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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】可変潤滑油ベーンポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 14/24 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
F04C14/24 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020521903
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2017082638
(87)【国際公開番号】W WO2019114948
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】518346007
【氏名又は名称】ピエルブルグ ポンプ テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】PIERBURG PUMP TECHNOLOGY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】クーネオ,カーマイン
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/010551(WO,A1)
【文献】特開2017-137854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 14/24
F04C 14/26
F04C 14/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ出口圧力(PO)を有する加圧潤滑油を供給するための可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)であって、
ポンプ入口(106、206)及びポンプ出口(108、208)を定義する静的ポンプハウジング(114、214)と、
ポンプロータ(122、222)に関してシフト可能な制御リング(124、224)であって、それによって容積ポンプ性能を制御するためにポンプロータ(122、222)に関する制御リング(124、224)の偏心量を変化させる、制御リング(124、224)と、
前記シフト可能な制御リング(124、224)内で回転する複数のロータベーン(123、223)を有する回転可能なポンプロータ(122、222)と、
ばね室(126、226)内に配置されて、前記シフト可能な制御リング(124、224)を予圧して高偏心方向(H)に押し込む制御リング予圧ばね(128、228)と、
負荷圧力(PG、PO)と大気圧(PA)の間の圧力範囲でばね室の圧力を制御し、それによって少なくとも2つの異なるポンプ設定圧力値を定義する、圧力制御弁(132、232)と、
パイロット室(130、230)の唯一の油圧接続を提供するパイロット室負荷ライン(138、238)を介して負荷圧力(PG、PO)で加圧されるパイロット室(230)であって、パイロット室の圧力により、前記制御リング予圧ばね(128、228)に対する前記シフト可能な制御リング(124、224)の低偏心方向(L)への移動を生じさせる、パイロット室(230)と、
前記パイロット室負荷ライン(138、238)を通過する潤滑油の流量を示す前記パイロット室負荷ライン(138、238)のスループットを制限する油圧制限要素(140、240)と、
を備える可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
【請求項2】
前記負荷圧力が、エンジンギャラリ圧力(PG)である、請求項1に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102)。
【請求項3】
前記負荷圧力が、ポンプ出口圧力(PO)である、請求項1に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(202)。
【請求項4】
前記パイロット室負荷ライン(238)が、前記ポンプハウジング(214)によって定義され、前記ポンプ出口(208)を前記パイロット室(230)に直接的に流体的に接続する、請求項3に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(202)。
【請求項5】
前記制限要素(140、240)が0.25mmと4mmの間の油圧断面積を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
【請求項6】
前記圧力制御弁(132、232)が、比例弁である、請求項1から5のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
【請求項7】
前記シフト可能な制御リング(124、224)が、前記ポンプロータ(122、222)に対して正確に直線的にシフト可能に提供されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
【請求項8】
前記潤滑油ポンプ(102、202)が、前記圧力制御弁(132、232)を制御する設定圧力制御ユニット(133、233)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧潤滑油を提供するための可変潤滑油ベーンポンプ、特に内燃機関のための加圧潤滑油を提供するための機械式可変容量潤滑油ベーンポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
可変潤滑油ベーンポンプは、例えば歯車またはベルトを介して、エンジンによって機械的に駆動され、加圧された潤滑油をエンジンへ、またはエンジンを介して送液するために、このエンジンに流体的に接続されている。このエンジン内のポンプ出口圧力または潤滑油ギャラリ圧力は、設定された圧力値に制御され安定化される必要がある。
【0003】
WO2015/074700A1は、内燃機関に加圧潤滑油を供給するための典型的な可変潤滑油ベーンポンプを開示している。この可変潤滑油ベーンポンプは、静的なポンプハウジングと、シフト可能な制御リングと、このシフト可能な制御リング内で回転する複数のロータベーンからなる回転可能なポンプロータとを備える。この制御リングは、ポンプロータに対してシフト可能であり、それにより、ポンプロータに対する制御リングの偏心量を変化させて、変位を制御し、その結果、容積ポンプ性能を制御する。
【0004】
可変潤滑油ベーンポンプは、ばね室内に配置された制御リング予圧ばねを備え、シフト可能な制御リングを予圧して高偏心方向に押し込む。また、このポンプはポンプ出口圧力が負荷されて、シフト可能な制御リングを制御リング予圧ばねに抗して低偏心方向に移動させる、パイロット室を備えている。このポンプは、油圧のばね室の圧力を、ポンプ出口圧力と大気圧との間の範囲で調節するための制御弁を備えており、この結果、制御リングの偏心と、それによる容積ポンプ性能を制御することができる。この制御弁は、異なるポンプ出口の設定圧力値を提供可能である。
【0005】
可変潤滑油ポンプは、エンジンによって機械的に駆動されるため、エンジンの回転速度が変動することによって、容積ポンプ性能の変動を引き起こす。このようなポンプの性能の変動は、制御リングの偏心量を制御弁を介してクローズドループ制御することで、補正される。しかし、この制御リングの偏心量のクローズドループ制御は、制御リングの低周波振動、特に5Hzから50Hzの範囲の周波数の振動を引き起こす可能性がある。このような制御リングの振動は、ポンプ出口圧力の変動を引き起こし、ポンプ効率を低下させる可能性がある。このような制御リングの振動は、特にポンプ出口の設定圧力が比較的低い場合に発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低ポンプ設定出口圧力またはエンジン潤滑油ギャラリ設定圧力の各々を確実に提供することができる、簡易な可変潤滑油ベーンポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する可変潤滑油ベーンポンプによって達成される。
【0008】
本発明に係る可変潤滑油ベーンポンプは、ポンプ入口およびポンプ出口を定義する静的ポンプハウジングを備えている。また、このポンプハウジングはシフト可能な制御リングが提供されるポンプ室を定義する。この制御リングは、厳密に直線的にシフト可能であるポンプハウジングに支持されることが可能であり、あるいは、制御リングがアーチ状の経路に沿って移動するように枢動可能に提供されることが可能である。
【0009】
また、本発明に係る可変潤滑油ベーンポンプは、制御リング内に配置された回転可能なポンプロータを備えている。このポンプロータは、複数のポンプ室区画を定義する複数のロータベーンを備えている。これらのロータベーンと、それによるポンプ室区画は、制御リング内で回転する。制御リングの移動が、周囲の制御リングに対するポンプロータの偏心量を変化させ、それによってその変位を制御し、その結果、ポンプの容積性能を制御するように、ポンプロータの回転軸は、静的である。
【0010】
また、本発明に係る可変潤滑油ベーンポンプは、制御リング予圧ばねを備え、シフト可能な制御リングを予圧して高偏心方向に押し込む。最大偏心位置では、ポンプは、最高の変位を提供し、その結果、定義された回転速度に対して最高の容積性能を提供する。
【0011】
予圧ばねは、圧力制御弁によって圧力制御された油圧ばね室内に配置されている。圧力制御弁は、負荷圧力と大気圧に流体的に接続されている。この制御弁は、負荷圧力と大気圧の間でばね室の圧力を制御して、制御リングの偏心を制御し、それによって容積ポンプ性能を制御して、少なくとも2つの異なるポンプの設定圧力値を定義して保証する。制御リング予圧ばねは、低いポンプ設定圧力値を可能にするために、低い剛性を有する。
【0012】
また、本発明に係る可変潤滑油ベーンポンプは、油圧パイロット室負荷ラインを介して負荷圧で油圧的に加圧されるパイロット室を備えている。パイロット室負荷ラインは、パイロット室の唯一の油圧接続部であるので、パイロット室に出入りする流量は、油圧負荷ラインのスループットによって決定される。パイロット室の圧力により、予圧ばねに対する制御リングの低偏心方向への移動を生じさせる。
【0013】
また、本発明に係る可変潤滑油ベーンポンプは、パイロット室負荷ラインのスループットを制限し、それによってパイロット室に出入りする総流量を制限する油圧制限要素を備えている。制御リングの動きはパイロット室の容積を変化させるので、パイロット室に出入りする油圧流量の制限は、制御リングの両方向の動きを減衰させる。その結果、制御リングの振動が回避でき、あるいは少なくとも最小限に抑えることができる。
【0014】
好ましくは、パイロット室に供給され、制御弁を介してばね室に供給される負荷圧力は、潤滑油が供給されるエンジンのギャラリ圧力である。その結果、このエンジンのギャラリ圧力は、ポンプの制御圧力パラメータとなる。内燃機関は、ポンプ出口から来る加圧された潤滑油が供給され、ポンプ出口圧力を有する。制御される圧力パラメータは、ポンプ出口圧力ではなく、内燃機関のギャラリ圧力である。
【0015】
あるいは、負荷圧力は、エンジンに供給されるポンプ出口圧力である。その結果、ポンプ出口圧力は、エンジンに制御された圧力が提供されるように、ポンプの制御された圧力パラメータである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、パイロット室は、ポンプハウジングによって定義されると共にポンプ出口をパイロット室に直接流体的に接続する油圧パイロット室負荷ラインを介して、ポンプ出口の圧力で加圧される。例えば、パイロット室負荷ラインは、ポンプハウジング内のボアとすることができる。これにより、パイロット室への如何なる外部油圧接続をも必要としない、コンパクトなポンプセットアップが可能になる。
【0017】
好ましくは、制限要素は、0.25mmから4mmの範囲の油圧断面積を有している。これにより、制御リングの動きを非常に効率的に減衰させることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、圧力制御弁は比例弁であり、ばね室の圧力と、それによる制御リングの動きを、連続的に制御することができる。その結果、ポンプの性能を非常に正確に制御することができ、ポンプ出口設定圧力またはエンジンギャラリ設定圧力の各々を、連続的に可変かつ安定して制御することができる。
【0019】
好ましくは、シフト可能な制御リングは、ポンプロータの回転軸に対して正確に直線的にシフト可能なように提供される。これにより、如何なるヒンジまたはピボットベアリングをも必要とすることなく、制御リングハウジング本体内での制御リングのシンプルな摩擦ベアリングが可能になる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、潤滑油ポンプは、設定圧力制御ユニットを備えている。この設定圧力制御ユニットは、エンジンの要求に応じてポンプの設定圧力を調整するように、圧力制御弁を制御する。例えば、設定圧力制御ユニットは、エンジン制御ユニットから設定圧力値を受け取ることができ、または温度に依存するポンプ設定圧力制御を提供することができる。
【0021】
本発明の2つの実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明に係る可変潤滑油ベーンポンプの第1実施形態の配置を内燃機関と共に示す図であって、パイロット室と制御弁にはエンジンギャラリ圧力が提供されている図である。
図2】本発明に係る可変潤滑油ベーンポンプの第2の実施形態の配置を内燃機関と共に示す図であって、パイロット室は、ポンプハウジングによって定義された油圧チャネルを介してポンプ出口に油圧的に直接接続されており、制御弁には、ポンプ出口圧力が提供されている図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、エンジン100に加圧潤滑油を供給する可変潤滑油ベーンポンプ102を含む、内燃機関100の潤滑回路の配置の概略図である。潤滑油ポンプ102は、潤滑油ポンプ102の回転速度がエンジン100の回転速度に比例するように、エンジン100によって機械的に駆動される。
【0024】
潤滑油ポンプ102は、潤滑油タンク104からポンプ入口106を介して大気圧PAの潤滑油を吸引し、ポンプ出口108を介して潤滑油供給ライン110を通じてポンプ出口圧力POの加圧潤滑油をエンジン100に供給する。この潤滑油は、エンジン100から潤滑油戻りライン112を介して潤滑油タンク104に戻る。
【0025】
潤滑油ポンプ102は、入口室116を定義するポンプハウジング114と、出口室118と、回転可能なポンプロータ122とシフト可能な制御リング124を有するポンピング室120と、制御リング予圧ばね128を有するばね室126と、パイロット室130を備えている。ポンプ入口室116には、ポンプ入口106を介して大気圧PAの潤滑油が供給される。ポンプ出口室118は、ポンプ出口圧力POで加圧され、ポンプ出口108に流体的に接続されている。
【0026】
ポンプロータ122は、制御リング124内に配置され、静的な回転軸Aについて時計回り方向に回転する。ポンプロータ122は、対応するベーンスリット内に半径方向に摺動可能に支持される5つのロータベーン123を備えている。ポンプハウジング114、制御リング124、およびロータベーン123は、5つの回転ポンプ室区画125を画定する。
【0027】
制御リング124は、2つの放射状に突出したプランジャ129、131を介してポンプハウジング114に放射状に支持されている。制御リング124は、第1のプランジャ129がばね室126内で移動され、第2のプランジャ131がパイロット室130内で移動されることにより、ポンプロータ122に対して正確に直線的に移動可能である。潤滑油ポンプ102の容積ポンプ性能は、制御リング124を移動させ、それによって周囲の制御リング124に対するポンプロータ122の偏心量を変化させることによって制御することができる。
【0028】
制御リング124は、制御リング124を高偏心方向Hに押す制御リング予圧ばね128によって予圧される。その結果、制御リング124のシフト方向の他の力が制御リング124に関して有効でない場合には、制御リング124は、最大容積ポンプ性能を提供する最大偏心位置に押し込まれる。制御リング予圧ばね128は、低いポンプ設定圧力値を可能にするために、低い剛性を備えている。
【0029】
制御リング124は、ばね室126の圧力によって、高偏心方向Hに押される。ばね室の圧力は、圧力制御弁132によって制御される。制御弁132は比例弁であり、エンジンギャラリ圧力PGが供給されるエンジンギャラリ圧力入口134に流体的に接続されている。また、制御弁132は、潤滑油出口136を介して潤滑油タンク104に流体的に接続されている。その結果、制御弁132は、複数の異なるポンプ設定圧力値を定義し保証するために、大気圧PAとエンジンギャラリ圧力PGとの間の圧力範囲でスプリングチャンバ圧力を制御することを可能にする。圧力制御弁132は、設定圧力制御ユニット133によって制御され、ポンプ設定圧力をエンジンの要求に適応させる。
【0030】
制御リング124は、パイロット室130の圧力によって、反対の低偏心方向Lに押される。パイロット室130は、油圧パイロット室負荷ライン138を介してギャラリ圧入口134に流体的に接続されている。その結果、パイロット室は、エンジンギャラリ圧力PGで加圧される。
【0031】
シフト可能な制御リング124の半径方向の位置は、ばね室圧力とパイロット室圧力との比に依存し、その結果、制御弁132を介して制御することができる。
【0032】
制御リング124の移動中に、第2制御リングプランジャ131がパイロット室130内を移動する。その結果、パイロット室130の容積が変化し、それにより、パイロット室負荷ライン138を介してパイロット室130へのまたはパイロット室130からの潤滑油の流れを発生させる。パイロット室負荷ライン138は、パイロット室負荷ライン138のスループットを制限する制限要素140を備えている。制限要素140は、他のすべての油圧ラインが少なくとも7mmの最小油圧断面積を有するのに対し、0.25mmから4mmの範囲内の最小油圧断面積を有するように提供される。その結果、制御リング124の動きが減衰するように、パイロット室130への潤滑油の出入りが制限される。制御リング124の動きの減衰は、制御リングの振動を最小化し、その結果、ポンプ出口圧力の変動を最小化する。
【0033】
図2は、本発明に係る代替的な可変潤滑油ベーンポンプ202を備えた代替的な潤滑回路の配置の概略図である。図1の潤滑回路および潤滑ポンプ102の特徴に対応する図2の潤滑回路および潤滑ポンプ202の特徴は、100だけ増加した参照番号を有する。
【0034】
圧力制御弁232は、弁供給ライン242を介してポンプ出口室218に流体的に接続され、潤滑油出口236を介して潤滑油タンク204に流体的に接続されている。その結果、圧力制御弁232は、大気圧PAとポンプ出口圧力POとの間の圧力範囲でばね室230の圧力を制御することができる。
【0035】
パイロット室230は、ポンプハウジング214によって規定されるパイロット室負荷ライン238を介して、ポンプ出口室218に直接的に流体的に接続されている。その結果、パイロット室230は、ポンプ出口圧力POで加圧される。パイロット室負荷ライン238は、0.25mm2から1mm2の範囲内の油圧断面積を有するオリフィス241によって提供される制限要素240を備えている。制限要素240は、パイロット室負荷チャネル238のスループットを制限し、その結果、制御リング224の動きを減衰させる。
〔付記1〕
ポンプ出口圧力(PO)を有する加圧潤滑油を供給するための可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)であって、
ポンプ入口(106、206)及びポンプ出口(108、208)を定義する静的ポンプハウジング(114、214)と、
ポンプロータ(122、222)に関してシフト可能な制御リング(124、224)であって、それによって容積ポンプ性能を制御するためにポンプロータ(122、222)に関する制御リング(124、224)の偏心量を変化させる、制御リング(124、224)と、
前記シフト可能な制御リング(124、224)内で回転する複数のロータベーン(123、223)を有する回転可能なポンプロータ(122、222)と、
ばね室(126、226)内に配置されて、前記シフト可能な制御リング(124、224)を予圧して高偏心方向(H)に押し込む制御リング予圧ばね(128、228)と、
負荷圧力(PG、PO)と大気圧(PA)の間でばね室の圧力を制御し、それによって少なくとも2つの異なるポンプ設定圧力値を定義する、圧力制御弁(132、232)と、
パイロット室(130、230)の唯一の油圧接続を提供するパイロット室負荷ライン(138、238)を介して負荷圧力(PG、PO)で加圧されるパイロット室(230)であって、パイロット室の圧力により、前記制御リング予圧ばね(128、228)に対する前記シフト可能な制御リング(124、224)の低偏心方向(L)への移動を生じさせる、パイロット室(230)と、
前記パイロット室負荷チャンネル(138、238)のスループットを制限する油圧制限要素(140、240)と、
を備える可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
〔付記2〕
前記負荷圧力が、エンジンギャラリ圧力(PG)である、付記1に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102)。
〔付記3〕
前記負荷圧力が、ポンプ出口圧力(PO)である、付記1に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(202)。
〔付記4〕
前記パイロット室負荷ライン(238)が、前記ポンプハウジング(214)によって定義され、前記ポンプ出口(208)を前記パイロット室(230)に直接的に流体的に接続する、付記3に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(202)。
〔付記5〕
前記制限要素(140、240)が0.25mm と4mm の間の油圧断面積を有する、付記1から4のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
〔付記6〕
前記圧力制御弁(132、232)が、比例弁である、付記1から5のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
〔付記7〕
前記シフト可能な制御リング(124、224)が、前記ポンプロータ(122、222)に対して正確に直線的にシフト可能に提供されている、付記1から6のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
〔付記8〕
前記潤滑油ポンプ(102、202)が、前記圧力制御弁(132、232)を制御する設定圧力制御ユニット(133、233)を備える、付記1から7のいずれか一項に記載の可変潤滑油ベーンポンプ(102、202)。
【0036】
参照リスト
100 内燃機関
102 可変潤滑油ベーンポンプ
104 潤滑油タンク
106 ポンプ入口
108 ポンプ出口
110 潤滑油供給ライン
112 潤滑油戻りライン
114 ポンプハウジング
116 入口室
118 出口室
120 ポンピング室
122 ポンプロータ
123 ロータベーン
124 シフト可能な制御リング
125 ポンプ室区画
126 バネ室
128 制御リング与圧ばね
129 第1制御リングプランジャ
130 パイロット室
131 第2制御リングプランジャ
132 圧力制御弁
133 設定圧力制御装置
134 エンジンギャラリ圧力入口
136 潤滑油排出口
138 パイロット室負荷ライン
140 制限要素
200内燃機関
202 可変潤滑油ベーンポンプ
204 潤滑油タンク
206 ポンプ入口
208 ポンプ出口
210 潤滑油供給ライン
212 潤滑油戻りライン
214 ポンプハウジング
216 入口室
218 出口室
220 ポンピング室
222 ポンプロータ
223 ロータベーン
224 シフト可能な制御リング
225 ポンプ室区画
226 ばね室
228 制御リング与圧ばね
229 第1制御リングプランジャ
230 パイロット室
231 第2制御リングプランジャ
232 圧力制御弁
233 設定圧力制御装置
236 潤滑油出口
238 パイロット室負荷ライン
240 制限要素
241 オリフィス
A 静的な回転軸
H 高偏心方向
L 低偏心方向
PA 気圧
PG エンジンギャラリ圧力
PO ポンプ出口圧力
図1
図2