(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】ケーブル用脱気の製造ライン
(51)【国際特許分類】
H01B 13/30 20060101AFI20220218BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H01B13/30
H05B6/10 361
(21)【出願番号】P 2020549862
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2019075346
(87)【国際公開番号】W WO2020052201
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2020-06-03
(31)【優先権主張番号】201811057463.6
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520197044
【氏名又は名称】江蘇亨通高壓海纜有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】梅文杰
(72)【発明者】
【氏名】米建忠
(72)【発明者】
【氏名】狄健
(72)【発明者】
【氏名】潘文林
(72)【発明者】
【氏名】銭志康
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-298673(JP,A)
【文献】特開平06-023760(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02983177(EP,A1)
【文献】国際公開第2014/090286(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/30
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワー押出機と脱気室を含み、前記タワー押出機と前記脱気室の間
の工程は、ケーブル絶縁コアによって
連続的に接続されるラインであり、
前記ケーブル絶縁コアは、銅コア撚り合わせ導体とシールド絶縁層で構成され、前記シールド絶縁層は前記銅コア撚り合わせ導体の外壁を包囲し、
前記タワー押出機と前記脱気室の間
の製造ラインには、複数のローラとステアリングローラが取り付けられており、
2つの前記ローラの間には複数の高周波加熱コイルが取り付けられており、前記高周波加熱コイルは底端が開口したリングであり、前記ケーブル絶縁コアは、前記高周波加熱コイルを貫通
し、
前記脱気室は外筒と内筒の二重の筒で構成され、前記外筒の外筒内壁と前記内筒の内筒外壁でケーブル絶縁コアを貯留する貯蔵室を囲い、該内筒の内筒壁に貯蔵室を形成し、該貯蔵室内に輪状のケーブル絶縁コアを下から積層するように貯留し、
前記外筒の内壁と前記内筒の外壁に複数の温度センサと複数のメタン濃度センサが取り付けられと共に、前記温度センサと前記メタン濃度センサが上から下に間隔をあけて配置され、
前記貯蔵室の上端を覆うように保温層が設けられ、前記貯蔵室の底端に多孔トレイが取り付けられ、前記多孔トレイの下端にリングヒータと高圧ファンが取り付けられることを特徴とするケーブル用脱気
の製造ライン。
【請求項2】
前記高周波加熱コイルの数が3つであることを特徴とする請求項1に記載のケーブル用脱気
の製造ライン。
【請求項3】
前記外筒の底部に回転支持体と走行ホイールが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のケーブル用脱気
の製造ライン。
【請求項4】
前記回転支持体が2つのディスクから構成されることを特徴とする請求項3に記載のケーブル用脱気
製造ライン。
【請求項5】
2つの前記ディスクの間は、円形のガイドレールによって接続されることを特徴とする請求項4に記載のケーブル用脱気
の製造ライン。
【請求項6】
前記
内筒の内筒壁の
上端を覆うように前記保温層が設けられ、該保温層に近接する箇所に空気出口が設けられることを特徴とする請求項1に記載のケーブル用脱気
の製造ライン。
【請求項7】
前記
外筒の外筒壁の底部に近接する箇所に空気入口が設けられることを特徴とする請求項1に記載のケーブル用脱気
の製造ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの分野に属し、特に、ケーブル用脱気の製造ラインに関する。
ケーブル用脱気の製造ラインを提供する
【背景技術】
【0002】
島の開発戦略と海上の再生可能エネルギー発電の急速な発展により、海上の風力発電は急速に拡大しており、海底の高圧電力ケーブルの需要が増加している。国内の海底ケーブルメーカーは、高電圧220kVのACの海底ケーブル30kmの工場プラグ無しの業績、500kVのACの海底ケーブル18kmの工場プラグ無しの業績を取得しており、現在の国内の大型500kVのDCの海底ケーブルも研究開発の段階にあるため、大型の海底ケーブルの製造は、海底ケーブルの発展の趨勢であり、従来の海底ケーブル脱気室は、脱気室の周囲で空気を加熱するが、大型海底ケーブルの脱気過程中の効果は十分ではない。特にDCケーブルの脱気では、現在の脱気室の設計により、絶縁コアの熱伝導は、絶縁コアの外層から絶縁コアの内層に伝導され、温度勾配により、空間電荷が絶縁体の内層に移動する危険性があり、DCケーブルの実際の運用では、ケーブル導体の発熱により、絶縁コアの熱伝導が絶縁コアの内層から絶縁コアの外層に伝導され、空間電荷が逆方向に移動する危険性があるため、DCケーブルには潜在的な安全の危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術課題は、絶縁コアを製造しながら加熱を実現し、オンライン脱気効果を達成することができるケーブル用脱気送水ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術課題を解決するために、本発明が採用する技術的手段は、タワー押出機と脱気室を含み、前記タワー押出機と前記脱気室の間は、ケーブル絶縁コアによって接続され、前記ケーブル絶縁コアは、銅コア撚り合わせ導体とシールド絶縁層で構成され、前記シールド絶縁層は前記銅コア撚り合わせ導体の外壁を包囲し、前記タワー押出機と前記脱気室の間には、複数のローラとステアリングローラが取り付けられており、2つの前記ローラの間には複数の高周波加熱コイルが取り付けられており、前記高周波加熱コイルは底端が開口したリングであり、前記ケーブル絶縁コアは、前記高周波加熱コイルを貫通するケーブル用脱気
の製造ラインで、
具体的には、図1においてタワー押出機16からケーブル絶縁コア18を介して脱気室17に到る工程の流れのラインである。
【0005】
本発明の好適な実施形態では、前記高周波加熱コイルの数が3つである。
【0006】
本発明の好適な実施形態では、前記脱気室が外筒と内筒で構成され、前記外筒の内壁と前記内筒の外壁が1つの貯蔵室を囲って形成し、前記貯蔵室の上端に保温層が設けられ、前記貯蔵室の底端に多孔トレイが取り付けられ、前記多孔トレイの下端にリングヒータと高圧ファンが取り付けられる。
【0007】
本発明の好適な実施形態では、前記外筒壁と前記内筒壁に複数の温度センサと複数のメタン濃度センサが取り付けられる。
【0008】
本発明の好適な実施形態では、前記温度センサと前記メタン濃度センサが上から下に間隔をあけて配置される。
【0009】
本発明の好適な実施形態では、前記外筒の底部に回転支持体と走行ホイールが取り付けられる。
【0010】
本発明の好適な実施形態では、前記回転支持体が2つのディスクから構成される。
【0011】
本発明の好適な実施形態では、2つの前記ディスクの間は、円形のガイドレールによって接続される。
【0012】
本発明の好適な実施形態では、前記内筒壁の上端の前記保温層に近接する箇所に空気出口が設けられる。
【0013】
本発明の好適な実施形態では、前記外筒壁の上端の前記外筒の底部に近接する箇所に空気入口が設けられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は、本発明のケーブル用脱気の製造ラインが絶縁コアの製造プロセス中において、ケーブル導体を高周波加熱コイルによって加熱して、絶縁コアを製造しながら加熱することを実現し、ライン脱気効果を達成し、脱気時間を節約し、ケーブル製造の効率を向上させ、且つ脱気効果を更に良好にすることである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ケーブル用脱気
の製造ラインの構造概略図である。
【
図2】ケーブル用脱気
の製造ラインの脱気室の構造概略図である。
【
図3】ケーブル用脱気
の製造ラインのA‐A線における断面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明し、本発明の利点および特徴を当業者がより容易に理解できるようにし、本発明の保護範囲をより明確に定義する。
【0017】
図1から
図3を参照し、本発明の実施形態は以下を含む。タワー押出機16および脱気室17を含むケーブル脱気
の製造ラインであり、タワー押出機16および脱気室17の間はケーブル絶縁コア18によって接続され、タワー押出機16はケーブル絶縁コア18を製造するために使用される。
【0018】
ケーブル絶縁コア18は、
図3に示すように、銅コア撚り合わせ導体13とシールド絶縁層14とからなり、シールド絶縁層14が銅コア撚り合わせ導体13の外壁を包囲している。
前記銅コア撚り合わせ導体13は、製造ライン中には3つの円形の高周波加熱コイル15の開口を通過しながら加熱され、脱気室17に送られる。
【0019】
縦型タワー押出機16と脱気室17との間には、ローラ19とステアリングローラ20が複数設置される。ローラ19は、ケーブル絶縁コア18の搬送に用いられ、ステアリングローラ20は、ケーブル絶縁コア18の搬送過程のステアリングに使用される。
【0020】
2つの支持ローラ19の間に複数の高周波加熱コイル15が取り付けられ、高周波加熱コイル15は底端に開口を有する円形リングであり、ケーブル絶縁コア18は高周波加熱コイルを通過し、高周波加熱コイル15は、ケーブル絶縁コア18の搬送過程で加熱するために使用される。
【0021】
ケーブル絶縁コア18の製造過程において、ケーブル絶縁コア18は高周波加熱コイル15により加熱され、それにより、ケーブル絶縁コア18は製造中に加熱され、オンライン脱気効果を達成し、ライン脱気過程において、ケーブル絶縁コア18の熱伝導は、ケーブル絶縁コア18の内層からケーブル絶縁コア18の外層に伝導され、ケーブル絶縁コア18の運行過程の熱伝導方向と一致し、DCケーブルの場合、この脱気方法はケーブルにとってより安全で信頼性が高くなる。
【0022】
ケーブル絶縁コア18の直径の大きさに応じて、ケーブル絶縁コア18の搬送過程に1つまたは複数の高周波加熱コイル15を設けることができ、本実施形態では、前記高周波加熱コイル15の数量は、3つである。
【0023】
脱気室17は、ケーブル絶縁コア18が脱気室17に入った後、より迅速かつ均一に所望の温度に到達するように、補助加熱を実行する。
【0024】
脱気室17は、外筒1と内筒4
の二重の筒から構成され、外筒1の底部には、回転支持体2と走行ホイール3が取り付けられ、回転支持体2及び走行ホイール3の組み合わせによって、外筒1はその場で回転することができ、それによりケーブル絶縁コア18を巻き上げ及び開放する作用を起こすことができる。
脱気室17は外筒1と内筒4の二重の筒で構成され、外筒1の内壁と内筒4の外壁でケーブル絶縁コア18を貯留する貯蔵室を囲って形成され、図2に示すように、内筒4の内筒壁の上端を覆うように保温層5が設けられ、その近傍に空気出口が設けられ、外筒の外筒壁の底部に近接する箇所に空気入口が設けられ、
貯蔵室の底部の全面に多孔トレイ6が取り付けられ、更に、多孔トレイ6の下端にはリングヒータ7と高圧ファン8が取り付けられる。
【0025】
走行ホイール3は、支持の作用を起こすだけではなく、同時に、外筒1を回転時により滑らかにする。
【0026】
前記回転支持体2は2つのディスク(円盤)からなり、一方は外筒1の底面に固定され、もう一方は地面に固定される。
【0027】
2枚のディスクの間は円形ガイドレールで連結され、ガイドレールにより上下の2つの円盤を相対的に回転させることができ、外筒1を回転させることができる。
【0028】
内筒4は、外筒1に取り付けられ、内筒4は、ケーブル絶縁コア18を巻くために使用され、ケーブル絶縁コア18を内筒4に巻き付けることができる。
【0029】
内筒4の上端には開口が設けられ、内筒4の中間からガスを排出することができる。
【0030】
外筒1の内壁と内筒4の外壁は、貯蔵室を囲い、貯蔵室は、脱気対象のケーブル絶縁コア18を配置することに用いられ、貯蔵室の上端には保温層5が設けられる。
【0031】
貯蔵室の底端には多孔トレイ6が取り付けられ、多孔トレイ6は熱風を下から上に流すために使用される。
【0032】
多孔トレイ6の下端にはリングヒータ7と高圧ファン8が取り付けられ、リングヒータ7と高圧ファン8により多孔トレイ6の底部から高圧の熱風がケーブル絶縁コア18層に入ることができ、ケーブル絶縁コア18の各層が各位置で加熱されることが保証され、ケーブル絶縁コア18の脱気効果がより良好になる。
【0033】
多孔トレイ6は、ケーブル絶縁コア18層の下部から上部に熱風を吹き付けるので、ケーブル絶縁コア18の各層が熱風を受け、ケーブル絶縁コア18が相対的に均一に加熱され、ケーブル絶縁コア18の全体的な脱気効果が向上し、既存の脱気室の空気流路はぼやけているため、脱気後の架橋副生成物の排出速度は比較的遅く、熱風が下から上に吹き、ケーブル絶縁コア18でオーバーフローした架橋副産物が脱気室17へ運ばれ、脱気室17での架橋副産物の濃度が減少し、ケーブル絶縁コア18の架橋副産物のオーバーフローに更に有利になり、ケーブル絶縁コア18の脱気効果が向上する。
【0034】
リングヒータ7は高圧ファン8の作用下において、熱風がケーブル絶縁コア18層に入り、ケーブル絶縁コア18の巻取り過程中において、隙間ができ、その隙間に温風が追従し、上部のケーブル絶縁コア18層に至り、毎層のケーブル絶縁コア18の各位置が加熱され、相対的に均一になるよう保証する。
【0035】
複数の温度センサ9と複数のメタン濃度センサ10が外筒1の壁と内筒4の壁に取り付けられ、温度センサ9はリングヒータ7と高圧ファン8の出力をフィードバック調整し、ケーブル絶縁コア18の脱気温度をリアルタイムで調整する。
【0036】
メタン濃度センサ10により、人々はケーブル絶縁コア18の脱気効果をリアルタイムで知ることができる。
【0037】
温度センサ9とメタン濃度センサ10は上から下に間隔を置いて配置されるので、各層のケーブル絶縁コア18の脱気効果はよりバランスが取れている。
【0038】
内筒4の壁の上端の保温層5に近い箇所に空気出口11が設けられ、外筒1の壁の上端の底部に近接する箇所に空気入口12が設けられ、空気入口12及び空気出口11が互いに組み合わさって、熱風がケーブル絶縁コア18に沿って上昇して排出され、内外層のケーブル絶縁コア18の加熱を均衡させ、ケーブル絶縁コア18の内外層全体が脱気効果を等しくさせる。
【0039】
従来の技術と比較して、本発明のケーブル用脱気の製造送水ラインは、脱気の製造ラインのケーブル絶縁コアの製造過程中において、ケーブル導体が高周波加熱コイルによって加熱され、ケーブル絶縁コアを製造しながら加熱を実現し、ライン脱気効果を達成し、脱気時間を節減し、ケーブルの生産効率を向上させ、且つ脱気効果をより良好にすることができる。
【0040】
オンライン脱気過程において、絶縁コアの熱伝導は、絶縁コア内層から絶縁コア外層に伝導し、ケーブルの搬送過程の熱伝導の方向と一致し、DCケーブルの場合、この脱気方法はケーブルにとってより安全で信頼性が高くなり、絶縁コアの直径の大きさに応じて、絶縁コアの搬送時に1つ又は複数の高周波加熱コイルを設置し、脱気室の加熱を補助し、ケーブルが脱気室に入った後、必要な温度にさらに迅速かつ均一に到達することができる。
【0041】
本発明の説明において、説明すべきこととして、用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などが示す方位又は位置関係は、図面に基づく方位又は位置関係を示すものであるか、発明製品の使用時の通常配置される方位又は位置関係であり、参照される装置又は部材が特定の方位、特定の方位での構造及び操作を有する必要があることを示したり示唆したりするのではなく、本発明の説明、及び説明の簡略化のためのものであり、本発明の制限として理解することはできない。
【0042】
上記は本発明の実施形態にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の説明および図面によって実施される均等の構造または均等のプロセス変換、又は他の関連の技術分野における直接または間接的な運用は、何れも同様に本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 外筒
2 回転支持体
3 走行ホイール
4 内筒
5 保温層
6 多孔トレイ
7 リングヒータ
8 高圧ファン
9 温度センサ
10 メタン濃度センサ
11 空気入口
12 空気出口
13 銅コア撚り合わせ導体
14 シールド絶縁層
15 高周波加熱コイル
16 タワー押出機
17 脱気室
18 ケーブル絶縁コア
19 ローラ
20 ステアリングローラ