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特許7026774発光部品、ランプならびにランプおよび発光部品の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】発光部品、ランプならびにランプおよび発光部品の使用
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20220218BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20220218BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/165
H05B33/14 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020507613
(86)(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018068819
(87)【国際公開番号】W WO2019029937
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-04-08
(31)【優先権主張番号】102017118339.6
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514272140
【氏名又は名称】オスラム オーエルイーディー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OSRAM OLED GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, 93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン シュティークラー
(72)【発明者】
【氏名】ウーリ ヒラー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン モーリッツ
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-162214(JP,A)
【文献】特開2003-045206(JP,A)
【文献】国際公開第2009/133676(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/155
H05B 47/165
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部品(100)であって、
・対で異なる波長領域の光を放出するように構成されている少なくとも4つの光源(1)と、
・前記光源を動作させるための駆動制御装置(2)とを備えており、
・少なくとも2つの前記光源(1)からの光が混ざり、混合光が形成されるように、前記光源(1)を互いに独立して動作させるように前記駆動制御装置(2)は構成されており、
・前記混合光のm v,mel,D65 値を調整するように前記駆動制御装置は構成されており、さらに
・少なくとも4つの前記光源(1)は、最大で450nmの主波長を有する電磁ビームを放出するように構成されている第1の光源(11)を含んでおり、
・少なくとも4つの前記光源(1)は、最小で480nm、最大で520nmまたは最小で455nm、最大で470nmの主波長を有する電磁ビームを放出するように構成されている第2の光源(12)を含んでおり、
・少なくとも4つの前記光源(1)は、緑色光のスペクトル領域の電磁ビームを放出するように構成されている第3の光源(13)を含んでおり、さらに
・少なくとも4つの前記光源(1)は、黄色および/またはこはく色の光スペクトル領域の電磁ビームを放出するように構成されている第4の光源(14)を含んでいる
発光部品(100)。
【請求項2】
前記第2の光源(12)は、前記第1の光源(11)の前記電磁ビームの主波長よりも大きい主波長を有する電磁ビームを放出するように構成されている、請求項1記載の発光部品(100)。
【請求項3】
前記駆動制御装置(2)は、事前に設定可能な領域内で前記混合光のm v,mel,D65 値を変えるように構成されており、
異なるm v,mel,D65 値のもとで、前記混合光の色温度は、平均値を中心として最大で20%ぶんだけ、前記事前に設定可能な領域から変動する、請求項1または2記載の発光部品(100)。
【請求項4】
比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、前記第1の光源(11)は、比較的小さいm v,mel,D65 値の場合よりも、前記第2の光源と比べて、より低い電力で動作させられる、請求項1記載の発光部品(100)。
【請求項5】
前記比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、前記第1の光源(11)は動作させられず、前記第2の光源(12)が動作させられ、前記比較的小さいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、前記第2の光源(12)は動作させられず、前記第1の光源(11)が動作させられる、請求項4記載の発光部品(100)。
【請求項6】
比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、前記第3の光源(13)は、比較的小さいm v,mel,D65 値の場合よりも、前記第2の光源に比べて、より低い電力で動作させられる、請求項1記載の発光部品(100)。
【請求項7】
前記比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、前記第3の光源(13)は動作させられず、前記第2の光源(12)が動作させられ、前記比較的小さいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、前記第2の光源(12)は動作させられず、前記第3の光源(13)が動作させられる、請求項6記載の発光部品(100)。
【請求項8】
前記混合光の光束は少なくとも500lmである、請求項1から7までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項9】
前記第1の光源が、445nmの主波長を有する電磁ビームを放出するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項10】
前記第1の光源にはコンバータがない、請求項1から9までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項11】
前記第2の光源が、少なくとも480nmから最大505nm、または少なくとも455nmから最大470nmの主波長を有する電磁ビームを放出するように構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項12】
前記第2の光源にはコンバータがない、請求項1から11までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項13】
発光部品(100)が2つの第4の光源を含み、一方の光源が黄色の光を発し、他方の光源がこはく色の光を発する、請求項1から12までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項14】
前記駆動制御装置(2)が、混合光のm v,mel,D65 値を所定の範囲内で変化させるように構成されており、混合光の色温度は、所定の範囲からのm v,mel,D65 値が種々ある場合に、平均値を中心として最大で5%変動する、請求項1から13までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項15】
v,mel,D65 値の所定の範囲は、少なくとも0.1以上である、請求項1から14までのいずれか1項記載の発光部品(100)。
【請求項16】
少なくとも500lmの光束を有する光を放出するように構成されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の発光部品を少なくとも1つ備えるランプ(4)。
【請求項17】
請求項16に記載のランプ(4)または請求項1から15までのいずれか1項記載の発光部品の、一般的な照明または輸送手段の内部空間の照明のための使用方法
【請求項18】
前記輸送手段は、以下の輸送手段、すなわち自動車、バス、鉄道車両、飛行機、ボート、潜水艦、ヘリコプターのうちの1つである、請求項17記載の使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発光部品を提示する。
【0002】
解決すべき課題の1つは、照明計画の中心が人間である、いわゆる「ヒューマンセントリックライティング(Human Centric Lighting)」に特に適した発光部品を提示することである。
【0003】
解決すべき別の問題は、この種の部品を有するランプを提示すること、ならびにこの種のランプもしくはこの種の部品の使用を提示することである。
【0004】
少なくとも1つの実施形態では、発光部品は、異なる波長領域の光を対で放出するように構成されている少なくとも4つの光源を含んでいる。すなわち、光源の動作中、光源は電磁ビーム、特に可視光を放射する。ここで、異なる光源の放射光は、光が放射される波長領域の点で、対で相違している。たとえば、光源はそれぞれ特定の主波長を有する光を生成する。
【0005】
色理論では、主波長は、同様の色知覚を生じさせるスペクトル(単色)光を使用して、非スペクトル(多色)光混合を表すことができる。
【0006】
CIE色空間では、特定の色の点と光源のこの色の点とを結ぶ線を、この線が空間の輪郭に2つの点において当たるように、外挿することができる。上記の色により近い交点は、この交点での純粋なスペクトル色の波長として、この色の主波長を表している。異なる光源の主波長は対で異なっている。たとえば、2つの光源からの光の主波長の差は少なくとも15nmである。特に、少なくとも3つの光源が対で異なる色の光を放出することができる。
【0007】
光源は、たとえば、発光ダイオード、有機発光ダイオードおよび/またはレーザーダイオード等の光電子部品であり得る。特に、光源は、コンバータを含まないか次のようなコンバータを含んでいる発光ダイオードチップでもあり得る。このコンバータは、発光ダイオードチップの半導体本体において生成された一次ビームの少なくとも一部を、一次ビームよりも低いエネルギーの二次ビームに変換する。
【0008】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、発光部品は、光源を動作させるための駆動制御装置を含んでいる。駆動制御装置は、たとえば、光源の動作を制御できる少なくとも1つのスイッチであり得る。さらに、駆動制御装置は、マイクロコントローラまたは集積回路であってよい。駆動制御装置はここで、少なくとも2つの光源からの光が混ざって混合光が形成されるように、これらの光源を互いに独立して動作させるように構成されている。これは、たとえば、異なる時間で、異なる期間の間、かつ/または異なる電流強度で、駆動制御装置によって光源が動作させられることを意味する。ここで、発光部品からこのような光源の光の混合光が放出されるように、少なくとも2つの光源を動作させることが可能である。これはたとえば、少なくとも2つの光源が同時に動作させられる、または少なくとも2つの光源が迅速に連続して動作させられることによって実現され、これによって、人間の観察者に対して同様に、光源から放射された光が混ざり、混合光が形成される。このために、駆動制御装置は、たとえば、少なくとも1つのパルス幅変調回路を含んでいてよい、または少なくとも1つのパルス幅変調回路と接続されていてよい。
【0009】
混合光は特に白色光であり得る。
【0010】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、駆動制御装置は、混合光のm v,mel,D65 値を調整するように構成されている。m v,mel,D65 値はメラノピック昼光等価効率ファクターである。混合光の場合には、これは、標準光D65(自然の昼光)のメラノピック昼光等価光束と、フォトオプティカル光束との商から、混合光の眼の感度曲線V(λ)に従って決定される。このファクターを使用して、フォトオプティカル光束を備えた光源に対して、相応するメラノピック昼光等価光束が計算される。m v,mel,D65 値が高いほど、光による刺激が大きくなり、光が照射された人間のメラノプシン生成が低くなる。
【0011】
駆動制御装置によって、混合光のm v,mel,D65 値を調整することができる。これは、たとえば、駆動制御装置を使用して、混合光のm v,mel,D65 値が少なくとも2つの、事前に設定可能な値から選択可能であることを意味し得る。さらに、駆動制御装置を用いて、m v,mel,D65 値を2つ以上、たとえば10個の事前に設定可能な値から選択することが可能である。さらに、光源を駆動制御することによって、混合光のm v,mel,D65 値を準連続的に変えるように、駆動制御を構成することができる。
【0012】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、提示される部品は、
・対で異なる波長領域の光を放出するように構成されている少なくとも4つの光源と、
・光源を動作させるための駆動制御装置とを備えており、
ここで
・少なくとも2つの光源からの光が混ざり、混合光が形成されるように、これらの光源を互いに独立して動作させるように駆動制御装置は構成されており、さらに、
・混合光のm v,mel,D65 値を調整するように駆動制御装置は構成されている。
【0013】
本発明に記載されている発光部品を用いて、混合光のm v,mel,D65 値を調整することができる。これによって、発光部品の混合光を介して人間の目を刺激することによるメラノプシン放出に所期のように影響を与えることができるため、たとえば、高い精神集中が望まれる場合、メラノプシンの生成ができるだけ抑えられる照明を提供することができる。さらに、同じ発光部品によって、高いメラノプシン産出を励起し、これによって、たとえば緊張緩和の局面および休息の局面における刺激の減少を生じさせる混合光を生成することが可能である。
【0014】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、少なくとも4つの光源は、最小で420nm、最大で450nmの支配的主波長を有する電磁ビームを放出するように構成されている第1の光源を含んでいる。たとえば、第1の光源は、動作中に、445nmの支配的主波長を有する電磁ビームを放出する。換言すれば、第1の光源はスペクトルの深青色領域の光を生成する。
【0015】
ここで、発光部品はとりわけ、次のような知識に基づいている。すなわち、メラノピック感度曲線Smel(λ)の最大値が、DIN SPEC 5031-100と比較して、490nmの波長にあり、これによって、このような深青色光がメラノプシン産出の励起をほとんど引き起こさないという知識である。したがって、第1の光源は、m v,mel,D65 値が小さい混合光を生成するのに特に適しており、したがって低いメラノプシン産出に基づいて、刺激効果を有している。
【0016】
第1の光源は特に、コンバータを含まない発光ダイオードまたは発光ダイオードチップであり得る。これは、第1の光源からの光がたとえば、半導体本体の下流に位置するコンバータによってさらに変換されることなく、半導体本体内で直接的に生成されることを意味している。
【0017】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、発光部品は、少なくとも4つの光源の1つとして、第1の光源の電磁ビームの主波長よりも大きい主波長を有する電磁ビームを放出するように構成されている第2の光源を含んでいる。たとえば、第2の光源は、最小で480nm、最大で520nm、または最小で455nm、最大で480nmの支配的主波長を有している。すなわち、動作中に、第2の光源は、青緑(ベルデとも称される)または青色のスペクトル領域の光を放出する。
【0018】
第2の光源は特に、コンバータを含まない発光ダイオードまたは発光ダイオードチップであり得る。これは、第2の光源の光がたとえば、半導体本体の下流に位置するコンバータによってさらに変換されることなく、たとえば半導体本体内で直接的に生成されることを意味する。
【0019】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、発光部品は、緑色光のスペクトル領域の電磁ビームを放出するように構成されている第3の光源を含んでいる。
【0020】
第3の光源は、たとえば、少なくとも1つの発光ダイオードチップを含んでいる光源である。たとえば、発光ダイオードチップは、コンバータが後に続く半導体本体を含んでいる。たとえば、UVビームおよび/または青色光等であり得る、発光ダイオードチップによって動作中に生成された電磁ビームの大部分は、コンバータによって第3の光源の緑色光に変換される。たとえば、名称(蛍光材料コード)GI2を有する蛍光材料をコンバータにおいて使用することができる。択一的に、コンバータを使用せずに緑色光を直接的に生成することができる。
【0021】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、少なくとも4つの光源は、黄色光のスペクトル領域の電磁ビームを放出するように構成されている第4の光源を含んでいる、かつ/または少なくとも4つの光源は、こはく色の光(アンバーとも称される)のスペクトル領域にある電磁ビームを放出するように構成されている第4の光源を含んでいる。ここで特に、発光部品が2つの第4の光源を含んでいることも可能であり、この場合には、一方の光源は黄色光を放出し、他方の光源はこはく色の光を放出する。第4の光源も、相応する有色光を生成するように構成されているコンバータを含むことができる。
【0022】
こはく色の光を生成するために、たとえば、コンバータにおいて、名称(蛍光材料コード)Amber RE314および/またはRot RE4を有する蛍光材料を使用することができる。たとえば、黄色光を生成するために、名称(蛍光材料コード)Gelb YI12RI5を有する蛍光材料を使用することができる。択一的に、コンバータを使用せずに、黄色および/またはこはく色の光を直接的に生成することができる。
【0023】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、駆動制御装置は、事前に設定可能な領域内で混合光のm v,mel,D65 値を変えるように構成されており、ここで異なるm v,mel,D65 値のもとで、混合光の色温度は、平均値を中心として最大で20%ぶんだけ、事前に設定可能な領域から変動する。特に、異なるm v,mel,D65 値のもとで、混合光の色温度は、平均値を中心として最大で15%もしくは5%ぶんだけ、事前に設定可能な領域から変動することが可能である。ここで、異なるm v,mel,D65 値に対する色温度が同じままでもよい。特に、事前に設定可能な領域からの異なるm v,mel,D65 値の調整時の色温度の変化は、人間の観察者には感知されない。
【0024】
v,mel,D65 値の事前に設定可能な領域は、たとえば少なくとも0.1、特に少なくとも0.12以上であり得る。
【0025】
本明細書に記載されている発光部品はここで、とりわけ、たとえば、相互に異なる青色光を放出する第1の光源と第2の光源とを使用することによって、生成される光のm v,mel,D65 値に特に良好に影響を与えることができるという知識に基づいている。ここで異なるm v,mel,D65 値に対する異なる光束を有する第1の光源および第2の光源の使用による色温度における変化を、第3の光源および第4の光源を動作させることによって補償することができる。このようにして、m v,mel,D65 値を変更する際に色温度を一定またはほぼ一定に保つことができる。
【0026】
たとえば、4000Kの生成された混合光の色温度のもとで、0.54の最小のm v,mel,D65 値および0.68の最大のm v,mel,D65 値を実現することができる。これは、1.25の白色光の同じ色温度のもとで、活性化する光から、緊張を緩和する光までの動的なファクターに相当する。
【0027】
すなわち、驚くべきことに、生成された白色混合光の色温度の違いに人間の観察者が気づくことなく、本明細書に記載されている発光部品を用いて、混合光の著しく異なるm v,mel,D65 値を調整することができる。したがって、高いm v,mel,D65 値は、必ずしも青味を帯びた白色の光の生成を伴うわけではなく、かつ低いm v,mel,D65 値は、必ずしも温白色光の生成を伴うわけではなく、異なるm v,mel,D65 値を一定の色温度もとで、たとえばニュートラルホワイト(昼白色)の光に対して実現することができる。
【0028】
特に、本明細書に記載されている発光部品によって、異なるm v,mel,D65 値の混合光を生成することができ、ここで、生成された混合光の色温度は、異なるm v,mel,D65 値に対してできるだけ変化が少ない。
【0029】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、第1の光源は、比較的小さいm v,mel,D65 値の場合よりも、第2の光源と比べて、より低い電力で動作させられる。ここで特に次のことが可能である。すなわち、比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、第1の光源は動作させられず、第2の光源が動作させられ、小さいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、第2の光源は動作させられず、第1の光源が動作させられる、ということが可能である。このようにして、たとえば、2つの極端なm、mel、D65値、すなわち最小のm v,mel,D65 値と最大のm v,mel,D65 値とを特に容易に調整することができる。これは、第1の光源または第2の光源が動作させられることによって行われる。混合光の色温度の変更はここで、第3の光源および/または第4の光源を再調整することによって行うことができる。ここでは特に、最小で455nm、最大で480nmの波長領域において青色光を放出する第2の光源が使用される。
【0030】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、第3の光源は、比較的小さいm v,mel,D65 値の場合よりも、第2の光源に比べて、より低い電力で動作させられる。ここで特に次のことが可能である。すなわち、比較的大きいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、第3の光源は動作させられず、第2の光源が動作させられ、小さいm v,mel,D65 値を有する混合光を生成するために、第2の光源は動作させられず、第3の光源が動作させられる、ということが可能である。このようにして、たとえば、2つの極端なm v,mel,D65 値、すなわち最小のm v,mel,D65 値および最大のm v,mel,D65 値を特に容易に調整することができる。これは、第3の光源または第2の光源が動作させられることによって行われる。混合光の色温度の変更はここで、第1の光源および/または第4の光源を再調整することによって行うことができる。ここでは特に、最小で480nm、最大で505nmの波長領域において青緑色光を放出する第2の光源が使用される。
【0031】
発光部品の少なくとも1つの実施形態では、混合光の光束は少なくとも500lm、特に少なくとも750lmまたは少なくとも1000lmである。すなわち、動作中、発光部品によって少なくとも500lmの光束を有する混合光を生成することができる。ここでこのような高い光束の光は、メラノピック影響付与に特に適していることが判明している。
【0032】
さらにランプが提示される。このランプは、本明細書に記載されている少なくとも1つの発光部品を含んでおり、したがって発光部品に対して記載されているすべての特徴はランプに対しても記載されており、逆も同様である。ランプは、特に、少なくとも500lm、特に少なくとも750lmまたは少なくとも1000lmの光束を有する光を放出するように構成されている。光はここで、ランプの2つ以上の発光部品からの混合光で構成されていてよく、したがって少なくとも500lmの光束を有する混合光を生成するように、個々の部品が構成されている必要はない。
【0033】
さらに、本明細書に記載されているランプと本明細書に記載されている発光部品の使用が提示される。すなわち、ランプおよび発光部品に関して開示されているすべての特徴は、使用に対しても開示されており、逆も同様である。本明細書に記載されているランプまたは本明細書に記載されている部品は、特に、一般的な照明または輸送手段の内部空間の照明のために使用できる。輸送手段は、たとえば、自動車、バス、鉄道車両、飛行機、ボート、潜水艦、ヘリコプター等であり得る。
【0034】
ランプは、たとえば、特別な集中が必要な場合に、高いm v,mel,D65 値でランプが動作され得る作業環境での使用に適している。休息の局面または緊張緩和の局面では、ランプを可能な限り低いm v,mel,D65 値で動作させることが可能である。同じことが、輸送手段におけるランプの動作に当てはまる。たとえば、ランプを飛行機内で使用する場合、ランプを相応に動作させることによって、時間のずれ(時差ボケ)の悪影響を軽減することができる。たとえば、ランプによって生成された光のm v,mel,D65 値を、飛行時間にわたって、目的地の昼光のm v,mel,D65 値に徐々に近づけることができる。一般的な照明として、昼光の経過が再現される。これによって、健康状態が向上し、夜間の睡眠が改善され、さらに日中のパフォーマンスが改善される。
【0035】
本明細書に記載されている発光部品、本明細書に記載されているランプならびに発光部品およびランプの使用を、実施例および属する図面に基づいて以降でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A】本明細書に記載されている発光部品の実施例を概略図で示している。
図1B】本明細書に記載されている発光部品の実施例を概略図で示している。
図2A】本明細書に記載されているランプの実施例を概略図で示している。
図2B】本明細書に記載されているランプの実施例を概略図で示している。
図3A】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図3B】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図3C】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図3D】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図4A】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図4B】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図5A】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図5B】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図6A】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
図6B】本明細書に記載されている発光部品および本明細書に記載されているランプの実施例をより詳細に説明するための図である。
【0037】
同じ要素、同種の要素または同様に作用する要素には図面において同じ参照符号が付けられている。図および図に示されている要素の相互の大きさの比率は、縮尺どおりではない。むしろ、個々の要素は、見やすくする、かつ/または分かりやすくするために、サイズを誇張して示されていることがある。
【0038】
図1Aは、本明細書に記載されている発光部品100の実施例の概略的な平面図を示している。発光部品100は、第1の光源11、第2の光源12、第3の光源13および第4の光源14を含む、4つの光源1を含んでいる。
【0039】
ここで、動作中、第1の光源11は、最大で450nm、たとえば445nmの支配的主波長を有する電磁ビームを生成する。
【0040】
動作中、第2の光源12は、第1の光源11の電磁ビームの主波長よりも大きい主波長を有する電磁ビームを生成する。たとえば、第2の光源は、最小で480nm、最大で505nmの主波長を有する電磁ビーム、または最小で455nm、最大で470nmの主波長を有する電磁ビームを生成する。
【0041】
動作中、第3の光源13は、緑色光を生成する。動作中、第4の光源14は、黄色および/またはこはく色の光を生成する。
【0042】
図1Aの実施例の発光部品100は、さらに、少なくとも2つの光源1の光が混ざって混合光が形成されるように、光源1を相互に独立して動作させるように構成されている駆動制御装置2を含んでいる。混合光は、光の加法混合によって生成される。
【0043】
動作中に対で異なる波長領域を有する光を放出する少なくとも4つの光源を使用することによって、特に高いダイナミズムが可能になる。すなわち、特に、大きい色温度領域から白色混合光を生成することができる。ここで、それぞれが青色光を生成する2つの異なる光源、すなわち第1の光源および第2の光源を使用することによって、メラノプシン産出の励起を変えることができることが判明している。
【0044】
これは、少なくとも2つの光源からの光が混ざって混合光が形成されるように、光源1を相互に独立して動作させるように、駆動制御装置2が構成されていることによって可能になる。この混合光のm v,mel,D65 値は駆動制御装置によって調整可能である。
【0045】
駆動制御装置2をここで、発光部品内、たとえば担体上またはハウジング内に配置することができる。さらに、駆動制御装置2を、光源から離して配置することが可能である。
【0046】
本明細書に記載されている発光部品100の別の実施例を、図1Bの断面図に基づいてより詳細に説明する。この実施例では、光源1がそれぞれ発光ダイオードであり得ることが示されている。ここで第3の光源13は、第1のコンバータ13aが後に続く半導体本体を含んでいる。半導体本体において生成された電磁ビームは、コンバータ13aによって、たとえば緑色光に変換される。
【0047】
第4の光源14は、第2のコンバータ14aを備えた半導体本体を含んでおり、これによって、第4の光源14から黄色またはこはく色の光が放射される。
【0048】
駆動制御装置2を、たとえば、発光部品のハウジング3に一体化することができる。この場合にはたとえば、駆動制御装置は集積回路またはマイクロプロセッサーである。ハウジング3は、たとえば、接続担体、プリント回路基板および/または部品ハウジングであってよく、これは、たとえば、セラミック材料またはプラスチック材料によって形成されていてよい。
【0049】
図2Aは、本明細書に記載されている発光部品100を2つ有している、本明細書に記載されているランプの概略図を示している。このランプは、たとえば、一般的な照明または自動車等の輸送手段における室内照明に使用可能である。これは図2Bに概略的に示されている。
【0050】
図3Aのグラフは、本明細書に記載されている発光部品の実施例の光源1のスペクトルを示している。ここで各光源によって生成された光の正規化された強度が、nm単位の波長λに対してプロットされる。曲線λ11は、主波長P11を有する第1の光源によって生成された光を示している。主波長P11は、たとえば、約445nmの短波青色領域にある。
【0051】
主波長P12を有している曲線λ12は、主波長P12がたとえば465nmにある第2の光源からのものを示している。
【0052】
さらに、発光部品は、波長λ13を有する緑色光を放出する第3の光源と、波長λ14を有する光を放出する第4の光源とを含んでいる。
【0053】
さらに図3Aには、Smel(λ)曲線ならびに眼の感度曲線V(λ)が示されている。ここで、曲線λ11の短波青色光が、刺激曲線Smel(λ)の外側にあることが見て取れる。曲線λ12の長波青色光は、刺激曲線Smel(λ)の最大値に近い。これは、第1の光源11と第2の光源12とを異なって駆動制御することによって、異なるm v,mel,D65 値を有する混合光の生成を可能にする。これによって同様に、加法混合によって生成される、発光部品の混合光の輝度と白色点とを変えることなく、異なるレベルのメラノプシン刺激が可能になる。
【0054】
図3Bに基づいて発光部品が説明されており、ここでは図3Aの発光部品とは異なり、曲線λ14によって特徴付けられる第4の光源は、こはく色の光を放出する光源である。
【0055】
図3Aの光源とは異なり、図3Cは、曲線λ12によって特徴付けられる第2の光源が505nmの主波長P12を有する青緑色光(ベルデとも称される)を放出する発光部品を記載する。ここで、曲線λ13の長波緑色光が、刺激曲線Smel(λ)の外側にあることが見て取れる。曲線λ12の短波青緑色光は、刺激曲線Smel(λ)の最大値に近い。これは、第3の光源13と第2の光源12とを異なって駆動制御することによって、異なるm v,mel,D65 値を有する混合光の生成を可能にする。これによって同様に、加法混合によって生成される、発光部品の混合光の輝度と白色点とを変えることなく、異なるレベルのメラノプシン刺激が可能になる。
【0056】
図3Cとは異なり、図3Dは、曲線λ14によって特徴付けられる第4の光源がこはく色の光を放出する発光部品を示している。
【0057】
図4Aは、図3Aのスペクトルにしたがって、たとえば発光部品の混合光のスペクトルを曲線「Mix」として示している。さらに、眼の感度曲線V(λ)によって重み付けされた、混合光のスペクトルの曲線pが示されており、最後に刺激曲線Smel(λ)によって重み付けされた、混合光の曲線mが示されている。
【0058】
図4Aに示されている曲線Mixはここで、0.54のm v,mel,D65 値のもとで、4000Kの色温度および82の演色評価数を伴う白色混合光を表している。これは、第1の光源11が動作させられ、第2の光源12が動作させられないことによって実現される。
【0059】
たとえば、光源1を動作させる、PWM回路のDTC値は、光源1に対して以下の値を有している。
【0060】
【表1】
【0061】
ここで第3の光源13は、緑色光を生成し、第4の光源は黄色光を生成する。
【0062】
これとは異なり、図4Bは、図4Aに相当する、白色混合光に対するスペクトルを、4000Kの色温度および89の演色評価数のもとで、0.68のm v,mel,D65 値のもとで示している。ここでは、第1の光源11は動作させられず、第2の光源が動作させられる。
【0063】
たとえば、光源1を動作させる、PWM回路のDTC値は、光源1に対して以下の値を有している。
【0064】
【表2】
【0065】
したがって、本明細書に記載されている発光部品によって、メラノプシン刺激時の最大変化が可能になる。同じ輝度の場合に刺激効率が向上し、個別の白色点調整が可能になる。したがって、人間の観察者にとって白色点が顕著にシフトすることなく、m v,mel,D65 値を変えることができる。その結果、白色混合光の同じ色温度の場合に、異なるレベルのメラノプシン刺激が得られる。特に、光源の密集したパッキング密度の場合、たとえば、部品の発光ダイオードチップの場合、良好な光の混合が得られる。
【0066】
図5Aは、図3Aのスペクトルにしたがって、2700Kの色温度および81の演色評価数のもとでの白色光に対する混合光のスペクトルを曲線「Mix」として示している。ここでは、0.35のm v,mel,D65 値が調整されている。
【0067】
たとえば、光源1を動作させる、PWM回路のDTC値は、光源1に対して以下の値を有している。
【0068】
【表3】
【0069】
図5Bのスペクトルは、6400Kの色温度および72の演色評価数のもとでの白色光を示している。ここでは、0.99のm v,mel,D65 値が調整されている。
【0070】
たとえば、光源1を動作させる、PWM回路のDTC値は、光源1に対して以下の値を有している。
【0071】
【表4】
【0072】
すなわち、色温度が一定に保たれていない場合、本明細書に記載されている発光部品を用いて、m v,mel,D65 値を極めて広い領域にわたって変えることができる。この例では、2.8の、青味を帯びた白色光から温白色光への動的なファクターが可能である。
【0073】
図6Aは、図3Cのスペクトルにしたがって、たとえば発光部品の混合光のスペクトルを「Mix」として示している。さらに、眼の感度曲線V(λ)によって重み付けされた、混合光のスペクトルの曲線pが示されており、最後に刺激曲線Smel(λ)によって重み付けされた、混合光の曲線mが示されている。
【0074】
図6Aに示されている曲線Mixはここで、0.35のm v,mel,D65 値のもとで、2700Kの色温度と81の演色評価数とを有している白色混合光を表している。
【0075】
これは、第2の光源12が動作させられず、第3の光源13が動作させられることによって実現される。
【0076】
たとえば、光源1を動作させる、PWM回路のDTC値は、光源1に対して以下の値を有している。
【0077】
【表5】
【0078】
ここで第3の光源13は緑色光を生成し、第4の光源14は黄色光を生成する。
【0079】
これとは異なり、図6Bは、6400Kの色温度および72の演色評価数のもとでの、1.17のm v,mel,D65 値での白色混合光に対する、図6Aに対応するスペクトルを示している。ここでは、第3の光源13は動作させられず、第2の光源12が動作させられる。
【0080】
たとえば、光源1を動作させる、PWM回路のDTC値は、光源1に対して以下の値を有している。
【0081】
【表6】
【0082】
すなわち、色温度が一定に保たれていない場合、本明細書に記載されている発光部品を用いて、m v,mel,D65 値を極めて広い領域にわたって変えることができる。この例では、3.3の、青味を帯びた白色光から温白色光への動的なファクターが可能である。ここで第2の光源として、青緑の光源が使用される。
【0083】
本発明は、これらの実施例に基づく説明によってこれらの実施例に限定されない。むしろ、本発明は、すべての新しい特徴ならびに特徴のすべての組み合わせを包含し、これは特に、特許請求の範囲に記載された特徴のすべての組み合わせを含んでいる。これは、この特徴またはこの組み合わせ自体が特許請求の範囲または実施例において明示的に記載されていない場合でも、当てはまる。
【0084】
この特許出願は、ドイツ特許出願102017118339.6の優先権を主張し、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 光源
11 第1の光源
12 第2の光源
13 第3の光源
14 第4の光源
13a 第1のコンバータ
14a 第2のコンバータ
2 駆動制御装置
3 ハウジング
4 ランプ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B