IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイシンナノテクノロジーズの特許一覧

<>
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図1
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図2
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図3
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図4
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図5
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図6
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図7
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図8
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図9
  • 特許-粒体の定量フィーダ装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】粒体の定量フィーダ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
B65G65/48 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020142771
(22)【出願日】2020-08-26
(62)【分割の表示】P 2016158337の分割
【原出願日】2016-08-11
(65)【公開番号】P2020189753
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2016069830
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508038806
【氏名又は名称】株式会社アイシンナノテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】月原 信夫
(72)【発明者】
【氏名】高久 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山根 穣
(72)【発明者】
【氏名】豊田 敦史
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-041106(JP,A)
【文献】米国特許第05862957(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
G01F 13/00
G01F 11/00
B65B 1/00
B65B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が投入される収容容器と、
収容容器の下方から粉体を搬送する供給手段と、
歯車状の円盤からなり、供給手段から搬送された粉体を歯車の凹部である計量溝に収容して、回転搬送する供給盤と、
歯車状の円盤からなり、供給盤と噛合して供給盤の計量溝に収容された粉体の排出を補助する強制排出盤と、
供給盤と強制排出盤との噛合部の下方に設けられ、供給盤の計量溝に収容された粉体が落下排出される排出シュートと、
隙間を介して供給盤および強制排出盤の上面を覆うカバーと、
隙間の一部である供給盤と強制排出盤との噛合部に設けられ、供給盤および強制排出盤と、カバーとの隙間を塞ぐカバーピースと、を備えた粉体の定量フィーダ装置であって、
前記供給手段、前記供給盤及び前記強制排出盤は、水平回転して前記収容容器から排出された粉体を定量移送する定量部を構成し、
前記収容容器内には、その収容容器の内壁面に沿って回動する攪拌棒を備え、前記攪拌棒は、その供給手段の回転中心軸に下端を装着し、供給手段と同期回転する構成としたことを特徴とする定量フィーダ装置。
【請求項2】
前記供給手段は、収容容器から排出された粉体を排出口へ搬送するための複数の羽根体を備えていることを特徴とする請求項に記載の定量フィーダ装置。
【請求項3】
前記供給手段は、その回転中心軸の下端がセットされるギヤモータを駆動源として回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の定量フィーダ装置。
【請求項4】
前記攪拌棒は収容容器の内壁面との間にやや間隔を隔て、非接触で回動することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の定量フィーダ装置。
【請求項5】
前記攪拌棒の下端は鈍角に屈曲されており、攪拌棒は、回転中心軸に沿って収容容器の下端側から内部空間に向かって突出する円錐形状の攪拌軸に、その一部として取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の定量フィーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を定量供給するための定量フィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉体を微量域で定量供給することは、その粉体の物性、例えば、比重、粒子、粒度の相違、水分や静電気に起因する付着性や凝集性に影響を受け、非常に困難な作業となっている。
【0003】
このような課題に対し、出願人は、特許文献1に示すような粉体の定量フィーダ装置を開発した。この装置の基本構造は、図6に示すように、供給手段4、供給盤5および強制排出盤6から構成されている。供給盤5および強制排出盤6は同じ高さに設置され、供給手段4は、それよりも1段高い位置に配されている。供給手段4、供給盤5および強制排出盤6はすべて回転するように構成されている。
【0004】
供給手段4は、羽根体4a、4a‥を有しており、羽根体4a、4a‥の先端が供給盤5の上面と摺接する。供給盤5および強制排出盤6は、歯車状の円盤に形成されており、周縁に歯が等間隔に形成されている。供給盤5および強制排出盤6は、互いの歯が噛み合うように配置されている。
【0005】
回転する供給手段4の羽根体4a、4a‥によって送られた粉体は、逐次、回転する供
給盤5の計量溝5a、5a‥内に送られ、計量溝5a、5a‥が粉体で埋められていく。
強制排出盤6の突歯6a、6a‥が、供給盤5の計量溝5a、5a‥と噛合する位置の下には、排出シュート7が設けられており、供給盤5の計量溝5aに埋められた粉体が、強制排出盤6の突歯6aにより強制的に排出シュート7へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-41106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に開示された定量フィーダ装置では、図7に示すように、供給盤5及び強制排出盤6の上にカバー17が配置されている。上述の通り、供給盤5および強制排出盤6は回転するため、従来では、回転が阻害されないように、供給盤5及び強制排出盤6と、カバー17の間に1mm程度の隙間Sを設けていた。
【0008】
しかしながら、供給盤5及び強制排出盤6と、カバー17の間の隙間Sを1mm程度とすると、隙間の部分に粉体が入り込み、供給盤5の計量溝5a、5a‥に収容される粉体の量が増えてしまい、正確な定量を行うことができない。
【0009】
これに対し、定量精度を向上させるため、供給盤5及び強制排出盤6と、カバー17との隙間Sを0.5mm程度に狭めた場合には、供給盤5及び強制排出盤6の間に入り込んだ粉体が、供給盤5および強制排出盤6と、カバー17との間で圧着されて、供給盤5および強制排出盤6の上面やカバーに強固に付着し、付着した粉体を掻き出すメンテナンスが必要となっていた。
このように、従来の粉体の定量フィーダ装置では、正確な定量供給と、良好なメンテナンス性とが両立し得ないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題に対してなされたものであり、正確な定量供給と、良好なメンテナンス性を得ることができる粉体の定量フィーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような目的を達成するために、以下のような特徴を有している。
[1] 粉体が投入される収容容器と、
収容容器の下方から粉体を搬送する供給手段と、
歯車状の円盤からなり、供給手段から搬送された粉体を歯車の凹部である計量溝に収容して、回転搬送する供給盤と、
歯車状の円盤からなり、供給盤と噛合して供給盤の計量溝に収容された粉体の排出を補助する強制排出盤と、
供給盤と強制排出盤との噛合部の下方に設けられ、供給盤の計量溝に収容された粉体が落下排出される排出シュートと、
隙間を介して供給盤および強制排出盤の上面を覆うカバーと、
隙間の一部である供給盤と強制排出盤との噛合部に設けられ、供給盤および強制排出盤と、カバーとの隙間を塞ぐカバーピースと、を備えた粉体の定量フィーダ装置。
【0012】
[2] カバーピースは、強制排出盤の歯と噛合する供給盤の計量溝の真上に、上下方向に貫通する孔が形成されている[1]に記載の粉体の定量フィーダ装置。
[3] カバーピースは円盤状であり、
供給盤の1つの歯の計量溝から計量溝までの距離をWとすると、カバーピースの径は1.5W~5Wである[2]に記載の粉体の定量フィーダ装置。
[4] 供給盤の1つの計量溝から計量溝までの距離をWとすると、カバーピースに形成された孔の径は、1W~3Wである[3]に記載の粉体の定量フィーダ装置。
[5] カバーピースは、厚さが1.5~2.5mmの円盤状である[1]に記載の粉体の定量フィーダ装置。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の全体構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の定量部を示す平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の供給盤および強制排出盤の周辺の断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の供給盤と強制排出盤の噛合部を示した平面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置のカバーピースを示す斜視図である。
図6】従来の粉体の定量フィーダ装置の定量部を示す平面図である。
図7】従来の粉体の定量フィーダ装置の供給盤および強制排出盤の周辺の断面図である。
図8】本発明例で用いたカバーピースの形状を示す図である。
図9】本発明例と従来例における時間(min)と供給量(g)との関係を示す図である。
図10】本発明例と従来例における時間(min)と単位時間当たりの供給量(g/min)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施の形態に係る粒体の定量フィーダ装置について説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の全体構成を示す断面図である。この粉体の定量フィーダ装置は、粉体の投入口1が開口された粉体の収容容器(ホッパー)2と、粉体の定量を行う定量部が設置されたディスクフレーム10と、粉体の定量部を駆動するモータ8を有している。
収容容器2、ディスクフレーム10およびモータ8は、架台9の上に設置されている。
【0016】
図1では、収容容器2は、ブリッジ防止を目的としてストレートな円筒形としている。なお、収容容器2は、下方に従って径が小さくなるようなコーン状としてもよい。
【0017】
攪拌軸11の一部として、収容容器2内には、略L字状の丸棒からなる攪拌棒3が取り付けられている。攪拌棒3は、攪拌軸11と同期回転することで、収容容器2内の粉体が、ブリッジや収容容器2の内側側面に付着しないように機能する。攪拌軸11の下端側には、後述する供給盤5に定量の粉体を送り、供給するための供給手段4が取り付けられている。
【0018】
攪拌棒3の下方には収容容器2の内壁面とやや隙間を設けて半月形の仕切板12が設けられている。仕切板12は、隔壁として収容容器(ホッパー)2内部と、その下方に設置された粉体の供給手段4とを分離している。仕切板12は、供給手段4に供給する粉圧を一定に保ち、収容容器2内部の材料の残量の変化に伴う供給量の変動を最小限に抑えより精度良く定量供給を可能にするように機能する。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の定量部を示す平面図である。定量部は、供給手段4、供給盤5および強制排出盤6を有している。供給盤5および強制排出盤6は同じ高さに設置され、供給手段4は、それよりも1段高い位置に配されている。供給盤5および強制排出盤6は、供給盤5および強制排出盤6の外周に沿った形状を有する共通の収容部21に収容されている(図3参照)。供給手段4、供給盤5および強制排出盤6は、すべて回転するように構成されている。
【0020】
供給手段4は、攪拌軸11の中心に対し、等間隔に設けられた複数の羽根体4a、4a‥を有している。供給手段4は、平面視において供給盤5の周縁と一部が重複するように配置されており、供給手段4の羽根体4a、4a‥の先端が供給盤5の上面と摺接するように配置されている。供給手段4は、回転することにより、供給手段4の上部に配置されている収容容器2から粉体の落下を促進させ、供給盤5に形成された計量溝5a、5a‥へ粉体を送り込む。
【0021】
供給盤5は、周縁に歯が等間隔に形成された歯車状の円盤により構成されている。供給盤5は、周縁に等ピッチで計量溝5a、5a‥が連続形成されている。供給手段4の羽根体4a、4a‥で送られた粉体は、逐次供給盤5の凹部である計量溝5a、5a‥内に送られ、この凹部(計量溝5a、5a‥)が粉体で埋められていく。
【0022】
強制排出盤6は、周縁に歯が等間隔に形成された歯車状の円盤により構成されている。強制排出盤6は、同じく周縁に等ピッチで突歯6a、6a‥が形成されている。突歯6a、6a‥は、供給盤5の計量溝5a、5a‥と噛合するように構成されている。
【0023】
図3に示すように、計量溝5a、5a‥と、突歯6a、6a‥の噛合部に相当する位置には、収容部21の底に孔21aが形成されている。孔21aの下には、排出シュート7が連結されている。すなわち、排出シュート7は、計量溝5a、5a‥と、突歯6a、6a‥の噛合部に配されている。突歯6a、6a‥は、計量溝5a、5a‥と噛合する際に、計量溝5a、5a‥内に残存する粉体を、孔21aを介して排出シュート7に強制的に排出する。
【0024】
供給手段4および供給盤5は、モータ8により駆動されている。なお、強制排出盤6は、供給盤5の計量溝5a、5a‥とその突歯6a、6a‥を噛合させることで供給盤5と同期回転する。供給手段4、供給盤5および強制排出盤6は、金属により構成することができる。
【0025】
次に、図3~5を用いて、本発明の特徴を詳細に説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の供給盤と強制排出盤の断面図であり、図4は、本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置の供給盤と強制排出盤との噛合部を示した平面図である。また、図5は、本発明の実施の形態に係る粉体の定量フィーダ装置のカバーピース(後述する)を示す斜視図である。
【0026】
図3に示すように、供給盤5および強制排出盤6が収容された収容部21の上面には、カバー18が設置されている。カバー18は、供給手段4が設けられていない供給盤5の上部と強制排出盤6の上部を覆うように構成されている。カバー18と、供給盤5および強制排出盤6との間には、供給盤5および強制排出盤6の回転を阻害しないよう隙間Sが設けられている。隙間にはどうしても粉体が入り込んでしまうが、粉体が入り込むと計量溝5aに収容される粉体の量が変化し、正確な定量を行うことができない。そのため、隙間の大きさSは、できる限り小さいことが好ましく、2mm以下とすることが好ましい。
【0027】
一方、隙間Sが小さすぎると、隙間Sに入り込んだ粉体が、供給盤5および強制排出盤
6とカバー18との間で圧着されて、圧着された粉体が強固に供給盤5、強制排出盤6およびカバー18に付着するため、付着した粉体を掻き落とすメンテナンスが必要となる。
そのため、隙間の大きさSは、0.5mm以上とすることが好ましい。さらに好ましい隙間の大きさSは、1mm程度(0.8mm~1.2mm)である。
【0028】
図3に示すように、本発明においては、供給盤5および強制排出盤6と、カバー18との隙間の一部に、カバーピース19が設けられている。カバーピース19は、隙間の大きさSと同程度の高さを有しており、隙間を塞ぐように配される。例えば、カバーピース19の高さは2mm程度(1.5mm~2.5mm)とすることができる。カバーピース19の高さを、隙間S(1mm程度)よりも大きく(1.5mm以上)することで、隙間Sを塞ぐ機能を十分に果たすことができる。カバーピース19の高さの上限値は、カバーピース19を固定する部材に応じて設定することができる。本実施の形態では、ネジ20(後述する)をカバーピース19の上に配置して、ネジ20によってカバーピース19を上から押さえつけるようにしてカバーピース19を設置するため、ネジ20を嵌め込むスペースを確保するために、カバーピース20の高さの上限値を2.5mmとしている。カバーピース19は、隙間の一部である供給盤5と強制排出盤6との噛合部に設けられ、供給盤5および強制排出盤6と、カバー18との隙間を塞ぐ。カバーピース19は、供給盤5および強制排出盤6の噛合部を十分に覆うことができるよう、平面視において、噛合部よりも大きい大きさに構成されている。カバーピース19は、隙間に入り込んだ粉体が、供給盤5および強制排出盤6との噛合部に入り込むのを防ぐ機能を果たす。
【0029】
図5に示す斜視図を示すように、カバーピース19は、円柱状に形成されており、中央に、上下方向に貫通する孔19aが形成されている。カバーピース19は、金属製の供給盤5および強制排出盤6と接触した際に、供給盤5および強制排出盤6の回転をできるだけ阻害しないよう、金属よりも柔らかい材質、例えば、樹脂、プラスチック、ゴム等の非金属材料により構成するものとする。具体的には、樹脂としては、PОM(ポリアセタール樹脂)や、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などを用いることができる。
ただし、カバーピース19の材質は、粉体の凝集性などの性状によって金属が好ましい場合もある。そのため、カバーピース19の材質は、粉体の性状も考慮して金属製を選択してもよい。
【0030】
カバーピース19は、隙間に入り込んだ粉体が、供給盤5および強制排出盤6との噛合部に入り込むのを防ぐことができれば、どのような形状であっても構わない。例えば、カバーピース19は、四角柱や楕円柱などの形状としてもよい。なお、カバーピース19を円柱状に形成すれば、供給盤5および強制排出盤6の回転により、カバーピース19が設置された隙間の位置でわずかに回転する。このため、周方向に均等に摩耗させることができるという効果も期待できる。
【0031】
また、カバーピース19には、孔19aは形成されていなくても構わないが、以下の理由により、強制排出盤6の歯と噛合する供給盤5の計量溝5aの真上に、上下方向に貫通する孔19aが形成されていることが好ましい。すなわち、供給盤5と強制排出盤6の噛合部の真上にカバーピース19が存在すると、供給盤5および強制排出盤6と、カバーピース19とが擦動することで静電気が発生し、カバーピース19に粉体が付着して正確な定量を行うことができない。そのため、強制排出盤6の歯と噛合する供給盤5の計量溝5aの真上には、孔19aが形成されていることが好ましい。
ただし、カバーピース19に孔19aを形成すると、粉体が孔19aからカバーピース19の上へ押し出されてしまい、粉体が定量フィーダ装置に残ってしまうことがあるため、粉体の性状等を考慮し、孔19aを形成しない構成としてもよい。
【0032】
図4に示すように、平面視において、カバーピース19は、供給盤5と強制排出盤6の
噛合部を覆うように配される。これにより、供給盤5と強制排出盤6の噛合部の上部の周囲の隙間から、粉体が噛合部へ流入するのを防止することができる。
【0033】
ここで、供給盤5の1つの歯の溝から溝までの距離をWとすると、カバーピース19の径Dは、1.5W~5Wとすることが好ましい。径Dが、1.5W未満であると、供給盤5と強制排出盤6の噛合部の隙間に粉体が入り込むことを十分に防ぐことができない。また、径Dが、5Wより大きくなると、カバーピース19と、供給盤5および強制排出盤6との摩擦により、供給盤5および強制排出盤6の回転を阻害する。よって、径Dは、上述の範囲とすることが好ましい。
【0034】
さらに、孔19aの径dは、1W~3Wとすることが好ましい。径dが、1W未満であると、供給盤5および強制排出盤6と、カバーピース19とが擦動することで静電気が発生し、カバーピース19に粉体が付着して正確な定量を行うことができない。また、径dが3Wより大きいと、カバーピース19自体の径Dが大きくなり、供給盤5や強制排出盤6の回転を阻害する。そのため、カバーピース19の孔19aの径dは、上述の範囲とする。
【0035】
カバーピース19はどのように取り付けられていても構わないが、例えば、図3のように取り付けることができる。具体的には、カバー18に、供給盤5と強制排出盤6の噛合部、即ち、孔21a(排出シュート7)に相当する位置に、ネジ孔18aを形成し、このネジ孔18aからカバーピース19を隙間に挿入する。そして、ネジ孔18aにネジ20を螺合させて、カバーピース19を適度な力で供給盤5と強制排出盤6の噛合部に押し付け、隙間への粉体の流入を防ぐ。
【0036】
カバーピース19は、供給盤5と強制排出盤6との擦動により使用回数・期間に応じて摩耗していくが、このように、カバー18に形成されたネジ孔18aからカバーピース19を挿入するように設置することで、カバーピース19が摩耗してきた際に簡単に交換することができる。
【0037】
次に、本発明の効果について説明する。従来では、カバー18と、供給盤5および強制排出盤6との隙間に粉体が入り込むのを防ぐために、隙間の大きさを極力小さくして、定量精度を向上させていたため、カバー18と、供給盤5および強制排出盤6の隙間で粉体が圧着されてメンテナンス性を悪化させていた。これに対し、本発明では、カバー18と、供給盤5と強制排出盤6との隙間において、供給盤5と強制排出盤6の噛合部に非金属製のカバーピース19を設置することにより、供給盤5および強制排出盤6を極力阻害せず、かつ、供給盤5と強制排出盤6の噛合部に粉体が入り込むのを防止することができる。
【0038】
カバーピース19を設置することで、供給盤5と強制排出盤6の噛合部に粉体が入り込むのを防止することができるため、カバー18と、供給盤5および強制排出盤6との隙間の大きさSを、任意の大きさに設定することができる。そのため、カバー18と、供給盤5および強制排出盤6の隙間で粉体が圧着されない程度の隙間に設定することが可能となる。これにより、本発明では、メンテナンス性と正確な定量とを両立させることができる。
本発明は、上述の実施の形態に関わらず、本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の設計変更を加えることができる。
【実施例
【0039】
本発明の効果を検証するために、カバーピースを設置した定量フィーダ装置(本発明例)と、カバーピースを設置していない定量フィーダ装置(従来例)を用いて、定量供給を
実施した。本発明例と従来例では、カバーピースとカバーピースを固定する治具(ネジ)の有無以外の構成は同一である。
【0040】
図8は、本発明例で用いたカバーピースの形状を示す図である。図8の左図は、本発明例のカバーピースの平面図であり、右図は、その側面図である。図8に示すように、カバーピース19Aは、円盤状であり、図5に示されている孔19aは形成されていない。カバーピース19Aの厚さtは、2mmとした。
【0041】
本発明例および従来例では、いずれも粉体として黄粉50gを収容容器2に投入した。定量フィーダ装置を制御するコンピュータに、定量速度0.06g/minで、50g全量を排出するように指令を与えた(定量供給)。
【0042】
図9および図10に結果を示す。図9は、本発明例と従来例における時間(min)と供給量(g)との関係を示す図であり、図10は、本発明例と従来例における時間(min)と単位時間当たりの供給量(g/min)との関係を示す図である。
【0043】
図9および図10に示すように、本発明例および従来例のいずれも、定量供給開始から660(min)を経過するあたりまで同程度の供給量(g)となっており、660(min)までは順調に定量供給がされている。本発明例では、その後も線形的に供給量(g)が増加し、投入された粉体の全量である50gが排出された。これに対し、従来例では、660(min)を超えたあたりから供給量が減少し、投入された粉体50gのうち42.6gが排出された状態で供給が終了した。すなわち、従来例では、50-42.6=7.4gの粉体が排出されずに定量フィーダ装置内に残留した状態で定量供給が終了した。
【0044】
以上の結果から、本発明例では、カバーピース19Aを設置することにより、定量フィーダ装置に残留する粉体の量を低減させることができることが分かった。本発明例では、定量フィーダ装置内に残留する粉体の量を低減させることで、従来例よりも長い時間、粉体の正確な定量供給を行うことができ、定量性およびメンテナンス性を向上させることができることが分かった。また、本発明例では、装置内に残留する粉体の量を低減することができるため、粉体のコストを低減させることもできる。
【符号の説明】
【0045】
2 収容容器
4 供給手段
5 供給盤
6 強制排出盤
7 排出シュート
8 モータ
9 架台
10 ディスクフレーム
19、19A カバーピース
20 ネジ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10