(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/16 20220101AFI20220221BHJP
H04L 41/06 20220101ALI20220221BHJP
【FI】
H04L41/16
H04L41/06
(21)【出願番号】P 2019032809
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2020-12-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省、「革新的AIネットワーク統合基盤技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】河崎 純一
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 雅典
(72)【発明者】
【氏名】毛利 元一
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-148408(JP,A)
【文献】特開2015-156548(JP,A)
【文献】特開平09-205429(JP,A)
【文献】特開昭62-117051(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0122645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信に供される実ネットワークを模した疑似ネットワークである学習対象のネットワークを構成する複数のノードの組み合わせを示すタグ情報を取得する取得部と、
障害が発生した前記ネットワークの状態を示すネットワーク状態情報のなかから、前記タグ情報が示す前記ノードの組み合わせに対応する情報を、学習対象情報として抽出する抽出部と、
複数種類の学習アルゴリズムから、前記抽出部が抽出する前記学習対象情報に応じた種類の学習アルゴリズムを選択する選択部と、
前記選択部が選択する学習アルゴリズムを前記抽出部が抽出する前記学習対象情報に適用することにより、前記抽出部が抽出する複数の前記学習対象情報それぞれについての学習結果を生成する学習部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記疑似ネットワークにネットワーク障害を発生させる障害発生部と、
前記障害発生部がネットワーク障害を発生させたことにより得られる前記ネットワーク状態情報を蓄積するデータ蓄積部と、
をさらに備え、
前記抽出部は、
前記データ蓄積部に蓄積される前記ネットワーク状態情報のなかから、前記タグ情報に対応する情報を、前記学習対象情報として抽出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習部が生成した前記学習結果の精度評価結果を算出する評価部
をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価部は、
算出した前記精度評価結果を前記選択部に出力し、
前記選択部は、
前記評価部が算出する前記精度評価結果に基づいて、選択する学習アルゴリズムの種類を変更する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記タグ情報には、学習対象のネットワークを構成する複数のノードをそれぞれ識別する識別情報と、複数の前記ノードがそれぞれ属するエリアの情報とが含まれる
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
情報通信に供される実ネットワークを模した疑似ネットワークである学習対象のネットワークを構成する複数のノードの組み合わせを示すタグ情報を取得する取得ステップと、
障害が発生した前記ネットワークの状態を示すネットワーク状態情報のなかから、前記タグ情報が示す前記ノードの組み合わせに対応する情報を、学習対象情報として抽出する抽出ステップと、
複数種類の学習アルゴリズムから、前記抽出ステップにおいて抽出される前記学習対象情報に応じた種類の学習アルゴリズムを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択される学習アルゴリズムを前記抽出ステップにおいて抽出される前記学習対象情報に適用することにより、前記抽出ステップにおいて抽出される複数の前記学習対象情報それぞれについての学習結果を生成する学習ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク障害についての原因や影響範囲を推定する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、過去の障害事例をデータベース化し、蓄積されたデータを検索することによってネットワーク障害の原因を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に記載されるような従来技術によると、過去の障害に関する情報を用いたルールベースによる推定手法が採用されている。したがって、特許文献1に記載されるような従来技術によると、ネットワーク障害の原因の推定精度を高めるためには膨大な検討コストがかかる場合があり、このような場合には、推定精度の向上が困難であるという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、ネットワーク障害の原因の推定精度を向上させることが情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、情報通信に供される実ネットワークを模した疑似ネットワークである学習対象のネットワークを構成する複数のノードの組み合わせを示すタグ情報を取得する取得部と、障害が発生した前記ネットワークの状態を示すネットワーク状態情報のなかから、前記タグ情報が示す前記ノードの組み合わせに対応する情報を、学習対象情報として抽出する抽出部と、複数種類の学習アルゴリズムから、前記抽出部が抽出する前記学習対象情報に応じた種類の学習アルゴリズムを選択する選択部と、前記選択部が選択する学習アルゴリズムを前記抽出部が抽出する前記学習対象情報に適用することにより、前記抽出部が抽出する複数の前記学習対象情報それぞれについての学習結果を生成する学習部とを備える情報処理装置である。
【0007】
本発明の一実施形態の情報処理装置において、前記疑似ネットワークにネットワーク障害を発生させる障害発生部と、前記障害発生部がネットワーク障害を発生させたことにより得られる前記ネットワーク状態情報を蓄積するデータ蓄積部とをさらに備え、前記抽出部は、前記データ蓄積部に蓄積される前記ネットワーク状態情報のなかから、前記タグ情報に対応する情報を、前記学習対象情報として抽出する。
【0008】
本発明の一実施形態の情報処理装置において、前記学習部が生成した前記学習結果の精度評価結果を算出する評価部をさらに備える。
【0009】
本発明の一実施形態の情報処理装置において、前記評価部は、算出した前記精度評価結果を前記選択部に出力し、前記選択部は、前記評価部が算出する前記精度評価結果に基づいて、選択する学習アルゴリズムの種類を変更する。
【0010】
本発明の一実施形態の情報処理装置において、前記タグ情報には、学習対象のネットワークを構成する複数のノードをそれぞれ識別する識別情報と、複数の前記ノードがそれぞれ属するエリアの情報とが含まれる。
【0011】
本発明の一実施形態は、コンピュータに、情報通信に供される実ネットワークを模した疑似ネットワークである学習対象のネットワークを構成する複数のノードの組み合わせを示すタグ情報を取得する取得ステップと、障害が発生した前記ネットワークの状態を示すネットワーク状態情報のなかから、前記タグ情報が示す前記ノードの組み合わせに対応する情報を、学習対象情報として抽出する抽出ステップと、複数種類の学習アルゴリズムから、前記抽出ステップにおいて抽出される前記学習対象情報に応じた種類の学習アルゴリズムを選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択される学習アルゴリズムを前記抽出ステップにおいて抽出される前記学習対象情報に適用することにより、前記抽出ステップにおいて抽出される複数の前記学習対象情報それぞれについての学習結果を生成する学習ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ネットワーク障害の原因の推定精度を向上させる情報処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の疑似ネットワークの構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の学習アルゴリズム記憶部に記憶される学習アルゴリズムの一例である。
【
図4】本実施形態の学習部による学習の流れの概要の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の情報処理システムの動作の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態のタグ情報に含まれる情報の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の選択部による学習アルゴリズムの選択結果の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の評価部による精度評価の結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
以下、図を参照して本実施形態の情報処理システム1の概要について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システム1の機能構成の一例を示す図である。
【0015】
[情報処理システムの概要]
情報処理システム1は、情報処理装置10と、障害シミュレーション装置20と、データ蓄積部30と、学習アルゴリズム記憶部40とを備える。
なお、以下の説明において、情報処理装置10から学習アルゴリズム記憶部40までは、別々の装置であるとして説明するがこれに限られない。例えば、情報処理装置10と、障害シミュレーション装置20と、データ蓄積部30とが、一体化された装置として構成されていてもよい。
【0016】
障害シミュレーション装置20は、障害発生部210と、疑似ネットワーク220とを備える。疑似ネットワーク220は、情報通信に供される(例えば、商用の)実ネットワークを模擬して作られたシミュレーション用のネットワークである。
【0017】
図2は、本実施形態の疑似ネットワーク220の構成の一例を示す図である。疑似ネットワーク220は、階層化されたノードN(例えば、コア、アクセス、エッジなど)によって構成される。これら複数のノードNの組み合わせをエリアARともいう。疑似ネットワーク220は、ノードNの種類を単位にした分析モデル、又はエリアARの種類を単位にした分析モデルに分割される。疑似ネットワーク220の分析モデルのうち、コアのみで構成される分析モデルをコアモデルともいい、アクセスのみで構成される分析モデルをアクセスモデルともいい、エッジのみで構成される分析モデルをエッジモデルともいう。
【0018】
以下の説明において、学習対象の実ネットワーク、及びこの実ネットワークを模擬して作られた学習対象の疑似ネットワーク220のことを総称して学習対象のネットワークNTともいう。
情報処理システム1は、疑似ネットワーク220を利用することにより、十分な学習用データセットを作成し、高精度な分析モデルを構築することが可能となる。
【0019】
図1に戻り、障害発生部210は、疑似ネットワーク220のトポロジに基づいて、疑似ネットワーク220のうち障害が発生しうる箇所を抽出することにより、障害シナリオを生成する。障害発生部210は、生成した障害シナリオに基づいて、疑似ネットワーク220に対してAPIやコマンドを順次実行することにより、疑似ネットワーク220に障害を発生させる。障害発生部210は、疑似ネットワーク220に障害が発生した場合の状況を示す種々の情報を取得し、取得した情報をネットワーク状態情報DNTとしてデータ蓄積部30に出力する。
【0020】
データ蓄積部30は、障害シミュレーション装置20から出力されるネットワーク状態情報DNTを蓄積(記憶、又は保存ともいう。)する。このネットワーク状態情報DNTとは、障害発生部210がネットワーク障害を発生させたことにより得られる情報である。すなわち、データ蓄積部30は、障害発生部210がネットワーク障害を発生させたことにより得られるネットワーク状態情報DNTを蓄積する。
【0021】
学習アルゴリズム記憶部40には、複数の種類の学習アルゴリズムAGが記憶される。この学習アルゴリズムAGとは、例えば、機械学習アルゴリズムである。
【0022】
図3は、本実施形態の学習アルゴリズム記憶部40に記憶される学習アルゴリズムAGの一例である。学習アルゴリズム記憶部40には、それぞれの学習アルゴリズムAGを識別する識別情報(アルゴリズムID)と、学習アルゴリズムAGとが対応付けられて記憶される。この一例では、学習アルゴリズム記憶部40には、学習アルゴリズムAGα~学習アルゴリズムAGδが記憶されている。
【0023】
[情報処理装置の機能構成]
図1に戻り、情報処理装置10は、取得部110と、抽出部120と、選択部130と、学習部140と、評価部150とを備える。
【0024】
取得部110は、学習対象のネットワークNTを構成する複数のノードNの組み合わせを示すタグ情報を取得する。この一例において、タグ情報には、学習対象のネットワークNTを構成する複数のノードNをそれぞれ識別する識別情報と、複数のノードNがそれぞれ属するエリアARの情報とが含まれる。すなわち、取得部110は、学習対象のネットワークNTを構成する複数のノードNをそれぞれ識別する識別情報NIDと、複数のノードNがそれぞれ属するエリアARの情報(エリア情報DAR)とを含むタグ情報DTを取得する。
これら識別情報NIDやエリア情報DARは、情報処理装置10が生成する情報であってもよく、情報処理装置10を操作するユーザが指定する情報であってもよい。
【0025】
なお、この一例においては、タグ情報には、学習対象のネットワークを構成する複数のノードをそれぞれ識別する識別情報と、複数の前記ノードがそれぞれ属するエリアの情報とが含まれるものとして説明するが、これに限られない。
図2を参照して説明したように、複数のノードNの組み合わせには、エリアARを単位にした組み合わせの他に、ノードNの種類を単位にした組み合わせなども含まれる。例えば、タグ情報とは、ノードNの種類を示す情報であってもよい。
【0026】
抽出部120は、障害が発生したネットワークNTの状態を示すネットワーク状態情報DNTのなかから、タグ情報DTに対応する情報を、学習対象情報DLTとして抽出する。
【0027】
ここで、ネットワーク状態情報DNTは、障害シミュレーション装置20から出力される情報であってもよいし、データ蓄積部30に蓄積された情報であってもよい。ネットワーク状態情報DNTが、データ蓄積部30に蓄積されている場合には、抽出部120は、データ蓄積部30に蓄積されるネットワーク状態情報DNTのなかから、タグ情報DTに対応する情報を、学習対象情報DLTとして抽出する。
【0028】
選択部130は、複数種類の学習アルゴリズムAGから、抽出部120が抽出する学習対象情報DLTに応じた種類の学習アルゴリズムAGを選択する。以下の説明において、選択部130が選択した学習アルゴリズムAGのことを、被選択学習アルゴリズムAGSともいう。
【0029】
学習部140は、選択部130が選択する被選択学習アルゴリズムAGSを抽出部120が抽出する学習対象情報DLTに適用することにより、抽出部120が抽出する複数の学習対象情報DLTそれぞれについての学習結果Lを生成する。
一例として、学習部140は、ネットワーク障害の発生原因を推定する。
【0030】
図4は、本実施形態の学習部140による学習の流れの概要の一例を示す図である。学習部140は、学習対象のネットワークNTについて、どのノードNがどのエリアARに属するかという情報に基づき、分析モデルMDLを構築する。また、学習部140は、分析モデルMDLごとに互いに異なる学習アルゴリズムAGを用いて学習することもできる。
このように学習部140は、学習対象のネットワークNTについて、複数の互いに異なる分析モデルMDLを構築して学習し、分析モデルMDL毎の学習結果を統合して推定結果(つまり、学習結果L)を得る手法、すなわち、いわゆるアンサンブル学習手法を採用している。このようにアンサンブル学習を採用することにより、情報処理装置10は、ネットワークという構成要素の多い学習対象に対して高精度なモデル構築を可能にしている。
【0031】
評価部150は、既知の評価手順によって、分析モデルMDLについて学習部140が生成した学習結果Lの精度評価結果RSを算出する。
なお、評価部150は、算出した精度評価結果RSを選択部130に出力してもよい。この場合、選択部130は、評価部150が算出する精度評価結果RSに基づいて、選択する被選択学習アルゴリズムAGSの種類を変更する。
【0032】
[情報処理システムの動作]
次に、情報処理システム1の動作の一例について説明する。
図5は、本実施形態の情報処理システム1の動作の一例を示す図である。
(ステップS10)取得部110は、タグ情報DTを取得する。このタグ情報DTには、ユーザが指定する各種のパラメータが含まれる。
【0033】
図6は、本実施形態のタグ情報DTに含まれる情報の一例を示す図である。この一例の場合、タグ情報DTには、ノードNの識別情報(識別情報NID)と、エリアARの識別情報(エリア情報DAR)との組み合わせ(マッピング)を示す情報が、パラメータとして含まれている。この識別情報NIDとエリア情報DARとの組み合わせのことを、マッピングともいう。識別情報NIDとエリア情報DARとの組み合わせの種類ごとにマッピングIDが与えられる。この一例では、マッピングID_M01~マッピングID_M04までの4種類のマッピング情報が、タグ情報DTとして与えられている。
【0034】
(ステップS20)
図5に戻り、抽出部120は、データ蓄積部30に蓄積されているネットワーク状態情報DNTの中から、学習対象情報DLTを抽出する。より具体的には、抽出部120は、ステップS10において取得されたタグ情報DTに基づいて、データ蓄積部30に蓄積されているネットワーク状態情報DNTの中から、タグ情報DTに含まれるパラメータに合致するネットワーク状態情報DNTを、学習対象情報DLTとして抽出する。
例えば、抽出部120は、
図6に示した、マッピングID_M01が示すノードNとエリアARの組み合わせ(つまり、「ノードA・エリア1」「ノードB・エリア2」「ノードC・エリア3」…)についてのネットワーク状態情報DNTを、学習対象情報DLTとして抽出する。
【0035】
(ステップS30)選択部130は、複数種類の学習アルゴリズムAGから、抽出部120が抽出する学習対象情報DLTに応じた種類の学習アルゴリズムAGを選択する。
【0036】
図7は、本実施形態の選択部130による学習アルゴリズムAGの選択結果の一例を示す図である。この一例では、選択部130は、マッピングID_M01について、「ノードA・エリア1」に対して学習アルゴリズムAG_αを、「ノードB・エリア2」に対して学習アルゴリズムAG_βを、「ノードC・エリア3」に対して学習アルゴリズムAG_γを、それぞれ選択する。
【0037】
また、選択部130は、それぞれのマッピングについて、学習アルゴリズムAGの選択結果が相違するようにして、学習アルゴリズムAGをそれぞれ選択する。例えば、選択部130は、マッピングID_M01について、「ノードA・エリア1」に対して学習アルゴリズムAG_αを、「ノードB・エリア2」に対して学習アルゴリズムAG_βを、「ノードC・エリア3」に対して学習アルゴリズムAG_γを、学習ID_L11として選択する。また、選択部130は、マッピングID_M01について、「ノードA・エリア1」に対して学習アルゴリズムAG_αを、「ノードB・エリア2」に対して学習アルゴリズムAG_γを、「ノードC・エリア3」に対して学習アルゴリズムAG_βを、学習ID_L12として選択する。この一例の場合、学習ID_L11と学習ID_L12とでは、「ノードB・エリア2」及び「ノードC・エリア3」に対する学習アルゴリズムAGの選択結果が相違している。
【0038】
(ステップS40)学習部140は、ステップS30において選択された学習アルゴリズムAGとに基づいて、ステップS20において抽出された学習対象情報DLTに対する学習を行う。学習部140は、学習結果としての分析モデルを出力する。
(ステップS50)評価部150は、学習部140による学習結果についての精度評価を行い、その結果を精度評価結果RSとして出力する。
【0039】
図8は、本実施形態の評価部150による精度評価の結果の一例を示す図である。同図に示すように、評価部150は、ステップS30における選択結果ごと、すなわち学習IDごとに精度評価を行い、精度評価結果RSを出力する。
【0040】
なお、選択部130は、それぞれの学習結果について、評価部150による精度評価結果RSが比較的高い学習結果については学習アルゴリズムAGの選択が妥当であると判定し、評価部150による精度評価結果RSが比較的低い学習結果については学習アルゴリズムAGの選択が妥当でないと判定する。選択部130は、学習アルゴリズムAGの選択が妥当でないと判定した学習結果については、選択する学習アルゴリズムAGを変更する。この場合、学習部140は、選択部130が選択を変更した後の学習アルゴリズムAGによって再度、学習を行う。
【0041】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、情報処理システム1は、疑似ネットワーク220にネットワーク障害を発生させることにより、稼働中の実ネットワークでは得られない程度の網羅的なネットワーク状態情報DNTを得ることができる。すなわち、情報処理システム1によれば、学習対象のネットワーク状態情報DNTを十分な量かつ十分に細かい粒度にして得ることができる。したがって、情報処理システム1によれば、ネットワーク障害についての学習結果である分析モデルの精度を高めることができる。
【0042】
また、このように構成された情報処理システム1によれば、アンサンブル学習を行うことにより、複数の分析モデルMDLを組み合わせた高精度な推定(例えば、障害原因推定)を行うことができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0044】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0045】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…情報処理システム、10…情報処理装置、110…取得部、120…抽出部、130…選択部、140…学習部、150…評価部、20…障害シミュレーション装置、210…障害発生部、220…疑似ネットワーク、30…データ蓄積部、40…学習アルゴリズム記憶部