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特許7027414ポータブルスキャナ及びそのスキャニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】ポータブルスキャナ及びそのスキャニング方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20220221BHJP
   G03B 17/54 20210101ALI20220221BHJP
   G03B 35/00 20210101ALI20220221BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20220221BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220221BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20220221BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20220221BHJP
   G02B 7/32 20210101ALI20220221BHJP
   G06T 7/521 20170101ALI20220221BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G03B17/54
G03B35/00 A
G03B15/02 B
G03B15/00 H
G03B35/00 Z
G03B17/56 B
G03B15/00 U
G03B15/00 P
G03B17/00 B
G02B7/32
G06T7/521
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019521091
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 KR2017011481
(87)【国際公開番号】W WO2018074823
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2019-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2016-0136283
(32)【優先日】2016-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514313432
【氏名又は名称】有限責任会社ハイモ
【氏名又は名称原語表記】HIMO LLC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】特許業務法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン・インピョ
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-146024(JP,A)
【文献】特開2005-121885(JP,A)
【文献】特開平05-127244(JP,A)
【文献】特開2005-024843(JP,A)
【文献】特開2010-199748(JP,A)
【文献】特開2004-132759(JP,A)
【文献】特開2015-216545(JP,A)
【文献】特開2013-182062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0049611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0073434(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0078113(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0028539(KR,A)
【文献】特開平08-086955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/25
G03B 17/54
G03B 35/00
G03B 15/02
G03B 15/00
G03B 17/56
G03B 17/00
G02B 7/32
G06T 7/521
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体から3次元イメージを生成するポータブルスキャナであって、
被写体との設定された焦点距離に対する現在の焦点状態を判断し、使用者が認識できるように出力する焦点状態出力部を含んでなり、
前記焦点状態出力部は、
前記被写体の表面に対して所定の角度で斜めに焦点用光線を照射する第1発光部と、
前記被写体に照射された焦点用光線の位置を感知する感知部と、
前記被写体の関心領域で感知された焦点用光線の位置に従って設定された焦点距離に対する焦点状態を判断する焦点状態判断部と、
判断された焦点状態を使用者が認識できるよう、前記被写体に可視光線で出力し、かつ、予め設定された文字、記号、または互いに異なる色相の中で少なくとも一つの形態で前記焦点状態を出力する第2発光部と
を備えるポータブルスキャナ。
【請求項2】
前記焦点状態判断部は、
前記被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合に第1焦点状態と判断し、前記被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合に第2焦点状態と判断し、前記被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合に第3焦点状態と判断する、請求項1に記載のポータブルスキャナ。
【請求項3】
前記焦点状態判断部は、
前記被写体との距離が設定された焦点距離と異なる場合に第1焦点状態と判断し、前記被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合に第2焦点状態と判断する、請求項1に記載のポータブルスキャナ。
【請求項4】
前記被写体に設定されたパターン光を照射する第3発光部と、
前記パターン光が照射された被写体を撮影する撮影部と、
前記被写体に対して互いに異なる方向で撮影された複数の2次元イメージデータを利用し、前記被写体の3次元イメージデータを生成する制御部と
をさらに含む、請求項1に記載のポータブルスキャナ。
【請求項5】
前記撮影部によって撮影されるイメージデータを表示する表示部をさらに含む、請求項4に記載のポータブルスキャナ。
【請求項6】
前記制御部は、前記撮影部によって撮影されるイメージデータとともに前記焦点状態を表示部に表示するように制御する、請求項5に記載のポータブルスキャナ。
【請求項7】
前記ポータブルスキャナのボディに着脱可能に結合され、前記ポータブルスキャナのボディを一定の高さで固定させる支持台をさらに含む、請求項1に記載のポータブルスキャナ。
【請求項8】
前記支持台は、結合されたポータブルスキャナのボディが上下左右に回転できるようにする回転部を備える、請求項7に記載のポータブルスキャナ。
【請求項9】
前記被写体は、かつらの製作のために設定されたパターンが形成され、使用者の頭に被せることができるヘッド網である、請求項1に記載のポータブルスキャナ。
【請求項10】
前記第1発光部から照射される角度、及び前記感知部で感知する角度は、設定された焦点距離によって調整される、請求項1に記載のポータブルスキャナ。
【請求項11】
被写体との設定された焦点距離に対する現在の焦点状態を判断し、使用者が前記焦点状態を認識できるように表示部及び前記被写体のうち少なくとも一つに前記焦点状態を表す情報を出力するステップと、
前記設定された焦点距離で前記被写体に対して設定されたパターン光を順次照射しながら、前記パターン光が照射された被写体を撮影するステップと、
被写体に対して互いに異なる方向で前記撮影するステップを繰り返すことによって撮影された複数の2次元イメージデータを利用し、前記被写体の3次元イメージデータを生成するステップと
を含み、
前記出力するステップは、
第1発光部から前記被写体の表面に対して所定の角度で斜めに焦点用光線を照射するステップと、
前記被写体に照射された焦点用光線の位置を感知するステップと、
前記被写体の表面に対して斜めに焦点用光線を照射すると前記被写体に照射された焦点用光線の位置が前記第1発光部と前記被写体との距離に応じて変化することを利用して、前記被写体の関心領域で感知された焦点用光線の位置に基づいて、設定された焦点距離に対する焦点状態を判断するステップと、
判断された焦点状態を使用者が認識できるよう、前記被写体に可視光線で出力するステップとを含む、スキャニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点精度を高めることができるポータブルスキャナ、及びそれを利用したスキャニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dスキャナは、被写体にパターン光を照射し、パターン光が照射された被写体の2次元イメージを撮影して3次元イメージを生成する装置であって、多様な分野に応用、適用されて開発されている。
このような3Dスキャナは、被写体との距離が一定に維持されなければならないので、固定式に製作されていた。
これに伴い、従来の3Dスキャナは、体積が大きくて携帯が不便であるという問題点があった。
一方、携帯用に3Dスキャナを製作する場合、スキャニングの際に被写体から一定に焦点を維持することができないため、精度が低くなるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記のような問題点を勘案してなされたものであって、被写体を設定された焦点距離で一定にスキャニングすることができるポータブルスキャナ、及びそれを利用したスキャニング方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記のような技術的課題を解決するため、本発明の一実施形態に係るポータブルスキャナは、被写体から3次元イメージを生成するポータブルスキャナであって、被写体との設定された焦点距離に対する現在の焦点状態を判断し、使用者が認識できるように出力する焦点状態出力部を含む。
焦点状態出力部は、前記被写体の表面に対して所定の角度で斜めに焦点用光線を照射する第1発光部と、前記被写体に照射された焦点用光線の位置を感知する感知部と、前記被写体の関心領域で感知された焦点用光線の位置に従って設定された焦点距離に対する焦点状態を判断する焦点状態判断部とを含むことができる。
【0005】
焦点状態判断部は、前記被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合に第1焦点状態と判断し、前記被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合に第2焦点状態と判断し、前記被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合に第3焦点状態と判断することができる。
もしくは、焦点状態判断部は、前記被写体との距離が設定された焦点距離と異なる場合に第1焦点状態と判断し、前記被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合に第2焦点状態と判断することができる。
【0006】
焦点状態出力部は、判断された焦点状態を使用者が認識できるよう、前記被写体に可視光線で出力する第2発光部をさらに含むことができる。
第2発光部は、予め設定された文字、記号、または互いに異なる色相の中で少なくとも一つの形態で焦点状態を出力することができる。
ここで、第1発光部から照射される角度、及び感知部で感知する角度は、設定された焦点距離によって調整されてよい。
【0007】
本発明の一実施形態に係るポータブルスキャナは、前記被写体に設定されたパターン光を照射する第3発光部と、前記パターン光が照射された被写体を撮影する撮影部と、前記被写体に対して互いに異なる方向で撮影された複数の2次元イメージデータを利用し、前記被写体の3次元イメージデータを生成する制御部とをさらに含むことができる。
本発明の一実施形態に係るポータブルスキャナは、撮影部によって撮影されるイメージデータを表示する表示部をさらに含むことができる。
前記制御部は、前記撮影部によって撮影されるイメージデータとともに前記焦点状態を表示部に表示するように制御することができ、予め設定された文字、記号、または互いに異なる色相の中で少なくとも一つの形態で前記焦点状態を表示部に表示するように制御することもできる。
【0008】
本発明の一実施形態に係るポータブルスキャナは、前記ポータブルスキャナのボディに着脱可能に結合され、前記ポータブルスキャナを一定の高さで固定させる支持台をさらに含むことができる。支持台は、結合されたポータブルスキャナのボディが上下左右に回転できるようにする回転部を備えることができる。
例えば、被写体は、かつらの製作のために設定されたパターンが形成され、使用者の頭に被せることができるヘッド網であってよい。
【0009】
一方、本発明の他の実施形態に係るスキャニング方法は、被写体との設定された焦点距離に対する現在の焦点状態を判断し、使用者が前記焦点状態を認識できるように前記焦点状態を表す情報を表示部に出力するステップと、前記設定された焦点距離で被写体に対して設定されたパターン光を順次照射しながら、パターン光が照射された被写体を撮影するステップと、被写体に対して互いに異なる方向で前記撮影するステップを繰り返すことによって撮影された複数の2次元イメージデータを利用し、前記被写体の3次元イメージデータを生成するステップとを含む。
前記出力するステップは、前記被写体の表面に対して所定の角度で斜めに焦点用光線を照射するステップと、前記被写体に照射された焦点用光線の位置を感知するステップと、前記被写体の表面に対して斜めに焦点用光線を照射すると前記被写体に照射された焦点用光線の位置が前記第1発光部と前記被写体との距離に応じて変化することを利用して、前記被写体の関心領域で感知された焦点用光線の位置に基づいて、設定された焦点距離に対する焦点状態を判断するステップと判断された焦点状態を使用者が認識できるよう、前記被写体に可視光線で出力するステップとを含む
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、焦点状態を表示して被写体を設定された焦点距離で一定にスキャニングすることができるので、高い精度を維持することができる。
また、スキャナのボディと支持台が分離できるように製作するため、携帯が容易であるという利点がある。
より具体的な本発明の効果は、実施形態を通じて以下で具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るポータブルスキャナを示すブロック図である。
図2】焦点状態を判断する原理を説明するための概念図である。
図3図2に示した第1発光部によって照射された光線を示す例示図である。
図4図2に示した感知部によって感知された光線の位置を示す例示図であって、(a)は、被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合の光線の位置を示し、(b)は、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合の光線の位置を示し、(c)は、被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合の光線の位置を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る3Dスキャニング方法を示すフローチャートである。
図6】焦点状態出力部によって焦点状態を判断する過程を説明するためのフローチャートである。
図7】ポータブルスキャナのボディと支持台を示す例示図である。
図8】ポータブルスキャナが、設定された焦点距離で被写体を撮影した例を示す図である。
図9】ポータブルスキャナが、設定された焦点距離より短い距離で被写体を撮影した例を示す図である。
図10】ポータブルスキャナが、設定された焦点距離より長い距離で被写体を撮影した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、多様な変換を加えることができ、幾多の実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術の範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものとして理解されなければならない。本発明の説明において、関連する公知の技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不明にし得ると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0013】
本出願で用いた用語は、ただ特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。本出願で、『含む』または『有する』などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、または、これらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、または、これらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る実施形態を詳しく説明する。図面を参照して説明するに際して、同一であるか対応する構成要素には同一の図面番号を与え、これに対する重複される説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るポータブルスキャナを示すブロック図である。
図1に示されている通り、本発明に係るポータブルスキャナは、被写体から3次元イメージを生成する装置であって、焦点状態出力部10、第3発光部20、撮影部30、制御部40及び表示部50を含むことができる。
【0015】
先ず、焦点状態出力部10は、被写体との設定された焦点距離(または、焦点距離範囲)に対する現在の焦点状態を判断し、使用者が認識できるように出力する構成である。
焦点状態出力部10は、第1発光部11、感知部13、焦点状態判断部15を含むことができる。第1発光部11は、被写体の表面に対して所定の角度で斜めに焦点用光線を照射する。感知部13は、被写体に照射された焦点用光線の位置を感知する。焦点状態判断部15は、被写体の関心領域で感知された焦点用光線の位置に従って設定された焦点距離に対する焦点状態を判断する。
例えば、焦点状態判断部15は、被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合に第1焦点状態(すなわち、Short状態)と判断し、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合に第2焦点状態(すなわち、正常なFocus状態)と判断し、被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合に第3焦点状態(すなわち、Long状態)と判断することができる。
【0016】
図2図4を利用して、本発明の一実施形態に係る焦点状態出力部10が焦点状態を判断する原理を説明する。図2は、焦点状態を判断する原理を説明するための概念図である。図3は、図2の第1発光部によって照射された光線を示す例示図である。図4は、図2の感知部によって感知された光線の位置を示す例示図であって、(a)は、被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合の光線の位置を示し、(b)は、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合の光線の位置を示し、(c)は、被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合の光線の位置を示す。
【0017】
先ず、図2に示す通り、焦点状態出力部10の第1発光部10が、被写体の表面に対して所定の角度で斜めに焦点用光線Lを照射する。これにより、第1発光部10と被写体の距離に従って被写体に照射される光線の位置が変わるようになる。ここで、第1発光部11と感知部13の姿勢(または角度)は、ポータブルスキャナで設定した焦点距離によって予め調節されてよい。
例えば、図2の(a)に示す通り、被写体の表面が設定された焦点距離より短い距離に位置した場合、焦点用光線は、設定された焦点距離に位置した場合より右側であるA部分に照射される。
また、図2の(b)に示す通り、被写体の表面が設定された焦点距離に位置した場合、焦点用光線は設定されたB部分に照射される。
また、図2の(c)に示す通り、被写体の表面が設定された焦点距離より遠い距離に位置した場合、焦点用光線は、設定された焦点距離に位置した場合より左側であるC部分に照射される。
【0018】
ここで、焦点用光線は、図3に示す通り、撮影しようとする領域(すなわち、表示領域)に対して垂直のレッドラインの形態で被写体に照射されてよい。
一方、感知部13は、被写体に照射された焦点用光線の位置を感知する。このとき、感知されるレッドラインは、図4に示す通り、焦点距離に従って水平位置が変わる。
例えば、図4の(a)に示す通り、被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合、感知されたレッドライン(すなわち、焦点用光線)の位置は、位置判断領域で設定された焦点距離の部分より左側(Short方向)に位置するようになる。また、被写体との距離が短くなるほど、感知されるレッドラインは左側に移動するようになる。
また、図4の(b)に示す通り、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合、感知されたレッドライン(すなわち、焦点用光線)の位置は、位置判断領域で設定された焦点距離の部分に位置するようになる。
また、図4の(c)に示す通り、被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合、感知されたレッドラインの位置は、位置判断領域で設定された焦点距離の部分より右側(Long方向)に位置するようになる。また、被写体との距離が遠くなるほど、感知されるレッドラインは右側に移動するようになる。
【0019】
本実施形態では、被写体との距離が設定された焦点距離より短ければ、レッドラインが左側に移動し、被写体との距離が設定された焦点距離より長ければ、レッドラインが右側に移動するものと説明されたが、これに限定されるものではなく、第1発光部11と感知部13の位置に従って左右方向が変更され得ることが分かるはずである。
このように、焦点状態判断部15は、被写体との距離に従って焦点状態を判断することができる。例えば、第1発光部11は、スキャナのプロジェクターに含まれる構成であってよく、感知部13は、スキャナのカメラに含まれる構成であってよい。
もしくは、他の例として、焦点状態判断部15は、被写体との距離に従って設定された焦点状態であるか否かだけを判断することもできる。例えば、被写体との距離が設定された焦点距離と異なる場合に第1焦点状態と判断し、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合に第2焦点状態と判断することができる。
【0020】
また、焦点状態出力部10は、第2発光部17をさらに含むことができる。第2発光部17は、焦点状態判断部15で判断された焦点状態を使用者が認識できるよう、被写体に可視光線で出力する。
一例として、第2発光部17は、予め設定された文字、記号、または互いに異なる色相の中で少なくとも一つの形態で焦点状態を出力することができる。例えば、被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合、『SHORT』文字を出力し、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合、『FOCUS』文字を出力し、被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合、『LONG』文字を出力することができる。もしくは、被写体との距離が設定された焦点距離より短い場合、赤色(R)の『SHORT』文字を出力し、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合、緑色(G)の『FOCUS』文字を出力し、被写体との距離が設定された焦点距離より長い場合、青色(B)の『LONG』文字を出力することができる。
また他の例として、被写体との距離が設定された焦点距離と異なる場合、『×』記号を出力し、被写体との距離が設定された焦点距離と同じ場合、『○』記号を出力することができる。
【0021】
これに従い、焦点状態出力部10によって焦点状態を表示し、設定された焦点距離で一定に被写体をスキャニングすることができるので、高い精度を維持することができる。特に、複数の2次元イメージデータを合成して一つの3次元イメージデータを生成するスキャナの場合、2次元イメージデータを一定の焦点距離で獲得することができるので、より効果的である。
【0022】
また他の実施形態として、焦点状態出力部10は、他の構成及び他の焦点状態判断の原理を通じて焦点状態を判断することもできる。例えば、TOF(Time of Flight)技法を利用して焦点距離を確認し、焦点状態を判断することができる。一例として、焦点状態出力部10は、近赤外線、超音波、レーザなどの設定された信号を発生させて被写体に出力する信号発生部と、前記被写体から反射して来る信号を感知する感知部と、感知信号の受信時間を利用して設定された焦点距離に対する焦点状態を判断する焦点状態判断部とを備えることができる。
【0023】
次に、再度図1を参考にして、ポータブルスキャナの他の構成を説明する。
第3発光部20は、被写体の3次元イメージを生成するため、被写体に対してN個の設定されたパターン光(例えば、構造化された光線パターン:Structured Light Pattern)を順次照射する構成である。第3発光部20は、一般にポータブルスキャナのプロジェクターになる構成である。
撮影部30は、パターン光が照射された被写体を撮影する構成である。撮影部30は、一般にポータブルスキャナのカメラになる構成である。
制御部40は、焦点状態出力部10、第3発光部20、撮影部30及び表示部50を制御する構成であって、被写体に対して互いに異なる方向(例えば、被写体の前後左右の方向)で撮影された複数の2次元イメージデータを利用することで、被写体の3次元イメージデータを生成する処理部である。ここで、第3発光部20、撮影部30及び制御部40を利用して被写体の3次元イメージデータを生成することは公知の技術なので、詳しい説明を省略する。
また、表示部50は、撮影部によって撮影される2次元イメージデータを表示する構成である。例えば、表示部50は、タッチパネルなどで具現されてよい。
ここで、制御部40は、撮影部30によって撮影される2次元イメージデータとともに焦点状態を表示部50に表示するように制御することができる。また、図示してはいないが、本発明に係るポータブルスキャナは、使用者の操作信号を入力することができる入力部をさらに含むことができる。
【0024】
次に、図8図10を利用して、表示部を通じて被写体のイメージデータとともに焦点状態が表示された例を説明する。図8は、ポータブルスキャナが、設定された焦点距離で被写体を撮影した例を示す図である。図9は、ポータブルスキャナが、設定された焦点距離より短い距離で被写体を撮影した例を示す図である。図10は、ポータブルスキャナが、設定された焦点距離より長い距離で被写体を撮影した例を示す図である。
【0025】
先ず、図8に示す通り、ポータブルスキャナが設定された焦点距離で被写体を撮影した場合、表示部は、表示領域S内に被写体のイメージを表示する。このとき、被写体に照射された焦点用光線Lは、表示領域Sの中で設定された関心領域(region of interest、すなわち、位置判断領域)(図示省略)内の設定された焦点距離の基準線Rと位置が一致するかほぼ近似するようになる。ここで、表示領域Sは、使用者が被写体をカメラの中心部分に位置させるように誘導するための参考になる表示領域である。一方、表示部は、図8の右側の上段部に表示されている数値「156」及び色相ブロック(緑色の□)のように、焦点状態判断部によって判断された現在の焦点状態を数値で表示することもでき、また、現在の焦点状態を色相ブロック(例えば、正常な焦点状態を表す緑色)で表示することもできる。さらに、被写体に表示されている『FOCUS』記号のように、第2発光部17を通じて現在の焦点状態を可視光線で出力することもできる。
【0026】
図9に示す通り、ポータブルスキャナが、設定された焦点距離より短い距離で被写体を撮影した場合、被写体に照射された焦点用光線Lは、表示領域Sの中で設定された関心領域(すなわち、位置判断領域)(図示省略)内の設定された焦点距離の基準線Rより左側に位置するようになる。同様に、表示部は、図9の右側の上段部に表示されている数値「174」及び色相ブロック(赤色の□)のように、焦点状態判断部によって判断された現在の焦点状態を数値で表示することができ、また、現在の焦点状態を色相ブロック(例えば、短い焦点距離の状態を表す赤色)で表示することができる。さらに、被写体に表示されている『SHORT』記号のように、第2発光部17を通じて現在の焦点状態を可視光線で出力することもできる。
【0027】
また、図10に示す通り、ポータブルスキャナが、設定された焦点距離より長い距離で被写体を撮影した場合、被写体に照射された焦点用光線Lは、表示領域Sの中で設定された関心領域(すなわち、位置判断領域)(図示省略)内の設定された焦点距離の基準線Rより右側に位置するようになる。同様に、表示部は、図10の右側の上段部に表示されている数値「156」及び色相ブロック(青色の□)のように、焦点状態判断部によって判断された現在の焦点状態を数値で表示することができ、また、現在の焦点状態を色相ブロック(例えば、長い焦点距離の状態を表す青色)で表示することができる。さらに、被写体に表示されている『LONG』記号のように、第2発光部17を通じて現在の焦点状態を可視光線で出力することもできる。
表示部に表示される焦点状態は、予め設定された文字、記号、または互いに異なる色相などの形態で表示されてよい。
これに従い、使用者が表示部を介して現在の焦点状態を確認し、設定された正確な焦点距離で撮影するように誘導することができる。それだけでなく、使用者は、被写体に照射された焦点状態を表す光線を確認し、優先的に概略的な焦点位置を判断することができる。
【0028】
このような本発明のポータブルスキャナにおいて、第1発光部11、第2発光部17及び第3発光部20は、一つのプロジェクターとして具現されてよい。また、感知部13及び撮影部30は、一つのカメラ部として具現されてよい。また、焦点状態判断部15、制御部40、表示部50及び入力部は、一つのデータ処理装置として具現されてよい。さらに、表示部と入力部はタッチパネルで具現されてよい。
また、本発明に係るポータブルスキャナは、図7に示されている通り、支持台60をさらに含むことができる。支持台60は、ポータブルスキャナのボディ100に着脱可能に結合され、ポータブルスキャナを一定の高さで固定させる。支持台60は、結合されたポータブルスキャナのボディ100が上下左右に回転できるようにする回転部65を備えることができる。これに従い、スキャナのボディと支持台が分離できるように製作することができるため、携帯が容易であるという利点がある。
被写体は、かつらの製作のために設定されたパターンが形成され、使用者の頭に被せることができるヘッド網であってよい。これに従い、本発明に係るポータブルスキャナは、かつらの製作のためのスキャナとして利用されてよい。
【0029】
次に、図5及び図6を利用して、本発明に係る3Dスキャニング方法を説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る3Dスキャニング方法を示すフローチャートである。また、図6は、焦点状態出力部によって焦点状態を判断する過程を説明するためのフローチャートである。
図5に示されている通り、先ず、焦点状態出力部10が、被写体との設定された焦点距離に対する現在の焦点状態を判断し、使用者が認識できるように表示部50に出力する(S10)。次に、第3発光部20が、設定された焦点距離で被写体に対してN個の設定されたパターン光を照射しながら、撮影部30を通じてパターン光が照射された被写体を撮影する(S20)。ステップS10とステップS20を被写体に対して互いに異なる方向で繰り返して行い、撮影された複数の2次元イメージデータを利用して被写体の3次元イメージデータを生成する(S30)。
【0030】
出力するステップ(S10)は、具体的に、図6に示す通りの判断過程を経ることができる。先ず、焦点状態出力部10の第1発光部11が、被写体の表面に対して所定の角度で斜めに焦点用光線を照射する(S11)。次に、焦点状態出力部10の感知部13が被写体に照射された焦点用光線の位置を感知する(S13)。次に、焦点状態出力部10の焦点状態判断部15が、被写体の関心領域で感知された焦点用光線の位置に従って設定された焦点距離に対する焦点状態を判断する(S15)。さらに、判断された焦点状態は、第2発光部17によって使用者が認識できるよう、被写体に可視光線で出力されてよい。
本発明によれば、焦点状態を表示することで、設定された焦点距離で一定に被写体をスキャニングすることができるので、高い精度を維持することができる。
【0031】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で、多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するためではなく説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護の範囲は、以下の特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されなければならないはずである。
図1
図2
図3
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図7
図8
図9
図10