド(1当量)であった。
【0128】
記述されたすべての重合反応は、エマルジョン状態において、(IPr*)PdCl2
(TEA)により、30℃で24~48時間後に成功裡に触媒された。
【0129】
【0130】
<2.1 ポリ(9,9-ジオクチルフルオレン)、PF8[ポリ(1-2)]エマルジ
ョンの合成>
[典型的な重合反応]
以下の手順を使用して、表2の反応Aとして示された、ナノ粒子のPF8分散体を生成
した。100ml三口丸底フラスコ中で、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(
水中40%)(0.16g、0.4mmol)を、非イオン性界面活性剤、Triton
X-102(2.5g、脱イオン水中5wt%)の水溶液(50ml)に添加した。次
いで、オーバーヘッドスターラーモーターで駆動されるD型PTFEパドルを用いて撹拌
しながら、溶液を通して窒素ガスを吹き込むことによって、内容物を30分間十分に脱気
した。次いで、別の10ml二口丸底フラスコを使用して、有機溶媒中にモノマーを一緒
に混合し、その後、反応フラスコに添加した。モノマー1(0.1151g、0.2mm
ol)及びモノマー2(0.1096g、0.2mmol)をキシレン(2ml)に溶解
した。モノマー溶液を脱気し、次いで、触媒(IPr*)PdCl2(TEA)(0.0
095g、0.008mmol)を添加し、続いて、得られた溶液をさらに脱気した。モ
ノマー/触媒溶液を、今度は30℃に維持された主反応フラスコにおいて撹拌された界面
活性剤/塩基溶液(300rpm)中に移動させるのにシリンジを使用した。内容物を、
窒素ガス下30℃で24時間機械的に撹拌した。モノマー/触媒混合物の添加により、内
容物が濁ってくるようになる。約1時間後、反応内容物は、ナノ粒子が形成されるにつれ
て澄んできて、残る反応時間の間に、分散体の色は次第に淡黄色に変化した。
【0131】
最終粗製エマルジョンの試料(0.5ml)を遠心機バイアルに添加し、1.0mlの
メタノールを加えた。次いで、バイアル内容物を14,000rpmで10分間遠心分離
した。ポリマー材料は沈降分離され、上澄み液をピペットによってデカンテーションした
。水(0.5ml)を添加して、試料材料を再分散させ、次いでメタノール(1.0ml
)を添加し、14,000rpmで10分間のさらなる遠心分離のサイクルを完了した。
上澄みを再びバイアルからデカンテーションし、ポリマーを真空下で乾燥させておいた。
存在するポリマーのモル質量を決定するためのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)解
析に備えて、少量のTHF(1.5ml)を試料バイアルに添加して、ポリマーを再溶解
した。報告されたUV-可視光スペクトル特性及びDLS解析は、水3ml中の、粗製エ
マルジョン8μLから得られた。エマルジョンの蛍光測定は、λ=390nmにおける励
起から得られた。
【0132】
より高濃度のPF8ナノ粒子は、表2の反応B、C及びDに概説されたように、キシレ
ン中のモノマー濃度、並びに/またはキシレンの量及び界面活性剤をそれぞれ増加させる
ことによって達成された。PF8エマルジョンの光学的特性を表3に概説する。
【0133】
PF8ナノ粒子のエマルジョンのTEM解析は、この合成方法を用いて標準的棒状構造
が形成されたことを示した。アスペクト比4~5を有する長さが最大で100nmまでの
棒が観察された。
【0134】
<2.2 ポリ[(9,9-ジ-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-(ベ
ンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル)]、PF8BT[ポリ(1-3)
]エマルジョンの合成>
ボロン酸エステル1(0.1151g、0.2mmol)及びジブロモ3(0.058
00g、0.2mmol)モノマーを用いてセクション2.1に記載された方法を繰り返
して、PF8BTナノ粒子を含有するエマルジョン(表2の反応E)を合成した。エマル
ジョン反応で生成されたポリマーの試料を、モル質量分析のために前述の方法を用いて単
離した。生成されたポリマーのモル質量及び形成されたエマルジョンの特性決定を表2に
示す。UV-可視光スペクトル特性及び報告されたDLS解析を、水3ml中の粗製エマ
ルジョン27μLから得た。エマルジョンの蛍光測定を、λ=470nmにおける励起か
ら得た。
【0135】
より高濃度のPF8BTナノ粒子は、反応の開始時にキシレンに溶解したモノマーの濃
度を増加させることによって得た(表2の反応F)。PF8BTエマルジョンの光学特性
を表3に概説する。
【0136】
PF8BTナノ粒子のエマルジョンのTEM解析は、約20nmの平均粒径(dn)を
有する球状ナノ粒子の標準的な分布を示した。
【0137】
<2.3 ポリ(9,9’-ジオクチルフルオレン-co-ビス-N,N’-(4-ブチ
ルフェニル)ジフェニルアミン)、PF8TAA[ポリ(1-4)]エマルジョンの合成
>
ボロン酸エステル1(0.1151g、0.2mmol)及びジブロモ4(0.091
80g、0.2mmol)モノマーを用いてセクション2.1に記載された方法を繰り返
して、PF8TAAナノ粒子を含有するエマルジョン(表2の反応G)を合成した。この
場合は、反応を30℃で48時間維持した。エマルジョン反応で生成されたポリマーの試
料を、モル質量分析のために前述の方法を用いて単離した。生成されたポリマーのモル質
量及び形成されたエマルジョンの特性決定を表2に示す。UV-可視光スペクトル特性及
び報告されたDLS解析を、3mlの水中の粗製エマルジョン11μLから得た。エマル
ジョンの蛍光測定を、λ=380nmにおける励起から得た。
【0138】
より高濃度のPF8TAA[ポリ(1-4)]ナノ粒子を生成するためのさらなるエマ
ルジョン反応は、4倍高濃度のモノマー、キシレン、界面活性剤及び塩基から出発するこ
とにより成功裡に完成された。これは、9.5mg/mlの共役ポリマー材料を含有して
いるエマルジョンを生成することに等しかった(表2の反応H)。
【0139】
100ml三口丸底フラスコ中で、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(水中
40%)(0.6268g、1.6mmol)を、非イオン性界面活性剤、Triton
X-102(10g、脱イオン中20wt%)の水溶液(50ml)に添加した。次い
で、機械的に撹拌された溶液を通して窒素ガスを吹き込むことによって内容物を30分間
十分に脱気した。次いで、有機溶媒中にモノマーを一緒に混合するために別の10ml二
口丸底フラスコを使用し、その後反応フラスコに添加した。ボロン酸エステル1(0.4
604g、0.8mmol)及びジブロモ4(0.3672g、0.8mmol)をキシ
レン(8ml)に溶解した。モノマー溶液を脱気し、次いで、触媒(IPr*)PdCl
2(TEA)(0.038g、0.032mmol)を添加し、続いて、得られ溶液をさ
らに脱気した。モノマー/触媒溶液を、今度は30℃に維持された主反応フラスコ中にお
いて撹拌された界面活性剤/塩基溶液(300rpm)中に移動させるのにシリンジを使
用した。内容物を、窒素ガス下30℃で48時間機械的に撹拌した。
【0140】
エマルジョン反応で生成されたポリマーの試料を、モル質量分析のために前述の方法を
用いて単離した。生成されたポリマーのモル質量及び形成されたエマルジョンの特性決定
を表2に示す。UV-可視光スペクトル特性及び報告されたDLS解析を、水8.5ml
中の粗製エマルジョン12μLから得た。エマルジョンの蛍光測定を、λ=380nmに
おける励起から得た。PF8TAAエマルジョンの光学特性を表3に概説する。
【0141】
PF8TAAナノ粒子のエマルジョンのTEM解析は、20~40nmの間の平均粒径
(dn)を有する球状ナノ粒子の標準的な分布を示した。
【0142】
<2.4 ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-ビチオ
フェン]、PF8T2[ポリ(1-5)]エマルジョンの合成>
ボロン酸エステル1(0.1151g、0.2mmol)及びジブロモ5(0.064
8g、0.2mmol)モノマーを用いて、2.1節に記載された方法を繰り返して、P
F8T2ナノ粒子を含有するエマルジョン(表2Aの反応I)を合成した。エマルジョン
反応で生成されたポリマーの試料を、モル質量分析のために前述の方法を用いて単離した
。生成されたポリマーのモル質量及び形成されたエマルジョンの特性決定を表2Aに示す
。UV-可視光スペクトル特性及び報告されたDLS解析を、水3ml中の粗製エマルジ
ョン12μLから得た。エマルジョンの蛍光測定を、λ=460nmにおける励起から得
た。
【0143】
より高濃度のPF8T2ナノ粒子は、2倍増量のキシレン及び界面活性剤中の、4倍増
量のモノマー及び塩基から出発することにより成功裡に完成された。これは、8.2mg
/mlの共役ポリマー材料を含有しているエマルジョンを生成することに等しかった(表
2Aの反応J)。PF8T2ナノ粒子の光学特性を表2Bに概説する。
【0144】
PF8T2ナノ粒子のエマルジョンのTEM解析は、この合成方法を用いて標準的棒状
構造が形成されることを示した。アスペクト比4~5を有する長さが最大で200nmま
での棒が観察された。
【0145】
【0146】
【0147】
[実施例3]
<ポリフルオレン(PFO)及びポリ(9,9’-ジオクチルフルオレン-co-ベンゾ
チアジアゾール)(PF8BT)のナノ粒子の調製>
[全般的なミニエマルジョンの手順]
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、250mg)及び脱イオン水(25mL)をSch
lenkチューブに移し、得られた溶液を、20分間アルゴンを吹き込むことによって脱
気した。モノマーA及びB(表3を参照)をトルエン(1mL)に溶解し、これにヘキサ
デカン(78μL)も添加し、この溶液を同様に5分間脱気した。触媒(表3を参照)を
モノマー溶液に添加し、次いでこれを反応容器に移した。反応混合物を、氷浴で冷却しな
がら、超音波処理(Cole Parmer 750W超音波発生装置、マイクロチップ
を使用、出力40%)によって2分間乳化した。Schlenkチューブを再封止し、ミ
ニエマルジョンを反応温度(表3を参照)まで加熱し、16時間撹拌した。室温まで冷却
後、反応容器のふたを取り外し、残留有機溶媒を除去するために、エマルジョンを5時間
撹拌した。残留SDSを除去するために、エマルジョンを25KDa MWCOを有する
透析チューブに移し、水と接触させて7日間透析した(水を1日当たり2回交換した)。
【0148】
【0149】
[動的光散乱(DLS)解析]
DLS解析用のナノ粒子を調製するために、100μLの水性分散体を900μLの脱
イオン水で希釈し、Malvern Zetasizer Nano ZSを用いて粒径
を測定した。
【0150】
【0151】
[ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)解析]
各試料のナノ粒子を含む線状ポリマーを、250μLの水性分散体を蒸発乾固させるこ
とによって単離し、次いで残渣をTHF(1.5mL)に溶解した。この溶液を、0.4
5μmフィルターを通したろ過によって、不溶性の界面活性剤(SDS)を除去した。ゲ
ル浸透クロマトグラフィーを、2×PLゲル10μm Mixed-B及びPLゲル50
0Aカラム、Viscotek VE3580 RI検出器及びVE 3240 UV/
VIS 50マルチチャネル検出器を用いた、Viscotek GPCmax VE2
001溶媒/サンプルモジュールを使用して35℃で実施した。流量は1mL/分であり
、システムをAgilent製の200~180×104g/molの範囲の多分散度の
低いポリスチレン標準物質で校正した。解析した試料は、フローマーカーとしてn-ドデ
カンを含有していた。
【0152】
【0153】
[光物理的な特性決定]
UV-可視光吸収及び光ルミネセンススペクトルの測定のために、調製されたままのナ
ノ粒子分散体の試料を、λabsにおける光学密度が<1になるまで脱イオン水で希釈し
た。ナノ粒子分散体のUV-可視光吸収スペクトルをVarian Cary 55 5
000UV-Vis-NIR分光光度計により室温で記録した。その蛍光スペクトルを、
THF(線状ポリマー)または水(ナノ粒子)中のいずれかで室温においてVarian
Cary Eclipse蛍光光度計で記録した。
【0154】
【0155】
[実施例4]
<PFOをベースとする緑色及び赤色発光共役ポリマーナノ粒子(CPN)の合成>
緑色(PFO-BT)及び赤色発光(PFO-DBT)を有するPFOをベースとする
一連の共役ポリマーナノ粒子(CPN)を、9,9-ジオクチル-9H-フルオレン-2
,7-ジボロン酸ビス(ピナコール)エステル(A)と、9,9-ジオクチル-2,7-
ジブロモフルオレン(B)、及びアクセプター単位として、異なる添加量の4,7-ジブ
ロモ-2,1,3-ベンゾチアジアゾール(C)または4,7-ビス(2-ブロモ-5-
チエニル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾール(D)との鈴木カップリングを介したミ
ニエマルジョン重合によって合成した。
【化22】
【0156】
[全般的なミニエマルジョンの手順]
Schlenkチューブ中で、アルゴン下、ドデシル硫酸ナトリウム(50mg)を脱
イオン水(10mL)に溶解した。溶液を、アルゴンを吹き込むことによって30分間脱
気した。別のフラスコ中で、モノマーA(58.6mg、9.12×10-2mmol)
、モノマーB及びモノマーCまたはD(表6中の量)をトルエン(1mL)に溶解し、こ
れにヘキサデカン(78μL)を添加し、混合物を、アルゴンを吹き込むことによって5
分間脱気した。この時間後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(
2.2mg、9.13×10-3mmol)をモノマー混合物に添加し、次いで、これを
SDS溶液に注入した。ミニエマルジョン化を促進するために、Schlenkチューブ
を氷浴に収容し、混合物を、マイクロチップを備えた超音波発生装置(Cole Par
mer 750 W超音波発生装置、振幅22%)を用いて2分間超音波処理をした。チ
ューブを再封止し、次いで最大72℃まで加熱した。この温度に達したあと、水酸化ナト
リウム1M水溶液(365μL)を添加し、反応混合物を16時間撹拌した。室温に到る
まで冷却した後、Schlenkチューブを開け、混合物を5時間撹拌して、残留トルエ
ンを除去した。SDSを除去するために、400μLの得られたミニエマルジョンを1.
6mLの脱イオン水で希釈し、あらかじめ水(2×2mL)で洗浄したAmberlit
e XAD-2(20mg)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、Amberli
te XAD-2を除去した。Amberlite XAD-2による処理を、混合物を
振とうしたとき、泡の形成がもはや観察されなくなるまで繰り返した。
【0157】
【0158】
DLSにより粒径を決定するために、SDS除去後の各試料60μLを、1mLの脱イ
オン水で希釈し、Malvern Zetasizer Nano ZSを用いて評価を
実施した。
【0159】
ミニエマルジョンから得られたポリマーの分子量を、THF中のゲル浸透クロマトグラ
フィーによって決定した。750μLの粗製ミニエマルジョンを1.5mLエッペンドル
フチューブに添加し、チューブにメタノールを充填することによってポリマーを単離した
。試料を14,000rpmで10分間遠心分離し、デカンテーションした。各試料に対
して得られた沈殿物を乾燥し、THF(1mL)に溶解し、次いで、0.45μmのフィ
ルターを通してろ過した。フローマーカーとしてn-ドデカンを添加後、2×PLゲル1
0μm Mixed-B及びPLゲル500Aカラム、Viscotek VE3580
RI検出器及びVE 3240 UV/VIS 50 マルチチャネル検出器を備えた
、Viscotek GPCmax VE2001溶媒/サンプルモジュールを用いてG
PC測定を実施した。流量は、1mL/分であり、システムをAgilent製の200
~180×104g/molの範囲の多分散度の低いポリスチレン標準物質で校正した。
【0160】
PFO-BT及びPFO-DBTナノ粒子の分子量及び粒径を表7に示す。
【0161】
【0162】
CPNの水性分散体のUV-可視光吸収スペクトルを、Varian Cary 55
5000UV-Vis-NIR分光光度計を用いて記録した。同じ試料の蛍光スペクト
ルを、緑色及び赤色発光CPNに対して、それぞれλ=390nm及びλ=405nmの
励起波長で、室温でVarian Cary Eclipse蛍光光度計により記録した
。蛍光量子収率(QY)を、検出器として使用した、光子カウンテングモードで作動する
冷却されたR928P光電子増倍管を備えた励起及び発光の2つのモノクロメーターで構
成された、Fluorolog 3-22-iHR(Horiba)分光蛍光光度計に装
着された積分球を用いて決定した。光物理的な特性を表8に示す。
【0163】
【0164】
[実施例5]
<ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(P3HT)ナノ粒子の合成>
P3HTナノ粒子を、ミニエマルジョン重合を用いた鈴木カップリングを介して、Br
及びMIDAボロナートで官能化されたA-Bタイプのモノマーから合成した。
【化23】
【0165】
Schlenkチューブ中で、ドデシル硫酸ナトリウム(50mg)を、アルゴン下脱
イオン水(10mL)に溶解した。溶液を、アルゴンを吹き込むことによって30分間脱
気した。別のSchlenkフラスコ中に、モノマーA(75mg、0.187mmol
)及びヘキサデカン(78μL)を添加した。モノマーを含有するフラスコをグローブボ
ックスに収容し、次いでPd2(dba)3(4.3mg、4.65×10-3mol)
、SPhos(3.9mg、9.3×10-3mol)及び1mLの脱気したトルエンを
添加した。得られた溶液を、アルゴンを吹き込むことによってさらに10分間脱気した。
この時間後、モノマー混合物を、撹拌下SDS溶液に注入した。ミニエマルジョン化を促
進するために、Schlenkチューブを氷浴に収容し、混合物を、マイクロチップを備
えた超音波発生装置(Cole Parmer 750 W超音波発生装置、振幅22%
)を用いて2分間超音波処理をした。チューブを再封止し、次いで最大で55℃または7
2℃まで加熱した。所望の温度に達したあと、リン酸カリウム1M水溶液(375μL)
を添加し、反応混合物を20時間撹拌した。室温に到るまで冷却した後、Schlenk
チューブを開け、混合物を5時間撹拌して、残留トルエンを除去した。
【0166】
DLSによって粒径を決定するために、各粗試料60μLを、1mLの脱イオン水で希
釈し、Malvern Zetasizer Nano ZSを用いて評価を実施した。
【0167】
ミニエマルジョンから得られたポリマーの分子量を、実施例4で説明したように、TH
F中のゲル浸透クロマトグラフィーによって決定した。
【0168】
CPNの水性分散体のUV-可視光吸収スペクトルを、実施例4で言及したように、V
arian Cary 55 5000UV-Vis-NIR分光光度計を用いて記録し
た。
【0169】
P3HTナノ粒子の分子量、粒径及び吸収極大を表9に示す。
【0170】
【0171】
[実施例6]
<ナノ粒子及び線状のPBTTTをベースとするデバイスの製造及び特性決定>
トップゲート/ボトムコンタクト型OFETの概略図を
図3に示す。
【0172】
トップゲート/ボトムコンタクト型デバイスを、以下の方法により製造した。ガラス基
板を、メタノール、アセトン及びイソプロパノールによる逐次のすすぎによって清浄にし
、続いて窒素フロー下で乾燥した。次いで、ガラス基板をUV/オゾンに20分間、及び
酸素プラズマ(60W)に2分間曝露した。3nmのCrを熱蒸着させ、続いて40nm
のAuを蒸着させた。基板をペンタフルオロベンゼンチオール(PFBT)のエタノール
溶液に24時間浸漬して、分子がチオラート結合によって金に化学吸着された自己組織化
単分子層(SAM)を形成させた。SAMで被覆された基体を、物理吸着された物質を除
去するために溶媒ですすいだ後、水中のナノ粒子PBTTT(10mg/ml、周囲温度
)または1,2-ジクロロベンゼン中の線状のPBTTT(7mg/ml、100℃に加
熱された)を、それぞれ、周囲条件下で、または窒素グローブボックス中で、2000r
pmで1分間スピンコートし、続いて160℃で20分間アニーリングした。次に、ポリ
(1,1,2,4,4,5,5,6,7,7-デカフルオロ-3-オキサ-1,6-ヘプ
タジエン)、(200μl、ペルフルオロトリブチルアミン中9wt%溶液)を、周囲条
件下、3000rpmで1分間スピンコートした。次いで、基板を100℃で40分間乾
燥し、Alトップゲート(70nm)を、シャドーマスクを通して高真空条件下(<10
-6Torr)で、基板上に熱蒸着した。これらのデバイスにおいて、チャネル長L及び
チャネル幅Wは、それぞれ、60μm及び1mmであった。次いで、ソースとドレイン接
点を、等方性アルゴンプラズマエッチング(100W、20分)によって隔てた。これら
のデバイスからの例の伝達曲線を
図4及び5に示す。
【0173】
線状のPBTTT及びナノ粒子PBTTTのトランジスタの両方に対する、計算された
パラメーターを表10に示す。
【0174】
【0175】
[参考文献]
(1) McCulloch, I.; Heeney, M.; Bailey, C.; Genevicius, K.; MacDonald, I.; Shkunov, M.; Sparrowe, D.; Tierney, S.; Wagner, R.; Zhang, W.; Chabinyc, M. L.; Kline, R. J.; McGehee, M. D.; Toney, M. F. Nat. Mater. 2006, 5, 328.
(2) Li, J.; Zhao, Y.; Tan, H. S.; Guo, Y.; Di, C.-A.; Yu, G.; Liu, Y.; Lin, M.; Lim, S. H.; Zhou, Y.; Su, H.; Ong, B. S. Sci. Rep. 2012.
なお、本願の出願当初の特許請求の範囲の請求項は以下の通りである。
[請求項1]
水性媒体中に分散された複数のナノ粒子を含む水性組成物であって、(i)前記ナノ粒子が、1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから形成されたコアを含み、(ii)前記ナノ粒子の粒径が、400nm未満であり、(iii)前記水性媒体中の前記ナノ粒子の濃度が、12mM以上であり、前記非架橋のπ共役有機ポリマーが、炭素-炭素の三重結合を含まない真性半導体である、水性組成物。
[請求項2]
前記ナノ粒子の前記コアが、前記1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから本質的になるものである、請求項1に記載の水性組成物。
[請求項3]
前記非架橋のπ共役有機ポリマーのポリマー骨格が、荷電されていないものである、請求項1または請求項2に記載の水性組成物。
[請求項4]
前記ナノ粒子のコアが、安定剤で覆われている、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性組成物。
[請求項5]
前記非架橋のπ共役有機ポリマー中に存在するモノマー単位が、
【化1】
[ここで、式中、R、R
1
及びR
2
は、水素、または有機置換基(例えば、1~30個の炭素原子を場合により含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えば、N、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)であり、Mは、金属(例えば、Ir、Pt、Rh、Re、Ru、Os、Cr、Cu、PdまたはAu)であり、Lは、リガンド(例えば、ハロゲン化物、または1~30個の炭素原子を場合により含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)であり、上記構造は、それぞれ、1個または複数の有機置換基(例えば、1~30個の炭素原子を場合により含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基、または芳香族もしくはヘテロ芳香族基)で場合によりさらに置換されている。]からなる群より選択される、請求項1に記載の水性組成物。
[請求項6]
前記非架橋のπ共役有機ポリマー中に存在するモノマー単位が、
【化2】
[ここで、式中、R、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
及びR
7
は、それぞれ独立に、水素、または1~30個の炭素原子を含み、1個もしくは複数のヘテロ原子(例えばN、O、S、SiまたはP)を場合により含むヒドロカルビル置換基から選択されるものであり、aは、0、1、2または3であり、bは、0、1、2または3であり、c及びdは、0、1または2であり、e及びfは、0または1であり、xは、0、1、2、3または4であり、yは、0、1、2、3または4であり、zは、0、1、2、3または4である。]からなる群より選択される、請求項1に記載の水性組成物。
[請求項7]
前記水性媒体が水である、請求項1~6のいずれか一項に記載の水性組成物。
[請求項8]
前記ナノ粒子のサイズが、30~300nmの範囲内である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性組成物。
[請求項9]
前記水性媒体中の前記ナノ粒子の濃度が、15mM以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の水性組成物。
[請求項10]
請求項1~9のいずれか1項に記載の水性組成物を形成する方法であって、(i)乳化重合またはミニエマルジョン重合技術により前記ナノ粒子を形成して、ナノ粒子の水性懸濁液を形成するステップと、(ii)前記ナノ粒子の懸濁液を場合により精製するステップとを含む方法。
[請求項11]
前記ナノ粒子が、Stille反応または鈴木重合反応によって形成されている、請求項10に記載の方法。
[請求項12]
1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーを含むナノ粒子であって、(i)有機溶媒(例えば、室温のクロロベンゼン)中の溶解度が10mg/ml未満である、1種または複数の非架橋のπ共役有機ポリマーから形成されてなり、(ii)400nm未満の粒径を有する、ナノ粒子。
[請求項13]
前記非架橋のπ共役有機ポリマー中に存在するモノマー単位が、式:
【化3】
(ここで、式中、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、n、c、d、e及びfは、請求項2に記載のものである。)を有する、請求項12に記載のナノ粒子。
[請求項14]
前記非架橋のπ共役ポリマー中に存在するモノマー単位が、式:
【化4】
(ここで、式中、R
1
、R
2
及びnは、請求項2に記載のものである。)を有する、請求項12に記載のナノ粒子。
[請求項15]
前記ナノ粒子のサイズが、30~300nmの範囲内である、請求項12~14のいずれか一項に記載のナノ粒子。
[請求項16]
有機半導体または光起電性デバイスもしくは部品を調製する方法であって、(i)請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む水性組成物を、基板上に堆積させるステップと、(ii)前記基板を前記ナノ粒子のガラス転移温度(Tg)を超える温度まで加熱して、前記基板上にπ共役有機ポリマーの膜を形成するステップとを含む方法。
[請求項17]
請求項16に記載の方法により得られた有機半導体膜。
[請求項18]
有機半導体または光起電性デバイスもしくは部品を調製するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の水性組成物、または請求項12~15のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。
[請求項19]
請求項16に記載の方法により得られた有機半導体または光起電性デバイスもしくは部品。
[請求項20]
請求項17に記載の有機半導体膜を含む、有機半導体または光起電性デバイスもしくは部品。