(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】粉体供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20220221BHJP
B65G 65/32 20060101ALI20220221BHJP
B65B 1/28 20060101ALI20220221BHJP
B65B 39/00 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
B65G65/40 B
B65G65/32 B
B65B1/28
B65B39/00 A
(21)【出願番号】P 2017178450
(22)【出願日】2017-09-18
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】508038806
【氏名又は名称】株式会社アイシンナノテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】月原 信夫
(72)【発明者】
【氏名】豊田 敦史
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299787(JP,A)
【文献】特開平10-338357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/32
B65G 65/40
B65B 1/00-3/36
B65B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の口部と、口部の下方に設けられ、口部よりも太径の筒状の胴部と、胴部に下方に位置する底部とを有する容器に、粉体を供給して充填する粉体供給装置であって、
容器の口部に取り付けられる筒状部材と、容器の内部に粉体を吐出する漏斗状部材とを備え、
筒状部材は、容器の口部の上端縁に載置される橋梁部と、橋梁部から下方に延設され、容器の口部に嵌合される筒状の嵌合部とを有し、
漏斗状部材は、逆円錐形状の容器である粉体投入部と、粉体投入部の下方に設けられ、筒状部材の
嵌合部に挿入される筒状の吐出部とを有し、
容器に筒状部材を取り付けた際に、筒状部材の
嵌合部の先端が容器の口部よりも下方に突出し、
漏斗状部材の吐出部を筒状部材の
嵌合部に挿入した際に、吐出部の先端が
嵌合部から下方に突出し、且つ、吐出部と
嵌合部との間に、所定の間隙が形成され、
橋梁部は、環状の網であり、
橋梁部の内径は、漏斗状部材の吐出部の外径と一致し、
橋梁部の外径は、容器の口部の外径よりも大きい粉体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胴部よりも細径の口部を有する容器に、粉体を供給して充填する粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホッパー等の漏斗状の容器に投入された粉体を下方に吐出させて、下方に設置したビン等の容器に供給し充填する粉体供給装置がある。この種の粉体供給装置としては、粉体の供給量を安定させるために、漏斗状の容器内の粉体に対して気体を圧送し、気体とともに粉体を吐出する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の粉体供給装置を用いて、胴部よりも細径の口部を有する容器に対し、粉体(特に、軽く舞いやすい粉体)を供給し充填しようとすると、粉体とともに吐出された気体によって、容器の内部における気圧が上昇し、粉体が舞い上がってしまい、容器の口部から吹き出してしまうという問題があった。
【0005】
そのような吹き出しを防止する方法としては、粉体の供給速度(すなわち、粉体とともに吐出される気体の量)を抑制する方法が考えられる。しかし、そのように供給速度を抑制すると、作業効率の低下を招くことになってしまう。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、胴部よりも細径の口部を有する容器に対し、気体を含む粉体を効率良く供給し充填することができる粉体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の粉体供給装置は、以下のような特徴を有している。
【0008】
[1] 筒状の口部と、口部の下方に設けられ、口部よりも太径の筒状の胴部と、胴部に下方に位置する底部とを有する容器に、粉体を供給して充填する粉体供給装置であって、
容器の口部に取り付けられる筒状部材と、容器の内部に粉体を吐出する漏斗状部材とを備え、
筒状部材は、容器の口部の上端縁に載置される橋梁部と、橋梁部から下方に延設され、容器の口部に嵌合される筒状の嵌合部とを有し、
漏斗状部材は、逆円錐形状の容器である粉体投入部と、粉体投入部の下方に設けられ、筒状部材の筒状部に挿入される筒状の吐出部とを有し、
容器に筒状部材を取り付けた際に、筒状部材の筒状部の先端が容器の口部よりも下方に突出し、
漏斗状部材の吐出部を筒状部材の筒状部に挿入した際に、吐出部の先端が筒状部から下方に突出し、且つ、吐出部と筒状部との間に、所定の間隙が形成される粉体供給装置。
[2] 橋梁部は、環状の網であり、
橋梁部の内径は、漏斗状部材の吐出部の外径と一致し、
橋梁部の外径は、容器の口部の外径よりも大きい請求項1に記載の粉体供給装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る粉体供給装置の要部を断面として示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る粉体供給装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る粉体供給装置の要部を断面として示した斜視図である。
図1における実線の矢印は、供給された粉体の移動経路を示し、破線の矢印は、粉体に含まれていた気体の移動経路を示す。
【0011】
図1に示すように、粉体供給装置1は、容器10に圧送用の気体とともに粉体Pを供給し、充填するための装置である。粉体供給装置1は、容器10に取り付けられている筒状部材20と、筒状部材20に挿入されているホッパー30(漏斗状部材)と、粉体Pに気体を圧送する給気機構(不図示)とを備えている。
【0012】
容器10は、筒状の口部11と、下方に向かって徐々に拡径する筒状であり、口部11に連接されている肩部12と、口部11よりも太径の筒状であり、肩部12に連接されている胴部13と、胴部13の下方に配置された底部14とを有している。
【0013】
筒状部材20は、容器10の口部11の上端縁に載置される橋梁部21と、橋梁部21から下方に延設され、容器10の口部11の内側に嵌合される筒状の嵌合部22とを有している。
【0014】
橋梁部21は、環状の部材であり、その内径は、後述するホッパー30の吐出部32の外径と一致し、その外径は、容器10の口部11の外径よりも大きく形成されている。すなわち、筒状部材20及びホッパー30は、橋梁部21を介して、容器10の口部11に係止されている。
【0015】
橋梁部21の形状は、上記のような径を有する環状に限定されるものではなく、筒状部材20を容器10の口部11の上端縁に係止できる形状であれば、どのような形状であってもよい。例えば、ホッパー30を別途保持する機構がある場合等には、筒状部材20の嵌合部22の上端部から延設された突起又はフランジをもうけ、それらを橋梁部としてもよい。
【0016】
ホッパー30は、逆円錐形状の粉体投入部31と、粉体投入部31の下方に設けられ、筒状部材20の嵌合部22に挿入される筒状の吐出部32とを有している。
ここで、容器10の口部11、筒状部材20の嵌合部22及びホッパー30の吐出部32の軸線方向の長さ及び径の大きさについて説明する。
【0017】
嵌合部22は、容器10に筒状部材20を取り付けた際に、嵌合部22の先端が容器10の内部で口部11よりも下方に突出するように形成されている。これにより、容器10の内部の上方部分には、筒状部材20の嵌合部22の先端部によって、容器10の内部で口部11から下方に向かって突出する壁が形成されている。
【0018】
嵌合部22の外径は口部11の内径と略一致しており、容器10に筒状部材20を取り付けた際に、嵌合部22は、口部11の内側に嵌合する。
ホッパー30の吐出部32は、吐出部32を嵌合部22に挿入した際に、吐出部32の先端が、嵌合部22から下方に突出するように形成されている。
【0019】
吐出部32の外径は嵌合部22の内径よりも小径であり、嵌合部22に吐出部32を挿入した際には、吐出部32と嵌合部22との間に、所定の間隙が形成される。間隙は、粉粒体に応じて任意に設定することができる。例えば、間隙は0.5mm以上とすることができる。
【0020】
上記のように、粉体供給装置1では、ホッパー30の吐出部32を筒状部材20の嵌合部22に挿入した際に、吐出部32の先端が嵌合部22から下方に突出するように(すなわち、吐出部32の吐出口が容器10の底部14に近い位置となるように)構成されている。
【0021】
そのため、吐出部32から吐出された粉体P及びその粉体に含まれる気体は、容器10の底部14に落下した後、径方向に広がるように移動し、さらにその後、容器10の胴部13に沿うようにして上方に向かって移動する(
図1における実線で示した矢印、及び、破線で示した矢印参照。)。
【0022】
ここで、容器10の内部の上方部分には、筒状部材20の嵌合部22の先端部によって、容器10の内部で口部11から下方に向かって突出する壁が形成されている。
【0023】
この壁によって、胴部13の内周面に沿って上方に移動していた粉体Pの移動は規制され、壁にぶつかった粉体Pは下方に落下することになる(
図1における実線で示した矢印参照。)。
【0024】
一方、粉体Pに含まれていた気体の移動は、この壁によって一時的に胴部13の上方(具体的には、壁と肩部12の内周面との間)に滞留するが、順次ホッパー30の吐出部32と筒状部材20の嵌合部22との間の間隙から排出されていく(
図1における破線で示した矢印参照。)。
【0025】
また、筒状部材20の橋梁部21は、粉体を通過させずに気体のみを通過させる目の大きさの環状の網(金属、プラスチック、繊維など)によって構成することができる。橋梁部21を網によって構成することで、排出される気体に粉体Pが残留していたとしても、その粉体Pは、橋梁部21によってホッパー30の吐出部32と筒状部材20の嵌合部22との間の間隙から拡散することを低減もしくは防止することができる。
【0026】
したがって、本発明の粉体供給装置1によれば、粉体Pを容器の内部に留まらせるとともに、粉体Pに含まれていた気体のみを順次排出できるので、粉体Pの供給速度を抑制することなく、胴部13よりも細径の口部11を有する容器10に対し、気体を含む粉体Pを効率良く供給し充填することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 粉体供給装置
10 容器
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部
20 筒状部材
21 橋梁部
22 筒状部
30 ホッパー(漏斗状部材)
31 粉体投入部
32 吐出部
P 粉体