(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-17
(45)【発行日】2022-02-28
(54)【発明の名称】無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド及び該ナノロッド付きライトバルブ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/169 20190101AFI20220218BHJP
【FI】
G02F1/169
(21)【出願番号】P 2021509173
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2019118653
(87)【国際公開番号】W WO2020103765
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】201811379562.6
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520261471
【氏名又は名称】チョーチアン チンイー ニュー マテリアル テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG JINGYI NEW MATERIAL TECHNOLOGY CO.LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヤーナン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ターウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、シーヨン
(72)【発明者】
【氏名】シアオ、シューヨン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ピン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ユイチョー
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107537579(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106928994(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105236479(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105060733(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/19
G02B 26/02
B82Y 20/00
B82Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物からなるナノロッドコア、及び炭素原子、窒素原子を含有する無機-有機複合体からなるナノロッドシェルを含む無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドにおいて、前記ナノロッドコアを構成する金属酸化物は二酸化チタンTiO
2であり、
前記ナノロッドシェルは、成分B、成分C、成分D、成分Eという4つの成分を含む無機-有機複合体であり、
B成分は、ヨウ素であり、C成分は、ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物であり、D成分は、窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルであり、E成分は、変性セルロースであり、各成分の質量比はB:C:D:E=0.2~5:1:0.4~3:0.5~5である、無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項2】
前記ナノロッドの粒子長は、50~800nmであり、前記ナノロッドの粒子長と前記ナノロッドの粒子幅のアスペクト比は、2~30である、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項3】
前記ナノロッドの粒子長は200~500nmであり、前記ナノロッドの粒子長と前記ナノロッドの粒子幅のアスペクト比は5~15である、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項4】
前記二酸化チタンTiO
2は、ルチル型TiO
2、ブルッカイト型TiO
2、二酸化チタン(B)、アナターゼ型TiO
2の1つ又は複数である、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項5】
前記二酸化チタンTiO
2の粒径は、5~500nmである、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項6】
前記二酸化チタンTiO
2の粒径は、10~100nmである、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項7】
前記ヨウ素の純度は、98%以上である、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項8】
前記ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物は、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、臭化カルシウム、臭化バリウムの1つ又は複数である、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項9】
前記ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物の純度は、99%以上である、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項10】
前記窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルは、
【化1】
nは1~4である;
【化2】
nは1~3である;
【化3】
nは1~2である;
【化4】
nは1~5である;
【化5】
nは1~4である;
【化6】
【化7】
nは1~4である;
【化8】
nは1~7である;
【化9】
nは1~7である;
【化10】
nは1~6である;
【化11】
の1つ又は複数である、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項11】
前記変性セルロースは、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロースの少なくとも1つである、請求項1に記載の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド。
【請求項12】
2つの透明電極及び電極間に挟まれた液体懸濁媒体を含む光透過率制御可能なライトバルブであって、前記液体懸濁媒体には、請求項1~11のいずれか1項に記載のコアシェル型ナノロッドが均一に分散され、前記ナノロッドの液体懸濁媒体中の浮力及び重力はバランスが保たれ、液体懸濁媒体に安定して懸濁しながら自由に動くことができ、2つの透明電極に電圧調整可能な交流電源が接続されている光透過率制御可能なライトバルブ。
【請求項13】
前記液体懸濁媒体は、非導電性液体であり、鉱物絶縁油、合成絶縁油、植物油の少なくとも1つである、請求項
12に記載の光透過率制御可能なライトバルブ。
【請求項14】
前記鉱物絶縁油は、変圧器油である、請求項
13に記載の光透過率制御可能なライトバルブ。
【請求項15】
前記合成絶縁油は、シリコーンオイル、フルオロカーボン有機化合物、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、トリイソデシルトリメリテート(TDTM)、ドデシルベンゼン、ポリブテンオイルの少なくとも1つである、請求項
13に記載の光透過率制御可能なライトバルブ。
【請求項16】
前記植物油は、ヒマシ油、大豆油、菜種油の少なくとも1つである、請求項
13に記載の光透過率制御可能なライトバルブ。
【請求項17】
前記透明電極は、ITO導電性ガラス又はITO/PET導電性フィルム又はAgナノワイヤー/PET導電性フィルム又はCuナノワイヤー/PET導電性フィルムである、請求項
12に記載の光透過率制御可能なライトバルブ。
【請求項18】
前記液体懸濁媒体を挟む2つの透明電極の周囲はエポキシ樹脂である絶縁材で密封されている、請求項
12に記載の光透過率制御可能なライトバルブ。
【請求項19】
前記交流電源は、5~500V交流電源である、請求項
12に記載の光透過率制御可能なライトバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本願は、発明の名称が「無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド及び該ナノロッド付きライトバルブ」である、2018年11月19日に中国特許庁へ提出された中国特許出願201811379562.6に基づき優先権を主張し、その全内容は、全体として援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コアシェル型ナノロッド及びそのライトバルブに関し、具体的には、無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド及び該ナノロッド付きライトバルブに関する。
【背景技術】
【0003】
ライトバルブは、それ自体を通過する光透過率を調整できる装置であり、例えば、カーテンはライトバルブとして見ることもできる。但し、本発明において、ライトバルブとは、それに印加される電圧を調整することにより光透過率を制御することができる装置を指し、そのような装置は、エレクトロクロミックデバイスとも呼ばれる。エレクトロクロミックデバイスの動作原理によれば、高分子分散型液晶(PDLC)(米国特許US3585381)、電気化学デバイス(EC)(米国特許US9581877)及び懸濁粒子デバイス(SPD)(米国特許US6606185)に分けることができる。具体的には、ライトバルブ(以下、単にLVと称される)とは、媒体に印加される交流(AC)電圧のレベルを調整することにより、媒体を透過する光透過率を制御することができる装置を指す。このようなライトバルブには、光透過率の調整及び省エネという利点があり、スマートウィンドウ、カーミラー、ディスプレイなどとして使用できる。
【0004】
80年以上前、人々はナノ粒子が含まれているライトバルブデバイスを発明した。例えば、米国特許US 1963496は、金属粒子を含むライトバルブを最初に提案した。米国特許US 6522446は、平均長さが約1ミクロンから50ナノメートルの異方性金属ナノロッドを含む、光変調ユニットを備えたライトバルブを開示している。米国特許US 6606185は、懸濁液からなる光変調ユニットを含む懸濁粒子デバイス(SPD)フィルムにおいて、該ユニットは混合金属酸化物、例えば、酸化マンガン・ビスマスの棒状粒子からなり、且つ粒子の平均長さが1μm~50nmである懸濁粒子デバイス(SPD)フィルムを開示している。
【0005】
Andris Sutkaなど(Optical Materials、740-744、37、2014)は、電界の作用下でポリジメチルシロキサン(PDMS)に懸濁されたTiO2ナノワイヤーは、通電前後にその光透過率が23%の変化があることを初回に発見しているが、この変化の範囲は実際のアプリケーションでは比較的低く、実際のニーズを満たすことができない。
【0006】
Sho-ichi Edaなど(RSC Advances、10414-104193、2013)は、低温液相経路にて合成された硫化銅ナノ結晶がルチル型TiO2ナノロッドに堆積した材料(CuS-TiO2 NRs)を報告しているが、そのナノロッド材料で調製された双極子粒子懸濁液(DPS)のスマートガラスは、光透過率調整に優れた性能を有する。例えば、30V(周波数=60Hz)の交流電流を印加した条件下で、そのライトバルブデバイスは500nmにおける平行光透過率が10%(非通電)から42%(通電)に変化しているが、このような狭い範囲の光透過率の変更は依然としてその商用アプリケーションを制限している。
【0007】
従来の技術では、金属酸化物ライトバルブは、小さな変色範囲という問題があり、実際の用途のニーズを満たすにはほど遠いことが分かる。従って、電圧を調整することによりより広い範囲で光透過率を制御できる、より優れたライトバルブ材料を発明する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の問題に対して、本発明者らは、研究より、金属酸化物TiO2をコア部とし、無機-有機複合体をシェル部とするコアシェル型ナノロッドは、優れた独特の特性を有し、光透過率を広範囲に調整できることを予期せず発見した。
【0009】
従って、上記の発見に基づいて、本発明は、無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド及び該ナノロッド付きライトバルブを提供し、前記ナノロッドは、金属酸化物TiO2をコア部とし、無機-有機複合体をシェル部とするコアシェル型ナノロッドである。このようなナノロッドは、独特の性能及び多くの利点があり、そのナノロッド材料で作製されたライトバルブは、優れた性能を持ち、より広範囲で光透過率を調整でき、良好な実用化見通しがある。
【0010】
以上の知見に基づいて、第1の側面、本発明は、金属酸化物からなるナノロッドコア、及び炭素原子、窒素原子を含有する無機-有機複合体からなるナノロッドシェルを含む無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドにおいて、前記ナノロッドコアは、二酸化チタンTiO2である無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドを提供している。
【0011】
さらには、上記ナノロッドシェルは、無機-有機複合体であり、その成分には、B、C、D、Eという4つの成分を含み、ここで、B成分は、ヨウ素であり、C成分は、ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物であり、D成分は、窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルであり、E成分は、変性セルロースであり、各成分の質量比は、B:C:D:E=0.2~5:1:0.4~3:0.5~5である。
【0012】
さらには、上記ナノロッドの粒子長は、50~800nmであり、粒子長と粒子幅のアスペクト比は、2~30である。
【0013】
さらには、上記ナノロッド的粒子長は、200~500nmであることが好ましく、粒子長と粒子幅のアスペクト比は、5~15であることが好ましい。
【0014】
さらには、上記二酸化チタンTiO2は、ルチル型TiO2、ブルッカイト型TiO2、二酸化チタン(B)、アナターゼ型TiO2の1つ又は複数である。
【0015】
さらには、上記二酸化チタンTiO2の粒径は、5~500nmである。
【0016】
さらには、上記二酸化チタンTiO2の粒径は、10~100nmであることが好ましい。
【0017】
さらには、上記ヨウ素の純度は、98%以上である。
【0018】
さらには、上記ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物はヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、臭化カルシウム、臭化バリウムの1つ又は複数である。
【0019】
さらには、上記ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物の純度は、99%以上である。
【0020】
さらには、上記窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルは、以下の化合物、即ち、
【化1】
nは1~4である;
【化2】
nは1~3である;
【化3】
nは1~2である;
【化4】
nは1~5である;
【化5】
nは1~4である;
【化6】
【化7】
nは1~4である;
【化8】
nは1~7である;
【化9】
nは1~7である;
【化10】
nは1~6である;
【化11】
の1つ又は複数である。
【0021】
さらには、上記変性セルロースは、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロースの少なくとも1つである。
【0022】
他の側面では、本発明は、本発明に係る無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドを製造する方法であって、酢酸イソアミルを溶媒とし、炭素数8未満の低級アルコール及び蒸留水を荷電平衡剤とし、各成分の仕込み質量比は、二酸化チタンTiO2:B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.01~1.5:0.2~5:1:0.4~3:0.5~5:0.1~8:0.01~5:5~100であり、
a、反応容器に上記質量比でE成分として変性セルロース、B成分としてヨウ素、酢酸イソアミル、C成分としてハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物、二酸化チタンTiO2を加え、加熱し、低級アルコール、蒸留水及びD成分として窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルを添加し、撹拌するステップと、
b、ステップaで得られた反応溶液を遠心分離して粗大な粒子状生成物を除去し、次いで上澄み液を遠心分離し、無機-有機ハイブリッドコアシェル型TiO2ナノロッドを得るステップと、を含む方法を提供する。
【0023】
好ましい実施形態において、前記製造方法は、
酢酸イソアミルを溶媒とし、炭素数8未満の低級アルコール及び蒸留水を荷電平衡剤とし、各成分の仕込み質量比は、二酸化チタンTiO2:B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.01~1.5:0.2~5:1:0.4~3:0.5~5:0.1~8:0.01~5:5~100であり、
a、反応容器に対応する質量比でE成分として変性セルロース、B成分としてヨウ素、酢酸イソアミル、C成分としてハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物、二酸化チタンTiO2を加え、その後、5~150℃まで加熱し、ヨウ素を溶解させた後、低級アルコール、蒸留水及びD成分として窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルを加え、加熱し続けて温度を維持し、0.1~20時間撹拌して反応させ、次いで自然に冷却するステップと、
b、反応溶液を1350Gで0.5時間遠心分離して粗大な粒子状生成物を除去し、次いで上澄み液を18000Gで5時間遠心分離し、上澄み液を捨て、光制御粒子を得、無機-有機ハイブリッドコアシェル型TiO2ナノロッドを得るステップと、を含む。
【0024】
本発明の他の側面では、さらに、2つの透明電極及び電極間に挟まれた液体懸濁媒体を含む光透過率制御可能なライトバルブにおいて、液体懸濁媒体に、前記コアシェル型ナノロッドが均一に分散され、ナノロッドの液体懸濁媒体中の浮力及び重力はバランスが保たれ、液体懸濁媒体に安定して懸濁しながら自由に動くことができ、2つの透明電極に電圧調整可能な交流電源が接続されているライトバルブを提供している。
【0025】
さらには、上記液体懸濁媒体は、非導電性液体であり、鉱物絶縁油、合成絶縁油、植物油の少なくとも1つである。
【0026】
さらには、上記鉱物絶縁油は、変圧器油である。
【0027】
さらには、上記合成絶縁油は、シリコーンオイル、フルオロカーボン有機化合物、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、トリイソデシルトリメリテート(TDTM)、ドデシルベンゼン、ポリブテンオイルの少なくとも1つである。
【0028】
さらには、上記植物油は、ヒマシ油、大豆油、菜種油の少なくとも1つである。
【0029】
さらには、上記透明電極は、ITO導電性ガラス又はITO/PET導電性フィルム又はAgナノワイヤー/PET導電性フィルム又はCuナノワイヤー/PET導電性フィルムである。
【0030】
さらには、上記液体懸濁媒体を挟む2つの透明電極の周囲は、エポキシ樹脂である絶縁材で密封されいる。
【0031】
さらには、上記交流電源は、5~500Vの交流電源である。
【0032】
ここで、交流電源の数値とは、実効値を指す。
【0033】
更に他の側面では、本発明は、さらに、前記無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドの光透過率制御可能なライトバルブの製造における応用である。
【0034】
他の側面では、本発明は、本発明に係る無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドを液体懸濁媒体に均一に分散させることを含む、光透過率を制御するための方法において、前記液体懸濁媒体が2つの透明電極の間に挟まれている方法を提供する。前記電極及び前記ナノロッドが分散されている液体懸濁媒体を光路に配置すると、電界をオン又はオフすることで光透過率の変化を調整できる。
【0035】
本発明に係る無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドは、コア部が金属酸化物である二酸化チタンTiO2であり、シェル部が無機-有機複合体である。本発明者は、理論に制限されることなく、そのうちの金属酸化物は、種結晶として作用し、金属酸化物の周りの無機-有機複合体であるシェル部の成長を誘導し、コアシェル型構造を形成すること;ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(C成分)における金属原子は、窒素含有複素環式カルボン酸又はエステル(D成分)における窒素原子と化学結合を形成できること;ヨウ素(B成分)がさらにハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(C成分)における金属原子とポリヨウ化物錯体を形成できること;選択された変性セルロースは、形成されたコアシェル型ナノロッドの凝集を抑制し、異なる結晶面の生成速度を制御し、ある結晶面が他の結晶面よりも速く成長するのを促進することにより、棒状の態様を生成すること、を発見している。
【0036】
予想外には、製造方法で加えられた水及び低級アルコールは、水素結合又は配位結合で平衡シェル部である無機-有機複合体のバランスを取り、電荷平衡などの作用を発揮し、無機-有機複合体の構造をより安定させることができる。
【0037】
本発明のコアシェル型ナノロッドで作製されたライトバルブは、電界が印加されていない場合には(オフ状態)、液体懸濁液中のコアシェル型ナノロッドがブラウン運動によりランダムに分散している。このとき、ライトバルブに入る光線は、吸収及び/又は散乱され、ライトバルブは光透過性が低く、比較的暗くなる。電界が印加される場合には(オン状態)、コアシェル型ナノロッドは電界によって分極され、電界内で互いに平行な方向に並べるので、大部分の光がライトバルブを通過でき、ライトバルブの光透過性が効果的に増強され、比較的透明になる。
【0038】
試験により、本発明に係るライトバルブの全光線透過率は、68.1%に達し、従来技術のライトバルブよりもよりも著しく良好であり、従来のライトバルブの光透過率の調整範囲が小さい欠点を克服し、良好な技術効果を取得し、光透過率をより広い範囲で調整でき、良い実用化の見通しを持つ。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は本発明に係るライトバルブの構造概略図である。
【
図2】
図2は本発明に係るライトバルブの通電後の構造概略図である。
【
図3】
図3は本発明に係るライトバルブのオフ状態及びオン状態下での吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、金属酸化物からなるナノロッドコア、及び炭素原子、窒素原子を含有する無機-有機複合体からなるナノロッドシェルを含む無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドを提供する。
【0041】
コアシェル型ナノ粒子は、コア構造及び異なる成分で作製されたシェルを有する、二相材料であることは当分野でよく知られている。前記材料は、独特の特性を示すことができる。
【0042】
前記ナノロッドコアは、ルチル型TiO2、ブルッカイト型TiO2、二酸化チタン(B)、アナターゼ型TiO2の1つ又は複数である二酸化チタン(TiO2)である。このような二酸化チタンTiO2は、市販の製品から選択されてもよく、例えば、Sigma Aldrich社からAeroxide(登録商標)P25(ドイツEvonik Degussa GmbH製)を購入し、その平均粒子径は25nmである。特に屋外環境で使用される場合には、ライトバルブの色の安定性を維持するために、二酸化チタン(TiO2)は、ルチル型TiO2であることがより好ましい。
【0043】
前記二酸化チタン(TiO2)の粒径は、5~500nmであり、より好ましくは、10~100nmである。
【0044】
前記ナノロッドシェルは、炭素原子、窒素原子を含有する無機-有機複合体からなり、その成分は、B、C、D、Eという4つの成分を含み、ここで、B成分は、ヨウ素であり、C成分は、ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物であり、D成分は、窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルであり、E成分は、変性セルロースであり、各成分の質量比はB:C:D:E=0.2~5:1:0.4~3:0.5~5である。
【0045】
前記ヨウ素の純度は、98%以上である。
【0046】
前記ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物は、直接に購入された市販品としての化合物、例えば、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、臭化カルシウム及び臭化バリウムなどから選ばれてもよく、好ましくは、選ばれたハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物の純度は、99%以上である。
【0047】
前記窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルは、次の表に記載の化合物であるが、表1の化合物に限定されない。
【0048】
【0049】
前記変性セルロースは、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロースの少なくとも1つである。
【0050】
前記ナノロッドの粒子長は、50~800nmであり、より好ましくは200~500nmであり、粒子長と粒子幅の比は、2~30であり、より好ましくは、5~15である。
【0051】
本発明で設計された無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドは、コア部が金属酸化物二酸化チタン(TiO2)であり、シェル部が無機-有機複合体である。本発明者は、理論に制限されることなく、そのうちの金属酸化物は、種結晶として作用し、金属酸化物の周りの無機-有機複合体であるシェル部の成長を誘導し、コアシェル型構造を形成すること;ハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(C成分)における金属原子は、窒素含有複素環式カルボン酸又はエステル(D成分)における窒素原子と化学結合を形成できること;ヨウ素(B成分)がハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(C成分)における金属原子とポリヨウ化物錯体を形成することができること;選択された変性セルロースは、形成されたコアシェル型ナノロッドの凝集を抑制し、異なる結晶面の生成速度を制御し、ある結晶面が他の結晶面よりも速く成長するのを促進することにより、棒状の態様を生成すること、を発見している。
【0052】
ここで、本発明の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドの製造を実現するために、本発明は、その無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッドを製造する方法であって、酢酸イソアミルを溶媒とし、炭素数8未満の低級アルコール及び蒸留水を荷電平衡剤として、各成分の仕込み質量比が、二酸化チタン(TiO2):B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.01~1.5:0.2~5:1:0.4~3:0.5~5:0.1~8:0.01~5:5~100であり、具体的な製造ステップは、
a、反応容器に対応する質量比でE成分として変性セルロース、B成分としてヨウ素、酢酸イソアミル、C成分としてハロゲン化アルカリ金属又はアルカリ土類金属ハロゲン化物、二酸化チタン(TiO2)を加えた後、5~150℃まで加熱し、ヨウ素を溶解させてから低級アルコール、蒸留水及びD成分として窒素含有複素環式カルボン酸又は窒素含有複素環式カルボン酸エステルを加え、加熱し続けて温度を維持し、0.1~20時間撹拌して反応させ、次いで自然に冷却するステップと、
b、反応溶液を1350Gで0.5時間遠心分離して粗大な粒子状生成物を除去し、次いで上澄み液を18000Gで5時間遠心分離し、上澄み液を捨て、光制御粒子を得、無機-有機ハイブリッドコアシェル型TiO2ナノロッドを得るステップと、を含む方法を提供する。
【0053】
上記方法で加えられた水及び低級アルコールは、水素結合又は配位結合で平衡シェル部である無機-有機複合体のバランスを取り、電荷平衡などの作用を発揮し、無機-有機複合体の構造をより安定させることができることが予期せず発見された。
【0054】
図1に示すように、2つの透明電極100及び電極間に挟まれた液体懸濁媒体300を含む光透過率制御可能なライトバルブであって、液体懸濁媒体300に、前記コアシェル型ナノロッド200が均一に分散され、液体懸濁媒体300の浮力及び重力はバランスが保たれ、液体懸濁媒体300に安定して懸濁しながら自由に動くことができ、2つの透明電極300に電圧調整可能な交流電源が接続されているライトバルブである。
【0055】
前記液体懸濁媒体300は、非導電性液体であり、鉱物絶縁油、合成絶縁油、植物油の少なくとも1つである。鉱物絶縁油は、変圧器油などである。合成絶縁油は、シリコーンオイル、フルオロカーボン有機化合物、可塑剤(ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソオクチルフタレート及びトリイソデシルトリメリテート(TDTM)など)、ドデシルベンゼン、ポリブテンオイルなどの少なくとも1つである。植物油は、ヒマシ油、大豆油、菜種油などの少なくとも1つである。ここで、本発明のライトバルブに使用される液体懸濁媒体300は、これらに限定されなく、当技術分野で知られている任意の液体ライトバルブ懸濁液であってもよく、当技術分野で周知の技術に従って調製されてもよく。
【0056】
前記透明電極100は、ITO導電性ガラス又はITO/PET導電性フィルム又はAgナノワイヤー/PET導電性フィルム又はCuナノワイヤー/PET導電性フィルムである。
【0057】
前記2つの透明電極100の周囲は、エポキシ樹脂である絶縁材で密封されている。
【0058】
前記ライトバルブは、交流電源によって駆動されて光透過率を調整し、好ましくは、5~500V交流電源を使用する。
【0059】
ここで、交流電源の数値とは、実効値を指す。
【0060】
本発明のコアシェル型ナノロッドで作製されたライトバルブは、電界が印加されていない場合には(オフ状態)、液体懸濁媒体300中のコアシェル型ナノロッド200がブラウン運動からランダムに分散している時に、ライトバルブに入る光線は、吸収及び/又は散乱され、ライトバルブは光透過性が低く、比較的暗くなり、その構造は、
図1に示す。電界が印加される場合には(オン状態)、コアシェル型ナノロッド200は電界によって分極され、電界内で互いに平行な方向に並べるので、大部分の光がライトバルブを通過でき、ライトバルブの光透過性が効果的に増強され、比較的透明になり、その構造は、
図2に示す。
【0061】
図3は、110Vの電圧を印加する前後の本発明にかかるライトバルブの吸収スペクトル曲線を示す。
【0062】
以下、本発明を実施例によりさらに説明する。
【実施例】
【0063】
[実施例1]コアシェル型ナノロッドの調製
各成分の仕込み質量比は二酸化チタン(TiO2):B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=1.0:1.5:1.0:1.0:1.6:1.5:0.2:23.4である。
【0064】
250mlの3つ口丸底フラスコに21.2wt%ニトロセルロース(1/4sec SS)を含有する酢酸イソアミル溶液30g、I2 6g、酢酸イソアミル 70g、無水CaI2 4g及びAeroxide(登録商標) P25 4gを加え、42℃まで加熱した。I2を溶解させた後、無水メタノール6g、蒸留水0.8g及び2,5-PDA・2H2O(2,5-ピラジンジカルボン酸二水和物)4gを3つ口丸底フラスコに加えた。42℃で加熱しながら撹拌して4時間反応させ、次いで自然に冷却した。
【0065】
反応溶液を1350Gで0.5時間遠心分離して粗大な粒子状生成物を除去した。上澄み液を18000Gで5時間遠心分離し、上澄み液を捨て、光制御粒子を取得し、即ち、コアシェル型ナノロッドである無機-有機ハイブリッドコアシェル型TiO2ナノロッドを得、その無機-有機ハイブリッドコアシェル型TiO2ナノロッドを酢酸イソアミル250mlで十分に分散させた混合液をLCP-実施例-1と称された。
【0066】
SEMによる観察結果は、LCP-実施例-1の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド粒子長が300nmであり、粒子幅が50nmであり、粒子のアスペクト比が6であることを示した。
【0067】
[実施例2]コアシェル型ナノロッドの調製
無水メタノールの代わりにn-プロパノールを使用し、Aeroxide(登録商標)P25の代わりに粒径80nmのTiO2を使用し、60℃で加熱しながら撹拌して10時間反応させ、各成分の仕込み質量比はA成分:B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.1:2.5:1.0:3.0:3.5:0.5:1.0:80であった以外は、実施例1の方法に従って調製された混合液サンプルをLCP-実施例-2と称した。
【0068】
SEMによる観察結果は、LCP-実施例-2の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド粒子長が350nmであり、粒子幅が40nmであり、粒子のアスペクト比が8.8であることを示した。
【0069】
[実施例3]コアシェル型ナノロッドの調製
2,5-ピラジンジカルボン酸二水和物の代わりに2-ピラジンカルボン酸を使用し、5℃で加熱しながら撹拌して20時間反応させ、各成分の仕込み質量比はA成分:B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.2:3.5:1.0:3.0:3.0:0.5:0.2:50であった以外は、実施例2の方法に従って調製された混合液サンプルがLCP-実施例-3と称された。
【0070】
SEMによる観察結果は、LCP-実施例-3の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド粒子長が150nmであり、粒子幅が30nmであり、粒子のアスペクト比が5であることを示した。
【0071】
[実施例4]コアシェル型ナノロッドの調製
無水メタノールの代わりにn-プロパノールを使用し、ニトロセルロースの代わりにエチルセルロースを使用し、100℃で加熱しながら撹拌して0.2時間反応させ、各成分の仕込み質量比はA成分:B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.5:4.0:1.0:2.5:3.5:1.5:0.8:65であった以外は、実施例1の方法に従って調製された混合液サンプルがLCP-実施例-4と称された。
【0072】
SEMによる観察結果は、LCP-実施例-4の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド粒子長が600nmであり、粒子幅が50nmであり、粒子のアスペクト比が12であることを示した。
【0073】
[実施例5]コアシェル型ナノロッドの調製
無水CaI2の代わりにKIを使用し、ニトロセルロースの代わりにエチルセルロースを使用し、70℃で加熱しながら撹拌して2時間反応させ、各成分の仕込み質量比はA成分:B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.2:3.5:1.0:2.0:1.5:2.5:0.5:100であった以外は、実施例1の方法に従って調製された混合液サンプルがLCP-実施例-5と称された。
【0074】
SEMによる観察結果は、LCP-実施例-5の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド粒子長が800nmであり、粒子幅が30nmであり、粒子のアスペクト比が26.6であることを示した。
【0075】
[実施例6]コアシェル型ナノロッドの調製
無水メタノールの代わりにn-ヘキサノールを使用し、Aeroxide(登録商標)P25の代わりに粒径80nmのTiO2を使用し、ニトロセルロースの代わりに酢酸セルロースを使用し、35℃で加熱しながら撹拌して1時間反応させ、各成分の仕込み質量比はA成分:B成分:C成分:D成分:E成分:低級アルコール:水:酢酸イソアミル=0.3:2.0:1.0:3.2:3.0:0.5:1.0:80であった以外は、実施例1の方法に従って調製された混合液サンプルがLCP-実施例-6と称された。
【0076】
SEMによる観察結果は、LCP-実施例-6の無機-有機ハイブリッドコアシェル型ナノロッド粒子長が250nmであり、粒子幅が40nmであり、粒子のアスペクト比が6.3であることを示した。
【0077】
[実施例7]LV懸濁液の調製
250mlの丸底ガラスフラスコにTDTM(トリデシルトリメリテート)40gを加え、実施例1で調製されたLCP-実施例-1をバッチで添加した。酢酸イソアミルを回転蒸発器で除去し、最後に80℃で回転蒸発器で3時間処理し続けた。無機-有機ハイブリッドコアシェル型TiO2ナノロッド含有LV懸濁液(LV-実施例-7と称される)を得た。
【0078】
[実施例8]LV懸濁液の調製
実施例1のサンプルであるLCP-実施例-1の代わりに実施例2のサンプルであるLCP-実施例-2を使用し、TDTM(トリデシルトリメリテート)の代わりにジオクチルフタレートを使用した以外は、実施例7の方法に従って行い、LV-実施例-8と称された。
【0079】
[実施例9]LV懸濁液の調製
実施例1のサンプルであるLCP-実施例-1の代わりに実施例3のサンプルであるLCP-実施例-3を使用し、TDTM(トリデシルトリメリテート)の代わりにシリコーンオイルを使用した以外は、実施例7の方法に従って行い、LV-実施例-9と称された。
【0080】
[実施例10]LV懸濁液の調製
実施例1のサンプルであるLCP-実施例-1の代わりに実施例4のサンプルであるLCP-実施例-4を使用し、TDTM(トリデシルトリメリテート)の代わりに変圧器油を使用した以外は、実施例7の方法に従って行い、LV-実施例-10と称された。
【0081】
[実施例11]LV懸濁液の調製
実施例1のサンプルであるLCP-実施例-1の代わりに実施例5のサンプルであるLCP-実施例-5を使用し、TDTM(トリデシルトリメリテート)の代わりにジイソオクチルフタレートを使用した以外は、実施例7の方法に従って行い、LV-実施例-11と称された。
【0082】
[実施例12]LV懸濁液の調製
実施例1のサンプルであるLCP-実施例-1の代わりに実施例6のサンプルであるLCP-実施例-6を使用し、TDTM(トリデシルトリメリテート)の代わりにドデシルベンゼンを使用した以外は、実施例7の方法に従って行い、LV-実施例-12と称された。
【0083】
[実施例13]LV-実施例-7によるLV-1ライトバルブの製造
エポキシ樹脂を使用して実施例7で作製されたLV-実施例-7を2つのITO透明導電性ガラス電極の間に密封し、200μmの厚さのLVライトバルブ(LV-1と称される)を形成した。電圧が印加されていない場合には(オフ状態)、LV-1は青の色相を示し、全光線透過率が1.0%である。50Hz、110Vの交流電源を印加する場合には(オン状態)、LV-1は、明らかになり、全光線透過率が68.1%である。
【0084】
さらに、オフ状態とオン状態の間に周期的に切り替え、各状態を2分間維持してオンオフサイクルを構成し、LV-1の可逆性及び安定性を評価する。5000回のオンオフサイクル後、このLV-1のコントラストは105に維持され、それは95.5%の可逆性に相当し、具体的な結果は表2に示した。
【0085】
[実施例14]LV-実施例-8によるLV-2ライトバルブの製造
LV-実施例-8の代わりにLV-実施例-7を使用した以外は、実施例13に従って製造し、測定し、LV-2と称され、具体的な結果は、表2に示した。
【0086】
[実施例15]LV-実施例-9によるLV-3ライトバルブ
LV-実施例-7の代わりにLV-実施例-9を使用した以外は、実施例13に従って製造し、測定し、LV-3と称され、具体的な結果は、表2に示した。
【0087】
[実施例16]LV-実施例-10によるLV-4ライトバルブの製造
LV-実施例-7の代わりにLV-実施例-10を使用した以外は、実施例13に従って製造し、測定し、LV-4と称され、具体的な結果は、表2に示した。
【0088】
[実施例17]LV-実施例-11によるLV-5ライトバルブの製造
LV-実施例-7の代わりにLV-実施例-11を使用した以外は、実施例13に従って製造し、測定し、LV-5と称され、具体的な結果は、表2に示した。
【0089】
[実施例18]LV-実施例-12によるLV-6ライトバルブ
LV-実施例-7の代わりにLV-実施例-12を使用した以外は、実施例13に従って製造し、測定し、LV-6と称され、具体的な結果は、表2に示した。
【0090】
[比較例1]無機-有機複合体の調製
添加しなかった以外は、実施例1の方法に従って行い、比較用LCPサンプル(LCP-比較例-1と称される)を製造した。
【0091】
SEMによる観察結果は、LCP-比較例-1の無機-有機複合体粒子長が400nmであり、粒子幅が50nmであり、粒子のアスペクト比が8であることを示した。
【0092】
[比較例2]TiO2ナノロッドの調製
TiO2ナノロッドを2段階法で合成した。第1階段では、チタン酸ナトリウムナノチューブを合成した。4g及び10mol/LのNaOH水溶液80mlを100mlのテフロン(登録商標)の裏打ちされたステンレス鋼製オートクレーブに入れて密封した。オートクレーブをオーブンに入れ、140℃で24時間加熱し、空気中に自然に冷却し、白色のチタン酸ナトリウムナノチューブ沈殿物を発生した。18000Gで5時間遠心分離し、上澄み液を捨て、チタン酸ナトリウムナノチューブを得た。次いで、脱イオン水で洗浄して溶液のpH7程度に調整した。第2階段では、TiO2ナノロッドを合成し、チタン酸ナトリウムナノチューブ 2g、脱イオン水 76ml及び30%H2O2溶液2mlを100mlのテフロン(登録商標)の裏打ちされたステンレス鋼製オートクレーブに入れて密封し、その後、オートクレーブをオーブンに入れ、180℃で24時間加熱した。空気中に自然に冷却し、白色のTiO2ナノロッド沈殿物を発生した。18000G下で5時間遠心分離し、上澄み液を捨て、TiO2ナノロッドを得、そのTiO2ナノロッドを250ml酢酸イソアミルで十分に分散させた混合液がLCP-比較例-2と称された。
【0093】
SEMによる観察結果は、LCP-比較例-2のTiO2ナノロッド粒子長が250nmであり、粒子幅が50nmであり、粒子のアスペクト比が5であることを示した。
【0094】
[比較例3]LV懸濁液の調製
実施例1のサンプルであるLCP-実施例-1の代わりに比較例1のサンプルであるLCP-比較例-1を使用した以外は、実施例7の方法に従って行い、LV-比較例-3と称された。
【0095】
[比較例4]LV懸濁液の調製
実施例1のサンプルであるLCP-実施例-1の代わりに比較例2のサンプルであるLCP-比較例-2を使用した以外は、実施例7の方法に従って行い、LV-比較例-4と称された。
【0096】
[比較例5]LV-比較例-3によるLV-7ライトバルブの製造
LV-実施例-7の代わりにLV-比較例-3を使用した以外は、LV-7と称された。LV-7の透光率の測定値は、それぞれ1.0%(オフ状態)及び50.2%(オン状態)であった以外は、実施例13に従って製造し測定した。さらに、5000回のオンオフサイクル後、このLV-7のコントラストは45であり、90%の可逆性に相当し、具体的な結果は、表2に示した。
【0097】
[比較例6]LV-比較例-4によるLV-8ライトバルブの製造
LV-実施例-7の代わりにLV-比較例-4を使用した以外は、実施例13に従って製造し測定し、LV-8と称され、具体的な結果は、表2に示した。
【0098】
LV-1とLV-7と、LV-1とLV-8とを比較すると、コアシェル型ナノロッドはライトバルブの光制御性能を大幅に向上させることを証明した。
【0099】
【0100】
試験により、本発明のライトバルブは、全光線透過率が68.1%程度に達し、二酸化チタンが含まれていない比較例5及び無機-有機複合体が含まれていない比較例6の光透過率よりもはるかに高くなることを確認し、このような技術効果は、予想外である。従って、本発明は、光透過率範囲が小さいという従来のライトバルブの欠点を効果的に克服し、より優れた技術的効果を達成し、より広い範囲で光透過率を調整することができ、良好な実用化の見通しを有する。
【0101】
以上の実施例は、説明のみを目的とし、并非限制本発明の範囲を限定するものではない。特に記述がない限り、実施例で使用される全ての試薬は、いずれもSigma Aldrich社から購入された。これらの実施例において、特に記述がない限り、全ての「部」及び「パーセント」は、いずれも重量とする。LVライトバルブの光透過率は、Oceanview分光計で測定された。