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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】チケットホルダ付き車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
B60J3/02 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018105070
(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2019209726
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 重明
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1676749(EP,A1)
【文献】特開2004-34900(JP,A)
【文献】特開2003-291641(JP,A)
【文献】特開2003-165333(JP,A)
【文献】特開2004-82802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
B60R 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
板状のバイザ本体と、
ミラーを保持しかつ前記バイザ本体に装着されるミラー枠と、
前記バイザ本体と協働してチケットを保持するように構成されたチケットホルダを有し、
前記チケットホルダは、金属製の金属クリップと、樹脂製の樹脂クリップを有し、
前記金属クリップは、前記バイザ本体に直接取付けられる金属取付片と、前記金属取付片から前記バイザ本体の表面に沿って延出する金属保持片を有し、
前記樹脂クリップは、前記ミラー枠の一端から延出して前記金属保持片を覆う樹脂カバー部と、前記樹脂カバー部の先端部を前記金属保持片の先端部に取付ける先端取付部を有する、チケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
前記金属保持片は、前記ミラー枠から離れる方向に前記バイザ本体の表面に沿って延出しかつ前記バイザ本体の厚み方向に前記バイザ本体に向けて斜めに延出する保持片本体と、前記保持片本体の先端から前記バイザ本体の表面に沿って延出しかつ前記バイザ本体の厚み方向に前記バイザ本体から離れる方向に斜めに延出する保持片先端部を有し、
前記樹脂クリップの前記先端取付部は、前記金属保持片の前記保持片先端部の先方を覆い、かつ前記保持片先端部が挿入される保持溝を有する、チケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のチケットホルダ付き車両用サンバイザであって、
前記バイザ本体は、前記ミラー枠が設置されるミラー枠設置部と、前記ミラー枠設置部から前記金属クリップの前記金属取付片が挿入される金属クリップ挿入部と、前記ミラー枠設置部から前記ミラー枠の取付爪が挿入される爪挿入部を有し、
前記金属取付片は、前記ミラー枠から離れる方向に延出するスリットを有し、
前記バイザ本体は、前記スリットにスライド可能に突入する凸部を有し、
前記スリットと前記凸部は、前記樹脂クリップが前記金属クリップに取付けられた状態で、前記金属クリップを前記ミラー枠とともに取外し方向に移動させた際に、前記金属クリップが前記バイザ本体から外れることを防止するように構成され、
前記スリットは、前記樹脂クリップが前記金属クリップに取付けられた状態で、前記金属クリップを前記ミラー枠とともに取外し方向に移動させた際に、前記ミラー枠の前記取付爪が前記バイザ本体の前記爪挿入部から外れる程度に長い、チケットホルダ付き車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チケットホルダ付き車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
種々のタイプの車両用サンバイザが従来知られており、例えば特許文献1,2に記載の車両用サンバイザが知られている。特許文献1に記載の車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体に取付けられたミラーと、ミラーの左右両側に設けられたチケットホルダを有する。各チケットホルダは、ミラーの外周を覆うミラー枠の左辺または右辺から外方に延出する。チケットホルダとバイザ本体の間に駐車券等の薄手のチケットが挿入されてチケットホルダがチケットを保持する。チケットホルダは、ミラー枠と同様に樹脂製である。
【0003】
特許文献2に記載の車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体に取付けられたミラーユニットと、ミラーユニットに隣接したチケットホルダを有する。チケットホルダは、バイザ本体に取付けられる取付片と、取付片に平行な表片と、取付片の一側部と表片の一側部を連結する連結部を有する。表片がバイザ本体の表面に沿って配設され、表片とバイザ本体の間にチケットホルダが挿入される。これによりチケットがチケットホルダの表片とバイザ本体によって保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国実用新案第29701047号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1676749号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のチケットホルダは、樹脂製であるため、経時的に変形する場合がある。具体的には、夏場などに車内が繰り返し高温になることでチケットホルダが変形する場合がある。変形の結果、チケットホルダによるチケットの保持力が低下してしまう。特許文献2に記載のチケットホルダは、金属製である。金属製のチケットホルダは、金属成形品特有のエッジ(角部)が露出するおそれがある。そのため安全を考慮して金属エッジが露出しないような構造を設ける必要がある。そこで経時的に変形することが抑制され、かつ金属エッジが露出しないチケットホルダを備える車両用サンバイザが従来必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、ミラーを保持しかつバイザ本体に装着されるミラー枠と、チケットホルダを有する。チケットホルダは、バイザ本体と協働してチケットを保持するように構成される。チケットホルダは、金属製の金属クリップと、樹脂製の樹脂クリップを有する。金属クリップは、バイザ本体に直接取付けられる金属取付片と、金属取付片からバイザ本体の表面に沿って延出する金属保持片を有する。樹脂クリップは、ミラー枠の一端から延出して金属保持片を覆う樹脂カバー部と、樹脂カバー部の先端部を金属保持片の先端部に取付ける先端取付部を有する。
【0007】
したがって高温の状態が繰り返して加わると樹脂クリップが経時的に変形するおそれがある。しかし樹脂クリップが変形したとしても、チケットホルダは、繰り返し高温に対して変形し難い金属クリップを含んでいる。そのためチケットホルダは、繰り返し高温の状態に曝されても、全体としては経時的な変形が少なく、チケットを保持できる。樹脂クリップが金属クリップを覆っているために、金属クリップのエッジが樹脂クリップによって露出しない。これにより相手部材等が傷付くことを防止できる。金属クリップは、ミラー枠ではなく、バイザ本体に取付けられる。したがってチケットホルダを使用することで加わる力は、金属クリップを経てバイザ本体に保持される。その結果、ミラー枠に伝わる力が減少し、ミラー枠が変形することが防止される。
【0008】
チケットホルダは、一般に薄肉であって、金属部材を樹脂部材にインサート成形することで形成することは困難な構造である。これに対して本開示の構成は、樹脂クリップと金属クリップが別部材である。しかも樹脂クリップは、ミラー枠から延出し、先端部が金属クリップに連結される。そのため樹脂クリップが金属クリップに容易かつ確実に連結される。樹脂クリップと金属クリップは、先端同士が取付けられる。したがって樹脂クリップは、先端において金属クリップから力を受けるために金属クリップと協働して大きなトルクを発生する。そのためチケットホルダは、樹脂クリップと金属クリップの協働によって強い力でチケットを保持できる。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、金属保持片は、保持片本体と保持片先端部を有する。保持片本体は、ミラー枠から離れる方向にバイザ本体の表面に沿って延出しかつバイザ本体の厚み方向にバイザ本体に向けて斜めに延出する。保持片先端部は、保持片本体の先端からバイザ本体の表面に沿って延出しかつバイザ本体の厚み方向にバイザ本体から離れる方向に斜めに延出する保持片先端部を有する。樹脂クリップの先端取付部は、金属保持片の保持片先端部の先方を覆い、かつ保持片先端部が挿入される保持溝を有する。
【0010】
したがって樹脂クリップの保持溝に金属クリップの先端が挿入されることで、樹脂クリップの先端と金属クリップの先端が一体化される。そのため簡易な構造で両クリップの先端が一体になる。保持片先端部は、バイザ本体から離れる方向にバイザ本体に対して斜めに延出する。そのため保持片先端部が保持溝に対して抜ける方向に移動すると、保持片本体と保持片先端部の連結部がバイザ本体に当たる。これにより保持片先端部が保持溝に対して抜けることが抑制される。したがって金属クリップの保持片先端部が樹脂クリップの保持溝から抜け難い。
【0011】
本開示の他の1つの特徴によると、バイザ本体は、ミラー枠が設置されるミラー枠設置部と、金属クリップ挿入部と、爪挿入部を有する。金属クリップ挿入部は、ミラー枠設置部から金属クリップの金属取付片が挿入される。爪挿入部は、ミラー枠設置部からミラー枠の取付爪が挿入される。金属取付片は、ミラー枠から離れる方向に延出するスリットを有する。バイザ本体は、スリットにスライド可能に突入する凸部を有する。スリットと凸部は、樹脂クリップが金属クリップに取付けられた状態で、金属クリップをミラー枠とともに取外し方向に移動させた際に、金属クリップがバイザ本体から外れることを防止するように構成される。スリットは、樹脂クリップが金属クリップに取付けられた状態で、金属クリップをミラー枠とともに取外し方向に移動させた際に、ミラー枠の取付爪がバイザ本体の爪挿入部から外れる程度に長い。
【0012】
したがってバイザ本体に対してミラー枠と金属クリップを容易に組み付けることができる。詳しくは、金属クリップをバイザ本体に装着する。金属クリップに樹脂クリップを取付ける。樹脂クリップが設けられたミラー枠とともに金属クリップをバイザ本体に対してスライドさせる。これによりミラー枠の取付爪を爪挿入部へ挿入できる位置へ移動させることができる。この時、金属クリップがバイザ本体から抜けることが防止される。その状態で取付爪を爪挿入部へ挿入しつつ、金属クリップとミラー枠をバイザ本体に対して取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】乗用車の室内と、室内に設けられたチケットホルダ付き車両用サンバイザの斜視図である。
図2】車両用サンバイザの斜視図である。
図3】車両用サンバイザの上面図である。
図4図3のIV-IV線矢視断面図である。
図5図3のV-V線矢視断面図である
図6図3のVI-VI線矢視断面図である。
図7】ミラーユニットの分解斜視図である。
図8】ミラーユニットの分解側面図である。
図9】バイザ本体、金属クリップ、ミラーユニットの斜視図である。
図10図9のX-X線矢視断面図である。
図11】ミラーユニットの一部、樹脂クリップ、金属クリップの表面側からの分解斜視図である。
図12】ミラーユニットの一部、樹脂クリップ、金属クリップの裏面側からの分解斜視図である。
図13】ミラーユニットと金属クリップの分解上面図である。
図14】ミラーユニットと金属クリップの分解裏面図である。
図15】金属クリップをバイザ本体に取り付けた状態を示す斜視図である。
図16図15のXVI-XVI線矢視断面図である。
図17】金属クリップにミラーユニットを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1に示すように車両用サンバイザ1は、バイザ本体2と、バイザ本体2に装着された支軸30とサポート軸32を備える。支軸30は、長軸状でかつ直線状の横軸30aと、横軸30aの基端部側に設けられた縦軸30bとから略L字状である。縦軸30bは、車室の天井面にブラケット31によって軸心回りに回転可能に連結される。横軸30aは、バイザ本体2の上辺に挿入され、バイザ本体2は、横軸30aを中心に回転できる。
【0015】
図1に示すようにサポート軸32は、横軸30aと同軸の位置においてバイザ本体2に設けられる。バイザ本体2は、図1に示すように車室の天井面に沿う格納位置Kと車室のフロントガラス41に沿う使用位置P間で支軸30(横軸30a)の軸心回りに回転可能である。バイザ本体2は、縦軸30b回りに回転させることで、図1の二点鎖線に示すようにドアの窓8の位置まで移動させることができる。
【0016】
図4~6に示すようにバイザ本体2は、中空板状であって第1殻体2aと第2殻体2bと、第1殻体2aと第2殻体2bの表面を覆う表皮2cを有する。図9に示すように第1殻体2aには、厚み方向でバイザ本体2の内部に向かって凹み、矩形状に形成されたミラー枠設置部2dが形成されている。ミラー枠設置部2dの側面2eには2つの爪挿入部2fと金属クリップ挿入部2gが形成される。側面2eは、ミラー枠設置部2dのブラケット31から遠い側に位置する。
【0017】
図9に示すように2つの爪挿入部2fは、矩形穴状である。爪挿入部2fは、ミラー枠設置部2dの側面2eの上部と下部のそれぞれに位置する。金属クリップ挿入部2gは、横長で厚みの薄い穴状である。金属クリップ挿入部2gは、側面2eの中央位置で表面近傍に位置する。図4,6,16に示すように金属クリップ挿入部2gの入口付近に凸部2hが形成されている。凸部2hは、第1殻体2aの裏面からバイザ本体2の内部に向けて突出する。
【0018】
図2,7,8に示すように車両用サンバイザ1は、ミラーユニット3とチケットホルダ6を有する。ミラーユニット3は、矩形状のミラー枠10と、板状のミラー11と、ミラー蓋12を有する。ミラー11は、表面にミラー面11aを有する。ミラー枠10は、枠部10aと側壁10dを有する。枠部10aは、二つの長辺10bと、二つの短辺10cを有する長方形状である。1つの短辺10cには、樹脂クリップ5が一体に形成されている。例えばミラー枠10と樹脂クリップ5は、樹脂製の一部材で形成される。樹脂クリップ5は、短辺10cからミラー枠10から遠ざかる方向に延出する。
【0019】
図7,8に示すようにミラー枠10の長辺10bに沿って側壁10dが形成され、側壁10dにガイド溝10fが形成される。側壁10dは、長辺10bから下方に突出する。上下ガイド溝10fは、左右方向に延出し、ミラー蓋12の上下辺をスライド可能に支持する。ミラー枠10は、バイザ本体2に取付くための一対の取付爪10eを有する。取付爪10eは、側壁10dの上部と下部に位置し、側壁10dからミラー枠10の外方に向かって突出する。
【0020】
図7,8に示すようにミラー蓋12は、板状で、例えば樹脂で形成される。ミラー蓋12は、平板状のミラー蓋本体12aと、取手部12bを有する。ミラー蓋本体12aの上下側縁にはガイド部12cと樹脂ばね12dが形成される。ガイド部12cは、ミラー枠10のガイド溝10fに挿入されてミラー枠10に対してスライド可能に支持される。樹脂ばね12dは、ミラー蓋本体12aの上下側縁から突出し、ミラー枠10に対して当たることで適度のスライド抵抗を付与する。
【0021】
図2に示すようにチケットホルダ6は、バイザ本体2と協働してチケット50を保持するために利用される。チケット50は、例えば切符、入場券などの他、薄肉の板状部材を含む。チケット50は、紙製、樹脂製、金属製等材質を問わない。チケットホルダ6は、先端部がバイザ本体2から離れ、バイザ本体2との間にチケット50を挿入容易とする隙間を形成する。
【0022】
図4,9に示すようにチケットホルダ6は、金属クリップ4と樹脂クリップ5を有する。図11~14に示すように樹脂クリップ5は、樹脂製であって、樹脂カバー部5aと先端取付部5bを有する。樹脂カバー部5aは、ミラー枠10の1つの短辺10cに連結される基端部5cと、短辺10cから離れる方向に基端部5cから延出する2本のカバー本体5dを有する。図4に示すようにカバー本体5dは、基端部5cからバイザ本体2に沿って延出し、バイザ本体2に向けて厚み方向にバイザ本体2に向けて斜めに延出する。カバー本体5dは、カバー本体5dの側方に沿って立設される側方壁5jを有する。図11~14に示すようにカバー本体5dは先端に向けて互いの距離が近くなっていくように形成されている。樹脂カバー部5aの中央には開口部5eが形成される。開口部5eは、基端部5cと2本のカバー本体5dと先端取付部5bによって囲われる。
【0023】
図4,11,12に示すように樹脂クリップ5の先端取付部5bは、金属クリップ4の先端が挿入される保持溝5iを有する。保持溝5iは、先端取付部5bの上カバー部5fと先端部5gと下カバー部5hによって形成される。上カバー部5fは、カバー本体5dの先端から延出し、バイザ本体2から離れる方向に斜めに延出する。下カバー部5hは、上カバー部5fと並設され、上カバー部5fよりもバイザ本体2の近傍に位置する。先端部5gは、上カバー部5fの先端と下カバー部5hの先端を連結する。保持溝5iは、開口部5eに向けて開口し、基端部5cから先端取付部5bに向けて移動する金属クリップ4の先端を受け入れる。
【0024】
図11~14に示すように金属クリップ4は、金属板状であって、金属取付片4aと金属保持片4bと連結片4cを有する。金属取付片4aと金属保持片4bは、対面し並設される。金属取付片4aの一端片と金属保持片4bの一端片が連結片4cによって連結される。金属取付片4aの中央にはスリット4eが形成される。スリット4eは、連結片4c近傍から連結片4cから離れる方向に延出する。スリット4eの長さは、ミラー枠10の取付爪10eよりも長く設定される。図4に示すように金属取付片4aがバイザ本体2に装着されることで、スリット4eにバイザ本体2の凸部2hが挿入される。
【0025】
図11~14に示すように金属保持片4bは、連結片4cの上端から金属取付片4aと同じ方向に延出する。金属保持片4bは、二本の保持片本体(保持腕)4fと、保持片先端部4gを有する。保持片本体4fは、連結片4cから金属取付片4aに沿って延出するとともに金属取付片4aに向けて斜めに延出する。保持片先端部4gは、2つの保持片本体4fの端部を連結し、金属取付片4aから離れる方向に保持片本体4fから斜めに延出する。金属保持片4bは、中央に開口部4hを有する。開口部4hは、保持片本体4fと保持片先端部4gによって囲われる。保持片先端部4gが樹脂クリップ5の保持溝5iに挿入されることで、金属クリップ4の先端と樹脂クリップ5の先端が連結される。
【0026】
バイザ本体2に金属クリップ4とミラーユニット3を組み付ける方法について説明する。図15~17に示すようにバイザ本体2に金属クリップ4を組付け、次にバイザ本体2にミラーユニット3を組み付ける。詳しくは、バイザ本体2の金属クリップ挿入部2g(図9参照)に金属クリップ4の金属取付片4aを挿入する。金属クリップ4のスリット4eの中にバイザ本体2の凸部2hが突入する。これによりスリット4eと凸部2hはバイザ本体2に装着された金属クリップ4がバイザ本体2から抜けることが防止する。
【0027】
図15~17に示すように金属クリップ4は、金属取付片4aがバイザ本体2にその半分が入った状態で仮保持する。金属クリップ4の保持片先端部4gにミラー枠10と一体となった樹脂クリップ5の先端取付部5bを取り付ける。具体的には、図4,11,12に示すように、樹脂クリップ5が金属クリップ4に対して保持片先端部4gから連結片4cに向けて(図17の左方向)に移動させる。これにより先端取付部5bの保持溝5iに金属クリップ4の保持片先端部4gが挿入される。
【0028】
図17の左方向に移動すると、金属クリップ4のスリット4eの端部がバイザ本体2の凸部2hに当接する。これにより金属クリップ4がバイザ本体2に対して取外し方向に最大量移動した場所に位置する。この時、ミラー枠10の取付爪10eは、バイザ本体2の爪挿入部2fに挿入できる待機場所に位置する。ミラーユニット3をバイザ本体2に対して取付け方向(図17の矢印方向)に移動させることで、取付爪10eがバイザ本体2の爪挿入部2fに挿入される。これにより金属クリップ4は、樹脂クリップ5に取り付けられた状態で、ミラーユニット3と共にバイザ本体2に組み付けられる。
【0029】
図3,4に示すようにチケットホルダ6は、金属製の金属クリップ4と、樹脂製の樹脂クリップ5を有する。金属クリップ4は、バイザ本体2に直接取付けられる金属取付片4aと、金属取付片4aからバイザ本体2の表面に沿って延出する金属保持片4bを有する。樹脂クリップ5は、ミラー枠10の一端から延出して金属保持片4bを覆う樹脂カバー部5aと、樹脂カバー部5aの先端部5gを金属保持片4bの保持片先端部4gに取付ける先端取付部5bを有する。
【0030】
したがって高温の状態が繰り返して加わると樹脂クリップ5が経時的に変形するおそれがある。しかし樹脂クリップ5が変形したとしても、チケットホルダ6は、繰り返し高温に対して変形し難い金属クリップ4を含んでいる。そのためチケットホルダ6は、繰り返し高温の状態に曝されても、全体としては経時的な変形が少なく、チケットを保持できる。樹脂クリップ5が金属クリップ4を覆っているために、金属クリップ4のエッジが樹脂クリップ5によって露出しない。これにより相手部材等が傷付くことを防止できる。金属クリップ4は、ミラー枠10ではなく、バイザ本体2に取付けられる。したがってチケットホルダ6を使用することで加わる力は、金属クリップ4を経てバイザ本体2に保持される。その結果、ミラー枠10に伝わる力が減少し、ミラー枠10が変形することが防止される。
【0031】
チケットホルダ6は、一般に薄肉であって、金属部材を樹脂部材にインサート成形することで形成することは困難である。これに対して本開示の構成は、図4,11に示すように樹脂クリップ5と金属クリップ4が別部材である。しかも樹脂クリップ5は、ミラー枠10から延出し、先端部が金属クリップ4に連結される。そのため樹脂クリップ5が金属クリップ4に容易かつ確実に連結される。図4,5に示すように樹脂クリップ5と金属クリップ4は、先端同士が取付けられる。したがって樹脂クリップ5は、先端において金属クリップ4から力を受けるために金属クリップ4と協働して大きなトルクを発生する。そのためチケットホルダ6は、樹脂クリップ5と金属クリップ4の協働によって強い力でチケット50を保持できる。
【0032】
図4に示すように金属保持片4bは、保持片本体4fと保持片先端部4gを有する。保持片本体4fは、ミラー枠10から離れる方向にバイザ本体2の表面に沿って延出しかつバイザ本体2の厚み方向にバイザ本体2に向けて斜めに延出する。保持片先端部4gは、保持片本体4fの先端からバイザ本体2の表面に沿って延出しかつバイザ本体2の厚み方向にバイザ本体2から離れる方向に斜めに延出する保持片先端部4gを有する。図11~14に示すように、樹脂クリップ5の先端取付部5bは、金属保持片4bの保持片先端部4gの先方を覆い、かつ保持片先端部4gが挿入される保持溝5iを有する。
【0033】
したがって樹脂クリップ5の保持溝5iに金属クリップ4の先端(保持片先端部4g)が挿入されることで、樹脂クリップ5の先端(上カバー部5f、先端部5g及び下カバー部5hから形成される先端取付部5b)と金属クリップ4の先端(保持片先端部4g)が一体化される。そのため簡易な構造で両クリップの先端が一体になる。保持片先端部4gは、バイザ本体2から離れる方向にバイザ本体2に対して斜めに延出する。そのため保持片先端部4gが保持溝5iに対して抜ける方向に移動すると、保持片本体4fと保持片先端部4gの連結部がバイザ本体2に当たる。これにより保持片先端部4gが保持溝5iに対して抜けることが抑制される。したがって金属クリップ4の保持片先端部4gが樹脂クリップ5の保持溝5iから抜け難い。
【0034】
図9,15~17に示すようにバイザ本体2は、ミラー枠10が設置されるミラー枠設置部2dと、金属クリップ挿入部2gと、爪挿入部2fを有する。金属クリップ挿入部2gは、ミラー枠設置部2dから金属クリップの金属取付片4aが挿入される。爪挿入部2fは、ミラー枠設置部2dからミラー枠10の取付爪10eが挿入される。金属取付片4aは、ミラー枠から離れる方向に延出するスリット4eを有する。バイザ本体2は、スリット4eにスライド可能に突入する凸部2hを有する。スリット4eと凸部2hは、樹脂クリップ5が金属クリップ4に取付けられた状態で、金属クリップ4をミラー枠10とともに取外し方向に移動させた際に、金属クリップ4がバイザ本体2から外れることを防止するように構成される。スリット4eは、樹脂クリップ5が金属クリップ4に取付けられた状態で、金属クリップ4をミラー枠10とともに取外し方向に移動させた際に、ミラー枠10の取付爪10eがバイザ本体2の爪挿入部2fから外れる程度に長い。
【0035】
したがってバイザ本体2に対してミラー枠10と金属クリップ4を容易に組み付けることができる。具体的には、金属クリップ4はバイザ本体2の凸部2hによってバイザ本体2から抜けることが防止される。その状態で取付爪10eを爪挿入部2fへ挿入しつつ、金属クリップとミラー枠をバイザ本体に対して取付けることができる。また、スリット4eの長さは、ミラー枠10の取付爪10eよりも長く設定されている。このため、金属クリップ4を金属クリップ挿入部2gに半入れした状態で、金属クリップ4の保持片先端部4gに、樹脂クリップ5の先端取付部5bを取り付けた場合、取付爪10eは爪挿入部から外れた状態になる。したがって、スムーズにバイザ本体に金属クリップ4と、ミラー枠10(ミラーユニット3)を取り付けやすい。
【0036】
図4に示すように樹脂クリップ5の樹脂カバー部5aは、金属クリップ4の金属保持片4bの全周をバイザ本体2の反対側から覆う。これにより金属クリップ4の金属エッジを確実に覆うことができる。具体的には、図6,12に示すように金属クリップ4の表面はカバー本体5dによって覆われる。金属クリップ4の側方は側方壁5jによって覆われる。図4に示すように保持片先端部4gは、保持溝5iを形成する上カバー部5f、先端部5g、下カバー部5hによって覆われている。
【0037】
本発明は、上述した実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本考案の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。バイザ本体2の殻体は、2つの部材から構成され、中空板状である。これに代えてバイザ本体2の殻体は、一つの部材から構成される中空板状、あるいは中実板状でも良い。バイザ本体2の殻体の材質は、硬質の樹脂材でも良いし、発泡ポリプロピレン製の発泡性樹脂材でも良い。
【0038】
ミラーユニット3は、図2に示すようにミラー枠10にスライド可能に設けられたミラー蓋12を有する。これに代えてミラーユニット3は、ミラー枠10の一辺、例えば上辺、下辺、左辺のいずれかに回転可能に連結されるミラー蓋を有していても良い。このようなミラー蓋は、ミラー枠に対して回転することでミラーを覆う閉じ位置と、ミラーを露出させる開き位置に移動する。あるいはミラーユニット3は、ミラー蓋12を有していなくても良い。
【0039】
樹脂クリップ5は、図2,7,8に示すようにミラー枠10の1つの短辺10cから延出する。これに代えて樹脂クリップ5は、ミラー枠10の長辺10bから延出しても良い。樹脂クリップ5とミラー枠10は、1つの部材から構成される。これに代えて、樹脂クリップ5は、ミラー枠10と別部材で形成されて、ミラー枠10に取付けられても良い。
【0040】
樹脂クリップ5は、図4,11,12に示すように先端取付部5bに形成された保持溝5iを有する。これに代えて樹脂クリップ5は、先端取付部5bに金属クリップの保持片先端部4gに係合する係合爪、または保持片先端部4gに形成された凸部が挿入される係合凹部を有していても良い。
【0041】
金属クリップ4の金属保持片4bは、図4,16に示すように金属クリップ挿入部2gからバイザ本体2に挿入されることでバイザ本体2に取付けられる。これに代えて金属保持片4bは、バイザ本体2に設けられた金属板等の保持板に取付けられても良い。
【0042】
金属クリップ4は、図4に示すようにバイザ本体2の厚み方向に屈曲、すなわち側面視において屈曲する。これに代えて金属クリップ4は、側面視において略直線状であっても良い。金属クリップ4は、図11に示すように中央に開口部4hを有する。これに代えて金属クリップ4は、開口部4hを有していなくても良い。
【0043】
図14,16に示すように金属取付片4aがスリット4eを有し、バイザ本体2がスリット4eにスライド可能に突入する凸部2hを有する。これに代えて金属取付片4aが凸部を有し、バイザ本体2が、凸部が挿入されるスリットを有していても良い。これによって金属取付片4aがバイザ本体2に対してスライド可能でかつ抜け止め可能に取付けられても良い。
【0044】
図15~17に示すように、バイザ本体2に金属クリップ4を組み付けてから、金属クリップ4にミラー枠10に形成された樹脂クリップ5を組み付けている。これに代えて、図12の矢印でしめすように、樹脂クリップ5に金属クリップ4を組み付けてから、樹脂クリップ5と金属クリップ4を一体としたままで、金属クリップ4とミラーユニット3を同時にバイザ本体2に組み付けても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 車両用サンバイザ
2 バイザ本体
2d ミラー枠設置部
2f 爪挿入部
2g 金属クリップ挿入部
2h 凸部
4 金属クリップ
4a 金属取付片
4b 金属保持片
4e スリット
4f 保持片本体(保持腕)
4g 保持片先端部
5 樹脂クリップ
5a 樹脂カバー部
5b 先端取付部
5i 保持溝
6 チケットホルダ
10 ミラー枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
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図16
図17