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特許7026971デジタル現場調査記録信頼モデルシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】デジタル現場調査記録信頼モデルシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/32 20060101AFI20220221BHJP
   G09C 1/00 20060101ALI20220221BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20220221BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20220221BHJP
【FI】
H04L9/32 200B
G09C1/00 640D
G06F21/64
G06Q50/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020520020
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 CN2018123778
(87)【国際公開番号】W WO2019223310
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】201810494011.8
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520117684
【氏名又は名称】南京森林警察学院
【氏名又は名称原語表記】NANJING FOREST POLICE COLLEGE
【住所又は居所原語表記】No.28,Wenlan Road,Xianlin College Town Nanjing,Jiangsu 210023 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】楊 一涛
(72)【発明者】
【氏名】李 云
(72)【発明者】
【氏名】王 新猛
(72)【発明者】
【氏名】呉 育宝
【審査官】行田 悦資
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-221435(JP,A)
【文献】特表2016-533694(JP,A)
【文献】特開2007-200135(JP,A)
【文献】国際公開第2013/011874(WO,A1)
【文献】特開2016-218772(JP,A)
【文献】特開2017-204205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 9/32
G09C 1/00
G06F 21/64
G06Q 50/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジタル現場調査記録信頼モデル用いて信頼化の操作を行う方法であって、
デジタル現場調査記録信頼モデルをTと記し、T=(E,A,DR,TR,Sign)であり、ここで、Eは、モデル内のエンティティで、E={S,C }であり、Sは、サーバーであり、C は、現場調査端末機器であり、SとC との間は、無線通信ネットワークを介して接続され、Aは、信頼モデル内の暗号アルゴリズムのセットであり、サーバーSは、A内の非対称暗号化アルゴリズムを用いて公開鍵及び秘密鍵を生成し、DRは、全てのデジタル現場調査記録のセットであり、DR={dr |dr ∈{デジタル写真,デジタル筆記録,ビデオ,オーディオ}}、DRの情報は、C 内に保存され、TRは、信頼可能なデジタル現場調査記録のセットであり、TR={tr i |tr i =dr i +Sign (dr i )}であり、Signは、信頼化の操作であり、該信頼化の操作は、上記秘密鍵を用いており、DTは、日時であり、サーバーSに入力され、GPSは、C の現在の地理位置座標情報であり、C に入力され、
以下の(一)初期化過程、(二)登録過程、及び、(三)署名過程を含み、
(一)初期化過程では、
RSAアルゴリズムを用いてサーバーSのために公開鍵及び秘密鍵を生成してPK及びSKと記し、PKは、デジタル証明書内に退避され、Certと記して外部に公開され、SKは、AESアルゴリズム及び強い鍵を用いてサーバーSのローカルに格納され、
(二)登録過程では、
初めて現場調査端末機器を使用する前に登録を完了させる必要があり、サーバーは、現場調査端末機器 のための鍵ペアである公開鍵PK Ci 及び秘密鍵SK Ci を発行し、暗号化された形で前記秘密鍵SK Ci を端末に発送し、全ての現場調査端末機器及びサーバーの公開鍵は、サーバーに保存されて公に訪問可能であり、
(三)署名過程では、
a)現場調査端末機器Cは、機器によって現場調査データdrを採集し、
b)現場調査端末機器Cは、自身のGPSセンサーによって、現場調査データを採集した地理位置座標を獲得してGと記し、
c)現場調査端末機器Cは、サーバーに信頼タイムスタンプを要求し、
d)サーバーは、現場調査端末機器に現在時間dtを返信し、時間の信頼性が保証されるためにデジタル署名を入れ、返信内容は、Timestampn=dtn+sign(SKs,dtn)であり、
e)現場調査端末機器Cは、時間の信頼性を検証し、以下のf)のように現場調査データdrに対して信頼化の処理を行い、信頼可能な現場調査データtrを得、
であることを特徴とする方法。
【請求項2】
登録過程としては、具体的に、現場調査端末機器Cが、登録要求、及び、端末Cの所持者が自ら設定したパスワードであるKiをサーバーSに送信し、サーバーSが、Cのために鍵ペア(PKCi,SKCi)を生成し、E及びDが、それぞれ、対称暗号化アルゴリズムAESの暗号化及び復号化関数であり、Signが、非対称暗号アルゴリズムDSAを用いて署名し、Validateが、DSAを用いて署名の検証を行い、Hが、SHA1アルゴリズムのハッシュ関数であることを含む
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
署名過程のステップaにおいて、上記データは、文字、画像、オーディオ、又は、ビデオとすることが可能である
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
上記信頼可能な現場調査データtrが検証される過程は、以下のS1~S4の通りであり、
S2:オリジナルデータO内のタイムスタンプが有効であるかを検証し、以下の式が成立するかを確認し、
成立の場合は、次のステップに進み、そうでない場合は、検証失敗の旨を提示し、検証過程を中止し、
S3:オリジナルデータOの信頼性を検証し、以下の式が成立するかを確認し、
成立の場合は、検証が成功となり、そうでない場合は、検証失敗の旨を提示し、
S4:検証過程が終了する、
であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
上記現場調査端末機器C は、該機器の捜査員の身分と紐付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記現場調査端末機器C には、ハイビジョンカメラ、GPSセンサー、Wi-fi及び4G信号によるアクセス能力が搭載されている
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記暗号アルゴリズムのセットは、非対称鍵ペア生成アルゴリズム、対称鍵アルゴリズム、署名アルゴリズム及びハッシュアルゴリズムを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータ処理におけるデータの完全性を保護する技術分野に属し、具体的に、デジタル現場調査記録信頼モデルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、警察部門の様々な警務活動もデジタル時代に入った。犯罪現場の調査とは、通常、刑事事件が発生した後、捜査員が、犯罪の事実を確かめ、犯罪の証拠を収集し、犯人を特定して暴露するために、法に従い、犯罪に関わる人や物事、及び、場所、物品、人、死体等に対して行われる現場訪問及び検視調査作業を指し、犯罪現場の調査は、国の法律や法規に準じて、刑事科学技術手段を利用して特定の空間領域内で行わなければならない。現場調査記録は、現場調査作業の完了後に形成されたドキュメント及び添付資料のセットであり、主に、現場の筆記録、現場の写真、現場のビデオ、現場のオーディオ、痕跡、各種類の物的証拠、各種類の電子データ証拠、描画図等を含む。これらの現場調査記録の中で、写真、ビデオ、オーディオは、現在、デジタル化の採集が既に実現されており、筆記録、描画図等の形式の現場調査記録は、その後の現場検視情報システムへの調査員による手動入力でデジタル化が実現される。
【0003】
現場調査は、手続き的な要素の非常に強い作業であり、作業フローに小さな欠陥があっても、深刻な結果を招く。例えば、証拠の採集が不十分になったり、痕跡証拠が損壊されてしまうことがある。その中、現場調査記録の信頼度の喪失は、壊滅的な結果であり、これにより、証拠チェーン全体の起点が受け入れられなくなり、ひいては、現場調査作業全体が無効とされてしまう。従来の現場調査記録信頼メカニズムは、「署名」に基づくものであり、1つ1つの紙形式の現場調査記録、痕跡証拠收集リストについて、いずれも、捜査員が直筆で名前をサインして記録の信頼性を保証する必要があり、記録の改竄を防ぐために、一般に、2名以上の捜査員の署名が必要となる。しかしながら、実際の現場調査作業では、「署名」という規範には、たくさんの問題を抱えている。主に、以下の2つのケースがある。一つは、後付けの署名である。一部の捜査員が、便宜を図るために、現場調査の時点で要求通りに記録及びリストに署名せず、その後で署名を補記する。二つは、代替の署名である。つまり、一部の捜査員が、現場調査を関与しておらず、手続き上の必要に応じて署名又は他人の代わりに署名する。
【0004】
上述した行為は、いずれも、現場調査記録の信頼性への疑いを招き、後続の司法認証作業に、隠れた弊害をもたらしてしまう。デジタル時代では、上述した手動署名によるリスクを回避したとしても、大量のデジタル化の現場調査記録に対して、如何にその信頼性を効果的に保証するのかが、緊急に解決する必要のある重要課題になっている。
【0005】
従来の特許文献において、出願番号が「CN201710140360.5」、名称が「現場で電子証拠を確定する方法及びシステム」の発明により、現場で電子証拠を確定する方法及びシステムが開示されている。この方法は、ユーザのログイン情報を獲得し、ユーザの権限を選択してユーザ操作に対して記録を開始することと、現場の電子証拠を採集することと、ユーザ操作に対して記録を停止し、記録した結果をユーザ操作ログとして生成することと、獲得された電子証拠に対して完全性チェックを行うことと、獲得された電子証拠を電子レポートとして生成し、電子証拠の完全性チェック結果を電子レポート内に追加することと、電子ファイルをアップロードすることと、を含み、これらが、ユーザログインモジュール、証拠採集モジュール、完全性チェック結果モジュール、レポート生成モジュール及びアップロードモジュールといった各モジュールにより、共同で実現されている。この発明は、従来のモバイル端末により撮影された写真や映像が改竄され易いという技術的問題をある程度まで解決したが、後付けの署名及び代替の署名という問題は、依然として、解決できていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上述した従来技術における上記問題に鑑み、暗号学上のデジタル署名やハッシュ等の方法を用いて、デジタル化の現場調査記録に対して信頼化の操作を行うことで、全てのデジタル現場調査記録について、記録開始から裁判所への提出までの間を通じて、記録の内容、記録者、記録場所、記録時間等のデジタル化情報が完全であり、改竄されていないことを保証可能なデジタル現場調査記録信頼モデルシステムを提案する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明により採用された技術案は、デジタル現場調査記録信頼モデルシステムであって、該システムは、デジタル現場調査記録信頼モデルをTと記し、T=(E,A,DR,TR,Sign)であり、ここで、Eは、モデル内のエンティティで、E={S,C}であり、Sは、サーバーであり、Cは、現場調査端末機器であり、SとCとの間は、無線通信ネットワークを介して接続され、Aは、信頼モデル内の暗号アルゴリズムのセットであり、サーバーSは、A内の非対称暗号化アルゴリズムを用いて公開鍵及び秘密鍵を生成し、DRは、全てのデジタル現場調査記録のセットであり、DR={dr|dr∈{デジタル写真,デジタル筆記録,ビデオ,オーディオ}}、DRの情報は、C内に保存され、TRは、信頼可能なデジタル現場調査記録のセットであり、TR={tri|tri=dri+Sign (dri)}であり、Signは、信頼化の操作であり、該信頼化の操作は、上記秘密鍵を用いており、DTは、日時であり、サーバーSに入力され、GPSは、Cの現在の地理位置座標情報であり、Cに入力される。
【0008】
さらに、上記現場調査端末機器Cは、該機器を用いる捜査員の身分と紐付けられ、該捜査員に専用される。
【0009】
好ましくは、上記現場調査端末機器Cには、ハイビジョンカメラ、GPSセンサー、Wi-fi及び4G信号によるアクセス能力が搭載されている。
【0010】
さらに、上記暗号アルゴリズムのセットは、非対称鍵ペア生成アルゴリズム、対称鍵アルゴリズム、署名アルゴリズム及びハッシュアルゴリズム。
【0011】
本発明は、上記デジタル現場調査記録信頼モデルシステムを用いて信頼化の操作を行う方法を更に提案しており、この方法は、具体的に、以下の初期化過程、登録過程及び署名過程を含む。
【0012】
一、初期化過程
RSAアルゴリズムを用いてサーバーSのために公開鍵及び秘密鍵を生成してPK及びSKと記し、PKは、デジタル証明書内に退避されてCertと記し、SKは、AESアルゴリズム(AES、Advanced Encryption Standard、高度暗号化規格)及び強い鍵を用いてサーバーSのローカルに格納される。
【0013】
二、登録過程
初めて現場調査端末機器を使用する前に登録を完了させる必要があり、サーバーは、現場調査端末機器に証明書を発行し、暗号化された形で秘密鍵を端末に発送し、全ての現場調査端末機器及びサーバーの公開鍵は、サーバーに保存されて公に訪問可能である。
【0014】
三、署名過程
1.現場調査端末機器Cは、機器によって現場調査データdrを採集し、
2.現場調査端末機器Cは、自身のGPSセンサーによって、現場調査データを採集した地理位置座標を獲得してGと記し、
3.現場調査端末機器Cは、サーバーに信頼タイムスタンプを要求し、
4.サーバーは、現場調査端末機器に現在時間dtを返信し、時間の信頼性が保証されるためにデジタル署名を入れ、返信内容は、Timestampn=dtn+sign(SKs,dtn)であり、
5.現場調査端末機器Cは、時間の信頼性を検証し、以下の6.のように現場調査データdrに対して信頼化の処理を行い、信頼可能な現場調査データtrを得る。
【0015】
さらに、上記登録過程としては、具体的に、現場調査端末機器Cが、登録要求、及び、端末iの所持者が自ら設定したパスワードであるKeyをサーバーSに発送し、サーバーSが、Cのために鍵ペア(PKCi,SKCi)を生成し、E及びDが、それぞれ、対称暗号化アルゴリズムAESの暗号化及び復号化関数であり、Signが、非対称暗号アルゴリズムDSA(Digital Signature Algorithm)を用いて署名し、Hが、SHA1(Secure Hash Algorithm)アルゴリズムのハッシュ関数であることを含む。
【0016】
さらに、上記署名過程のステップ3.において、上記現場調査データは、文字、画像、オーディオ、又は、ビデオとすることが可能である。
【0017】
上記記録のデータが改竄されると、検証が失敗になり、信頼可能な現場調査データtrが検証される過程は、以下のS1~S4の通りである。
S2:オリジナルデータO内のタイムスタンプが有効であるかを検証し、以下の式が成立するかを確認し、
成立の場合は、次のステップに進み、そうでない場合は、検証失敗の旨を提示し、検証過程を中止し、
S3:オリジナルデータOの信頼性を検証し、以下の式が成立するかを確認し、
成立の場合は、検証が成功となり、そうでない場合は、検証失敗の旨を提示し、
S4:検証過程が終了する。
【0018】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な技術的効果がある。
【0019】
1、本発明は、犯罪現場調査で発生したデジタル記録に対しては、信頼化の処理を行うことで信頼可能な現場調査デジタル記録を生成し、該記録には、現場調査データ、採集場所、採集時間及び採集者の情報が含まれる。
2、信頼可能な記録は、端末の秘密鍵を用いて記録に対して署名し、該記録の採集記録者を保存しており、該記録の信頼性は、改竄防止性及び否認不能性に現れており、端末が特定の人に専用されるもので、デジタル署名により、データがどの端末から採集されたかを判明しており、端末の所持者が否認することができない。
3、現場調査記録が改竄されると、検証過程を経て発見されることになり、即ち、該記録のデータが改竄されれば、検証失敗となるため、従来のモバイル端末により撮影された写真や映像が改竄され易いという技術的問題を効果的に解決するとともに、如何にして後付けの署名及び代替の署名を防止するかという問題も解決した。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、デジタル現場調査記録信頼モデルの構造図である。
図2図2は、端末登録のフローチャートである。
図3図3は、現場調査データの信頼性検証のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して本発明を更に詳しく説明する。
【0022】
図1は、信頼モデルの構造図を示している。本発明は、デジタル現場調査記録信頼モデルをTと記し、T=(E,A,DR,TR,Sign)であり、ここで、Eは、モデル内のエンティティで、E={S,C}であり、Sは、サーバーであり、Cは、現場調査端末機器であり、SとCとの間は、無線通信ネットワークを介して接続され、Aは、モデル内の暗号アルゴリズムのセットであり、DRは、全てのデジタル現場調査記録のセットである。
【0023】
DR={dr|dr∈{デジタル写真,デジタル筆記録,ビデオ,オーディオ}}であり、TRは、信頼可能なデジタル現場調査記録のセットであり、TR={Sign(dri)}であり、Signは、信頼化の操作であり、DTは日時であり、GPSはCの現在の地理位置座標である。
【0024】
本システムを用いて、信頼化の操作を行う過程は、以下の通りである。
【0025】
(一)初期化過程
RSAアルゴリズムを用いてサーバーSのために公開鍵及び秘密鍵を生成してPK及びSKと記し、PKは、デジタル証明書内に退避されてCertと記し、SKは、AESアルゴリズム及び強い鍵を用いてサーバーのローカルに格納される。
【0026】
(二)登録過程
図2は、端末登録のフローチャートであり、端末機器Cは、捜査員の現場調査用ハンドヘルド機器であり、該機器には、ハイビジョンカメラ、GPSセンサー、Wi-fi及び4G信号によるアクセス能力、ロギング等の機能が搭載されており、端末機器のそれぞれは、1名の捜査員の身分と一対一で紐付けられ、その捜査員に専用される。初めて端末機器を使用する前に、本登録過程を完了させる必要がある。
【0027】
図2において、Keyは、端末iの所持者が自ら設定したパスワードであり、秘密鍵の安全を保護することを目的としている。E及びDは、暗号学上の対称暗号化アルゴリズムAESの暗号化及び復号化関数であり、Signは、非対称暗号アルゴリズムDSAを用いて署名し、Hは、SHA1アルゴリズムのハッシュ関数である。このステップの目的としては、サーバーに、端末のために証明書を発行させ、暗号化された形で秘密鍵を端末に発送するためであり、全ての端末及びサーバーの公開鍵は、サーバーに保存されて公に訪問可能である。
【0028】
(三)署名過程
3.1、端末Cは、機器によって現場調査データdrを採集し、該データは、文字、画像、オーディオ、又は、ビデオとすることが可能であり、
3.2、端末Cは、自身のGPSセンサーによって、現場調査データを採集した地理位置座標を獲得してGと記し、
3.3、サーバーに信頼タイムスタンプを要求し、
3.4、サーバーは、端末に現在時間dtを返信し、デジタル署名を入れて時間の信頼性を保証し、返信内容は、Timestampn=dtn+sign(SKs,dtn)であり、
3.5、端末Cは、時間の信頼性を検証し、以下のように現場調査データdrに対して信頼化の処理を行って、信頼可能な現場調査データtrを得る。
【0029】
図3は、現場調査データの信頼性検証のフローチャートであり、信頼可能な現場調査記録trが検証される全過程を示しており、もし該記録のデータが改竄されていると、検証が失敗になる。
【0030】
当業者による本発明の実施の便宜のために、具体的な実施例を1つ挙げる。
【0031】
サーバーSによる初期化操作が既に完了し、PKが外部に公開されており、SKが秘密的に保存されているとする。そして、捜査員Aには、その身分と紐付けられた1台の現場調査端末機器Cが配られており、サーバーが既にAのために公開鍵及び秘密鍵のペアを1つ生成しており、公開鍵PKが外部に公開されており、SKが端末Cに秘密的に保存されているとする。
【0032】
捜査員Aは、犯罪現場で1つPC用ハードディスクを入手し、自分の現場調査端末機器Cを用いてこのハードディスクを撮影して物的証拠を取り、この物的証拠のデジタル写真のファイル名は、DC0017.JPGであり、写真を撮影して保存すると同時に、端末機器は、自身のGPSセンサー上の地理位置を採集し、その値は、G=(lat:22.5024、lng:113.9383)であり、それと同時にサーバーSに信頼タイムスタンプの要求を発送した後、サーバーは、現在の信頼タイムスタンプTimestamp(dt=「2018-03-1018:09:22」)及びサーバーの署名Sign(PKs,dt)を返信したとする。
【0033】
端末機器は、サーバー証明書の公開鍵を用いてSign(PKs,dt)を復号化してdtの信頼性を検証し、真実で有効である場合、以下のステップによって、信頼可能な現場調査データtrを生成する。
【0034】
1.DC0017.JPGのSHA1ハッシュ値であるH(DC0017.JPG)を計算し、
2.第1のステップで得られたハッシュ値と、G及びTimestatmpを統合して、該端末の秘密鍵SKを用いて署名演算であるSign(SK,H(DC0017.JPG),G,Timestamp)を行い、
3.最終の信頼可能な現場調査データtrは、以下のデータを統合してなるものである。
DC0017.JPG、G、Timestamp、Sign(SK,H(DC0017.JPG),G,dt)
【0035】
次に、trに対する信頼性検証過程は、以下の通りである。
【0036】
1.まず、trをオリジナルデータ部分OであるDC0017.JPG、G、Timestamと、検証データ部分VであるSign(SK,H(DC0017.JPG),G,dt)とに分解する。
2.サーバーの公開鍵を用いてオリジナルデータ内のTimestampの信頼性を検証し、dtがValidate(PK,Sign(PK,dt))に等しいかを確認し、等しければ、該タイムスタンプが信頼可能であり、次のステップに進んで検証を続けて、そうでなければ、検証過程を中止し、検証失敗の旨を提示する。
3.trのオリジナルデータ部分のDC0017.JPGに対してSHA1ハッシュ演算を行ってG及びTimestampのdtと統合してH(DC0017.jpg)+G+dtといったデータを形成し、O’と記す。
4.サーバーの公開鍵を用いてtrの検証データ部分を解けて、即ちValidate(PK,V)であり、その後、O’がValidate(PK,V)に等しいかを確認する。等しくなければ、検証失敗の旨を提示し、等しければ、検証が成功になり、物的証拠としての該写真DC0017.JPGが信頼可能であり、即ち、物的証拠としての該写真の採集時間は、2018-03-1018:09:22であり、採集地の経緯座標は、(緯度:22.5024、経度:113.9383)である。
【0037】
採集者が捜査員Aとされ、写真内容が改竄されていないとされ、以上の情報が真実で有効なものである。
【0038】
本発明は、犯罪現場調査で発生したデジタル記録に対しては、信頼化の処理を行うことで信頼可能な現場調査デジタル記録を生成し、該記録には、現場調査データ、採集場所、採集時間及び採集者の情報が入っており、これらの情報は、改竄不能と保証されるとともに、否認不能性を持っている。
【0039】
なお、以上の具体的な実施形態に対する記載は、本発明を制限するためのものではおらず、本発明の精神及び原則内でなされた如何なる修正、均等的置換、改善等は、全て本発明の保護範囲内とされるべきである。
図1
図2
図3