IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハウス食品グループ本社株式会社の特許一覧 ▶ レンゴー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ラップラウンド箱 図1
  • 特許-ラップラウンド箱 図2
  • 特許-ラップラウンド箱 図3
  • 特許-ラップラウンド箱 図4
  • 特許-ラップラウンド箱 図5
  • 特許-ラップラウンド箱 図6
  • 特許-ラップラウンド箱 図7
  • 特許-ラップラウンド箱 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】ラップラウンド箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/02 20060101AFI20220218BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20220218BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
B65D5/02 K
B65D5/42 Z
B65D5/44 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020209035
(22)【出願日】2020-12-17
(62)【分割の表示】P 2016110905の分割
【原出願日】2016-06-02
(65)【公開番号】P2021042003
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品グループ本社株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】岡本 敦志
(72)【発明者】
【氏名】門田 恭明
(72)【発明者】
【氏名】原 早弥香
(72)【発明者】
【氏名】東山 哲
(72)【発明者】
【氏名】榊 真
(72)【発明者】
【氏名】尾上 ちあき
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0146269(US,A1)
【文献】特開2013-052922(JP,A)
【文献】特開2014-104999(JP,A)
【文献】特表2008-529906(JP,A)
【文献】特開2015-000742(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0238611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0091133(US,A1)
【文献】特開2004-306974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/02
B65D 5/42
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面板(1)、一対の側面板(2)及び底面板(3)が連設され、折り曲げられて物品を包み込み、一対の側面板(2)からそれぞれ延びる内フラップ(5)と、天面板(1)及び底面板(3)からそれぞれ延びる外フラップ(6)とが貼り合わされて、端面で封緘される厚紙製のラップラウンド箱において、
前記内フラップ(5)には、先端縁から側面板(2)との境界へ達しない中間の位置まで切込(8)が入れられ、前記切込(8)は、天面板(1)から延びる上方の外フラップ(6)の内フラップ(5)への接着部(G)と、底面板(3)から延びる下方の外フラップ(6)の内フラップ(5)への接着部(G)の間に位置しており、
前記切込(8)は、幅のない線状のものであり、
上下の対向する外フラップ(6)の先端縁間は、隙間が開いた状態となっており、積み重ねによる荷重が作用すると、前記内フラップ(5)の切込(8)に上下から臨む部分が前後に落ち込んで重なるように変形し、これに伴い、上下の対向する外フラップ(6)の先端縁同士が当接することを特徴とするラップラウンド箱。
【請求項2】
前記内フラップ(5)と側面板(2)の境界の罫線(7)は、内フラップ(5)から側面板(2)へ膨出した凸状となっていることを特徴とする請求項1に記載のラップラウンド箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を包み込むように包装する段ボール、板紙等の厚紙製のラップラウンド箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種商品の輸送用包装に使用される段ボール製のラップラウンド箱として、下記特許文献1には、図8に示すようなものが記載されている。
【0003】
このラップラウンド箱は、段ボールシートが商品を包み込んで天面、一対の側面及び底面を形成するように折り曲げられ、一対の側面からそれぞれ延びる内フラップ51と、天面及び底面からそれぞれ延びる外フラップ52とが接着部Gで貼り合わされて、端面で封緘されるものである。
【0004】
このラップランド箱では、天面及び底面からそれぞれ延びる外フラップ52に、その根元の罫線に沿って圧縮した段潰し加工により幅5~15mmの帯状の薄肉部53が形成され、内フラップ51の天面側及び底面側の両側端が切り欠かれている。
【0005】
このようなラップラウンド箱の構成は、積み重ねた状態で大きな荷重が作用した場合、外フラップ52の薄肉部53が垂直方向の押圧力により外側へ屈曲し、この部分で端面の変形が吸収されるようにして、外フラップ52の変形が目立たないようにし、物流業者からのクレームを減少させることを意図したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公平4-11929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように、外フラップ52の根元部分に薄肉部53を設けたラップラウンド箱では、ケーサーで組み立てる際、外フラップ52が天面及び底面との境界の罫線に沿って正確に折れ曲がらなくなり、組み立てに支障が生じる恐れがある。
【0008】
また、組立状態での高さが低い場合、接着部Gの配置可能領域が狭くなることから、確実な封緘が困難になる恐れがある。
【0009】
そこで、この発明は、積み重ねた状態で保管しても、外見上目立つ変形が生じることがなく、確実に組み立てて封緘できるラップラウンド箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明は、天面板、一対の側面板及び底面板が連設され、折り曲げられて物品を包み込み、一対の側面板からそれぞれ延びる内フラップと、天面板及び底面板からそれぞれ延びる外フラップとが貼り合わされて、端面で封緘される厚紙製のラップラウンド箱において、
前記内フラップには、先端縁から側面板との境界へ達しない中間の位置まで切込が入れられ、前記切込は、天面板から延びる上方の外フラップの内フラップへの接着部と、底面板から延びる下方の外フラップの内フラップへの接着部の間に位置しており、
前記切込は、幅のない線状のものであり、
上下の対向する外フラップの先端縁間は、隙間が開いた状態となっており、積み重ねによる荷重が作用すると、前記内フラップの切込に上下から臨む部分が前後に落ち込んで重なるように変形し、これに伴い、上下の対向する外フラップの先端縁同士が当接するものとしたのである。
【0012】
さらに、前記内フラップと側面板の境界の罫線は、内フラップから側面板へ膨出した凸状となっているものとしたのである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係るラップラウンド箱では、内フラップの先端側中間部の外フラップと接着しない領域に切込を入れているので、組立性や封緘性が低下することがない。
【0014】
そして、物品を包装した状態での倉庫保管等において、積み重ねにより大きな荷重が作用した場合、内フラップの切込に臨む部分が変形し、高さ方向の歪みが吸収されるので、外フラップの変形が抑制され、物流業者からのクレームの減少が期待できる。
【0015】
また、内フラップと側面板の境界の罫線を、内フラップから側面板へ膨出した凸状とすると、内フラップが内側へ反るように湾曲して、積み重ねによる圧縮力が内フラップの先端側に誘導されるので、内フラップの切込に臨む部分に変形を集中させることができ、外フラップの変形抑制の作用が確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施形態に係るラップラウンド箱のブランクを示す図
図2】同上の内フラップの拡大図
図3】同上の包装状態を示す斜視図
図4】同上の包装状態を示す端面図
図5】同上の積み重ね状態を示す斜視図
図6】同上の内フラップの変形状態を示す拡大斜視図
図7切込の参考形態を示す拡大端面図
図8】特許文献1に記載のラップラウンド箱の積み重ね状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。このラップラウンド箱は、図1に示すような段ボールのブランクから図3及び図4に示す形状に組み立てられるものであり、レトルト食品のような商品の輸送用包装に使用される。
【0018】
図1に示すブランクでは、天面板1、一方の側面板2、底面板3及び他方の側面板2が段ボールの段目方向に順次連設され、天面板1の外側端に継代片4が連設されている。一対の側面板2の両端には内フラップ5が、天面板1及び底面板3の両端には外フラップ6がそれぞれ連設されている。
【0019】
天面板1と継代片4の境界には、押罫による罫線に加えて、折曲抵抗を軽減しつつ折り曲げの戻りを防止するため、両端部が曲がった切目4aが入れられ、天面板1から延びる外フラップ6には、開封用として円弧状の切目線6aが入れられている。
【0020】
内フラップ5と一対の側面板2の境界の罫線7は、内フラップ5から側面板2へ膨出した凸状の円弧となっている。そして、これに伴う折曲抵抗の増大を軽減するため、罫線7は、押罫と切目が交互に断続するリード罫とされている。
【0021】
内フラップ5には、図2に示すように、先端縁から側面板2との境界の罫線7へ達しない中間の位置まで、線状の切込8が入れられている。
【0022】
切込8の内フラップ5の先端縁から途中までの部分は、内フラップ5の延出方向に対して傾斜した斜向部8aとされ、これに続く部分は、斜向部8aから曲がって向きが変わった変向部8bとされている。斜向部8aの傾斜方向及び変向部8bの向かう方向は、包装状態での上方とされている。
【0023】
さらに、切込8について詳述すると、内フラップ5の根元の両端を結ぶ線から先端縁までの長さAに対して、切込8の長さBは、1/3~2/3の範囲内に収まるものとされている。また、内フラップ5の幅方向における切込8の斜向部8aの変位Cと変向部8bの変位Dは、それぞれ切込8の長さBの1/4程度とされている。
【0024】
上記のようなブランクをケーサーにより図3に示す形状に組み立てて、レトルト食品のような商品を包装する際には、商品を載せた底面板3から一対の側面板2を起立させ、一方の側面板2から天面板1を商品に被せるように水平方向に折り曲げ、継代片4を下方へ折り曲げて他方の側面板2に貼り付ける。
【0025】
次に、一対の側面板2からそれぞれ延びる内フラップ5と、天面板1及び底面板3からそれぞれ延びる外フラップ6とを、線状に噴射塗布されるホットメルト接着剤により接着部Gで貼り合わせて、端面で封緘する。
【0026】
この包装状態では、図3及び図4に示すように、内フラップ5の切込8は、天面板1から延びる上方の外フラップ6の内フラップ5への接着部Gと、底面板3から延びる下方の外フラップ6の内フラップ5への接着部Gの間に位置するようになっている。
【0027】
また、上下の対向する外フラップ6の先端縁間は、僅かに隙間が開いた状態となり、その隙間から切込8の中間部が露出し、切込8の他の部分は外フラップ6の裏側に隠れるようになっている。
【0028】
上記のようなラップラウンド箱では、外フラップ6の根元部分に段潰し加工を施していないので、組み立てに際し、外フラップ6の折曲位置が不正確になることがなく、所定の直方体に確実に組み立てることができる。また、内フラップ5の先端側中間部の外フラップ6と接着しない領域に切込8を入れているので、ラップラウンド箱の高さが低くても、接着部Gの配置可能領域が狭くなることがなく、封緘性が低下することがない。
【0029】
そして、商品を包装した状態での倉庫保管等において、図5及び図6に示すように、積み重ねることにより、大きな荷重が作用した場合、内フラップ5の切込8に上下から臨む部分が前後に落ち込んで重なるように変形し、高さ方向の歪みが吸収されるので、外フラップ6の変形が抑制され、物流業者からのクレームの減少が期待できる。
【0030】
また、内フラップ5と側面板2の境界の罫線7を内フラップ5から側面板2へ膨出した凸状としているので、内フラップ5が内側へ反るように湾曲して、積み重ねによる圧縮力が内フラップ5の先端側に誘導され、内フラップ5の切込8に臨む部分に変形が集中し、外フラップ6の変形抑制の作用が確実に得られる。
【0031】
また、包装状態で上方及び下方の外フラップ6が内フラップ5と共に内側へ反るので、積み重ねによる大きな荷重が作用した場合でも、外フラップ6が外側へ迫り出すように膨らむ現象が抑制され、外見上の美観が維持される。
【0032】
このとき、内フラップ5においては、切込8の斜向部8aが先端から斜め上方へ傾斜しているので、切込8に臨む部分が突っ張って変形が阻害されることがない。また、切込8は、斜向部8aから変向部8bの向きが変わった形状となっているので、包装する商品が多数個集積されたレトルト食品のように重量のあるものであっても、内フラップ5が切込8から破れて、その破断が拡大する現象が防止される。
【0033】
なお、上記実施形態では、切込8の斜向部8aと変向部8bが基本的に直線から成り、変向部8bが包装状態で垂直上方へ向かうものを例示したが、斜向部8a及び変向部8bは、それぞれ直線に限らず、弧状の曲線であってもよく、変向部8bは、包装状態で下方へ向かうものとしてもよい。
【0034】
また、切込8が幅のない線状のものを例示したが、この発明の実施形態には含まれない参考形態ではあるものの、切込8は、図7に示すように、上下方向に幅を持った切抜溝としてもよい。
【0035】
さらに、切込8の中間部のみが上下の対向する外フラップ6の先端縁間の隙間から露出し、他の部分が外フラップ6の裏側に隠れたものを例示したが、上下の対向する外フラップ6が短く、その先端縁間に大きな隙間が開く形状として、切込8が全体的に露出するようにしてもよい。
【0036】
そのほか、内フラップ5と側面板2の境界の罫線7が全体的に円弧をなすように湾曲したものを例示したが、罫線7は、両端部のみが湾曲し、中間部が垂直方向の直線から成るものとしてもよく、両端部が傾斜した直線から成り、中間部が垂直方向の直線から成るものとしてもよい。
【0037】
ところで、上記実施形態では、材料が段ボールであるラップラウンド箱を例示したが、板紙製のものについても、上記と同様の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 天面板
2 側面板
3 底面板
4 継代片
4a 切目
5 内フラップ
6 外フラップ
6a 切目線
7 罫線
8 切込
8a 斜向部
8b 変向部
G 接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8