IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クラウン・パッケージの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20220221BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
B65D5/44 E
B65D5/54 311A
B65D5/54 311C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017109524
(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公開番号】P2018203324
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】釜堀 友子
(72)【発明者】
【氏名】小久保 惠津乃
(72)【発明者】
【氏名】工藤 陽介
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第5746405(JP,B1)
【文献】実開平05-086818(JP,U)
【文献】特表2012-500754(JP,A)
【文献】特開2017-007724(JP,A)
【文献】実開昭55-080218(JP,U)
【文献】特開2018-065574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0114933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/44
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を備える本体と、
前記開口を閉じ、スリットが断続的に配置されている蓋側破断部を備える蓋板と、
前記蓋板の内面に重複しており、前記内面に接着されている補強板と、を備え、
前記補強板は、
前記蓋板に対して折曲線を介して連結されており、
前記蓋側破断部の略全長に亘って前記蓋側破断部の前記内面側に重複して配置されており、
前記蓋板は、前記本体の前記開口を画定する端辺に回動可能に連結されており、
前記蓋側破断部は、それぞれが前記蓋板の前記端辺を挟む両端のそれぞれから前記蓋板の中央部に進むのに従って、前記本体の前記端辺に向かって傾斜する一対の破断部分を備え
前記補強板は、
前記蓋板の前記端辺を挟む両端のうちの一方の端において、前記蓋板に対して折曲線を介して連結される第1補強板と、前記蓋板の前記端辺を挟む両端のうちの他方の端において、前記蓋板に対して折曲線を介して連結される第2補強板と、を備え、
前記第1補強板は、前記一対の破断部分のうちの一方の破断部分よりも前記端辺から離間した位置に、前記一方の破断部分に沿って配置される第1補強側破断部を備え、
前記第2補強板は、前記一対の破断部分のうちの他方の破断部分よりも前記端辺から離間した位置に、前記他方の破断部分に沿って配置される第2補強側破断部を備える、包装容器。
【請求項2】
前記本体の側板は、前記本体の前記端辺において前記一対の破断部分のそれぞれから前記本体の前記側板に延びる一対の側板側破断部分であって、前記本体の前記側板で互いに接続される前記一対の側板側破断部分を備える、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
開口を備える本体と、
前記開口を閉じ、スリットが断続的に配置されている蓋側破断部を備える蓋板と、
前記蓋板の内面に重複しており、前記内面に接着されている補強板と、を備え、
前記補強板は、
前記蓋板に対して折曲線を介して連結されており、
前記蓋側破断部の略全長に亘って前記蓋側破断部の前記内面側に重複して配置されており、
前記蓋板は、前記本体の前記開口を画定する端辺に回動可能に連結されており、
前記蓋側破断部は、それぞれが前記蓋板の前記端辺を挟む両端のそれぞれから前記蓋板の中央部に進むのに従って、前記本体の前記端辺に向かって傾斜する一対の破断部分を備え、
前記補強板は、前記蓋側破断部の前記端辺と反対側で前記蓋板に接着されており、前記蓋側破断部よりも前記端辺側で前記蓋板に接着されておらず、
前記補強板は、前記一対の破断部分のそれぞれについて、当該破断部分よりも前記端辺から離間した位置に、当該破断部分に沿って配置される折れ線を備える、包装容器。
【請求項4】
開口を備える本体と、
前記開口を閉じ、スリットが断続的に配置されている蓋側破断部を備える蓋板と、
前記蓋板の内面に重複しており、前記内面に接着されている補強板と、を備え、
前記補強板は、前記蓋側破断部の略全長に亘って前記蓋側破断部の前記内面側に重複して配置されており、
前記蓋板は、前記本体の前記開口を画定する端辺に回動可能に連結されており、
前記蓋板は、前記蓋板の前記本体の前記端辺と反対側の端辺に連結されている係合片を備え、
前記本体は、前記本体の側板を貫通しており、前記係合片が挿入される貫通孔を備え、
前記蓋側破断部は、前記蓋板のうち、前記係合片と連続する切離部を囲んでおり、
前記補強板は、前記蓋板のうち、前記切離部以外で接着されており、前記切離部で接着されておらず、
前記補強板は、前記係合片が連結されている前記蓋板の前記端辺に折曲線を介して連結されている、包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、開口を備える本体と、本体の開口を閉じる蓋板と、を備える包装容器に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、包装容器の開封を容易にするために、蓋板にミシン目を有する開封部を配置する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-168445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋板にミシン目等、他の部分と比較して破断しやすい破断部を配置すると、蓋板の強度が低下し、蓋板が変形しやすくなる。本明細書では、破断部を有する蓋板の変形を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示される技術は、包装容器に関する。包装容器は、開口を備える本体と、前記開口を閉じ、スリットが断続的に配置されている蓋側破断部を備える蓋板と、前記蓋板の内面に重複しており、前記内面に接着されている補強板と、を備えていてもよい。前記補強板は、前記蓋側破断部の略全長に亘って前記蓋側破断部の前記内面側に重複して配置されていてもよい。
【0006】
補強板を蓋板の内面に接着して蓋側破断部の内面に配置することによって、蓋板の蓋側破断部での変形を抑制することができる。例えば、包装容器を重ねて配置する状況では、蓋板に別の包装容器が載置される場合がある。この場合、蓋板の外側から内側に向けて力が加えられる。補強板を蓋側破断部の内面側に配置することによって、蓋側破断部において蓋板が包装容器の内側に変形することを抑制することができる。
【0007】
前記蓋板は、前記本体の前記開口を画定する端辺に回動可能に連結されていてもよい。前記蓋側破断部は、それぞれが前記蓋板の前記端辺を挟む両端のそれぞれから前記蓋板の中央部に進むのに従って、前記本体の前記端辺に向かって傾斜する一対の破断部分を備えていてもよい。各破断部分は、前記本体の前記端辺を越えて、前記本体の側板まで延びており、前記一対の破断部分は、前記側板で接続されていてもよい。この構成によれば、蓋側破断部を蓋板の一方の端から他方の端まで繋げて配置せずに済む。これにより、蓋側破断部によって蓋板の強度が低下することを抑制することができる。
【0008】
前記補強板は、前記一対の破断部分のそれぞれについて、当該破断部分よりも前記側板から離間した位置に、当該破断部分に沿って配置される補強側破断部を備えていてもよい。前記蓋板と前記補強板は、前記蓋側破断部の前記側板側と前記補強側破断部の前記側板と反対側との両者で接着されていてもよい。補強板にも補強側破断部を配置することによって、蓋側破断部と補強側破断部とを共に破断させることによって、蓋板を容易に開封することができる。また、補強側破断部は、蓋板の破断部分とずれて配置されているため、補強側破断部によって、蓋板が破断部分で変形しやすくなることを抑制することができる。
【0009】
前記補強板は、前記蓋側破断部の前記側板と反対側で前記蓋板に接着されており、前記蓋側破断部よりも前記側板側で前記蓋板に接着されていなくてもよい。前記補強板は、前記前記一対の破断部分のそれぞれについて、当該破断部分よりも前記側板から離間した位置に、当該破断部分に沿って配置される折れ線を備えていてもよい。この構成によれば、蓋側破断部を破断させて、蓋板を開封する際に、補強板が折れ線で折れ曲がることによって、補強板が開封を妨げることを抑制することができる。
【0010】
前記蓋板は、前記本体の前記開口を画定する端辺に回動可能に連結されており、前記蓋板は、前記蓋板の前記本体の前記端辺と反対側の端辺に連結されている係合片を備え、前記本体は、前記本体の側板を貫通しており、前記係合片が挿入される貫通孔を備え、前記蓋側破断部は、前記蓋板のうち、前記係合片と連続する切離部を囲んでおり、前記補強板は、前記蓋板のうち、前記切離部以外で接着されており、前記切離部で接着されていなくてもよい。この構成によれば、蓋側破断部を蓋板の一方の側端から他方の側端まで繋げて配置せずに済む。また、蓋側破断部を破断させることによって、蓋板のうち、係合片と連続する切離部を本体の端辺に連結する部分とを分離することができる。これにより、蓋板を容易に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施例の包装容器の前方斜視図を示す。
図2】第1実施例の包装容器の後方斜視図を示す。
図3】第1実施例の包装容器の展開図を示す。
図4】第1実施例の蓋板が開いている状態の前方斜視図を示す。
図5】第1実施例の包装容器の開封方法を説明するための図を示す。
図6】第1実施例の包装容器の開封方法を説明するための図を示す。
図7】第2実施例の包装容器の前方斜視図を示す。
図8】第2実施例の包装容器の後方斜視図を示す。
図9】第2実施例の包装容器の展開図を示す。
図10】第2実施例の蓋板が開いている状態の前方斜視図を示す。
図11】第2実施例の包装容器の開封方法を説明するための図を示す。
図12】第2実施例の包装容器の開封方法を説明するための図を示す。
図13】第3実施例の包装容器の前方斜視図を示す。
図14】第3実施例の包装容器の後方斜視図を示す。
図15】第3実施例の包装容器の展開図を示す。
図16】第3実施例の蓋板が開いている状態の前方斜視図を示す。
図17】第3実施例の包装容器の開封方法を説明するための図を示す。
図18】第3実施例の包装容器の開封方法を説明するための図を示す。
図19】第3実施例の包装容器の開封方法を説明するための図を示す。
図20】変形例の包装容器の展開図を示す。
図21】変形例の包装容器の開封後の斜視図を示す。
図22】変形例の包装容器の展開図を示す。
図23】変形例の包装容器の開封後の斜視図を示す。
【実施例
【0012】
(第1実施例)
図1は包装容器10の正面と平面とを含む斜視図を示し、図2は包装容器10の背面と平面とを含む斜視図を示し、図3は包装容器10の展開図を示し、図4は蓋板12が開かれた状態の包装容器10の斜視図を示す。包装容器10は、段ボール紙等の丈夫な紙で作製されている。なお、包装容器10の材料は例えば厚紙等、段ボール紙以外の紙であってもよいし、紙に限定されず、プラスチック等であってもよい。なお、本明細書では、説明の都合上、前後左右上下方向を規定している。
【0013】
包装容器10は、蓋板12と、本体13と、を備える。包装容器10は、図3に示す1枚の平板形状のブランクBLから組み立てられている。なお、図3に示される格子模様で示される領域は、接着剤が塗布される領域である。本体13は、底板22と、4枚の側板14、16、18、20と、を備える。
【0014】
底板22は、矩形の平板形状を有する。底板22の周縁の4辺のそれぞれには、側板14、16、18、20のそれぞれが連結されている。本体13は、側板14、16、18、20を、底板22に対して起立させ、前後の側板14、20の左右両端に連結されている接着片24が側板16又は側板18に接着されることによって組み立てられる。図4に示すように、本体13が組み立てられた状態では、本体13は、その上端に、側板14、16、18、20で画定される矩形状の開口13aを備える有底の四角筒形状を有する。
【0015】
側板14、16、18、20は、それぞれ矩状の平板形状を有する。左右の側板16、18のそれぞれの上端には、前後方向の全長に亘って側板16、18のそれぞれに回動可能に連結している折曲片16a、18aを備える。
【0016】
側板20の上端辺20aには、蓋板12が回動可能に連結されている。蓋板12は、矩形の平板形状を有する。蓋板12は、包装容器10が閉じられている状態(即ち図1図2の状態)において、開口13aを閉じる。
【0017】
蓋板12には、一対の破断部分30、32を備える。破断部分30は、蓋板12の右端辺の前後方向の中間位置から左側に向かって後方に傾斜して延びる直線上に配置されている。破断部分30の後端は、蓋板12の後端辺(即ち上端辺20a)の左右方向の中間に位置している。即ち、破断部分30は、蓋板12と側板20との境界である上端辺20aまで延びている。破断部分30は、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。本実施例では、「スリット」は、板を貫通する切込みであり、切込みが開いていないかあるいは若干開いているものを意味する。
【0018】
破断部分32は、蓋板12の左端辺の前後方向において、破断部分30と同一の中間位置から右側に向かって後方に傾斜して延びる直線上に配置されている。破断部分32の後端は、蓋板12の後端辺(即ち上端辺20a)の左右方向の中間に位置している。破断部分32の右端は、左右方向において、破断部分30の左端と離間している。破断部分32は、破断部分30と同様に、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。
【0019】
破断部分30の後端は、上端辺20aを越えて、側板20に配置されている破断部分40に連結されている。破断部分40は、破断部分30の後端から下側に向かって左方に傾斜して延びる直線上に配置されている。破断部分40の下端は、側板20の左右方向の中間に位置している。破断部分40は、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。破断部分32の後端は、上端辺20aを越えて、側板20に配置されている破断部分42に連結されている。破断部分42は、破断部分32の後端から下側に向かって右方に傾斜して延びる直線上に配置されている。破断部分42の下端は、側板20の左右方向の中間に位置している。破断部分42は、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。
【0020】
側板20は、さらに、破断部分40の下端と破断部分42の下端とを連結する破断部分44を備える。破断部分44は、左右方向に平行に延びる直線状に配置されている。破断部分44は、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。
【0021】
破断部分44の下方には、押圧部48が配置されている。押圧部48は、破断部分44から下方に直線状に延びる一対のスリット46、46によって画定されている。
【0022】
蓋板12の前端辺には、挿入片50が蓋板12に対して回動可能に連結されている。挿入片50は、包装容器10が閉塞されている状態で、本体13に挿入されている。
【0023】
蓋板12の右端辺には、補強板52が連結されている。補強板52は、蓋板12の一体的に連結されている。補強板52は、蓋板12の本体13側の面、即ち内面に重複して接着されている。補強板52は、平板形状を有する。補強板52は、蓋板12の右端辺から左側に向けて延びている。補強板52の左端辺は、破断部分30の後端よりも少しだけ左側に位置する。補強板52は、破断部分30の全長に亘って重複している。なお、変形例では、補強板52は、破断部分30の全長に亘って重複していなくてもよい。この場合、補強板52は、破断部230の前端側と後端側の少なくとも一方の端部を除き、破断部分30の全長に亘って重複していてもよい。「補強板52は、破断部分30の略全長に亘って重複している」状態は、破断部分30の大部分に亘って補強板52が重複しており、破断部分30の補強に影響が少ない破断部分30の一部(例えば破断部分30の端部)のみ重複していない状態である。
【0024】
補強板52は、破断部分30に平行に延びる破断部分56を備える。破断部分56は、破断部分30の前端から左側に向かって、一旦前方に傾斜してから、破断部分30に平行に後方に傾斜して延びる。破断部分56は、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。この構成では、包装容器10が閉じられている状態で、破断部分56は、破断部分30から前方にずれて配置される。この結果、破断部分30と破断部分56とが重複して配置されることを回避することができる。これにより、破断部分30と破断部分56とが重複する箇所で、蓋板12の強度が低下することを抑制することができる。
【0025】
補強板52は、蓋板12と接着領域60、62、64において接着されている。接着領域60、62は、破断部分30、56よりも前方に位置する一方、接着領域64は、破断部分30、56よりも後方に位置する。即ち、補強板52と蓋板12とは、破断部分30、56の前方と後方の両者で接着されている。これにより、補強板52によって、適切に蓋板12の破断部分30を補強することができる。
【0026】
蓋板12の左端辺には、補強板54が連結されている。補強板54は、蓋板12の一体的に連結されている。補強板54は、蓋板12の本体13側の面、即ち内面に重複して接着されている。補強板54は、平板形状を有する。補強板54は、蓋板12の左端辺から右側に向けて延びている。なお、補強板54は、補強板52と間隔を有して配置されている。補強板54の右端辺は、破断部分32の後端よりも少しだけ右側に位置する。補強板54は、破断部分32の全長に亘って重複している。なお、変形例では、補強板54は、補強板52と破断部分30の変形例と同様に、破断部分32の全長に亘って重複していなくてもよく、略全長に亘って重複していてもよい。
【0027】
補強板54は、破断部分32に平行に延びる破断部分58を備える。破断部分58は、破断部分32の前端から左側に向かって、一旦前方に傾斜してから、破断部分32に平行に後方に傾斜して延びる。破断部分58は、破断部分56と同様に、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。この構成では、包装容器10が閉じられている状態で、破断部分58は、破断部分32から前方にずれて配置される。これにより、破断部分32と破断部分58とが重複する箇所で、蓋板12の強度が低下することを抑制することができる。
【0028】
補強板54は、蓋板12と接着領域70、72、74において接着されている。接着領域70、72は、破断部分32、58よりも前方に位置する一方、接着領域74は、破断部分32、58よりも後方に位置する。即ち、補強板54と蓋板12とは、破断部分32、58の前方と後方の両者で接着されている。これにより、補強板54によって、適切に蓋板12の破断部分32を補強することができる。
【0029】
補強板52、54のそれぞれは、後端に側板20に沿って延びる折曲片66、76を備える。
【0030】
(開封方法)
次いで、図5図6を参照して、包装容器10の開封方法を説明する。使用者は、手指Fで、包装容器10の後側の押圧部48を包装容器10の内側に押圧する。この結果、手指Fを、破断部分44の下方に挿入することができる。この状態から、破断部分44の上方に位置する側板20を引き上げることによって、破断部分40、42、44を破断させ、さらに、破断部分30、32、56、58を破断させる。これにより、側板20及び蓋板12が破断され、包装容器10が開封される。
【0031】
破断部分56、58は、破断部分30、32よりも前方に位置している。このため、包装容器10を開封する際に、蓋板12を前方に回動させても、補強板52、54が、蓋板12に引っかからずに、スムーズに開封することができる。
【0032】
(第2実施例)
図7図12を参照して、第2実施例における包装容器210について、第1実施例の包装容器10と異なる点を説明する。図7は包装容器210の正面と平面とを含む斜視図を示し、図8は包装容器210の背面と平面とを含む斜視図を示し、図9は包装容器210の展開図を示し、図10は蓋板212が開かれた状態の包装容器210の斜視図を示す。
【0033】
包装容器210は、蓋板212と、本体213と、を備える。包装容器210は、図9に示す1枚の平板形状のブランクBL2から組み立てられている。なお、図9に示される格子模様で示される領域は、接着剤が塗布される領域である。本体213は、第1実施例の各板14、16、18、20、22と同様の4枚の側板214、216、218、220と、底板222と、を備える。
【0034】
前後の側板214、220の左右両端に連結されている接着片224は、側板216又は側板218に接着されるとともに、側板216、218の上端に連結されている折曲片216a、218aにも接着されている。なお、折曲片216a、218aのそれぞれは、折曲片16a、18aのそれぞれと同様の構成を有する。図10に示すように、本体213が組み立てられた状態では、本体213は、本体13と同様に、その上端に、側板214、216、218、220で画定される矩形状の開口213aを備える有底の四角筒形状を有する。
【0035】
側板214の上端辺には、左右方向の全長に亘って、折曲片214aが回動可能に連結されている。折曲片214aと側板214との境界には、挿入口214bが配置されている。挿入口214bは、折曲片214aと側板214との境界に沿って左右方向に延びている。挿入口214bは、左右方向の中央部分において、折曲片214aと側板214との境界に対して側板214側に湾曲する突出部214cを備える。突出部214cの左右両端のそれぞれは、折曲片214aと側板214との境界に対して折曲片214a側に突出している。これにより、側板214に対して折曲片214aを本体213側に折り曲げると、挿入口214bが形成される。
【0036】
側板220の上端辺220aには、蓋板212が回動可能に連結されている。蓋板212は、蓋板12と同様の構成を有する。蓋板212には、一対の破断部分230、232を備える。一対の破断部分230、232は、一対の破断部分30、32と同様の構成を有する。なお、一対の破断部分230、232の前後方向の位置は、一対の破断部分30、32と異なっていてもよい。
【0037】
破断部分230、232の後端は、それぞれ、上端辺220aを越えて、側板220に配置されている破断部分240に連結されている。破断部分240は、破断部分230の後端から下方に湾曲する円弧状に配置されており、破断部分232の後端に連結される。破断部分240は、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。
【0038】
蓋板212の前端辺には、挿入片250が蓋板212に対して回動可能に連結されている。挿入片250が挿入口214bに挿入されることによって、包装容器210が閉塞される。挿入片250と蓋板212との間には、左右方向の中央部分に開口250aが配置されている。挿入片250が挿入口214bに挿入されると、開口250aに突出部214cが挿入され、挿入片250と突出部214cが係合する。これにより、蓋板212が開封されることを抑制することができる。
【0039】
蓋板212の右端辺には、補強板252が連結されている。補強板252は、蓋板212の一体的に連結されている。補強板252は、蓋板212の本体213側の面、即ち内面に重複して接着されている。補強板252は、平板形状を有する。補強板252は、蓋板212の右端辺から左側に向けて延びている。補強板252の左端辺は、破断部分230の後端を越えて、蓋板212の左右方向の中央付近まで延びている。補強板252は、破断部分230の略全長に亘って重複している。具体的には、補強板252は、破断部分230の後端側の端部の一部を除き、破断部分230の全長に亘って重複している。「補強板252は、破断部分230の略全長に亘って重複している」状態は、破断部分230の大部分に亘って補強板252が重複しており、破断部分230の補強に影響が少ない破断部分230の一部のみ重複していない状態である。なお、変形例では、補強板252が、破断部分230の全長に亘って重複していてもよい。
【0040】
補強板252は、折曲線256を備える。折曲線256は、破断部分230よりも前方に位置する。折曲線256は、破断部分230と重なっていない。折曲線256は、補強板252の左右両端まで延びている。折曲線256は、直線状に延びる凹溝によって、補強板252の他の部分よりも折れ曲がり易くなっている。なお、折曲線256は、例えば断続的なスリット等、凹溝以外の構成であってもよく、補強板252の他の部分と比較して、折れ曲がり易くなっていればよい。
【0041】
補強板252は、蓋板212と接着領域260において接着されている。接着領域260は、折曲線256よりも前側の補強板252の全面に亘っている。一方、折曲線256よりも後側では、補強板252と蓋板212とは接着されていない。
【0042】
蓋板212の左端辺には、補強板254が連結されている。補強板254は、蓋板212の一体的に連結されている。補強板254は、蓋板212の内面に重複して接着されている。補強板254は、補強板252と同様の平板形状を有する。補強板254は、蓋板212の左端辺から右側に向けて延びている。補強板252の右端辺は、破断部分232の後端を越えて、蓋板212の左右方向の中央付近まで延びている。補強板254の右端辺は、補強板252の左端辺と若干の隙間を有して配置されている。補強板254は、破断部分230に対する補強板252と同様に、破断部分232の略全長に亘って重複している。
【0043】
補強板254は、折曲線258を備える。折曲線258は、破断部分232よりも前方に位置しており、破断部分232と重なっていない。折曲線258は、補強板254の左右両端まで延びている。折曲線258は、折曲線256と同様の構成を有する。
【0044】
補強板254は、蓋板212と接着領域262において接着されている。接着領域262は、折曲線258よりも前側の補強板254の全面に亘っている。一方、折曲線258よりも後側では、補強板254と蓋板212とは接着されていない。
【0045】
(開封方法)
次いで、図11図12を参照して、包装容器210の開封方法を説明する。使用者は、手指Fで、包装容器210の側板220に設けられた破断部分240の上方に位置する部分を、包装容器210の内側に押圧する。この結果、破断部分240が破断して、手指Fを、蓋板212の下方に挿入することができる。これにより、蓋板212を側板214に対して回動させるように、手指Fを引き上げる。これにより、破断部分230、232が破断される。このとき、補強板252、254は、蓋板212の破断部分230、232よりも後側の部分に接触して、折曲線256、258で折れ曲がる。これにより、折曲線256、258よりも後側に位置する補強板252、254が干渉しないため、包装容器210を開封しにくくなることを抑制することができる。
【0046】
(第3実施例)
図13図19を参照して、第3実施例における包装容器310について、第1実施例の包装容器10と異なる点を説明する。図13は包装容器310の正面と平面とを含む斜視図を示し、図14は包装容器310の背面と平面とを含む斜視図を示し、図15は包装容器310の展開図を示し、図16は蓋板312が開かれた状態の包装容器310の斜視図を示す。
【0047】
包装容器310は、蓋板312と、本体313と、を備える。包装容器310は、図15に示す1枚の平板形状のブランクBL3から組み立てられている。なお、図15に示される格子模様で示される領域は、接着剤が塗布される領域である。
【0048】
本体313は、底部322と、4枚の側板314、316、318、320と、を備える。底部322は、4枚の底板322a、322b、322c、322dを備える。底板322a、322b、322c、322dは、ともに平板形状を有する。底板322aと底板322dとが接着されており、底板322cと底板322bとが接着されている。図16に示すように、底板322aと底板322cとが互いに係合することによって、底部322が形成される。なお、底板322a、322cが折り曲げられることによって、包装容器310を折りたたむことができる。
【0049】
底板322aには側板320が、底板322bには側板316が、底板322cには側板314が、底板322dには側板318が、それぞれ回動可能に連結されている。側板316、318、320のそれぞれは、側板16、18、20のそれぞれと同様の構成を有する。なお、側板316、318のそれぞれの上端には、折曲片316a、318aのそれぞれが回動可能に連結されている。
【0050】
側板314の外形は、側板14と同様である。側板14の上端には、左右方向の全長に亘って側板314に回動可能に連結している折曲片314aを備える。側板314の中間位置には、挿入口314bを備える。挿入口314bの左右方向の中央には、開口が配置されている。挿入口314bの開口の左右には、中間位置で屈曲されたスリットが配置されている。
【0051】
本体313は、側板314、316、318、320が筒状に配置され、側板320に接着片320bを側板318の内面に接着することによって、組み立てられている。図10に示すように、本体313が組み立てられた状態では、本体313は、本体13と同様に、その上端に、側板314、316、318、320で画定される矩形状の開口313aを備える有底の四角筒形状を有する。
【0052】
側板320の上端辺320aには、蓋板312が回動可能に連結されている。蓋板312は、前端部分に、破断部332を備える。破断部332は、蓋板312の左右方向の中央部分に位置する切離部332cを囲むように、略台形形状に配置されている。破断部332は、断続的に並ぶ複数のスリットを備える。蓋板312には、破断部332の後端辺332bの左右方向の中央位置において、押圧部332aが配置されている。押圧部332aは、後端辺332bから後方に向かって半円状に突出している。押圧部332aは、後端辺332bを越えて前方に延びており、蓋板312の破断部332で囲まれた切離部332cに回動可能に連結されている。押圧部332aは、切離部332cと連結する前端辺を除いて、断続的に並ぶ複数のスリットによって囲まれている。
【0053】
切離部332cの前端辺には、係合片350が切離部332cに回動可能に連続して連結されている。係合片350は、包装容器310が閉塞されている状態で、挿入口314bに挿入されている。
【0054】
蓋板312の前端辺には、補強板352が連結されている。補強板352は、蓋板312の一体的に連結されている。補強板352は、蓋板312の本体313側の面、即ち内面に重複して接着されている。補強板352は、蓋板312の略全体に重なる平板形状を有する。補強板352の前端部分の左右方向の中央部分は、切り取られている。即ち、押圧部332aの下方及び、切離部332cの周縁を除く下方には、補強板352は重複されていない。また、切離部332cの周縁に位置する破断部332の下方には、補強板352が全長に亘って重複している。補強板352は、切離部332c以外の領域で蓋板312と接着されている一方、切離部332cでは接着されていない。なお、変形例では、補強板352は、破断部332の全長に亘って重複していなくてもよい。この場合、補強板352は、破断部332の端部を除き、破断部332の全長に亘って重複していてもよい。「補強板352は、破断部332の略全長に亘って重複している」状態は、破断部332の大部分に亘って補強板352が重複しており、破断部332の補強に影響が少ない破断部332の一部(例えば破断部分332の端部)のみ重複していない状態である。
【0055】
(開封方法)
次いで、図17図19を参照して、包装容器310の開封方法を説明する。図17に示すように、使用者は、手指Fで、包装容器310の蓋板312に設けられた押圧部332aを包装容器310の内側に向けて押圧する。これにより、押圧部332aが蓋板312から切り離されて、切離部332cに対して回動する。これにより、使用者は、手指Fを、切離部332cの包装容器310の内側に引っ掛けることができる。
【0056】
次いで、図18に示すように、使用者は、切離部332cを、側板314に対して回動させる。これにより、破断部332が破断して、切離部332cが、蓋板312から切り離される。この結果、切離部332cを除く蓋板312は、係合片350から切り離されて、側板320に対して、回動可能となる。この結果、図19に示すように、蓋板312を側板320に対して回動させることによって、包装容器310を開封することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0058】
(変形例)
(1)上記の第2実施例では、図9に示すように、補強板252、254は、蓋板212の左右両端辺のそれぞれに、連結されている。しかしながら、補強板の態様は、これに限られない。例えば、図20図21に示すように、補強板252、254に替えて、補強板452を備えていてもよい。補強板452は、蓋板212の前端辺に連結されていてもよい。補強板452は、図20の格子状に示される領域において、蓋板212に貼り付けられていてもよい。また、補強板452は、折曲線456、458を備えていてもよい。折曲線456、458は、破断部分230、232よりも前方に位置していてもよい。
【0059】
あるいは、例えば、図22図23に示すように、補強板252、254に替えて、補強板552を備えていてもよい。補強板552は、蓋板212の右端辺に連結されていてもよい。補強板552は、図22の格子状に示される領域において、蓋板212に貼り付けられていてもよい。また、補強板552は、折曲線556、558を備えていてもよい。折曲線556、558は、破断部分230、232よりも前方に位置していてもよい。
【0060】
(2)上記の実施例では、包装容器10、210、310は、直方体形状を有する。しかしながら、包装容器の形状は、例えば、直方体以外の多角形柱形状、円柱形状等、直方体以外の形状であってもよい。
【0061】
(3)蓋板12、212、312の破断部の位置は、上記の実施例の位置に限られず、蓋板が前後に分割するように配置されていればよい。
【0062】
(4)上記の実施例では、補強板52、54等は、蓋板12等と同一のブランクBL等で作製されている。しかしながら、補強板52、54等は、蓋板12等とは、別の平板から作製され、蓋板12等に重ねて配置されていてもよい。
【0063】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0064】
10 :包装容器
12 :蓋板
13 :本体
13a :開口
14、16、18、20:側板
20a :上端辺
22 :底板
30、32、40、42:破断部分
52、54:補強板
56、58:破断部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23