(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】通信管理装置、通信管理方法及び通信管理システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/51 20060101AFI20220218BHJP
H04M 11/06 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H04M3/51
H04M11/06
(21)【出願番号】P 2021038086
(22)【出願日】2021-03-10
(62)【分割の表示】P 2020093427の分割
【原出願日】2020-05-28
【審査請求日】2021-03-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】三笠 篤志
(72)【発明者】
【氏名】金山 由美子
(72)【発明者】
【氏名】永井 有希
(72)【発明者】
【氏名】小頭 秀行
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073198(JP,A)
【文献】特開2019-133449(JP,A)
【文献】米国特許第09420103(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0014642(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/51
H04M 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末との間で通話をする通話制御部と、
前記通話中に、前記情報端末にメッセージを送信するメッセージ制御部と、
前記通話中に、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定する判定部と、
を有し、
前記通話制御部は、前記通話中に、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記通話を終了し、
前記メッセージ制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記情報端末との間で前記メッセージの授受を
開始する、
通信管理装置。
【請求項2】
前記メッセージ制御部は、第1プロトコルで送信した前記メッセージが前記情報端末に送達しなかったと前記判定部が判定したことを条件として、前記第1プロトコルとは異なる第2プロトコルで前記情報端末に前記メッセージを送信する、
請求項1に記載の通信管理装置。
【請求項3】
前記通話制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達しなかったと前記判定部が判定したことを条件として、前記情報端末とオペレータが利用するオペレータ端末との間で通話を開始させる、
請求項1に記載の通信管理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記情報端末において所定の操作がされた場合に、前記メッセージが前記情報端末に送達したと判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の通信管理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記情報端末において前記メッセージを表示するための前記操作がされた場合に、前記メッセージが前記情報端末に送達したと判定する、
請求項4に記載の通信管理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記情報端末が送信した送達情報に基づいて、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の通信管理装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記メッセージ制御部が前記情報端末に送信した前記メッセージを中継する中継装置に対して、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを問い合わせることによって、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の通信管理装置。
【請求項8】
前記メッセージ制御部は、前記情報端末に設定された電話番号を宛先として、前記メッセージを送信する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の通信管理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
情報端末との間で通話をするステップと、
前記通話中に、前記情報端末にメッセージを送信するステップと、
前記通話中に、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定するステップと、
前記通話中に、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定するステップで判定したことを条件として、前記通話を終了するステップと、
前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定するステップで判定したことを条件として、前記情報端末との間で前記メッセージの授受を
開始するステップと、
を有する、通信管理方法。
【請求項10】
通信管理装置と、
情報端末と、
を含み、
前記通信管理装置は、
前記情報端末との間で通話をする通話制御部と、
前記通話中に、前記情報端末にメッセージを送信するメッセージ制御部と、
前記通話中に、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定する判定部と、
を有し、
前記情報端末は、
前記通信管理装置との間の前記通話の音声を入出力する音声入出力部と、
前記メッセージ及び前記メッセージを表示する表示部と、
を有し、
前記通話制御部は、前記通話中に、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記通話を終了し、
前記メッセージ制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記情報端末との間で前記メッセージの授受を
開始する、
通信管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声通話及びメッセージ授受を管理するための通信管理装置、通信管理方法及び通信管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、事業者によるユーザに対するサポートを目的として、ユーザが有する情報端末との間で自動音声を用いた通話を行い、通話中にユーザから所定の入力を受け付けた場合に、インスタントメッセージングシステムを用いたメッセージの授受に切り替えることが可能なシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、情報端末の識別子がシステムに登録されていることを条件として、通話からメッセージの授受に切り替える。しかしながら、情報端末の識別子が登録されていたとしても、メッセージの授受をするためのソフトウェアが削除されていたり、メッセージを情報端末に届けるまでの通信経路で問題が発生していたりすると、メッセージが情報端末に到達しない場合がある。このような場合に、システムは、既にユーザの情報端末との間の通話を終了しているため、ユーザとの間でメッセージの授受を開始することができないという問題があった。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザとの間で行っている音声通話をメッセージの授受に切り替えられる可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の通信管理装置は、情報端末との間で通話をする通話制御部と、前記通話中に、メッセージの授受へ切り替えるための入力を前記情報端末から受け付ける入力受付部と、前記通話中に、前記入力受付部が前記入力を受け付けた場合に、前記情報端末に前記メッセージを送信するメッセージ制御部と、前記通話中に前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定する判定部と、を有し、前記通話制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記通話を終了し、前記メッセージ制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記情報端末との間で前記メッセージの授受をする。
【0007】
前記メッセージ制御部は、第1プロトコルで送信した前記メッセージが前記情報端末に送達しなかったと前記判定部が判定したことを条件として、前記第1プロトコルとは異なる第2プロトコルで前記情報端末に前記メッセージを送信してもよい。
【0008】
前記通話制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達しなかったと前記判定部が判定したことを条件として、前記情報端末とオペレータが利用するオペレータ端末との間で通話を開始させてもよい。
【0009】
前記判定部は、前記情報端末において所定の操作がされた場合に、前記メッセージが前記情報端末に送達したと判定してもよい。
【0010】
前記判定部は、前記情報端末において前記メッセージを表示するための前記操作がされた場合に、前記メッセージが前記情報端末に送達したと判定してもよい。
【0011】
前記判定部は、前記情報端末が送信した送達情報に基づいて、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定してもよい。
【0012】
前記判定部は、前記メッセージ制御部が前記情報端末に送信した前記メッセージを中継する中継装置に対して、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを問い合わせることによって、前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定してもよい。
【0013】
前記メッセージ制御部は、前記情報端末に設定された電話番号を宛先として、前記メッセージを送信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の通信管理方法は、コンピュータが実行する、情報端末との間で通話をするステップと、前記通話中に、メッセージの授受へ切り替えるための入力を前記情報端末から受け付けるステップと、前記通話中に、前記受け付けるステップで前記入力を受け付けた場合に、前記情報端末に前記メッセージを送信するステップと、前記通話中に前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定するステップと、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定するステップで判定したことを条件として、前記通話を終了するステップと、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定するステップで判定したことを条件として、前記情報端末との間で前記メッセージの授受をするステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様の通信管理システムは、通信管理装置と、情報端末と、を含み、前記通信管理装置は、前記情報端末との間で通話をする通話制御部と、前記通話中に、メッセージの授受へ切り替えるための入力を前記情報端末から受け付ける入力受付部と、前記通話中に、前記入力受付部が前記入力を受け付けた場合に、前記情報端末に前記メッセージを送信するメッセージ制御部と、前記通話中に前記メッセージが前記情報端末に送達したか否かを判定する判定部と、を有し、前記情報端末は、前記通信管理装置との間の前記通話の音声を入出力する音声入出力部と、前記メッセージ及び前記メッセージを表示する表示部と、を有し、前記通話制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記通話を終了し、前記メッセージ制御部は、前記メッセージが前記情報端末に送達したと前記判定部が判定したことを条件として、前記情報端末との間で前記メッセージの授受をする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザとの間で行っている音声通話をメッセージの授受に切り替えられる可能性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る通信管理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る通信管理システムのブロック図である。
【
図3】実施形態に係る通信管理システムが実行する通信管理方法のシーケンス図である。
【
図4】通話中画面を表示しているユーザ端末の正面図である。
【
図5】メッセージ画面を表示しているユーザ端末の正面図である。
【
図6】メッセージ画面を表示しているユーザ端末の正面図である。
【
図7】変形例に係る通信管理システムが実行する通信管理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[通信管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る通信管理システムSの模式図である。通信管理システムSは、通信管理装置1と、ユーザ端末2と、メッセージサーバ3と、オペレータ端末4とを含む。通信管理システムSが含むユーザ端末2、メッセージサーバ3及びオペレータ端末4の数は限定されない。通信管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0019】
通信管理装置1は、事業者(例えば通信事業者等)が管理するコンピュータであり、例えばユーザ端末2に対して自動音声で応答するIVR(自動音声応答装置、Interactive Voice Response)である。通信管理装置1は、ユーザ端末2との間の音声による通話(音声通話)と、ユーザ端末2との間の文字によるメッセージの授受とを管理する機能を有する。通信管理装置1は、予め録音されて記憶部に記憶された音声、又はプロセッサによって逐次生成される音声を用いて、ユーザ端末2との間で通話をする。
【0020】
通信管理装置1は、オペレータ端末4において入力されたメッセージ、又はプロセッサによって逐次生成されるメッセージを用いて、ユーザ端末2との間でメッセージの授受をする。通信管理装置1は、例えばRCS(Rich Communication Services)と、SMS(Short Message Service)との少なくとも一方のプロトコルを用いて、ユーザ端末2との間でメッセージの授受を行う。また、通信管理装置1は、その他のプロトコルを用いて、ユーザ端末2との間でメッセージの授受を行ってもよい。通信管理装置1は、ユーザ端末2、メッセージサーバ3及びオペレータ端末4との間で、無線通信又は有線通信をする。
【0021】
ユーザ端末2は、ユーザが有する情報端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。ユーザは、例えば事業者の顧客である。ユーザ端末2は、音声による通話と、文字によるメッセージの授受とを実行する機能を有する。
【0022】
メッセージサーバ3は、事業者(例えば通信事業者等)が管理するコンピュータであり、通信管理装置1とユーザ端末2との間で授受されるメッセージを中継する中継装置である。メッセージサーバ3を管理する事業者は、通信管理装置1を管理する事業者と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0023】
オペレータ端末4は、オペレータが有する情報端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。オペレータは、例えば事業者においてユーザのサポートを担当する人間である。オペレータ端末4は、音声による通話と、文字によるメッセージの授受とを実行する機能を有する。
【0024】
本実施形態に係る通信管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。まずユーザは、事業者によるサポートを受けるために、ユーザ端末2を用いて通信管理装置1に関連付けられた電話番号に対して発呼する。通信管理装置1は、ユーザ端末2から発呼を受けた場合に、自動音声による通話を開始する(a)。
【0025】
通信管理装置1は、ユーザ端末2との通話中に、メッセージの授受へ切り替えるための切替入力をユーザ端末2から受け付ける。ここで通信管理装置1は、切替入力の方法を示す音声(例えば「チャットサポートを希望する場合には1番を押してください」等)を出力する。ユーザは、メッセージの授受へ切り替えることを希望する場合に、ユーザ端末2に対して切替入力(例えば1番のキーの選択)を行う。
【0026】
通信管理装置1は、ユーザ端末2との通話中に、ユーザ端末2から切替入力を受け付けた場合に、ユーザ端末2にメッセージを送信する(b)。メッセージは、メッセージの授受を開始するために送信される情報である。また、通信管理装置1は、メッセージの授受を開始するために、ユーザ端末2に所定の通知(例えば、ユーザ端末2がバックグラウンドで受信可能な通知)を送信してもよい。通信管理装置1は、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したか否かを判定する(c)。通信管理装置1は、例えば、ユーザ端末2から送達情報を受信すること、又はメッセージサーバ3から送達結果を確認することによって、メッセージがユーザ端末2に送達したか否かを判定する。
【0027】
通信管理装置1は、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定したことを条件として、通話を終了するとともに、事業者によるユーザに対するサポートに関するメッセージの授受を開始する(d1)。
【0028】
一方、通信管理装置1は、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達しなかったと判定したことを条件として、ユーザ端末2とオペレータ端末4との間で通話を開始させる(d2)。
【0029】
別の方法として、通信管理装置1は、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達しなかったと判定したことを条件として、最初にメッセージを送信するために用いた第1プロトコル(例えば、RCS)とは異なる第2プロトコル(例えば、SMS)でユーザ端末2にメッセージを再び送信してもよい。
【0030】
このように、通信管理システムSにおいて、通信管理装置1は、通話中のユーザがメッセージの授受に切り替えるための切替入力をした場合に、メッセージの授受を開始するためのメッセージがユーザ端末2に送達したと判定したことを条件として、通話を終了してメッセージの授受を開始する。そのため、通信管理装置1は、ユーザがメッセージを見ることができないにもかかわらず通話を終了することを抑制し、ユーザとの間で行っている通話をメッセージの授受に切り替えられる可能性を高めることができる。
【0031】
[通信管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る通信管理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0032】
通信管理装置1は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、通話制御部111と、入力受付部112と、メッセージ制御部113と、判定部114とを有する。制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、通話制御部111、入力受付部112、メッセージ制御部113及び判定部114として機能する。
【0033】
通話制御部111は、ユーザ端末2との間の通話を制御する。入力受付部112は、ユーザ端末2から入力を受け付ける。メッセージ制御部113は、ユーザ端末2との間のメッセージの授受を制御する。判定部114は、メッセージがユーザ端末2に送達したか否かを判定する。
【0034】
制御部11の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部は、制御部11がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0035】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、自動音声応答を行うプログラム(音声認識、意味解析等)、及び自動音声に用いる音声データを記憶している。また、記憶部12は、自動メッセージ応答を行うプログラム(文字列解析等)を記憶している。記憶部12は、通信管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。
【0036】
ユーザ端末2は、音声入出力部21と、操作部22と、表示部23とを有する。音声入出力部21は、マイクロフォン等の音声を入力する音声入力装置、及びスピーカ等の音声を出力する音声出力装置を含む。操作部22は、キーボード、マウス、タッチパネル等、人間による操作を受け付けるための操作装置を含む。表示部23は、液晶ディスプレイ等、情報を表示可能な表示装置を含む。表示部23は、人間による接触の位置を検出可能なタッチスクリーンであってもよい。
【0037】
オペレータ端末4は、音声入出力部41と、操作部42と、表示部43とを有する。音声入出力部41は、マイクロフォン等の音声を入力する音声入力装置、及びスピーカ等の音声を出力する音声出力装置を含む。操作部42は、キーボード、マウス、タッチパネル等、人間による操作を受け付けるための操作装置を含む。表示部43は、液晶ディスプレイ等、情報を表示可能な表示装置を含む。表示部43は、人間による接触の位置を検出可能なタッチスクリーンであってもよい。
【0038】
本実施形態に係る通信管理システムSは、
図2に示す具体的な構成に限定されない。通信管理装置1、ユーザ端末2及びオペレータ端末4は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、通信管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0039】
[通信管理方法の説明]
図3は、本実施形態に係る通信管理システムSが実行する通信管理方法のシーケンス図である。まずユーザは、事業者によるサポートを受けること等を目的として、ユーザ端末2を用いて、事業者の電話番号(すなわち、通信管理装置1に関連付けられた電話番号)に対して発呼する(S11)。
【0040】
通信管理装置1において、通話制御部111は、ユーザ端末2から発呼信号を受信した場合に、ユーザ端末2との間で通話を開始する(S12)。通話制御部111は、通話中に、自動音声をユーザ端末2に送信するとともに、ユーザ端末2から受信した音声を記憶部12に記憶させる。通話制御部111は、例えば、記憶部12に記憶されたプログラム及び音声データを用いて、自動音声を逐次生成し、ユーザ端末2に送信する。
【0041】
ユーザ端末2において、音声入出力部21は、通話中に、ユーザが発した音声を通信管理装置1に送信するとともに、通信管理装置1から受信した音声を出力する。また、表示部23は、通話中に通話中画面を表示する。
【0042】
図4(a)は、通信管理装置1との間で通話を開始した際の通話中画面を表示しているユーザ端末2の正面図である。通話中画面は、ユーザによる入力を受け付けるための入力領域231を含む。入力領域231は、例えば、ユーザが入力可能な数字に対応する複数のボタンである。通信管理装置1の通話制御部111は、通話中に、例えば「チャットによるサポートをご希望の方は1番を押してください」という音声をユーザ端末2の音声入出力部21から出力する。ユーザは、通話中に、操作部22において、入力領域231において通話からメッセージの授受へ切り替えるための入力をするための操作(例えば、所定のボタンの選択)をする。ユーザ端末2は、ユーザによる入力内容を示す情報を、通信管理装置1に送信する。
【0043】
図3に戻り、通信管理装置1において、入力受付部112は、通話中に、メッセージの授受へ切り替えるための切替入力をユーザ端末2から受け付ける(S13)。メッセージ制御部113は、通話中に、入力受付部112が切替入力を受け付けた場合に、ユーザ端末2にメッセージを送信する(S14)。ここで送信されるメッセージは、通信管理装置1とユーザ端末2との間でメッセージの授受を開始するためのメッセージである。メッセージの内容については
図5(a)を用いて後述する。
【0044】
ここでメッセージ制御部113は、第1プロトコルであるRCSを用いて、ユーザ端末2に設定された電話番号、すなわち通話の発呼元である電話番号を宛先として、メッセージの送信要求をメッセージサーバ3に送信する。メッセージサーバ3は、宛先の電話番号に関連付けられたユーザ端末2を特定し、特定したユーザ端末2に対してメッセージを送信する。このようにメッセージ制御部113は、発呼元の電話番号を宛先とするため、ユーザから宛先の指定を受け付けることなく、容易にメッセージを送信できる。
【0045】
図4(b)は、通信管理装置1からメッセージを受信した際の通話中画面を表示しているユーザ端末2の正面図である。ユーザ端末2において、表示部23は、通信管理装置1からメッセージを受信した場合に、メッセージを受信したことを示す通知232を通話画面上に表示する。このとき、ユーザ端末2は、「メッセージの授受が可能であるかを確認中です」のような音声を出力してもよい。これにより、ユーザは、通話中に通信管理装置1からメッセージを受信したことを知ることができる。
【0046】
ユーザは、通話中に、操作部22においてメッセージを表示するための表示操作(例えば、通知232の選択)をする。表示部23は、メッセージの表示操作がされた場合に、メッセージを表示する(S15)。
【0047】
図5(a)は、第1プロトコルを用いて送信されたメッセージを含むメッセージ画面を表示しているユーザ端末2の正面図である。メッセージ画面は、メッセージ233と、入力欄234とを含む。メッセージ233は、通信管理装置1が送信した、メッセージの授受を開始することを示す文字列を含む。入力欄234は、ユーザによるメッセージの入力を受け付ける領域である。
【0048】
メッセージ233は、RCS(第1プロトコル)を用いて送信されているため、SMS(第2プロトコル)を用いて送信するメッセージと比較して、送信可能な情報の種類が多い。
図5(a)の例では、メッセージ233は、問い合わせ内容の選択を受け付ける複数のボタンを含む。このように、通信管理装置1は、RCSを用いてメッセージをユーザ端末2に送信することによって、メッセージの授受への切り替えを希望したユーザに対してより多くの種類の情報を提供し、ユーザの利便性を向上できる。
【0049】
さらにユーザ端末2は、メッセージの表示操作がされた場合に、メッセージがユーザ端末2に送達したことを示す送達情報を、メッセージサーバ3を介して通信管理装置1に送信する。ユーザ端末2は、送達情報を、メッセージサーバ3を介さず通信管理装置1に送信してもよい。なお、ユーザ端末2は、メッセージを受信した場合に、送達情報を、メッセージサーバ3を介して、又は介さずに通信管理装置1に送信してもよい。
【0050】
図3に戻り、通信管理装置1において、判定部114は、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したか否かを判定する(S16)。判定部114は、例えば、メッセージ制御部113がユーザ端末2にメッセージを送信してから所定期間内に、送達情報を受信した場合に、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定する。一方、判定部114は、メッセージ制御部113がユーザ端末2にメッセージを送信してから所定期間内に送達情報を受信しなかった場合に、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達しなかったと判定する。
【0051】
また、判定部114は、ユーザ端末2におけるメッセージの状態に基づいて、メッセージがユーザ端末2に送達したか否かを判定してもよい。この場合に、ユーザ端末2は、メッセージを受信完了したこと、メッセージが既読になったこと等のメッセージの状態を示す状態情報を、通信管理装置1に送信する。通信管理装置1において、判定部114は、ユーザ端末2から受信した状態情報が示すメッセージの状態が所定条件(例えば、メッセージを受信完了したこと、又はメッセージが既読になったこと)を満たす場合にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定し、そうでない場合にメッセージがユーザ端末2に送達しなかったと判定する。このような構成により、通信管理装置1が主体となってメッセージが送達したか否かを判定することができる。
【0052】
ステップS16において判定部114が通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定したことを条件として、通話制御部111は、ユーザ端末2との間の通話を終了する(S17)。このとき、通話制御部111は、通話を終了する前に、「メッセージの授受が可能なことが確認できました」のような音声をユーザ端末2に対して出力することによって、ユーザにメッセージの授受を開始する旨を知らせてもよい。また、通話制御部111は、判定部114が通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定した後、ユーザ端末2において所定の操作(例えば、所定のボタンの選択、メッセージを開く操作など)がされた場合に、通話を終了してもよい。
【0053】
また、ステップS16において判定部114が通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定したことを条件として、メッセージ制御部113は、ユーザ端末2との間でメッセージの授受を開始する(S18)。メッセージ制御部113は、例えば、記憶部12に記憶されたプログラムを用いて、メッセージ授受に切り替える前にユーザ端末2から受信した音声を解析し、解析した音声の内容に対応する自動応答メッセージを選択し、メッセージサーバ3を介してユーザ端末2に送信する。
【0054】
メッセージ制御部113は、メッセージサーバ3を介してユーザ端末2から受信したメッセージを、記憶部12に記憶させ、又はオペレータ端末4の表示部43に表示させる。メッセージ制御部113は、例えば、記憶部12に記憶されたプログラムを用いて、ユーザ端末2から受信したメッセージを解析し、解析したメッセージの内容に対応する自動応答メッセージを選択し、メッセージサーバ3を介してユーザ端末2に送信する。また、メッセージ制御部113は、オペレータ端末4においてオペレータによって手動で入力されたメッセージを、メッセージサーバ3を介してユーザ端末2に送信してもよい。
【0055】
ユーザ端末2において、表示部23は、通信管理装置1との間で授受されたメッセージを表示する。
図5(b)は、通信管理装置1との間で授受されたメッセージを含むメッセージ画面を表示しているユーザ端末2の正面図である。メッセージ画面は、上述のメッセージ233及び入力欄234に加えて、通信管理装置1との間で授受されたメッセージ235を含む。ユーザ端末2は、入力欄234に入力されたメッセージを、メッセージサーバ3を介して通信管理装置1に送信する。
【0056】
このように、通信管理装置1は、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定したことを条件として、通話を終了するとともに、ユーザ端末2との間でメッセージの授受を開始する。これにより、通信管理装置1は、ユーザがメッセージを見ることができないにもかかわらず通話を終了することを抑制し、ユーザとの間で行っている通話をメッセージの授受に切り替えられる可能性を高めることができる。
【0057】
通信管理装置1は、通話からメッセージの授受に切り替えた後に、ユーザ端末2からの要求に応じて再び通話に切り替えてもよい。この場合に、ユーザ端末2は、ユーザから通話に切り替えるための操作を受け付ける。メッセージ制御部113は、ユーザ端末2において通話に切り替えるための操作が行われた場合に、「音声通話に切り替えるための準備中です。あと3分後に通話に切り替わります」のようなメッセージをユーザ端末2に対して出力する。その後、通話制御部111は、ユーザ端末2との間で通話を開始する。これにより、通信管理装置1は、ユーザ端末2との通話を再開することができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0058】
一方、ステップS16において判定部114が通話中にメッセージがユーザ端末2に送達しなかったと判定したことを条件として、メッセージ制御部113は、第1プロトコルとは異なる第2プロトコルであるSMSを用いて、ユーザ端末2に設定された電話番号、すなわち通話の発呼元である電話番号を宛先として、メッセージの送信要求をメッセージサーバ3に再び送信する。このとき、通話制御部111は、「RCSによるメッセージの送達が確認できなかったので、SMSを用いてメッセージを再送します」のような音声をユーザ端末2に対して出力することによって、ユーザにメッセージを再送する旨を知らせてもよい。メッセージサーバ3は、宛先の電話番号に関連付けられたユーザ端末2を特定し、特定したユーザ端末2に対してメッセージを送信する。
【0059】
図6は、第2プロトコルを用いて送信されたメッセージを含むメッセージ画面を表示しているユーザ端末2の正面図である。メッセージ画面は、メッセージ236を含む。メッセージ236は、通信管理装置1が送信した、メッセージの授受を開始することを示す文字列を含む。
【0060】
メッセージ236は、SMS(第2プロトコル)を用いて送信されているため、RCS(第1プロトコル)を用いて送信するメッセージと比較して、送信可能な情報の種類が少ない。そのため、
図6の例では、メッセージ236は、メッセージを授受するためのWebサイトの識別子を含む。ユーザ端末2は、ユーザにより当該識別子を選択する操作が行われた場合に、当該識別子に関連付けられたWebサイト上で通信管理装置1との間でメッセージの授受を開始する。
【0061】
SMS(第2プロトコル)を用いたメッセージはユーザ端末2において予め特別な設定を必要とせずにユーザ端末2に送達するため、ユーザ端末2において予め設定が必要なRCS(第1プロトコル)を用いたメッセージよりも、ユーザ端末2に送達する蓋然性が高い。そのため、通信管理装置1は、第1プロトコルを用いて送信したメッセージがユーザ端末2に送達しなかった場合に、第2プロトコルでメッセージを再び送信することによって、ユーザ端末2にメッセージが送達する可能性をさらに高めることができる。
【0062】
別の方法として、メッセージ制御部113は、通話中にバックグラウンドで複数のプロトコルを用いて複数の通知をユーザ端末2に同時に送信し、複数のプロトコルのうち送達確認できた一又は複数のプロトコルをユーザ端末2に表示させてもよい。この場合に、ユーザ端末2は、送達確認できた一又は複数のプロトコルのうち、ユーザが希望するいずれかのプロトコルの選択を受け付ける。メッセージ制御部113は、選択されたプロトコルを用いて、ユーザ端末2とのメッセージの授受を開始する。これにより、通信管理装置1は、ユーザの希望に応じたプロトコル(例えば、必要なパケット数の少ないプロトコル)で、ユーザ端末2とのメッセージの授受を行うことができる。
【0063】
また、ステップS16において判定部114が通話中にメッセージがユーザ端末2に送達しなかったと判定したことを条件として、通話制御部111は、ユーザ端末2とオペレータ端末4との間の通話を開始させてもよい。このとき、通話制御部111は、「メッセージの送達が確認できなかったので、オペレータにお繋ぎします」のような音声をユーザ端末2に対して出力することによって、ユーザにメッセージの授受を開始できない旨を知らせてもよい。これにより、通信管理装置1は、ユーザがメッセージを見ることができないにもかかわらず通話を終了することを抑制し、さらにオペレータとの通話によってユーザとのコミュニケーションを継続できる。
【0064】
また、ステップS16において判定部114が通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定したにもかかわらず、その後一定期間、ユーザ端末2からメッセージを受信できなかった場合には、通話制御部111は、ユーザ端末2とオペレータ端末4との間の通話を開始させてもよい。これにより、ユーザが端末操作に悩んでいるような場合であってもオペレータとの通話によってユーザとのコミュニケーションを継続できる。
【0065】
[変形例]
上述の実施形態において通信管理装置1はユーザ端末2が送信する送達情報に基づいてメッセージの送達を判定するのに対して、本変形例において通信管理装置1はメッセージサーバ3に対してメッセージが送達したか否かを問い合わせる。本変形例において、メッセージサーバ3は、ユーザ端末2に送信したメッセージが送達したか否かを示す履歴情報を記憶部に記憶している。
【0066】
図7は、本変形例に係る通信管理システムSが実行する通信管理方法のシーケンス図である。ステップS11~ステップS15は、
図3と同様である。メッセージ制御部113がユーザ端末2にメッセージを送信した後、判定部114は、ユーザ端末2へのメッセージの送達を確認するための送達確認要求を、メッセージサーバ3に送信する(S21)。
【0067】
メッセージサーバ3は、通信管理装置1から送達確認要求を受信した場合に、記憶部に記憶された履歴情報に基づいて、ユーザ端末2に送信されたメッセージが送達したか否かを示す確認結果を、通信管理装置1に送信する。
【0068】
通信管理装置1において、判定部114は、メッセージサーバ3(すなわち、メッセージを中継する中継装置)による、メッセージがユーザ端末2に送達したか否かの確認結果に基づいて、メッセージがユーザ端末2に送達したか否かを判定する(S16)。判定部114は、メッセージがユーザ端末2に送達したと判定できるまで、所定の時間間隔で繰り返し送達確認要求をメッセージサーバに送信してもよい。ステップS17~ステップS18は、
図3と同様である。
【0069】
このように、本変形例によれば、通信管理装置1はメッセージを中継するメッセージサーバ3に対して問い合わせることによって、メッセージがユーザ端末2に送達したか否かを判定する。そのため、通信管理装置1は、ユーザ端末2が送信する送達情報によらず、より安定的にメッセージの送達を判定できる。
【0070】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る通信管理システムSによれば、通信管理装置1は、通話中にメッセージがユーザ端末2に送達したと判定したことを条件として、通話を終了するとともに、ユーザ端末2との間でメッセージの授受を開始する。これにより、通信管理装置1は、ユーザがメッセージを見ることができないにもかかわらず通話を終了することを抑制し、ユーザとの間で行っている通話をメッセージの授受に切り替えられる可能性を高めることができる。
【0071】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0072】
通信管理装置1、ユーザ端末2、メッセージサーバ3及びオペレータ端末4のプロセッサは、
図3及び
図7に示す通信管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、通信管理装置1、ユーザ端末2、メッセージサーバ3及びオペレータ端末4のプロセッサは、
図3及び
図7に示す通信管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して通信管理装置1、ユーザ端末2、メッセージサーバ3及びオペレータ端末4の各部を制御することによって、
図3及び
図7に示す通信管理方法を実行する。
図3及び
図7に示す通信方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0073】
S 通信管理システム
1 通信管理装置
11 制御部
111 通話制御部
112 入力受付部
113 メッセージ制御部
114 判定部
2 ユーザ端末
21 音声入出力部
23 表示部
3 メッセージサーバ
4 オペレータ端末