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特許7026809シール要素及びシールリングを具備するロータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】シール要素及びシールリングを具備するロータ
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/02 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
F01D5/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020541886
(86)(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019050247
(87)【国際公開番号】W WO2019149474
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】18154881.9
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/642,126
(32)【優先日】2018-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・シュレーダー
(72)【発明者】
【氏名】カルステン・コルク
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・クーリー
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・シュプリングボルン
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・カンプカ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ダブリュー・ロス
(72)【発明者】
【氏名】ユリア・バガエヴァ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-015137(JP,A)
【文献】特開2013-221513(JP,A)
【文献】特表2018-508699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/02
F01D 5/30
F01D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンのロータと共に利用するためのシール要素(21,41,61)であって、前記ロータが、少なくとも1つのロータディスク(01)を備えており、前記シール要素(21,41,61)が、少なくとも周方向及びラジアル方向に延在しており、前記シール要素(21,41,61)が、リング状のディスクの一部分と、ラジアル方向外方に向いているラジアル方向外側縁部分とラジアル方向内方に向いているラジアル方向内側縁部分(23,43,63)と、前記ロータディスク(01)に向いている内面と、反対側に位置する外面と、前記内面に配置されている保持突起(25)と、を少なくとも部分的に形成しており、前記ラジアル方向内側縁部分(23,43,63)が、ラジアル方向内方に向かって錐状に構成されており、前記保持突起(25)が、前記ロータディスク(01)に対する前記シール要素(21,41,61)の固定を可能とする、前記シール要素において、
錐状の前記下面が、シール表面(24,44,64)を形成しており、
前記シール表面(24,44,64)と前記ロータシャフトとの、前記内面における距離が、前記外面における距離より小さいことを特徴とするシール要素。
【請求項2】
ガスタービンのロータであって、
周囲に分配配置されている複数のロータブレード保持溝(02)と、アキシアル方向において前面の前方に且つ前記ロータブレード保持溝(02)同士の間に配置されている複数の固定突起と、を有している少なくとも1つのロータディスク(01)と、
周囲に分配配置されている複数のシール要素(21,41,61)であって、保持突起(25)によって前記固定突起(05)に固定されている複数の前記シール要素(21,41,61)と、
を備えている前記ロータにおいて、
前記シール要素(21,41,61)が、請求項1に記載のシール要素であることを特徴とするロータ。
【請求項3】
複数のロータブレードそれぞれが、ブレード根元部によって前記ロータブレード保持溝(02)に固定されており、複数の前記ロータブレードそれぞれが、前記ロータディスク(01)を部分的に囲んでいる前記ブレード根元部に隣り合っているブレードプラットフォームを有しており、
前記ロータディスク(01)の前面を越えて部分的に突出している前記ブレードプラットフォームには、周方向に延伸しているロータシャフトに対して開口しているリングセグメント溝が配置されており、
前記シール要素のラジアル方向外側縁部分が、少なくともアキシアル方向において前記リングセグメント溝に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記保持突起(25)が、前記ロータシャフトに向いているフックによって形成されており、前記固定突起(05)が、ラジアル方向外方に向いているフックによって形成されており、遠心力が、前記ラジアル方向外側縁部分を介して正確に伝達され、若しくは、前記保持突起が、ラジアル方向外方に向いているフックによって形成されており、前記固定突起(05)が、前記ロータシャフトに向いているフックによって形成されており、遠心力が、前記保持突起を介して伝達され、又は、
前記保持突起が、T字状の形態を有しており、前記固定突起が、C字状の形態を有しており、若しくは、
前記保持突起が、C字状の形態を有しており、前記固定突起が、T字状の形態を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載のロータ。
【請求項5】
単一部分品構造又は複数部品構造のシールリング(29,49,69)が、前記ロータシャフトに対面している側面において前記シール要素(21,41,61)に対して当接しており、ピストンリングの形態で構成されていることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項6】
アキシアル方向において、前記シール表面(24,44,64)の幅が、前記シールリング(29,49,69)の幅の0.6倍~0.9倍とされ、又は
アキシアル方向において、前記シールリング(29,49,69)の幅が、前記シールリング(24,44,64)の幅の0.6倍~0.9倍とされることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記ロータの特定の状態において、前記シールリング(29,49,69)の断面領域の中心が、アキシアル方向において、前記シール表面(24,44,64)の領域に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のロータ。
【請求項8】
周方向リング表面(14,34,54)が、前記ロータシャフトに対面している側面において、前記シールリング(29,49,69)の位置を制限しており、
シール縁部(15,35,55)が、アキシアル方向において、前記シールリング(29,49,69)の位置を制限していることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項9】
前記シール縁部(15,35,55)の外径が、前記シールリング(29,49,69)の外径より大きいことを特徴とする請求項8に記載のロータ。
【請求項10】
サポート縁部(35,56)が、内面において、遊嵌が無い状態で前記シールリング(29,49,69)の位置を制限することを特徴とする請求項8又は9に記載のロータ。
【請求項11】
前記サポート縁部(36,56)の外径が、前記シール縁部(15,35,56)の外径より小さく、及び/又は、前記シールリング(29,49,69)の一番小さい外径より大きいことを特徴とする請求項10に記載のロータ。
【請求項12】
ロータ構成部品(11,31,51)が、前記ロータディスク(01)に取り付けられており、
前記ロータ構成部品(11,31,51)が、前記シール縁部(15,35,55)と前記周方向リング表面(14,34,54)とを形成しており、
前記シール縁部(15,35,55)が、少なくとも熱膨張を理由として、前記固定突起(05)に対する制限されたアキシアル方向変位を有していることを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項13】
少なくとも1つのロータディスク(01)を有しているガスタービンのロータであって、
前記ロータディスク(01)が、周囲に分配配置されている複数のロータブレード保持溝(02)と、アキシアル方向において前面の前方に且つ前記ロータブレード保持溝(02)同士の間に配置されている複数の固定突起(05)とを有しており、
前記ロータが、前記ロータディスク(01)に取り付けられていると共に少なくとも限定的にアキシアル方向において変位可能とされるロータ構成部品(71)であって、シール部分(73)を有している前記ロータ構成部品(71)が、周囲に分配配置されている複数のシール要素(81)を有しており、前記シール要素(81)が、周方向及びラジアル方向に延在しており、リング状ディスクの一部分と、ラジアル方向外方に向いているラジアル方向外側縁部分と、ラジアル方向内方に向いているラジアル方向内側縁部分(83)と、前記ロータディスクに向いている内面と、その反対側の外面と、前記内面に配置されている保持突起とを形成している、前記ロータ構成部品(71)を有しており、
前記シール要素(81)が、前記保持突起によって、前記ロータディスク(01)の前記固定突起(05)に固定されており、
前記シール要素(81)の前記ラジアル方向内側縁部分(83)が、前記ロータ構成部品(71)の前記シール部分(73)に隣り合って配置されている、前記ロータにおいて、
前記シール部分(73)が、ラジアル方向外方に向いている側面に錐状シール表面(74)を有しており、前記ラジアル方向内側縁部分(83)が、周方向及びラジアル方向内方に延在しているシール縁部(86)と、アキシアル方向に延在している周方向リング表面とを有しており、
単一部分品構造又は複数部品構造のシールリング(89)が、前記錐状シール表面(74)と前記周方向リング表面(84)と前記シール縁部(86)との間に配置されていることを特徴とするロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロータブレードを周囲に分散させて取り付けることができるロータディスクを有しているロータで利用するためのシール要素に関する。この場合、複数のシール要素が、ロータディスクの前面に配置されており、ロータディスクの前面が、ロータブレードを受容するために必要なロータブレード保持溝のためのカバーを提供する。
【背景技術】
【0002】
ロータブレードを具備するロータディスクとシールプレートとを有している様々な種類のロータが、先行技術から知られている。この場合には、ロータディスクは、周囲に分配配置されているロータブレード保持溝を有しており、ブレード脚部を具備するロータブレードが、ロータブレード保持溝それぞれに固定されている。ロータブレードは、次のブレードプラットフォームに至るまで周方向に延在しているロータディスクの外面に、ブレードプラットフォームをラジアル方向に有している。ロータブレードの前面のうち一方又は両方には、ロータブレード保持溝を覆うためのシールプレートが配置されており、当該シールプレートは、特にロータに沿って流れる高温ガスとロータブレードの内部で流れる冷却空気とを分離するようになっている。
【0003】
このために、シールプレートは、ロータディスクの内側リング溝とロータブレードによって形成された外側リング溝とに既知の態様で取り付けられている。シールプレートをリング溝で支持することによって、シールプレートとロータディスクとの間の領域が、シールプレートの両側の領域から密封される。
【0004】
さらに、当該技術分野では、シールプレートがフック部分を介してロータディスクにさらに固定されている実施例が知られている。この場合には、ロータディスクは、対応するフック手段を有しており、ロータディスクとフック手段とは、ブレード保持溝とシールプレートとの間において互いに噛み合っている。このことが、ロータディスクに対するシールプレートのアキシアル方向における固定を改善する。
【0005】
シールプレートのこのような本質的に優位な固定の欠点は、フック手段を具備するロータディスクにリング溝が必然的に配置されることであり、これによりリング溝とフック手段との両方のアキシアル方向位置が固定される。このことが、唯一の方法とされる。問題の無い組み立てが保証され、シールプレートをロータディスクに組み付ける際におけるシールプレートの曲げ応力が解消される。このような欠点は、特に、フック手段とリング溝とを実現するために必要な処理ステップを利用するロータディスクの製造の際に生じる。
【0006】
このことが、冷却空気の損失を防止するために、リング溝の領域においてシールプレート同士の間にシールを必要に応じて設けるための次の足掛かりになる。このために、第一に、シールプレートが、内側縁部分によってロータディスクに固定され、これにより優位なシールが、内側縁部がリング溝と係合することによって同時に形成されることに留意すべきである。シール要素が内側縁部分によってロータのリング溝に取り付けられている限りにおいては、ロータディスクとシールプレートとの間における過度な圧力が、シールプレートの内側縁部分がロータディスクの反対側に向いているリング溝の縁部に対して押圧されるように発生する。
【0007】
しかしながら、シールプレートが内側縁部においてアキシアル方向に変位することが必要とされる場合には、熱膨張がリング溝の変位を発生させるので、すなわちリング溝が隣り合う構成部品に配置されるので、従前の解決手段を利用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明が解決すべき課題は、シールプレートが、内側縁部分に対するアキシアル方向の固定を必要としないで、内側縁部分から離隔して配置されているロータディスクにアキシアル方向において固定可能とされることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該課題は、請求項1の示唆に従う本発明における第1の実施例のシール要素によって解決される。本発明におけるロータは、請求項2に特定されている。優位な実施例は、従属請求項の主題とされる。
【0010】
当該課題を解決するための同一の着想に基づく本発明における第2の実施例のロータは、請求項14に特定されている。
【0011】
一般的なシール要素は、ロータとの利用を目的としている。第一に、本発明に含まれるロータのタイプは重要ではないが、シール要素は特にガスタービンで利用される。これとは関係なく、実施例は、例えば蒸気タービンのような他の種類のロータについても同様に利用可能とされる。ロータの構成も、シール要素を配設するために重要ではない。ロータシャフトと一方の側面又は他方の側面とを参照することが少なくとも必要とされる。このために、意図されたロータは、ロータディスクを備えており、ロータシャフトを形成している。
【0012】
シール要素は、リング状のディスクの一部分を、この点において、回転体の一部分を少なくとも部分的に形成している。この場合には、シール要素は、実質的に周方向及びラジアル方向に延在している一方、アキシアル方向長さが比較的小さい。この場合には、シール要素は、ロータシャフトに向いている側面に内側縁部分を形成しており、ラジアル方向外方に向いている側面に外側縁部分を形成している。意図された据付位置において、以下に説明するように、ロータディスクに向いている側面が、シール要素の内面として形成されており、ロータディスクの反対側に向いている反対側の側面が、シール要素の外面として形成されている。
【0013】
シール要素は、アキシアル方向にすなわちロータシャフトに向かって隆起した保持突起を内面に有している。当該保持突起は、シール要素をロータディスクに固定するために意図されたように利用される。この場合には、保持突起は、内側縁部分と外側縁部分との間に配置されている。この場合には、第一に、唯一の保持突起及び複数の保持突起のうちいずれの保持突起がシール要素に配置されているのかは重要ではない。また、一の保持突起が一の固定突起に接続されているのか、一の保持突起が2つの固定突起に接続されているのか、及び/又は2つの保持突起が一の固定突起に接続されているのかは重要ではない。重大なことは、保持突起と固定突起との接続を通じてシール要素をロータディスクにアキシアル方向において意図的に固定することである。
【0014】
シール要素がリング状のディスクの一部分すなわち“少なくとも”周方向及びラジアル方向において延在している要素とみなせる場合には、保持突起は無視される。さらに、シール要素は、例えばリブのような、回転体の一部分からは除外されるさらなる形状を有している場合があることに留意すべきである。
【0015】
一般的なシール要素のさらなる特徴として、シール要素は、ロータシャフトに向いている下面に、錐状の周方向面を有している。より具体的には、シール要素がロータシャフトの周りの周方向において部分であることに鑑みて、周方向領域は、周方向において境界が形成されている錐状の回転領域の一部分とされる。
【0016】
錐状の下面を有しているシール板の構成では、先行技術として知られているように、これは、専ら材料節約若しくは重量低減のために利用されるか、又は限定された据付空間を得ることができる。先行技術として知られるすべての場合において、下面又は錐状の周方向面のためのさらなる機能は存在しない。
【0017】
対照的に、本発明では、シール要素の場合に、従来のシール板に対向する錐状の下面の向きが制限され、これによりシール面の機能を実行する。類推によって、これにより、結果的に、シール面とロータシャフトとの距離が、外側から内側に向かって短くなる。
【0018】
さもなければ、一般に、シール要素の内側縁部分に配設されたシールについての先行技術は、内側縁部分の外面をリング状の溝の縁部に接触させて支持することによって実施される。対照的に、本発明では、シールがシール要素の下面すなわち露呈しているシール面に形成される。これにより、アキシアル方向においてリング状の溝に固定された状態で強制的に取り付けられた内側縁部が解除される。
【0019】
さらに、本発明におけるロータは、本発明におけるシール要素によって実現可能とされる。
【0020】
このために、一般的なロータは、上述のように、外周の周りに分配して配置されている少なくとも1つのロータディスクを有しており、複数のブレード保持溝を有している。ブレード保持溝は、この場合、ロータシャフトに対して平行とされるアキシアル方向に、若しくはロータシャフトに対して傾斜している方向に延伸しており、又は好ましくはアキシアル方向において弓状の輪郭を有している。ブレード保持溝はそれぞれ、ロータブレードを受容するようになっている。
【0021】
この場合には、ロータディスクは、周囲に亘って分配して配置されている複数の固定突起を備えており、固定突起は、ロータディスクの前面からアキシアル方向に延在している。この場合には、固定突起はそれぞれ、隣り合うブレード保持溝同士の間に配置されている。
【0022】
さらに、一般的な実施例におけるロータは、周方向の周りに分配して配置されている複数のシール要素を備えており、シール要素は、ロータディスクの前面においてブレード保持溝を少なくとも部分的に覆っている。シール要素をロータディスクに固定するために、少なくともアキシアル方向においてシール要素が前面に至るまでアキシアル方向に延在している保持突起を有している。保持突起は、この場合には、固定突起に固定されているので、少なくとも1つのアキシアル方向の固定が実施される。
【0023】
本発明では、シール要素は、上述のように、ロータシャフトに面している下面にシール面を形成するように利用される。
【0024】
さらに、優位なロータは、周囲に分散配置されたロータディスクに配置されている複数のロータブレードを有している。この場合には、ロータブレードそれぞれが、ブレード根元部を介して、対応するブレード保持溝に固定されている。この場合には、ロータブレードはそれぞれ、ブレード根元部に隣り合っているブレードプラットフォームを有しており、ブレードプラットフォームは、ロータディスクを部分的に覆っており、ロータディスクの前面を越えて延在している。パドルは、ラジアル方向外方に延在している状態でブレードプラットフォームに配置されている。ロータブレードの構成は、本発明には実質的に関連しないが、おそらく当業者であれば従来技術から理解することができるだろう。
【0025】
この場合には、ロータシャフトに対して開口しているリングセグメント溝が、前面を越えて部分的に突出しているブレードプラットフォームに配置されていることが特に優位である。この場合には、シール要素が、ラジアル方向外方に向いている外側縁部分を介して、リングセグメント溝に受容されている。このようにして、ロータブレードとシール要素とのアキシアル方向における結合と、ロータブレードとロータディスクとのアキシアル方向の結合とが、ロータディスクに対する固定を通じて実現される。
【0026】
保持突起及び固定突起のアキシアル方向接続のために、様々な実施例が利用可能であり、第1の優位な実施例では、保持突起が、ロータシャフトに向かって延在しているフックの形態で形成されている。このために、ロータディスクが、ラジアル方向外方に延在しているフックの形態をした固定突起を有していることが必要である。アキシアル方向における固定は、固定突起及び保持突起の相互の固定を通じて実現される。当該実施例は、ロータシャフトにスライダを具備するシール要素の特に簡単なアセンブリを有している。
【0027】
代替的な実施例でも同様に、ラジアル方向外方に延在しているフックの形態をした保持突起が形成可能とされる。従って、ロータディスクに設けられた固定突起は、ロータシャフトに対して延在しているフックの形状とされる。同様に、アキシアル方向における固定は、固定突起と保持突起との相互の固定を通じて可能とされる。
【0028】
さらに、当該2つの実施例は、保持突起又は固定突起が、従来技術に基づくC字状の固定突起又は保持突起によって囲まれているT字状の輪郭を有しているので、組み合わせ可能とされる。同様に、ダブテール状コネクタの形態をした構造を選択することもできる。
【0029】
シール要素の2つの縁部が周方向において2つのブレード保持溝の間の領域に配置されている場合に、特に固定突起に対する保持突起の接続における、ロータディスクに対するシール要素の安定した固定が望ましい。これにより、中間ブレード保持溝を介して離隔配置されている2つの隣り合う固定突起に対して、保持突起を係止することができる。この場合にも同様に、周方向において離隔配置されている2つの保持突起をシール要素に設けることができる。
【0030】
異なる方法によって、ラジアル方向においてシールプレートを固定することができる。第1の簡単且つ優位な実施例では、外側縁部分を、ブレードプラットフォームのラジアル方向内方に向いている支持面に、すなわち優位にはリングセグメント溝の溝ベースに当接させることができる。この程度まで、最初にシール要素によって遠心力をブレードプラットフォームに伝達させることができる。
【0031】
保持突起のフック部分と、ロータシャフトに向かっている固定突起を有している固定突起、又はC字状及びT字状の保持突起/固定突起の組み合わせと、から成る実施例によって、代替的且つ優位には、保持突起と固定突起との接続を介して、遠心力をシール要素からロータディスクに向かって直接伝達させることができる。
【0032】
当該実施例との組み合わせについて、保持突起が周方向において固定突起に沿って配置されるように、且つ、周方向における相対的変位によって固定突起と保持突起との相互にロックされるように、シール要素が位置決めされる位置に、バヨネット式固定具を設けることができる。
【0033】
シール要素が外側縁部分を介してブレードプラットフォームに支持されている場合に、さらにシール要素をラジアル方向内方に取り付け、ブレード保持溝の開口部によって周方向に変位した後に、ロータブレードを挿入し、シール要素を目標位置に戻すことができる。
【0034】
他方、利用可能な空間がラジアル方向の遊隙を許容する限り、さらにシール要素のアセンブリが、ラジアル方向外方に向いた移動をすることができる。この場合には、据付位置において内側縁部分に隣り合うロータディスクの十分な自由空間が必要とされるので、シール要素は、自由空間において内側縁部分と共に配置されており、その結果としてシール要素を傾けると同時にラジアル方向外方に向いている運動によって、保持突起が固定突起と噛み合い、優位には、外側縁部分がブレードプラットフォームに支持される。
【0035】
アセンブリのタイプとは無関係に、ロータディスクに対するシール要素の周方向における変位を、ロータを利用しつつ防止することが優位である。従って、周方向においてシール要素をロータディスク及び/又はロータブレードに固定要素を介して固定することが優位である。
【0036】
特に優位な実施例では、シールリングは、ロータシャフトに向いている側面のシール面に配置されており、シールリングは、少なくともロータが回転している際にシール面に隣り合っている。シールリングが多部品構成を有することができるが、シールリングがピストンリンクの態様で構成されていることが特に優位である。ロータのアセンブリが特に点検作業中にシールリングの交換を可能とするために、さらにシールリングが二部品構成を有している場合がある。
【0037】
特に優位な実施例では、シールリングは、シール要素のシール面に平坦に載置されているので、ラジアル方向外方に向いている側面において同様の錐状の構成を有している。代替的には、このために、シールリングが、ラジアル方向外方に向いている側面に球状の構成を有しており、これにより錐状のシール面におけるシールリングのアキシアル方向位置とは無関係に、周方向軸受が設けられている。
【0038】
本発明における解決手段によって、シール要素は、アキシアル方向においてシールリングに対して変位可能とされる。このために、アキシアル方向において、互いに当接する表面が同一の幅を有していないことが優位である。このために、第1の優位な実施例では、シール要素のシール面の幅が、アキシアル方向で見ると、シールリングの幅の0.6倍~0.9倍とされる。特に好ましくは、アキシアル方向において、シールリングの幅に対するシール面の幅の比は、0.7~0.8とされる。第2の優位な実施例では、シール面は、シールリングより幅広に構成されている。この場合には、シールリングの優位な幅は、アキシアル方向において、シール面の幅の0.6倍~0.9倍とされる。同様に、特に優位には、アキシアル方向で見ると、シールリングの幅は、シール面の幅の0.7倍~0.8倍とされる。
【0039】
遠心力が発生した際にシールリングがシール要素の内側縁部分に確実に支持可能とされる場合に、シール面の下方におけるシールリングの信頼ある位置が確保される。シールリングを貫通する断面を見ると、ロータの特定の状態それぞれにおいて領域の流心が内側縁部分の下方において、すなわちシール面の下方においてラジアル方向に配置されているので、発生するシールリングの遠心力は、付加的な曲げモーメント及び剪断力をシールリングに発生させることなく、内側縁部分に直接支持される。このために、シール要素に対するシールリングのアキシアル方向における位置変化を考慮しなければならない。
【0040】
シールリングの位置を保証するために、優位には、ロータは、ロータシャフトの周りにリング面を有しており、シールリングは、リング面のラジアル方向外側に配置されている。従って、ロータシャフトに面しているリング面の側面におけるシールリングの位置は、リング面によって制限される。
【0041】
さらに、優位には、ロータは、シール縁部を有している。この場合には、シール縁部は、リング面のラジアル方向外側に配置されており、周方向且つラジアル方向外方に延在している。この場合には、シール縁部は、シールリングに沿ってロータディスクから離隔するように向いている外面に隣接して配置されている。従って、ロータシャフトから離隔するように向いている側面におけるシールリングの位置は、シール縁部によって制限される。結論として、シールリングが配置されている段付肩部が、ラジアル方向に延在している縁部とアキシアル方向に延在しているリング面とを具備して形成される。
【0042】
シール縁部に対するシールリングの所定の位置は、シール縁部を具備する優位な構成を通じて実現される。シールリングが外周において錐状のシール縁部に載置されているので、アキシアル方向においてロータシャフトに向いている側面の移動が同時に制限される。シールリングとシール縁部との間におけるシールが同時に設けられる。特に、遠心力の発生を伴うロータの回転によって、シールリングが錐状のシール面に押圧されると同時に、その錐状の形態によって、アキシアル方向の力がシールリングに作用し、ひいてはシールリングがシール縁部に押圧される。
【0043】
特に組立の際にシールリング及びシール要素の位置を優位に固定するためには、シール縁部の外径がシールリングの外径より大きいことが優位である。
【0044】
さらに、さらなる優位な変形例において支持縁部がシール縁部に対向して配置されているならば、組立のさらなる助けとなる。この場合には、シールリングは、アキシアル方向においてシール縁部と支持縁部との間に配置されている。シールリングが実質的に遊隙が存在しない態様でシール縁部と支持縁部との間に受容されている場合に特に優位である。固定装置を要せず容易且つ簡単に組み立てることができるからである。
【0045】
支持縁部の高さすなわちラジアル方向長さは、異なって構成されており、代替例それぞれが、異なる優位性を有している。第1の変形例では、支持縁部の外径がシールリングの錐状の周方向面の最も小さい外径の外径より小さい。この場合には、内側縁部分を具備するシール要素は、特にアキシアル方向に変位する際に、支持縁部に至るまで延在している。当該変形例は、シール面がシールリングより幅広い場合に特に優位である。
【0046】
第2の変形例では、支持縁部は、シールリングの最も小さい外径より大きいが、シール縁部の外径より小さい。この場合には、内側縁部分は、シール縁部と支持縁部との間に同様に配置されている。このことは、シールリングの幅より小さくなくてはならないシール面の幅と密接に関連している。従って、必要なアキシアル方向の変位可能性が保証される。このような構成は、適切な場合には、シール要素の組立を容易にする。
【0047】
その結果として、アキシアル方向におけるシールリングの所定の位置が、シール縁部と支持縁部とによって実現され、ラジアル方向におけるシールリングの位置が、リング面によってロータシャフトに向いている側面に、且つ、シール要素のシール面によってラジアル方向外方に向いている側面に限定される。これにより、特にシールリングがシール要素に対してアキシアル方向に変位する際に、(例えば摩擦力に起因して)シールリングを傾斜させることなく、シール面に対するシールリングの周方向面の滑動が促される。
【0048】
本発明におけるシール要素は、ロータがロータディスクに隣り合っているロータ構成要素を囲んでいる場合に、特に優位に利用可能とされる、ロータ構成要素は、ロータブレードを具備するさらなるロータディスク、又はロータブレードを具備しない他のロータディスク、又はロータシャフトを環状に囲んでいるロータ構成要素を備えている。この場合には、ロータ構成要素は、一体構成でも多部品構成でも良い。ロータ構成要素は、少なくともロータディスクに直接隣り合って取り付けられている。この場合には、ロータ構成要素は、シール要素の内側縁部分に隣り合って配置されている周方向シール部分を有している。ロータ構成要素のシール部分の場合にシール要素の内側縁部分がこのように配置されているので、密閉されなくてはならないシールガスが、これら2つのロータ構成要素の間に充填されている。このために、シール部分は、シール要素のシール面に対向するシールリングの位置を規定するシール縁部と段付肩部のリング面とを囲んでいる。
【0049】
ロータディスクに対するロータ構成要素の限定されたアキシアル方向変位は、ロータディスクに取り付けられた別体のロータ構成要素を具備する本発明における実施例によって、特に優位な態様で実施可能とされる。他方、このような相対的な変位は、特に優位な態様で許容値を均衡させることによって様々な熱膨張を均衡させるために利用される。この場合には、ロータディスクの固定突起に対する、ひいてはロータディスクに取り付けられたシール要素の内側縁部分に対するロータ構成要素のシール部分の相対的変位が存在する。
【0050】
アキシアル方向間隙の配置に関して、発生する構成要素の熱膨張を考慮して、ロータ構成要素のシール縁部又はロータ構成要素のシール部分が、シールリングと共に、シール要素のシール面の滑動面とシールリングの周方向面とのうち小さい方の幅の少なくとも0.2倍で、内側縁部分に対してアキシアル方向に変位可能であることが優位である。従って、アキシアル方向においてシール面の幅がシールリングの幅より小さい第1の実施例では、シール面に対するシール縁部の優位なアキシアル方向における変位可能性は、シール面の幅の少なくとも0.2倍とされる。対照的に、アキシアル方向においてシールリングの幅がシール面の幅より小さい第2の実施例では、シール面に対するシール縁部のアキシアル方向における変位可能性は、シールリングの幅の少なくとも0.2倍とされる。しかしながら、特に優位には、(第1の実施例における)シール面の幅の、又は(第2の実施例における)シールリングの幅の少なくとも0.5倍のアキシアル方向における変位可能性とされる。
【0051】
上述の本発明におけるロータの実施例すなわち優位な構成のロータの実施例とは関係なく、優位な密封性が、アキシアル方向における変位可能性と同時に、シールリングを実質的に反転させた形態によって実現可能とされる。この場合、本発明におけるロータの第2の実施例は、以下の形態を有している。
【0052】
上述の本発明における第1の実施例と同様に、本発明におけるロータの第2の実施例は、上述のロータディスクを備えている。ロータ構成要素は、第1の優位な実施例と同様の態様でロータディスクに取り付けられているので、ロータディスクは、限定されたアキシアル方向における変位可能性を有しており、シール部分を有している。ロータディスクのロータブレード保持溝は、周方向全体に亘って分配配置されている複数のシール要素によって同様に覆われており、シール要素はそれぞれ、保持突起を介してロータディスクの固定突起に固定されている。本発明における第1の実施例と同様に、シール要素は、ラジアル方向外方に向いている側面に外側縁部分を、ロータシャフトに向いている側面に内側縁部分を、ロータシャフトに向いている側面に内面を、及びロータディスクから離隔するように向いている反対側の外面を有している。同様に、シール要素の内側縁部とロータ構成要素のシール部分との間には、シールすべきシール間隙が観察される。
【0053】
本発明における第1の実施例に関して反転された本発明における第2の実施例では、ロータ構成要素のシール部分が、ラジアル方向外方に向いている側面に錐状のシール面を有しており、シール要素それぞれの内側縁部分が、周方向に且つラジアル方向内方に延在しているシール縁部と、アキシアル方向に延在している周方向リング面とを有している。同様に、一体構成又は多部品構成のシールリングが、シール要素の内側縁部分とロータ構成要素のシール部分との間に配置されており、シールリングが、上述の実施例と比較して反転されている。結論として、シールリングは、円筒状のリング面のラジアル方向外方に向いている側面に載置されており、シール要素のシール縁部によってアキシアル方向において所定の位置に制限されている一方、ロータシャフトに向いている側面のシールリングは、錐状のシール面のロータ構成要素のシール部分に載置されている。
【0054】
シールリングがシール部分と内側縁部分との間の受容空間に配置されているという事実は、シールリングがシール部分及び内側縁部分に当接することによってシール作用を発揮させる点において、本発明におけるロータにおいて顕著に優位である。この場合には、シールリングが、制限された範囲で(伸長を通じて及び/又は分割を理由として)ラジアル方向外方に移動可能とされるので、シール部分に対する内側縁部分のアキシアル方向における変位可能性が実現可能とされる。この場合には、一方の側面における傾斜したシール面は、シール面に対するシールリングの当接を保証する。
【0055】
添付図面は、シール要素及びシールリングを具備するロータのための典型的な実施例を表わす。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】第1の典型的な実施例の斜視図である。
図2】シールリングの領域における、図1に表わす実施例の断面図である。
図3図2に対応する第2の典型的な実施例を表わす。
図4図2に表わす第3の典型的な実施例を表わす。
図5】シールリングが反転された状態における第4の典型的な実施例を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、本発明におけるロータのための第1の典型的な実施例を表わす。ロータディスク01は、周囲に分配配置されているロータブレード保持溝02を備えている。ロータブレードは、目的に従ってロータブレード保持溝02に固定されている。さらに、ロータディスク01は、ラジアル方向外方に向いているフックの形態として構成されている固定突起05を有している。
【0058】
ロータディスク01に固定されているロータ構成部品11は、ロータディスク01に隣り合って配置されており、間隙07は、ロータディスク01とロータ構成部品11との間に配置されている。ロータディスク01とロータ構成部品11とが正しく組み立てられている場合には、ロータディスク01とロータ構成部品11とが、小さい経路の周りにおいて互いに対して配置されている。
【0059】
ロータディスク01に固定されているシール要素21から成る装置が、ロータブレード保持溝02の前方において周囲に亘って分配配置されていることに留意すべきである。このために、シール要素21は、当該典型的な実施例ではロータシャフトに関してラジアル方向に向いている形態に構成されている保持突起25を有している。固定突起05と保持突起25とが相互連結することによって、シール要素21をアキシアル方向において固定することができる。シール要素21と、ロータディスク01に固定されたロータブレードのリングセグメント溝のラジアル方向外方に向いている端部分との、通例的に既存のアキシアル方向の固定は図示しない。
【0060】
この場合には、シールリング29は、受容空間においてある程度移動可能とされる。しかしながら、ロータが回転する場合には、シールリング29が錐状シール面24及びシール側面15に当接するので、シール要素21とロータ構成部品11とが密着する。
【0061】
図3は、シール要素41とロータ構成部品31との間に新規性を有するシールを具備する、本発明におけるロータのさらなる典型的な実施例を表わす。最初に、図示の如く、ロータ構成部品31が、ロータディスク01に隣接して配置されている。シール要素41は、ロータディスク01の前面の前方に配置されている。間隙が、シール要素41とロータ構成部品31との間に形成されており、最善な態様で密閉されている。ロータ構成部品31は、シール要素41の内側縁部分43とロータ構成部品31のシール部分33との密着によって、ロータディスク01ひいてはシール要素41に対して相対的にアキシアル方向に変位される。このために、シール要素41は、図2に表わす実施例と同様に錐状シール面44を備えている。シールリング49は、シール面44に載置され、シールリング49は、同様にラジアル方向外方に向いている側面において、錐状の形態とされる。
【0062】
対照的に、シール部分33は、周方向溝を有している。ロータディスク01の反対側に向いているシール縁部35の外面に、及び、ロータディスク01に向いているサポート縁部36の内面に、アキシアル方向において形成されている。この場合には、シール縁部35は、シールリング49を越えてラジアル方向外方に向いて延在している。この点において、シール縁部35は、シールリング49のための支持面を形成するのみならず、同様にシール要素41の内側縁部分43の移動空間についての制限を表わす。
【0063】
しかしながら、同様にラジアル方向外方に延在しているサポート縁部36は、実質的に比較的小さい半径を有しており、シールリング49は、サポート縁部36を超えて突出している。さらに、内側縁部分43は、サポート縁部36のラジアル方向外方に配置されており、サポート縁部36を超えてアキシアル方向に移動可能とされる。この場合には、サポート縁部36は、特に組立の際にシールリング49の位置を確保するために利用される。ロータが回転している際には、シールリング49の傾斜した支持面が内側縁部分43の傾斜したシール面44に載置されるので、これによりシール縁部35に面しているシールリング49が変位し、ロータが回転している際にサポート縁部36が機能しなくなる。従って、シールリング49の位置が、ロータの回転の際に、シール縁部35及び内側縁部分43のシール面44によって、アキシアル方向とアキシアル方向との両方において限定される。
【0064】
ロータシャフトに向いている方向においてロータが静止している場合には、シールリング39の位置は、ロータ構成部品31のシール部分33のリング表面34を具備する溝ベースによって限定されている。
【0065】
図4は、上述の実施例に類似するロータの一の実施例を表わす。当該図面は、隣り合うロータ構成部品51を具備するロータディスク01を特定しており、ロータ構成部品は、同様に、ロータディスク01に向いている側面にシール部分53を有している。内側縁部分63を具備するシール要素61が、ロータディスク01の前側の前方に配置されている。上述のように、錐状シール面64は内側縁部分63に配置されている。対応して、シール部分53はシール縁部55及びサポート縁部56を形成しており、リング面54を有している。しかしながら、上述の実施例の場合とは異なり、シールリング69は、シール面64と比較して大きい幅を有しており、シール要素61の内側縁部分63は、アキシアル方向に変位可能な態様で、シール縁部55とサポート縁部56との間に配置されている。
【0066】
図5は、図2に表わす実施例に類似する、シール要素81とロータ構成部品71との間にシールを形成するための、本発明における第2の典型的な実施例のロータを表わす。従って、当該図面は、隣り合うロータ構成部品71を具備するロータディスク01を特定している。シール要素81は、同様にロータディスク01の前面の前方に配置されている。当該典型的な実施例では、ロータ構成部品71は、シール要素81に向いている側面にシール部分73を有しており、シール部分73は、錐状シール面74を備えている。対照的に、シール要素81は、ロータディスク01に向いている側面に配置されているシール縁部86とリング表面84とによって形成されている肩部を、内側縁部分83に有している。結果として、受容空間が、シール部分73及び内側縁部分83によって形成され、当該受容空間には、上述の典型的な実施例と同様にシールリング89が配置されている。同様に、シールリング89は、受容空間の内部において制限された態様で移動可能とされ、動作中にシールが形成される。一方、動作中におけるシールの形成はロータの回転によってもたらされるので、その結果として、シールリング89がリング表面84において確実に支持される。シール要素81の外側より高い圧力を有する冷却空気は、従来通り、ロータディスク01とシール要素81の内面との間の空間を通じて流れる。このような比較的大きい圧力を有する冷却空気によって、シールリング89は錐状シール面74に確実に支持される。
【符号の説明】
【0067】
01 ロータディスク
02 ロータブレード保持溝
05 固定突起
07 間隙
11 ロータ構成部品
15 シール側面
21 シール要素
24 錐状シール面
25 保持突起
29 シールリング
31 ロータ構成部品
33 (ロータ構成部品31の)シール部分
34 (ロータ構成部品31の)リング表面
35 シール縁部
36 サポート縁部
41 シール要素
43 (シール要素41の)内側縁部分
44 錐状シール面
49 シールリング
51 ロータ構成部品
53 シール部分
54 リング面
55 シール縁部
56 サポート縁部
61 シール要素
63 (シール要素61の)内側縁部分
64 錐状シール面
69 シールリング
71 ロータ構成部品
73 シール部分
74 錐状シール面
81 シール要素
83 (シール要素81の)内側縁部分
84 (シール要素81の)リング表面
86 シール縁部
89 シールリング
図1
図2
図3
図4
図5