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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】遠隔操縦システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
G05D1/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018053386
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019164724
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】江本 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】坂野 肇
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-159954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人移動体に搭載され、遠隔操縦装置と無線通信することで前記無人移動体の動作を制御する制御装置と、
前記無人移動体に搭載され、前記無人移動体の周囲の障害物との距離を計測する計測装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記計測装置が計測したデータに基づいて環境地図を作成する環境地図作成部と、
前記環境地図上において、任意の方向に基準線を生成する基準線生成部と、
前記基準線生成部が生成した基準線が前記障害物に接触せずに所定の長さまで延長できた場合には、前記基準線が生成された方向に無人移動体を移動させる移動制御部と、
を備え
前記遠隔操縦装置は、操縦者の操作により前記環境地図上の任意の位置と方向とを指定する指定部を備え、
前記基準線生成部は、前記指定部で指定された位置を基準として、前記指定部で指定された方向に前記基準線を生成することを特徴とする遠隔操縦システム。
【請求項2】
前記基準線は、前記無人移動体から前記指定部で指定された位置まで延びる第1基準線と、当該位置から前記指定部で指定された方向に延びる第2基準線とを備え、
前記移動制御部は、前記第2基準線が前記障害物に接触せずに所定の長さまで延長できた場合には、前記第2基準線が生成された方向に無人移動体を移動させることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操縦システム。
【請求項3】
前記基準線は、前記無人移動体の移動に伴って前記環境地図上を移動することを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔操縦システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操縦システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1,2には、遠隔操縦用のカメラが搭載された無人移動体(例えば、車両)の動作を遠隔制御する制御方法が開示されている。具体的には、上記無人移動体には、当該無人移動体の前方を撮像するカメラと、分岐路を認識するための複数のセンサが搭載されており、操縦者側に設けられた表示装置の表示画面に、複数のセンサで認識した分岐路と上記カメラが撮像した前方画像とが重畳表示される。したがって、操縦者は、無人移動体を進入させたい分岐路を上記表示画面において選択するだけで、無人移動体を所望の分岐路に進入させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5647905号公報
【文献】特許第5969903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記センサで分岐路を認識する処理は重く、全ての分岐路を確実に認識することができない場合がある。したがって、無人移動体を所望の分岐路に進入させることができない場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、無人移動体を所望の分岐路へ確実に進入させることができる遠隔操縦システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、無人移動体に搭載され、遠隔操縦装置と無線通信することで前記無人移動体の動作を制御する制御装置と、前記無人移動体に搭載され、前記無人移動体の周囲の障害物との距離を計測する計測装置と、を備え、前記制御装置は、前記計測装置が計測したデータに基づいて環境地図を作成する環境地図作成部と、前記環境地図上において、任意の方向に基準線を生成する基準線生成部と、前記基準線生成部が生成した基準線が前記障害物に接触せずに所定の長さまで延長できた場合には、前記基準線が生成された方向に無人移動体を移動させる移動制御部と、を備えることを特徴とする遠隔操縦システムである。
【0007】
本発明の一態様は、上述の遠隔操縦システムであって、前記遠隔操縦装置は、操縦者の操作により前記環境地図上の任意の位置と方向とを指定する指定部を備え、前記基準線生成部は、前記指定部で指定された位置を基準として、前記指定部で指定された方向に前記基準線を生成する。
【0008】
本発明の一態様は、上述の遠隔操縦システムであって、前記基準線は、前記無人移動体から前記指定部で指定された位置まで延びる第1基準線と、当該位置から前記指定部で指定された方向に延びる第2基準線とを備え、前記移動制御部は、前記第2基準線が前記障害物に接触せずに所定の長さまで延長できた場合には、前記第2基準線が生成された方向に無人移動体を移動させる。
【0009】
本発明の一態様は、上述の遠隔操縦システムであって、前記基準線は、前記無人移動体の移動に伴って前記環境地図上を移動する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、無人移動体を所望の分岐路へ確実に進入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る遠隔操縦システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る制御装置2の具体的な構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る制御部43が作成した環境地図を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る分岐路モードにおける制御部43の動作の流れを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る分岐路モードの第1の変形例(変形例1)を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る分岐路モードの第2の変形例(変形例2)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る遠隔操縦システムAを、図面を用いて説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る遠隔操縦システムAは、無人移動体Mを遠隔操縦するためのシステムである。本実施形態では、無人移動体Mが車両である場合について説明するが、これに限定されない。例えば、無人移動体Mは、ロボットであってもよい。また、上記車両とは、一般車両であってもよいし、土木工事や建築工事に使用されるショベルカー、ブルドーザあるいはクレーン車等の建設機械であってもよい。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔操縦システムの概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、遠隔操縦システムAは、撮像装置1、制御装置2、及び遠隔操縦装置3を備える。
【0015】
撮像装置1は、無人移動体Mに搭載されている。撮像装置1は、カメラ10及び距離センサ11(計測装置)を備える。
【0016】
カメラ10は、少なくとも無人移動体Mの前方の画像(以下、「前方画像」という。)を撮像する。カメラ10は、前方画像を制御装置2に送信する。
【0017】
距離センサ11は、無人移動体Mの周囲の障害物までの距離を計測する。例えば、距離センサ11は、レーザレンジファインダ(LRF)又はレーザレーダ等の二次元又は三次元の計測装置であって、無人移動体Mの周囲の形状を計測する。この周囲の形状とは、例えば、通行路の地面や周囲に存在する構造物の立体形状である。より具体的には、例えば、距離センサ11は、計測範囲に対してレーザ光を水平方向及び垂直方向に走査し、そのレーザ光の反射光から当該計測範囲内における複数の計測点の三次元座標値を取得することで、無人移動体Mの周囲を三次元計測する。距離センサ11は、計測データを制御装置2に送信する。
【0018】
制御装置2は、無人移動体Mに搭載されており、遠隔操縦装置3と無線通信することで無人移動体Mの動作を制御する。制御装置2は、カメラ10が撮像した前方画像と、距離センサ11が計測した計測データとを第2無線通信部41を介して遠隔操縦装置3に送信する。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る遠隔操縦装置3の構成について、具体的に説明する。遠隔操縦装置3は、第1無線通信部31、遠隔操作部32、モード切替部33、及び表示装置34を備える。
【0020】
第1無線通信部31は、制御装置2と無線通信することで、制御装置2と情報を送受する。なお、第1無線通信部31は、制御装置2と無線通信するための無線アンテナを含む。
【0021】
遠隔操作部32は、制御装置2と無線通信することで無人移動体Mを遠隔操縦する。具体的には、遠隔操作部32は、操縦者の操作に応じた指令信号を遠隔操縦指令として、第1無線通信部31を介して制御装置2に無線送信する。この遠隔操縦指令は、無人移動体Mを遠隔操縦するための制御指令が情報として含まれている信号である。これにより、遠隔操作部32は、無人移動体Mを所望の方向に動かせることができる。例えば、遠隔操作部32は、ハンドルやジョイスティックである。
【0022】
モード切替部33は、無人移動体Mを遠隔操作するモードとして、遠隔操縦モードと分岐路モードとのいずれかに切り替え可能である。モード切替部33は、例えば、押ボタン等である。遠隔操縦モードとは、遠隔操作部32により無人移動体Mを遠隔操縦するモードである。分岐路モードとは、無人移動体Mを進入させるための分岐路を検出するとともに、その検出した分岐路に無人移動体Mを進入させるモードである。なお、この分岐路モードでは、遠隔操作部32による遠隔操縦を必要としない。モード切替部33は、遠隔操縦モードに切り替えられた場合には、遠隔操縦モードを示す遠隔操縦モード信号を、第1無線通信部31を介して制御装置2に無線送信する。一方、モード切替部33は、分岐路モードに切り替えられた場合には、分岐路モードを示す分岐路モード信号を第1無線通信部31を介して制御装置2に無線送信する。
【0023】
表示装置34は、表示部341及び指定部342を備える。
表示部341は、第1無線通信部31を介して制御部43から取得した前方画像及び計測データを統合して表示画面に表示する。
【0024】
指定部342は、分岐路モードにおいて、操縦者の操作により表示部341の表示画面上の任意の位置を指定する。例えば、指定部342は、タッチパネルであって、タッチペンや指などで押下された表示画面上のタッチ位置(座標位置)を検出する。また、指定部342は、継続的に検出されるタッチ位置の変化(操作情報)から、ドラッグ操作を認識し、その認識したドラッグ操作の方向(以下、「操作方向」という、)を検出する。このドラッグ操作の方向とは、操縦者が、指定部342であるタッチパネルに触れた指を、そのタッチパネルに触れた状態のまま移動させた方向である。この方向は、分岐路モードにおいて、無人移動体Mを移動させる方向である。指定部342は、タッチ位置と操作方向とを第1無線通信部31を介して制御装置2に無線送信する。
【0025】
以下に、本発明の一実施形態に係る制御装置2の構成について、具体的に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る制御装置2の具体的な構成を示す図である。
【0026】
図2に示すように、制御装置2は、第2無線通信部41、位置情報取得部42、及び制御部43を備える。
【0027】
第2無線通信部41は、遠隔操縦装置3と無線通信することで、遠隔操縦装置3と情報を送受する。遠隔操縦装置3と無線通信する通信方式は、例えば、携帯電話回線網などの移動体通信網、無線パケット通信網、特定小電力無線、又は無線LANによる通信方式である。なお、第2無線通信部41は、遠隔操縦装置3と無線通信するための無線アンテナを含む。
【0028】
位置情報取得部42は、無人移動体Mの現在位置の情報(以下、「位置情報」という。)を取得する、例えば、GNSS/IMU装置である。具体的には、位置情報取得部42は、無人移動体Mの位置情報をグローバル座標で取得する。例えば、位置情報取得部42は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて、無人移動体Mの現在位置をグローバル座標で取得する。そして、位置情報取得部42は、取得した無人移動体Mの位置情報を制御部43に出力する。
【0029】
制御部43は、カメラ10が撮像した前方画像と、距離センサ11が計測した計測データとを、第2無線通信部41を介して遠隔操縦装置3に送信する。
【0030】
制御部43は、第2無線通信部41を介して遠隔操縦装置3から遠隔操縦モード信号を取得した場合には、遠隔操縦モードに移行する。そして、制御部43は、遠隔操縦モードに移行した場合には、第2無線通信部41を介して遠隔操縦装置3から取得した遠隔操縦指令に基づいて、無人移動体Mの走行を制御する。
【0031】
一方、制御部43は、第2無線通信部41を介して遠隔操縦装置3から分岐路モード信号を取得した場合には、分岐路モードに移行する。そして、制御部43は、分岐路モードに移行すると、第2無線通信部41を介して遠隔操縦装置3から取得したタッチ位置と操作方向とに基づいて、無人移動体Mを進入させるための分岐路を検出するとともに、その検出した分岐路に無人移動体Mを進入させる。
以下に、本発明の一実施形態に係る制御部43における分岐路モードでの動作を実行するための機能部について説明する。
【0032】
図2に示すように、制御部43は、環境地図作成部431、基準線生成部432、及び移動制御部433を備える。
【0033】
環境地図作成部431は、距離センサ11からの計測データに基づいて、無人移動体Mの周囲における2次元又は3次元の環境地図を作成する。図3は、本発明の一実施形態に係る制御部43が作成した環境地図を示す図である。
【0034】
基準線生成部432は、位置情報取得部42からの位置情報に基づいて、作成した環境地図上における自己位置を推定する。そして、基準線生成部432は、遠隔操縦装置3からタッチ位置と操作方向とを取得すると、環境地図上において基準線Rを作成する。この基準線Rは、無人移動体Mの現在位置から無人移動体Mの進行方向(以下、単に「進行方向」という。)に延びる第1基準線R1と、第1基準線R1の任意の位置で無人移動体Mが曲がるべき方向に延びる第2基準線R2とを備える。本実施形態では、基準線生成部432は、環境地図上において上記第1基準線R1を無人移動体Mの現在位置からタッチ位置まで延長する。また、基準線生成部432は、環境地図上において、上記第2基準線R2をタッチ位置から操作方向に延長する。本実施形態の操作方向は、進行方向に対して90°の方向である。すなわち、第2基準線R2は、第1基準線R1から進行方向に90°折れ曲がって延長された線である。ただし、本発明の操作方向は90°に限定されず、無人移動体Mが曲がるべき方向に応じて適宜設定される。その場合には、第2基準線R2は、第1基準線R1から進行方向に対して0°より大きく360°未満において適宜設定された角度で折れ曲がって延長された線であってよい。なお、以下の説明において、第1基準線R1と第2基準線R2との接続点を基準点を称する。
【0035】
ここで、第2基準線R2は、障害物Gに接触しない限り所定の長さdまで延長される。例えば、図3(a)に示すように、第2基準線R2が所定の長さdまで延長されている間に通行路をはずれ障害物G(建物の外壁等)に接触した場合には、第2基準線R2は所定の長さdまで延長されない。この場合には、無人移動体Mの曲がるべき方向に障害物Gが存在しており分岐路が存在しないことを示している。
一方、図3(b)に示すように、第2基準線R2が障害物Gに接触せずに所定の長さdまで延長できた場合には、無人移動体Mの曲がるべき方向に障害物Gが存在せず分岐路が存在していること示している。
【0036】
移動制御部433は、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できた場合には、無人移動体Mの曲がるべき方向に分岐路が存在していると判定し、当該方向に無人移動体Mを進入させる。例えば、移動制御部433は、タッチ位置を中心とした半径dの円の範囲内において、操作方向に障害物があるか否かを距離センサ11で判定することで、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できた否かを判定する。そして、移動制御部433は、その上記半径dの円の範囲内において、操作方向に障害物がないと判定した場合には、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できたと判定し、上記操作方向に障害物があると判定した場合には、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できなかったと判定する。
移動制御部433は、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できなかった場合には、無人移動体Mの曲がるべき方向に分岐路が存在していないと判定し、当該方向に無人移動体Mを進入させない。
【0037】
なお、制御部43は、無人移動体Mの曲がるべき方向に分岐路が存在していると判定し、当該方向に無人移動体Mを進入させた後は、分岐路モードを脱出し、遠隔操縦モードに移行させる。また、制御部43は、無人移動体Mの曲がるべき方向に分岐路が存在していないと判定した場合には、分岐路モードを脱出して遠隔操縦モードに移行させてもよいし、無人移動体Mの曲がるべき方向において分岐路の存在を検出して無人移動体Mを当該分岐路に進入させるまでは分岐路モードを継続してもよい。
【0038】
次に、本発明の一実施形態に係る分岐路モードにおける制御部43の動作について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る分岐路モードにおける制御部43の動作の流れを示す図である。なお、初期条件として無人移動体Mは直進していると仮定する。
【0039】
まず、制御部43は、距離センサ11からの計測データに基づいて、無人移動体Mの周囲の環境地図を作成する(ステップS101)。ただし、本発明はこれに限定されず、制御部43は、分岐路モードに移行する前において環境地図を作成していてもよい。
【0040】
制御部43は、遠隔操縦装置3からタッチ位置と操作方向とを取得すると(ステップS102)、作成した環境地図上において、無人移動体Mの位置からタッチ位置まで延長する第1基準線R1と、このタッチ位置から操作方向に延びる第2基準線R2とで構成される基準線Rを生成する(ステップS103)。そして、制御部43は、第2基準線R2を操作方向に延長する(ステップS104)。
【0041】
制御部43は、第2基準線R2が障害物Gに接触せずに所定の長さdまで延長できたか否かを判定する(ステップS105)。制御部43は、第2基準線R2が障害物Gに接触せずに所定の長さdまで延長できた場合には、タッチ位置(基準点O)に操作方向の分岐路が存在すると判定する(ステップS106)。すなわち、制御部43は、操縦者が指定部342で指定した位置(タッチ位置)に操作方向の分岐路が存在することを検出する。
【0042】
そして、制御部43は、検出した分岐路に無人移動体Mを進入させる(ステップS107)。例えば、操作方向が進行方向に対して右方向に90°の方向である場合には、制御部43は、タッチ位置において無人移動体Mを右折させることで、分岐路に進入させる。
【0043】
制御部43は、無人移動体Mを分岐路に進入させた後は、分岐路モードを脱出して遠隔操縦モードに移行する(ステップS108)。
一方、ステップS105において、制御部43は、第2基準線R2が障害物Gに接触してしまい所定の長さdまで延長できなかった場合には、タッチ位置に操作方向の分岐路が存在しないと判定する(ステップS109)。この場合には、制御部43は、無人移動体Mを分岐路に進入させずに直進を継続させ、分岐路モードを脱出して遠隔操縦モードに移行する。
【0044】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0045】
(変形例1)上記実施形態では、第2基準線R2が障害物Gに接触した場合には、分岐路モードを脱出して遠隔操縦モードに移行したが、これに限定されない。例えば、制御部43は、図5に示すように、制御部43は、基準線Rが無人移動体Mの移動に伴って環境地図上を移動するように設定する。そして、制御部43は、第2基準線R2が障害物Gに接触しても分岐路モードを継続し(図5(a))、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できた場合には(図5(b))、操作方向の分岐路が存在することを検出してもよい。この場合において、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できた時点での基準点は、タッチ位置とは異なる。
【0046】
(変形例2)上記実施形態では、制御部43は、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できた場合には、操作方向の分岐路が存在することを検出したが、これに限定されない。例えば、制御部43は、検出した分岐路の道路幅を環境地図上において計測し、その結果、無人移動体Mが通れる道路幅を有していれば操作方向における分岐路の存在を検出する。例えば、図6に示すように、制御部43は、基準線Rが無人移動体Mの移動に伴って環境地図上を移動するように設定する。そして、制御部43は、第2基準線R2が所定の長さdまで延長できた時点(図6(a))から当該第2基準線R2が障害物Rに接触することで所定の長さdまで延長できなくなった時点(図6(b))までの時間と、無人移動体Mの移動速度とから分岐路の道路幅rdを計測する。制御部43は、計測した道路幅rdが無人移動体Mが通れる程度の幅である閾値を超える場合には、操作方向において分岐路が存在することを検出する。制御部43は、操作方向において分岐路が存在することを検出した場合には、検出した分岐路に無人移動体Mを進入させる。
【0047】
(変形例3)上記実施形態では、基準線Rは、タッチ位置において操作方向に折れ曲がっているが、これに限定されず、任意の位置において操作方向に折れ曲がっていてもよい。すなわち、基準点Oは任意の位置に設定されていてもよい。換言すれば、第1基準線R1の長さは、タッチ位置に応じて設定されていてもよいし、任意の長さに設定されていてもよい。また、第1基準線R1の長さは、無人移動体Mの移動速度に応じて設定されてよい。例えば、無人移動体Mの移動速度が速くなるにつれて、第1基準線R1の長さが長くなるように設定される。
【0048】
(変形例4)上記実施形態では、撮像装置1は、カメラ10と距離センサ11とを備えているが、これに限定されない。例えば、表示装置34が距離センサ11で計測した計測データに基づいて無人移動体Mの前方を画像表示可能であれば、撮像装置1は、カメラ10を備える必要がない。
【0049】
(変形例5)上記実施形態において、制御部43は、環境地図上において基準線Rを生成している画像を、一定周期ごとに遠隔操縦装置3に無線送信し、表示部341に表示させてもよい。
【0050】
(変形例6)上記実施形態において、遠隔操縦装置3は、設置型であってもよいし、携帯型であってもよい。例えば、遠隔操縦装置3は、操縦者に装着して使用される。
となっている。
【0051】
上述したように、制御装置2は、計測装置が計測したデータに基づいて作成した環境地図上において、任意の方向に基準線R(第2基準線R2)を生成し、この生成した基準線Rが障害物に接触せずに所定の長さdまで延長できた場合には、基準線Rが生成された方向に無人移動体Mを移動させる。
【0052】
このように構成すれば、分岐路に進入する際にセンサ情報に基づく分岐路認識を簡素化することができ、従来と比較して、分岐路を認識する処理を軽減することができる。そのため、分岐路認識における処理が重くなることによって発生する分岐路の見落しを抑制し、無人移動体を所望の分岐路へ確実に進入させることが可能となる。
また、本実施形態に係る遠隔操縦システムAは、従来のような環境地図から分岐路を抽出する処理が不要となり、センサ性能に左右されずに無人移動体を所望の分岐路へ確実に進入させることができる。
【符号の説明】
【0053】
A 遠隔操縦システム
M 無人移動体
1 撮像装置
2 制御装置
3 遠隔操縦装置
11 距離センサ(計測装置)
43 制御部
342 指定部
431 環境地図作成部
432 基準線生成部
433 移動制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6