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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20220221BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20220221BHJP
   F24H 1/00 20220101ALN20220221BHJP
【FI】
F01K23/10 N
F01N5/02 J
F24H1/00 631B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018108568
(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公開番号】P2019210882
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000222956
【氏名又は名称】東洋熱工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌雄
(72)【発明者】
【氏名】立岩 一真
(72)【発明者】
【氏名】村澤 達
(72)【発明者】
【氏名】丸山 良男
(72)【発明者】
【氏名】栗原 英明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳昭
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-270678(JP,A)
【文献】特開2007-146726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/10
F01N 5/02
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機を有するコージェネレーションシステムを含んでエネルギー負荷設備に電力及び/又は熱を供給する熱源機器を制御する制御システムであって、
前記コージェネレーションシステムの稼働を制御する稼働制御手段と、
前記発電機からの排熱から回収された回収熱量を計測する回収熱量計測手段と、
該回収熱量計測手段によって計測された前記回収熱量から排熱利用パラメータを算出する排熱利用パラメータ算出手段と、
前記排熱利用パラメータのしきい値を定めるしきい値決定手段と、を備え、
該しきい値決定手段は、
前記コージェネレーションシステムの省エネルギー率の第1期間における計画値である省エネ率計画値と、
前記第1期間に含まれる第2期間において実測された前記排熱利用パラメータに少なくとも基づいて算出される前記第1期間における前記省エネルギー率の予測値である省エネ率予測値と、に少なくとも基づいて前記しきい値を定め、
前記稼働制御手段は、前記しきい値決定手段が定めた前記しきい値と前記排熱利用パラメータ算出手段により算出された前記排熱利用パラメータとを比較して、前記排熱利用パラメータが前記しきい値よりも大きいときに前記コージェネレーションシステムを運転状態に制御することを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記しきい値決定手段は、前記省エネ率予測値が前記省エネ率計画値よりも小さい場合には、前記省エネ率予測値が前記省エネ率計画値よりも大きい場合よりも、前記しきい値を大きく定める請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記しきい値決定手段は、
前記コージェネレーションシステムによる省エネルギー量の前記第1期間における計画値である省エネ量計画値と、
前記第2期間において実測された前記省エネルギー量の実測値から定められる前記第1期間における前記省エネルギー量の予測値である省エネ量予測値と、に更に基づいて前記しきい値を定める請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記しきい値決定手段は、前記省エネ量予測値が前記省エネ量計画値よりも小さい場合には、前記省エネ量予測値が前記省エネ量計画値よりも大きい場合よりも、前記しきい値を小さく定める請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記エネルギー負荷設備に供給する電力及び/又は熱を供給するために、前記コージェネレーションシステムを運転する際の第1予測コストと、
前記コージェネレーションシステムを用いずに、電力を購入及び/又はボイラを運転する際の第2予測コストと、を算出するコスト算出手段を更に備え、
前記稼働制御手段は、前記コスト算出手段が算出した前記第1予測コストが前記第2予測コストよりも小さいときに前記コージェネレーションシステムの運転状態に制御する請求項1から4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記エネルギー負荷設備の電力需要を経時的に計測する電力需要計測手段を更に備え、
前記しきい値決定手段は、前記電力需要に係る電力需要しきい値を更に定め、
前記稼働制御手段は、
前記電力需要しきい値と前記電力需要計測手段によって実測された前記電力需要と、を比較して、前記排熱利用パラメータのしきい値による制御よりも優先的に、前記コージェネレーションシステムを運転状態と停止状態とに制御し、
前記電力需要が前記電力需要しきい値よりも小さいときに前記コージェネレーションシステムを停止する請求項1から5のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記稼働制御手段は、前記コージェネレーションシステムその他の前記熱源機器の稼働制御を行うものであり、前記熱源機器について異なる運転優先順位が定められた複数のパターンで前記熱源機器の稼働制御を行う請求項1から6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記稼働制御手段は、夜間において、前記熱源機器が消費するエネルギーとして、ガスエネルギーよりも電気エネルギーを優先するように前記熱源機器を稼働制御する請求項7に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに係り、特に、エネルギー負荷設備に電力及び/又は熱を供給する熱源機器を制御する制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有限のエネルギー資源の消費を抑えるべく、省エネルギー性の高い熱源機器が多く普及している。例えば、このような熱源機器を構成するものとして、発電機による発電による電力の供給と、発電によって生じる排気熱を利用した熱の供給とを行うことで、エネルギーの総合効率が高いコージェネレーションシステムが知られている。そしてコージェネレーションシステムは、オフィス、工場、病院等あらゆる建物にコンスタントに普及している。
【0003】
このようなコージェネレーションシステムを好適に制御する技術として、特許文献1には、コージェネレーションシステムの省エネルギー性の向上及び稼働率の向上を両立するために技術が開示されている。より具体的には、同文献には、電力需要に応じて運転を行う電主運転と、電力需要に加えて熱需要があるときに運転を行う熱主運転を切り換えることで、目標省エネ率に収束させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-146726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、熱主運転でコージェネレーションシステムを稼働させたときに、電力需要と熱需要があれば、熱需要の量にかかわらずコージェネレーションシステムが稼働し続けることとなる。このため、熱需要が回収可能な熱量に比べて小さい場合には、目標省エネ率に収束することはおろか、省エネルギー率を高めることができないことがあった。このように、省エネルギー率といった省エネルギー性を高める観点からの効果的な熱源機器の使用に関して、なお改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、高い省エネルギー性を発揮できるように、熱源機器の運転状態を制御する制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御システムは、発電機を有するコージェネレーションシステムを含んでエネルギー負荷設備に電力及び/又は熱を供給する熱源機器を制御する制御システムであって、前記コージェネレーションシステムの稼働を制御する稼働制御手段と、前記発電機からの排熱から回収された回収熱量を計測する回収熱量計測手段と、該回収熱量計測手段によって計測された前記回収熱量から排熱利用パラメータを算出する排熱利用パラメータ算出手段と、前記排熱利用パラメータのしきい値を定めるしきい値決定手段と、を備え、該しきい値決定手段は、前記コージェネレーションシステムの省エネルギー率の第1期間における計画値である省エネ率計画値と、前記第1期間に含まれる第2期間において実測された前記排熱利用パラメータに少なくとも基づいて算出される前記第1期間における前記省エネルギー率の予測値である省エネ率予測値と、に少なくとも基づいて前記しきい値を定め、前記稼働制御手段は、前記しきい値決定手段が定めた前記しきい値と前記排熱利用パラメータ算出手段により算出された前記排熱利用パラメータとを比較して、前記排熱利用パラメータが前記しきい値よりも大きいときに前記コージェネレーションシステムを運転状態に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の制御システムによれば、第1期間における省エネルギー率がその計画値を超えることができるように、発電によって生じた熱を効率的に利用してコージェネレーションシステムを運転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ユーザーの施設に設けられた熱源機器及び制御システム周りの構成を示す模式的な全体構成図である。
図2】熱源機器のエネルギーフローを示す模式図である。
図3】制御部の内部構成要素を示す模式図である。
図4】制御部の制御フローを示す図である。
図5】コージェネレーションシステムの発停制御を示すフロー図である。
図6】コージェネレーションシステムの発停制御のうち、コスト抑制又は一次エネルギーの消費抑制に係る制御を示すフロー図である。
図7】コージェネレーションシステムの計画運転時間とコージェネレーションシステムの予測運転時間との関係性を示す図である。
図8】(a)は、予測された年間省エネルギー量と排熱利用率しきい値との関係性を示す図である。(b)は、予測された年間省エネルギー率と排熱利用率しきい値との関係性を示す図である。
図9】予測された年間省エネルギー量及び年間省エネルギー率と、排熱利用率しきい値との関係性を示す図である。
図10】増段後減段禁止タイマとコージェネレーションシステムの運転台数の指令との関係性を示すタイムチャートである。
図11】冷熱源の熱源テーブル選択フローを示す図である。
図12】温熱源の熱源テーブル選択フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する機器の種類、個数、パラメータ等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
<<全体構成について>>
まず、図1図3を主に参照して、制御部1周りの全体構成及び熱源機器2のエネルギーフローについて説明する。図1は、ユーザーの施設に設けられた熱源機器2及び制御システムS周りの構成を示す模式的な全体構成図、図2は、熱源機器2のエネルギーフローを示す模式図、図3は、制御部1の内部構成要素を示す模式図である。
なお、図1に表された一点鎖線は、熱源機器2のそれぞれに接続されるゾロ配線を意味するものであり、破線は、各種データの流れを示すものである。
本実施形態に係る制御システムSは、電力負荷や給湯負荷等を要するエネルギー負荷設備10に電力及び/又は熱を供給する熱源機器2を制御するシステムである。制御システムSは、後述するが、熱源制御コントローラ4とCGSローカルコントローラ21とに指令を与えるコントローラとして機能する制御部1と、回収熱量計測手段(回収熱量計測器8)と、電力需要計測手段(電力需要計測器9)と、を備える。
【0012】
制御部1は、図3に示すように、稼働制御手段1aと、排熱利用パラメータ算出手段(排熱利用率算出手段1b)と、しきい値決定手段1cと、コスト算出手段1dと、一次エネルギー算出手段1eと、運転時間計測手段1fと、を備える。
稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20その他の熱源機器2の稼働制御を行うものである。
排熱利用パラメータ算出手段(排熱利用率算出手段1b)は、回収熱量計測手段(回収熱量計測器8)によって計測された回収熱量から排熱利用パラメータ(排熱利用率)を算出するものである。
しきい値決定手段1cは、コージェネレーションシステム20の発停に係る排熱利用パラメータ等についてのしきい値を定めるものである。
コスト算出手段1dは、コージェネレーションシステム20を運転する際にかかると予測される第1予測コストと、これを運転しない場合にかかると予測される第2予測コストと、を算出する。第2予測コストは、コージェネレーションシステム20を用いずに、電力供給会社から電力を購入する際にかかると予測されるコスト及び/又はボイラ27を運転する際にかかると予測されるコストの和である。
一次エネルギー算出手段1eは、コージェネレーションシステム20を運転する際に消費すると予測される第1予測一次エネルギーと、これを運転しない場合に消費すると予測される第2予測一次エネルギーと、を算出するものである。
運転時間計測手段1fは、コージェネレーションシステム20の運転時間を計測するものである。
なお、本実施形態に係る稼働制御手段1a、しきい値決定手段1c、コスト算出手段1d、一次エネルギー算出手段1e及び運転時間計測手段1fは、制御部1を構成する端末がプログラムとしてすべて有するものである。しかしながらこのような構成に限定されず、当該端末とは別個の端末又は機器がこれらの手段を有して、制御部1と一体的に機能するものであってもよい。
【0013】
熱源機器2は、風呂、エアコン、ガスコンロ等のエネルギー負荷設備10に対して熱を供給又は吸熱するためのものである。本実施形態に係る熱源機器2は、コージェネレーションシステム20、冷温水発生機22、蒸気-温水熱交換機23A、温水熱交換機23B、排熱投入型ナチュラルチラー24、水冷チラー25、空冷チラー26、ボイラ27及びHP給湯器28等から構成されている。
【0014】
コージェネレーションシステム20は、本実施形態に係る発電機としてガスエンジン発電機20aを備える。
図2に示すように、コージェネレーションシステム20は、ガス供給会社から供給されたガスによって運転されて、ガスエンジン発電機20aによって発電した電気をエネルギー負荷設備10に供給する。
また、コージェネレーションシステム20は、ガスエンジン発電機20aによる発電の際に生じた排熱に係る蒸気をエネルギー負荷設備10に供給し、蒸気-温水熱交換機23Aにも供給する。
さらに、コージェネレーションシステム20は、ガスエンジン発電機20aによる発電の際に生じた排熱に係る温水を、給湯の熱源として利用された後、及び/又は直接的にエネルギー負荷設備10に供給する。また、コージェネレーションシステム20は、当該排熱に係る温水を、温水熱交換機23Bを介して給湯の熱源として供給する。
なお、発電機としては、ガスエンジン発電機20aに限られず、内燃機関(ディーゼルエンジン、ガスタービン)に接続されるもの又は燃料電池であってもよい。本実施形態において、コージェネレーションシステム20は2台あるものとして説明する。排熱投入型ナチュラルチラー24は、コージェネレーションシステム20に1台ずつ接続されているものとして説明する。
【0015】
本実施形態における冷温水発生機22は、蒸発した水を吸収する吸収液として臭化リチウム水溶液等を使用する、ガス吸収冷温水発生機である。冷温水発生機22は、図2に示すように、ガス供給会社から供給されるガスによって動作して、温水及び/又は冷水をエネルギー負荷設備10に供給する機能を有する。
【0016】
蒸気-温水熱交換機23Aは、コージェネレーションシステム20から生じた排熱(蒸気)を利用し、水と熱交換することにより、給湯してエネルギー負荷設備10に供給する機能を有する。なお、蒸気-温水熱交換機23Aは、コージェネレーションシステム20から生じた電気の一部を更に利用するものであってもよい。
温水熱交換機23Bは、コージェネレーションシステム20から生じた排熱に係る温水を利用し、水と熱交換することにより、給湯し、又は温水を生成してエネルギー負荷設備10に供給する機能を有する。
排熱投入型ナチュラルチラー24は、コージェネレーションシステム20から生じる温水を利用して温水及び冷水を生成してエネルギー負荷設備10に供給する機能を有する。
【0017】
水冷チラー25は、電力供給会社から供給される電力によって動作し、水を媒体にして室内の熱を不図示の冷却塔を介して大気に吐き出すことで冷水を生成してエネルギー負荷設備10に供給する機能を有する。
空冷チラー26は、電力供給会社から供給される電力によって動作し、ヒートポンプを備えて、冷水及び/又は温水を生成してエネルギー負荷設備10に供給する機能を有する。
ボイラ27は、ガス供給会社から供給されるガスによって動作し、エネルギー負荷設備10に蒸気を供給する。
HP給湯器28は、電力供給会社から供給される電力によって動作し、ヒートポンプを備えて、水を給湯してエネルギー負荷設備10に供給する機能を有する。
【0018】
制御部1は、通信ネットワーク7(BACnet等)経由で、後述する熱源制御コントローラ4の熱源機器2の情報、後述するCGSローカルコントローラ21の情報を受け取る。そして、制御部1は、熱源制御コントローラ4に対して通信ネットワーク7経由で指令を行う。また、制御部1は、CGSローカルコントローラ21にコージェネレーションシステム20の発停指令を行うように接続されており、また、タッチパネル3に接続されている。なお、制御部1の機能の詳細については後述する。
タッチパネル3は、制御部1の有効/無効の設定、エネルギーコスト入力等のための操作機能を有し、熱源システム系統図によって熱源機器2の運転状況をグラフィックで監視でき、熱源機器2の誤作動状態などをアラーム表示可能な機能を有する。制御部1とタッチパネル3とによってCGSコントローラXが構成されている。
また、通信ネットワーク7にはモニタ6が接続されており、使用者は、モニタ6から熱源機器2、熱源制御コントローラ4、CGSローカルコントローラ21等のデータ等を監視可能となっている。
【0019】
熱源制御コントローラ4は、熱源機器2の稼働台数制御、流量・温度の制御を行うローカルコントローラである。熱源制御コントローラ4は、制御部1からの指令に応じて、熱源台数制御テーブルを変更し、熱源機器2の優先順位の切替を行う。また、熱源制御コントローラ4は、制御部1を機能させていないときには、スケジュールで決められた熱源台数制御テーブルで熱源機器2の台数制御を行う。
CGSローカルコントローラ21は、コージェネレーションシステム20の制御を行うローカルコントローラである。制御部1からの指令に応じて、コージェネレーションシステム20(排熱投入型ナチュラルチラー24)の台数制御を行う。また、CGSローカルコントローラ21は、制御部1を機能させていないときには、CGSローカルコントローラ21独自でコージェネレーションシステム20の発停(運転開始又は運転停止)制御を行う。
【0020】
回収熱量計測器8は、コージェネレーションシステム20(ガスエンジン発電機20a)から排出された排熱の排熱量、及び廃棄されずに回収(利用)された熱量(回収熱量)を計測する機器である。後述するように、回収熱量計測器8によって計測された回収熱量は、コージェネレーションシステム20の発停のしきい値を設定する際に用いられることとなる。
電力需要計測器9は、エネルギー負荷設備10からの電力需要(負荷電力)を経時的に計測する機器である。同様に後述するように、電力需要計測器9によって計測された電力需要は、コージェネレーションシステム20の発停のしきい値を設定する際に用いられることとなる。
【0021】
<<制御部の機能について>>
制御部1の機能について、図1に加え、図4図12を主に参照して説明する。特に、図4図10を参照して、制御部1によるコージェネレーションシステム20の発停制御機能(稼働制御機能及び停止制御機能)について説明する。
図4は、制御部1の制御フローを示す図である。図5は、コージェネレーションシステム20の発停制御を示すフロー図、図6は、コージェネレーションシステム20の発停制御のうち、コスト抑制又は一次エネルギーの消費抑制に係る制御を示すフロー図である。図7は、コージェネレーションシステム20の計画運転時間とコージェネレーションシステム20の予測運転時間との関係性を示す図である。図8(a)は、予測された年間省エネルギー量と排熱利用率しきい値との関係性を示す図、図8(b)は、予測された年間省エネルギー率と排熱利用率しきい値との関係性を示す図である。図9は、予測された年間省エネルギー量及び年間省エネルギー率と、排熱利用率しきい値との関係性を示す図、図10は、増段後減段禁止タイマとコージェネレーションシステム20の運転台数の指令との関係性を示すタイムチャートである。
【0022】
制御部1は、図4に示すように、後述する熱源機器2の運転優先順位を定めるために形成された演算ロジックにしたがって演算し、熱源制御コントローラ4が備える自動制御盤に熱源機器2の運転優先順位の指令制御を行う。この演算ロジックは、外気条件、モード、機器仕様、CGS(コージェネレーションシステム)状態、負荷及び/又はエネルギー単価等に基づくものである。
例えば、外気条件としては、外気の温度・湿度がある。また、モードとしては、後述するようにコスト抑制モード及び一次エネルギーの消費抑制モードがある。機器仕様としては、熱源機器2のエネルギー入力量や出力量がある。CGS状態としては、現状の動作台数、発電能力、排熱量等の状態がある。負荷としては、エネルギー負荷設備10の空調(冷暖房)負荷、蒸気負荷、電力負荷の種類及びその大きさがある。エネルギー単価としては、熱源機器2を運転するために必要な電力一次エネルギー、ガス一次エネルギーの単価がある。
【0023】
制御部1は、図4に示すように、CGS発停ロジックにしたがって演算し、CGSローカルコントローラ21が備えるCGS共通補機盤にコージェネレーションシステム20の発停の指令制御を行う。このCGS発停ロジックは、上記のエネルギー単価、期間、実績データ及び/又は標準気象データ等に基づく予測ロジックを経た後述する内容の予測値と、上記負荷等とに基づいて、コージェネレーションシステム20の発停を行うために形成されたものである。
例えば、期間としては、冬期、春・秋の中間期、夏期がある。実績データとしては、数年の期間毎の実績データや第2期間(第1期間に含まれる期間)である1日又は第1期間(1年)の初日からの通算の実績データ等があり、制御部1に初期状態入力されたシミュレーション値を含むものとする。標準気象データは、気温・絶対湿度・直達日射量・天空日射量・雲量・風向・風速の7項目に関する1時間毎、1年間分のデータ群をいう。
また、制御部1は、エネルギー負荷設備10から電力需要及び熱需要の両方があるときはコージェネレーションシステム20に対して電主運転を行い、余剰熱量を冷却塔から外気に放熱するようにコージェネレーションシステム20を制御する。
【0024】
<コージェネレーションシステムへの発停制御機能>
制御部1によるコージェネレーションシステム20の発停制御機能は、複数の目的を達成するために行われる。このため、本実施形態に係る制御部1は、コージェネレーションシステム20の発停制御を、次の条件順で優先的に行う。
(優先条件1)
(1-1:最低買電電力の確保)
(1-2:デマンド電力の抑制)
(優先条件2)
(2-1:コージェネレーションシステムの年間運転時間の確保)
(2-2:年間省エネルギー量の確保)
(2-3:年間省エネルギー率の確保)
(優先条件3)
(3:コスト抑制又は一次エネルギーの消費抑制)
【0025】
(優先条件1)について
(1-1:最低買電電力の確保)
最低買電電力の確保を優先するしきい値決定手段1cは、電力需要を経時的に計測する電力需要計測器9からの電力需要に係る電力需要しきい値を定める。電力需要しきい値は、コージェネレーションシステム20を停止するか否かに係るしきい値であり、コージェネレーションシステム20を動作させた状態において最低買電電力を確保するために定められるしきい値である。具体的に本実施形態に係る電力需要しきい値は、ガスエンジン発電機20aによる発電の瞬間の出力値に例えば200KW(最低買電電力)を加えた値である。
図5に示すように、稼働制御手段1aは、しきい値決定手段1cによって定められた電力需要しきい値と電力需要計測器9で計測された電力需要とを比較して、最低買電電力の確保が可能かを判断する(ステップS001)。具体的には、稼働制御手段1aは、ガスエンジン発電機20aを稼働したときの出力電力(複数台であれば複数台の出力電力)に例えば200KWを加えた電力よりも電力需要が小さいときに、最低買電電力を確保不能と判断する(ステップS001:No)。この場合、稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20を2台とも停止する(ステップS002)。この制御は、後述する排熱利用パラメータのしきい値による制御よりも優先的に行われる。
このようにして稼働制御手段1aがコージェネレーションシステム20を制御することによって、後述する排熱利用パラメータよりも優先的に、最低買電電力を確保してコージェネレーションシステム20の発停を制御することができる。
【0026】
(1-2:デマンド電力の抑制)
デマンド電力の抑制を優先するしきい値決定手段1cは、電力供給会社との契約で定められた契約電力の値を、コージェネレーションシステム20を稼働するか否かに係る電力需要のしきい値として定める。なお、契約電力は、過去1年等の所定期間における電力の最大値、又は予め定められた固定の電力である。
稼働制御手段1aは、最低買電電力が確保可能であるときに(ステップS001:Yes)、しきい値決定手段1cによって定められた電力需要しきい値に基づき、電力需要が契約電力以下かを判断する(ステップS003)。具体的には、稼働制御手段1aは、電力需要が契約電力を超えるときに(ステップS003:No)、コージェネレーションシステム20を2台稼働する(ステップS004)。このように制御することで、コージェネレーションシステム20による発電によって、買電する電力を抑制して、契約電力を超えるデマンド電力を抑制することができる。
なお、「最低買電電力の確保」に係る処理を「デマンド電力の抑制」に係る処理よりも先に制御処理するものとして説明したが、その順番を逆にしてもよい。
【0027】
(優先条件2)について
(2-1:コージェネレーションシステムの年間運転時間の確保)
しきい値決定手段1cは、電力需要が契約電力以下であるときに(ステップS003:Yes)、コージェネレーションシステム20の年間の運転予測時間と、年間の運転計画時間とを比較する(ステップS005)。ここで、「年間の運転予測時間」とは、運転時間計測手段1fによって計測されたコージェネレーションシステム20の第2期間(例えば1日又は後述する第1期間の始まりから現在までの通算期間であり、第1期間に含まれる期間である。)の運転時間の計測値等から予測される年間の運転時間である。
【0028】
そして、しきい値決定手段1cは、図7に示すように、次に説明する(条件I)に該当する場合には(ステップS005:条件I)、コージェネレーションシステム20を動作させる電力需要に係る第1動作しきい値を小さく変更する(ステップS006)。この(条件I)に該当する場合とは、しきい値決定手段1cが、年間の運転予測時間が、計画された年間運転時間に対して少ないと予測する場合である。このようにしきい値決定手段1cによって第1動作しきい値が小さく変更されることで、電力需要計測器9によって計測された電力需要が同しきい値を超えやすくなり、コージェネレーションシステム20が運転しやすくなる。このため、運転計画時間に近づくように、コージェネレーションシステム20の運転時間を増やすことができる。
そして、稼働制御手段1aは、電力需要計測器9で計測された電力需要が第1動作しきい値よりも大きいかを判定する(ステップS007)。電力需要が第1動作しきい値よりも大きい場合には(ステップS007:Yes)、稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20を1台又は2台稼働する(ステップS008)。一方で、電力需要が第1動作しきい値以下の場合には(ステップS007:No)、稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20を2台とも停止する(ステップS002)。
【0029】
また、しきい値決定手段1cは、次に説明する(条件II)に該当する場合には(ステップS005:条件II)、コージェネレーションシステム20を動作させる電力需要に係る第2動作しきい値を大きく変更する(ステップS009)。この(条件II)に該当する場合とは、しきい値決定手段1cが、年間の運転予測時間が計画された年間運転時間に対して多いと予測する場合である。このようにしきい値決定手段1cによって第2動作しきい値が大きく変更されることで、電力需要が大きいときのみコージェネレーションシステム20を運転するようにして、運転計画時間に近づくように、その運転時間を減らすことができる。
そして、稼働制御手段1aは、電力需要計測器9で計測された電力需要が第2動作しきい値よりも小さいかを判定する(ステップS010)。電力需要が第2動作しきい値よりも小さい場合には(ステップS010:Yes)、稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20を1台又は2台稼働する(ステップS011)。一方で、電力需要が第2動作しきい値以上の場合には(ステップS010:No)、稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20を2台とも停止する(ステップS012)。
【0030】
なお、計画された年間運転時間は、ある程度幅をもった時間であり、これに対して少ないとは、図7に示すように、予測時間の方が計画時間よりも少ないものに限られず、若干上回る場合も含む概念である。同様に、計画された年間運転時間に対して多いとは、予測時間の方が計画時間よりも多いものに限られず、若干下回る場合も含む概念である。
また、稼働制御手段1aは、(条件III)に該当する場合は(ステップS005:条件III)、優先条件2-2、2-3の条件を優先して、コージェネレーションシステム20を発停制御する。この(条件III)に該当する場合は、しきい値決定手段1cが、年間の運転予測時間が計画された年間運転時間に対して多くも少なくもないと予測する場合である。
なお、年間運転時間の予測は、第2期間の運転時間の計測値に基づいて予測されるものに限定されず、気象データ等を含めて予測するようにすることで、より予測精度が高められることとなる。
【0031】
(2-2:年間省エネルギー量の確保)
年間省エネルギー量の確保を優先するしきい値決定手段1cは、省エネ量計画値と省エネ量予測値と、に基づいてしきい値を定める。
ここで、「省エネ量計画値」とは、コージェネレーションシステム20による省エネルギー量の第1期間における計画値である。また、「省エネ量予測値」とは、第2期間において実測された省エネルギー量の実測値から定められる第1期間における省エネルギー量の予測値である。また、「第1期間」は、例えば1年のことであり、また、「しきい値」は、コージェネレーションシステム20の発電機(ガスエンジン発電機20a)からの排熱から回収された回収熱量に係る排熱利用パラメータ(排熱利用率)についての値である。排熱利用パラメータ(排熱利用率)に係るしきい値は、図9に示すように、コージェネレーションシステム20を停止状態から稼働(運転)状態にする際に基準となるしきい値と、逆に、これを稼働(運転)状態から停止状態にする際に基準となるしきい値とがある。コージェネレーションシステム20を停止状態から稼働(運転)状態にする際のしきい値は、これを稼働(運転)状態から停止状態にする際に基準となるしきい値よりも大きな値となっている。このように定められることで、運転直後に停止するハンチングが防止されている。なお、本実施形態においては、上記のしきい値をまとめて排熱利用率に係るしきい値として説明する。
また、「排熱利用率」とは、コージェネレーションシステム20のガスエンジン発電機20aから生じる排熱量に対して、エネルギー負荷設備10の熱需要に応じて回収された回収熱量の割合をいう。具体的には、「排熱利用率」は次の式で表される。
排熱利用率=[{(回収熱量/ガス熱量)×100}/排熱回収効率]×100
ガス熱量はコージェネレーションシステム20にて使用したガスの熱量、回収熱量は同じく利用できた熱量、排熱回収効率は機種固有の効率を表している。
【0032】
「省エネ量予測値」は、従来方式一次エネルギー消費量の予測値からシステムガス量の予測値を減じた値である。「システムガス量」は、コージェネレーションシステム20を利用したときのガス消費量に基づくエネルギーをいう。なお、省エネルギー量の予測は、第2期間における省エネルギー量の実測値に基づいて予測されるものに限定されず、例えば気象データ等を含めて予測することで、より省エネルギー量の予測精度が高められることとなる。
【0033】
また、「従来方式一次エネルギー消費量」とは、コージェネレーションシステム20の出力エネルギーを、コージェネレーションシステム20を停止したときに、電力供給会社から供給された電気及び/又はガス供給会社から供給されたガス(ボイラ27)でまかなったときの一次エネルギーをいう。具体的には、「従来方式一次エネルギー消費量」は次の式で表される。
従来方式一次エネルギー消費量=電力一次エネルギー+ガス一次エネルギー×(排熱利用率/100)
ここで、「電力一次エネルギー」とは、コージェネレーションシステム20で負荷に供給した電力を商用電力で供給する際に必要な燃料が有するエネルギーのことである。また、「ガス一次エネルギー」とは、コージェネレーションシステム20で負荷に供給した熱量のエネルギーを、通常のボイラ等を利用して生み出すのに必要な燃料のエネルギーのことである。
【0034】
しきい値決定手段1cは、年間の運転予測時間が計画された年間運転時間に対して多くも少なくもないと予測した場合(条件IIIに該当する場合)に(ステップS005:条件III)、年間の省エネ量予測値が省エネ量計画値よりも小さいかを判定する(ステップS013)。
しきい値決定手段1cは、年間の省エネ量予測値が省エネ量計画値よりも小さいと判定したときに(ステップS013:Yes)、排熱利用率のしきい値を比較的小さいまま維持する(ステップS014)。このように排熱利用率のしきい値を小さいまま維持することで、コージェネレーションシステム20の稼働率を上げて排熱の利用量を大きくすることができる。このようにすることで、第1期間における省エネルギー量が省エネ量計画値を超えるように調整することができる。そして、第1期間における省エネルギー量が、その計画値を超えることができるようにすることで、消費エネルギーを最適化することができる。
【0035】
稼働制御手段1aは、回収熱量計測器8による回収熱量の計測によって算出される排熱利用率が、排熱利用率のしきい値よりも大きい場合には(ステップS015:Yes)、コージェネレーションシステム20を1台又は2台稼働する(ステップS011)。そうでない場合には(ステップS015:No)、コージェネレーションシステム20を2台とも停止する(ステップS012)。
【0036】
(2-3:年間省エネルギー率の確保)
年間省エネルギー率の確保を優先するしきい値決定手段1cは、コージェネレーションシステム20の発電機(ガスエンジン発電機20a)からの排熱から回収された回収熱量に係る排熱利用パラメータのしきい値を定める。なお、回収熱量は、上記のように回収熱量計測器8によって計測される。
しきい値決定手段1cは、コージェネレーションシステム20の省エネ率計画値と、省エネルギー率の予測値である省エネ率予測値と、に少なくとも基づいてしきい値を定めることもできる。
ここで、「省エネルギー率」は次の式で表される。
省エネルギー率=(従来方式一次エネルギー消費量-システムガス量)/従来方式一次エネルギー消費量
省エネ率計画値は、コージェネレーションシステム20の省エネルギー率の第1期間における計画値である。また、省エネ率予測値は、第2期間において実測された排熱利用パラメータ(排熱利用率)に少なくとも基づいて算出されて定められる第1期間における省エネルギー率の予測値である。つまり、第2期間の排熱利用率(排熱利用パラメータ)の実測値等により、上記の従来方式一次エネルギー消費量が算出され、第2期間における省エネルギー率が算出されて、第1期間における省エネ率予測値が算出される。
なお、排熱利用率は、上記のように、ガスエンジン発電機20aの排熱量に対する回収熱量の割合であるため、省エネ率予測値は、回収熱量計測器8によって計測された排熱量及び回収熱量に基づいて省エネ率予測値を算出されるものともいえる。なお、省エネルギー率の予測は、第2期間における省エネルギー率の実測値に基づいて予測されるもの限定されず、気象データ等を含めて予測するようにすることで、より予測精度が高められることとなる。
【0037】
しきい値決定手段1cは、年間の省エネ量予測値が省エネ量計画値以上であると判定したときに(ステップS013:No)、排熱利用率のしきい値が所定の値まで大きくなるように変更する(ステップS016)。例えば、しきい値決定手段1cは、排熱利用率のしきい値を約10%大きくなるように変更する。具体的な関係性としては、図8(a)及び図9に示すように、所定の値まで、年間の省エネ量予測値が大きくなるにつれて排熱利用率のしきい値が大きくなるように変更する。このようにすることで、年間省エネ量の計画値を超えやすくできるとともに、排熱利用率が高いときのみコージェネレーションシステム20を運転することができ、年間の省エネ率を高めることができる。
ここで、「所定の値」とは、例えば、年間の省エネルギー量が確実に省エネ量計画値を超えることが確定する値である。また、詳細には、所定の値まで、年間の省エネ量予測値が大きくなるにつれてある程度の幅をもって排熱利用率のしきい値が定められ、後述する省エネ率の計画値と予測値とによって定められる。
【0038】
排熱利用率のしきい値は、年間の省エネ量予測値との関係において、必ずしも線形的に定められる関係である必要はない。例えば、年間の省エネ量予測値の予測値が大きくなるにつれて、曲線状若しくは階段状に断続的に又は直線とこれらの組み合わせとなる形状で、しきい値が大きくなるように定めるようにしてもよい。
換言すると、しきい値決定手段1cは、省エネ量予測値が省エネ量計画値よりも小さい場合には、省エネ量予測値が省エネ量計画値よりも大きい場合よりも、少なくとも一部の範囲においてしきい値を小さく定める。
【0039】
次に、しきい値決定手段1cは、年間省エネ率予測値が省エネ率計画値よりも小さいか否かを判定する(ステップS017)。しきい値決定手段1cは、年間省エネ率予測値が省エネ率計画値よりも小さいと判定したときは(ステップS017:Yes)、排熱利用率のしきい値を大きく変更する(ステップS018)。
稼働制御手段1aは、しきい値決定手段1cが変更したしきい値と排熱利用パラメータ算出手段(排熱利用率算出手段1b)によって算出された回収熱量に係る排熱利用パラメータ(排熱利用率)とを比較して(ステップS015)、コージェネレーションシステム20を制御する。より具体的には、稼働制御手段1aは、回収熱量に係る排熱利用パラメータ(排熱利用率)が、排熱利用率のしきい値よりも大きいときに(ステップS015:Yes)コージェネレーションシステム20を1台又は2台稼働して運転状態に制御する(ステップS011)。そうでない場合には(ステップS015:No)、コージェネレーションシステム20を2台とも停止する(ステップS012)。
【0040】
しきい値決定手段1cは、年間省エネ率予測値が省エネ率計画値以上であると判定したときには(ステップS017:No)、排熱利用率のしきい値を小さく変更する(ステップS019)。例えば、しきい値決定手段1cは、排熱利用率のしきい値を約10%小さくするように変更する。
次に、稼働制御手段1aは、回収熱量計測器8による回収熱量の計測によって算出される排熱利用率が、排熱利用率のしきい値よりも大きい場合には(ステップS020:Yes)、コージェネレーションシステム20を1台又は2台稼働する(ステップS022)。そうでない場合には(ステップS020:No)、コージェネレーションシステム20を2台とも停止する(ステップS021)。
【0041】
なお、本実施形態においては、実測された「排熱利用率」を「排熱利用パラメータ」とし、これに基づいてコージェネレーションシステム20の発停のしきい値を定めるものとしている。しかしながら、本発明は「排熱利用率」に基づいてしきい値を定めるものに限定されず、排熱利用量に係る排熱の「回収熱量」を、しきい値を定めるための「排熱利用パラメータ」としてもよい。この場合には、制御部1の排熱利用パラメータ算出手段は、回収熱量計測器8が計測した回収熱量を、排熱利用パラメータとしてそのまま用いることとなる。
このように、制御部1のしきい値決定手段1cがコージェネレーションシステム20の発停のしきい値を定めることによって、第1期間における省エネルギー率がその計画値を超えるように、発電によって生じた熱を効率的に利用することができる。
【0042】
特に、しきい値決定手段1cは、省エネ率予測値が省エネ率計画値よりも小さい場合には、省エネ率予測値が省エネ率計画値よりも大きい場合よりもしきい値を大きく定める。
このように、省エネ率予測値が省エネ率計画値よりも小さい場合に、しきい値を大きく定めることで、ガスエンジン発電機20aから生じた排熱を図示せぬ冷却塔に廃棄する量が低減する。このため、省エネルギー率が効果的に高まることで、第1期間における省エネルギー率が省エネ率計画値を超えるように調整することができる。
具体的に、しきい値決定手段1cは、過去のコージェネレーションシステム20の運転実績による学習機能を有して、運転実績に応じて排熱利用率のしきい値を自動修正するようにすると好適である。さらには、しきい値決定手段1cによって運転実績に応じて定められたしきい値に応じて、稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20の稼働台数を制御することができる。
【0043】
なお、「コージェネレーションシステムの年間運転時間の確保」、「年間省エネルギー量の確保」及び「年間省エネルギー率の確保」の順に制御処理するものとして説明したが、その順番を入れ替えてもよい。
【0044】
(優先条件3)について
(3:コスト抑制又は一次エネルギーの消費抑制)
稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20を2台とも停止(ステップS021)、又はこれを1台又は2台稼働した後(ステップS022)、図6に示すコスト優先モード又は一次エネルギーの消費抑制の制御を行う。
稼働制御手段1aは、コスト優先モードがユーザーによって設定されたときには、エネルギー負荷設備10に電力及び/又は熱を供給する際にかかるコストに応じて、コージェネレーションシステム20の発停を制御する。
具体的には、コスト優先モードが設定されているときに(S030:コスト)、コージェネレーションシステム20を用いた方がコストがかからないか否かを判定する(ステップS031)。
稼働制御手段1aは、コスト算出手段1dが算出した上記の第1予測コストが上記の第2予測コストよりも小さいときに(ステップS031:Yes)、コージェネレーションシステム20を1台又は2台稼働するように制御する。
一方で、稼働制御手段1aは、コスト算出手段1dが算出した第1予測コストが第2予測コスト以上であるときに(ステップS031:No)、コージェネレーションシステム20を2台とも停止するように制御する(ステップS032)。
上記制御によれば、コージェネレーションシステム20の発停によって変わるコストを考慮して、コージェネレーションシステム20の発停を制御することで、必要なコストを抑制することができる。
【0045】
一次エネルギーの消費抑制を優先する制御部1は、一次エネルギー算出手段1eによって算出された上記の第1予測一次エネルギー及び第2予測一次エネルギーに基づいて電力需要計測器9の発停制御行う。
第2予測一次エネルギーは、コージェネレーションシステム20を用いずに、電力供給会社から電力を購入、又はガス供給会社からガスを購入してボイラ27を運転する際に消費すると予測される一次エネルギーの和である。
稼働制御手段1aは、一次エネルギー優先モードがユーザーによって設定されたときには、エネルギー負荷設備10に電力及び/又は熱を供給する際にかかる一次エネルギーに応じて、コージェネレーションシステム20の発停を制御する。
【0046】
具体的には、稼働制御手段1aは、一次エネルギー優先モードが設定されているときに(S030:一エネ)、コージェネレーションシステム20を用いた方が一次エネルギーの消費が少ないか否かを判定する(ステップS034)。
稼働制御手段1aは、一次エネルギー算出手段1eが算出した第1予測一次エネルギーが第2予測一次エネルギーよりも小さいときに(ステップS034:Yes)、コージェネレーションシステム20を1台又は2台稼働するように制御する。
一方で、稼働制御手段1aは、一次エネルギー算出手段1eが算出した第1予測一次エネルギーが第2予測一次エネルギー以上であるときに(ステップS031:No)、コージェネレーションシステム20を2台とも停止するように制御する(ステップS032)。
上記制御によれば、コージェネレーションシステム20の発停によって変わる一次エネルギーの消費を考慮して、コージェネレーションシステム20の発停を制御することで、一次エネルギーの消費を抑制することができる。
【0047】
なお、上記の本実施形態に係るコージェネレーションシステム20の発停制御においては、コージェネレーションシステム20が2台あるものとして説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、更に複数台備えるような構成として発電力を高めつつ、排熱利用量を高めるようにしてもよい。一方で、1台のみの構成として、初期導入コストを低減するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、稼働制御手段1aがコージェネレーションシステム20を発停制御することによって、コージェネレーションシステム20の稼働台数が制御されるものとして説明した。このコージェネレーションシステム20の稼働台数制御の前段階に、しきい値決定手段1cが排熱利用率のしきい値を変更するステップを設けるようにして、間接的に稼働台数を制御するようにしてもよい。
【0048】
稼働制御手段1aは、図10に示すように、コージェネレーションシステム20の運転台数を増やした後(増段後)の所定時間内に、運転台数を減らさないように(減段しないように)制御する増段後減段禁止タイマ機能を備える。具体的には、稼働制御手段1a、図10に示すように、運転台数を0台から1台又は1台から2台に増段した後の所定期間において、1台から0台又は2台から1台に減段しないように制御する。
このように、稼働制御手段1aが増段後減段禁止タイマ機能を備えることで、本実施形態に係る2台のコージェネレーションシステム20を稼働させた後にすぐに停止すること、つまりハンチングの発生が防止できる。
【0049】
<熱源機器の制御機能>
次に、制御部1による「ガス優先」パターン、「電気優先」パターン、「排熱優先」パターン毎の熱源機器2の運転優先順位に基づく制御機能について説明する。
ここで、「ガス優先」パターンとは、熱源機器2が消費するエネルギーとしてガスエネルギーを優先とするものであり、ガス料金が電気料金よりも低額の場合に設定するとコスト面で好ましいパターンである。「電気優先」パターンとは、熱源機器2が消費するエネルギーとして電気エネルギーを優先とするものであり、電気料金がガス料金よりも低額の場合に設定するとコスト面で好ましいパターンである。さらに、「排熱優先」パターンとは、熱源機器2が消費するエネルギーとして電気エネルギーを優先しつつ(電主運転)、排熱の利用も行うときのパターンである。
【0050】
稼働制御手段1aは、コージェネレーションシステム20の他の熱源機器2について異なる運転優先順位が定められた複数のパターンで、コージェネレーションシステム20及び他の熱源機器2の稼働制御を行う。
具体的には、稼働制御手段1aは、冷熱源の場合には、次の表1に示す運転優先順位で熱源機器2の稼働制御を行う。なお、本実施形態において、給湯負荷、蒸気負荷に対しては、制御部1により、ボイラ27、HP給湯器28、蒸気-温水熱交換機23A及び温水熱交換機23Bの運転台数の制御がされる。
【表1】
【0051】
表1に示すように、冷熱源を運転する際に「ガス優先」パターンが設定されている場合には、コージェネレーションシステム20以外の熱源機器2の運転優先順位は、1:排熱投入型ナチュラルチラー24A、2:排熱投入型ナチュラルチラー24B、3:冷温水発生機22、4:水冷チラー25、5:空冷チラー26となる。
このような順位にすることによって、特に排熱投入型ナチュラルチラー24A、24Bにおいては、コージェネレーションシステム20の排熱を利用して運転させることができ、電気を使用することがないため、その使用量を抑えることができる。
【0052】
また、冷熱源を運転する際に「電気優先」パターンが設定されている場合には、コージェネレーションシステム20以外の熱源機器2の運転優先順位は、1:水冷チラー25、2:空冷チラー26、3:排熱投入型ナチュラルチラー24A、4:排熱投入型ナチュラルチラー24B、5:冷温水発生機22となる。
このような順位にすることによって、特に水冷チラー25及び空冷チラー26においては、買電による電力によって運転させることができ、ガスを使用することがないため、その使用量を抑えることができる。
【0053】
また、冷熱源を運転する際に「排熱優先」パターンが設定されている場合には、コージェネレーションシステム20以外の熱源機器2の運転優先順位は、1:排熱投入型ナチュラルチラー24A、2:水冷チラー25、3:空冷チラー26、4:排熱投入型ナチュラルチラー24B、5:冷温水発生機22となる。
なお、排熱投入型ナチュラルチラー24A、Bは、本実施形態においては、同じものである。運転優先順位は、Aの後にBとしているが、その後は、Bの後にAとなるようにローテーションし、経年劣化に偏りが生じないように稼働制御手段1aによって運転制御される。
【0054】
次に、稼働制御手段1aは、温熱源の場合には、次の表2に示す運転優先順位でコージェネレーションシステム20以外の熱源機器2の稼働制御を行う。
【表2】

表2に示すように、温熱源を運転する際に「ガス優先」パターンが設定されている場合には、熱源機器2の運転優先順位は、1:冷温水発生機22、2:排熱投入型ナチュラルチラー24、3:蒸気-温水熱交換機23A、4:空冷チラー26となる。ここで、温熱源の場合には、排熱投入型ナチュラルチラー24の運転優先順位に差がないため、AとBとを分けていない。
買電による電力によって動作する空冷チラー26の優先度を下げ、ガス供給会社から供給されるガス又はコージェネレーションシステム20の排熱によって動作可能な冷温水発生機22、排熱投入型ナチュラルチラー24及び蒸気-温水熱交換機23Aを優先することで、電力消費を抑制できる。
【0055】
また、温熱源を運転する際に「電気優先」パターンが設定されている場合には、熱源機器2の運転優先順位は、1:水冷チラー25、2:排熱投入型ナチュラルチラー24、3:冷温水発生機22、4:蒸気-温水熱交換機23Aとなる。
買電による電力によって動作する空冷チラー26の優先度を上げ、ガス供給会社から供給されるガス又はコージェネレーションシステム20の排熱によって動作可能な冷温水発生機22、排熱投入型ナチュラルチラー24及び蒸気-温水熱交換機23Aを優先することで、ガス消費を抑制できる。
このように、稼働制御手段1aが異なる運転優先順位から成る複数のパターンで、コージェネレーションシステム20及び他の複数の熱源機器2の制御を行うことで、適時熱源を選択する必要がなく予め決められた順位で熱源機器2を運転させることができる。
【0056】
なお、「運転優先順位」によって定められた稼働制御としては、各熱源機器2に完全に運転順位の上下が定められているものでなくてもよい。例えば、運転優先順位の1~3番の熱源機器2をまとめて運転させ、それでも出力エネルギーが足りない場合に4番、5番の順に熱源機器2を運転させるように、一群毎に運転制御するようにしてもよい。
また、「運転優先順位」によって定められた稼働制御としては、各熱源機器2を順番に100%稼働させるよう制御するものに限定されない。
例えば、各パターンの運転優先順位に応じて、各熱源機器2の出力エネルギーの負担割合の量を変更するように制御するようにしてもよい。
【0057】
そして、稼働制御手段1aは、昼間(スケジュール時間とする。)においては上記の「ガス優先」パターン、「電気優先」パターン又は「排熱優先」パターンから最適パターンを選択する。一方で、稼働制御手段1aは、夜間(スケジュール時間外とする。)においては、「ガス優先」パターンよりも「電気優先」パターンを選択するように制御する。このようにすれば、電気エネルギーを使用する際には音がほぼ生じないため、夜間において騒音が生じることを抑制することができる。本実施形態における夜間とは22時~翌8時を意味し、昼間は、それ以外の時間を意味するものとする。なお、これらの時間の区切りについては、発明を別段限定するものではなく、自由に定めてもよい。
なお、本実施形態においては、夜間の騒音抑制のために「電気優先」パターンを選択するものとしているが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、近隣に建物がない等の理由により騒音による問題が生じない場合には、スケジュール時間外において「電気優先」パターンを選択するものに限られない。
【0058】
次に、図1に加えて、図11及び図12を主に参照して、制御部1による、熱源制御コントローラ4への「ガス優先」パターン、「電気優先」パターン又は「排熱優先」パターンの選択・指令のフローを説明する。図11は、冷熱源の熱源テーブル選択フローを示す図、図12は、温熱源の熱源テーブル選択フローを示す図である。
【0059】
図11に示す冷熱源の熱源機器2を選択するケースにおいて、制御部1は、スケジュール時間内であるか(昼間であるか)を判定する(ステップS101)。スケジュール時間内でなければ(夜間であれば)(ステップS101:No)、制御部1は、「電気優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS102)。
制御部1は、スケジュール時間内であれば(昼間であれば)(ステップS101:Yes)、過去の実績データと本日の外気の状態(温度・湿度・天候)により、優先する熱源機器2の判定を行う(ステップS103)。優先熱源がガスである場合は(ステップS103:ガス)、制御部1は、「ガス優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS104)。
【0060】
優先熱源が電気である場合は(ステップS103:電気)、制御部1は、電力供給会社からの受電電力(買電電力)が設定された電力(例えば契約電力)よりも大きいかを判定する(ステップS105)。受電電力が設定された電力よりも大きい場合には(ステップS105:Yes)、制御部1は、「ガス優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS104)。
受電電力が設定された電力以下の場合には(ステップS105:No)、コージェネレーションシステム20(ガスエンジン発電機20a)の排熱を利用可能か判定する(ステップS106)。ここで、排熱の利用の可否は、温水・給湯負荷がコージェネレーションシステム20の排熱量よりも大きいときに利用可能と判定され、そうでないときは利用不可と判定される。排熱を利用可能であれば(ステップS106:Yes)、制御部1は、「電気優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS102)。つまり、この場合、「電気優先」パターンとすることで、排熱投入型ナチュラルチラー24の優先順位を下げる。排熱を利用できなければ(ステップS106:No)、制御部1は、「排熱優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS107)。
【0061】
また、図12に示す温熱源の熱源機器2を選択するケースにおいて、制御部1はスケジュール時間内であるか(昼間であるか)を判定する(ステップS201)。スケジュール時間内でなければ(夜間であれば)(ステップS201:No)、制御部1は、「電気優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS203)。
スケジュール時間内であれば(昼間であれば)(ステップS201:Yes)、制御部1は、受電電力が設定された電力よりも大きいかを判定する(ステップS202)。受電電力が設定された電力以下の場合には(ステップS202:No)、「電気優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS203)。受電電力が設定された電力よりも大きい場合には(ステップS202:Yes)、制御部1は、「ガス優先」パターンを選択して熱源制御コントローラ4に指令する(ステップS204)。
【0062】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)発電機を有するコージェネレーションシステムを含んでエネルギー負荷設備に電力及び/又は熱を供給する熱源機器を制御する制御システムであって、
前記コージェネレーションシステムの稼働を制御する稼働制御手段と、
前記発電機からの排熱から回収された回収熱量を計測する回収熱量計測手段と、
該回収熱量計測手段によって計測された前記回収熱量から排熱利用パラメータを算出する排熱利用パラメータ算出手段と、
前記排熱利用パラメータのしきい値を定めるしきい値決定手段と、を備え、
該しきい値決定手段は、
前記コージェネレーションシステムの省エネルギー率の第1期間における計画値である省エネ率計画値と、
前記第1期間に含まれる第2期間において実測された前記排熱利用パラメータに少なくとも基づいて算出される前記第1期間における前記省エネルギー率の予測値である省エネ率予測値と、に少なくとも基づいて前記しきい値を定め、
前記稼働制御手段は、前記しきい値決定手段が定めた前記しきい値と前記排熱利用パラメータ算出手段により算出された前記排熱利用パラメータとを比較して、前記排熱利用パラメータが前記しきい値よりも大きいときに前記コージェネレーションシステムを運転状態に制御することを特徴とする制御システム。
(2)前記しきい値決定手段は、前記省エネ率予測値が前記省エネ率計画値よりも小さい場合には、前記省エネ率予測値が前記省エネ率計画値よりも大きい場合よりも、前記しきい値を大きく定める(1)に記載の制御システム。
(3)前記しきい値決定手段は、
前記コージェネレーションシステムによる省エネルギー量の前記第1期間における計画値である省エネ量計画値と、
前記第2期間において実測された前記省エネルギー量の実測値から定められる前記第1期間における前記省エネルギー量の予測値である省エネ量予測値と、に更に基づいて前記しきい値を定める(1)又は(2)に記載の制御システム。
(4)前記しきい値決定手段は、前記省エネ量予測値が前記省エネ量計画値よりも小さい場合には、前記省エネ量予測値が前記省エネ量計画値よりも大きい場合よりも、前記しきい値を小さく定める(3)に記載の制御システム。
(5)前記エネルギー負荷設備に供給する電力及び/又は熱を供給するために、前記コージェネレーションシステムを運転する際の第1予測コストと、
前記コージェネレーションシステムを用いずに、電力を購入及び/又はボイラを運転する際の第2予測コストと、を算出するコスト算出手段を更に備え、
前記稼働制御手段は、前記コスト算出手段が算出した前記第1予測コストが前記第2予測コストよりも小さいときに前記コージェネレーションシステムの運転状態に制御する(1)から(4)のいずれか一項に記載の制御システム。
(6)前記エネルギー負荷設備の電力需要を経時的に計測する電力需要計測手段を更に備え、
前記しきい値決定手段は、前記電力需要に係る電力需要しきい値を更に定め、
前記稼働制御手段は、
前記電力需要しきい値と前記電力需要計測手段によって実測された前記電力需要と、を比較して、前記排熱利用パラメータのしきい値による制御よりも優先的に、前記コージェネレーションシステムを運転状態と停止状態とに制御し、
前記電力需要が前記電力需要しきい値よりも小さいときに前記コージェネレーションシステムを停止する(1)から(5)のいずれか一項に記載の制御システム。
(7)前記稼働制御手段は、前記コージェネレーションシステムその他の前記熱源機器の稼働制御を行うものであり、前記熱源機器について異なる運転優先順位が定められた複数のパターンで前記熱源機器の稼働制御を行う(1)から(6)のいずれか一項に記載の制御システム。
(8)前記稼働制御手段は、夜間において、前記熱源機器が消費するエネルギーとして、ガスエネルギーよりも電気エネルギーを優先するように前記熱源機器を稼働制御する(7)に記載の制御システム。
【符号の説明】
【0063】
1 制御部
1a 稼働制御手段
1b 排熱利用率算出手段(排熱利用パラメータ算出手段)
1c しきい値決定手段
1d コスト算出手段
1e 一次エネルギー算出手段
1f 運転時間計測手段
2 熱源機器
3 タッチパネル
4 熱源制御コントローラ
6 モニタ
7 通信ネットワーク
8 回収熱量計測器(回収熱量計測手段)
9 電力需要計測器(電力需要計測手段)
10 エネルギー負荷設備
20 コージェネレーションシステム
20a ガスエンジン発電機
21 CGSローカルコントローラ
22 冷温水発生機
23A 蒸気-温水熱交換機
23B 温水熱交換機
24、24A、24B 排熱投入型ナチュラルチラー
25 水冷チラー
26 空冷チラー
27 ボイラ
28 HP給湯器
S 制御システム
X CGSコントローラ
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