(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
H01L21/68 R
(21)【出願番号】P 2020508179
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2019009028
(87)【国際公開番号】W WO2019181525
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2018055519
(32)【優先日】2018-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】国田 慎平
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-143795(JP,A)
【文献】特開2015-228398(JP,A)
【文献】特開2013-191626(JP,A)
【文献】特開2008-098513(JP,A)
【文献】特開2015-207765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有し電極を内蔵したセラミック基板と、
前記セラミック基板のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面に固着された金属製のベース部材と、
前記セラミック基板のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられ、前記電極と接続された電極端子と、
前記ベース部材のうち前記電極端子と対向する位置に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔の内周面に固着された絶縁スリーブと、
前記電極端子に可撓性のケーブルを介して接続されると共に前記絶縁スリーブ内に配置された状態で前記絶縁スリーブに固着され、別装置の端子と着脱可能に接続される半導体製造装置側端子と、
一端が前記電極端子に固着されると共に他端が前記半導体製造装置側端子に固着され、前記ケーブルを被覆する可撓性の絶縁チューブと、
前記電極端子のうち少なくとも前記絶縁チューブに被覆されていない部分を被覆する絶縁樹脂部材と、
を備え
、
前記絶縁チューブは、前記ケーブルを覆っている中央部が撓んで膨らんだ形状になっている、
半導体製造装置。
【請求項2】
前記絶縁チューブの内径は、前記ケーブルの外径よりも大きい、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記絶縁スリーブの先端は、前記絶縁樹脂部材に達していない、
請求項1
又は2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記絶縁チューブは、熱収縮チューブである、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記絶縁チューブは、前記貫通孔の軸方向に伸縮可能な材料で形成されているか、又は、前記貫通孔の軸方向に伸縮可能な構造に形成されている、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記ケーブルは、金属製の撚り線である、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置は、エッチング装置、イオン注入装置、電子ビーム露光装置などにおいて、ウエハを固定したりウエハを加熱・冷却したりするのに用いられる。こうした半導体製造装置としては、ウエハ載置面を有し静電電極を内蔵したセラミック製の静電チャックと、この静電チャックのウエハ載置面とは反対側の面に接着された金属製のベース部材とを備えたものが知られている。
図7に特許文献1に開示された半導体製造装置310の部分断面図を示す。この半導体製造装置310は、裏面に電極端子342を有する静電チャック320と、この静電チャック320の裏面に固着された金属製のベース部材330とを備えている。ベース部材330は、電極端子342と対向する位置に貫通孔332を有している。この貫通孔332には、絶縁スリーブ350が固着されている。絶縁スリーブ350には、別装置380の端子382と着脱可能に接続されるチャック側端子344がC字状の固定用リング345を介して固定されている。このチャック側端子344は、電極端子342に可撓性のケーブル346を介して接続されている。絶縁スリーブ350の先端は、電極端子342の周囲の絶縁樹脂部材360に埋め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、各種プロセスのハイパワー化が進んでおり、ベース部材330と電極端子342との間やベース部材330とケーブル346との間に要求される耐電圧が従来よりも高くなってきている。一方、半導体製造装置310では、絶縁スリーブ350の先端が絶縁樹脂部材360に達していないことがあった。その場合、ベース部材330と電極端子342との間やベース部材330とケーブル346との間の耐電圧が要求される値を実現することができず、絶縁破壊が起きるおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ベース部材と電極端子との間やベース部材とケーブルとの間の耐電圧を十分高めることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体製造装置は、
ウエハ載置面を有し電極を内蔵したセラミック基板と、
前記セラミック基板のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面に固着された金属製のベース部材と、
前記セラミック基板のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面に設けられ、前記電極と接続された電極端子と、
前記ベース部材のうち前記電極端子と対向する位置に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔の内周面に固着された絶縁スリーブと、
前記電極端子に可撓性のケーブルを介して接続されると共に前記絶縁スリーブ内に配置された状態で前記絶縁スリーブに固着され、別装置の端子と着脱可能に接続される半導体製造装置側端子と、
一端が前記電極端子に固着されると共に他端が前記半導体製造装置側端子に固着され、前記ケーブルを被覆する可撓性の絶縁チューブと、
前記電極端子のうち少なくとも前記絶縁チューブに被覆されていない部分を被覆する絶縁樹脂部材と、
を備えたものである。
【0007】
この半導体製造装置は、絶縁チューブを備えている。この絶縁チューブは、一端が電極端子に固着されると共に他端が半導体製造装置側端子に固着され、ケーブルを被覆している。また、電極端子のうち少なくとも絶縁チューブに被覆されていない部分は絶縁樹脂部材で被覆されている。つまり、電極端子は絶縁チューブと絶縁樹脂部材によって被覆され、ケーブルは絶縁チューブによって被覆されている。そのため、ベース部材と電極端子との間やベース部材とケーブルとの間の耐電圧を十分高めることができる。
【0008】
本発明の半導体製造装置において、前記絶縁チューブの内径は、前記ケーブルの外径よりも大きくなっていてもよい。こうすれば、絶縁チューブとケーブルとは互いに影響し合うことなく独立して撓むことができる。そのため、絶縁チューブ及びケーブルから電極端子への圧力を低減することができる。
【0009】
本発明の半導体製造装置において、前記絶縁チューブは、前記ケーブルを覆っている中央部が撓んで膨らんだ形状になっていてもよい。こうすれば、絶縁チューブとケーブルとが接触しないため、ケーブルによって絶縁チューブが破損するのを防止することができる。
【0010】
本発明の半導体製造装置において、前記絶縁スリーブの先端は、前記絶縁樹脂部材に達していなくてもよい。本発明の半導体製造装置は、上述した絶縁チューブを備えているため、電極端子を被覆する絶縁樹脂部材に絶縁スリーブの先端が達していなくても、ベース部材と電極端子との間やベース部材とケーブルとの間の耐電圧を十分高めることができる。
【0011】
本発明の半導体製造装置において、前記絶縁チューブは、熱収縮チューブであってもよい。熱収縮チューブは、可撓性を有しているし、加熱すると収縮して径が小さくなるため各端子に固着させやすい。そのため、熱収縮チューブは絶縁チューブとして用いるのに適している。
【0012】
本発明の半導体製造装置において、前記絶縁チューブは、前記貫通孔の軸方向に伸縮可能な材料で形成されているか、又は、前記貫通孔の軸方向に伸縮可能な構造に形成されていてもよい。貫通孔の軸方向に伸縮可能な材料としては、例えば塩化ビニル、シリコーンゴム、フッ素ポリマーなどが挙げられる。これらは、熱収縮チューブの材料としても用いられる。貫通孔の軸方向に伸縮可能な構造としては、例えばベローズ(蛇腹)などが挙げられる。
【0013】
本発明の半導体製造装置において、前記ケーブルは、金属製の撚り線であってもよい。金属製の撚り線は、縮む方向に力を加えたときに膨らんだ形状になって全体の長さが短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】半導体製造装置10の概略を示す部分断面図。
【
図2】半導体製造装置10の端子アセンブリ40付近の拡大断面図。
【
図4】熱収縮チューブ154を用いたときの組立工程図。
【
図5】熱収縮チューブ254を用いたときの組立工程図。
【
図6】絶縁スリーブ50の先端50bが絶縁樹脂部材60に達している場合の部分拡大断面図。
【
図7】半導体製造装置310の概略を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は半導体製造装置10の概略を示す部分断面図、
図2は半導体製造装置10の端子アセンブリ40付近の拡大断面図である。
【0016】
半導体製造装置10は、
図1に示すように、静電チャック20と、ベース部材30と、端子アセンブリ40と、絶縁スリーブ50と、絶縁チューブ52と、絶縁樹脂部材60とを備えている。
【0017】
静電チャック20は、表面がウエハ載置面Sである円盤状のセラミック焼結体(例えばアルミナセラミック焼結体)である。静電チャック20は、内部に、ウエハ載置面Sに載置されたウエハを静電力によって吸着する静電電極22と、電圧が印加されると発熱するヒーター電極24とを有している。この静電チャック20の裏面には、複数の電極端子42が設けられている。電極端子42には、配線22aを介して静電電極22に接続されているものと、配線24aを介してヒーター電極24に接続されているものとがある。この静電チャック20が本発明のセラミック基板に相当する。
【0018】
ベース部材30は、金属(例えばアルミニウムやアルミニウム合金など)製の円盤状部材である。ベース部材30は、静電チャック20のうちウエハ載置面Sとは反対側の面(裏面)に接着剤により固着されている。ベース部材30は、各電極端子42と対向する位置に貫通孔32を有している。ベース部材30は、静電チャック20を冷却する役割を果たすものであり、内部に冷却水通路(図示せず)が形成されている。
【0019】
端子アセンブリ40は、ベース部材30の各貫通孔32に挿入された絶縁スリーブ50の内部に設けられている。各端子アセンブリ40は、電極端子42に可撓性のケーブル46を介してチャック側端子44を接続したものである。電極端子42は、金属(例えばモリブデン)製であり、
図2に示すように、円盤部42aと円柱状の凸部42bとを有している。円盤部42aは、静電チャック20のセラミック焼結体に設けられた凹穴にろう付され、静電電極22に繋がる配線22a又はヒーター電極24に繋がる配線24aに接合されている。凸部42bは、絶縁チューブ52の一端に差し込まれて固着されている。チャック側端子44は、金属(例えば銅)製の端子であり、
図2に示すように、ピンジャック部44aと凸部44bと凹溝44cとを備えている。ピンジャック部44aは、円柱体に有底穴を設けた雌型コネクタである。凸部44bは、ピンジャック部44aのうち電極端子42と対向する側に設けられた円柱状の突起であり、絶縁チューブ52の他端に差し込まれて固着されている。凹溝44cは、ピンジャック部44aの外周面のうち開口に近い位置の全周にわたって設けられている。凹溝44cには、C字状の固定用リング45が嵌め込まれている。固定用リング45は、電気絶縁性を有する材料、例えばセラミック材料や樹脂材料などで形成されている。ケーブル46は、金属(例えば銅)製の撚り線であり、多数の細線を撚って形成されたものである。そのため、ケーブル46は、圧縮方向に力を加えると中央付近が膨らんで全長が短くなる。ケーブル46は、圧縮方向に力が加えられた状態で電極端子42とチャック側端子44との間のスペースに配置されている。なお、チャック側端子44が本発明の半導体製造装置側端子に相当する。
【0020】
絶縁スリーブ50は、ベース部材30の貫通孔32に挿入されている。絶縁スリーブ50の外周面は、貫通孔32の内周面と接着剤で固着されている。
図2に示すように、絶縁スリーブ50は、貫通孔32の開口縁と掛止するフランジ50aを有している。絶縁スリーブ50の先端50bは、絶縁樹脂部材60に達していない。こうした絶縁スリーブ50は、電気絶縁性を有する材料、例えばセラミック材料や樹脂材料などで形成されている。絶縁スリーブ50の開口縁には、チャック側端子44の凹溝44cに嵌め込まれた固定用リング45が接着剤で固着されている。
【0021】
絶縁チューブ52は、熱収縮チューブであり、軸方向に圧縮されて中央付近が膨らんだ形状(樽状)になっている。熱収縮チューブの材料は、特に限定されないが、例えば塩化ビニル、シリコーンゴム、フッ素ポリマーなどが挙げられる。
図2に示すように、電極端子42の凸部42bは、絶縁チューブ52の一端に差し込まれ、チャック側端子44の凸部44bは、絶縁チューブ52の他端に差し込まれている。絶縁チューブ52は、一端が電極端子42の凸部42bの側面に固着されると共に他端がチャック側端子44の凸部44bの側面に固着されており、中央部がケーブル46を被覆している。
【0022】
絶縁樹脂部材60は、例えばシリコーン樹脂などで形成され、貫通孔32の底面と電極端子42のうち絶縁チューブ52に被覆されていない部分とを被覆する。本実施形態では、絶縁樹脂部材60は、電極端子42の凸部42bの側面を被覆している絶縁チューブ52の外周面も被覆している。
【0023】
次に、半導体製造装置10の製造例について説明する。
図3は、半導体製造装置10の組立工程図である。
【0024】
まず、
図3(A)に示す静電チャック20を用意する。この静電チャック20は、裏面に端子アセンブリ40が取り付けられている。端子アセンブリ40は、電極端子42に可撓性のケーブル46を介してチャック側端子44が組み付けられたものである。この端子アセンブリ40の電極端子42の円盤部42aが配線22a(又は配線24a)と電気的に接続されるようにろう付けされている。
【0025】
続いて、
図3(B)に示すように、軸方向にも径方向にも伸縮可能な熱収縮チューブ54を端子アセンブリ40のケーブル46に被せる。ここで用いた熱収縮チューブ54は、内径がチャック側端子44の外径とほぼ同等で、熱収縮率が長さ全体にわたって同じものである。熱収縮チューブ54は、一端が電極端子42の凸部42bを覆い、他端がチャック側端子44の凸部44bを覆い、中央部がケーブル46を覆うように、配置される。この状態で、図示しないヒートガンを用いて、熱収縮チューブ54のうち電極端子42の凸部42bを覆っている一端と、チャック側端子44の凸部44bを覆っている他端とを加熱する。
【0026】
すると、
図3(C)に示すように、熱収縮チューブ54のうち電極端子42の凸部42bを覆っている一端とチャック側端子44の凸部44bを覆っている他端は、熱によって収縮して凸部42b,44bに緊密に固着する。熱処理後の熱収縮チューブ54は絶縁チューブ52となる。絶縁チューブ52の両端が凸部42b,44bに緊密に固着しているかどうかとか、絶縁チューブ52が破損しているかどうかとか、絶縁チューブ52に圧縮方向の力を加えたときに容易に収縮するかどうか等については、この段階で、作業者が絶縁チューブ52の外観や収縮性を検査することで容易に調べることができる。
【0027】
続いて、
図3(D)に示すように、静電チャック20の裏面にベース部材30を貼り付け、その後、絶縁樹脂部材60を形成する。具体的には、まず、貫通孔32を設けたベース部材30のうち静電チャック20に対向する面に図示しない接着シートを貼り付け、貫通孔32に絶縁チューブ52の付いた端子アセンブリ40を通した状態で静電チャック20とベース部材30とを接着する。その後、電極端子42の露出面を覆うように貫通孔32の底面に絶縁樹脂材料を注入し固化することにより絶縁樹脂部材60を形成する。このとき、端子アセンブリ40のチャック側端子44は、貫通孔32から外に露出している。
【0028】
続いて、
図3(E)に示すように、貫通孔32に絶縁スリーブ50を挿入する。具体的には、絶縁スリーブ50の外周面に接着剤を塗布したあと、フランジ50aが貫通孔32の開口縁に掛止するまで絶縁スリーブ50を挿入する。このとき、絶縁スリーブ50の先端50bは絶縁樹脂部材60に達していない。そのため、絶縁スリーブ50によって静電チャック20がベース部材30から離れる方向の力を受けることはない。このとき、端子アセンブリ40のチャック側端子44は、絶縁スリーブ50から外に露出している。
【0029】
その後、
図3(F)に示すように、チャック側端子44の凹溝44cに固定用リング45をはめ込み、チャック側端子44を絶縁スリーブ50の奥へ押し込み、固定用リング45と絶縁スリーブ50のフランジ50aとを接着剤で接着する。このとき、絶縁チューブ52の内径はケーブル46の外径よりも大きい。このため、絶縁チューブ52とケーブル46とは互いに影響し合うことなく独立して撓むことができる。また、絶縁チューブ52は、熱収縮チューブであるため、圧縮方向に力が加えられるとケーブル46を覆っている中央部が撓んで膨らんだ形状(樽状)になる。このため、絶縁チューブ52とケーブル46とが接触することはなく、ケーブル46によって絶縁チューブ52が破損するのを防止することができる。また、ケーブル46は、多数の金属細線を撚った撚り線であるため、圧縮方向に力が加えられると金属細線が撓んで中央付近が膨らんだ形状になる。このようにして、半導体製造装置10を製造することができる。
【0030】
次に、半導体製造装置10の使用例について説明する。半導体製造装置10は、ウエハの処理目的に応じた処理装置80(
図1参照、本発明の別装置に相当)に接続して使用する。処理装置80には、半導体製造装置10の各チャック側端子44(雌型コネクタ)に対向する位置に処理装置側端子82(雄型コネクタ)が設けられている。半導体製造装置10を処理装置80に接続する際、ベース部材30を図示しない支持台に固定した状態で、互いに向かい合う端子同士を接続する。続いて、ウエハ載置台Sにウエハを載置し、静電電極22に電圧を印加してウエハ載置面Sにウエハを吸着させる。そして、半導体製造装置10のウエハ載置面Sと対向する位置に設けられた図示しないシャワーヘッドと、ベース部材30との間に、高周波電圧を印加することによりプラズマを発生させてウエハ載置面S上のウエハを処理する。このとき、ウエハの温度が予め設定された温度になるように制御する。例えば、ウエハの温度が低すぎるときには、ヒーター電極24に電圧を印加してヒーター電極24を発熱させることによりウエハを加熱する。一方、ウエハの温度が高すぎるときには、ヒーター電極24への電圧の印加を行わずベース部材30によってウエハが冷却されるようにする。
【0031】
このようにウエハを処理する際、図示しないシャワーヘッドとベース部材30との間にハイパワーの高周波電圧が印加されることがある。ここで、半導体製造装置10は、絶縁チューブ52を備えている。この絶縁チューブ52は、一端が電極端子42の凸部42bに固着されると共に他端がチャック側端子44の凸部44bに固着されている。また、電極端子42のうち絶縁チューブ52に被覆されていない部分は絶縁樹脂部材60で被覆されている。つまり、電極端子42は絶縁チューブ52と絶縁樹脂部材60によって被覆され、ケーブル46は絶縁チューブ52によって被覆されている。そのため、ベース部材30と電極端子42との間やベース部材30とケーブル46との間の耐電圧を十分高めることができる。
【0032】
以上詳述した半導体製造装置10によれば、図示しないシャワーヘッドとベース部材30との間にハイパワーの高周波電圧が印加されたとしても、ベース部材30と電極端子42との間やベース部材30とケーブル46との間の絶縁破壊を防止することができる。すなわち、電極端子42は絶縁チューブ52と絶縁樹脂部材60によって被覆され、ケーブル46は絶縁チューブ52によって被覆されている。そのため、電極端子42を被覆する絶縁樹脂部材60に絶縁スリーブ50の先端50bが達していなくても、ベース部材30と電極端子42との間やベース部材30とケーブル46との間の耐電圧を十分高めることができる。
【0033】
また、絶縁チューブ52の内径は、ケーブル46の外径よりも大きいため、絶縁チューブ52とケーブル46とは互いに影響し合うことなく独立して撓むことができる。そのため、絶縁チューブ52及びケーブル46から電極端子42への圧力を低減することができる。
【0034】
また、絶縁チューブ52はケーブル46を覆っている中央部が撓んで膨らんだ形状になっているため、絶縁チューブ52とケーブル46とが接触しない。そのため、ケーブル46によって絶縁チューブ52が破損するのを防止することができる。
【0035】
また、絶縁チューブ52として用いた熱収縮チューブ54は、可撓性を有しているし、加熱すると収縮して径が小さくなるため各端子42,44の凸部42b,44bに固着させやすい。そのため、熱収縮チューブ54は絶縁チューブ52として用いるのに適している。
【0036】
更に、絶縁チューブ52として熱収縮チューブ54を用い、ケーブル46として金属製の撚り線を用いたため、いずれも、縮む方向に力を加えたときに膨らんだ形状になって全体の長さが短くなる。そのため、
図3(E)から
図3(F)のようにチャック側端子44を絶縁スリーブ50の奥へ押し込むとき、比較的小さな抵抗で押し込むことができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、ケーブル46として多数の金属細線を撚って形成された撚り線を用いたが、コイル形状又はジグザグ形状の金属線を用いてもよい。コイル形状又はジグザグ形状の金属線は、軸方向に伸縮可能なため、圧縮方向に力を受けたときにコイル部分又はジグザグ部分が縮んで全体の長さが短くなる。そのため、これらの金属線は上述したケーブル46の代替品として用いることができる。
【0039】
上述した実施形態では、熱収縮チューブ54として、内径が端子アセンブリ40の外径とほぼ同じで、熱収縮率が長さ全体にわたって同じものを用い、その一端と他端のみを加熱して収縮させたが、
図4や
図5に示す熱収縮チューブ154,254を用いてもよい。
【0040】
図4の熱収縮チューブ154は、熱収縮率が長さ全体にわたって同じだが、両端の内径に比べて中央部の内径が大きいものである。この熱収縮チューブ154を、
図4(A)に示すように、端子アセンブリ40のケーブル46に被せる。具体的には、熱収縮チューブ154の一端が電極端子42の凸部42bを覆い、他端がチャック側端子44の凸部44bを覆い、中央部がケーブル46を覆うように、熱収縮チューブ154を配置する。この状態で、熱収縮チューブ154の全体を加熱する。加熱はヒートガンを用いて行ってもよいし、恒温槽に入れて行ってもよい。加熱後、
図4(B)に示すように、熱収縮チューブ154の一端と他端は凸部42b,44bに固着するが、中央部はもともと内径が大きかったため一端と他端に比べて内径は大きい。加熱後の熱収縮チューブ154は絶縁チューブ152となるが、加熱された後も軸方向に撓むことができる。そのため、これ以降の半導体製造装置10の組立工程は、上述した実施形態と同様に行うことができる。
【0041】
図5の熱収縮チューブ254は、内径が長さ全体にわたって同じ(チャック側端子44の外径とほぼ同等)で、一端と他端の熱収縮率が中央部の熱収縮率よりも大きいものである。この熱収縮チューブ254を、
図5(A)に示すように、端子アセンブリ40のケーブル46に被せる。具体的には、熱収縮チューブ254の一端が電極端子42の凸部42bを覆い、他端がチャック側端子44の凸部44bを覆い、中央部がケーブル46を覆うように、熱収縮チューブ254を配置する。この状態で、熱収縮チューブ254の全体を加熱する。加熱はヒートガンを用いて行ってもよいし、恒温槽に入れて行ってもよい。加熱後、
図5(B)に示すように、熱収縮チューブ254の一端と他端は熱収縮率が大きいため凸部42b,44bに固着するが、中央部は熱収縮率が小さいため一端と他端に比べて内径は大きくなる。加熱後の熱収縮チューブ254は加熱絶縁チューブ252となるが、加熱された後も軸方向に撓むことができる。そのため、これ以降の半導体製造装置10の組立工程は、上述した実施形態と同様に行うことができる。
【0042】
上述した実施形態において、絶縁チューブ52の中央部はベローズ(蛇腹)であってもよい。こうすれば、絶縁チューブ52の蛇腹部分が軸方向に容易に伸縮するため、
図3(E)から
図3(F)への工程において、絶縁スリーブをより容易に押し込むことができる。この場合、絶縁チューブ52は、ベローズという構造によって伸縮性が担保されるため、材料自体に伸縮性が要求されない。
【0043】
上述した実施形態において、絶縁スリーブ50の先端50bは
図6に示すように絶縁樹脂部材60に達していてもよい。こうすれば、ベース部材30と電極端子42との間やベース部材30とケーブル46との間の耐電圧を一層高めることができる。
【0044】
本出願は、2018年3月23日に出願された日本国特許出願第2018-55519号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、半導体製造装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 半導体製造装置、20 静電チャック、22 静電電極、22a 配線、24 ヒーター電極、24a 配線、S ウエハ載置面、30 ベース部材、32 貫通孔、40 端子アセンブリ、42 電極端子、42a 円板部、42b 凸部、44 チャック側端子、44a ピンジャック部、44b 凸部、44c 凹溝、45 固定用リング、46 ケーブル、50 絶縁スリーブ、50a フランジ、50b 先端、52 絶縁チューブ、54 熱収縮チューブ、60 絶縁樹脂部材、80 処理装置、82 処理装置側端子、152 絶縁チューブ、154 熱収縮チューブ、252 加熱絶縁チューブ、254 熱収縮チューブ、310 半導体製造装置、320 静電チャック、330 ベース部材、332 貫通孔、342 電極端子、344 チャック側端子、345 固定用リング、346 ケーブル、350 絶縁スリーブ、360 絶縁樹脂部材、380 別装置、382 端子。