(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】羽目板工作機械の曲げ加工群
(51)【国際特許分類】
B21D 5/04 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
B21D5/04 L
B21D5/04 E
(21)【出願番号】P 2018562729
(86)(22)【出願日】2017-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2017050402
(87)【国際公開番号】W WO2017141124
(87)【国際公開日】2017-08-24
【審査請求日】2019-12-09
(31)【優先権主張番号】102016000017037
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518296436
【氏名又は名称】オルマ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ラザッティ, アルベルト
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-190925(JP,A)
【文献】特開昭55-136517(JP,A)
【文献】特開昭56-168915(JP,A)
【文献】オーストリア国特許発明第00399114(AT,B)
【文献】特開平06-226354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板のシート(50)を曲げることにより輪郭成形された要素を製造するための羽目板工作機械(1)の曲げ加工群であって、
- 主フレーム(10)と、
- 製造ステップ中に前記金属薄板のシート(50)をブロックするためのブロッキング・プレス(20)と、
- 第1の曲げ加工部材(30)、および該第1の曲げ加工部材(30)とは異なる第2の曲げ加工部材(40)であって、前記第1の曲げ加工部材(30)および前記第2の曲げ加工部材(40)の両方が、前記金属薄板のシート(50)の少なくとも一部分を少なくとも1回曲げ加工を行うように構成され、前記第1の曲げ加工部材(30)および前記第2の曲げ加工部材(40)のうちの少なくとも一方は、他方に対して移動可能である、第1の曲げ加工部材(30)および第2の曲げ加工部材(40)と、
- 軸水平方向(X-X)に沿って
移動するように前記主フレーム(10)に
移動可能に接続された第1の支持フレーム(12)であって、前記第1の曲げ加工部材(30)が軸垂直方向(Y-Y)に沿って前記第1の支持フレーム(12)に摺動可能に接続される、第1の支持フレーム(12)と、
- 軸水平方向(X-X)に沿って
移動するように前記主フレーム(10)に
移動可能に接続された第2の支持フレーム(14)であって、前記第2の曲げ加工部材(40)が軸垂直方向(Y-Y)に沿って前記第2の支持フレーム(14)に摺動可能に接続される、第2の支持フレーム(14)と、を備える、曲げ加工群。
【請求項2】
- 前記第1の曲げ加工部材(30)と前記第1の支持フレーム(12)とに接続された第1のアクチュエータ・デバイス(36)であって、前記第1の曲げ加工部材(30)を前記軸垂直方向(Y-Y)に沿って移動させるように構成される第1のアクチュエータ・デバイス(36)をさらに備える、請求項1に記載の曲げ加工群。
【請求項3】
- 少なくとも前記第2の曲げ加工部材(40)と前記第2の支持フレーム(14)とに接続された第3のアクチュエータ・デバイスであって、前記第2の曲げ加工部材(40)を前記軸垂直方向(Y-Y)に沿って移動させるように構成される第3のアクチュエータ・デバイスを備える、請求項2に記載の曲げ加工群。
【請求項4】
- 前記第1の支持フレーム(12)と前記主フレーム(10)とに接続された第2のアクチュエータ・デバイス(38)であって、前記第1の支持フレーム(12)を前記軸水平方向(X-X)に沿って移動させるように構成される第2のアクチュエータ・デバイス(38)を備える、請求項3に記載の曲げ加工群。
【請求項5】
- 前記第2の支持フレーム(14)と前記主フレーム(10)とに接続された第4のアクチュエータ・デバイス(48)であって、前記第2の支持フレーム(14)を前記軸水平方向(X-X)に沿って移動させるように構成される第4のアクチュエータ・デバイス(48)をさらに備える、請求項4に記載の曲げ加工群。
【請求項6】
前記第1のアクチュエータ・デバイス(36)、前記第2のアクチュエータ・デバイス(38)、前記第3のアクチュエータ・デバイスおよび前記第4のアクチュエータ・デバイス(48)が、前記第1の曲げ加工部材(30)および前記第2の曲げ加工部材(40)が前記金属薄板のシート(50)の第1の部分に当接して、該第1の部分を各前記第1の曲げ加工部材(30)および前記第2の曲げ加工部材(40)の所定の移動軌道に対応する角度に曲げるのに十分な圧力を加えることができるように、前記第1の曲げ加工部材(30)および/または前記第2の曲げ加工部材(40)をそれぞれの所定の移動軌道において移動させるように構成され、前記移動軌道が、前記軸垂直方向(Y-Y)に沿った運動と前記軸水平方向(X-X)に沿った運動との補間の結果である請求項5に記載の曲げ加工群。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の曲げ加工群を備える、輪郭成形された要素を製作するための羽目板工作機械。
【請求項8】
請求項1に記載の羽目板工作機械(1)の曲げ加工群を用いて金属薄板のシートの一部分を曲げ加工する方法であって、
- 製造ステップ中に前記金属薄板のシート(50)をブロックするためのブロッキング・プレス(20)を予め配置するステップと、
- 第1の曲げ加工部材(30)、および該第1の曲げ加工部材(30)とは異なる第2の曲げ加工部材(40)を予め配置するステップであって、前記第1の曲げ加工部材(30)および前記第2の曲げ加工部材(40)の両方が、前記金属薄板のシート(50)の少なくとも一部分を少なくとも1回曲げ加工を行うように構成されるステップと、
- 軸水平方向(X-X)に沿って
移動するように前記主フレーム(10)に
移動可能に接続された第1の支持フレーム(12)を予め配置するステップであって、前記第1の曲げ加工部材(30)が軸垂直方向(Y-Y)に沿って前記第1の支持フレーム(12)に摺動可能に接続されるステップと、
- 軸水平方向(X-X)に沿って
移動するように前記主フレーム(10)に
移動可能に接続された第2の支持フレーム(14)を予め配置するステップであって、前記第2の曲げ加工部材(40)が軸垂直方向(Y-Y)に沿って前記第2の支持フレーム(14)に摺動可能に接続されるステップと、
- 前記第1の曲げ加工部材(30)に接続され、前記第1の曲げ加工部材(30)を軸水平方向(X-X)および軸垂直方向(Y-Y)のそれぞれに沿って移動させるように構成された第1のアクチュエータ・デバイス(36)および第2のアクチュエータ・デバイス(38)を予め配置するステップと、
- 前記第2の曲げ加工部材(40)に接続され、前記第2の曲げ加工部材(40)を軸水平方向(X-X)および軸垂直方向(Y-Y)のそれぞれに沿って移動させるように構成された第3のアクチュエータ・デバイス(46)および第4のアクチュエータ・デバイス(48)を予め配置するステップと、を含み、
- 軸垂直方向(Y-Y)および軸水平方向(X-X)の成分を含む軌道に沿って前記第2の曲げ加工部材(40)を前記第1の曲げ加工部材(30)に対して独立して移動させるステップをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽目板機械(panelling machine)の曲げ加工群(bending group)に関し、詳細には、金属薄板のシートを曲げることにより輪郭成形された(profiled)要素を製造するためのツールに関する。本発明は、限定的ではないにせよ、特に羽目板工作機械の曲げ加工群に関して開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
既知のタイプの羽目板ツール機械は、市場に存在するあらゆるタイプの金属薄板を使用して輪郭成形された要素を作製するために使用される。羽目板ツール機械は、酸洗いされかつ予め塗装された金属シート、ステンレス鋼シート、銅シート、および、一般に、任意の鉄材料で作られたシートを加工することができる。
【0003】
羽目板工作機械は、プログラム可能な工程を使用して金属シートを曲げるのに特に適した曲げ加工群を内部的に備え、この曲げ加工群は、シート自体に得られる一連の曲げにより、縁部を例えばC形、L形、またはT形といった様々な断面に構成する。
【0004】
既知のタイプの曲げ加工群は、実質的にC形状であるブレード支持構造の端部近くに固定された1対のブレードを備える。ブレード支持構造は、金属シートの主表面によって画定される平面に対して、接線方向および垂直方向の2つの優先方向に移動することができる。このようにして、2つのブレードは、金属シートを塑性的に変形させるために、水平方向および垂直方向の2つの自由度を有して同一の曲線状の軌道をたどって、金属シートと交互に接触することができる。
【0005】
しかし、ブレード支持構造の運動手段、および運動手段の構成は、客観的に明らかな機械的制限を有し、限られた高さの曲げを実現することはできるが、2重厚さ曲げを実現することはできない。
【0006】
支持体と、クランプと、構造体によって支持されかつ支持構造および互いに対して移動可能な2つのアームを持つ可動曲げ加工ツールと、を備える、半完成品を曲げ加工するためのデバイスが説明されている(例えば、特許文献1参照)。曲げ加工ロッカ(bending rocker)と、前面取り付けされた上方曲げツールと、枢動可能なツール保持器と、曲げ加工機械として交互に動作することができる曲げ加工アームとを含む、曲げ加工機械が開示されている(例えば、特許文献2参照)。2つのモジュール、すなわち、圧迫要素および曲げ加工要素を備えた上部のモジュールと、固定台および別の曲げ加工要素を備えた下部のモジュールと、を備え、圧迫要素および2つの曲げ加工要素が全てそれぞれの液圧シリンダによって駆動される、シート折曲げ機械が説明されている(例えば、特許文献3参照)。それらの間で金属シートを圧迫する下部および上部のスタンドと、前後に自由に摺動することができる1組の曲げ型デバイスとを備える、曲げ加工機械が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
したがって、本出願人によって行われた多数の実験は、上述のタイプの製品を製造する速度をさらに高める必要があることを示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第1777017号明細書
【文献】墺国特許第399114号明細書
【文献】西国特許第2005910号明細書
【文献】特開平04-190925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、この必要性に対する解決法を提供して、既知のタイプの羽目板ツール機械の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、金属薄板のシートを曲げることにより輪郭成形された要素を製造するための羽目板工作機械の曲げ加工群であって、
- 主フレームと、
- 製造ステップ中に金属シートをブロックするためのブロッキング・プレス(blocking press)と、
- 第1の曲げ加工部材、および第1の曲げ加工部材とは異なる第2の曲げ加工部材であって、第1の曲げ加工部材および第2の曲げ加工部材の両方が、金属薄板のシートの少なくとも一部分の少なくとも1回曲げ加工を行うように構成され、第1の曲げ加工部材および第2の曲げ加工部材のうちの少なくとも一方は、他方に対して移動可能である、第1の曲げ加工部材および第2の曲げ加工部材と、
- 軸水平方向に沿って移動するように主フレームに移動可能に接続された第1の支持フレームであって、第1の曲げ加工部材が、軸垂直方向に沿って第1の支持フレームに摺動可能に接続される、第1の支持フレームと、
軸水平方向に沿って移動するように主フレームに移動可能に接続された第2の支持フレームであって、第2の曲げ加工部材が、軸垂直方向に沿って第2の支持フレームに摺動可能に接続される、第2の支持フレームと、を備える、曲げ加工群に関する。
【0011】
この解決法によれば、羽目板ツール機械は、単一のステップにおいて様々なタイプの曲げ加工を行うことができるので、より優れた作業柔軟性を提供する。また、第1の曲げ加工部材が金属シートに曲げ加工を行っている間に第2の曲げ加工部材が後続の曲げ加工動作のために位置決めされるので、より優れた製品製造速度を提供する。
【0012】
本発明のさらなる態様は、少なくとも第1の折曲げ要素および主フレームに接続され、第1の曲げ加工部材を第2の曲げ加工部材に対して移動させるのに適した、少なくとも1つの第1のアクチュエータ・デバイスに関する。
【0013】
この解決法によれば、第1の曲げ加工部材の全ての運動が、独立したものでありかつ第1の曲げ加工部材の運動のみに関与するアクチュエータ・デバイスによって、設定される。
【0014】
本発明のさらなる態様は、第2の折曲げ要素および主フレームに接続され、第2の曲げ加工部材を第1の曲げ加工部材に対して移動させるのに適した、第2のアクチュエータ・デバイスに関する。
【0015】
この解決法によれば、第1および第2の曲げ加工部材は、互いに独立した2つのアクチュエータにより、別個のおよび/または異なる軌道において、同時に移動される。
【0016】
本発明のさらなる態様では、アクチュエータ・デバイスは、軸垂直方向(axial vertical direction)(Y-Y)および/または軸水平方向(axial horizontal direction)(X-X)のうちの少なくとも1つの成分を含む軌道に沿って第1の曲げ加工部材および/または第2の曲げ加工部材を移動させることができる。
【0017】
この解決法によれば、曲げ加工部材は、任意のタイプの直線および/または曲線状の軌道に沿って移動される。
【0018】
本発明のさらなる態様では、曲げ加工群は、
- 第1のアクチュエータ・デバイスにより軸水平方向(X-X)に沿って移動可能に主フレームに接続された第1の支持フレームと、
- 軸垂直方向(Y-Y)に沿って移動可能に第1の支持フレームに接続されている第1の曲げ加工部材と、を備える。
【0019】
本発明のさらなる態様では、曲げ加工群は、
- 第2のアクチュエータ・デバイスにより軸水平方向に沿って移動可能に主フレームに接続された第2の支持フレームと、
- 軸垂直方向(Y-Y)に沿って移動可能に第2の支持フレームに接続されている第2の曲げ加工部材と、を備える。
【0020】
この解決法によれば、単一の軸方向において、または互いに平行な2つの軸方向に沿って、2つの曲げ加工部材を移動させることができる。
【0021】
本発明のさらなる態様では、
- 製造ステップ中に金属シートをブロックするためのブロッキング・プレスを予め配置するステップと、
- 第1の曲げ加工部材(30)、および第1の曲げ加工部材(30)とは異なる第2の曲げ加工部材(40)を予め配置するステップであって、第1の曲げ加工部材(30)および第2の曲げ加工部材(40)の両方が、金属薄板のシート(50)の少なくとも一部分を少なくとも1回曲げ加工を行うように構成されるステップと、
- 軸水平方向(X-X)に沿って移動するように主フレーム(10)に移動可能に接続された第1の支持フレーム(12)を予め配置するステップであって、第1の曲げ加工部材(30)が軸垂直方向(Y-Y)に沿って第1の支持フレーム(12)に摺動可能に接続されるステップと、
- 軸水平方向(X-X)に沿って移動するように主フレーム(10)に移動可能に接続された第2の支持フレーム(14)を予め配置するステップであって、第2の曲げ加工部材(40)が軸垂直方向(Y-Y)に沿って第2の支持フレーム(14)に摺動可能に接続されるステップと、
- 第1の曲げ加工部材(30)に接続され、第1の曲げ加工部材(30)を軸水平方向(X-X)および軸垂直方向(Y-Y)のそれぞれに沿って移動させるように構成された第1のアクチュエータ・デバイス(36)および第2のアクチュエータ・デバイス(38)を予め配置するステップと、
- 第2の曲げ加工部材(40)に接続され、第2の曲げ加工部材(40)を軸水平方向(X-X)および軸垂直方向(Y-Y)のそれぞれに沿って移動させるように構成された第3のアクチュエータ・デバイス(46)および第4のアクチュエータ・デバイス(48)を予め配置するステップと、を含み、
- 軸垂直方向(Y-Y)および/または軸水平方向(X-X)の成分を含む軌道に沿って第2の曲げ加工部材(40)を第1の曲げ加工部材(30)に対して独立して移動させるステップと、を含む、上記記載の羽目板工作機械の曲げ加工群を用いて金属薄板のシートの一部分を曲げ加工するための方法が開示される。
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面の図を参照して例としてなされる以下の説明から、より完全に判明するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による羽目板機械の不等角投影図である。
【
図3】様々な動作位置における、
図1の曲げ加工群の曲げ加工部材の側面概略図である。
【
図4】様々な動作位置における、
図1の曲げ加工群の曲げ加工部材の側面概略図である。
【
図5】様々な動作位置における、
図1の曲げ加工群の曲げ加工部材の側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面の図を特に参照すると、本発明による羽目板工作機械1が、例えば、金属シートなどの加工される材料の装填ステーション2と、曲げ加工群4と、完成した製品の取出しステーション6とを備える。
【0025】
羽目板工作機械1の組立体を構成する3つの領域を区別することで、手動で送り込む場合に完全に安全な形で加工を行うこと、または、使用者の直接要求によって実現される専用の設備によりあるいはこの目的のために装備されたロボットデバイスにより装填ステーション2および取出しステーション6で行われる完全に自動化された作業周期を行うことを、可能にする。
【0026】
加工される材料の装填ステーション2は、好ましくは手動でまたはロボットデバイスを使用して少なくとも1枚の金属薄板がその上面上で位置決めされる作業台である、第1の位置決め面3を備える。第1の位置決め面3の上面は、使用に際して金属薄板のシートを受承面上で正しく位置決めすることを可能にするための1つまたは複数の基準当接部(reference abutment)と、複数の開口部とを備える。
【0027】
装填ステーションは、例えば横方向位置決め装置5である第1の位置決めデバイスを備えることができる。この第1の位置決めデバイスは、位置決め面3の開口部の内部に挿入される金属シートの複数の位置決め器(positioning organ)を含み、位置決め面3の上面によって画定された平面に平行な所定の軸水平方向Z-Zに沿って、相反する2つの方向に金属シートを移動および位置決めすることができる。
【0028】
装填ステーション2は、好ましくは横方向位置決め装置5を使用して少なくとも1枚の金属薄板がその上面上で位置決めされる作業台である、第2の位置決め面7をさらに備える。
【0029】
第2の位置決め面7は、支持面を備え、この支持面は、金属薄板のシートの運動限界を制限するため、表面は平坦であるが縁部が突出している金属シートの取扱いを可能にするために、互いに側面を合わせて配置されかつ下降および/または除外が可能な、複数のセクタを含む。
【0030】
装填ステーションは、例えば縦方向位置決め装置9である第2の位置決めデバイスをさらに備えることができる。この第2の位置決めデバイスは、金属薄板のシートを把持および保持するのに特に適した、例えばその端部に圧力が加えられるC形の構造体である把持器を、デバイスの端部に含む。
【0031】
縦方向位置決め装置は、位置決め面7の上面によって画定された平面に平行でありかつ軸方向Z-Zに対して垂直である所定の軸水平方向(X-X)に沿って、相反する2つの方向に金属シートを移動および位置決めすることができる。
【0032】
両方の位置決め面3、7の上面は、金属シートの重量を支持するのに十分頑丈であり、かつ低摩擦係数により金属シートの摺動を可能にするのに十分堅い人工物で作られたブリストル(図示せず)で覆われた複数のパネルを備える。このタイプの支持のさらなる利点は、金属シートを曲げるステップ中に生じる騒音を高水準に軽減することができることによって与えられる。
【0033】
図2に完全に示されるように、金属シートの曲げ加工群4は、主フレーム10と、主フレーム10に接続されたブロッキング・プレス20とを備える。ブロッキング・プレス20は、上部押さえ22と、上部押さえ20の向かい側に配置された、対応する下部押さえ24とを備える。上部押さえ22は、主フレーム10に固定された、例えば液圧シリンダまたは電気モータである運動デバイス26に接続される。上部押さえ22は、主フレーム10に摺動可能に接続され、使用に際して、金属シートの表面によって画定された平面に垂直な所定の軸垂直方向Y-Yに沿って、動作位置から静止位置へと相反する2つの方向に移動可能である。動作位置では、上部押さえ22は、金属シートを下部押さえ24に押し付けて金属シートを正しい位置にブロックして保ち、静止位置では、上部押さえ22は、金属シートに対して上昇されて金属シートを移動可能にする。
【0034】
曲げ加工群4は、例えば、摺動ガイド34により第1の支持フレーム12に摺動可能に接続された上部曲げ加工部材30である第1の折曲げ要素を備える。摺動ガイド34は、上部曲げ加工部材30の運動を促進するために、わずかな変位を含めて、低摩擦係数を有することが好ましい。
【0035】
曲げ加工群4は、使用に際して、金属シートの表面によって画定された平面に垂直な軸垂直方向Y-Yに従った両方向における上部曲げ加工部材30の移動を可能にするために、上部曲げ加工部材30と第1の支持フレーム12とに接続された第1のアクチュエータ・デバイス36を備える。第1のアクチュエータ・デバイス36は、例えば、しかし限定的ではないが、機械式作動デバイス(mechanical activating device)またはオイルダイナミック作動デバイス(oil-dynamic activating device)を含むこととしてもよい。
【0036】
曲げ加工群4は、使用に際して、金属シートの表面によって画定された平面に平行な軸水平方向Y-Yに従った両方向における第1の支持フレーム12の移動を可能にするために、第1の支持フレーム12と主フレーム10とに接続された第2のアクチュエータ・デバイス38を備える。第2のアクチュエータ・デバイス38は、例えば、しかし限定的ではないが、機械式作動デバイスまたはオイルダイナミック作動デバイスを含むこととしてもよい。
【0037】
曲げ加工群4は、主フレーム10に固定された第2の支持フレーム14に摺動ガイド44により摺動可能に接続された下部曲げ加工部材40をさらに備える。摺動ガイド44は、下部曲げ加工部材40の運動を促進するために、わずかな変位を含めて、低摩擦係数を有することが好ましい。
【0038】
曲げ加工群4は、使用に際して、金属シートの表面によって画定された平面に垂直な上部曲げ加工部材30の軸垂直方向Y-Yに従った両方向における下部曲げ加工部材40の移動を可能にするために、下部曲げ加工部材40と第2の支持フレーム14とに接続された第3のアクチュエータ・デバイス(図示せず)を備える。第3のアクチュエータ・デバイス36は、例えば、しかし限定的ではないが、機械式作動デバイスまたはオイルダイナミック作動デバイスを含むこととしてもよい。
【0039】
曲げ加工群4は、使用に際して、金属シートの表面によって画定された平面に平行な第1の支持フレーム12の所定の軸水平方向X-Xに従った両方向における第2の支持フレーム14の移動を可能にするために、第2の支持フレーム14と主フレーム10とに接続された第4のアクチュエータ・デバイス48を備える。第4のアクチュエータ・デバイス38もまた、例えば、しかし限定的ではないが、機械式作動デバイスまたはオイルダイナミック作動デバイスを含むこととしてもよい。
【0040】
当然ながら、上述の運動デバイス36、38、46、48のような、上部曲げ加工部材30および下部曲げ加工部材40のさらなる構造は、第1の曲げ加工部材30を第2の曲げ加工部材40に対して移動させることを可能にする少なくとも1つの運動デバイスに各曲げ加工部材30、40が接続される限り、可能である。
【0041】
例えば、本発明の好ましい実施形態では、曲げ加工群4は、少なくとも1つの第1のアクチュエータ・デバイス36を備え、この第1のアクチュエータ・デバイス36は、第1および第2の曲げ加工部材30、40のうちの少なくとも一方ならびに主フレーム10に接続され、使用に際して少なくとも1つの軸方向成分、好ましくは軸垂直方向Y-Yおよび/または軸水平方向X-Xの成分を含む軌道に従って少なくとも1つの曲げ加工部材30、40を移動させるのに適している。曲げ加工群4は、第2のアクチュエータ・デバイス46をさらに備え、この第2のアクチュエータ・デバイス46は、第1および第2の曲げ加工部材30、40のうちのもう一方ならびに主フレーム10に接続され、少なくとも1つの軸方向成分、好ましくは軸垂直方向Y-Yおよび/または軸水平方向X-Xの成分を含む軌道に従ってもう一方の曲げ加工部材30、40を移動させるのに適している。この構成によれば、第1の曲げ加工部材30を第2の曲げ加工部材40に対して移動させることが可能である。
【0042】
本発明のさらなる実施形態では、曲げ加工群は、第1の曲げ加工部材30を互いに異なりかつ独立した2つの軌道に沿って第2の曲げ加工部材40に対して同時に移動させることが可能な、単一のアクチュエータ・デバイスを備える。
【0043】
完成した製品の取出しステーション6は、位置決め面を備えることができ、この位置決め面は、輪郭成形された要素すなわち金属シートが曲げ工程の終わりにその上面上で位置決めされる作業台であることが好ましい。
図1に示された特に有利な構成では、取出しステーション6は、前述のような加工される材料の装填ステーション2と一致する。このようにして、羽目板工作機械1の全体サイズをさらに小さくすることができる。
【0044】
本発明の羽目板工作機械1は、金属薄板のシートの単一かつ独立した曲げ加工ステーションとして動作するだけではなく、生産ライン内の複数の作業ステーションのうちの1つとして、例えば打ち抜きステーションに続いて動作することができるように作られる。
【0045】
使用に際して、金属薄板のシートの曲げ工程は、存在する金属シートの群から羽目板工作機械1の側により金属のシートを受け取るステップと、装填ステーション2の位置決め面3上でシートを位置決めするステップと、を含む。次いで、金属シートは、位置決め面3上で「中央配置」され、すなわち、シートを1つまたは複数の基準当接部に押し付けてシートのゼロ点を作り出す位置決め部材により、位置合わせされる。中央配置されると、横方向位置決め装置5が、金属シートを位置決め面3の上面によって画定された平面に平行な所定の軸水平方向ZーZに沿って曲げ加工群4に向けて移動させる。
【0046】
金属シートが曲げ加工群4の近くで位置決め面7に到達すると、縦方向位置決め装置9が、シートの一辺を把持し、そして金属シートが作業開始位置(start-work position)に到達するまで、すなわち、金属シートの端部がブロッキング・プレス20に位置決めされるときまで、シートを所定の軸水平方向X-Xに沿って曲げ加工群4に向けて移動させる。以下でより明らかになるように、縦方向位置決め装置9は、曲げ加工工程に関連したステップ周期で移動される。
【0047】
金属シートがブロッキング・プレス20に位置するときには、上部押さえ22は、第1の曲げ加工位置での金属シートの位置決めを可能にするための静止位置にある。次いで、運動デバイス26は、上部押さえ22が金属シートを下部押さえ24に押し当ててブロックするまで、上部押さえ22を下方に移動させる。
【0048】
したがって、運動デバイス36、38、48は、曲げ加工部材30、40が金属シートの第1の部分に当接して、第1の部分をおよそ軌道に対応する角度に曲げるのに十分な圧力を加えるように、上部曲げ加工部材30および/または下部曲げ加工部材40をそれぞれの所定の移動軌道において移動させる。移動軌道は、金属シートの表面によって画定された平面に垂直な、したがって運動手段の軸垂直方向Y-Yに沿った、単一の方向を有することができる。または、軸垂直方向Y-Yに沿った運動と金属シートの表面によって画定される面に平行な軸水平方向X-Xに沿った運動との補間の結果であってもよい。これら2つの運動の補間は、各曲げ加工部材30、40の移動軌道を生成する。各曲げ加工部材30、40の2つの運動の補間を管理することにより、2つの構成要素の移動空間を管理することができ、したがって、可能な曲げシーケンスの全てを管理することができる。
【0049】
運動デバイス36、38、48は、金属シートに付与される曲げのタイプに応じて、したがって得られる輪郭成形された製品に応じて、互いに独立に作動されてもよく、または同時に作動されてもよい。例えば、上部曲げ加工部材30だけを移動させて金属シートの一部分の下方への曲げを生じさせること、または、下部折曲げ部材40だけを移動させて金属シートの一部分の上方への曲げを行うこと、または、両方の折曲げ部材30、40を同時に移動させることが可能である。各曲げ加工部材30、40の軌道が軸垂直方向Y-Yのみを含む場合、金属シートの部分の互いに向かうおよび/または下方への曲げ加工は、両方の軸方向X-XおよびY-Yの補間を含む軌道によって実現される上方および/または下方への曲げの弧度よりも小さい弧度を有することになる。
【0050】
金属シートの第1の部分の曲げが達成されると、運動デバイス26は、上部押さえ22を上昇させて金属シートを解放し、縦方向位置決め装置9は、金属シートを軸水平方向X-Xに沿って曲げ加工群4に向けて移動させる。金属シートが第2の曲げ加工位置に到達すると、運動デバイス26は、上部押さえ22が金属シートを下部押さえ24に押し当ててブロックするまで、上部押さえ22を下方に移動させる。
【0051】
したがって、運動デバイス36、38、48は、金属シートの第2の部分の所定の曲げを得るために、上記で説明されたように、上部曲げ加工部材30およびまたは下部曲げ加工部材40をそれぞれの所定の移動軌道において改めて移動させる。
【0052】
金属シートの第2の部分の曲げが達成されると、運動デバイス26は、上部押さえ22を上昇させて金属シートを解放し、そして金属シートの第1の辺に必要な曲げが全て完了するまで、上記の操作が繰り返される。
【0053】
金属シートの第1の部分の曲げが達成されると、縦方向位置決め装置9は、金属シートを軸水平方向X-Xに沿って移動させて、金属シートが曲げ加工群4の外側に位置するまで、金属シートをブロッキング・プレス20から遠ざける。次いで、縦方向位置決め装置9は、金属シートの別の辺を曲げ加工群4において位置決めするために、金属シートを回転させる。
【0054】
次いで、縦方向位置決め装置9は、金属シートが作業開始位置に到達するまで、すなわち、金属シートの端部がブロッキング・プレス20に位置決めされるときまで、金属シートを軸水平方向X-Xに沿って曲げ加工群4に向けて改めて移動させる。次いで、金属シートの第1の辺に対する上記のステップが、第2の辺に対して繰り返され、また、加工される部品の完成まで、金属シートの続く全ての辺に対して繰り返される。
【0055】
図3および4に示された本発明の曲げ加工群4の曲げ工程の特に有利な実施形態では、曲げ工程の単一のステップ中に、金属シート50の部分52のZ形の曲げ加工を実現することが可能である。
図3を特に参照すると、金属シート50が正しい位置にありかつ上部押さえ22によってブロックされると、下部曲げ加工部材40は、金属シート50の部分52の一領域に圧力を加えて第1の曲げ加工を行うために、金属シート50の上面によって画定された平面を越えて軸垂直方向Y-Yに沿って、また、軸水平方向X-Xに沿って、上方に移動される。上部曲げ加工部材30は、金属シート50の部分52の第2の領域に圧力を加えて第2の曲げ加工を行うために、軸垂直方向Y-Yに沿って下方に移動される。同一の軸垂直方向Y-Yに沿って異なる方向に移動し、それにより金属シート50の部分52の2つの異なる領域に同時に作用する、2つの曲げ加工部材30、40の2つの動作は、折曲げ工程の単一のステップ中に全体的にZ形の曲げを得ることができる。
【0056】
図4に示されるように、本発明の曲げ加工群4はまた、アンダカットを含むZ形の曲げ加工を行うことができる。上記のステップを行って第1のZ形の曲げを作った後、下部曲げ加工部材40は、約90°の角度を持つ第1の曲げを実現するために、より高い位置まで軸垂直方向Y-Yに沿って上方にさらに移動される。上部曲げ加工部材30は、第2の曲げを実現するために、軸垂直方向Y-Yに沿って下降される。次いで、下部曲げ加工部材40は、アンダカットを含む曲げを実現するために、金属シート50の表面によって画定された平面に平行な軸水平方向X-Xに沿って、押さえ要素22、24に向かって水平に移動される。
【0057】
特に有利なさらなる実施形態では、本発明の曲げ加工群4は、特に延長された金属シート50の一部分の特に大きな半径を有する曲げを実現することができる。
図5に示されるように、金属シート50の第1の部分52の第1のC形の曲げ加工を行った後、金属シート50を第2の部分54の曲げ加工に備えさせるために、金属シート50は、軸水平方向X-Xに従って曲げ加工群4の内側に改めて移動されて、押さえ要素22、24によってブロックされる。下部曲げ加工部材40は、金属シート50の第2の部分54の一領域に圧力を加えて90°に近い角度での第1の曲げ加工を行うために、軸垂直方向Y-Yに沿って上方に移動される。第2の部分54のサイズのために、上部曲げ加工部材30は、軸水平方向X-Xに沿ってブロッキング・プレス20から遠くに移動されて、曲げ加工ステップ中に金属シート50の第2の部分54の軌道(図では破線で示される)によって占有される領域から出て、したがって、金属シート50の完全な曲げ加工が可能になる。
【0058】
本発明の曲げ加工群4のこの特定の構成によれば、金属シートが高い降伏強さを有する材料で作られ、したがって、高度の弾性戻り(elastic return)を有する場合は特に、例えば「2重厚さ」タイプの曲げ加工などの、他の知られたタイプの曲げ工程の改善および最適化も可能である。
【0059】
現時点では、金属シートの端部の一部分が曲げ返されると、金属シートは、2重厚さ曲げ加工を完了しかつ降伏強さを克服するために、縦方向位置決め装置9によりブロッキング・プレス20の下に位置決めされる。しかし、弾性戻りにより、金属シートの端部の部分は、圧力が加えられたのにもかかわらず、改めて開こうとする。
【0060】
本発明の曲げ加工群4によれば、金属シートの一部分がブロッキング・プレス20の圧力を受けている間に、行われる曲げ加工を安定させるとともに曲げが必要とする2つの厚さの接触を維持するために、上部曲げ加工部材30および下部曲げ加工部材40が極めて制限された圧力値で曲げの接続半径の端部に同時に圧力を加えるように、上部曲げ加工部材30および下部曲げ加工部材40の両方を同時に作動させることが可能である。
【0061】
本発明のさらなる実施形態では、羽目板工作機械1は、メモリ・システムおよびインタフェース・バスと通信している電子制御ユニット(図示せず)を備えることができる。電子制御ユニットは、メモリ・システムに記憶された命令を実行するように、また、インタフェース・バスとの間で信号を送受信するように、構成される。メモリ・システムは、ソリッドステートの光学記憶装置(optical memorisation)、磁気記憶装置(magnetic memorisation)および/または他のタイプの不揮発性メモリを含めて、様々なタイプの記憶装置を含むことができる。インタフェース・バスは、センサおよび制御デバイスとの間でアナログおよびデジタル信号を送信、受信、および変調するように構成される。記憶される命令は、前述の手順ステップを含むことができ、したがって、電子制御ユニットがこれらの手順のステップを実行して羽目板工作機械1を制御することができる。
【0062】
特に有利な特徴によれば、羽目板工作機械1は、曲げ加工ステップ前、曲げ加工ステップ中、および/または曲げ加工ステップ後の金属シートの一部分の移動を判定するのに特に適した、電子制御ユニットに接続された複数のセンサ、例えば、しかし限定的ではないが、光学読取り装置および/またはレーザ読取り装置をさらに備えることとしてもよい。このようにして、電子制御ユニットは、実現される輪郭成形される要素に必要とされる曲げを得ることを目的として、曲げ加工部材の曲げ加工動作を検証すること、得られた結果を評価すること、および、曲げ加工部材の移動のためのパラメータを変更することができる。
【0063】
全ての詳細は、他の技術的に等価な要素に置き換えることができる。同様に、使用される材料、ならびに材料の形態および寸法は、そのために以下の特許請求の範囲の保護範囲を放棄することなしに、必要に応じてどのようなものにもすることができる。