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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】絶縁カバー及び接触抑制具
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20220221BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20220221BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
H02G15/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018114845
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019193549
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2018081426
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 泰至
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-70784(JP,A)
【文献】特開2004-187447(JP,A)
【文献】特開2006-340462(JP,A)
【文献】特開平8-340620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00-7/22
H02G 1/02
H02G 15/02
H02G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器(100)から延設される開閉器リード線(1100)の端部と高圧縁廻電線(1200)の端部とが電気的に接続された接続部(140a,140b,150)を保護する絶縁カバー(1,2,3)であって、
前記接続部を格納する内部空間を形成し、前記内部空間と外部空間とを連通させる開口面である本体開口面を有する箱状に形成されるカバー本体(120,320)と、
前記本体開口面を塞ぐように前記カバー本体に着脱され、かつ、前記開閉器リード線及び前記高圧縁廻電線を、前記内部空間に引き込む引込孔が形成されたカバー蓋(110,310)と、
N極及びS極の一方の磁極を指定磁極として、前記指定磁極が前記カバー本体の外側を向くような磁界を発生させる反発部(123,223,224,323,324,330)と、
を有する絶縁カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁カバーであって、
前記反発部は、
前記カバー本体の箱状の側面部分においてあらかじめ決められた設置位置に埋設された磁石(123,223,323)を備える、絶縁カバー。
【請求項3】
請求項1に記載の絶縁カバーであって、
前記反発部は、
磁石と、
前記磁石を前記カバー本体の外面に着脱可能に保持する保持部(224)と、
を備える、絶縁カバー。
【請求項4】
請求項3に記載の絶縁カバーであって、
前記磁石は板状に形成され、
前記保持部は、前記カバー本体に前記磁石を前記カバー本体の面に沿った一方向である摺動方向に摺動可能に固定するレール部(324)を備える、絶縁カバー。
【請求項5】
請求項4に記載の絶縁カバーであって、
前記カバー本体における前記本体開口面と前記本体開口面と対向する面である本体底面とを結んだ方向に沿った方向を上下方向として、
前記摺動方向は、前記上下方向であって、
前記レール部の前記本体底面側の端部である下側端部は、前記磁石が脱落しないように固定するレール保持部(330)を備え、
前記レール部の前記本体開口面側の端部である上側端部は、開放された形状を有する、絶縁カバー。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の絶縁カバーであって、
前記カバー本体は、外形が直方体状に形成され、
前記反発部は、対向する面に設けられる、絶縁カバー。
【請求項7】
開閉器(100)から延設される開閉器リード線(1100)の端部と高圧縁廻電線(1200)の端部と電気的に接続された接続部(140a,140b,150)を保護する絶縁カバーの周面に着脱可能に取り付けられる接触抑制具(4,5)であって、
N極及びS極の一方の磁極を指定磁極として、前記指定磁極が前記接触抑制具の外側を向くような磁界を発生させる抑制反発部(41,45,52,55)と、
前記抑制反発部を前記絶縁カバーに対してあらかじめ決められた位置に位置するように固定する固定部(42,43,51,53,54)と、
を備える、接触抑制具。
【請求項8】
請求項7に記載の接触抑制具であって、
前記固定部は、
前記絶縁カバーを挟み込むことにより前記抑制反発部を固定する挟持部(42)を備える、接触抑制具。
【請求項9】
請求項7に記載の接触抑制具であって、
前記固定部は、
前記絶縁カバーに係合することにより前記抑制反発部を固定する係合部(43)を備える、接触抑制具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線の接続部分の絶縁を行う絶縁カバー、及び、絶縁カバーに取り付ける接触抑制具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、図6に示すように、開閉器100から延設される開閉器リード線1100と高圧縁廻電線1200との接続部分に、ゴムやプラスチックなどの絶縁材で形成される絶縁カバー6が取り付けられている。
【0003】
従来の絶縁カバー6は、非特許文献1及び図7(a)に示すように、上下方向に長尺な箱状に形成され、内部空間を有している。この絶縁カバー6のカバー蓋610には、開閉器リード線1100と高圧縁廻電線1200とを挿入する開口である第一挿入孔611a及び第二挿入孔611bが形成される。また、カバー蓋610の第一挿入孔611aと第二挿入孔611bとの間及び第一挿入孔611a及び第二挿入孔611bのそれぞれからカバー蓋610の端部にかけて、一直線上にカバー蓋610を分割する割面部612を有する。この割面部612により、開閉器リード線1100及び高圧縁廻電線1200が接続された状態で、絶縁カバー6に挿入することができる。
【0004】
開閉器リード線1100と高圧縁廻電線1200とは、それぞれの先端の被覆を取り除いた部分(以下、先端部分という)が重ねられて、ボルト140a及びナット140bにより固定される。これら開閉器リード線1100及び高圧縁廻電線1200の各先端部分とボルト140aとナット140bとが、接続部150を構成する。
【0005】
そして、当該接続部は、図7(b)に示すように、絶縁カバー6が有する内部空間に位置するように絶縁カバー6に収納される。これにより、絶縁カバー6は、接続部150を絶縁する。
【0006】
ここで、各絶縁カバー6は、開閉器リード線1100と高圧縁廻電線1200との接続部分に取り付けられた状態で吊持されるため、強風や電柱の揺動などにより絶縁カバー6が揺動する可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】[平成30年6月15日検索]、インターネット(URL:http://kowaelec.jp/product/insulation/09.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明者の検討の結果、以下の課題が見いだされた。
すなわち、図8に示すように、屋外の環境下において、絶縁カバー6の外面に塩やホコリなどの汚れが付着する。
【0009】
また、絶縁カバー6の内部にもカバー蓋610の第一挿入孔611a及び第二挿入孔611bからの雨水の浸入などにより、接続部150に汚れが付着する可能性がある。
この絶縁カバー6の内外面に付着した汚れにより、絶縁カバー6には、図8に示すように、第一挿入孔611a、第二挿入孔611bを介して、絶縁カバー6の外側表面から接続部150に至る電路190が形成される。
【0010】
このような状況において、強風による絶縁カバー6の揺動などにより、隣り合う絶縁カバー6同士が図9に示すように接触すると、隣り合う各絶縁カバー6に形成された各電路190により短絡することが想定される。
【0011】
本開示は、強風による絶縁カバー6の揺動などにより絶縁カバー同士が接触することによる短絡を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一態様は、開閉器(100)から延設される開閉器リード線(1100)の端部と高圧縁廻電線(1200)の端部とが電気的に接続された接続部(140a,140b,150)を保護する絶縁カバー(1,2,3)であって、カバー本体(120,320)と、カバー蓋(110,310)と、反発部(123,223,224,323,324,330)と、を有する。カバー本体は、接続部を格納する内部空間を形成し、内部空間と外部空間とを連通させる開口面である本体開口面を有する箱状に形成される。カバー蓋は、本体開口面を塞ぐようにカバー本体に着脱され、かつ、開閉器リード線及び高圧縁廻電線を、内部空間に引き込む引込孔が形成される。反発部は、N極及びS極の一方の磁極を指定磁極として、指定磁極がカバー本体の外側を向くような磁界を発生させる。
【0013】
このような構成によれば、絶縁カバーの周面の少なくとも一部に外側向きに同じ磁極となる反発部を有する。このため、反発部同士は磁石の斥力により隣り合う絶縁カバーが反発し、絶縁カバー同士の接触が抑制され、その結果、短絡を抑制することができる。
【0014】
また、本開示の別の一態様は、開閉器(100)から延設される開閉器リード線(1100)の端部と高圧縁廻電線(1200)の端部と電気的に接続された接続部(140a,140b,150)を保護する絶縁カバーの周面に着脱可能に取り付けられる接触抑制具(4,5)であって、抑制反発部(41,45,52,55)と、固定部(42,43)と、を備える。抑制反発部は、N極及びS極の一方の磁極を指定磁極として、指定磁極が接触抑制具の外側を向くような磁界を発生させる。固定部は、抑制反発部を絶縁カバーに対してあらかじめ決められた位置に位置するように固定する。
【0015】
このような構成によれば、隣り合う絶縁カバーの周面に着脱可能に取り付けられた接触抑制具は反発部を有する。このため、接触抑制具に備えられた反発部同士の磁石の斥力により隣り合う絶縁カバー反発し、絶縁カバー同士の接触が抑制され、その結果、配電線の短絡を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第一実施形態の絶縁カバーの説明図である。
図2】第一実施形態の変形例の説明図である。
図3】第一実施形態の変形例の説明図である。
図4】第二実施形態の絶縁カバーの説明図である。
図5】第二実施形態の変形例の説明図である。
図6】絶縁カバーを取り付ける様子を説明する説明図である。
図7】絶縁カバーを取り付ける様子を説明する説明図である。
図8】絶縁カバーが汚損される様子を説明する説明図である。
図9】絶縁カバーが取り付けられた隣り合う配電線が短絡する様子を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第一実施形態]
[1-1.構成]
第一実施形態(以下、第一実施形態の説明中では、第一実施形態を「本実施形態」ともいう)における絶縁カバー1について図を用いて説明する。
【0018】
図1に示すように、絶縁カバー1は、カバー蓋110とカバー本体120とにより構成される。
カバー本体120は、外形が略直方体状で内部空間を有し、一つの面が開口した箱形状に形成される。
【0019】
ここで、カバー本体120は、開口した面を本体開口面として、本体開口面と対向する面を本体底面とする。そして、カバー本体120を構成する本体開口面及び本体底面以外の面を本体側面という。本体側面は、本体開口面を上とし、カバー本体120の本体底面を下として、当該側面の左右方向に対して上下方向により長い略長方形状に形成される。また、カバー本体120の本体開口面及び本体底面に沿った断面形状は、略長方形で角がない形状に形成される。
【0020】
なお、以下では、カバー本体120の上下方向と絶縁カバー1及び絶縁カバー1を構成する各構成における上下方向とは同一として説明する。
カバー本体120の側面は、一対の対向する面である大側面部121及び大側面部121に比して面積の小さい一対の対向する面である小側面部122により構成される。
【0021】
大側面部121の一対の対向する面の面内の設置位置にはそれぞれ磁石123が埋設される。ここで、設置位置は、カバー本体120の上下方向の中央よりも下側に位置する。
磁石123の向きは、N極及びS極のうちの一方の磁極を特定磁極として特定磁極がカバー本体120の内部空間に対して外側を向くように設置される。例えば、一方の磁石123のN極が外向きに設置されると、他方の磁石123のN極も同様に外向きに設置される。
【0022】
カバー蓋110は、カバー本体120の上側の本体開口面を着脱可能に覆う。
カバー蓋110は、第一挿入孔111aと、第二挿入孔111bと、割面部112とを有する。第一挿入孔111aは、開閉器リード線1100を挿入可能な形状及び大きさに形成される。同様に第二挿入孔111bは、高圧縁廻電線1200を挿入可能な形状及び大きさに形成される。また、カバー蓋110の第一挿入孔611aと第二挿入孔111bとの間及び第一挿入孔111a及び第二挿入孔111bのそれぞれからカバー蓋110の端部にかけて、一直線上にカバー蓋110を分割する割面部112を有する。この割面部112により、開閉器リード線1100及び高圧縁廻電線1200が接続された状態で、絶縁カバー6に挿入することができる。
【0023】
なお、開閉器リード線1100は、図6に示すように、一般的な公共の電線に設置された開閉器100から延設される導線をいう。また、高圧縁廻電線1200は、一般的な公共の電柱に設置される電線同士を接続するための引き回しに用いられる電線をいう。
【0024】
図7(b)に示す従来技術と同様、カバー蓋110とカバー本体120とにより構成された絶縁カバー1が有する内部空間において、開閉器リード線1100の先端の被覆を除いた部分と高圧縁廻電線1200の先端の被覆を除いた部分がボルト140a及びナット140bにより固定されることにより、接続部150を構成する。
【0025】
[1-2.作用]
本実施形態の絶縁カバー1によれば、この絶縁カバー1を用いて上述した各接続部150を覆った場合、各絶縁カバー1には磁石123がそれぞれ同じ極である指定磁極が絶縁カバー1の外側を向くように埋設される。これにより、例えば、強風や電柱の揺動などにより複数の絶縁カバー1が揺動し、互いに接近した場合などにも、絶縁カバー1に埋設された磁石123同士の斥力により、隣り合う絶縁カバー1の接触を抑制することができる。
【0026】
[1-3.効果]
(1)本実施形態の絶縁カバー1によれば、塩やホコリ等の汚れが絶縁カバーの内部の接続部150及び外表面に付着し、電路190が絶縁カバー1形成されたとしても、隣り合う絶縁カバー1に埋設された磁石123の斥力により、絶縁カバー1同士の接触が抑制され、その結果、絶縁カバー1同士の接触による配電線の短絡を抑制することができる。
【0027】
(2)本実施形態の絶縁カバー1によれば、絶縁カバー1は、開閉器リード線1100と高圧縁廻電線1200との接続部分に取り付けられた状態で吊持される。そして、絶縁カバー1において磁石123が埋設される位置である設置位置は、カバー本体120の上下方向の中央よりも下側に位置する。
【0028】
これにより、磁石123が埋設される位置がカバー本体120の上下方向の中央よりも上側に位置する場合に比べ、絶縁カバー1が揺動した際に接近しやすい位置に磁石123の設置位置が位置するため、磁石123同士の斥力を効率よく働かせることができる。
【0029】
[1-4.第一実施形態の変形例]
(1)上述した実施形態では、磁石123は、カバー本体120の大側面部121に埋め込まれるが、磁石は、大側面部121に埋め込まれるものに限定されるものではない。
【0030】
例えば、図2に示す絶縁カバー2のように、磁石が埋め込まれる位置に相当する位置に大側面部221の外面から突出する枠体である保持部224を備え、保持部224に磁石223が嵌め込まれるような形態であってもよい。
【0031】
(2)また、図3に示す絶縁カバー3のように、大側面部121の上下方向に延びるレール部324を備えてもよい。レール部324は、L字型の断面を有し、当該L字型の断面形状と大側面部121とで挟み込むようにして、レールの延びた方向に板状の磁石323を摺動可能に保持してもよい。そして、レール部324のレールの下端部分には、磁石323がレールから脱落することを阻止するレール保持部330を備えてもよい。また、レール部324のレールの上端部分は、磁石323をレール部324に挿入できるように開放されていてもよい。また、カバー蓋310には、カバー蓋310をカバー本体320に取り付けた状態においてレール部324の上端部に対応する位置に位置するような突出部340を備えてもよい。突出部340は、例えば、カバー蓋310から下方向にあらかじめ決められた突出位置まで、突出した形状に形成されてもよい。突出位置は、例えば、レール部324のレールの上端からレールに磁石を備えた際の上下方向の長さ分だけ離れた位置など、レール部324のレールから磁石323が脱落することが抑制できる位置であればよい。
【0032】
また、このような形状に形成されることにより、カバー蓋310をカバー本体320から取り外した際に、容易にレール部324から磁石323を取り外すことができる。
(3)なお、レール部324は上下方向に延びるものに限定されるものではなく、横方向に延びるものであってもよい。すなわち、レール部324により磁石323が摺動する一方向である摺動方向は、上下方向に限定されるものではなく、横方向であってもよい。
【0033】
この場合、横方向のレールの端部に磁石323の脱落を防ぐような突出部があってもよい。
なお、磁石123,223,323、保持部224、レール部324が反発部に相当する。
【0034】
(4)上記実施形態では、カバー本体120は、外形が略直方体状の箱形形状であり、箱形状の側面部分は、縦長の角のない曲面形状に形成されるとしたが、カバー本体120はこのような形状に限定されるものではない。例えば、側面が平面により構成される直方体であってもよく、有底円筒状に構成されてもよい。
【0035】
[2.第二実施形態]
[2-1.構成]
第二実施形態(以下、第二実施形態の説明中では、第二実施形態を「本実施形態」という)は、従来の絶縁カバー6に着脱可能に取り付ける接触抑制具4である。
【0036】
すなわち、第一実施形態では、絶縁カバーそのものに磁石が配置されたが、第二実施形態では、図4に示すように、絶縁カバー6に対して着脱可能である接触抑制具4を介して磁石45が絶縁カバー6に取り付けられる点で相違する。
【0037】
なお、接触抑制具4は、例えば、ゴムやプラスチックなどの絶縁材により形成される。
本実施形態で使用される絶縁カバーは従来技術における絶縁カバー6に接触抑制具4が設置される場合について説明する。
【0038】
なお、絶縁カバー6の各構成は、磁石が埋め込まれていない以外は絶縁カバー1の各構成と同様であるとして、以下説明する。
接触抑制具4は、絶縁カバー6の形状に沿った形状に形成される。
【0039】
接触抑制具4は、抑制具保持部41、挟持部42及び係合部43を備える。
抑制具保持部41は、磁石45を保持する形状に形成される。
挟持部42は、抑制具保持部41と接合され、蝶番421と締込部422と一対の周面板423とを備える。
【0040】
挟持部42は、絶縁カバー6のカバー本体620の周面を周面板423で挟み込み、蝶番421及び締込部422により、抑制具保持部41を固定する。蝶番421、締込部422及び周面板423は、それぞれカバー本体620の形状に沿う形状に形成される。
【0041】
蝶番421は、一対の周面板423の一端に設けられ、一対の周面板423を繋いでいる軸を回転軸として回動可能に接合する。
締込部422は、一対の周面板423の他端側、すなわち、一対の周面板423の蝶番421が設けられていない端に設けられる。
【0042】
締込部422は、周面板423を閉じた状態に固定する機構を有する。締込部422は、例えば、一対の周面板423から延出され、あらかじめ決められた径のボルトを挿通させるような大きさ及び形状の穴が設けられ、当該穴をボルトとナットで固定することにより周面板423を閉じた状態で固定するネジ締結機構であってもよい。また、締込部422は、一対の周面板423から延出され、一方に開口を備え、他方に当該開口を挿通する凸部を備え、凸部が開口を挿通し、凸部の端部が開口に引っかかるようにすることにより、周面板423を閉じた状態で固定するスナップフィットであってもよい。
【0043】
係合部43は、係合板431と引掛部432とを備える。
係合部43は、係合板431及び引掛部432により、抑制具保持部41をカバー蓋610に係合する。
【0044】
係合板431は、抑制具保持部41と接合され、カバー本体620の大側面部621において磁石45を設置させる位置から、カバー蓋610の蓋の上側まで、大側面部621の形状に沿って上下方向に延びる板状部分である。
【0045】
係合板431は、抑制具保持部41と接合する側と反対側の端面の中央部分に切欠部431aを有する。切欠部431aは、カバー蓋610から突出した突出部640の横幅、すなわち、突出部640のカバー蓋610の大側面部621と接する部位の縁に沿った方向の突出部640の幅よりも大きく形成される。
【0046】
引掛部432は、係合板431の切欠部431aが形成されていない部分の上端にカバー本体620の内側に向かって突出した形状に形成される。上述した切欠部431aにより、係合板431はカバー蓋610が有する突出部640と接触することなく、引掛部432がカバー蓋610に引っかけられることにより、接触抑制具4はずり落ちることなく、接触抑制具4を絶縁カバー6に係合する。
【0047】
[2-2.作用]
以上のように構成された接触抑制具4を絶縁カバー6に係合及び挟持させ、接触抑制具4の抑制具保持部41に特定磁極が絶縁カバーからみて外側を向くように保持させることにより、絶縁カバー1における大側面部121の磁石123が配置される位置である設置位置に相当する位置に、磁石45を配置することができる。
【0048】
設置位置に配置された磁石45の斥力により絶縁カバー6同士が接触することを抑制することができる。
[2-3.効果]
(1)上記実施形態の接触抑制具4によれば、塩やホコリなどの汚れにより上述した電路190が、隣り合う各絶縁カバー6に形成されても、隣り合う各絶縁カバー6が取り付けられている配電線(開閉器リード線1100や高圧縁廻電線1200)同士が短絡することが抑制できる。
【0049】
(2)上記実施形態の接触抑制具4によれば、絶縁カバー6自体に磁石を埋め込む必要がなく、従来の絶縁カバー6に取り付けることにより、絶縁カバー同士が接触することを抑制することができる。
【0050】
[2-4.第二実施形態の変形例]
(1)上記第二実施形態では、引掛部432により、絶縁カバー6のカバー蓋610に係合することにより、接触抑制具4を固定したが、接触抑制具4を固定する機構は、引掛部432によるものに限定されない。例えば、図5に示すように、引掛部432に代えて、絶縁カバー6の上方に一対の挟持板53を回動可能に固定する大蝶番54を配置してもよい。
【0051】
この場合、挟持部42は、蝶番421及び締込部422に代えて、周面板423の両端を締込部422と同様のネジ締結機構又はスナップフィットにより構成される締結部51により締結することにより、接触抑制具5を固定してもよい。
【0052】
なお、挟持部42、係合部43、締結部51、挟持板53及び大蝶番54が固定部に相当する。
(2)図4に示すように抑制具保持部41は、四角形状に限定されるものではなく、図5に示す抑制具保持部52のように円形状であってもよい。すなわち、抑制具保持部に保持される磁石45,55も四角形状でも円形形状でもよく、抑制具保持部41により保持される形状であればよい。
【0053】
(3)上記実施形態では、接触抑制具4は挟持部42及び係合部43を備えるが、挟持部42及び係合部43の両方を備える構成に限られず、磁石45を配置することができる場合には、一方のみを備える構成であってもよい。
【0054】
(4)上記実施形態では、接触抑制具4は、上述したような挟持部42及び係合部43を備え、挟持部42及び係合部43により絶縁カバー6に固定されるが、接触抑制具4の絶縁カバー6への固定はこのような方法によるものに限られず、例えば接触抑制具4は内部空間を有する筒状に形成され、絶縁カバー6を当該筒状の内部空間に格納することにより、絶縁カバー6を固定してもよい。
【0055】
なお、抑制具保持部41、52及び磁石45、55が抑制反発部に相当する
[3.他の実施形態]
(1)上記第一実施形態及び第二実施形態では、大側面部に設置される磁石の向きは、同じ磁極が外側を向くように設置されるとしたが、大側面部に設置される磁石の向きはこのような方向に限定されるものではない。例えば、絶縁カバー1と隣接する他の絶縁カバー1との間で、接近する磁石の外側の磁極が互いに同極となるように設置されていればよい。すなわち、絶縁カバー1と他の絶縁カバー1との間で、磁力による斥力が生じるように設置されていればよい。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3,6…絶縁カバー、4,5…接触抑制具、45,123,223,323,55…磁石、121,132,621…大側面部、30…本体部、41,52…抑制具保持部、42…挟持部、43…係合部、46…係合板、53…挟持板、54…大蝶番、100…開閉器、110,310,610…カバー蓋、111a,611a…第一挿入孔、111b,611b…第二挿入孔、112,612…割面部、120,320,620…カバー本体、122…小側面部、140a…ボルト、140b…ナット、150…接続部、190…電路、224…保持部、324…レール部、330…レール保持部、340、640…突出部、421…蝶番、422…締込部、423…周面板、431…係合板、431a…切欠部、432…引掛部、51…締結部、1100…開閉器リード線、1200…高圧縁廻電線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9