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特許7027038改良された圧密および変形抵抗性を有するジオセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】改良された圧密および変形抵抗性を有するジオセル
(51)【国際特許分類】
   E01C 3/00 20060101AFI20220221BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
E01C3/00
E02D17/20 103
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2016569112
(86)(22)【出願日】2015-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-02-23
(86)【国際出願番号】 IB2015001410
(87)【国際公開番号】W WO2015170185
(87)【国際公開日】2015-11-12
【審査請求日】2018-01-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】61/939,198
(32)【優先日】2014-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316020457
【氏名又は名称】ジオテック テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ハラーミ, イズハル
(72)【発明者】
【氏名】エリーズ, オデッド
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】土屋 真理子
【審判官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0080659(US,A1)
【文献】特表2012-508125(JP,A)
【文献】特開平9-228301(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128107(JP,U)
【文献】特開2010-168888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0217117(US,A1)
【文献】米国特許第6296924(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0142542(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0217498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C1/00-1700,E02D17/18-17/20,E02D29/02,B32B3/06,B32B3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポリマー細長片から形成されるジオセルであって、隣接する細長片は、前記細長片の面と垂直な方向に伸張されるときに、複数のセル壁を有する複数のセルを形成するように、継目に沿ってともに結合され、各セル壁は、ポリマー細長片の、第1の継目から第2の継目まで延在する部分であるセル細長片であり、各セル壁は、複数の穿孔を有し、
前記ジオセルから取得されるセル細長片であって、前記セル細長片の長さが、前記セル壁の前記第1の継目と前記第2の継目との間の距離である、前記セル細長片が、23℃±3℃の周囲温度で90分にわたって前記セル細長片の前記長さに沿って印加される6.1kN/メートルの負荷に応答して変形するとき、前記セル細長片の前記長さによって前記セル細長片の全変形を除算することによって取得される前記セル細長片の変形の割合が、最大でも3.5%であり、
前記ポリマー細長片は、1.0ミリメートル~1.4ミリメートルの細長片壁厚を有し、
前記ポリマー細長片は、高密度ポリエチレンおよびポリアミドの混合物から作製されている、ジオセル。
【請求項2】
前記セル細長片の変形の割合は、最大でも3.0%である、請求項1に記載のジオセル。
【請求項3】
前記セル細長片の変形の割合は、最大でも2.5%である、請求項1に記載のジオセル。
【請求項4】
複数のポリマー細長片から形成されるジオセルであって、隣接する細長片は、前記細長片の面と垂直な方向に伸張されるときに、複数のセル壁を有する複数のセルを形成するように、継目に沿ってともに結合され、各セル壁は、ポリマー細長片の、第1の継目から第2の継目まで延在する部分であるセル細長片であり、各セル壁は、複数の穿孔を有し、
前記ジオセルから取得されるセル細長片であって、前記セル細長片の長さが、前記セル壁の前記第1の継目と前記第2の継目との間の距離である、前記セル細長片が、44℃、51℃、および58℃の3つの加熱された温度で167分の3つの期間にわたって前記セル細長片の前記長さに沿って印加される6.1kN/メートルの負荷に応答して変形するとき、前記セル細長片の変形は、各加熱された温度で測定され、前記セル細長片の前記長さによって前記セル細長片の全変形を除算することによって取得される前記セル細長片の変形の割合が、最大でも3.0%であり、
前記ポリマー細長片は、1.0ミリメートル~1.4ミリメートルの細長片壁厚を有し、
前記ポリマー細長片は、高密度ポリエチレンおよびポリアミドの混合物から作製されている、ジオセル。
【請求項5】
前記セル細長片の変形の割合は、最大でも2.5%である、請求項4に記載のジオセル。
【請求項6】
前記セル細長片は、セル高さに等しい幅を有し、
前記セル細長片の変形を測定するために、前記セル細長片が、上クランプと下クランプとの間で圧着され、前記上クランプは、静的であり、フレームに取り付けられ、前記下クランプは、自由であり、重量で荷重されることができ、前記クランプは、温度調整を可能にするチャンバ内に位置し、
前記6.1kN/メートルの負荷が、23℃±3℃の周囲温度で90分にわたって前記セル細長片の前記長さに沿って前記下クランプに印加され、
前記チャンバが、44℃まで加熱され、前記セル細長片が均一な温度に達することを可能にするように15分間待機し、
前記6.1kN/メートルの負荷が、44℃で167分にわたって前記セル細長片の前記長さに沿って前記下クランプに印加され、
前記セル細長片の変形が、44℃において測定され、
前記チャンバが、51℃まで加熱され、前記セル細長片が均一な温度に達することを可能にするように15分間待機し、
前記6.1kN/メートルの負荷が、51℃で167分にわたって前記セル細長片の前記長さに沿って前記下クランプに印加され、
前記セル細長片の変形が、51℃において測定され、
前記チャンバが、58℃まで加熱され、前記セル細長片が均一な温度に達することを可能にするように15分間待機し、
前記6.1kN/メートルの負荷が、58℃で167分にわたって前記セル細長片の前記長さに沿って前記下クランプに印加され、
前記セル細長片の変形が、58℃において測定され、
前記セル細長片の全変形が、前記上クランプと下クランプとの間の元の距離で除算される、
請求項4に記載のジオセル。
【請求項7】
前記6.1kN/メートルの負荷は、前記チャンバが44℃まで加熱されるとき、前記チャンバが51℃まで加熱されるとき、および前記チャンバが58℃まで加熱されるときに、前記下クランプから除去される、請求項6に記載のジオセル。
【請求項8】
前記6.1kN/メートルの負荷は、前記チャンバが44℃まで加熱されるとき、前記チャンバが51℃まで加熱されるとき、または前記チャンバが58℃まで加熱されるときに、前記下クランプから除去されない、請求項6に記載のジオセル。
【請求項9】
前記セル細長片の長さによって除算された前記セル細長片の全変形は、58℃における前記セル細長片の前記変形を測定した後に取得される値である、請求項6に記載のジオセル。
【請求項10】
前記セル細長片の長さによって除算された前記セル細長片の全変形は、デフクレクトメータを使用して測定され、
前記デフクレクトメータは、44℃で167分にわたって6.1kN/メートルの前記負荷を印加する前に、ゼロにリセットされ、
前記デフクレクトメータは、51℃で167分にわたって6.1kN/メートルの前記負荷を印加する前に、ゼロにリセットされ、
前記デフクレクトメータは、58℃で167分にわたって6.1kN/メートルの前記負荷を印加する前に、ゼロにリセットされ、
全変形は、44℃、51℃、および58℃における前記細長片の前記変形を合計することによって取得される、
請求項6に記載のジオセル。
【請求項11】
前記ジオセルは、約50ミリメートル~約200ミリメートルのジオセル高さを有する、請求項1に記載のジオセル。
【請求項12】
前記ジオセルは、約200ミリメートル~約600ミリメートルのジオセルサイズを有する、請求項1に記載のジオセル。
【請求項13】
前記継目間の距離は、約200mm~約600mmである、請求項1に記載のジオセル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2014年2月12日に出願された米国仮特許出願番号第61/939,198号に基づく優先権を主張している。この仮特許出願は、本明細書中に参考として全体が援用される。
【0002】
(背景)
本開示は、改良された圧密および変形抵抗性を有する、ジオセルに言及する。
【0003】
輸送工学では、いくつかの層が、舗装の工事で認知される。これらの層は、路床層と、路盤層と、基層と、舗装板または表面層とを含む。路床層は、天然材料であり、舗装のための基盤の役割を果たす。通常、地表面上の土壌およびもろい材料は、路床層を露出させるために、掘って取り除かれるか、または別様に除去される。路盤層は、路床を覆って敷かれ、耐荷重層の役割を果たす。路盤層は、路床層にわたって均等に負荷を拡散し、また、水平面を形成するために使用されることもできる。基層は、路盤層を覆って敷かれ、負荷を担持するために使用される。舗装の所望の用途に応じて、別の層が基層を覆って配置されることができ、本層は、舗装板基層としても公知であり得る。次いで、舗装板または表面層は、この上に配置され、舗装の表面上の露出層となる。表面層は、例えば、アスファルト(例えば、道路もしくは駐車場)またはコンクリート(例えば、歩道)であり得る。
【0004】
舗装道路および鉄道は、それらの基礎および/または路盤における塑性変化に非常に敏感である。これらの2つの層における1~3パーセントの歪みは、アスファルト表面層(道路)の亀裂を引き起こし得、かつレール(鉄道)の歪曲を引き起こし得る。
【0005】
ジオセルは、傾斜上の浸食制御および土壌安定化で長年使用されてきた。ジオセルは、その浸食を減速させるが、その弾性率を増加させない、充填材用の「コンテナ」の役割を果たす。ジオセルは、ある時は、大部分が砂を用いた一時的舗装に使用されるが、そのような一時的舗装の設計寿命は、長くても数ヶ月に限定される。
【0006】
鉄道、コンクリート表面、およびアスファルト骨材表面道路等の長持ちする舗装は、通常、表面層の降伏により破損し、亀裂および轍掘れにつながる。表面層降伏の主な原因は、基礎および/または路盤の不良な強度、不良な剛性、ならびに/もしくは不良な長期安定性である。これは、表面層の底部における変形を引き起こす。
【0007】
典型的には、表面層破損は、基礎または路盤のいずれかにおける2~4%の範囲内の変形で始まる。従来技術のジオセルは、基礎または路盤を安定させるために使用されているが、交通量の少ない状況でさえも、本要件を満たすことができていない。
【0008】
塑性(非復元可能、非弾性)変形をコンクリートまたはアスファルトベースの表面層もしくは鉄道の安定性を保証するレベルに限定しながら、設置中に、後に補修中に、十分な閉じ込めを充填材に提供することが可能なジオセルの必要性がある。そのようなジオセルは、設置中に充填するために十分な剛性を発生させ、多くの車両通路のためにそれらの寸法安定性を保持することができる必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(簡単な説明)
本開示は、道路基礎または鉄道基礎用の充填材を補強して閉じ込めるために好適である、ジオセルに関する。一般的に言えば、ジオセルは、ジオセルが充填材で充填され、圧密を被るとき、設置中に一過性の負荷を受ける。ジオセルはまた、車両がその上に負荷を印加するとき、使用(service)中に一定の反復負荷も受ける。本開示のジオセルは、設置中および/または使用中に、変形に抵抗する。本性質は、本明細書で説明されるように試験されることができる。
【0010】
概して、本開示のジオセルは、設置中に最大でも3.5%の変形しか被らない。視覚的に点検されるとき、いかなる局所応力集中または塑性降伏も可視的ではない。
【0011】
一般に、本開示のジオセルは、使用中に最大でも3%の変形しか被らない。再度、視覚的に点検されるとき、いかなる局所応力集中または塑性降伏も可視的ではない。
【0012】
本開示のこれらおよび他の非限定的側面は、以下でさらに詳細に説明される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
複数のポリマー細長片から形成されるジオセルであって、隣接する細長片は、前記細長片の面と垂直な方向に伸張されるときに、セル壁を有する複数のセルを形成するように、継目に沿ってともに結合され、
前記ジオセルのセル細長片は、最大でも3.5%の設置歪みによって特徴付けられる、ジオセル。
(項目2)
前記ジオセルの前記セル細長片は、最大でも3.0%の設置歪みによって特徴付けられる、項目1に記載のジオセル。
(項目3)
前記ジオセルの前記セル細長片は、最大でも2.5%の設置歪みによって特徴付けられる、項目1に記載のジオセル。
(項目4)
複数のポリマー細長片から形成されるジオセルであって、隣接する細長片は、前記細長片の面と垂直な方向に伸張されるときに、セル壁を有する複数のセルを形成するように、継目に沿ってともに結合され、
前記ジオセルのセル細長片は、最大でも3.0%の使用歪みを有する、ジオセル。
(項目5)
前記ジオセルの前記セル細長片は、最大でも2.5%の使用歪みを有する、項目4に記載のジオセル。
(項目6)
前記使用歪みは、以下の手順:
セル細長片長が、前記継目の間の距離であり、セル細長片幅が、セル高さに等しい、セル壁の一方の継目から前記セル壁の他方の継目まで切断される、前記セル細長片を取得するステップと、
上クランプと下クランプとの間で前記セル細長片を圧着するステップであって、前記上クランプは、静的であり、フレームに取り付けられ、前記下クランプは、自由であり、重量で荷重されることができ、前記クランプは、温度調整を可能にするチャンバ内に位置する、ステップと、
周囲温度で90分にわたって前記セル細長片の前記継目と垂直に6.1kN/メートルの負荷を前記下クランプに印加するステップと、
前記チャンバを44℃まで加熱し、前記セル細長片が均一な温度に達することを可能にするように15分間待機するステップと、
44℃で167分にわたって前記セル細長片の前記継目と垂直に6.1kN/メートルの前記負荷を前記下クランプに印加するステップと、
44℃における前記セル細長片の変形を測定するステップと、
前記チャンバを51℃まで加熱し、前記セル細長片が均一な温度に達することを可能にするように15分間待機するステップと、
51℃で167分にわたって前記セル細長片の前記継目と垂直に6.1kN/メートルの前記負荷を前記下クランプに印加するステップと、
51℃における前記セル細長片の変形を測定するステップと、
前記チャンバを58℃まで加熱し、前記セル細長片が均一な温度に達することを可能にするように15分間待機するステップと、
58℃で167分にわたって前記セル細長片の前記継目と垂直に6.1kN/メートルの前記負荷を前記下クランプに印加するステップと、
58℃における前記セル細長片の変形を測定するステップと、
前記使用歪みを取得するように、前記セル細長片の全変形を前記上クランプと下クランプとの間の元の距離で除算するステップと、
に従って測定される、
項目4に記載のジオセル。
(項目7)
6.1kN/メートルの前記負荷は、前記チャンバが44℃まで加熱されるとき、前記チャンバが51℃まで加熱されるとき、および前記チャンバが51℃まで加熱されるときに、前記下クランプから除去される、項目6に記載のジオセル。
(項目8)
6.1kN/メートルの前記負荷は、前記チャンバが44℃まで加熱されるとき、前記チャンバが51℃まで加熱されるとき、または前記チャンバが51℃まで加熱されるときに、前記下クランプから除去されない、項目6に記載のジオセル。
(項目9)
前記使用歪みは、58℃における前記セル細長片の前記変形を測定した後に取得される値である、項目6に記載のジオセル。
(項目10)
前記使用歪みは、デフクレクトメータを使用して測定され、
前記デフクレクトメータは、44℃で167分にわたって6.1kN/メートルの前記負荷を印加する前に、ゼロにリセットされ、
前記デフクレクトメータは、51℃で167分にわたって6.1kN/メートルの前記負荷を印加する前に、ゼロにリセットされ、
前記デフクレクトメータは、58℃で167分にわたって6.1kN/メートルの前記負荷を印加する前に、ゼロにリセットされ、
全変形は、44℃、51℃、および58℃における前記細長片の前記変形を合計することによって取得される、
項目6に記載のジオセル。

【図面の簡単な説明】
【0013】
以下は、本明細書で開示される例示的実施形態を図示する目的で提示され、それらに限定する目的ではない、図面の簡単な説明である。
【0014】
図1図1は、その拡張状態における本開示のジオセルの斜視図である。
【0015】
図2図2は、有孔ジオセルを作製するために使用される、本開示のポリマー細長片の拡大斜視図である。
【0016】
図3図3は、設置および圧着されたジオセルセル壁から切断された、2つの細長片を含む、試験チャンバの写真である。
【0017】
図4図4は、左(茶色)および中央(黒色)の細長片が従来技術であり、右の細長片(灰色)が本開示のものである、設置中に変形を試験するために荷重した後の3つの細長片を示す、写真である。
【0018】
図5図5は、右の細長片(黒色)が従来技術であり、右の細長片(灰色)が本開示のものである、使用中に変形を試験する中央に荷重した後の2つの細長片を示す、写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
本明細書に開示される構成要素、プロセス、および装置のより完全な理解は、添付図面を参照することによって得られることができる。これらの図は、便宜性および本開示を実証する容易性に基づく、概略図にすぎず、したがって、デバイスまたはその構成要素の相対的サイズおよび寸法を示すこと、そして/または例示的実施形態の範囲を画定もしくは限定することを意図していない。
【0020】
具体的用語が、明確にするために以下の説明で使用されるが、これらの用語は、図面で図示するために選択される実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を画定または限定することを意図していない。下記での図面および以下の説明では、類似の数字の指定が類似の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0021】
「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が明確に別様に決定付けない限り、複数の指示物を含む。
【0022】
本願の明細書および請求項内の数値は、同一の有効桁数まで削減されるときに同一である数値と、値を判定するように本願で説明されるタイプの従来の測定技法の実験誤差未満だけ記述された値と異なる数値とを含むと理解されるべきである。
【0023】
本明細書で開示される全ての範囲は、記載された終点を含み、独立して組み合わせ可能である(例えば、「2mm~10mm」の範囲は、終点2mmおよび10mm、ならびに全ての中間値を含む)。
【0024】
「約」および「実質的に」等の用語または複数の用語によって修飾される値は、規定される正確な値に限定されなくてもよい。「約」という修飾語句はまた、2つの終点の絶対値によって画定される範囲を開示すると見なされるべきである。例えば、「約2~約4」という表現はまた、「2~4」の範囲も開示する。「約」という用語は、指示された数のプラスまたはマイナス10%を指してもよい。
【0025】
(セル閉じ込めシステム(CCS)としても公知である)ジオセルは、土壌浸食防止、チャネルライニング、補強土壌保持壁の工事、および舗装の支持等の多くの地質工学的用途で有用である、3次元地質合成製品である。CCSは、非粘性土、砂、ローム、採石場廃棄物、砂利、バラスト、または任意の他のタイプの凝集体であり得る、充填材で充填される「ハニカム」構造に類似する、閉じ込めセルのアレイである。CCSは、土壌用の保持壁、土嚢壁または重力壁の代替物、ならびに鉄道、舗装および鉄道基盤等の、浸食を防止する、または側方支持を提供する土木工学用途で使用される。対照的に、ジオグリッドが、略平坦(すなわち、2次元)であり、平面補強として使用される一方で、CCSは、全ての壁に対して各セル内で作用する内力ベクトルを伴う3次元構造である。ジオセルおよびジオグリッドはまた、それらの垂直高さによって区別されることもできる。ジオセルが、少なくとも20mmの垂直高さを有する一方で、ジオグリッドは、約0.5mm~2mmの垂直高さを有する。
【0026】
図1は、その拡張状態におけるジオセルの斜視図である。ジオセル10は、複数のポリマー細長片14を備える。隣接する細長片は、離散物理的継目16に沿ってともに結合される。結合は、結合、縫製、または溶接によって行われてもよいが、概して、溶接によって行われる。2つの継目16の間の各細長片の部分は、個別セル20のセル壁18を形成する。各セル20は、2つの異なるポリマー細長片から作製されたセル壁を有する。細長片14は、拡張されたときに、ハニカムパターンが複数の細長片から形成されるように、ともに結合される。例えば、外側細長片22および内側細長片24は、細長片22および24の長さに沿って規則的に離間される、継目16においてともに結合される。一対の内側細長片24が、継目32に沿ってともに結合される。各継目32は、2つの継目16の間にある。結果として、複数の細長片14が、細長片の面と垂直な方向に伸張または拡張されるとき、細長片は、ジオセル10を形成するように正弦曲線様式で屈曲する。2つのポリマー細長片22、24の端部が交わるジオセルの縁において、端部溶接26(接合部とも見なされる)が、2つのポリマー細長片22、24を安定させる短い尾部30を形成するように、端部28から短い距離に作製される。本ジオセルはまた、特に、単一の区分によって実際に覆われることができるよりも広い面積にわたって他のジオセルと組み合わせられるときに、区分と称されてもよい。
【0027】
図2は、参考のために図示された継目16とともに、長さ40、高さ42、および幅44を示す、ポリマー細長片14の拡大斜視図である。長さ40、高さ42、および幅44は、示される方向に測定される。長さは、ジオセルがその折畳または圧縮状態であるときに測定される。圧縮状態では、各セル20が、容積を有さないと見なされ得る一方で、拡張状態は、概して、ジオセルがその最大可能容量まで拡張されたときを指し得る。実施形態では、ジオセル高さ43は、約50ミリメートル(mm)~約200mmである。(折り畳まれていない状態で継目の間の距離として測定される)ジオセルセルサイズは、約200mm~約600mmであり得る。
【0028】
ジオセルは、ポリエチレン(PE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、および/またはポリアミドもしくはポリエステルとのポリオレフィンの混合物から作製されることができる。「HDPE」という用語は、以降では、0.940g/cmを上回る密度によって特徴付けられるポリエチレンを指す。中密度ポリエチレン(MDPE)という用語は、0.925g/cm~0.940g/cmを上回る密度によって特徴付けられるポリエチレンを指す。直線状低密度ポリエチレン(LLDPE)という用語は、0.91~0.925g/cmの密度によって特徴付けられるポリエチレンを指す。細長片は、溶接された継目の間の距離が約200mm~約600mmである、オフセット様式でともに溶接される。
【0029】
ジオセルの通常の細長片壁厚は、1.0mm~1.7mmの範囲内のある変動を伴って、1.27ミリメートル(mm)である。セル壁は、穿孔図1および図2における50)および/またはエンボス加工されることができる。
【0030】
本ジオセルは、設置中にわずかな変形しか被らない。以下の手順を使用して、所与のジオセルが、設置中の変形について試験されることができる。第1に、セル細長片が、ジオセルから取得される。本セル細長片は、本質的に、図1を参照して、継目16から(継目32ではなく)継目16まで延在するセル壁である。本セル細長片の長さは、継目の間の距離であり、本セル細長片の幅は、セル高さ(図2の方向42)に等しい。セル細長片は、上クランプと下クランプとの間で圧着され、クランプは、セル細長片の長さがクランプの間に延在するように、継目に沿って配置される。上クランプは、静的であり、フレームに取り付けられる。対照的に、下クランプは、自由であり、揺動することができる。負荷が、下クランプに印加されることができ、試験中に、細長片を変形させるために使用される。次いで、6.1kN/メートルの負荷が、セル細長片の継目と垂直に下クランプに印加される。本負荷は、設置中の変形(設置歪みと称される)をシミュレーションするように、90分にわたって周囲温度(23℃±3℃)で印加される。90分が完了した後、全変形が測定される。変形の割合は、全変形を元のセル細長片長で除算することによって取得される。本開示のジオセルは、最大でも3.5%の設置歪みしか被らない。具体的実施形態では、向上した安定性が必要とされるとき、設置歪みは、最大でも3%である。セル細長片はまた、(視覚的に点検されるときに)局所塑性降伏の痕跡を含まないはずである。
【0031】
この点に関して、6.1KN/m負荷は、圧密段階中の(充填材が追加され、ジオセルの中で圧密されているときの)典型的基礎設計における応力から計算される。90分の時間は、充填材とジオセルとの間の安定した予測可能な相互作用(圧密プラス閉じ込め)を達成するために十分な典型的周期をシミュレーションしている。
【0032】
設置中のある変形は、通常、充填材の十分な閉じ込めを確実するために必要とされる。しかしながら、設置中の約3.5%を上回る変形は、2つの望ましくない現象、すなわち、(a)使用中の時期尚早なひび割れに対して有孔領域を敏感にする、該領域中のジオセルにおける不可逆的な塑性降伏、および(b)基礎または路盤剛性の低下、繰り返しの荷重に耐える能力の低下、ならびに下向きおよび水平への充填材の不要な流動につながる、不十分な充填材閉じ込めを引き起こす。従来技術のジオセルは、本設置ステップ中に、有意により高く、典型的には、6%またはそれを上回って変形する。さらに、重度の塑性降伏によって特徴付けられる、先行技術のジオセル内の高穿孔の領域は、後に、使用中に壊滅的に破損し得る。この点に関して、セル細長片が試験され、便宜性の目的で、セル細長片の性能がジオセルに帰因することも留意されたい。
【0033】
図3は、設置および圧着されたジオセルセルから切断された、2つの細長片を含む、試験チャンバの写真である。負荷が、下クランプから下向きに延在するアームに印加される。正確なデフクレクトメータが、その計測先端が負荷から延在するプレートに触れている状態でチャンバフレームに搭載される。変形は、負荷試験下の変形中に、特定のタイムスロットにおいてデフクレクトメータゲージ上で読み取られることができる。
【0034】
図4は、設置中の変形について試験されている、3つの異なるセル細長片の写真である。左の細長片および中央の細長片は、先行技術の細長片である。左の細長片は、1.5mmの厚さを有し、HDPEで作製されている。中央の細長片は、1.6mmの厚さを有し、同様にHDPEで作製されている。変形は、視覚的に明白であり、穿孔は、不可逆的に変形している。穿孔付近の降伏および低温流れ(コールドフロー)の明確なマークも観察される。これらの2つのセル細長片は、塑性降伏を受けており、基礎または路盤の長期使用のために推奨されない。これは、ポリマーが塑性降伏後にひび割れ(負荷下の予測不可能な壊滅的破損)を被ることが公知であるという事実によるものである。わずか90分以内のこの種類の変形は、容認不可能であり、これらの従来技術のジオセルは、基礎補強に好適ではない。
【0035】
最右細長片は、本開示によるセル細長片であり、1.4mmの厚さを有する。ジオセルは、HDPEおよびポリアミドの低クリープ混合物で作製され、穿孔パターンは、局所塑性降伏を回避するように最適化される。変形は、はるかに少なく、穿孔は、不変であり、細長片は、塑性降伏を受けていない。結果として、本細長片は、基礎または路盤の長期使用のために推奨されることができる。
【0036】
望ましくは、本開示のジオセルは、交通量が過多または中程度である、道路基礎、道路路盤、工業用床、広範囲の粘土を覆う舗装、鉄道基礎、または鉄道路盤を補強して閉じ込めるために好適である。そのようなジオセルは、補修中にわずかな変形しか被らない。以下の手順を使用して、所与のジオセルが、使用中の変形について試験されることができる。第1に、セル細長片が、ジオセルから取得される。本細長片は、本質的に、図1を参照して、継目16から(継目32ではなく)継目16まで延在するセル壁である。本細長片の長さは、継目の間の距離であり、本細長片の幅は、セル高さ(図2の方向42)に等しい。セル細長片は、上クランプと下クランプとの間で圧着され、クランプは、細長片の長さがクランプの間に延在するように、継目に沿って配置される。上クランプは、静的であり、フレームに取り付けられる。対照的に、下クランプは、自由であり、揺動することができる。セル細長片は、通常、加熱し、その温度(すなわち、チャンバ内の空気の温度)を±1℃の範囲内で維持することが可能である、チャンバに含まれる。負荷が、下クランプに印加されることができ、試験中に、セル細長片を変形させるために使用される。次いで、6.1kN/メートルの負荷が、セル細長片の継目と垂直に下クランプに印加される。本負荷は、細長片の変形を可能にするように、90分にわたって周囲温度(23℃±3℃)で印加される。
【0037】
90分が完了した後、チャンバは44℃まで加熱される。15分の期間が、細長片を均一な温度に到達させるように経過する。デフクレクトメータは、ゼロにリセットされる。次いで、6.1kN/メートルの負荷が、44℃で167分にわたって印加される。次いで、44℃における167分後のセル細長片の変形が、測定されて記録される。セル細長片は、局所塑性降伏の痕跡および局所応力集中について視覚的に点検されることができる。
【0038】
次に、チャンバは、51℃まで加熱される。15分時間をおき、セル細長片を均一な温度に到達させる。デフクレクトメータは、ゼロにリセットされる。次いで、6.1kN/メートルの負荷が、51℃で167分にわたって印加される。次いで、51℃における167分後のセル細長片の変形が、測定されて記録される。セル細長片は、局所塑性降伏の痕跡および局所応力集中について視覚的に点検されることができる。
【0039】
次に、チャンバは、58℃まで加熱される。15分時間をおき、セル細長片を均一な温度に到達させる。デフクレクトメータは、ゼロにリセットされる。次いで、6.1kN/メートルの負荷が、58℃で167分にわたって印加される。次いで、58℃における167分後のセル細長片の変形が、測定されて記録される。セル細長片は、局所塑性降伏の痕跡および局所応力集中について視覚的に点検されることができる。
【0040】
次いで、変形の割合が、全変形を元の細長片長で除算することによって取得される。上記で説明されるように、全変形は、44℃におけるセル細長片の変形、51℃におけるセル細長片の変形、および58℃におけるセル細長片の変形を合計することによって取得される。蓄積された歪みは、使用歪みと称される。本開示のジオセルは、最大でも3%の使用歪みしか被らない。セル細長片はまた、(視覚的に点検されるときに)局所塑性降伏の痕跡を含むべきではない。具体的実施形態では、向上した安定性が必要とされるとき、セル細長片は、最大でも2.5%の使用歪みしか被らない。
【0041】
44℃、51℃、および58℃の温度は、チャンバ、すなわち、チャンバ内の空気が加熱される温度を指すことに留意されたい。概して、細長片は、サイクルの開始から約15分以内にチャンバ温度と平衡状態に達する。
【0042】
本手順は、ASTM D6992から修正され、段階的等温方法(SIM)として公知の方法によって支援される。ステップの数および持続時間は、交通量が中程度および中程度から過多である典型的な交通の通過をシミュレーションするように計算されている。
【0043】
上記で説明されるように、負荷は、新しいより高い温度への平衡の間には除去されない。
【0044】
また、上記で説明されるように、デフクレクトメータは、チャンバが新しいより高い温度に設定されるとリセットされる。いくつかの実施形態では、デフクレクトメータは、リセットされず、全変形は、58℃における加熱後に測定される変形である。
【0045】
図5は、使用寿命の約10%の時間を表す、44℃加熱ステップ中の2つのセル細長片を示す写真である。右の細長片は、先行技術の細長片であり、重度の塑性変形を被る。本段階で、変形は、25%を上回る。左の細長片は、本開示のセル細長片であり、0.2%未満変形しており、歪曲の視覚的痕跡を呈していない。本挙動は、試験の終了まで保持され、左の細長片の全変形は、クランプの間の元の距離の1.4%であった。いかなる歪曲の視覚的痕跡も左の細長片で見られなかった。
【0046】
本開示は、例示的実施形態を参照して説明されている。先述の発明を実施するための形態を読んで理解することによって、修正および改変が他者に想起され得ることは、明らかである。本開示は、添付の請求項およびその均等物の範囲内である限りにおいて、全てのそのような修正および改変を含むと解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5