(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】ウィンドタワー
(51)【国際特許分類】
F03D 1/04 20060101AFI20220221BHJP
F03D 3/04 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
F03D1/04 B
F03D3/04 Z
(21)【出願番号】P 2018549357
(86)(22)【出願日】2017-03-08
(86)【国際出願番号】 AU2017050201
(87)【国際公開番号】W WO2017161412
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-03
(32)【優先日】2016-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518327822
【氏名又は名称】ピュータ ヴァーツラフ
【住所又は居所原語表記】Harts Lane, Kyneton, Victoria 3444 www.windtowers.com.au Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピュータ ヴァーツラフ
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0301282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/04
F03D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・支持面に取り付けられた支持構造体と、
・前記支持構造体に回転可能に取り付けられ、前記支持面よりも高い位置にあり、中央開口部及び複数の内部通路を有する積層可能な風の取入れ部であって、前記複数の内部通路は、複数の内部隔壁によって分離されて、複数の出口と、対向する風の流れを前記積層可能な取入れ部の幅方向に同時に受け入れるように向けられた風に対面する複数の入口との間に延在し、前記風に対面する複数の入口のそれぞれは、前記通路の1つを介して前記複数の出口の1つと流体連通するものであって、前記出口は、前記中央開口部の周りに配置され、前記中央開口部と流体連通しており、前記中央開口部の直径が前記積層可能な取入れ部の全幅よりも小さいことで、前記中央開口部は、より広い領域にわたって風の流れを捕捉する、風の取入れ部と、
・前記複数の出口からの風の流れを集める出力通路であって、前記
出力通路は、前記出口と流体連通しており、前記取入れ部から前記支持面に向かって下方に延在し、前記支持面にまたはその近傍に位置するタービンに風の流れを送達する、出力通路と、
を備える、風の流れをタービンに送達するためのウィンドタワー。
【請求項2】
積層構造で配置された複数の風の取入れ部と、前記複数の取入れ部のうちの最下部の取入れ部に関連付けられた下降管とを含み、前記複数の取入れ部は、前記複数の取入れ部のうちの他の前記取入れ部のそれぞれからの風の流れを受ける、請求項1に記載のウィンドタワー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年3月21日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2016901049号の優先権を主張し、その開示は本明細書に組み込まれるものとして理解すべきである。
【0002】
本発明は、風の流れを受けてタービンに向けるためのウィンドタワーに関する。本発明は、比較的高い高度からの風の流れを受け、その風の流れを発電機に関連する地上のタービンに向けるのに特に適用可能である。ただし、本発明はこの用途に限定されず、風力エネルギーをタービンに送達するための任意の風力エネルギーシステムに使用できることを理解されたい。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景に関する以下の考察は、本発明の理解を容易にすることを意図するものである。しかしながら、この考察は、言及された資料のいずれかが公開された、既知である、または出願の優先日において共通の一般的な知識の一部であるという承認または容認ではないことを理解されたい。
【0004】
従来のロータ型の風力タービンは、改善された再生エネルギーシステムへの継続的な推進の結果として、かなりの研究および投資の焦点となってきた。風力タービンの効率が改善することで、大部分の先進国は自国のエネルギーの供給を風力発電によって補完し、一部の国ではエネルギー需要のかなりの部分(最大40%)を風力エネルギーから生産している。
【0005】
各国において比較的普及が広がっているにもかかわらず、ロータベースの風力タービンにはいくつかの固有の技術的限界がある。まず、ロータおよび発電設備を大型のタワーの頂部に配置する必要があり、場合によっては地上100mよりも上方に設置されるため、設置、保守、および修理のコストが高くなる。これによって、より高い卓越風にアクセス可能な背の高い風力タービンに対する要望と、その一方で、タービンの高さに直接比例する継続的な保守および修理の費用を制限したいという要望との間で妥協が必要となる。次に、長さが長く軽量であることが望ましいロータブレードは、さらに、大きな風力に耐えるために十分に強くなければならない。これらの実用上の要望によって、高い設備コストにつながる高価な材料が必要となる。ロータベースの風力タービンはさらに、例えば、過度の騒音、およびロータの近くを飛行する鳥に与える危険性など、環境に関する多くの不足点を呈している。
【0006】
ロータベースの風力タービンに関する上記の課題に鑑み、「ウィンドタワー」として知られる代替の風力発電システムが開発されている。ウィンドタワーでは、地面よりも高い高度に位置する風取入れ口を介して風を受け入れた後、その風を地上の発電機システムに向け、または送り込む。ウィンドタワーによって、地上の発電機へのアクセスを容易にすることができ、それによって、設置、修理、および保守のコストを削減することができる。さらに、ウィンドタワーには通常ロータブレードが設けられていないため、騒音が低減され、野生動物への危険が解消される。
【0007】
米国特許第299,127号には既存のウィンド・タワー・システムが開示されており、これは、垂直通路を介して地上のタービンに接続された高置空気取入れ口を備える。この高置取入れ口は枢動的に取り付けられており、取入れ開口を対向風に向けるための羽根を備えている。類似のウィンド・タワー・システムが米国特許第2,616,506号に開示されており、これは制限されたスロート構造を介して先細の空気噴出口に接続された先細の空気取入れ口を備える。風力駆動タービンは、回転エネルギーを生成するために前記スロート内に配置される。
【0008】
米国特許第7,811,048号には、別の既存のウィンド・タワー・システムが開示されている。このウィンドタワーは、地上の出口と流体連通する高置取入れ口を備える。その出口に隣接してタービンが配置され、このタービンは発電機に電力を供給するために使用される。取入れ口は調節可能なノズル組立体を備え、このノズル組立体によって、風の状態の変化に応じて取入れノズルの直径が調節できる。
【0009】
増加し続けるエネルギー需要を考慮すると、既存のウィンド・タワー・システムの少なくともいくつかの側面を改善する代替のウィンドタワー設計を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、タービンに風の流れを送達するためのウィンドタワーが提供される。このウィンドタワーは、支持面に堅固に取り付けられた支持構造体と、支持構造体に回転可能に取り付けられ、支持面よりも高い位置にあり、複数の内部通路を有する風の取入れ部であって、この複数の内部通路が、複数の内部隔壁によって分離されて、複数の出口と、風に対面する複数の入口との間に延在し、各入口が、通路の1つを介して出口の1つと流体連通しており、取入れ部における入口の全てが、対向する風の流れを同時に受け入れるように向けられている、風の取入れ部と、複数の出口からの風の流れを集める出力通路とを備え、出口通路は出口と流体連通し、取入れ部から支持面に向かって下方に延在し、支持面にまたはその近傍に位置するタービンに風の流れを送達する。
【0011】
本発明は、有利には、入ってくる風の流れを流線化して全体の効率を向上させる、改善された取入れ口の設計を有するウィンドタワーを提供する。特に本発明の取入れ部は、取入れ部を通る空気流の流線化を容易にする個別の通路を備えている。個別の通路を設けることにより、入ってくる風の流れの所望の経路に従って、入口および出口の配置を最適化することが可能になる。
【0012】
複数の入口は、すべての入口が対向風に対面するように風に対面している。すなわち、複数の入口は、対向する風の流れを同時に受けるように向けられる。例えば、風に対面する複数の入口は、対向する風の流れを受けるために同じ方向に向けることができる。これによって、取入れ口の少なくとも一部が常に余分となるような、放射状に外側に向けられた複数の取入れ口を有する既存のウィンドタワーに対して、有利性が得られる。有利なことに、本発明によれば、風の流れが存在するときはいつでも、全ての入口を利用することができる。
【0013】
さらに、本発明によって効率が改善されることで、場合によっては、より高い卓越風にアクセス可能な、より背の高いウィンドタワーの建設を経済的に妥当なものにできる可能性がある。大幅に高いウィンドタワーを建設するための設備投資の増加は、既存のウィンドタワー設計を使用することでは保証されないが、本発明は、既存の設計よりもはるかに大きな電力を回収できることが期待されており、この範囲で、再生可能エネルギーインフラへのより大きな投資を正当化し得る。
【0014】
本発明の特定の形態では、少なくともいくつかの通路は非線形であり、これにより、直線通路を用いた場合に可能なものよりも広い範囲の入口から風の流れを有利に捕捉することができる。従来のウィンドタワー、例えば米国特許第7,811,048号のタービン取入れタワーでは、必然的に、取入れノズルのすぐ下流に出力下降管を配置する。有利には、本発明における非線形通路を設けることにより、出力通路のすぐ上流以外の領域から風を捕捉することが可能になる。例えば、非直線通路によって、入口を出力通路の横方向に隣接して、または下流にも配置することができ、そして風の流れを湾曲通路を介して出口通路に向けて再誘導することが可能になる。このことから、本発明によれば、他の場合よりも多くの風を捕捉することができる。有利には、個別の非線形通路を設けることにより、従来の入口で実現可能であったものよりも幅が広い取入れ部の構築が容易になる。
【0015】
本発明の代替の形態では、各通路は直線状であってもよい。各入口と各出口との間に複数の個別の通路を設けることは、依然として、単一のより大きな取入れ口を利用する従来技術のシステムに対して改善をもたらすものである。出力通路のすぐ上流に配置された入口は、直線通路を介して出力通路に接続されてもよく、出口通路の上流以外の位置に配置された入口は、有利には非線形通路を利用し、必要に応じて元のベクトルから出力通路に向かって風の流れを再誘導してもよいことが理解されよう。本発明のいくつかの形態では、通路は互いに隣接していてもよい。本発明の他の形態では、通路は、ある程度の余裕をもって、隣接する通路から離間されていてもよい。
【0016】
本発明の特定の形態では、取入れ部は、出力通路と流体連通する中央開口部を有し、複数の出口が中央開口部の周囲に分布される。本発明のこの形態では、非直線状通路を使用することにより、有利には、出口の周辺へ分配される風の流れの通過を促進する。中央開口部の周りに出口を周辺分布させることによって、取入れ部を介して受ける風の流れが出力通路に均等に分配され、それによって、上流側に伝播してウィンドタワーの効率を低下させることがある流動抵抗をもたらす可能性のある、フロー狭窄を減少させるという点で、有利であることは理解されよう。本発明の特定の実施形態では、中央開口部は円形であり、複数の出口は中央開口部の周りに円周方向に分布している。
【0017】
本発明のいくつかの形態では、取入れ部は、入口と出口との間に延在する複数の隔壁を備えてよく、この複数の隔壁によって、その間に複数の通路を画定してもよい。これに関して、各通路を、比較的薄い隔壁によってのみ分離することで、取入れ部において通路が占める容積の量を最大にしてもよい。通路の「幅」は、隣接する隔壁間の距離として定義することができる。本発明のいくつかの形態では、取入れ部は、より少ない数のより幅の広い通路を有してもよく、本発明の代替の形態では、取入れ部は、より多い数のより幅の狭い通路を有してもよい。本発明のいくつかの形態では、複数の隔壁は耐荷重性でもあり、したがって隔壁の厚さ(したがって、さらにその間の通路の間隔)は、特定の隔壁が負担するように設計された負荷の関数であってもよい。ウィンドタワーが複数のレベルの取入れ部を備える本発明の形態では、通路の幅は、耐荷重要求の変化に応じて各レベルにわたって変化してもよい。
【0018】
取入れ部は、入口が配置された、風に対面する取入れ面と、出口が配置された出口面とを有してよく、複数の隔壁が取入れ面と出口面との間に延在してもよい。本発明のある形態では、取入れ面は平面であってよく、正方形または矩形などの2次元形状を画定してもよい。本発明の代替の形態では、取入れ面は曲線状であってもよい。本発明の特定の形態では、取入れ面は鞍状に形成されてもよく、または正弦曲線状であってもよい。有利には、取入れ面を曲線状とすることで、取入れ領域をより流線的にすることができ、それによって、上流の流れの分断を最小にし、取入れ効率を最大にすることができる。取入れ部に円形の中央開口部が設けられている本発明の形態では、上記出口面は環状であってよく、中央開口部によって画定されてよい。
【0019】
入口および出口は、通路が概ね水平となるように支持面から等距離にあってもよい。本発明の他の形態では、通路は水平に対して傾斜していてもよい。
【0020】
取入れ部を回転可能に取り付けることにより、取入れ部が風の方向に従って回転するための「ヨー」回転、すなわち概ね直立の軸の周りの回転が可能になる。取入れ部は、取入れ部の回転を作動させて、対向する流入に入口を向けるための羽根部材を備えてもよい。有利には、回転可能に取り付けられた取入れ部を風に対面する向きに維持し、風向きの変化にかかわらず風の取入れを最大にしてもよい。本発明のある形態では、羽根部材を、取入れ部の尾部によって画定してもよい。尾部は、取入れ部の取入れ面とは反対側の取入れ部から外側に延在してもよい。これによって、尾部が風の流れの方向に向けられることになり、それにより、取入れ面を対向流に向けて位置決めを行う。さらに尾部は、取入れ部の全体的な空気力学的プロファイルに寄与することで、ウィンドタワーに加えられる空気力を減少させ、それに伴って、ウィンドタワーの機械的強度に対する要求を減少させてもよい。本発明のいくつかの形態では、取入れ部の空気力学的中心は、取入れ部を通って進む風によって取入れ部の回転が作動されるように、回転軸の後ろ(すなわち、下流)に位置決めされてもよい。これに伴って、本発明のいくつかの実施形態では、取入れ部が、別個の羽根部材または尾部を使用することなく、風に対面する向きに自動的に自身を維持してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、支持構造体が直立柱を画定することができる。本発明の特定の実施形態では、支持構造体は、内部を通過させて取入れ部への保守アクセスを容易にする通路を画定してもよい。本発明のある形態では、このアクセス通路は、アクセスを容易にするためにウィンドタワーの上部まで延在してもよい。
【0022】
本発明のウィンドタワーは、出力通路を画定する下降管を備えてもよい。この点に関して、概ね垂直であり、支持面に風の流れを運ぶ下降管を設けてもよい。本発明の代替の形態では、複数の下降管が集合的に複数の出力通路を画定してもよい。本発明のこの形態のいくつかの実施形態では、各出口をそれぞれの下降管と関連付けてもよい。他の代替の実施形態では、各出口がいくつかの下降管から供給(すなわち、風を送達)されてもよい。下降管は支持構造体を通って延在してよく、または、支持構造体の外部であってもよい。本発明のいくつかの形態では、支持構造体および出力通路は、単一の下降管によって画定される。
【0023】
本発明の特定の形態では、ウィンドタワーは複数の風の取入れ部を備える。取入れ部の配置は、サイズおよび特定のウィンドタワー設計に応じて変化してもよい。本発明の特定の形態では、複数の取入れ部は、隣接する取入れ部の上方または下方のレベルまたは階層に各取入れ部が位置するような、積層構造を有する。取入れ部の「積層」における各取入れ部は、支持構造体に、または隣接する取入れ部に回転可能に取り付けられてもよい。有利には、複数の取入れ部を設けることにより、ウィンドタワーでの風に対面する全体的な領域が増加し、したがって風の取入れ量が増加する。さらに、個別に回転可能な個別の風の取入れ部を設けることにより、風向きが高度に関連して変化する場合の風の取入れを最適化できる。この点に関し、ウィンドタワーの上方の階層の風の取入れ部を、ウィンドタワーの下方の階層の取入れ部が対面して受け入れる風向きとは異なる対向風に対面させてもよい。
【0024】
風の取入れ部を複数設けることで、ウィンドタワーのサイズを、特定の地理的位置または他のインフラ要件に合わせて都合よく調整することができるという点でも有利である。このことから、本発明によれば、単に追加の取入れ部を既存の取入れ部に積み重ねて設置することで、より大きなウィンドタワーを構築することが可能になる。したがって本発明によって、ウィンドタワーを構築し、当初の数の風の取入れ部で予め作動させ、その後、追加の取入れ部を元の取入れ部の上に構築して増加させことができる。本発明のこの態様によって、これまで従来のウィンドタワーでは利用できなかったカスタマイズが有利に促進する。
【0025】
入口の大きさは、ウィンドタワーの大きさに応じて変化させてもよい。しかしながら、ある程度の風力エネルギーが隔壁に対する周面摩擦によって吸収されるため、入口の大きさを増加させることで、それに比例して周面摩擦によって失われるエネルギーの量を減少させることが理解されよう。
【0026】
特定の例によれば、本発明による比較的小さなウィンドタワーは、3つの取入れ部を備えてよく、各取入れ部は30個の入口を有してよい。合計90個の入口のサイズは、幅3cm、高さ30cm(1つの入口あたり0.009m2の面積で、1つの取入れ部あたり風に対面する面積が合計で0.27m2となる)から、幅10cm、高さ100cm(1つの入口あたり0.1m2の面積で、1つの取入れ部あたり風に対面する面積が合計で3m2となる)であってよい。入口をより大きくすることは一般的に、取入れ口に比例する周面摩擦を減少させるのに望ましいが、特定のウィンドタワーにおけるサイズの制限によっては、より小さい取入れ口が好ましい場合がある。代替の例によれば、本発明に関するより大きなウィンドタワーは、幅30m、高さ30mの入口(1つの入口あたり900m2の面積)を有してもよい。ただし、入口の高さの増加は構造上の考慮事項によって制限を受けるため、より大きな入口には、入口(およびより高いレベルの取入れ部の質量)を支持するためにより厚い隔壁が必要となることがある。アルミニウム材を使用した場合に推定される最大の入口高さは30mである。ただし、チタン、炭素複合材などの代替のより高価な材料で取入れ部が構成されている場合には、より大きなサイズの入口が実現可能であることが理解されよう。
【0027】
「積層された」配置で構成された取入れ部は、本質的に、「最下部」の取入れ部と「最上部」の取入れ部とを含むことが理解でき、それに伴って、本明細書におけるこれらの用語に対する参照は理解されよう。
【0028】
上述したように、本発明のいくつかの形態では、取入れ部は互いに対して回転可能であり、支持構造体に対して独立して回転可能である。本発明の代替の形態では、取入れ部は互いに堅固に接続されてよく、支持構造体に対して相互に回転可能であってもよい。本発明のこの形態は、風を捕捉する領域の高さにわたって異なる風向に対面することが予想されないウィンドタワーに適し得る。
【0029】
複数の取入れ部を有する本発明の実施形態では、複数の取入れ部からの風を集めるための複数の下降管を設けてよく、各下降管は、関連付けられた風の取入れ部と支持面との間に延在してよい。本発明のいくつかの形態では、各取入れ部は単一の下降管によって供給される。本発明の代替の形態では、各取入れ部は複数の下降管によって供給される。本発明の特定の実施形態では、第1の取入れ部に関連付けられた第1の下降管が、第1の取入れ部の下方に位置する第2の取入れ部に向かって下方に延在し、使用時には第2の下降管が第1および第2の取入れ部からの風の流れを受けるように、第1の下降管が、第2の取入れ部に関連付けられた第2の下降管と流体連通しており、第2の下降管に風を送達する。有利には、この構成によって、より高い取入れ部の出力を下部取入れ部の下降管に導くことが可能になる。このことから、より高い取入れ部の出力が下部取入れ部の出力を補完し、これらの出力がまとめて第2の取入れ部の下降管を通って下方に送達される。この配置は、2つの取入れ部のみに限られたものではなく、任意の数の取入れ部に拡張することができることが理解されよう。本発明の特定の形態では、複数の取入れ部のうちの最下部の取入れ部の下降管は、複数の取入れ部のうちの他の取入れ部のそれぞれからの風の流れを受ける。
【0030】
本発明のいくつかの形態では、各取入れ部が均一な寸法を有する。本発明の代替の形態では、複数の取入れ部は積層構造で配置され、複数の取入れ部が不均一な寸法を有し、最下部の取入れ部より上方の各取入れ部は、直下の取入れ部よりも小さい。本発明のこの形態では、ピラミッド形状となるように、連続した各取入れ部のサイズを縮小してもよい。この構成では、最下部の取入れ部が最も大きな取入れ部であり、最上部の取入れ部が最も小さな取入れ部となる。有利には、本発明のこの形態では、ウィンドタワーのレベルが増加するにつれて取入れ部の質量が減少するため、構造工学の理由から好ましい場合がある。本発明の代替の形態では、各取入れ部は、等しいサイズ、すなわち均一な寸法を有してもよい。
【0031】
本発明によるウィンドタワーは、既存の風力タービンと同様に、様々な支持面に設置することができることが理解されよう。
【0032】
支持面は、地面であってもよい。一例として、支持面は、パドックまたは使用されていない農地などの地上の面であってもよい。あるいは、支持面は、ウィンドタワーが海または海洋で機能できる浮動プラットフォームであってもよい。別の代替案では、支持面は乗り物の表面であってもよい。特定の例では、この乗り物は船舶であってもよい。この例では、この船舶に取り付けられたウィンドタワーが、水を介して船を推進できるタービンに風を送達することができる。
【0033】
本発明の支持構造体は、様々な代替構造によって形成することができる。本発明のいくつかの形態では、支持構造体は、支持面から上方に延在する支柱などの細長い支持部材から構成することができる。この瞬間において、取入れ部は、支柱に回転可能に取り付けられてよく、支柱の高さによって支持面よりも高い位置に配置されてもよい。複数の積層された取入れ部を備える本発明の代替の形態では、最下部の取入れ部は、地面に固定的または回転可能に取り付けられてもよく、上部取入れ部は最下部の取入れ部に回転可能に接続されてもよい。この場合、最下部の取入れ部は、上部取入れ部の支持構造体を画定してもよい。本発明のこの形態は、地上レベルにおいて平均風速が比較的高い地域、例えば丘陵地帯、または山もしくは他の風の多い地域にウィンドタワーが設置される場合に特に適し得る。本発明のさらに別の形態では、支持構造体は、例えば、取入れ部でも支柱でもない金枠などの基礎構造から構成されてよい。
【0034】
前述のように、出力通路は、それぞれの取入れ部の出口から支持面まで延在する1つまたは複数の下降管によって画定されてもよい。支持構造体が細長い中空の支柱によって画定される場合、下降管は、支柱によって画定される中央通路を通って延在してもよい。本発明の下降管は、管状、四角形、可撓性もしくは剛性、または流体が内部を通過可能な任意の他の寸法を有してもよい。
【0035】
本発明は、支持面に隣接して位置するタービンへの送風を改善する。本発明に関連するタービンは支持面に設置されてよく、または支持面の下もしくは支持面の上に設置されてもよいことが理解されよう。いずれの場合においても、タービンは一般に、タービンが地上より高い場所に位置する従来のロータ型風力タービンでは不可能な都合の良い設置および保守が可能になるように、支持面に「隣接」して位置することになる。本発明での使用に適した種類のタービンは当業者には一般に知られており、タービンによって風の流れから抽出された回転エネルギーを電気エネルギーに変換するための適切な発電機に関連し得る。
【0036】
上述したように、本発明によって効率が改善されることで、場合によっては、より高い卓越風にアクセス可能な、はるかに背の高いウィンドタワーの建設を経済的に妥当なものにできる可能性がある。大幅に高いウィンドタワーを建設するための設備投資の増加は、既存のウィンドタワー設計を使用することでは保証されないが、本発明は、既存の設計よりもはるかに大きな電力を回収できることが期待されており、この範囲で、再生可能エネルギーインフラへのより大きな投資を正当化し得る。より大型のウィンドタワーを建設することは、大型のウィンドタワーによって、より小型の発電機よりも通常は効率的な、より大型の発電機の使用が妥当なものとなるという点においても有利である。
【0037】
本発明は、いくつかの実施形態では、既存の電力系統または地理的に離れた位置にある他の大きなウィンドタワーに接続することができる、背の高い高出力のウィンドタワーを備えてもよい。それに対して、小型のウィンドタワーは一般に、大幅に低い出力に適合されているため、通常は、大規模なウィンドタワー電気接続システムに関わる設備投資が妥当なものとはならない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、複数の取入れ部を備えた、本発明の第1の実施形態によるウィンドタワーの正面図である。
【
図3】
図3は、
図4に示した取入れ部の前部の近接上部斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示した取入れ部の上部斜視図であり、下降管の配置の第1の実施形態を示している。
【
図5】
図5は、
図4に示した下降管の配置の正面斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施形態によるウィンドタワーの正面斜視図である。
【
図7】
図7は、
図3、
図4、および
図5に示す下降管の配置に対する第2および代替の下降管の配置の断面斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3の実施形態によるウィンドタワーの正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明がより完全に理解されるように、以下の図面を参照していくつかの実施形態を説明する。
【0040】
図1は、本発明の第1の実施形態によるウィンドタワー10を示す。ウィンドタワー10は、地面14を含む支持面に取り付けられた基部12を備える支持構造体を有する。ウィンドタワー10は、「積層された」形態で配置された15個の風の取入れ部16を備え、各風の取入れ部16は、ウィンドタワー10内の別個の階層を画定している。15個の取入れ部16は不均一なサイズを有し、最下部の取入れ部18の幅が最大であり、残りの取入れ部16のサイズは、ピラミッド形状の構造を形成するように順次小さくなっている。
【0041】
最下部の取入れ部18は基部12に回転可能に取り付けられ、「積層」内の各後続の取入れ部16は、軸受装置(図示せず)を介して下層の取入れ部に回転可能に取り付けられている。この点に関して、最下部の取入れ部18は基部12に直接接続されている一方で、追加の各取入れ部16は基部12に対して回転可能に取り付けられているが、直接的に接続されていない。このことから、各取入れ部16は、垂直軸の周りで独立した回転運動が可能である。この配置により、各取入れ部16は対向風に面して回転することができ、有利には、ウィンドタワー10の高さにわたる風向の変化を、下部取入れ部16とは異なる方向に向けることが可能なより高い取入れ部16によって吸収できる。
【0042】
各取入れ部16は、
図1に示す正面斜視図から確認可能な複数の入口22を有する。各入口22は、
図2を参照して以下でさらに詳細に説明される隔壁によって分割される。入口22は矩形であり、各取入れ部16の下壁24と上壁26との間に延在している。各取入れ部16はまた、上壁26と下壁24との間に延在する中央開口部28を有する。明瞭になるように、入口22、上壁26および下壁24、ならびに中央開口部28は、最上部の取入れ部20に関してのみ示しているが、取入れ部16のそれぞれがこれらの特徴を含むことは理解されよう。
【0043】
平均風速は一般的に高度とともに増加することが理解されよう。このため、ウィンドタワーの総高は、通常、より高い発電可能性へのアクセスが得られるより高い高さと、その一方で、より高い構造に伴う設備投資の増加との妥協を表す。この点において、ウィンドタワー10の最大高さは、ウィンドタワーのための意図された位置における自然風パターン、およびプロジェクトに利用可能な資本の量に応じて変化し得る。ウィンドタワー10の例示された実施形態では、全部で15個の取入れ部の総高が450メートルとなるように、30メートルの高さを有する取入れ部16を備える。例示した実施形態では、ウィンドタワー10の総高が590メートルとなるように、基部12の高さは140メートルである。本発明によるウィンドタワーの最大高さは、タワーの構造パラメータおよび建築材料の強度対重量比によってのみ制限されることは理解されよう。
【0044】
ここで
図2を参照すると、取入れ部16の上部断面図が示されている。この図では、複数の内部隔壁30を示すために上壁26は図示されておらず、複数の内部隔壁30はその間に、関連付けられた複数の出口34と入口22との間に延在する複数の内部通路32を画定している。各入口22は、通路32の1つを介してそれぞれの出口34と流体連通しており、対向する風の流れWが入口22内に受け入れられ、通路32を通って移送され、出口34に送達されるのを助ける。各出口34は、取入れ部16を通って延在する中央開口部28の周囲に円周方向に分布している。このことから、取入れ部16の幅方向に受け取られる風の流れは、中央開口部28の周りに均等に分配される。さらに、取入れ部16の風に対面する端部または前部の通路はほぼ直線状であり、通路32の外側は、風の流れを中央開口部28の下流側に向け直すように湾曲していることが理解されよう。なお、取入れ部16の全幅は中央開口部28の直径よりも大きい。このことから、本発明の個別の非線形通路によって、より広い領域にわたって風の流れを捕捉し、風の流れを中央開口部28内の出力通路に向け直すことが可能になる。出力通路は、中央開口部28によって画定されてもよい。本発明の代替の実施形態では、出力通路は、開口28内に位置する別個の導管によって画定されてもよい。本発明の特定の実施形態では、出力通路は、互いに積層された複数の取入れ部の複数の中央開口部によって集合的に画定されてもよい。
【0045】
各取入れ部16は、複数の入口22によって集合的に画定される取入れ面36を有する。
図1の正面斜視図から見ると、各取入れ面36は矩形である。
図2の上部斜視図から見ると、取入れ面36は曲線状であり、概ね正弦曲線状である。通路32における反対側の端部では、複数の出口34が、中央開口部28の周辺部に対応する環状出口面を画定している。
【0046】
各取入れ部16は、取入れ部16から後方に、かつ取入れ部の取入れ面36から反対側に延在する尾部38を有する羽根部材を備えている。風の流れを受けると、尾部38は、風に対面する方向に取入れ面36を向けるために、それぞれの取入れ部16の回転を起動するように動作する。このことから、ウィンドタワー10の各取入れ部16は、各取入れ面36を介した風の流れが最大になるように、風向きの変化に応じて自動的に向きを調整することができる。さらに、取入れ部16の空気力学的中心は、取入れ部を通って進む風の流れが取入れ部の回転に寄与し、取入れ部を風に対面する方向に向けるのを助けるように、回転中心の後方(すなわち、下流)に位置している。
【0047】
図2に示すように、通路32は非直線的であり、各取入れ部16を通る流れを流線型にすることを助ける。各入口22は、各通路32によってそれぞれの出口34に導かれる対向する風の流れの一部を受ける「口」として機能する。有利には、複数の隔壁30によって、取入れ部を通って中央開口部に向かう流線型の風の流れが促進される。
【0048】
図3は、取入れ部16の前部の近接上部斜視図である。隔壁30の風に対面する端部は、入口22を通って流入する風の流れの流線化を向上させるために、隔壁30の幅に向かって先細になる丸みを帯びた前縁48を有する。隔壁30は、出口34が配置されている中央開口部28の円周で終端し、出口34は
図3の破線で示す環状の出口面37を集合的に画定する。各出口34に隣接して、それぞれの下降管42が存在する。
図4を参照すると、下降管42は円形に配置され、中央開口部28の中央部分を空けた状態で、中央開口部28の周囲をふさいでいることが理解されよう。
図1に示すように、取入れ部16および中央領域28は、取入れ部の階層の追加に伴ってサイズが小さくなる。これに関連して、ウィンドタワー10の上方の階層の取入れ部からの下降管が、
図4に示した中央開口部28の空いている領域を占めるようにしてもよい。したがって、
図4に示す取入れ部のすぐ上の取入れ部に関連付けられた下降管は、
図4の下降管42によって画定される円形配置よりわずかに小さい半径を有する同心円状の配列を画定し、その円形配置のすぐ内側に配置されてもよい。
【0049】
回転する内部通路32と静止した下降管42との間の流体連通を可能にするために、各下降管42の取入れ口は、出口34に隣接して配置された(かつ出口34とほぼ同じ大きさを有する)矩形の開口部(図示せず)を有して構成されてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、下降管42の数が出口34の数よりも少なくてもよい。この場合、下降管42の矩形の開口部の幅を、2つ以上の出口34からの風の流れに適応させるために、その分だけ出口34よりも大きくしてもよい。
【0050】
この配置の側面輪郭が
図5に部分的に示されており、一対の下降管42が、各取入れ部16から下方に延在するように図示されている。説明のために、
図5では一対の下降管のみを示し、中央開口部28の反対側の下降管のみを示す。ただし実際には、各取入れ部16が、各出口34から延在する下降管42を有することが理解されよう。この下降管の配置によって、各取入れ部の各出口からの風の流れを、地面14に隣接して配置されたタービン取入れ口(図示せず)に向けて送出できる。
【0051】
ここで
図6を参照すると、本発明の第2の実施形態によるウィンドタワー110が示されている。ウィンドタワー110は、積層または階層の構成で配置された26個の取入れ部116を備える。本発明の第1の実施形態における独立して回転可能な取入れ部とは対照的に、取入れ部116は、支持構造体に対して互いに回転可能となるように互いに堅固に接続されており、支持構造体は、この第2の実施形態では、地面114から延在する直立の支柱112によって構成されている。
【0052】
各取入れ部116は、その他の点においては第1の実施形態の取入れ部16と同等である。すなわち取入れ部116は、尾部と、複数の入口と、通路と、中央開口部に風を送達するための出口(図示せず)とを備える。下降管の配置(図示せず)は、地面114に風を送達するために、支柱112を介して取入れ部116から下方に延在して設けられている。タービンおよび発電機(図示せず)は、支柱112の基部内に位置してよく、または支柱112の基部に隣接して位置してもよい。
【0053】
隣接する取入れ部116の間が堅固に接続されているため、本発明のこの実施形態は、第1の実施形態のウィンドタワー10と比較して製造がより簡単で、コストがかからない。それにもかかわらず、ウィンドタワー110は、ウィンドタワー10に関して上述したように、各取入れ部116内の複数の入口、通路、および出口によって、既存のウィンドタワーに対する改善を示すものである。
【0054】
ここで
図7を参照すると、3層のウィンドタワー210の断面図が示されており、ここでは、内部の下降管の配置が示されている。簡潔にするために、この図は3層のウィンドタワーに限定している。しかしながら、この構成は、上述した本発明の第1および第2の実施の形態に示すウィンドタワー10またはウィンドタワー110を含む、任意の数の取入れ部を有するウィンドタワーに適用できることが理解されるべきである。
【0055】
図7は、支持構造体に取り付けられた3つの取入れ部216を備えるウィンドタワー210の断面図を提供するものであり、支持構造体は、地面214を含む支持面に取り付けられた(かつ支持面から上方に延在する)直立の支柱212を有する。本明細書において、この3つの取入れ部を、上部取入れ部216a、中間取入れ部216b、および下部取入れ部216cと称する。上部取入れ部216a、中間取入れ部216b、および下部取入れ部216cは、各取入れ部216(図示せず)内の各出口を介して、それぞれの風出力である出力Oa、Ob、およびOcを送達する。3つの取入れ部は、支柱212および第3の下降管242cによって支持される。このことから、第3の下降管242cは、下降管として、および支持部材としての二重の機能を有する。3つの取入れ部216a、216b、および216cは互いに堅固に接続され、第3の下降管242cの上の円形レール(図示せず)上に乗る下部取入れ部216cにより、支柱212および第3の下降管242cに対して回転可能に取り付けられている。
【0056】
ウィンドタワー210は、上部取入れ部216a内に配置された円錐形の漏斗部材240を備え、この漏斗部材は支柱212を取り囲み、風出力Oaを地面214に向けて下向きに導くように動作する。第1の下降管242aは、上部取入れ部216aから下方に延在し、風出力Oaを下方に送達するための通路を画定する。第2の下降管242bは、中間取入れ部216bから下方に延在し、風出力Obを下方に送達するための通路を画定する。第3の下降管242cは、下部取入れ部216cから下方に延在し、風出力Ocを下方に送達するための通路を画定する。
図7に示すように、第1の下降管242aは、第2の下降管242bの口に出力Oaを送達するように配置される。このことから、第2の下降管242bを通る流れは、上部取入れ部216aからの流れの出力Oaと、中間取入れ部216bからの出力Obとを含む。第2の下降管242bの出力は、第2の下降管からの流れ(すなわち、出力OaおよびOb)が第3の下降管242cの出力Ocと合流するように、第3の下降管242cの口内に配置される。このことから、3つの取入れ部のすべての出力Oa、Ob、およびOcは、第3の下降管を介して地面214に向けて送達される。ウィンドタワー210は、
図6に示す26層のウィンドタワー110に代わる3層のウィンドタワーであるが、
図7に示す下降管の配置をウィンドタワー110に利用できることが理解されよう。この場合、
図6に示す支柱112は、
図7に示す第3の下降管242cに相当する。
【0057】
図7に示す上記構成において、取入れ部216c、216b、および216aは、支柱212および第3の下降管242cに対して(第3の下降管242cの上の円形レールによって)回転することができる。円錐形の漏斗部材240、第1の下降管242a、および第2の下降管242bもまた支柱212および第3の下降管242cに対して回転することができるように、円錐形の漏斗部材240、第1の下降管242a、および第2の下降管242bは、それぞれ上部、中間、および下部取入れ部216a、216b、および216cに堅固に接続されている。言い換えれば、第2の下降管242bは、地面214に対して静止している第3の下降管242c内で回転することができる。
【0058】
代替の構成(図示せず)では、第3の下降管の上の円形レールに加えて追加の3つの円形レールが設けられる。この代替の構成では、円錐形の漏斗部材、第1の下降管、および第2の下降管のそれぞれの上にも円形レールが設けられる。この代替の構成では、第1、第2、および第3の下降管ならびに円錐形の漏斗部材は互いに堅固に接続される。したがって、3つの下降管および円錐形の支持部材は地面に対して固定され、3つの取入れ部は互いに固定されて、3つの下降管、円錐形の支持部、支持部材、および地面に対して回転することが可能になる。円錐形の漏斗部材もまた、支柱に堅固に接続されてもよい。したがって、静止した構成要素(3つの下降管および円錐形の漏斗部材)と回転可能な構成要素(3つの取入れ部)との間の境界面に合計4つの円形レールが設けられる。
【0059】
ここで
図8を参照すると、本発明の第3の実施形態による代替のウィンドタワー310が示されている。ウィンドタワー310は8個の取入れ部316を備え、この8個の取入れ部316は互いに堅固に接続され、円形レール312を有する支持構造体に回転可能に取り付けられている。円形レール312は、丘陵部314を有する支持面に堅固に取り付けられている。取入れ部316の最下部は、最下部の取入れ部316の下側に接続された凹形のホイール装置(図示せず)を介して円形レール312に回転可能に取り付けられており、それにより、最下部の取入れ部316による円形レール312の周りでの転動が促進され、最下部の取入れ部316(およびそれに堅固に接続された取入れ部316の追加の7つの層)が中心の垂直軸線の周りを回転することができるようになる。
【0060】
取入れ部316が互いに堅固に接続されており、ウィンドタワー10に関して図示されている下降管の配置を含まないことを除いて、取入れ部316は、
図2、
図3、および
図4に図示した取入れ部16と同等である。対照的に、ウィンドタワー310は、各取入れ部316内に、集合的な中央開口部328から構成される出力通路を備える。言い換えれば、各取入れ部316の風出力は中央の開口328に直接供給され、中央開口部328は、取入れ部316のサイズが大きくなるのに相関してウィンドタワー310の基部に向かって広がっている。最下部の取入れ部316の下には、丘陵部314を通って近傍の隣接するタービンおよび発電機装置(図示せず)に向かって延在する単一の出口管342が存在する。
【0061】
ウィンドタワー310はさらに保守通路350を備え、この保守通路350は各中央開口部328を通って延在し、各取入れ部316への保守アクセスを容易にする。さらに保守通路350は、ウィンドタワー頂点352へのアクセスを提供するが、ここには比較的高い高度を考慮して無線または衛星が設置されることが望ましい。
図8に示すように、保守通路350の一部が出口342を通って延在している。出口管342内の空力抵抗を減少させるために、保守通路350には、流線形の輪郭352(部分上面図で示す)を形成するテール354が設けられている。
【0062】
上述したように、取入れ面36は概ね曲線状である。しかしながら、本発明の代替の実施形態では、取入れ面は概ね平面であってもよい。そのような例では、取入れ隔壁の丸みを帯びた前縁48は、共通の平面上に概ね整列される。さらなる代替案では、取入れ面を「V字」構成に配置することができる。
【0063】
本発明によって、より高い高度から地上のタービン/発電機への風の通過を促進するだけでなく、風の流れが軽い、またはないときであっても、逆煙突効果により、ウィンドタワーを通るある程度の下向きの空気の流れが生じ得ることが理解されよう(すなわち、冷却空気が下降管を通って地面に向かって下方に落下する)。これに関して、本発明のいくつかの実施形態では、取入れ部が取り入れる風の速度にかかわらず、地面と高置の取入れ部との間の熱エネルギー差を利用して動力を発生させてもよい。
【0064】
当業者であれば、本明細書に記載された本発明は、具体的に記載されたもの以外の変更および改造が可能であることを理解するであろう。本発明には、本発明の趣旨および範囲内に該当するこのようなすべての変更および改造が含まれることが理解されるべきである。
【0065】
本明細書(特許請求の範囲を含む)に使用される用語「含む」、「備える」、「有する」、または「構成される」は、記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を特定するものとして解釈されるべきであり、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはその群の存在を排除するものではない。