(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】筒状濾過装置、その製造方法及び用途、並びに筒状濾過装置を含む濾過システム
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20220221BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20220221BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
B01D46/52 C
B01D46/52 A
B01D39/14 N
F24F13/28
(21)【出願番号】P 2019238828
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2019-12-27
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518419415
【氏名又は名称】濾能股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Greenfiltec Ltd
【住所又は居所原語表記】2F., No. 98, Ln. 199, Sec. 1, Zhongshan N. Rd., Yangmei Dist., Taoyuan City 326, Taiwan(R.O.C.)
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】游 議輝
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168519(JP,A)
【文献】特開2011-121056(JP,A)
【文献】特開2004-089982(JP,A)
【文献】特開2013-000688(JP,A)
【文献】特開平11-156126(JP,A)
【文献】特開2009-036065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0097593(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/、35/、46/
F02M 35/024
F24F 13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第一の可撓性側辺、第二の可撓性側辺、及び、前記第一の可撓性側辺と前記第二の可撓性側辺との間に設けられ、稜線がそれぞれ前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺に接続されている複数の波状構造を含む波状濾過網であって、前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺は帯状で弾性を有し、
前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺の高さは、前記複数の波状構造の厚さよりも大きく、軸線に対して筒状構造に巻かれ、前記波状構造の稜線を前記軸線に平行させ、前記複数の波状構造の最初、最後の波状構造に対応する側辺は分離可能に直接又は間接的に接し、前記筒状構造の両端はそれぞれ前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺で囲んで第一の開口及び第二の開口となる波状濾過網と、
前記第一の開口に設けられ、第一の凹溝を有する閉鎖装置であって、前記第一の可撓性側辺は、前記第一の凹溝内に弾性により緊密に係合されることで前記第一の開口を閉鎖装置で閉鎖することが可能である閉鎖装置と、
前記第二の開口に設けられ、第二の凹溝及びポートを有する接合装置であって、前記第二の可撓性側辺は、前記第二の凹溝内に弾性により緊密に係合されることで前記第二の開口を前記ポートに連通させることが可能である接合装置と、
を含む筒状濾過装置。
【請求項2】
前記波状濾過網は、前記接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定するための接続部品をさらに含む、請求項1に記載の筒状濾過装置。
【請求項3】
前記筒状構造内に設けられ、それぞれ前記閉鎖装置と前記接合装置との間に接続支持されている支持装置をさらに含む、請求項1に記載の筒状濾過装置。
【請求項4】
前記波状濾過網は活性炭濾過網である、請求項3に記載の筒状濾過装置。
【請求項5】
(H×N×2)/Dの値は3~30であり、
Hは前記複数の波状構造の厚さであり、
Nは前記複数の波状構造の個数であり、
Dは前記筒状構造の内径である
請求項1に記載の筒状濾過装置。
【請求項6】
チャンバ入り口と、チャンバ出口を有する第一の裏面とを含むチャンバと、
前記軸線が前記第一の裏面に垂直であるように設けられて第一の裏面に接続されており、前記ポートを前記チャンバ出口に連通させる
請求項1~5のいずれか一項に記載の筒状濾過装置と、を含み、
前記チャンバ出口、前記ポート及び前記チャンバ入り口はエアフロー経路を共同して形成し、前記波状濾過網は前記エアフロー経路に位置する
濾過システム。
【請求項7】
前記チャンバは、前記第一の裏面であって前記チャンバ出口に対応する位置に設けられている突合せ装置をさらに含み、前記接合装置は前記突合せ装置と突き合わせ、前記筒状濾過装置を前記第一の裏面に固定し、前記第一の開口を前記チャンバ出口に連通させる、
請求項6に記載の濾過システム。
【請求項8】
前記チャンバ入り口は前記第一の裏面の対向側に位置する、
請求項6に記載の濾過システム。
【請求項9】
前記軸線は水平面に平行である、請求項7に記載の濾過システム。
【請求項10】
(S1000)対向する第一の可撓性側辺、第二の可撓性側辺、及び、前記第一の可撓性側辺と前記第二の可撓性側辺との間に設けられ、稜線がそれぞれ前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺に接続されており、前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺は帯状で弾性を有
し、前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺の高さは、前記複数の波状構造の厚さよりも大きい、複数の波状構造を含む波状濾過網を提供することと、
(S2000)軸線に対して前記波状濾過網を筒状構造に巻き、前記波状構造の稜線を前記軸線に平行させ、前記複数の波状構造の最初、最後の波状構造に対応する側辺は分離可能に直接又は間接的に接し、前記筒状構造の両端はそれぞれ前記第一の可撓性側辺及び前記第二の可撓性側辺で囲んで第一の開口及び第二の開口となることと、
(S3000)第一の凹溝を有する閉鎖装置を前記第一の開口に設け、前記第一の可撓性側辺を、前記第一の凹溝内に弾性により緊密に係合させることで前記第一の開口を前記閉鎖装置で閉鎖することが可能であることと、
(S4000)第二の凹溝及びポートを有する接合装置を前記第二の開口設け、前記第二の可撓性側辺を、前記第二の凹溝内に弾性により緊密に係合させることで前記第二の開口をポートに連通させることが可能であることと、
を含む筒状濾過装置の製造方法。
【請求項11】
接続部品を用いて、前記接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定することをさらに含む、
請求項10に記載の筒状濾過装置の製造方法。
【請求項12】
建築空間に進入するガスを濾過するための
請求項1~5のいずれか一項に記載の筒状濾過装置の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状濾過装置、その製造方法及び用途、並びに筒状濾過装置を含む濾過システムに関する。より具体的には、本発明は、気中分子状汚染物質を濾過するための筒状濾過装置、その製造方法、及び筒状濾過装置を含む濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造業の工業製造分野において、製品の歩留りをさらに向上させるために、クリーンルームは広く用いられ、清潔で汚染のない隔離環境において製品の生産製造を行うようになる。クリーンルームの環境要求を達成するために、一般的に、クリーンルームの吸気口にファン及び濾過機器が架設されており、エアフローがファンにより駆動されて濾過機器の濾過網を通過してクリーンルームに進入することにより、汚染物を濾過する。
【0003】
汚染物において、気中分子状汚染物質は、粉塵のように一定の形状を有するものではなく、濾過網の空隙の大きさを制御することにより濾過されて除去されることができないので、通常、活性炭材料により除去される。
図1に示す従来の活性炭濾過筒70のように、活性炭粒子73は、内外両層が例えばアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS)などの高分子又はステンレスなどの金属で製造された網目状構造71と72との間に設けられており、そして、濾過筒の両端は蓋体74、75で閉鎖されている。活性炭粒子73間に隙間があり、ガスが隙間を流れるときに活性炭粒子73の振動を引き起こすことに起因して、活性炭粒子73同士を衝突させて粉末を生じ、粉塵量が増加するとともに活性炭粒子におけるタールなどの物質が浸出してしまう。また、従来の活性炭濾過筒は活性炭粒子73が充填された後の重さが重いので、取替え及び運輸が不便になる。したがって、従来の活性炭濾過筒には改善の余地がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、低粉塵であり、取り替えやすく、濾過材を節約し、運輸し貯蔵しやすいなどの利点を有する、筒状濾過装置を提供することにある。
【0005】
本発明の別の目的は、低粉塵であり、保守しやすいなどの利点を有する、筒状濾過装置を含む濾過システムを提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、低粉塵であり、取り替えやすく、濾過材を節約し、運輸し貯蔵しやすいなどの利点を有する、筒状濾過装置の用途を提供することにある。
【0007】
本発明の筒状濾過装置は、波状濾過網と、閉鎖装置と、接合装置とを含む。波状濾過網は、対向する第一の可撓性側辺、第二の可撓性側辺、及び、第一の可撓性側辺と第二の可撓性側辺との間に設けられている複数の波状構造を含む。波状構造の稜線は、それぞれ第一の可撓性側辺及び第二の可撓性側辺に接続されている。波状濾過網は、軸線に対して筒状構造に巻かれ、波状構造の稜線を軸線に平行させ、複数の波状構造の最初、最後の波状構造に対応する側辺は分離可能に直接又は間接的に接し、筒状構造の両端はそれぞれ第一の可撓性側辺及び第二の可撓性側辺で囲んで第一の開口及び第二の開口となる。閉鎖装置は第一の開口に設けられている。閉鎖装置は第一の凹溝を有し、第一の可撓性側辺は、第一の凹溝内に弾性係合されることで第一の開口を閉鎖装置で閉鎖することが可能である。接合装置は第二の開口に設けられている。接合装置は第二の凹溝及びポートを有し、第二の可撓性側辺は、第二の凹溝内に弾性係合されることで第二の開口をポートに連通させることが可能である。
【0008】
本発明の実施例において、波状濾過網は、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定するための接続部品をさらに含む。
【0009】
本発明の実施例において、筒状濾過装置は、筒状構造内に設けられ、それぞれ閉鎖装置と接合装置との間に接続支持されている支持装置をさらに含む。
【0010】
本発明の実施例において、波状濾過網は活性炭濾過網を含む。
【0011】
本発明の実施例において、第一の可撓性側辺及び第二の可撓性側辺の高さは、複数の波状構造の厚さよりも大きい。
【0012】
本発明の実施例において、(H×N×2)/Dの値は3~30であり、但し、Hは当該複数の波状構造の厚さであり、Nは当該複数の波状構造の個数であり、Dは当該筒状構造の内径である。
【0013】
本発明の濾過システムは、チャンバと前記筒状濾過装置とを含む。チャンバは、チャンバ入り口と、チャンバ出口を有する第一の裏面とを含む。筒状濾過装置は、軸線が第一の裏面に垂直であるように設けられて第一の裏面に接続されており、ポートをチャンバ出口に連通させる。チャンバ出口、ポート及びチャンバ入り口はエアフロー経路を共同して形成し、波状濾過網はエアフロー経路に位置する。
【0014】
本発明の実施例において、チャンバは、第一の裏面であってチャンバ出口に対応する位置に設けられている突合せ装置をさらに含む。接合装置は突合せ装置と突き合わせ、筒状濾過装置を第一の裏面に固定し、第一の開口をチャンバ出口に連通させる。
【0015】
本発明の実施例において、チャンバ入り口は第一の裏面の対向側に位置する。軸線は水平面に平行である。
【0016】
本発明の筒状濾過装置の製造方法は、(S1000)対向する第一の可撓性側辺、第二の可撓性側辺、及び、第一の可撓性側辺と第二の可撓性側辺との間に設けられ、稜線がそれぞれ第一の可撓性側辺及び第二の可撓性側辺に接続されている複数の波状構造を含む波状濾過網を提供することと、(S2000)軸線に対して波状濾過網を筒状構造に巻き、波状構造の稜線を軸線に平行させ、複数の波状構造の最初、最後の波状構造に対応する側辺は分離可能に直接又は間接的に接し、筒状構造の両端はそれぞれ第一の可撓性側辺及び第二の可撓性側辺で囲んで第一の開口及び第二の開口となることと、(S3000)第一の凹溝を有する閉鎖装置を第一の開口に設け、第一の可撓性側辺は、第一の凹溝内に弾性係合されることで第一の開口を閉鎖装置で閉鎖することが可能であることと、(S4000)第二の凹溝及びポートを有する接合装置を第二の開口に設け、第二の可撓性側辺は、第二の凹溝内に弾性係合されることで第二の開口をポートに連通させることが可能であることと、を含む。
【0017】
本発明の実施例において、筒状濾過装置の製造方法は、接続部品を用いて、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定することをさらに含む。
【0018】
本発明の筒状濾過装置の用途は、建築空間に進入するガスを濾過するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2A】本発明に係る筒状濾過装置の実施例の模式図である。
【
図2B】本発明に係る筒状濾過装置の実施例の分解模式図である。
【
図2C】本発明に係る筒状濾過装置における波状濾過網の実施例の模式図である。
【
図3】本発明における閉鎖装置の異なる実施例の模式図である。
【
図4A】本発明における接続部品の実施例の模式図である。
【
図4B】本発明において接続部品を使用して、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定する実施例の模式図である。
【
図4C】本発明において接続部品を使用して、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定する実施例の模式図である。
【
図4D】本発明において接続部品を使用して、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定する実施例の模式図である。
【
図4E】本発明において接続部品を使用して、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定する実施例の模式図である。
【
図5】本発明に係る筒状濾過装置の異なる実施例の分解模式図である。
【
図6A】本発明に係る筒状濾過装置の製造方法の実施例のフロー模式図である。
【
図6B】本発明に係る筒状濾過装置における波状濾過網が巻かれる実施例の模式図である。
【
図6C】本発明に係る筒状濾過装置の製造方法の異なる実施例のフロー模式図である。
【
図7A】本発明に係る濾過システムの実施例の模式図である。
【
図7B】筒状濾過装置の第一の裏面に取り付けられる前の部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図2Aに示す実施例の模式図、及び
図2Bに示す実施例の分解図のように、筒状濾過装置900は、波状濾過網100と、閉鎖装置200と、接合装置300とを含む。波状濾過網100は、例えば不織布により活性炭粒子の濾過材をその中に固定することが好ましい。しかし、異なる実施例において、波状濾過網100は、空隙を有する他の物品又は構造により、例えばイオン交換樹脂、ゼオライト材料、有機金属骨格材、分子篩、アルミナ、シリカ、機能性高分子などの濾過材を固定してもよい。より具体的には、筒状濾過装置900は、筒状に巻かれる波状濾過網100、閉鎖装置200、及び接合装置300が組み立てられてなる。
図2Cに示すように、波状濾過網100は、巻かれない前に平面状態であり、対向する第一の可撓性側辺110、第二の可撓性側辺120、及び、第一の可撓性側辺110と第二の可撓性側辺120との間に設けられる複数の波状構造130を含むことができる。波状構造130の稜線131は、それぞれ第一の可撓性側辺110及び第二の可撓性側辺120に接続され、好ましくは、垂直に接続されている。第一の可撓性側辺110及び第二の可撓性側辺120の高さW110、W120は、複数の波状構造の厚さW130よりもほぼ大きい。前記筒状は円筒状であることが好ましいが、異なる実施例において、製造や使用上の需要などに応じて、断面形状が異なる他の筒状であってもよい。
【0021】
図2Bに示すように、波状構造130は少なくとも波状設計に基づいて可撓性を有し、また、第一の可撓性側辺110、第二の可撓性側辺120は少なくとも弾性に基づいて可撓性を有するので、波状濾過網100は軸線801に対して筒状構造100`に巻かれ、波状構造130の稜線131を軸線801に平行させ、複数の波状構造130の最初、最後の波状構造に対応する側辺130`、130``が分離可能に直接又は間接的に接するようになる。「直接的に接する」とは、直接的に接触することを含み、「間接的に接する」とは、両者の間に例えば磁石などの別の物品を介在することを含む。筒状構造100`の両端はそれぞれ第一の可撓性側辺110及び第二の可撓性側辺120で囲んで第一の開口101及び第二の開口102となる。第一の可撓性側辺110及び第二の可撓性側辺120は、例えば、ポリウレタン(Polyurethane、PU)、シリカゲル、エチレン-ビニルアセテート共重合体(Ethylene Vinyl Acetate、EVA)、エチレンプロピレンゴム(Ethylene Propylene rubber、EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(Ethylene Propylene Diene Monomer、EPDM)などの弾性を有する熱可塑性材料を選択することができる。
【0022】
図2Bに示すように、閉鎖装置200は第一の開口101に設けられ、接合装置300は第二の開口102に設けられている。より具体的には、
図2Bに示す実施例のように、閉鎖装置200は第一の凹溝210を有し、第一の可撓性側辺110は、弾性により第一の凹溝210内に緊密に係合されることができ、気密性を増やし、第一の開口101を閉鎖装置200で閉鎖することができる。接合装置300は第二の凹溝310及びポート302を有し、第二の可撓性側辺120は、弾性により第二の凹溝310内に緊密に係合されることができ、気密性を増やし、第二の開口102をポート302に連通させることができる。第一の凹溝210及び第二の凹溝310の幅W210、W310は、それぞれ第一の可撓性側辺110及び第二の可撓性側辺120の高さW110、W120よりもほぼ小さく、複数の波状構造の厚さW130よりもほぼ大きい。これにより、第一の可撓性側辺110及び第二の可撓性側辺120が第一の凹溝210及び第二の凹溝310内に係合される緊密度を増やす。また、
図3A及び3Bに示す実施例のように、閉鎖装置200は、第一の凹溝210の側辺に、例えば、第一の可撓性側辺110を第一の凹溝210内により強固に係合させるためのネジ山又は可動クランピングなどの係合構造211をさらに設けてもよい。
【0023】
上述したように、波状濾過網100は、筒状に巻かれた後、第一の可撓性側辺110及び第二の可撓性側辺120がそれぞれ第一の凹溝210及び第二の凹溝310内に係合されることで、その形状を筒状に固定することができる。しかし、
図4A~4Eに示すような異なる実施例において、波状濾過網100は、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺130`、130``を固定するための接続部品140をさらに含んでもよい。接続部品140はS形断面を有する長尺構造であり、開口方向が逆の第一の凹溝141及び第二の凹溝142を含んでもよい。
図4Dに示すように、2つの接続部品140は、それぞれこれらの第一の凹溝141により側辺130`、130``に係合固定されることができる。次に、
図4Eに示すように、2つの接続部品140はそれぞれこれらの第二の凹溝142により互いに係合されることにより、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺130`、130``を固定することができる。さらには、接続部品140の表面は、気密性を増やすために、粗末ではなく平滑であることが好ましい。また、さらに側辺130`、130``の弾性により第一の凹溝141と第二の凹溝142との係合をより緊密にするように促す。なお、波状濾過網100が筒状に巻かれた後、エアフローは筒状構造内から外へ波状濾過網100を透過し、すなわち、波状濾過網100に対して外向きに広げる力を加えることにより、隣接する2つの接続部品140の係合をより緊密にする。一方、波状濾過網100自体は、相当な強度を有するが、
図5に示すような異なる実施例において、筒状濾過装置900は、筒状構造100`内に設けられて波状濾過網100を補助的に支持して形状を維持する支持装置400をさらに含む。支持装置400は、閉鎖装置200と接合装置300を接続する複数本のロッドを含むことが好ましい。
【0024】
さらには、
図6Aに示す実施例のフローチャートのように、筒状濾過装置900は、例えば以下のステップにより製造される。
【0025】
ステップS1000において、対向する第一の可撓性側辺、第二の可撓性側辺、及び、第一の可撓性側辺と第二の可撓性側辺との間に設けられ、稜線がそれぞれ第一の可撓性側辺及び第二の可撓性側辺に接続されている複数の波状構造を含む波状濾過網を提供する。より具体的には、
図2Cに示すような波状濾過網100を提供する。
【0026】
ステップS2000において、軸線に対して波状濾過網を筒状構造に巻き、波状構造の稜線を軸線に平行させ、複数の波状構造の最初、最後の波状構造に対応する側辺は分離可能に直接又は間接的に接し、筒状構造の両端はそれぞれ第一の可撓性側辺及び第二の可撓性側辺で囲んで第一の開口及び第二の開口となる。より具体的には、
図6Bに示すように、軸線801に対して波状濾過網100を
図2Bに示すような筒状構造100`に巻く。
【0027】
ステップS3000において、第一の凹溝を有する閉鎖装置を第一の開口に設け、第一の可撓性側辺は、第一の凹溝内に弾性係合されることで第一の開口を閉鎖装置で閉鎖することが可能である。より具体的には、
図2Bに示すように、閉鎖装置200を第一の開口101に設ける。
【0028】
ステップS4000において、第二の凹溝及びポートを有する接合装置を第二の開口に設け、第二の可撓性側辺は、第二の凹溝内に弾性係合されることで第二の開口をポートに連通させることが可能である。より具体的には、
図2Bに示すように、接合装置300を第二の開口102に設ける。上記ステップにより、
図2Aに示すような筒状濾過装置900を製造することができる。
【0029】
一方、
図6Cに示す異なる実施例のように、筒状濾過装置900の製造は、接続部品を用いて、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺を固定するステップS5000をさらに含んでもよい。より具体的には、
図4に示すように、接続部品140を用いて、接する最初、最後の波状構造に対応する側辺130`、130``を固定する。
【0030】
以上に基づいて、活性炭粒子が充填されて形成された従来の濾過筒に対して、本発明に係る筒状濾過装置900は、その波状濾過網100が例えば不織布などの構造により、例えば活性炭、イオン交換樹脂、ゼオライト材料、有機金属骨格材、分子篩、アルミナ、シリカ、機能性高分子などの濾過材を固定し、これらの濾過材が使用時間に伴って破砕して粉末を生じて飛散しにくいので、粉塵量が低く、濾過材における例えばタールなどの可能性のある物質の浸出を低減させることができる。また、濾過材の使用の低減を含む原因のため、それらの波状濾過網100の単位重量が軽く、取替えも運輸も省力化して便利である。一方、波状濾過網100は、閉鎖装置200、及び接合装置300と組み立てる前に、平らに広げて巻かれないように貯蔵することができ、貯蔵空間を低減させて運輸を便利にすることができる。
【0031】
異なる実施例において、本発明に係る筒状濾過装置900に最適な効果を達成させるために、(H×N×2)/Dの値(Le)が3~30であるように波状構造の厚さ、個数及び筒状構造の内径(即ち吸気直径)を設計でき、但し、Hは複数の波状構造の厚さであり、Nは複数の波状構造の個数であり、Dは筒状構造の内径である。以下に、6組の実施例を挙げてテストを行い、結果は表1のとおりである。
【表1】
上記の各組の実施例のサンプルをテスト風道内に置き、ファンの周波数を調整してテスト風速及び均一性を確認し、差圧計で当該風速での相対圧力損失を計測し、吸着しようとするガスを支管によりテスト風道内に注入し、末端ガス濃度をテスト終点まで計測した。
【0032】
好ましい実施例について、相対圧力損失は80Pa以下であるはずであり、相対平衡吸着量は50g/kg以上であるはずである。これにより、表1から分かるように、(H×N×2)/Dの値(Le)が3~30である場合、相対圧力損失及び相対平衡吸着量は所望に合致することができる。
【0033】
図7Aに示す実施例のように、本発明の濾過システム990は、チャンバ910及び前記筒状濾過装置900を含む。チャンバ910は、チャンバ入り口911及び第一の裏面912を含み、筒状濾過装置900は第一の裏面912に取り付けられることができる。
図7Bに示す筒状濾過装置900の第一の裏面912に取り付けられる前の部分模式図のように、第一の裏面912はチャンバ出口913を有する。筒状濾過装置900は、軸線801が第一の裏面912に垂直であるように設けられて第一の裏面912に接続されており、ポート302をチャンバ出口913に連通させる。さらには、軸線801は水平面に平行であることが好ましい。チャンバ出口913、ポート302及びチャンバ入り口911はエアフロー経路を共同して形成し、波状濾過網100はエアフロー経路に位置する。チャンバ出口913は建築空間と突き合わせることができ、このように筒状濾過装置900により、建築空間に進入するガスを濾過することができる。チャンバ入り口911は第一の裏面912の対向側に位置することが好ましい。
【0034】
一方、
図7Bに示す実施例のように、チャンバ910は、第一の裏面912であってチャンバ出口913に対応する位置に設けられている突合せ装置914をさらに含む。接合装置300は突合せ装置914と突き合わせ、筒状濾過装置900を第一の裏面912に固定し、ポート302をチャンバ出口913に連通させる。より具体的には、突合せ装置914は、例えば孔構造を含み、接合装置300の外面には、孔構造に挿入可能な係合ピン330が設けられており、係合ピン330が突合せ装置914に挿入して係合することにより、筒状濾過装置900は第一の裏面912に固定されることができる。
【0035】
上述のとおり、本発明に係る筒状濾過装置900は、その波状濾過網100が例えば不織布などの構造により活性炭を固定し、活性炭が使用時間に伴って破砕して粉末を生じて飛散しにくいので、筒状濾過装置900を用いる濾過システム990の粉塵量は低い。また、筒状濾過装置900の重さが軽いので、取替えは省力化して便利である。そのため、濾過システム990の保守はより容易になる。
【0036】
前記の説明及び図面により既に本発明の好ましい実施例を開示したが、各種の追加、多くの修正及び置換が本発明の好ましい実施例に使用可能であり、添付する特許請求の範囲によって限定されるような本発明の原理の趣旨及び範囲を逸脱することがないことを理解しなければならない。当業者は、本発明が多くの形式、構造、配置、割合、材料、部品及び部材の修正に使用可能であることが分かる。したがって、本明細書に開示した実施例は、本発明を限定するためのものではなく、本発明を説明するためのものと見なされるべきである。本発明の範囲は、以下の添付する特許請求の範囲によって限定されるべきであり、その合法的な均等物を含み、以上の説明に限らない。
【符号の説明】
【0037】
70 : 従来の活性炭濾過筒
71 : 網目状構造
72 : 網目状構造
73 : 活性炭粒子
74 : 蓋体
75 : 蓋体
100 : 波状濾過網
100` : 筒状構造
101 : 第一の開口
102 : 第二の開口
110 : 第一の可撓性側辺
120 : 第二の可撓性側辺
130 : 波状構造
130` : 最初の波状構造に対応する側辺
130`` : 最後の波状構造に対応する側辺
131 : 稜線
140 : 接続部品
141 : 第一の凹溝
142 : 第二の凹溝
200 : 閉鎖装置
210 : 第一の凹溝
211 : 係合構造
300 : 接合装置
302 : ポート
310 : 第二の凹溝
330 : 係合ピン
400 : 支持装置
801 : 軸線
900 : 筒状濾過装置
910 : チャンバ
911 : チャンバ入り口
912 : 第一の裏面
913 : チャンバ出口
914 : 突合せ装置
990 : 濾過システム
S1000 : ステップ
S2000 : ステップ
S3000 : ステップ
S4000 : ステップ
S5000 : ステップ
W110 : 第一の可撓性側辺の高さ
W120 : 第二の可撓性側辺の高さ
W130 : 波状構造の厚さ
W210 : 第一の凹溝の幅
W310 : 第二の凹溝の幅