(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】光通信装置及び偏光板のセット
(51)【国際特許分類】
H04B 10/114 20130101AFI20220221BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20220221BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
H04B10/114
H01L31/02 D
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2016222241
(22)【出願日】2016-11-15
【審査請求日】2019-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】西村 明憲
【審査官】小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-276135(JP,A)
【文献】特開2004-214901(JP,A)
【文献】特開平09-321705(JP,A)
【文献】特開2008-268724(JP,A)
【文献】特開2008-107720(JP,A)
【文献】特開昭63-176030(JP,A)
【文献】特開2014-224964(JP,A)
【文献】特開2004-29743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
G02B 5/30
H01L 31/0232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号送信部と信号受信部とを備え、
前記信号送信部は、発光素子と、前記発光素子が出射する光を入射して偏光を出射する第1の偏光板とを備え、
前記信号受信部は、前記信号送信部からの光を入射させる第2の偏光板と、前記第2の偏光板を透過する光を受光する受光素子と、を備え、
前記第1の偏光板は第1の反射型偏光子を備え
、前記第1の反射型偏光子の前記発光素子側に光拡散層を有する、光通信装置。
【請求項2】
前記信号送信部が出射する偏光が円偏光である、請求項1に記載の光通信装置。
【請求項3】
前記第1の反射型偏光子が直線偏光分離型の反射型偏光子であり、
前記第1の偏光板は、前記第1の反射型偏光子を透過する直線偏光を円偏光に変換するλ/4板をさらに備える、請求項2に記載の光通信装置。
【請求項4】
前記第1の反射型偏光子が円偏光分離型の反射型偏光子である、請求項2に記載の光通信装置。
【請求項5】
前記信号送信部が出射する偏光が直線偏光である、請求項1に記載の光通信装置。
【請求項6】
前記第1の反射型偏光子が直線偏光分離型の反射型偏光子である、請求項5に記載の光通信装置。
【請求項7】
前記第1の偏光板が反射板をさらに備える、請求項1~6の何れか1項に記載の光通信装置。
【請求項8】
前記反射板の反射率が40%以上である、請求項7に記載の光通信装置。
【請求項9】
前記第2の偏光板は、前記信号送信部から出射され前記信号受信部に入射する偏光を選択的に透過させる、請求項1~8の何れか1項に記載の光通信装置。
【請求項10】
前記第2の偏光板が円偏光分離型の反射型偏光子を備える、請求項9に記載の光通信装置。
【請求項11】
前記第2の偏光板が、直線偏光分離型の反射型偏光子とλ/4板とを備える、請求項9に記載の光通信装置。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の光通信装置に用いられる前記第1の偏光板および前記第2の偏光板を含む、偏光板のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信装置及び光通信装置に用いられる偏光板のセットに関する。
【背景技術】
【0002】
電波を用いた無線通信の需要増による電波帯域の枯渇などの事情に伴い、従来から、光を用いた光無線通信が注目されている。特に、高速変調可能なLEDなどの発光素子の普及に伴い、可視光を用いた可視光通信技術の実用化に向けた試みが進められている。このような光通信技術では、発光素子を備える信号送信部が、伝送信号に対応して変調された光を出射し、受光素子を備える信号受信部が、受光した光に基づいて信号を得る。従来の光通信技術では、蛍光灯からの放射光などの外乱光ノイズの影響により、信号受信部におけるSN比の低下または受光量のオーバーフローが生じ、その結果、通信安定性が低下するなどの問題が生じ得る。そこで、信号送信部および信号受信部に吸収型偏光板を配置し、偏光を利用して信号を伝送することにより、外乱光ノイズの影響を低減する通信方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の通信方法では、発光素子の出射光の一部が吸収型偏光板によって吸収され、信号送信部の出射光量が低減し、通信安定性が低下し得る。したがって、十分に高い通信安定性を実現するためには、発光素子の出射光量を高める必要があり、その結果、消費電力が増大し得る。本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、通信安定性が高い光通信装置および該光通信装置に用いる偏光板のセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光通信装置は、信号送信部と信号受信部とを備え、上記信号送信部は、発光素子と、上記発光素子が出射する光を入射して偏光を出射する第1の偏光板とを備え、上記信号受信部は、上記信号送信部からの光を入射させる第2の偏光板と、上記第2の偏光板を透過する光を受光する受光素子と、を備え、上記第1の偏光板は第1の反射型偏光子を備える。
1つの実施形態においては、上記信号送信部が出射する偏光が円偏光である。
1つの実施形態においては、上記第1の反射型偏光子が直線偏光分離型の反射型偏光子であり、上記第1の偏光板は、上記第1の反射型偏光子を透過する直線偏光を円偏光に変換するλ/4板をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記第1の反射型偏光子が円偏光分離型の反射型偏光子である。
1つの実施形態においては、上記信号送信部が出射する偏光が直線偏光である。
1つの実施形態においては、上記第1の反射型偏光子が直線偏光分離型の反射型偏光子である。
1つの実施形態においては、上記第1の偏光板が反射板をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記反射板の反射率が40%以上である。
1つの実施形態においては、上記第2の偏光板は、上記信号送信部から出射され上記信号受信部に入射する偏光を選択的に透過させる。
1つの実施形態においては、上記第2の偏光板が円偏光分離型の反射型偏光子を備える。
1つの実施形態においては、上記第2の偏光板が、直線偏光分離型の反射型偏光子とλ/4板とを備える。
本発明の別の局面によれば、偏光板のセットが提供される。この偏光板のセットは、上記光通信装置に用いられる上記第1の偏光板および上記第2の偏光板を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、通信安定性が高い光通信装置および該光通信装置に用いる偏光板のセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の1つの実施形態に係る光通信装置の概略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態に係る光通信装置の第1および第2の偏光板の断面図である。
【
図3】本発明のさらに別の実施形態に係る光通信装置の第1および第2の偏光板の断面図である。
【
図4】本発明の光通信装置に用いられ得る反射型偏光子の一例の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0009】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx-ny)×dによって求められる。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。
【0010】
A.光通信装置の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態に係る光通信装置の概略図である。本実施形態の光通信装置100は、信号送信部10と信号受信部20とを有する。信号送信部10は、発光素子11と、発光素子11が出射する光を入射して偏光を出射する第1の偏光板30(以下、偏光板30と称する場合がある)とを有する。偏光板30は第1の反射型偏光子を有する。偏光板30は、好ましくは、反射板をさらに備える。反射板の反射率は、好ましくは40%以上である。偏光板30は、好ましくは、第1の反射型偏光子の発光素子11側に光拡散層を有する。信号受信部20は、信号送信部10からの光を入射させる第2の偏光板40(以下、偏光板40と称する場合がある)と、偏光板40を透過する光を受光する受光素子21と、を有する。偏光板30は第1の反射型偏光子を有することにより、発光素子11が出射する光の利用効率を高めることができ、その結果、光通信装置100の通信安定性が向上し得る。
【0011】
図2は、本発明の別の実施形態に係る光通信装置の第1および第2の偏光板の断面図である。信号送信部10が出射する偏光は、好ましくは円偏光である。1つの実施形態では、
図2に示すように、偏光板30は、直線偏光分離型である第1の反射型偏光子31と、第1の反射型偏光子31の発光素子とは反対側に設けられた第1のλ/4板32とを有することにより、円偏光を出射する。この場合、第1の反射型偏光子31の反射軸と第1のλ/4板32の遅相軸とのなす角度は、好ましくは38°~52°であり、より好ましくは42°~48°であり、最も好ましくは約45°である。別の実施形態では、偏光板30は、円偏光分離型の第1の反射型偏光子を有することにより、円偏光を出射する。
図2に示すように、偏光板40は吸収型偏光子41を有する。偏光板40は、吸収型偏光子41を保護する保護層(図示せず)をさらに備えていてもよい。なお、
図2に示すように、偏光板40が吸収型偏光子41に代えて第2の反射型偏光子42を有していてもよい。この場合、第2の反射型偏光子42は、代表的には直線偏光分離型の反射型偏光子である。偏光板40は、外乱光ノイズのうち振動方向が吸収型偏光子41(または第2の反射型偏光子42)の透過軸に直交する光を吸収(または反射)するとともに、信号送信部10から出射された円偏光のうちの約半分の光を透過させる。信号送信部10が円偏光を出射することにより、信号送信部10の第1の反射型偏光子の透過軸と、信号受信部の偏光子(吸収型偏光子または反射型偏光子)の透過軸との軸ずれが生じた場合であっても、信号送信部から出射され信号受信部の受光素子が受光する光量の減少を抑制し得る。さらに、偏光板40が外乱光ノイズの一部を吸収(または反射)することによって、受光素子に入射する外乱光ノイズの光量が減少し得る。その結果、信号受信部におけるSN比が向上し得る。なお、偏光板40が第2の反射型偏光子を有することにより、発光素子が出射する光の利用効率を高めることができ、信号受信部におけるSN比を向上させ得る。一方で、偏光板40が吸収型偏光子41を有する場合、偏光板40が第2の反射型偏光子42を有する場合に比べて偏光板40の厚みを薄くすることができる。
【0012】
図3は、本発明のさらに別の実施形態に係る光通信装置の第1および第2の偏光板の断面図である。
図3に示すように、偏光板40が、吸収型偏光子41と、吸収型偏光子41の受光素子とは反対側に設けられた第2のλ/4板43とを有する。吸収型偏光子41の吸収軸と第2のλ/4板43の遅相軸とのなす角度は、好ましくは38°~52°であり、より好ましくは42°~48°であり、最も好ましくは約45°である。
図3に示すように、偏光板40が吸収型偏光子41に代えて直線偏光分離型の第2の反射型偏光子42を有していてもよい。1つの実施形態では、信号送信部10が出射する偏光は右回りの円偏光であり、偏光板40は、右回りの円偏光を選択的に透過させて左回りの円偏光を吸収(または反射)させる。別の実施形態では、信号送信部10が出射する偏光は左回りの円偏光であり、偏光板40は、左回りの円偏光を選択的に透過させて右回りの円偏光を吸収(または反射)させる。これにより、信号送信部10の第1の反射型偏光子の透過軸と、信号受信部の偏光子(吸収型偏光子または反射型偏光子)の透過軸との軸ずれが生じた場合であっても、偏光板40は、理想的には信号送信部10が出射した円偏光の全てを透過し得る。なお、信号送信部10が出射する円偏光の回転方向(右回りであるか左回りであるか)は、第1の反射型偏光子31の反射軸に対する第1のλ/4板32の軸角度によって適切に設定され得る。偏光板40が透過させる円偏光の回転方向(右回りであるか左回りであるか)は、吸収型偏光子41の吸収軸(または第2の反射型偏光子42の反射軸)に対する第2のλ/4板43の軸角度によって適切に設定され得る。偏光板40は、吸収型偏光子41および第2のλ/4板43に代えて、信号送信部10が出射する円偏光を選択的に透過する円偏光分離型の反射型偏光子を有していてもよい。
【0013】
さらに別の実施形態では、信号送信部10が出射する偏光は直線偏光であり、偏光板40は、
図3を参照して説明したように、吸収型偏光子41と、吸収型偏光子41の受光素子とは反対側に設けられた第2のλ/4板43とを有する。偏光板30は、代表的には直線偏光分離型である第1の反射型偏光子を有する。偏光板40は、信号送信部10から出射された直線偏光を選択的に透過させる。具体的には、偏光板40は、外乱光ノイズのうち右回りの円偏光または左回りの円偏光を吸収するとともに、信号送信部10から出射された直線偏光のうちの約半分の光を透過させる。なお、
図3を参照して説明したように、偏光板40が吸収型偏光子41に代えて直線偏光分離型の第2の反射型偏光子42を有していてもよいし、吸収型偏光子41および第2のλ/4板43に代えて円偏光分離型の反射型偏光子を有していてもよい。
【0014】
B.信号送信部
上記のとおり、信号送信部10は発光素子11と偏光板30とを有する。偏光板30は第1の反射型偏光子を有する。第1の反射型偏光子は、直線偏光分離型の反射型偏光子であってもよく、円偏光分離型の反射型偏光子であってもよい。発光素子11が出射する光は、偏光板30を介して信号送信部10の外部に向けて出射される。これにより、信号送信部10からは、偏光が出射される。
【0015】
B-1.発光素子
発光素子は、伝送する信号に対応して変調された光を出射し得る任意の適切な素子で構成される。発光素子は、代表的にはLEDである。発光素子が出射する光は、代表的には可視光または赤外光である。発光素子は、駆動回路(図示せず)から供給される電気信号により、伝送する信号に対応して変調された光を出射する。発光素子は、代表的には、伝送する信号に対応して光の点滅を繰り返す。
【0016】
B-2.第1の偏光板
上記のとおり、偏光板30は第1の反射型偏光子を有する。偏光板30は、好ましくは、第1の反射型偏光子31の発光素子11側に光拡散層を有する。第1の反射型偏光子が直線偏光分離型の反射型偏光子である場合、偏光板30は、好ましくは、第1の反射型偏光子31の発光素子11とは反対側に第1のλ/4板を有する。第1のλ/4板は、代表的には遅相軸を有する。第1の反射型偏光子31の反射軸と第1のλ/4板の遅相軸とのなす角度は、好ましくは38°~52°であり、より好ましくは42°~48°であり、最も好ましくは約45°である。これにより、第1のλ/4板からは円偏光が出射される。信号送信部10が円偏光を出射することにより、信号送信部10の第1の反射型偏光子の透過軸と、信号受信部の偏光子(または反射型偏光子)の透過軸との軸ずれが生じた場合であっても、信号送信部から出射され信号受信部の受光素子が受光する光量の減少を抑制し得、SN比を高め得る。偏光板30の各構成は、互いに離間して配置されてもよいし、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して貼り合わせられてもよい。
【0017】
B-2-1.第1の反射型偏光子
第1の反射型偏光子は、特定の偏光状態(偏光方向)の偏光を透過し、それ以外の偏光状態の光を反射する機能を有する。第1の反射型偏光子は、直線偏光分離型であってもよく、円偏光分離型であってもよい。第1の反射型偏光子が直線偏光分離型である場合、第1の反射型偏光子から直線偏光が出射され、第1の反射型偏光子が円偏光分離型である場合、第1の反射型偏光子から円偏光が出射される。
【0018】
B-2-1-1.直線偏光分離型の反射型偏光子
図4は、直線偏光分離型の反射型偏光子の一例の概略斜視図である。反射型偏光子は、複屈折性を有する層Aと複屈折性を実質的に有さない層Bとが交互に積層された多層積層体である。例えば、このような多層積層体の層の総数は、50~1000であり得る。図示例では、A層のx軸方向の屈折率nxがy軸方向の屈折率nyより大きく、B層のx軸方向の屈折率nxとy軸方向の屈折率nyとは実質的に同一である。したがって、A層とB層との屈折率差は、x軸方向において大きく、y軸方向においては実質的にゼロである。その結果、x軸方向が反射軸となり、y軸方向が透過軸となる。A層とB層とのx軸方向における屈折率差は、好ましくは0.2~0.3である。なお、x軸方向は、後述する製造方法における反射型偏光子の延伸方向に対応する。
【0019】
上記A層は、好ましくは、延伸により複屈折性を発現する材料で構成される。このような材料の代表例としては、ナフタレンジカルボン酸ポリエステル(例えば、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネートおよびアクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート)が挙げられる。ポリエチレンナフタレートが好ましい。上記B層は、好ましくは、延伸しても複屈折性を実質的に発現しない材料で構成される。このような材料の代表例としては、ナフタレンジカルボン酸とテレフタル酸とのコポリエステルが挙げられる。
【0020】
反射型偏光子は、A層とB層との界面において、第1の偏光方向を有する光(例えば、p波)を透過し、第1の偏光方向とは直交する第2の偏光方向を有する光(例えば、s波)を反射する。反射した光は、A層とB層との界面において、一部が第1の偏光方向を有する光として透過し、一部が第2の偏光方向を有する光として反射する。反射型偏光子の内部において、このような反射および透過が多数繰り返されることにより、光の利用効率を高めることができる。
【0021】
1つの実施形態においては、反射型偏光子は、
図4に示すように、偏光板10と反対側の最外層として反射層Rを含んでいてもよい。反射層Rを設けることにより、最終的に利用されずに反射型偏光子の最外部に戻ってきた光をさらに利用することができるので、光の利用効率をさらに高めることができる。反射層Rは、代表的には、ポリエステル樹脂層の多層構造により反射機能を発現する。
【0022】
反射型偏光子の全体厚みは、目的、反射型偏光子に含まれる層の合計数等に応じて適切に設定され得る。反射型偏光子の全体厚みは、好ましくは10μm~150μmである。
【0023】
反射型偏光子は、代表的には、共押出と横延伸とを組み合わせて作製され得る。共押出は、任意の適切な方式で行われ得る。例えば、フィードブロック方式であってもよく、マルチマニホールド方式であってもよい。例えば、フィードブロック中でA層を構成する材料とB層を構成する材料とを押出し、次いで、マルチプライヤーを用いて多層化する。なお、このような多層化装置は当業者に公知である。次いで、得られた長尺状の多層積層体を代表的には搬送方向に直交する方向(TD)に延伸する。A層を構成する材料(例えば、ポリエチレンナフタレート)は、当該横延伸により延伸方向においてのみ屈折率が増大し、結果として複屈折性を発現する。B層を構成する材料(例えば、ナフタレンジカルボン酸とテレフタル酸とのコポリエステル)は、当該横延伸によってもいずれの方向にも屈折率は増大しない。結果として、延伸方向(TD)に反射軸を有し、搬送方向(MD)に透過軸を有する反射型偏光子が得られ得る(TDが
図4のx軸方向に対応し、MDがy軸方向に対応する)。なお、延伸操作は、任意の適切な装置を用いて行われ得る。
【0024】
反射型偏光子としては、例えば、特表平9-507308号公報に記載のものが使用され得る。
【0025】
反射型偏光子は、市販品をそのまま用いてもよく、市販品を2次加工(例えば、延伸)して用いてもよい。市販品としては、例えば、日東電工株式会社製の商品名APCF、3M社製の商品名DBEF、3M社製の商品名APFが挙げられる。
【0026】
B-2-1-2.円偏光分離型の反射型偏光子
円偏光分離型の反射型偏光子は、例えば、コレステリック液晶フィルムから構成される。上記コレステリック液晶フィルムは、コレステリック液晶ポリマーの配向層を含み、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を有する。コレステリック液晶ポリマーの配向層は、光学活性基含有モノマー由来の構成単位を有するコレステリック液晶ポリマーにより形成することができる。コレステリック液晶フィルムの厚みは、好ましくは1μm~30μmであり、より好ましくは2μm~15μmである。なお、コレステリック液晶フィルムには上記液晶ポリマー以外のポリマーや安定剤、可塑剤などの無機化合物、有機化合物、金属やその化合物などの1種以上の添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0027】
上記円偏光分離型の反射型偏光子は、複数枚のコレステリック液晶フィルムを備え得る。好ましくは、反射波長が異なる複数枚コレステリック液晶フィルムが用いられる。このような構成とすることにより、広い波長範囲の透過円偏光が得られ得る円偏光分離型の反射型偏光子を形成することができる。
【0028】
B-2-2.第1のλ/4板
第1のλ/4板の厚みは、好ましくは1μm~200μmであり、より好ましくは1μm~100μmである。第1のλ/4板32は、好ましくは屈折率特性がnx>ny≧nzの関係を示す。なお、ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。
【0029】
第1のλ/4板の面内位相差Re(550)は、好ましくは60nm~200nmであり、より好ましくは80nm~140nmである。第1の反射型偏光子31から出射され第1のλ/4板32に入射する直線偏光は、第1のλ/4板32によって円偏光に変換されて信号受信部側に出射される。
【0030】
第1のλ/4板の複屈折Δnxyは、例えば0.0025~0.0060であり、好ましくは0.0028~0.0050である。複屈折をこのような範囲に最適化することにより、薄く、かつ、所望の光学特性を有する第1のλ/4板が得られ得る。第1のλ/4板のNz係数は、好ましくは0.9~3、より好ましくは0.9~1.3である。
【0031】
第1のλ/4板は、光弾性係数の絶対値が好ましくは2×10-11m2/N以下、より好ましくは2.0×10-13m2/N~1.6×10-11m2/Nの樹脂を含む。光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、加熱時の収縮応力が発生した場合に位相差変化が生じにくい。
【0032】
1つの実施形態においては、第1のλ/4板は、上記の特性を満足し得る任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。そのような樹脂の代表例としては、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。上記ポリカーボネート樹脂としては、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切なポリカーボネート樹脂を用いることができる。好適に用いられ得るポリカーボネート樹脂の詳細は、例えば、特開2014-10291号公報、特開2014-26266号公報に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
【0033】
別の実施形態においては、第1のλ/4板は、液晶化合物の配向固化層であり得る。液晶化合物を用いることにより、得られる第1のλ/4板のnxとnyとの差を非液晶材料に比べて格段に大きくすることができるので、所望の面内位相差を得るための第1のλ/4板の厚みを格段に小さくすることができる。代表的には、棒状の液晶化合物が第1のλ/4板の遅相軸方向に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。上記液晶化合物の具体例および配向固化層の形成方法の詳細は、特開2006-163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。別の実施形態においては、代表的には、円盤状の液晶化合物が、垂直配向、ハイブリッド配向及び傾斜配向のいずれかの状態で配向している。上記液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号や特開2010-244038号に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
【0034】
B-2-3.光拡散層
光拡散層は、代表的には光拡散素子で構成される。光拡散素子は、マトリクスと当該マトリクス中に分散した光拡散性微粒子とを含む。
【0035】
光拡散層の光拡散性能は、例えば、ヘイズ値および/または光拡散半値角で表すことができる。光拡散層のヘイズ値は、好ましくは10%~99%であり、より好ましくは20%~95%である。ヘイズ値を上記範囲にすることで、所望の拡散性能が得られ、信号受信部10からの光の出射方向を拡大することができ、その結果、通信安定性の向上に寄与する。光拡散層の光拡散半値角は、好ましくは5°~50°であり、より好ましくは10°~30°である。光拡散層の光拡散性能は、マトリクスの構成材料、ならびに、光拡散性微粒子の構成材料、体積平均粒子径および配合量等を調整することにより制御することができる。
【0036】
光拡散層の全光線透過率は、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
【0037】
光拡散層の厚みは、構成および拡散性能等に応じて適切に調整することができる。光拡散層の厚みは、好ましくは5μm~200μmである。
【0038】
マトリクスは、例えば電離線硬化型樹脂で構成される。電離線としては、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線が挙げられる。好ましくは紫外線であり、したがって、マトリクスは、好ましくは紫外線硬化型樹脂で構成される。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、脂肪族系(例えば、ポリオレフィン)樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。
【0039】
光拡散性微粒子としては、任意の適切なものを用いることができる。光拡散性微粒子の詳細は、例えば特開2014-224964号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0040】
B-3.反射板
反射板は、代表的には、発光素子の反射型偏光子とは反対側に設けられる。これにより、発光素子から後方(反射偏光子とは反対側)に出射された光は、反射板によって前方に反射され得る。さらに、反射型偏光子によって後方(発光素子側)に反射された偏光は、偏光状態を変換されるとともに前方に反射され得る。その結果、発光素子の出射光の利用効率を高めることができる。
【0041】
反射板の反射率は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは80%以上である。これにより、発光素子の出射光の利用効率をより一層高めることができる。
【0042】
反射板は、反射機能を有する限り任意の材料で構成され得る。反射板は、鏡面反射板(ミラー)であってもよく、拡散反射板(白色板)であってもよい。鏡面反射板としては、例えば、反射率の高い金属であるアルミニウム、銀、ステンレス鋼などの金属シートまたは金属箔、並びに、基材と上記金属シートまたは上記金属箔との積層体を用いることができる。拡散反射板としては、例えば、入射光を拡散反射するための微細な凹凸が表面に形成された樹脂フィルム、基材にアルミニウム等を蒸着した蒸着シート、または基材と多数の反射ビーズが混入されてなる拡散層との積層体を用いることができる。
【0043】
C.信号受信部
信号受信部20は、受光素子21と偏光板40とを有する。受光素子21は、発光素子11が出射する光を、偏光板30および偏光板40を介して受光する。
【0044】
C-1.受光素子
受光素子は、信号送信部から出射される光を検出し得る任意の適切な素子で構成される。受光素子は、代表的にはフォトダイオードである。受光素子は、発光素子が出射する光の波長に感度を有し、代表的には可視光または赤外光に対して感度を有する。受光素子は、受光した光に対応した電気信号を生成して演算回路(図示せず)に供給する。これにより、信号受信部は、信号送信部の制御回路において生成された電気信号に対応する信号を受信し得る。
【0045】
C-2.第2の偏光板
上記のとおり、偏光板40は、代表的には吸収型偏光子41を有する。偏光板40は、吸収型偏光子41の片側に配置された保護層と、吸収型偏光子41のもう一方の側に配置された保護層とを有し得る。偏光板40は、好ましくは、吸収型偏光子41に代えて、第2の反射型偏光子42を有する。偏光板40は、好ましくは、吸収型偏光子41(第2の反射型偏光子42)の受光素子21とは反対側に第2のλ/4板を有する。第2のλ/4板は、代表的には遅相軸を有する。吸収型偏光子41の吸収軸(第2の反射型偏光子42の反射軸)と第2のλ/4板の遅相軸とのなす角度は、好ましくは38°~52°であり、より好ましくは42°~48°であり、最も好ましくは約45°である。これにより、第2のλ/4板に入射する円偏光が直線偏光に変換され、上記直線偏光の大部分が吸収型偏光子41(第2の反射型偏光子42)を透過し得る。吸収型偏光子41(第2の反射型偏光子42)と第2のλ/4板は、互いに離間して配置されてもよいし、任意の適切な接着層(例えば、接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して貼り合わせられてもよい。
【0046】
C-2-1.吸収型偏光子
上記吸収型偏光子としては、目的に応じて任意の適切な吸収型偏光子が採用され得る。例えば、吸収型偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0047】
単層の樹脂フィルムから構成される吸収型偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた吸収型偏光子が用いられる。
【0048】
積層体を用いて得られる吸収型偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる吸収型偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる吸収型偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を吸収型偏光子とすること;により作製され得る。このような吸収型偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0049】
吸収型偏光子の厚みは、代表的には1μm~80μmである。吸収型偏光子の厚みの上限は、好ましくは50μmであり、特に好ましくは12μmである。吸収型偏光子の厚みの下限は、好ましくは5μmである。吸収型偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。
【0050】
吸収型偏光子の波長589nmの透過率(単体透過率ともいう)は、好ましくは41%以上であり、より好ましくは42%以上である。なお、単体透過率の理論的な上限は50%である。また、偏光度は、好ましくは99.5%~100%であり、更に好ましくは99.9%~100%である。
【0051】
C-2-2.第2のλ/4板
上記のとおり、吸収型偏光子41の吸収軸と第2のλ/4板43の遅相軸とのなす角度は、好ましくは38°~52°であり、より好ましくは42°~48°であり、最も好ましくは約45°である。偏光板40が吸収型偏光子41に代えて第2の反射型偏光子42を有する場合、第2の反射型偏光子42の反射軸と第2のλ/4板43の遅相軸とのなす角度は、好ましくは38°~52°であり、より好ましくは42°~48°であり、最も好ましくは約45°である。第2のλ/4板43の構成、機能等は、第1のλ/4板32に関してB-2-2項で説明したとおりである。
【0052】
C-2-3.第2の反射型偏光子
第2の反射型偏光子42の構成、機能等は、第1の反射型偏光子31に関してB-2-1項で説明したとおりである。
【0053】
D.偏光板のセット
本発明の偏光板は、光通信装置の信号送信部と信号受信部とに配置される偏光板として用いられ得る。この場合、信号送信部の偏光板と信号受信部の偏光板とを含む偏光板のセットが提供され得る。
【実施例】
【0054】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0055】
実施例および比較例の第1および第2の偏光板を構成する各部材を、以下のとおり準備した。
(1)光拡散層
光拡散層として、光拡散シートを用いた。
(2)直線偏光分離型の反射型偏光子
反射型偏光子として、直線偏光分離型の反射型偏光子(3M社製、製品名「DBEF」)を用いた。説明の便宜上、以下では、第1の偏光板の反射型偏光子を「反射型偏光子A」と称し、第2の偏光板の反射型偏光子を「反射型偏光子B」と称する場合がある。
(3)吸収型偏光子
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍となるまで延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行い、吸収型偏光子を得た。当該吸収型偏光子の両面に、けん化処理した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて保護層付き吸収型偏光子を作製した。
(4)λ/4板
λ/4板として、シクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製、「ゼオノア ZF-14フィルム」)を、テンター延伸機を用いて延伸角度45°で斜め延伸することにより得られたλ/4板を用いた。説明の便宜上、以下では、第1の偏光板のλ/4板を「λ/4板A」と称し、第2の偏光板のλ/4板を「λ/4板B」と称する場合がある。
(5)反射板
反射板として、反射率が80%の反射板A、反射率が60%の反射板B、反射率が40%の反射板C、または反射率が20%の反射板Dを用いた。
【0056】
<実施例1>
1.第1の偏光板
反射型偏光子Aの反射軸とλ/4板Aの遅相軸とのなす角度が45°となるようにして、光拡散シートと、反射型偏光子Aと、λ/4板Aとを粘着剤を介してこの順に積層することにより、第1の偏光板を得た。
2.第2の偏光板
第2の偏光板として、反射型偏光子Bを用いた。
3.光通信装置の作製
光通信装置の信号送信部の偏光板と信号受信部の偏光板とを除去し、発光素子の背面側に反射板Bを取り付け、光拡散シートが発光素子側となるように信号送信部に第1の偏光板を取り付け、反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とが平行となるように信号受信部に第2の偏光板を取り付けることにより、本実施例の光通信装置を作製した。
【0057】
<実施例2>
反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とのなす角度が45°となるように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例1と同様にして光通信装置を作製した。
【0058】
<実施例3>
反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とが直交するように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例1と同様にして光通信装置を作製した。
【0059】
<実施例4>
1.第2の偏光板の作製
反射型偏光子Bの反射軸とλ/4板Bの遅相軸とのなす角度が45°となるようにして、反射型偏光子Bとλ/4板Bとを粘着剤を介して積層することにより、第2の偏光板を得た。
2.光通信装置の作製
反射型偏光子Bが受光素子側となるように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例1と同様にして光通信装置を作製した。
【0060】
<実施例5>
反射板として反射板Aを用いたこと以外は実施例4と同様にして光通信装置を作製した。
【0061】
<実施例6>
反射板として反射板Cを用いたこと以外は実施例4と同様にして光通信装置を作製した。
【0062】
<実施例7>
反射板として反射板Dを用いたこと以外は実施例4と同様にして光通信装置を作製した。
【0063】
<実施例8>
反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とのなす角度が45°となるように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例4と同様にして光通信装置を作製した。
【0064】
<実施例9>
反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とが直交するように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例4と同様にして光通信装置を作製した。
【0065】
<実施例10>
1.第2の偏光板の作製
吸収型偏光子の吸収軸とλ/4板Bの遅相軸とのなす角度が45°となるようにして、保護層付き吸収型偏光子とλ/4板Bとを粘着剤を介して積層することにより、第2の偏光板を得た。
2.光通信装置の作製
保護層付き吸収型偏光子が受光素子側となるように、かつ、反射型偏光子Aの透過軸と吸収型偏光子の透過軸とが平行となるように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例4と同様にして光通信装置を作製した。
【0066】
<実施例11>
反射型偏光子Aの透過軸と吸収型偏光子の透過軸とのなす角度が45°となるように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例10と同様にして光通信装置を作製した。
【0067】
<実施例12>
反射型偏光子Aの透過軸と吸収型偏光子の透過軸とが直交するように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例10と同様にして光通信装置を作製した。
【0068】
<実施例13>
1.第1の偏光板の作製
光拡散シートと反射型偏光子Aとを粘着剤を介して積層することにより、第1の偏光板を得た。
2.光通信装置の作製
上記第1の偏光板を用いたこと以外は実施例1と同様にして光通信装置を作製した。
【0069】
<実施例14>
反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とのなす角度が45°となるように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例13と同様にして光通信装置を作製した。
【0070】
<実施例15>
1.第2の偏光板の作製
反射型偏光子Bの反射軸とλ/4板Bの遅相軸とのなす角度が45°となるようにして、反射型偏光子Bとλ/4板Bとを粘着剤を介して積層することにより、第2の偏光板を得た。
2.光通信装置の作製
上記第2の偏光板を用いたこと以外は実施例13と同様にして光通信装置を作製した。
【0071】
<実施例16>
反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とのなす角度が45°となるように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例15と同様にして光通信装置を作製した。
【0072】
<実施例17>
反射型偏光子Aの透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とが直交するように信号受信部に上記第2の偏光板を取り付けたこと以外は実施例15と同様にして光通信装置を作製した。
【0073】
<比較例1>
第1の偏光板および第2の偏光板を用いず、信号送信部に光拡散シートのみを取り付けたこと以外は実施例1と同様にして光通信装置を作製した。
【0074】
<比較例2>
第1の偏光板を用い、第2の偏光板を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして光通信装置を作製した。
【0075】
<比較例3>
第1の偏光板を用い、第2の偏光板を用いなかったこと以外は実施例13と同様にして光通信装置を作製した。
【0076】
<比較例4>
1.第1の偏光板
光拡散シートと保護層付き吸収型偏光子とを粘着剤を介して積層することにより、第1の偏光板を得た。
2.光通信装置の作製
上記第1の偏光板を用い、第2の偏光板を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして光通信装置を作製した。
【0077】
<比較例5>
第2の偏光板として反射型偏光子Bを用い、吸収型偏光子の透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とが平行となるように信号受信部に第2の偏光板を取り付けたこと以外は比較例4と同様にして光通信装置を作製した。
【0078】
<比較例6>
吸収型偏光子の透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とのなす角度が45°となるように信号受信部に第2の偏光板を取り付けたこと以外は比較例5と同様にして光通信装置を作製した。
【0079】
<比較例7>
吸収型偏光子の透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とが直交するように信号受信部に第2の偏光板を取り付けたこと以外は比較例5と同様にして光通信装置を作製した。
【0080】
<比較例8>
1.第2の偏光板の作製
反射型偏光子Bの反射軸とλ/4板Bの遅相軸とのなす角度が45°となるようにして、反射型偏光子Bとλ/4板Bとを粘着剤を介して積層することにより、第2の偏光板を得た。
2.光通信装置の作製
上記第2の偏光板を用いたこと以外は比較例5と同様にして光通信装置を作製した。
【0081】
<比較例9>
吸収型偏光子の透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とのなす角度が45°となるように信号受信部に反射型偏光子Bを取り付けたこと以外は比較例8と同様にして光通信装置を作製した。
【0082】
<比較例10>
吸収型偏光子の透過軸と反射型偏光子Bの透過軸とが直交するように信号受信部に反射型偏光子Bを取り付けたこと以外は比較例8と同様にして光通信装置を作製した。
【0083】
各実施例および比較例の光通信装置、並びに第1および第2の偏光板を、以下の通り評価した。
(1)光通信装置の通信安定性の評価
各実施例および各比較例の光通信装置の信号送信部と信号受信部とを、発光素子と受光素子との間の距離が2mとなるように対向配置した。信号受信部の光入射面(第2の偏光板)に対して20cm離れた位置から45°の入射角で光を照射するようにスポット光源(林時計工業株式会社製、製品名「LA-HDF108AS」)を配置した。上記の配置において、信号送信部から信号受信部へ信号を伝送しながら、上記スポット光源を用いて信号受信部に353200cd/m
2の光を照射した。以下の基準で各実施例および各比較例の光通信装置の通信安定性を評価した。結果を表1に示す。
スポット光源からの光照射によって信号送信部から信号受信部への信号伝送が途切れなかった・・・通信安定性は高い(○)
スポット光源からの光照射によって信号送信部から信号受信部への信号伝送が途切れた・・・通信安定性は低い(×)
(2)第1および第2の偏光板を透過する光の輝度
各実施例および各比較例の光通信装置で用いた第1および第2の偏光板を互いに1cmの間隔を空けて対向配置した。第1の偏光板の第2の偏光板とは反対側にLED光源を配置し、LED光源の輝度Lを、対向配置した上記第1および第2の偏光板を介して輝度計(コニカミノルタ株式会社製、製品名「LS-110」)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【表1】
【0084】
表1から明らかなように、信号送信部側の第1の偏光板が反射型偏光子を有する光通信装置は、通信安定性が高い。また、実施例4~7から明らかなように、反射板の反射率が高いほど、第1および第2の偏光板を透過する光量が高い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の光通信装置は、光無線通信機能を搭載した電子機器に好適に用いられ得る。本発明の光通信装置は、具体的には、携帯情報端末(PDA),携帯電話,デジタルカメラ,携帯ゲーム機などの携帯機器、パソコンモニター,ノートパソコン,コピー機などのOA機器、ビデオカメラ,液晶テレビ,電子レンジなどの家庭用電気機器、商業店舗用インフォメーション用モニターなどの各種用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
10 信号送信部
11 発光素子
20 信号受信部
21 受光素子
30 第1の偏光板
31 第1の反射型偏光子
32 第1のλ/4板
40 第2の偏光板
41 吸収型偏光子
42 第2の反射型偏光子
43 第2のλ/4板
100 光通信装置