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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】血管の分枝の識別
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220221BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220221BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20220221BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20220221BHJP
   A61B 1/01 20060101ALI20220221BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
A61B1/00 526
G06T7/00 300F
G06T7/00 612
A61B8/12
A61B1/313 510
A61B1/01 512
A61B1/045 618
A61B1/045 622
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018551982
(86)(22)【出願日】2017-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 US2017027680
(87)【国際公開番号】W WO2017181045
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-04-13
(31)【優先権主張番号】62/322,771
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509128672
【氏名又は名称】ライトラボ・イメージング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナス,アジェイ
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08831321(US,B1)
【文献】特表2016-508750(JP,A)
【文献】国際公開第2014/092755(WO,A1)
【文献】ancong Wang ET AL,"3D assessment of stent cell size and side branch access in intravascular optical coherence tomographic pullback runs",Computerized medical imaging and gaphics,2014年03月,volume 38,Issure2,page113~122
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
G06T 7/00
A61B 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティング装置によって実行される、血管の一つまたは複数の分枝を、該血管の一つまたは複数の血管内画像データセットにおいて検出する方法であって、当該方法は:
前記血管の一つまたは複数の血管内画像データセットを受領する段階であって、各血管内データセットは複数のAラインを含み、各Aラインは撮像モダリティーの回転可能なプローブを使って得られるスキャンラインである、段階と;
前記複数のAラインからのAラインの集合から生成される第一のAライン画像において管腔境界を検出する段階であって、前記第一のAライン画像は前記プローブの中心からの動径に対応するr次元および前記集合のAラインにまたがるAライン次元をもつ、段階と;
探索距離Tを指定する段階と;
検出された管腔境界およびそれからの距離Tだけオフセットされた境界によって境を定められる探索領域を定義する段階と;
前記探索領域においてエッジを検出する段階と;
検出されたエッジに応答して候補分岐領域を識別する段階とを含む、
方法。
【請求項2】
前記管腔境界が前記Aライン画像の上端と揃うよう、第一の画像処理演算子を使って前記Aライン画像を処理する段階と;
第二の画像処理演算子を使ってAライン画像にメジアン平滑化を適用する段階と;
第三の画像処理演算子を使ってAライン画像に平滑化を適用して、フィルタリングされた画像を生成する段階とをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記フィルタリングされた画像において第一の最小‐最大対を識別することをさらに含み、前記第一の最小‐最大対の間の一つまたは複数の距離が第一の探索窓を定義する、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリングされた画像において第二の最小‐最大対を識別することをさらに含み、前記第二の最小‐最大対の間の一つまたは複数の距離が第二の探索窓を定義する、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
第一の探索窓内で、対応する前処理された入力画像においてr次元に沿って探索することをさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記第一の探索窓の中に位置する、ノイズフロア閾値より下のピクセルを、候補分岐領域に対応するものとして指定することをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ノイズフロア閾値は約2mmより小さい、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記候補分枝領域を三つのバンドに分割することをさらに含み、三つのバンドの幅の和はTに等しい、請求項6記載の方法。
【請求項9】
各バンドについて、各Aラインに沿った、前記候補分岐領域に対応するピクセルを累積することをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
特定のAラインが約10%ないし約30%より多くの、候補分枝としてマークされたピクセルをもつ場合、そのバンドにおいてそのAラインを分枝に対応するとマークすることを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
各バンドについての、候補分枝に対応するAラインの集合を出力することをさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
プルバックの諸フレームを使って分岐マトリクスを生成することをさらに含み、前記フレームは、Aラインおよび角度データを含む、請求項3記載の方法。
【請求項13】
側枝に対応するピクセルを選択するために、三つすべてのバンドのグループ化および最初の二つのバンドのグループ化に対応するピクセルを分離することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記分岐マトリクスからガイドワイヤ領域を除去することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
一つのフレームのみに現われる分枝を消去することをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
0をまたぐ重なりを考慮に入れるために分岐マトリクスを複製することをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
第一のバンドは0からT/3までの範囲であり、第二のバンドはT/3から2/3Tまでの範囲であり、第三のバンドは2/3TからTまでの範囲である、請求項13記載の方法。
【請求項18】
第一のバンドは0からT/3までの範囲であり、第二のバンドはT/3から2/3Tまでの範囲であり、第三のバンドは2/3TからTまでの範囲である、請求項8記載の方法。
【請求項19】
一つまたは複数の検出された側枝をユーザー・インターフェースに表示することをさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項20】
分岐マトリクスを使って一つまたは複数の候補側枝を検証することをさらに含み、前記分枝マトリクスは、二つ以上のバンドから選択されたピクセルを使って生成され、前記バンドの和はTである、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は2016年4月14日に出願された米国仮特許出願第62/322,771号の優先権および利益を主張するものである。同出願の開示はここに参照によってその全体において組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は概括的には血管内診断および撮像の分野における使用に好適なシステムおよび方法に、より詳細には血管の側枝、接合部または他のセクションもしくは特徴を識別することを支援するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
冠動脈疾患は、世界的に主要な死因の一つとなっている。冠動脈疾患をよりよく診断し、モニタリングし、処置できることは、命を救う重要性をもちうる。血管内の光干渉断層撮影(OCT: optical coherence tomography)は、冠動脈壁の中をのぞいて、吟味用のその画像を生成するために光を使う、カテーテル・ベースの撮像モダリティーである。コヒーレント光、干渉法および微小光学の利用は、マイクロメートル・レベルの解像度で、疾病のある血管内におけるビデオ・レートの生体内断層撮影を提供できる。
【0004】
光ファイバー・プローブを使って高解像度で表面下の構造を見ることで、OCTは、内部組織および器官の最小侵襲撮像のために特に有用となる。OCTにより可能になるこのレベルの詳細さにより、臨床担当者は、冠動脈疾患の進行を診断し、モニタリングすることができる。OCT画像は、冠動脈形態の高解像度の視覚化を提供し、単独でまたは血管造影法データおよび被験体データの他の源のような他の情報と組み合わせて、診断および処置計画を支援するために使用されることができる。
【0005】
患者の身体の諸部分のOCT撮像は、医師らにとって有用な診断ツールを提供する。たとえば、血管内OCTによる冠動脈の撮像は、血流を低下させ、虚血のリスクを高める狭まりまたは狭窄の位置を明らかにしうる。この情報は、心臓病医が、狭窄を緩和し、血流を回復させるために、侵襲的な冠動脈バイパス手術と、血管形成術またはステント送達のようなそれほど侵襲的でないカテーテル・ベースの手順との間で選択する助けとなる。狭窄領域における動脈の側枝の存在も動脈を通じた血流に影響し、よって患者のための処置計画を設計するときに重要な因子である。
【0006】
血管病理およびその進行の定量的評価は、圧力降下のような種々の定量的指標の計算に関わるが、これは流体流および側枝幾何を含む管腔の幾何の正確な識別に依拠することがある。OCT画像において管腔から延びる側枝はしばしば、簡単には識別されない。部分的には、これは側枝がさまざまなOCTプローブにおいて使われるガイドワイヤによって見えにくくされたり、あるいはそれ以外にステント支柱、血液および影によって見えにくくされることがあるからである。
【0007】
さらに、影および他の撮像データ・アーチファクトは、解決および解消するのが困難であることがある。結果として、側枝のような動脈の長さに沿った重要な目印が、組織と間違われたり、あるいは単に識別されなかったりすることがある。側枝にかぶさってステントを配置することが有害であることがある、あるいは実行される場合にはわかって行なうべきであることを考えると、側枝を識別できる信頼できる技法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示はこれらの問題等に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
部分的には、本開示は、血管の一つまたは複数の分枝を検出する方法に関する。本方法は、前記血管の一つまたは複数の血管内画像データセットを記憶する段階であって、各血管内データセットは複数のAラインを含む、段階と;前記複数のAラインからのAラインの集合から生成される第一のAライン画像において管腔境界を検出する段階であって、前記第一のAライン画像はr次元およびAライン次元をもつ、段階と;探索距離Tを指定する段階と;検出された管腔境界およびそれからの距離Tの境界オフセットによって境を定められる探索領域を定義する段階と;前記探索領域においてエッジを検出する段階と;検出されたエッジに応答して候補分岐領域を識別する段階とを含む。
【0010】
ある実施形態では、本方法は、第一の画像処理演算子を使って前記Aライン画像を平坦化する段階と;第二の画像処理演算子を使ってAライン画像にメジアン平滑化を適用する段階と;第三の画像処理演算子を使ってAライン画像に平滑化を適用して、フィルタリングされた画像を生成する段階とを含む。ある実施形態では、本方法は、前記フィルタリングされた画像において第一の最小‐最大対を識別することを含み、前記第一の最小‐最大対の間の一つまたは複数の距離が第一の探索窓を定義する。ある実施形態では、本方法は、前記フィルタリングされた画像において第二の最小‐最大対を識別することを含み、前記第二の最小‐最大対の間の一つまたは複数の距離が第二の探索窓を定義する。
【0011】
ある実施形態では、本方法は、第一の探索窓内で、対応する前処理された入力画像においてr次元に沿って探索することを含む。ある実施形態では、本方法は、前記第一の探索窓の中に位置する、ノイズフロア閾値より下のピクセルを、候補分岐領域に対応するものとして指定することを含む。ある実施形態では、ノイズフロア閾値は約2mmより小さい。ある実施形態では、本方法は、候補分枝領域を三つのバンドに分割することを含む。ここで、三つのバンドの幅の和はTに等しい。ある実施形態では、本方法は、各バンドについて、各Aラインに沿った、候補分岐領域に対応するピクセルを累積することを含む。
【0012】
ある実施形態では、本方法は、特定のAラインが約10%ないし約30%より多くの、候補分枝としてマークされたピクセルをもつ場合、そのバンドにおいてそのAラインを分枝に対応するとマークすることを含む。ある実施形態では、本方法は、各バンドについての、候補分枝に対応するAラインの集合を出力することを含む。
【0013】
ある実施形態では、本方法は、プルバックの諸フレームを使って分岐マトリクスを生成することを含む。前記フレームは、Aラインおよび角度データを含む。ある実施形態では、本方法は、三つすべてのバンドのグループ化および最初の二つのバンドのグループ化に対応するピクセルを単離して、側枝に対応するピクセルを選択することを含む。ある実施形態では、本方法は、分岐マトリクスからガイドワイヤ領域を除去することを含む。ある実施形態では、本方法は、一つのフレームのみに現われる分枝を消去することを含む。ある実施形態では、本方法は、0をまたぐ重なりを考慮に入れるために分岐マトリクスを複製することを含む。
【0014】
ある実施形態では、第一のバンドは0からT/3までの範囲であり、第二のバンドはT/3から2/3Tまでの範囲であり、第三のバンドは2/3TからTまでの範囲である。ある実施形態では、第一のバンドは0からT/3までの範囲であり、第二のバンドはT/3から2/3Tまでの範囲であり、第三のバンドは2/3TからTまでの範囲である。ある実施形態では、本方法は、一つまたは複数の検出された側枝をユーザー・インターフェースに表示することを含む。ある実施形態では、本方法は、分岐マトリクスを使って一つまたは複数の候補側枝を検証することを含む。分枝マトリクスは、二つ以上のバンドから選択されたピクセルを使って生成される。バンドの和はTである。
【0015】
開示される実施形態の他の特徴および利点は以下の記述および付属の図面から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本特許または出願はカラーで作成された少なくとも一つの図面を含んでいる。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、請求して必要な手数料を支払うことで、庁によって提供される。
【0017】
図面は必ずしも同縮尺ではない。一般に、例解用の原理に強調が置かれている。図面はすべての側面において例示的であると考えられ、本開示を限定することは意図されていない。本開示の範囲は請求項によってのみ定義される。
図1】本開示のある例示的実施形態に基づく、自動化された側枝検出モジュールを含む血管内撮像システムの図である。
図2A】本開示のある例示的実施形態に基づく、側枝をもつ血管における関心領域の極形式のAライン画像である。
図2B】本開示のある例示的実施形態に基づく、図2AのAライン画像に対応する血管の断面画像である。
図3】本開示のある例示的実施形態に基づく、図2Aに示した画像の平坦化したバージョンである。
図4】本開示のある例示的実施形態に基づく、側枝のエッジ検出を示す画像である。
図5】A~Dは、本開示のある例示的実施形態に基づく、平坦化後の、動径次元rがAライン次元に垂直な画像処理されたAライン画像と、異なるr値についてのノイズフロアに対するさまざまなプロットである。
図6】バンドまたはゾーンが管腔からの種々の深さに基づいて指定される、側枝を探索するために選択されたさまざまなバンドまたはゾーンを示す画像である。
図7】断面OCTビュー、Lモードまたは縦方向OCTビューおよび候補分枝およびガイドワイヤのある分岐マトリクスである。
図8】本開示のある例示的実施形態に基づく、処理されたまたは作用された分岐マトリクスにおいてさまざまな分枝候補を同定するためにパースされる分岐マトリクスである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
部分的には、本開示は、OCT、IVUSまたは他の撮像モダリティーのような血管内モダリティーを使って撮像される血管に関する分枝検出の自動化された方法に関する。分枝(branch)という用語は、側枝(side branch)などの血管の一つまたは複数の枝を指す。ある実施形態では、本開示は、ソフトウェア・モジュール、オペレーターおよびステージのパイプラインにおける中間段階として分枝検出を実行することに関する。さまざまなステージは血管内データを変換し、それに対して影および管腔検出のような特徴検出を実行する。分枝検出は、OCTまたはIVUSプルバック後に実行されることができ、結果として得られる血管内データが、管腔境界に関係する情報などの管腔データを抽出するために管腔検出ソフトウェア・モジュールを使って処理されることができる。
【0019】
部分的には、本発明は、血管内データのフレームのようなデータを収集し、処理するさまざまな方法に関する。ある実施形態では、血管内データまたは画像データのフレームは、回転可能な血管内プローブを使って得られた複数のAライン(スキャンライン)から生成された断面画像を含む。血管の断面画像は、プローブが回転する際のスキャンラインの集合によって形成される。
【0020】
ある実施形態では、分枝検出に先立って、基礎になる血管内データから関心領域を識別するために影検出が実行される。影が関心対象となるのは、血液プール、側枝のような分枝およびガイドワイヤ・セグメントのような種々の特徴に対応することがあるからである。ガイドワイヤ・セグメントは、血管内撮像プローブを動脈内に位置させるために使われるガイドワイヤから生じる。ある実施形態では、ひとたびガイドワイヤ(または複数のガイドワイヤ)が識別され、検証されたら、所与のフレームまたはスキャンライン上でのガイドワイヤによって生成された位置またはピクセル・マーク付けが、他の血管内データ処理モジュールに提供されることができる。例として、検証されたガイドワイヤ検出は、側枝検出モジュールへの入力であることができる。側枝を検出するプロセスは、血管内プルバック・データに関する関心対象の情報を生成するために、他の処理ステージに入力されることもできる。
【0021】
部分的には、本開示は、分枝検出およびそれに関係するパラメータの評価に関係するさまざまな方法および部分方法を記述する。ある実施形態では、本方法は、ユーザー・インターフェース入力に基づいて血管内データに対して作用して側枝を検出する自動化された方法であるか、入力として側枝検出を使う他の画像処理方法の一部としてである。
【0022】
冠動脈における側枝は、動脈が細くなっていく際の各セグメントにおける動脈の公称直径をモデル化するために使用されることができる。側枝の位置および直径は、動脈に沿った流れを計算し、予測するための重要な入力である。
【0023】
OCT画像において側枝の位置を自動検出して、その直径の推定値を提供する新たなソフトウェア・アルゴリズムが開発されている。このアルゴリズムは、フレームと、分岐領域の一部である、OCTフレームのスキャンラインとを識別する。
【0024】
ある実施形態では、ソフトウェア・ベースの方法が極座標空間においてスキャンラインに作用し、画像処理フィルタおよびアルゴリズムの組み合わせを使って側枝壁の上昇するおよび下降する輝度勾配を検出する。ある実施形態では、このソフトウェアは、プルバックに沿った諸フレームに基づいて編成されるスキャンライン・データからマトリクスを生成する。マトリクスは、あるオフセット量または他の距離だけ管腔を越えて組織または側枝中に延びる情報を収集する、プルバックからのデータを含む。このマトリクス(分岐マトリクス)が可能な分枝位置についての情報を得るためにパースされ、分枝直径を測定するために使われる。
【0025】
図1に示されるように、血管内データを収集する際に使うためのデータ収集システム30は、血管を撮像するために使用できるデータ収集プローブ7を含む。システムはOCT、IVUSまたは他の血管内撮像モダリティー・ベースのシステムであることができる。データ収集プローブ7を血管中に導入するために、ガイドワイヤが使用されることができる。データ収集プローブ7は、データを収集する間、血管に沿って導入され、引き戻されることができる。撮像プローブが血管の長さに沿って引っ込められる(プルバックされる)際、複数のスキャンまたは血管内データセット(OCT、IVUSまたは他のデータ)が、プローブまたはその一部が回転するにつれて収集される。これは、ある実施形態ではプルバックと称される。
【0026】
ある実施形態では、これらのデータセットまたは画像データのフレームの集合は、狭窄または留置されたステントといった関心領域を識別するために使用されることができる。ある実施形態では、データ収集プローブ7はOCTプローブである。プローブ7はプローブ先端17を含むことができる。OCTプローブは、プローブ7のために使われるときは、干渉計およびデータ処理システムを含むシステム10のバージョンとともに使うために構成される。データ収集プローブ7を使って収集された距離測定値は、血管の断面ビューまたは縦方向ビュー(Lモード・ビュー)のような画像データのフレームを生成するために処理されることができる。明確のために、断面ビューは限定なしに縦方向ビューを含むことができる。これらの画像は、一つまたは複数の画像データ処理モジュールまたはステージを使って処理されることができる。
【0027】
データ収集プローブ7は、血管中に挿入する前または後に示される。データ収集プローブ7は、OCTシステム10と光連通する。光ファイバー15を介してデータ収集プローブ7に接続するOCTシステム10は、レーザーのような光源と、試料アームおよび参照アームをもつ干渉計と、さまざまな光路と、クロック生成器と、フォトダイオードと、他のOCTシステム・コンポーネントとを含むことができる。プローブ7は、分枝Bおよび血液プールBPを有する動脈8に配置される。
【0028】
ある実施形態では、平衡フォトダイオード・ベースのシステムのような受光器31がデータ収集プローブ7を出る光を受け取ることができる。コンピュータ、プロセッサ、ASICまたは他の装置のようなコンピューティング装置40がOCTシステム10の一部であることができ、あるいはOCTシステム10と電気通信または光通信する別個のサブシステムとして含まれることができる。コンピューティング装置40はメモリ・デバイス41、記憶、バスおよびデータを処理するために好適な他のコンポーネントと、ステント視覚化、ステント密着不良検出、管腔検出、オフセット生成、探索領域151定義、側枝検出45、ガイドワイヤ検出、分岐マトリクス生成、プルバック・データ収集などのために構成された画像データ処理ステージのようなソフトウェア・コンポーネント44とを含むことができる。分枝検出モジュール45は別個のソフトウェア・モジュールとして示されているが、ソフトウェア・コンポーネント44の一つであってもよい。分岐マトリクス生成ソフトウェアは、分枝検出モジュール45の一部または別個のソフトウェア・モジュールであることができる。
【0029】
さまざまな実施形態において、コンピューティング装置40は、側枝検出モジュール、ガイドワイヤ検出モジュール、管腔検出モジュール、ステント検出モジュール、メジアン・マスク・クリアリング・モジュール、強度平均モジュール、ステント密着不良検出モジュール、カリナ検出モジュールおよび他のソフトウェア・モジュールといったソフトウェア・モジュールまたはプログラム44を含むまたはそれにアクセスする。たとえば、コンピューティング装置40は、側枝を検出するために側枝検出モジュール45にアクセスしてもよい。特に、モジュールは、分岐精度を改善するために、シグネチャーのようなある種の分岐特性を使うよう構成される。
【0030】
ある実施形態では、側枝検出モジュール45は、二次元分岐マトリクスを生成するまたは二次元分岐マトリクスに対して作用し、該マトリクスを使って、あるいは本稿に記載される他の仕方で候補側枝を単離する。ある実施形態では、分岐特性は、ノイズフロアおよび上昇または下降する勾配のような血管内で検出される特徴の配置を含むことができる。ソフトウェア・モジュールまたはプログラム44は、画像データ処理パイプラインまたはそのコンポーネント・モジュールと、一つまたは複数のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)とを含むことができる。
【0031】
例示的な画像処理パイプラインが、収集された血管内データを血管およびステントの二次元および三次元ビューに変換するために使われる。画像データ処理パイプラインまたは本稿に記載される方法の任意のものは、メモリに記憶され、プロセッサ、装置または他の集積回路のような一つまたは複数のコンピューティング装置を使って実行される。
【0032】
ある実施形態では、ソフトウェア・モジュール44は、血流検出に関係する追加的な特徴をも含み、あるいは側枝検出の代わりにそのような特徴を含む。ある実施形態では、一つまたは複数の側枝の直径と、これらの側枝を通じた血流の予測である。ソフトウェア・モジュール44は、側枝血流ビューをオン、オフにトグルし、ステント計画、フライスルーおよび本稿に記載される他の閲覧モードといったさまざまなユーザー・インターフェース表示モードをトグルするためのユーザー・インターフェース・ソフトウェア・コンポーネントを含むまたはかかコンポーネントと通信することもできる。
【0033】
図1に示されるように、収集された画像データを使って生成される血管の断面および縦方向ビューといった情報47を示すためのディスプレイ46も、血管内データ収集および処理システム10の一部であることができる。
【0034】
データ収集システム10は、血管のための検出された側枝に関連付けられた血流に関係する画像データを表示するために使われることができる。ある実施形態では、一つまたは複数の画像に関してナビゲートする、情報を入力する、コントローラまたはユーザー・インターフェース・コンポーネントのような入力を選択するまたはこれと対話するまたは他の仕方で一つまたは複数のシステム出力を示すために、一つまたは複数の段階が、自動的に、あるいは初期のユーザー入力以外のユーザー入力なしに実行されることができる。ある実施形態では、血流ビューは、血管および一つまたは複数の側枝の表現の二次元または三次元ビューのレビューを容易にするために選択するオプションとして呈示される。ユーザー入力に応答して一つまたは複数の閲覧モードの間でトグルすることは、本稿に記載されるさまざまな段階に関して実行されることができる。
【0035】
ステントおよび管腔境界の、OCTまたはIVUS画像のような表現は、ディスプレイ46を介してユーザーに示されることができる。側枝検出、影検出およびステント検出がこれらの特徴の表示に先立って実行されてもよく、表示される画像に含まれてもよい識別用印を用いて何らかのコーディングまたはタグ付けが実行されてもよい。このOCTベースの情報47は、一つまたは複数のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を使って表示されることができる。図14A、14B、22~26の画像は、GUIおよびさまざまな入力装置を使って表示され、対話されることのできる情報47の例である。
【0036】
さらに、この情報47は、限定なしに、断面スキャン・データ、縦方向スキャン、直径グラフ、画像マスク、影領域、ステント、密着不良エリア、管腔境界、自動的に検出された管腔境界に対して測った垂直距離および距離Tをもつ管腔境界から延びる垂直距離および血管の他の画像もしくは表現またはOCTおよびデータ収集プローブを使って得られる基礎になる距離測定値を含むことができる。
【0037】
コンピューティング装置40は、ステント支柱およびステント密着不良レベル(たとえば閾値および測定された距離の比較に基づく)および他の血管特徴を、たとえばテキスト、矢印、カラーコード、ハイライト、輪郭線または他の好適な人間もしくは機械に読み取り可能な印を用いて同定するよう構成された、一つまたは複数のメモリ・デバイス41に記憶されることのできるソフトウェアまたはプログラム44をも含むことができる。
【0038】
ディスプレイ46は、ある実施形態によれば、血管のさまざまなビューを描く。ディスプレイは、さまざまな特徴を示すまたは隠すメニューを含むことができる。たとえば、表示すべき血管特徴を選択するためのメニューおよびディスプレイの仮想カメラ・アングルを選択するためのメニューである。ユーザーは、ユーザー・ディスプレイ上で複数の視角の間でトグルすることができる。さらに、ユーザーは、ユーザー・ディスプレイ上で異なる側枝の間でトグルすることができる。これはたとえば、特定の側枝を選択することによるおよび/または特定の側枝に関連付けられたビューを選択することによる。
【0039】
たとえば、ユーザーは、ある実施形態ではデフォルト・ビューであることのできる孔ビューまたは一つまたは複数の側枝についてカリナを見ることができるようにするカリナ・ビューを選択することができる。ある実施形態では、画像処理パイプラインおよび関連するソフトウェア・モジュールが、プルバックの間に収集されたデータを使って画像化された動脈において、管腔境界、ガイドワイヤ、他の影、ステントおよび側枝を検出する。
【0040】
たとえば、管腔境界は、管腔検出ソフトウェア・コンポーネントまたはモジュールを使ってプローブ先端17において収集される光信号から得られる距離測定値を使って検出されることができる。ファイバーの代わりに、血管壁および一つまたは複数のステントに関してIVUS信号を収集するのに好適な超音波トランスデューサが使用されることができる。
【0041】
管腔検出ソフトウェアが一つまたは複数の段階を含むことができる。たとえば、ある実施形態において管腔検出を実行するために、フィルタまたは他の画像処理装置が二次元画像に適用されて、管腔境界を示すエッジを画像中に検出することができる。もう一つの実施形態では、スキャンライン・ベースの手法が使われる。一つまたは複数のプルバックの間、光または超音波信号が、血管および該血管の管腔内に配置された一つまたは複数のステントに関するスキャンラインとして収集される。ある実施形態では、コンピューティング装置を実行する管腔検出ソフトウェアは、コンピューティング装置を使ってスキャンラインの集合から一つまたは複数の画像を生成する。
【0042】
さらに、管腔検出は、コンピューティング装置を使って脈管画像の二値マスクを生成することを含むことができる。ここで、二値マスクは、強度閾値を使って生成される。もう一つの段階として、二値マスクにおいて複数のスキャンラインが定義される。該複数のスキャンラインの各スキャンラインに関して、ある実施形態では、ある領域がその上の管腔境界組織として識別される。境界の輪郭セグメントが、管腔境界組織の領域の存在に基づいて識別される。ある実施形態では、本方法は、近隣の輪郭セグメントを識別する。管腔境界検出方法は、近隣の輪郭セグメントの間の欠けている輪郭データを補間することをも含むことができる。結果として、ある実施形態では、近隣の輪郭セグメントおよび補間された欠けている輪郭データは管腔境界を定義する。
【0043】
ひとたびプルバックからのフレームおよびスキャンラインのような血管内データがプローブを用いて得られてメモリ41に記憶されたら、血管内データは、プルバック領域またはその部分集合の長さに沿った血管の断面、縦方向および/または三次元ビューといった情報47を生成するために処理されることができる。これらのビューは、図面に示されるユーザー・インターフェースの一部として描かれることができる。血管内データ収集システムから得られた距離測定値を使って生成された血管の画像は、血管およびその中に配置されているオブジェクトについての情報を提供する。
【0044】
よって、部分的には、本開示は、血管、ステントまたは他の関心のある脈管情報に関する情報を評価し、描くために好適なソフトウェア・ベースの方法および関係したシステムおよび装置に関する。血管内データは、初期のステント留置または矯正ステント関係手順の前または後の、血管の断面および縦方向ビューのような2Dビューを生成するために使用されることができる。データ収集プローブおよびさまざまなデータ処理ソフトウェア・モジュールを使って得られた血管内データは、ステントおよび/または該ステントに関係する一つまたは複数の属性および/または該ステントが配置されている管腔を同定し、特徴付け、視覚化するために使用されることができる。
【0045】
側枝の開口部がステントによって遮られないよう、血管の壁に対する、血管の壁における側枝のための開口部との関係でのステント位置が視覚化されることができる。ある実施形態では、処置計画およびステント留置を支援するために側枝が識別され、視覚化される。
【0046】
図2Aは、側枝102をもつ血管における関心領域の極形式のAラインOCT画像である。血管管腔100は画像の上部にある。管腔境界106(すなわち血管壁のエッジ)は、図のように点線によって印されており、血管壁組織120が画像の大部分を占めている。ガイドワイヤの影104は、画像の右側の垂直方向の特徴である。この画像では、管腔境界106は最も明るい応答を与え、OCT信号は組織侵入深さまで減衰する。側枝102は血管壁における垂直方向の影または無信号領域のように見える。部分的には、本開示は分枝102のような側枝を検出することに関する。
【0047】
ある実施形態では、検出精度を高めるために、影およびガイドワイヤ・セグメントが側枝影から除外されることができるよう、初期にガイドワイヤ検出が実行される。さまざまな実施形態において、血管内データ収集システムおよび関連するソフトウェア・モジュールは、所定のスキャン深さ領域T内でOCT画像データにおける分岐特性を検出する。T値は、探索領域151を定義するために使用されることができる。T値はグラフィカル・ユーザー・インターフェースを介して入力されることができる。
【0048】
ある実施形態では、Tは約660μmとして指定され、管腔からのオフセットとして、線108によって印されるオフセット管腔境界を定義するために使われる。分枝検出のための関心領域/探索領域は、ある実施形態では、管腔境界106を距離Tだけシフトさせたものである線108と、管腔境界106とによって定義される。点線(管腔境界106)およびシフトされた管腔境界108を境とする幅Tの曲がった帯またはリボン151は、側枝を探すための血管内画像データの部分集合を指定する。Tは約500μmから約800μmの範囲であることができる。図2Bは、図2AのAライン画像85に対応する血管の断面画像130である。図2Bでは、プローブ7および側枝102に関係する管腔境界106が示されている。側枝102に隣接する探索領域151の一部が示されている。領域102は、本稿に記載される一つまたは複数の方法およびシステムを使って検出可能な分岐領域の例である。
【0049】
〈分枝検出の実施形態〉
ソフトウェア・ベースの分岐(branching)方法はまず、下降する応答勾配112と上昇する応答勾配114との間に、ノイズフロア110(NFとも称される)または無信号領域によって定義される分岐シグネチャーまたはパターンがあるかどうかスキャンする。ある実施形態では、ノイズフロアは、組織強度が、空にされた管腔と同じ値まで低下したゾーンまたは領域である。ノイズフロア110は、探索ゾーンまたは領域における上昇および下降強度勾配の中間の遷移領域に対応することができる。次に、このシグネチャーまたはパターンに適合する任意の画像フレームが候補分岐領域としてマークされる。次いで、候補分岐領域がすべてのフレームにわたって組み合わされる。今度は、分岐領域は任意的に、分岐マトリクスに関してパースされ、各側枝の直径が推定される。ソフトウェア・ベースの分岐方法は、本稿でより詳細に記載される。
【0050】
最初、プルバック後に、生のAライン画像が前処理されて画像が平坦化される。それにより、側枝を識別するのが容易になる。図3は、図2Aに示した画像の平坦化されたバージョンである血管内画像125である。Aライン画像は、検出された管腔境界(図2Aでは106)を平坦化した画像の上端として使って平坦化される。画像127は、図4に示されるメジアンおよびガウシアン画像平滑化を使ってフィルタリングされることもできる。
【0051】
図3の前処理された画像125はノイズフロアNFを検出するために解析される。ノイズフロアNFは、ノイズフロアより低いピクセルを候補分岐領域として識別するための閾値として使用されることができる。ノイズフロア閾値は、種々のサンプルからの画像ヒストグラムまたは既知のOCTノイズ・レベルに基づいて計算される。ある実施形態では、ノイズフロアは管腔からTオフセットの方向に約1.5mmから約2.5mmであるよう決定される。ある実施形態では、ノイズフロアは約2mmである。
【0052】
ある実施形態では、図3の平坦化された画像125の、候補側枝を含む部分は、次いで、エッジ検出フィルタ133またはフィルタF1もしくはF2を使って処理される。データ処理を軽減し、効率を改善するために、フィルタリングは好ましくは、所定のスキャン深さTに対応するデータに対して実行される。図4では、スキャン深さTは管腔境界から660μmであるが、OCTに適合するいかなる深さが使われてもよい。画像127はフィルタ133を使ってフィルタリングされて、フィルタリングされた画像135を生成する。エッジ検出フィルタが適用されて、側枝およびガイドワイヤ影の左エッジ126および右エッジ128を識別することができる。ある実施形態では、フィルタ133はガウシアン・フィルタである。ある実施形態では、フィルタ133は、第一のフィルタF1および第二のフィルタF2とも称されるフィルタ133a、133bのような二つのフィルタである。ある実施形態では、フィルタ133a、133bは一つまたは複数の分離可能型のエッジ発見フィルタである。ある実施形態では、本稿で使われるエッジ発見フィルタはボックスカー型フィルタである。
【0053】
さらに、ある実施形態では、フィルタは平滑化フィルタである。ある実施形態では、フィルタ133はエッジ発見フィルタである。ある実施形態では、フィルタ133は、フィルタF1およびF2であることができる複合平滑化およびエッジ発見フィルタである。
【0054】
追加的な段階として、図4の画像135のようなエッジ・フィルタリングされた画像が、図5Aに示される画像147として示されるように、さまざまなr値に沿って解析される。図5Aでは、画像147は次いで、候補分岐領域を検出するために、すべてのAラインの全部または部分集合について各r次元値について解析される。今度は、画像147は各r値またはその部分集合について、r=20値に沿ってフィルタリングすることによって、フィルタリングされる。このようにして、図5Bのフィルタ・プロット149は、r=20について図5Bのフィルタリングされた画像149におけるローカルな最小‐最大ピークを同定する。このプロセスは、ある実施形態では、r値の全部または部分集合について繰り返されて、ローカルな最小‐最大ピークの集合を生成する。
【0055】
図5Aに示されるように、関心領域(ROI)128が管腔126に関して示されている。ROIは、Tだけシフトされた検出された管腔126の部分に対応する。図5Aおよび5Cの縦軸はr次元に対応し、管腔信号126の対およびROI信号128の対を通るr=20のところの一つの点線が示されている。図5Bのフィルタリングされた画像プロットおよび図5Dの前処理された入力画像強度プロットにおける円で囲んだ最大および最小値によって示される最小‐最大対インデックスの間に。
【0056】
図5Bに関し、プロットの縦軸は、図5Aのフィルタリングから帰結するフィルタ出力であり、横軸はAラインである。図5Cは、図5Cの前処理された画像の強度プロットである。図5Dでは、縦軸は入力画像強度である。ある実施形態では、システムは、対応する前処理された入力画像において「r」次元に沿って、画像の諸Aラインにまたがるr値の全部または部分集合を探索する。
【0057】
図3のノイズフロアも図5Dの強度プロットに示されている。ノイズフロアは、それより下では候補側枝138が識別される閾値を設定する。ある実施形態では、ノイズフロア閾値は、ノイズフロアの推定値に基づき、ノイズフロア近くのサンプルがこの閾値より小さく、組織サンプルはそれより大きいことを保証されるように、設定される。システムは、平坦化された画像(図5C)の対応する領域において、図5Dのプロット161において指定されているノイズフロア閾値より低いピクセルを探すために、一つまたは複数のソフトウェア・コンポーネントを使う。図5Aを参照するに、エッジ・フィルタリングされた画像147はフィルタリングされて、「r=20」にある極大および極小を識別する。ある実施形態では、このフィルタリングおよびフィルタリングされた結果のプロットは、r値の全部または部分集合について実行される。r値は図5Aおよび5Cにおいて縦軸に沿っている。図5Bでは、x軸がAライン番号に対応し、y軸がrに対応する。図5Bを参照するに、最小‐最大方法は、図のように、それぞれの局所的な最小‐最大対130a、130bおよび132a、132bを同定する。
【0058】
さらに、図5Bに関し、本方法は、図5Cの対応する平坦化された画像160において、ノイズフロアを求めて、それぞれの最小‐最大対の間の値範囲134内でプロット149を探索する。平坦化された画像からの血管内データは、最も弱いOCT応答を含むスキャンラインを識別するために、Aライン(x軸)対強度(y軸)としてプロットされる。平坦化された画像の、所定の閾値136より低い領域は、候補分岐領域138と考えられる。ある実施形態では、閾値136はノイズフロア(NF)である。このように、極小130a、132a(円で囲んだ値の低いほうの集合)は典型的には、下降する応答勾配(図2Aにおける112)において見出され、極大130b、132b(円で囲んだ値の大きいほうの集合)は典型的には、上昇する応答勾配(図2Aにおける114)において見出される。
【0059】
ある実施形態では、ピークと谷の生起は、探索空間を定義する勾配強度の変化に対応する。探索空間内にノイズフロアより低い信号があれば、対応するピクセルは候補分岐領域に対応する。これらの候補領域はその後、有効な側枝であるかどうかを判定するために解析される。
【0060】
ある実施形態では、候補領域は、図6に示されるように探索バンドまたはゾーンに分割される。このようにして、探索されるべきバンド/ゾーンの指定は、候補分岐領域を決定することを容易にする。ある実施形態では、各Aラインについて、それはバンド1、バンド2またはバンド3に分割される。バンドはある実施形態ではTのある割合である。これらのバンドは、Aラインのどの集合が潜在的に側枝に関連しているかを同定する。各Aラインは三つ以上の異なる深さでレビューされ、深さは図6の分割されたバンドとして示されている。ここで、Tが660μmであるときのTの1/3に対応する、220μmの三つの等しい深さがある。
【0061】
ある実施形態では、探索されるべき領域の選択/指定の一部として、領域は三つのバンド(バンド1、バンド2、バンド3)に分割または細分される。ある実施形態では、各バンドは別個に処理される。バンドは、並列に、あるいはあるバンドからの特徴が他のバンドの一つまたは複数における特徴と比較されて差分的に、処理されることもできる。三つのバンドが示されているが、候補分枝探索のために、一つ、二つまたはそれ以上のバンドが指定されることができる。
【0062】
ある実施形態では、それぞれの指定された探索バンドについて、本方法は、各Aラインに沿って、マークされたピクセルを累積する。特定のAラインが10~35%より多くのピクセルのマークをもつ場合、そのバンドにおけるそのAラインは分枝に対応する。この手法は、探索領域におけるピクセルの少なくとも10~35%がノイズフロア以下であることを含意している。
【0063】
ある実施形態では、ソフトウェア・モジュールは、分岐マトリクスをパースして、分枝である可能性がこの上なく高い候補分枝領域を単離するために使われる。この段階は、三つすべての分岐領域について一つまたは複数の規則に基づいて実行される。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは除去される。
【0064】
ある実施形態では、血液プールおよび分枝偽陽性の他の源が対処される。血栓、血液プールおよび他のアーチファクトが、偽陽性の主要な原因を表わす。血液は信号を減衰させ、それが分岐領域を模倣することがある。血液プール・ピクセルを識別できる強度閾値が各フレームについて計算される。
【0065】
各検出された分枝についての管腔内で検出される血液プール・ピクセルの数に基づいて、ブロッキング指数〔インデックス〕が計算される。この指数は、管腔内の血液プールおよび血栓に相関し、それぞれの検出された分枝についてのスコアを提供する。この指数は、信号を減衰させる大量の血液または血栓が管腔内にあるときに高くなる。高いブロッキング指数をもつ分枝は、偽陽性として拒否される。受け入れ可能な範囲内のものは真の陽性として保持される。中間範囲のブロッキング指数をもつ分枝は、さらなるレビューのためにフラグ付けされることができる。
【0066】
図7は、断面OCTビュー、Lモードもしくは縦方向OCTビューおよび候補分枝およびガイドワイヤをもつ分岐マトリクスである。さまざまな検出された深さのカラーコードされた凡例も示されている。一般に、管腔からの深さは、ある範囲の深さについての色および/または該色を表わす文字に関連付けられる。図7のパースされる分岐マトリクスに関し、赤色またはRは、約0から約220μmの範囲についてである。また、緑色またはGは、約220から約440μmの範囲についてである。青色またはBは、約440から約660μmの範囲についてである。最後に、シアン色またはCは、約200から約600μmの範囲についてである。白色またはWは三つすべてのバンド(バンド1、バンド2およびバンド3)およびたとえば0~660μmのような管腔からの全体的な距離Tに対応する。これらのカラーコードされた印は図7および図8に当てはまる。さまざまな実施形態において、色以外に他の印および記号がバンドのグループ化を示すために使われることができる。
【0067】
分岐マトリクス250および330(それぞれ図7および図8)は、すべてのAラインについておよび三つの領域(バンド1、バンド2、バンド3)すべてについて、すべてのフレームからの分枝候補情報を示している。異なるバンドの関係に関し、バンド・グループ化および色の以下の凡例が図7および図8の分岐マトリクス250、300に当てはまる。色は、接続線および〔英語の〕色の頭文字によっても同定されているが、候補側枝を示すための文字A~Eの使用を区別するために、矢印なしになっている。
分岐マトリクス凡例(管腔からの距離/バンドのグループ化、たとえばT=660μm):
・バンド1(0~220μm):赤(R)
・バンド2(220μm~440μm):緑(G)
・バンド3(440μm~660μm):青(B)

・バンド1、2、3(0~660μm):白(W)
・バンド1~2(0~440μm):黄
・バンド2~3(μm220~660μm):シアン。
【0068】
図8は、分岐マトリクス300と、操作された後の該マトリクス305である。マトリクス300は、ガイドワイヤ・データを除去するために作用される。ガイドワイヤ・データの除去後、マトリクス305は候補分枝A、B、C、D、Eを示しており、ガイドワイヤ・データは除去されている。これらの分枝は、画像300、305において矢印で同定されている。ある実施形態では、図の305に示されているように分枝がより明瞭に定義されるよう、マトリクス305をさらに単離し、向上させるために、一つまたは複数の形態学的演算子が適用される。検出精度を高めるために、分岐マトリクス300からのデータは、他のフレーム横断データと比較されることができる。ある実施形態では、所与の分岐マトリクスは、フレームごとにシーケンスにおいて集められる。
【0069】
図8に関し、マトリクス300は、分枝候補の処理されたまたはフィルタリングされたマトリクス305を与えるよう処理され、操作される。これらの段階は、以下の処理またはフィルタリング段階のうちの一つまたは複数を含むことができる。分岐マトリクスを使って分枝を検出する方法は、分岐マトリクスを生成することを含むことができる。本方法は、白W(三つすべてのバンド)をもつピクセルおよび白いピクセルに隣接する黄Y(最初の二つのバンド)のピクセルを単離することを含むことができる。本方法は、ガイドワイヤ領域を除去することを含むことができる。
【0070】
本方法は、一つのフレームのみに現われる分枝を消去することをも含んでいてもよい。ある実施形態では、角度が360度にまたがるとして、マトリクスの配向および(円筒状配置に基づく)端部の重なりに依存して、マトリクスの諸セクションが、マトリクスの上および下の横軸をカバーするよう複製されることができる。ある実施形態では、無視できる量のデータ・カバー範囲をもつAラインを消去するために、形態学的演算子は、Aライン次元に沿った1D画像オープニング演算(7ピクセル)の適用を含むことができる。さらに、連結成分解析を実行して個別の成分を単一の分枝として識別するために、接続を強調するフィルタが適用されることができる。一つの分枝の一部であるマトリクス内のブロブを接続するために、フレーム横断データが使用されることもできる。
【0071】
部分的には、本開示は、スキャン深さTをもつ領域内の分岐特性を検出する段階を含む、分枝検出の自動化された方法に関する。ある実施形態では、Tは管腔から測った距離であり、管腔境界から距離Tだけオフセットされた境界を定義するために使用されることができる。ある実施形態では、Tは約400μmから約700μmの範囲である。ある実施形態では、Tは約660μmである。ある実施形態では、Tは血管壁の厚さの近似または側枝を見出すための探索ゾーンを指定するために選択されたスキャン深さ厚さである。ある実施形態では、分岐特性は、次のうちの一つまたは複数を含む:下降勾配と上昇勾配の間のノイズフロアまたは無信号領域。ノイズフロアに対する上昇セグメントと下降セグメントを検出シグネチャーとして使うことは、有利には、大きな分枝に関して検出精度を改善する。
【0072】
ある実施形態では、分枝検出の自動化された方法は、すべてのフレーム、実質的にすべてのフレームまたはM個のフレームにまたがって候補分岐領域を組み合わせる段階を含む。ここで、Mは2以上である。ある実施形態では、分枝検出の自動化された方法は、分岐領域をパースして、候補分枝を識別し、そのような候補分枝の分枝直径を推定する段階を含む。ある実施形態では、約1mmより大きな直径Dをもつ側枝が追跡される。ある実施形態では、大きな分枝は約1mm以上の直径Dをもつ分枝である。
【0073】
大きな分枝は、流れに対する増大した寄与をなし、よってFFR、VFRおよび他の血流ベースの測定値に有意に影響できる。結果として、ひとたび検出されたら、約1mm以上など関心のある直径をもつ分枝が追跡され、影のような偽検出ではなく分枝としての特徴付けを検証するために評価される。関心のある他の直径は、約0.4mmより大きいものから約2mmより小さいものまでの範囲の分枝直径Dを含むことができる。
【0074】
ある実施形態では、分枝検出の自動化された方法は、分岐マトリクスを定義するために、Aライン(スキャンラインとも称される)対フレームの代表的な二次元マトリクスを生成する段階を含む。ある実施形態では、縦軸は、0から360度の範囲の度などの角度の単位でAラインを表わすために使われ、横軸はフレーム番号に対応する単位をもつ。角度範囲は360度より大きいものとして示されることができるが、マトリクスの追加的な角度セクションは典型的には、マトリクスにおける、より以前の角度値と重なる。
【0075】
よって、ある実施形態では、フレーム番号は0または1で始まり、Jまで続くことができる。ここで、Jはプルバックにおけるフレームの数である。分枝検出の自動化された方法は、分岐マトリクスをパースして、分枝候補を単離する段階を含む。ある実施形態では、ガイドワイヤ検出および管腔検出が、分枝検出の実行に先立って実行される。いくつかの実施形態では、諸フレームにおいて可視のガイドワイヤは除去される。
【0076】
一つまたは複数のコンピュータのシステムが、システムに組み込まれたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらの組み合わせであって、システムにアクションを実行させるものをもつおかげで、特定の動作またはアクションを実行するよう構成されることができる。一つまたは複数のコンピュータ・プログラムが、データ処理装置によって実行されるときに該装置、コンピューティング装置にアクションを実行させる命令を含んでいるおかげで、特定の動作またはアクションを実行するよう構成されることができる。
【0077】
ある一般的な側面は、一つまたは複数の側枝を自動的に検出する方法であって、スキャンライン・データおよびフレーム指定子を含む分岐マトリクスを生成することを含む。本方法は、超音波撮像システムを使って、血管の一つまたは複数の血管内画像データセットを記憶することをも含む。各血管内データセットは複数のAラインを含む。本方法はまた、血管の検出された管腔境界をもつAライン画像を生成することをも含む。検出された管腔の表現を、撮像プローブから離れて組織もしくは分枝領域にはいる方向にシフトさせるためにオフセットTも使われることができる。
【0078】
ある実施形態では、本方法は、Aライン画像においてエッジの強度を増すことをも含む。本方法は、Aライン画像においてなめらかな領域を抑制することをも含む。本方法は、管腔に対する探索距離Tオフセットを指定することをも含む。オフセットTは、候補側枝領域を探索するための領域またはバンドを定義することができる。本方法は、フィルタリングされた画像における局所的な最小‐最大対を同定することをも含む。ある実施形態では、本方法は、対応する前処理された入力画像において動径次元rを探索することをも含む。
【0079】
ある実施形態では、本方法は、前処理された入力画像においてノイズフロア閾値より低いピクセルを、候補分岐領域としてマークすることをも含む。この側面の他の実施形態は、それぞれ上記方法のアクションを実行するよう構成された、対応するコンピュータ・システム、装置および一つまたは複数のコンピュータ記憶装置に記録されたコンピュータ・プログラムを含む。
【0080】
実装は以下の特徴のうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。本方法はさらに:第一の画像処理演算子を使ってAライン画像を平坦化することを含んでいてもよい。本方法はまた、第二の画像処理演算子を使ってメジアン平滑化をAライン画像に適用することをも含んでいてもよい。本方法はまた、第三の画像処理演算子を使ってガウシアン平滑化をAライン画像に適用することをも含んでいてもよい。
【0081】
ある実施形態では、本方法はさらに、候補分岐領域を、1個、2個、3個またはそれ以上のバンドなど、N個のバンドに分割し、各バンドを別個に処理することを含んでいてもよい。ある実施形態では、それらのバンドは同じ厚さをもつ。ある実施形態では、バンドの厚さまたは幅はN個のバンドについて、T/Nである。本方法はさらに、各Aラインに沿ってマークされたピクセルを累積することを含んでいてもよい。ピクセルは、所与のピクセルを影、ガイドワイヤ・ピクセル、側枝ピクセルのような分枝ピクセル、管腔ピクセル、血液ピクセルおよび撮像された血管内オブジェクトもしくは影もしくはそれらの反射に対応する他のピクセルに対応するものとして識別するソフトウェアを使って、マーク付けされるまたは他の仕方で追跡されることができる。
【0082】
ある実施形態では、特定のAラインで約10%から約30%の間よりも多いピクセルが分枝としてマークされている場合、本方法は、そのバンドにおけるそのAラインを分枝または分枝を含むAラインとしてマークする。本方法はさらに、フレームごとの処理の間に分岐マトリクスを生成することを含む。本方法はさらに、白(三つのバンドすべて)をもつピクセルおよび白のピクセルに隣接する黄(最初の二つのピクセル)のピクセルを単離することを含む。本方法はさらに、一つのフレームのみに現われる分枝を消去することを含む。このように、分枝が複数のフレームに現われないことが、候補分枝を除外するために使用できる。本方法はさらに、0にまたがる重なりを考慮に入れるために分岐マトリクスを複製することを含む。記載される技法の実装は、ハードウェア、方法もしくはプロセスまたはコンピュータ・アクセス可能な媒体上のコンピュータ・ソフトウェアを含みうる。
【0083】
本発明は、種々の側面および実施形態に関するが、本稿に開示される種々の側面および実施形態は、適宜、全体としてまたは部分的に、一緒に統合されることができることは理解される。このように、本稿に開示される各実施形態は、適宜さまざまな度合いで所与の実装のために各側面に組み込まれることができ、さまざまな方法からの段階は限定なしに組み合わされることができる。本稿での上記および他の開示にかかわらず、本稿に開示される実施形態は、適宜、バイポーラー・ベースのシステムおよび方法のコンテキストにおいて適用されてもよい。
【0084】
〈分枝検出を実装するための限定しないソフトウェア特徴および実施形態〉
下記の記述は、本稿に記載される開示の方法を実行するために好適な装置ハードウェアおよび他の動作コンポーネントの概観を与えることが意図されている。この記述は、本開示の適用可能な環境または範囲を限定することは意図されていない。同様に、ハードウェアおよび他の動作コンポーネントは上記の装置の一部として好適でありうる。本開示は、パーソナル・コンピュータ、マイクロプロセッサ・システム、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能な電子デバイス、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータなどを含む他のシステム構成とともに実施されることができる。
【0085】
詳細な記述のいくつかの部分は、コンピュータ・メモリ内のデータ・ビットに対する演算のアルゴリズムおよび記号表現を用いて呈示される。これらのアルゴリズム的な記述および表現は、コンピュータおよびソフトウェア関連分野の当業者によって使われることができる。ある実施形態では、アルゴリズムはここで、また一般に、望まれる結果に導く動作の自己完結的なシーケンスと考えられる。方法段階として実行されるまたは他の仕方で本稿で記載される動作は、物理量の物理的な操作を必要とするものである。必須ではないが通例、これらの量は記憶、転送、組み合わせ、変換、比較および他の仕方で操作されることのできる電気的または磁気的な信号の形を取る。
【0086】
特に断わりのない限り、以下の議論から明白なように、本記述を通じて、「処理する」または「計算する」または「アングリングする」または「選択する」または「トグルする」または「計算する」または「比較する」または「弧長測定する」または「検出する」または「トレースする」または「マスクする」または「サンプリングする」または「動作する」または「生成する」または「決定する」または「表示する」などの用語を利用した議論は、コンピュータ・システムのレジスタおよびメモリ内の物理的な(電子的な)量として表現されたデータを操作および変換して、コンピュータ・システムのメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶、伝送または表示装置内の物理的な量として同様に表現された他のデータにする、コンピュータ・システムまたは他の同様の電子コンピューティング装置のアクションおよびプロセスを指す。
【0087】
本開示は、いくつかの実施形態では、本稿の動作を実行するための装置にも関する。この装置は、要求される目的のために特別に構築されてもよく、あるいはコンピュータに記憶されたコンピュータ・プログラムによって選択的に作動または再構成される汎用コンピュータを含んでいてもよい。
【0088】
本稿で呈示されるアルゴリズムおよび表示は、いかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも本来的に関係していない。さまざまな汎用システムが、本稿の教示に基づくプログラムと一緒に使用されうる。あるいは、要求される方法段階を実行するために、より特化した装置を構築することが便利であると判明することがありうる。多様なこれらのシステムのための要求される構造は、以下の記述から明白になるであろう。
【0089】
本開示の実施形態は、これに限られないが、プロセッサ(たとえばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサまたは汎用コンピュータ)と一緒に使うためのコンピュータ・プログラム論理、プログラム可能な論理デバイス(たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のPLD)と一緒に使うためのプログラム可能な論理またはそれらの任意の組み合わせを含む他の任意の手段を含む多くの異なる形で実装されてもよい。本開示の典型的な実施形態では、OCTプローブ、FFRプローブ、血管造影法システムおよび他の撮像および被験体モニタリング装置および前記プロセッサ・ベースのシステムを使って収集されるデータの処理の一部または全部は、オペレーティング・システムの制御のもとで、コンピュータ実行可能形式に変換され、コンピュータ可読媒体などに記憶され、マイクロプロセッサによって実行されるコンピュータ・プログラム命令の集合として実装される。よって、たとえば、プルバックの完了または相互位置合わせ要求に基づくユーザー・インターフェース命令およびトリガーは、OCTデータを生成し、上記のさまざまなおよび他の特徴および実施形態を使って画像処理を実行するために好適な、プロセッサが理解できる命令に変換される。
【0090】
本稿で先述した機能の全部または一部を実装するコンピュータ・プログラム論理は、これに限られないが、ソースコード形式、コンピュータ実行可能形式およびさまざまな中間形式(たとえばアセンブラー、コンパイラー、リンカーまたはロケーターによって生成される形式)を含むさまざまな形で具現されうる。ソースコードは、さまざまなオペレーティング・システムまたは動作環境とともに使うための、さまざまなプログラミング言語(たとえば、オブジェクトコード、アセンブリ言語または高水準言語、たとえばフォートラン、C、C++、JAVA(登録商標)またはHTML)の任意のもので実装される一連のコンピュータ・プログラム命令を含みうる。ソースコードは、さまざまなデータ構造および通信メッセージを定義し、使用してもよい。ソースコードは、(たとえばインタープリターを介して)コンピュータ実行可能な形式であってもよいし、あるいはソースコードは(たとえば翻訳機、アセンブラーまたはコンパイラーを介して)コンピュータ実行可能な形式に変換されてもよい。
【0091】
コンピュータ・プログラムは、恒久的にまたは一時的に、いかなる形(たとえばソースコード形式、コンピュータ実行可能形式または中間形式)で有体な記憶媒体に固定されてもよい。有体な記憶媒体は、半導体メモリ・デバイス(たとえば、RAM、ROM、PROM、EEPROMまたはフラッシュ―プログラマブルRAM)、磁気メモリ・デバイス(たとえばディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ・デバイス(たとえばCD-ROM)、PCカード(たとえばPCMCIAカード)または他のメモリ・デバイスといったものである。コンピュータ・プログラムは、さまざまな通信技術の任意のものを使ってコンピュータに伝送可能な信号の任意の形で固定されてもよい。そうした技術には、決してこれに限られるものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(たとえばブルートゥース(登録商標))、ネットワーキング技術およびインターネットワーキング技術を含む。コンピュータ・プログラムは、付属の印刷されたまたは電子的なドキュメントと一緒に、リムーバブル記憶媒体として任意の形で頒布されてもよく(たとえばシュリンクラップされたソフトウェア)、コンピュータ・システムに(たとえばシステムROMまたは固定ディスクに)あらかじめロードされていてもよく、あるいはサーバーまたは電子掲示板から通信システム(たとえばインターネットまたはワールドワイドウェブ)を通じて配信されてもよい。
【0092】
本稿で先に述べた機能の全部または一部を実装するハードウェア論理(プログラム可能な論理デバイスと一緒に使うためのプログラム可能な論理を含む)は、伝統的な手作業の方法を使って設計されてもよく、あるいはコンピュータ援用設計(CAD)、ハードウェア記述言語(たとえばVHDLまたはAHDL)またはPLDプログラミング言語(たとえばPALASM、ABELまたはCUPL)のようなさまざまなツールを使って電子的に設計、捕捉、シミュレートまたは文書化されてもよい。
【0093】
プログラム可能論理は、恒久的にまたは一時的に、有体な記憶媒体に固定されてもよい。有体な記憶媒体は、半導体メモリ・デバイス(たとえば、RAM、ROM、PROM、EEPROMまたはフラッシュ―プログラマブルRAM)、磁気メモリ・デバイス(たとえばディスケットまたは固定ディスク)、光メモリ・デバイス(たとえばCD-ROM)または他のメモリ・デバイスといったものである。プログラム可能論理は、さまざまな通信技術の任意のものを使ってコンピュータに伝送可能な信号において固定されてもよい。そうした技術には、決してこれに限られるものではないが、アナログ技術、デジタル技術、光技術、無線技術(たとえばブルートゥース)、ネットワーキング技術およびインターネットワーキング技術を含む。プログラム可能論理は、付属の印刷されたまたは電子的なドキュメントと一緒に、リムーバブル記憶媒体として頒布されてもよく(たとえばシュリンクラップされたソフトウェア)、コンピュータ・システムに(たとえばシステムROMまたは固定ディスクに)あらかじめロードされていてもよく、あるいはサーバーまたは電子掲示板から通信システム(たとえばインターネットまたはワールドワイドウェブ)を通じて配信されてもよい。
【0094】
好適な処理モジュールのさまざまな例について、下記でより詳細に論じる。本稿での用法では、モジュールは、特定のデータ処理またはデータ伝送タスクを実行するのに好適なソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアをいう。ある実施形態では、モジュールは、命令またはさまざまな型のデータを受領、変換、ルーティングおよび処理するのに好適なソフトウェア・ルーチン、プログラムまたは他のメモリ常駐アプリケーションをいう。データはたとえば血管造影法データ、OCTデータ、FFRデータ、IVUSデータ、相互位置合わせデータ、ピクセル、分岐マトリクスおよび配向および座標、ユーザー・インターフェース信号およびさまざまなグラフィック・ディスプレイ要素および本稿に記載される関心対象となる他の情報である。
【0095】
本稿に記載されるコンピュータおよびコンピュータ・システムは、データを取得、処理、記憶および/または通信することにおいて使用されるソフトウェア・アプリケーションを記憶するための、メモリのような動作上関連したコンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。そのようなメモリは、その動作上関連するコンピュータまたはコンピュータ・システムに関して、内部、外部、リモートまたはローカルであることができることは理解できる。
【0096】
メモリは、ソフトウェアまたは他の命令を記憶するための任意の手段をも含んでいてもよく、たとえば、限定なしに、ハードディスク、光ディスク、フロッピーディスク、DVD(デジタル多用途ディスク)、CD(コンパクトディスク)、メモリースティック、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、DRAM(動的ランダムアクセスメモリ)、PROM(プログラム可能型ROM)、EEPROM(拡張消去可能PROM)および/または他の同様のコンピュータ可読媒体を含む。
【0097】
一般に、本稿に記載される本開示の実施形態に関連して適用されるコンピュータ可読メモリ媒体は、プログラム可能な装置によって実行される命令を記憶することのできる任意のメモリ媒体を含んでいてもよい。適用可能な場合には、本稿に記載される方法段階は、コンピュータ可読メモリ媒体またはメモリ・メディアに記憶された命令として具現または実行されてもよい。これらの命令は、C++、C、Javaおよび/または本開示の実施形態に基づく命令を生成するよう適用されうる多様な他の種類のソフトウェア・プログラミング言語のようなさまざまなプログラミング言語で具現されたソフトウェアであってもよい。
【0098】
本開示の側面、実施形態、特徴および例は、あらゆる観点で例示的と考えられ、本開示を限定することは意図されていない。本開示の範囲は、請求項によってのみ定義される。特許請求される開示の精神および範囲から外れることなく、他の実施形態、修正および使用が、当業者には明白であろう。
【0099】
本願における見出しおよびセクションの使用は、本開示を限定することは意図されていない。各セクションは、本開示の任意の側面、実施形態または特徴に適用できる。
【0100】
本願を通じて、構成物が特定のコンポーネントをもつ、含むまたは有すると記述される場合、あるいはプロセスが特定のプロセス段階をもつ、含むまたは有すると記述される場合、本願の教示の構成物が、本質的には記載されるコンポーネントから構成される、あるいは記載されるコンポーネントからなることも考えられ、本願の教示のプロセスが、本質的には記載されるプロセス段階から構成される、あるいは記載されるプロセス段階からなることも考えられる。
【0101】
本願において、要素またはコンポーネントが、記載される要素またはコンポーネントのリストに含まれるおよび/または該リストから選択されると述べられる場合、その要素またはコンポーネントは、記載される要素またはコンポーネントの任意の一つであることができ、あるいは記載される要素またはコンポーネントの二つ以上からなる群から選択されることができることを理解しておくべきである。さらに、本稿に記載される構成物、装置または方法の要素および/または特徴は、本願の教示の精神および範囲から外れることなく、本稿で明記されていようと暗黙的であろうと、多様な仕方で組み合わされることができることを理解しておくべきである。
【0102】
「含む」、「もつ」または「有する」という用語の使用は、そうでないことが明記されない限り、一般に、限定するものではない、オープンエンドとして理解されるべきである。
【0103】
本稿での単数形の使用は、そうでないことが明記されない限り、複数を含む(逆も成り立つ)。さらに、文脈が明確にそうでないことを指定するのでない限り、単数形は複数形を含む。さらに、「約」という用語の使用が定量的な値の前にある場合、そうでないことが明記されない限り、本願の教示はその特定の定量的な値自身をも含む。本稿での用法では、用語「約」は、公称値から±10%の変動を指す。
【0104】
段階の順序またはある種のアクションを実行するための順序は、本願の教示が機能できるままである限り、重要ではないことを理解しておくべきである。さらに、二つ以上の段階またはアクションが同時に実施されてもよい。
【0105】
特許請求される開示のさまざまな側面が、本稿で開示される技法の部分集合およびサブステップに向けられていることを理解しておくべきである。さらに、本稿で用いられる用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使われており、そのような用語および表現の使用には、示され記載される特徴の何らかの等価物またはその一部を除外する意図はない。請求される開示の範囲内でさまざまな修正が可能であることが認識される。よって、特許状によって保護されることが望まれるものは、あらゆる等価物を含む、付属の請求項において定義され、区別される開示である。
【0106】
用語「機械可読媒体」は、機械による実行のための、機械に本開示の方法論の任意の一つまたは複数を実行させる命令の集合を記憶、エンコードまたは担持することのできる任意の媒体を含む。例示的実施形態では機械可読媒体が単一の媒体として示されているが、用語「機械可読媒体」は、一つまたは複数の集合の命令を記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえばデータベース、一つまたは複数の中央集中式または分散式のデータベースおよび/または関連するキャッシュおよびサーバー)を含むと解釈されるべきである。
【0107】
本開示のある種の側面では、ある要素または構造を提供するためまたは所与の機能(単数または複数)を実行するために、単一のコンポーネントが複数のコンポーネントによって置き換えられてもよく、複数のコンポーネントが単一のコンポーネントによって置き換えられてもよいことは理解できる。そのような置換が本開示のある種の実施形態を実施するよう機能しない場合を除いて、そのような置換は本開示の範囲内であると考えられる。
【0108】
本稿で呈示される例は、本開示の潜在的および特定的な実装を例解することを意図されている。これらの例は、主として当業者のための本開示の例解の目的のために意図されていることは理解できる。本開示の精神から外れることなく、これらの図面または本稿に記載される動作に対する変形がありうる。たとえば、ある種の場合、方法段階または動作は、異なる順序で実行または執行されてもよく、あるいは動作が追加、削除または修正されてもよい。
【0109】
さらに、本稿では本開示を限定する目的ではなく本開示を例解する目的で本開示の個別的実施形態が記述されているが、請求項に記載される本開示から外れることなく、詳細、材料および要素、段階、構造および/または諸部分の配置の数多くの変形が本開示の原理および範囲内でなされうることは、当業者には理解されるであろう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8