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  • 特許-硫酸イオン除去システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】硫酸イオン除去システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20220221BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20220221BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20220221BHJP
   B01D 71/62 20060101ALI20220221BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20220221BHJP
   C08F 26/04 20060101ALI20220221BHJP
   E21B 43/20 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
C02F1/44 H
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/62
B01D71/56
C08F26/04
E21B43/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019045285
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020146617
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】宮部 倫次
(72)【発明者】
【氏名】越前 将
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-272067(JP,A)
【文献】特開2015-066494(JP,A)
【文献】特開昭54-151570(JP,A)
【文献】特開2017-124382(JP,A)
【文献】特開2006-021110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
E21B 43/20
C08F 26/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路と、
前記流路に設けられ、膜表面を構成するカチオン性コーティングを有し、被処理水を濾過することによって前記被処理水に含まれた硫酸イオンを除去するナノ濾過膜と、
を備え、
前記ナノ濾過膜は、分離機能層をさらに有し、
前記分離機能層は、ピペラジン及びピペラジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つをモノマー単位として含むポリアミドによって構成され、
前記カチオン性コーティングは、前記分離機能層を覆っており、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含む、硫酸イオン除去システム。
【化1】
[式(1)において、
+ は4級アンモニウムカチオンを構成する窒素原子であり、
1 及びR 2 は、それぞれ独立して、前記窒素原子に結合した炭素原子を含む置換基である。]
【請求項2】
前記流路が油田に接続されており、
前記被処理水を前記ナノ濾過膜で濾過することによって得られた処理済み水は、前記油田に注入されるべき注入水である、
請求項に記載の硫酸イオン除去システム。
【請求項3】
被処理水をナノ濾過膜で濾過して処理済み水を生成することを含み、
前記ナノ濾過膜は、膜表面を構成するカチオン性コーティングを有し、被処理水を濾過することによって前記被処理水に含まれた硫酸イオンを除去し、
前記ナノ濾過膜は、分離機能層をさらに有し、
前記分離機能層は、ピペラジン及びピペラジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つをモノマー単位として含むポリアミドによって構成され、
前記カチオン性コーティングは、前記分離機能層を覆っており、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含む、硫酸イオン除去方法。
【化1】
[式(1)において、
+ は4級アンモニウムカチオンを構成する窒素原子であり、
1 及びR 2 は、それぞれ独立して、前記窒素原子に結合した炭素原子を含む置換基である。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水から硫酸イオンを除去するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油田に水を注入し、原油を加圧して回収する方法は、水攻法として知られている。特許文献1は、ナノ濾過膜(Nanofiltration membrane)を用いて海水から注入水を製造するためのシステムを開示している。
【0003】
海水には、硫酸イオンが比較的高い濃度で含まれている。注入水における硫酸イオン濃度が高い場合、バリウム、ストロンチウムといった土壌中の金属と硫酸イオンとが塩を形成し、塩が油層、配管、ポンプなどに析出する。このことは、原油の採掘の大きな妨げとなる。したがって、注入水における硫酸イオン濃度が所定の閾値濃度を下回るように、注入水を製造するためのシステムが構築される。
【0004】
本明細書では、「ナノ濾過膜」を「NF膜」と表記することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-124382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のシステムによって、硫酸イオン濃度は、例えば、40~数100ppm(mg/L)よりも低い濃度まで低減される。しかし、油層の性質によっては、より低い濃度まで硫酸イオンを除去する必要がある。そのため、より低い濃度まで硫酸イオンを除去するための技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
流路と、
前記流路に設けられ、膜表面を構成するカチオン性コーティングを有し、被処理水を濾過することによって前記被処理水に含まれた硫酸イオンを除去するナノ濾過膜と、
を備えた、硫酸イオン除去システムを提供する。
【0008】
別の側面において、本発明は、
被処理水をナノ濾過膜で濾過して処理済み水を生成することを含み、
前記ナノ濾過膜は、膜表面を構成するカチオン性コーティングを有し、被処理水を濾過することによって前記被処理水に含まれた硫酸イオンを除去する、
硫酸イオン除去方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より低い濃度まで硫酸イオンを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る硫酸イオン除去システムの構成図である。
図2図2は、ナノ濾過膜の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る硫酸イオン除去システム100(以下、単に「除去システム100」と称する)の構成を示している。除去システム100は、例えば、油田への注入水を製造するためのシステムである。
【0013】
除去システム100は、流路50及び複数のNF膜エレメント62,64及び66を備えている。流路50は、被処理水及び処理済み水が流れる流路である。流路50に複数のNF膜エレメント62,64及び66が設けられている。複数のNF膜エレメント62,64及び66は、互いに並列に配置されたNF膜エレメント62及び64を含んでいてもよく、上流に位置するNF膜エレメント64の濃縮水を下流に位置するNF膜エレメント66で更に濾過するように配置されていてもよい。流路50にNF膜エレメント62のみが設けられていてもよい。
【0014】
本実施形態では、被処理水が海水であり、海水をNF膜エレメント62,64及び66で濾過することによって得られた処理済み水が油田に注入されるべき注入水である。本実施形態によれば、硫酸イオン濃度が十分に低い注入水を油田に供給することができる。これにより、塩の析出が抑制されるので、水攻法による円滑な原油の採掘を長期に渡って実現できる。
【0015】
注入水を製造するための被処理水は特に限定されない。被処理水としては、海水、河川水、湖水、地下水、石油随伴水などが挙げられる。本実施形態では、被処理水として海水を例示する。
【0016】
NF膜エレメント62,64及び66のそれぞれは、カチオン性コーティングを有するNF膜によって構成されている。カチオン性コーティングを有するNF膜は、海水から硫酸イオンをより十分に除去することを可能にする。カチオン性コーティングは、NF膜の被処理水側の表面を構成するコーティングであって、NF膜の表面を正に帯電させるコーティングである。
【0017】
NF膜の表面の帯電状態は、例えば、表面のゼータ電位を測定することによって特定できる。例えば、pH6.0のNaCl溶液を用い、市販の電気泳動光散乱装置によって電気泳動測定を行う。求められた電気移動度とSmoluchowskiの式とを用いてゼータ電位を算出する。算出されたゼータ電位から表面の極性を特定できる。市販のゼータ電位測定システム(大塚電子社製ELSZ-2000Zなど)の平板用セルユニットを用いることにより、平板状のサンプルのゼータ電位を容易に調べることができる。
【0018】
本明細書において、「NF膜」とは、2000mg/リットルの濃度のNaCl水溶液を操作圧力1.5MPa、25℃の条件で濾過したときのNaCl阻止率が5%以上93%未満である分離膜を意味する。
【0019】
除去システム100は、ポンプ54及び56をさらに備えている。ポンプ54は、流路50において、NF膜エレメント62,64及び66の上流に配置されている。ポンプ54は、海水に対し、NF膜エレメント62,64及び66を構成するNF膜を透過するために必要な圧力を付与する。ポンプ56は、流路50において、NF膜エレメント62,64及び66の下流に配置されている。ポンプ56は、透過水である注入水に圧力を付与する。
【0020】
流路50は、複数の流路50a~50iを含む。流路50の一端が海水の取水口に接続され、流路50の他端が油田の注入口に接続されている。流路50aは、海水の取水口とポンプ54の入口とを接続している。流路50bは、ポンプ54の出口とNF膜エレメント62の入口とを接続するとともに、ポンプ54の出口とNF膜エレメント64の入口とを接続している。流路50cは、NF膜エレメント62の透過水出口とポンプ56の入口とを接続している。流路50dは、NF膜エレメント62の濃縮水出口と流路50fとを接続している。流路50eは、NF膜エレメント64の透過水出口と流路50cとを接続している。流路50fは、NF膜エレメント64の濃縮水出口とNF膜エレメント66の入口とを接続している。流路50gは、NF膜エレメント66の透過水出口と流路50cとを接続している。流路50hは、NF膜エレメント66の濃縮水出口と海とを接続している。流路50iは、ポンプ56の出口と油田の注入口とを接続している。各流路は、それぞれ、少なくとも1つの配管によって構成されている。
【0021】
ポンプ54及び56を起動すると、流路50a及び50bを通じて、NF膜エレメント62及び64に海水が供給される。NF膜エレメント62及び64によって海水が濾過されて透過水と濃縮水とが生成される。NF膜エレメント62及び64で生成された濃縮水は、流路50d及び50fを通じてNF膜エレメント66に供給され、濾過される。NF膜エレメント62,64及び66の透過水は、流路50c,50e,50g及び50iを通じて、注入水として油田に注入される。NF膜エレメント66の濃縮水は、海に放流されてもよく、逆浸透膜によって濾過されて再利用されてもよい。
【0022】
注入水における硫酸イオンの濃度は特に限定されず、例えば、20mg/リットル以下である。
【0023】
NF膜エレメント62及び64に供給される前に、海水には、所定の前処理が施されていてもよい。所定の前処理としては、珪砂などの砂を用いて海水を濾過する処理、UF膜(ultrafiltration membrane)又はMF膜(microfiltration membrane)によって海水を濾過する処理、殺菌剤を海水に添加する処理などが挙げられる。
【0024】
本実施形態では、複数のNF膜エレメント62,64及び66は、互いに並列に配置されたNF膜エレメント62及び64を含む。複数のNF膜エレメント62,64及び66は、また、上流に位置するNF膜エレメント62(又は64)と、下流に位置するNF膜エレメント66とを含む。上流に位置するNF膜エレメント62(又は64)の濃縮水が下流に位置するNF膜エレメント66で更に濾過される。図1に示す配置から理解できるように、注入水は、NF膜エレメントを1回のみ透過して生成された処理済み水である。注入水が透過したNF膜エレメントは、実質的には1つである。
【0025】
確かに、上流に位置するNF膜エレメントの透過水を下流に位置するNF膜エレメントによって更に処理することも可能である。つまり、多段処理を行うことによって、注入水における硫酸イオン濃度を十分に下げることが可能である。しかし、そのような多段処理は、既存の単段のシステム(例えば、特許文献1)を用いて実施できないので、システムの再構築が必要となる。このことは、初期コスト、ランニングコストなどのコストの増加を招く。
【0026】
これに対し、本実施形態によれば、カチオン性コーティングを有するNF膜によって硫酸イオン濃度を十分に下げることができるので、海水をNF膜に1回のみ透過させることによって得られた水を注入水として使用することが可能である。そのため、既存の単段のシステムの簡単な改良、具体的には、NF膜エレメントを交換するだけで、本実施形態の除去システム100を構築できる。多段処理のシステムを新たに導入することに比べて、本実施形態は、コストの大幅な削減を可能にする。
【0027】
もちろん、カチオン性コーティングを有するNF膜を複数回透過させて硫酸イオンを除去してもよい。
【0028】
海水の温度と注入水における硫酸イオン濃度との間には相関がある。海水の温度が高いと注入水における硫酸イオン濃度が上昇する。本実施形態の除去システム100によれば、海水の温度が比較的高い場合でも硫酸イオン濃度を十分に下げることができる。また、NF膜エレメント62,64及び66の初期性能が高いので、長期にわたって硫酸イオン濃度を低濃度まで下げられる。
【0029】
次に、NF膜エレメント62,64及び66に使用されたNF膜について詳細に説明する。
【0030】
NF膜エレメント62,64及び66のそれぞれは、例えば、スパイラル型膜エレメントである。スパイラル型膜エレメントは、例えば、原水スペーサ、透過水スペーサ及び図2に示すNF膜60を用いて作製される。
【0031】
図2に示すように、NF膜60は、多孔性支持膜20、分離機能層30及びコーティング40を備えている。コーティング40は、分離機能層30を覆い、NF膜の表面を構成しているカチオン性コーティングである。コーティング40の表面に被処理水としての海水が接触する。
【0032】
NF膜60において、多孔性支持膜20、分離機能層30及びコーティング40がこの順番で積層されている。分離機能層30及びコーティング40は、多孔性支持膜20によって支持されている。多孔性支持膜20の上に分離機能層30が配置されている。分離機能層30の上にコーティング40が配置されている。コーティング40は、分離機能層30に接している。NF膜60は、複合半透膜でありうる。
【0033】
分離機能層30は、例えば、ピペラジン及びピペラジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つをモノマー単位として含むポリアミドによって構成されている。このようなポリアミドは、Na+、Cl-などの1価イオンを透過させつつ、硫酸イオンなどの2価イオンを阻止する。つまり、硫酸イオンなどの2価イオンを選択的に除去することができる。コーティング40は、NF膜60の硫酸イオン除去性能を更に向上させる。
【0034】
NF膜60は、以下の方法によって製造されうる。
【0035】
まず、支持体としての多孔性支持膜20を準備する。多孔性支持膜20は、その表面に分離機能層を形成しうる膜である限り、特に限定されない。多孔性支持膜20としては、0.01~0.4μmの平均孔径を有する微多孔層を不織布上に形成した限外濾過膜が用いられる。微多孔層の形成材料としては、例えば、ポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。化学的安定性、機械的安定性及び熱的安定性の観点から、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリアリールエーテルスルホンが使用されうる。また、上記の平均孔径を有する、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂でできた自立型の多孔性支持膜も使用できる。多孔性支持膜20の厚さは特に限定されず、例えば、10~200μmの範囲にあり、20~75μmの範囲にあってもよい。
【0036】
本明細書において、「平均孔径」は、以下の方法で算出される値を意味する。まず、膜又は層の表面又は断面を電子顕微鏡(例えば走査電子顕微鏡)で観察し、観察された複数の細孔(例えば任意の10個の細孔)の直径を実測する。細孔の直径の実測値の平均値を「平均孔径」と定義する。「細孔の直径」は、細孔の長径を意味し、詳細には、細孔を囲むことができる最小の円の直径を意味する。
【0037】
次に、分離機能層30の原料を含む第1の溶液を多孔性支持膜20に接触させる。第1の溶液は、典型的には、分離機能層30の原料としての多官能アミンを含む水溶液(以下、「アミン水溶液」と称する)である。アミン水溶液を多孔性支持膜20に接触させることによって、多孔性支持膜20の表面上にアミン含有層が形成される。アミン水溶液は、水に加え、アルコールなどの水以外の極性溶媒を含んでいてもよい。水に代えて、アルコールなどの水以外の極性溶媒を使用してもよい。
【0038】
多官能アミンは、ピペラジン及びピペラジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つでありうる。ピペラジン誘導体は、ピペラジンの炭素原子又は窒素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが置換基によって置換されることによって得られた化合物である。置換基としては、アルキル基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。ピペラジン誘導体としては、2,5-ジメチルピペラジン、2-メチルピペラジン、2,6-ジメチルピペラジン、2,3,5-トリメチルピペラジン、2,5-ジエチルピペラジン、2,3,5-トリエチルピペラジン、2-n-プロピルピペラジン、2,5-ジ-n-ブチルピペラジン、4-アミノメチルピペラジンなどが挙げられる。
【0039】
多官能アミンとして、ピペラジン及び上記のピペラジン誘導体から選ばれる1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
ピペラジン誘導体には、上記したもの以外の物質も含まれる。未反応の成分が少なく、かつ、ピンホールなどの欠陥も少ない分離機能層30を形成することが、十分な硫酸イオン除去性能を持ったNF膜60を得るうえで重要である。こうした点を考慮に入れて、ピペラジン誘導体における置換基を適宜採用することが推奨される。
【0041】
アミン含有層の形成を容易にするため及び分離機能層30の性能を向上させるために、アミン水溶液には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などの重合体、ソルビトール、グリセリンなどの多価アルコールが添加されていてもよい。
【0042】
アミン水溶液におけるアミン成分の濃度は、0.1~15重量%の範囲にあってもよく、1~10重量%の範囲にあってもよい。アミン成分の濃度を適切に調整することによって、分離機能層30にピンホールなどの欠陥が生じることを抑制できる。また、優れた塩阻止性能を有する分離機能層30を形成できる。さらに、アミン成分の濃度を適切に調整すれば、分離機能層30の厚さも適切に調整され、これにより、十分な透過流束を達成しうるNF膜60が得られる。
【0043】
アミン水溶液を多孔性支持膜20に接触させる方法は特に限定されない。多孔性支持膜20をアミン水溶液に浸漬する方法、多孔性支持膜20にアミン水溶液を塗布する方法、多孔性支持膜20にアミン水溶液を噴霧する方法などを適宜採用できる。また、アミン水溶液を多孔性支持膜20に接触させる工程を実施した後、余分なアミン水溶液を多孔性支持膜20の上から除去する工程を実施してもよい。例えば、ゴムローラでアミン含有層を延ばすことによって、多孔性支持膜20の上から余分なアミン水溶液を除去することができる。余分なアミン水溶液を除去することによって、適切な厚さの分離機能層30を形成することが可能となる。
【0044】
次に、アミン含有層に第2の溶液を接触させる。第2の溶液は、分離機能層30の他の原料を含む溶液である。詳細には、第2の溶液は、分離機能層30の他の原料としての多官能酸ハライドを含む溶液(以下、「酸ハライド溶液」と称する)である。アミン含有層に酸ハライド溶液を接触させると、アミン含有層と酸ハライド溶液の層との界面でアミンと酸ハライドとの重合反応が進行する。これにより、分離機能層30が形成される。
【0045】
多官能酸ハライドとは、複数の反応性カルボニル基を有する酸ハライドである。多官能酸ハライドとしては、芳香族多官能酸ハライド、脂肪族多官能酸ハライド及び脂環式多官能酸ハライドが挙げられる。
【0046】
芳香族多官能酸ハライドとしては、例えば、トリメシン酸トリクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、ナフタレンジカルボン酸ジクロライド、ベンゼントリスルホン酸トリクロライド、ベンゼンジスルホン酸ジクロライド、クロロスルホニルベンゼンジカルボン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0047】
脂肪族多官能酸ハライドとしては、例えば、プロパンジカルボン酸ジクロライド、ブタンジカルボン酸ジクロライド、ペンタンジカルボン酸ジクロライド、プロパントリカルボン酸トリクロライド、ブタントリカルボン酸トリクロライド、ペンタントリカルボン酸トリクロライド、グルタリルハライド、アジポイルハライドなどが挙げられる。
【0048】
脂環式多官能酸ハライドとしては、例えば、シクロプロパントリカルボン酸トリクロライド、シクロブタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタントリカルボン酸トリクロライド、シクロペンタンテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロヘキサントリカルボン酸トリクロライド、テトラハイドロフランテトラカルボン酸テトラクロライド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロライド、シクロブタンジカルボン酸ジクロライド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド、テトラハイドロフランジカルボン酸ジクロライドなどが挙げられる。
【0049】
これらの多官能酸ハライドから選ばれる1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。優れた硫酸イオン除去性能を有する分離機能層30を得るためには、芳香族多官能酸ハライドを使用してもよい。また、多官能酸ハライド成分の少なくとも一部に3価以上の多官能酸ハライドを使用して、架橋構造を形成してもよい。
【0050】
酸ハライド溶液の溶媒として、有機溶媒、特に、非極性の有機溶媒を使用できる。有機溶媒は、水に対する溶解度が低く、多孔性支持膜20を劣化させず、多官能酸ハライド成分が溶解しうるものである限り、特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、へプタン、オクタン、ノナンなどの飽和炭化水素、1,1,2-トリクロロトリフルオロエタンなどのハロゲン置換炭化水素などが挙げられる。沸点が300℃以下又は200℃以下の飽和炭化水素を使用してもよい。
【0051】
酸ハライド溶液における酸ハライド成分の濃度は、0.01~5重量%の範囲にあってもよく、0.05~3重量%の範囲にあってもよい。酸ハライド成分の濃度を適切に調整することによって、未反応のアミン成分及び酸ハライド成分を減少させることができる。また、分離機能層30にピンホールなどの欠陥が生じることを抑制でき、これにより、優れた硫酸イオン除去性能を持ったNF膜60を提供できる。さらに、酸ハライド成分の濃度を適切に調整すれば分離機能層30の厚さも適切に調整され、これにより、十分な透過流束を達成しうるNF膜60を提供できる。
【0052】
アミン含有層に酸ハライド溶液を接触させる方法は特に限定されない。アミン含有層を多孔性支持膜20とともに酸ハライド溶液に浸漬してもよいし、アミン含有層の表面に酸ハライド溶液を塗布してもよい。アミン含有層と酸ハライド溶液との接触時間は、例えば、10秒~5分又は30秒~1分である。アミン含有層と酸ハライド溶液とを接触させた後、アミン含有層の上から余分な酸ハライド溶液を除去する工程を実施してもよい。
【0053】
次に、分離機能層30を多孔性支持膜20とともに加熱して乾燥させる。分離機能層30を加熱処理することによって、分離機能層30の機械的強度、耐熱性などを高めることができる。加熱温度は、例えば、70~200℃又は80~130℃である。加熱時間は、例えば、30秒~10分又は40秒~7分である。室温で乾燥工程を実施した後、乾燥機を用いて室温よりも高い雰囲気温度で更なる乾燥工程を実施してもよい。
【0054】
界面重合法の実施条件は、例えば、特開昭58-24303号公報、特開平1-180208号公報などにも記載されている。本実施形態の方法において、それらの公知技術を適宜採用できる。
【0055】
なお、アミン水溶液及び/又は酸ハライド溶液には、分離機能層30の形成を容易にしたり、得るべきNF膜60の性能を向上させたりする目的で、各種の添加剤を加えることができる。添加剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、重合によって生成するハロゲン化水素の除去に効果がある水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリエチルアミンなどの塩基性化合物、アシル化触媒、特開平8-224452号公報に記載の溶解度パラメータが8~14(cal/cm31/2の化合物などが挙げられる。
【0056】
以上の工程を実施することによって、多孔性支持膜20及び分離機能層30を有する膜が得られる。分離機能層30の厚さは特に限定されず、例えば0.05~2μmであり、0.1~1μmであってもよい。
【0057】
また、本明細書では、界面重合法によって多孔性支持膜20の表面に分離機能層30を直接形成する方法を説明している。ただし、多孔性支持膜20以外の他の支持体の上で分離機能層30を形成し、得られた分離機能層30を多孔性支持膜20の上に移して一体化させてもよい。言い換えれば、分離機能層30を他の支持体から多孔性支持膜20に転写してもよい。
【0058】
次に、コーティング40の材料を含む溶液を分離機能層30に接触させる。コーティング40の材料は、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体でありうる。
【0059】
【化1】
【0060】
式(1)において、N+は4級アンモニウムカチオンを構成する窒素原子である。R1及びR2は、それぞれ独立して、窒素原子に結合した炭素原子を含む置換基である。
【0061】
式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体がコーティング40に含まれているとき、NF膜60の硫酸イオン除去性能が向上する。
【0062】
式(1)において、N+の対イオンは特に限定されない。N+の対イオンは、1価のアニオンである。1価のアニオンは、例えば、F-、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオンである。
【0063】
式(1)において、R1及びR2は、アルキル基でありうる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。詳細には、R1及びR2は、メチル基でありうる。R1及びR2がメチル基のようなアルキル基であるとき、コーティング40は、NF膜60の硫酸イオン除去性能を十分に向上させうる。R1及びR2がメチル基のようなアルキル基であるとき、コーティング40は、NF膜60の塩阻止率に影響を及ぼしにくい。
【0064】
式(1)において、R1はメチル基であってもよく、R2は3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基であってもよい。この場合、重合体の繰り返し単位は、下記式(2)で表される。
【0065】
【化2】
【0066】
式(1)において、R1はメチル基であってもよく、R2は2,3-エポキシプロピル基であってもよい。この場合、重合体の繰り返し単位は、下記式(3)で表される。
【0067】
【化3】
【0068】
式(2)で表される繰り返し単位にアルカリを作用させると、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基の環化反応が進行する。これにより、式(2)で表される繰り返し単位が式(3)で表される繰り返し単位へと変化する。
【0069】
コーティング40に含まれた重合体は、第1モノマーと第2モノマーとの共重合体でありうる。第1モノマーは、4級アンモニウムカチオンを含むモノマーであって、式(1)で表される繰り返し単位をなすモノマーでありうる。第1モノマーは、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメチルジアリルアンモニウムクロリドでありうる。第2モノマーがジアリルメチルアミン塩酸塩であるとき、共重合体は、下記式(4)によって表される。
【0070】
【化4】
【0071】
式(4)において、m,nは、それぞれ独立して、1以上の整数である。式(4)の重合体に含まれる複数の3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基の一部又は全部は、式(3)に示すように、2,3-エポキシプロピル基であってもよい。
【0072】
式(4)で表される共重合体において、第1モノマーに含まれた3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基及び/又は2,3-エポキシプロピル基は、分離機能層30に化学結合可能な反応性置換基でありうる。
【0073】
なお、式(4)の重合体は、ホモポリマーを変性させることによっても得られる。具体的には、メチルジアリルアミン塩酸塩のホモポリマーをエピクロルヒドリンによって変性することによって、式(4)の重合体を得ることも可能である。
【0074】
反応性置換基は、分離機能層30とコーティング40との間の結合力を強化する。具体的には、複数の反応性置換基の少なくとも一部が、分離機能層30の末端アミノ基、残存アミノ基又は残存カルボニル基と共有結合を形成する。これにより、コーティング40が分離機能層30に固定されるので、長期にわたって使用しても硫酸イオン除去性能が低下しにくいNF膜60を提供できる。分離機能層30の末端アミノ基及び残存アミノ基は、多官能アミンに由来する。分離機能層30の残存カルボニル基は、多官能酸ハライドに由来する。反応性置換基は、重合体の分子内架橋及び/又は分子間架橋に用いられてもよい。これにより、コーティング40の機械的強度、耐熱性などを高めることができる。
【0075】
反応性置換基は、第2モノマーに含まれていてもよい。第1モノマーが4級アンモニウムカチオンの構造を有している場合、第2モノマーに課される制限は少ない。つまり、第2モノマーの選択の自由度が高い。
【0076】
反応性置換基は3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基に限定されない。反応性置換基としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基などが挙げられる。これらの反応性置換基から選ばれる1種のみが重合体に含まれていてもよく、2種以上が重合体に含まれていてもよい。
【0077】
反応性置換基が第2モノマーに含まれている場合において、第2モノマーは、例えば、アリルアミンである。重合体は、下記式(5)で表される。
【0078】
【化5】
【0079】
式(5)において、m,nは、それぞれ独立して、1以上の整数である。
【0080】
反応性置換基が第2モノマーに含まれている場合において、第2モノマーは、例えば、アクリルアミドである。重合体は、下記式(6)で表される。
【0081】
【化6】
【0082】
式(6)において、m,nは、それぞれ独立して、1以上の整数である。
【0083】
反応性置換基が第2モノマーに含まれている場合において、第2モノマーは、例えば、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルジアリルアミン塩酸塩である。重合体は、下記式(7)で表される。
【0084】
【化7】
【0085】
式(7)において、m,nは、それぞれ独立して、1以上の整数である。
【0086】
第2モノマーとして、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルジアリルアミン塩酸塩、アリルアミン及びアクリルアミドから選ばれる1種のみが使用されてもよく、2種以上が使用されてもよい。
【0087】
共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
【0088】
第1モノマーと第2モノマーとの比は特に限定されない。例えば、第1モノマー:第2モノマー=5:95~95:5であり、30:70~70:30であってもよい。上記範囲であれば、優れた硫酸イオン除去性能を有し、長期にわたって使用可能なNF膜60を提供できる。重合体又は共重合体の重量平均分子量は特に限定されず、例えば、10,000~100,000である。
【0089】
コーティング40は、重合体を含む水溶液を分離機能層30に接触させて重合体含有層を形成したのち、重合体含有層を乾燥させることによって形成されうる。水溶液を分離機能層30に接触させる方法は特に限定されない。分離機能層30を多孔性支持膜20とともに水溶液に浸漬してもよいし、分離機能層30の表面に水溶液を塗布してもよい。分離機能層30と水溶液との接触時間は、例えば、10秒~5分である。分離機能層30と水溶液とを接触させた後、分離機能層30から余分な水溶液を除去する工程を実施してもよい。水溶液は、水に加え、アルコールなどの水以外の極性溶媒を含んでいてもよい。水に代えて、アルコールなどの水以外の極性溶媒を使用してもよい。
【0090】
次に、重合体含有層を加熱して乾燥させる。重合体含有層を加熱処理することによって、コーティング40の機械的強度、耐熱性などを高めることができる。加熱温度は、例えば、80~150℃である。加熱時間は、例えば、30~300秒である。室温で乾燥工程を実施した後、乾燥機を用いて室温よりも高い雰囲気温度で更なる乾燥工程を実施してもよい。
【0091】
以上の工程を実施することによって、多孔性支持膜20、分離機能層30及びコーティング40を有するNF膜60が得られる。コーティング40の厚さは特に限定されず、例えば10~900nmである。コーティング40の存在は、透過電子顕微鏡によって確認されうる。コーティング40に含まれた重合体の組成分析は、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、X線光電子分光法(XPS)又は飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)によって実施されうる。
【実施例
【0092】
(サンプル1)
ピペラジン7重量%、ドデシル硫酸ナトリウム0.15重量%、水酸化ナトリウム1.48重量%及びカンファースルホン酸6重量%を含むアミン水溶液を多孔性ポリスルホン支持体に塗布した。その後、余分なアミン水溶液を支持体から除去することによって、支持体上にアミン含有層を形成した。次に、トリメシン酸トリクロライド0.42重量%をイソパラフィン系溶媒(出光興産社製、IPソルベント1016)に溶解させることによって得られた酸ハライド溶液にアミン含有層の表面を10秒間浸した。その後、余分な酸ハライド溶液をアミン含有層から除去し、アミン含有層を60秒間風乾させ、さらに120℃の熱風乾燥機中で3分間保持して、多孔性ポリスルホン支持体に分離機能層を形成した。次に、重合体(センカ社製、ユニセンスKCA101L)0.1重量%を含む水溶液に分離機能層の表面を10秒間浸した。その後、分離機能層を30秒間風乾させ、さらに120℃の熱風乾燥機中で2分間保持して、分離機能層の上にコーティングを形成した。このようにして、サンプル1のNF膜を得た。ユニセンスKCA101Lは、式(4)で表される重合体である。
【0093】
サンプル1のNF膜を用いて、直径201mm、長さ2016mmのサンプル1のスパイラル型膜エレメントを作製した。
【0094】
(サンプル2)
サンプル2のスパイラル型膜エレメント(直径8インチ)として、カチオン性コーティングを有さない市販のNF膜エレメントを準備した。
【0095】
(硫酸イオン除去率の測定)
サンプル1及びサンプル2のスパイラル型膜エレメントを圧力容器に1つのみ入れ、以下の運転条件で模擬海水をスパイラル型膜エレメントで濾過し、透過水中の硫酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィー法によって測定した。結果を表1に示す。なお、硫酸イオン濃度の測定方法は特に限定されず、滴定法、重量法などの他の方法によって測定されてもよい。
【0096】
<運転条件>
回収率:15%
透過水量:0.4075m3/m2・日
温度:25℃
pH:6.5~7.0
【0097】
模擬海水に含まれたイオンの濃度は以下の通りであった。濃度の単位は、mg/リットルである。
【0098】
Ca2+:405
Mg2+:1280
Na+:10600
+:430
Cl-:19400
SO4 2-:2460
【0099】
【表1】
【0100】
表1に示すように、カチオン性コーティングを有するNF膜を用いたサンプル1の硫酸イオン阻止率は、サンプル2の硫酸イオン阻止率よりも高かった。そして、サンプル1のNF膜エレメントによれば、サンプル2のNF膜エレメントと比較して、透過水中の硫酸イオン濃度も大幅に低減することができた。サンプル1のNF膜エレメントによって生成された透過水中の硫酸イオン濃度は2.2mg/Lであった。サンプル2のNF膜エレメントによって生成された透過水中の硫酸イオン濃度は5.8mg/Lであった。サンプル1のNF膜エレメントを実際のシステムに用いると、透過水中の硫酸イオン濃度は、7.3~14.5mg/Lの範囲に収まると予測される。サンプル2のNF膜エレメントを実際のシステムに用いると、透過水中の硫酸イオン濃度は、20~40mg/Lの範囲に収まると予測される。
【0101】
特に、4級アンモニウムカチオンは、被処理液のpHに依存することなく、正電荷をNF膜の表面に付与することができるので、推奨される。さらに、サンプル1に用いたコーティングの材料である重合体は、4級アンモニウムカチオンを含む環構造(ピロリジン環)を有する。4級アンモニウムカチオンを含む環構造(ピロリジン環)が硫酸イオン除去性能の向上に大きく寄与している可能性がある。したがって、式()の重合体に代えて、又は、式()の重合体とともに、式(2),(3),(5)~(7)で表される重合体を用いてカチオン性コーティングを形成したとしても、本発明の所望の効果が得られることが強く推測される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、油田注入水の製造の他、超純水の製造、海水の脱塩、廃水処理などに適用されうる。
【符号の説明】
【0103】
20 支持膜
30 分離機能層
40 コーティング
50,50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h,50i, 流路
60 NF膜
62,64,66 NF膜エレメント
100 硫酸イオン除去システム
図1
図2