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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】超音波ホーン
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019528526
(86)(22)【出願日】2017-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017062895
(87)【国際公開番号】W WO2018098201
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】15/362,366
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ツァン・ファジアン
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-109618(JP,A)
【文献】特表2000-508957(JP,A)
【文献】特開2005-137481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の応答パラメータを有する超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置であって、前記複数の応答パラメータのうちの少なくとも1つの大きさを調整するように選択された位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーン。
【請求項2】
前記円筒体が、前記第1の円筒部において前記ホーンの周りに配設されている、請求項1に記載の超音波ホーン。
【請求項3】
前記円筒体が、前記第1の円筒部の遠位部分において前記ホーンの周りに配設されている、請求項2に記載の超音波ホーン。
【請求項4】
前記円筒体が、前記テーパ部において前記ホーンの周りに配設されている、請求項1に記載の超音波ホーン。
【請求項5】
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含み、
前記円筒体が、前記第2の円筒部において前記ホーンの周りに配設されている、超音波ホーン。
【請求項6】
前記円筒体が、前記第2の円筒部の近位部分において前記ホーンの周りに配設されている、請求項5に記載の超音波ホーン。
【請求項7】
前記テーパ部が、第1の曲率半径を有する第1のテーパ部と、第2の曲率半径を有する第2のテーパ部とを含む、請求項1に記載の超音波ホーン。
【請求項8】
前記第1の曲率半径が、前記第2の曲率半径と等しい、請求項7に記載の超音波ホーン。
【請求項9】
前記第1の曲率半径が、前記第2の曲率半径と異なる、請求項7に記載の超音波ホーン。
【請求項10】
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含み、
前記テーパ部が、第1の曲率半径を有する第1のテーパ部と、第2の曲率半径を有する第2のテーパ部とを含み、
前記テーパ部が、前記第1のテーパ部と前記第2のテーパ部との間の位置に配設された平坦部を更に含む、超音波ホーン。
【請求項11】
前記円筒体が、前記第1のテーパ部と前記第2のテーパ部との間の位置に配設されている、請求項7に記載の超音波ホーン。
【請求項12】
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含み、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された第2の円筒体を更に含む、超音波ホーン。
【請求項13】
超音波システムであって、
エンドベルと、
複数の応答パラメータを有する超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置であって、前記複数の応答パラメータのうちの少なくとも1つの大きさを調整するように選択された位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーンと、
前記エンドベルと前記超音波ホーンとの間に配設されたトランスデューサ部と、
前記トランスデューサ部を作動させるために、所定の周波数成分を有する電気信号を供給するように構成された超音波電源と、
を含む、超音波システム。
【請求項14】
超音波システムであって、
エンドベルと、
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーンと、
前記エンドベルと前記超音波ホーンとの間に配設されたトランスデューサ部と、
前記トランスデューサ部を作動させるために、所定の周波数成分を有する電気信号を供給するように構成された超音波電源と、
を含み、
前記円筒体が、前記電気信号に対する前記トランスデューサ部のインピーダンスを最小化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、超音波システム。
【請求項15】
超音波システムであって、
エンドベルと、
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーンと、
前記エンドベルと前記超音波ホーンとの間に配設されたトランスデューサ部と、
前記トランスデューサ部を作動させるために、所定の周波数成分を有する電気信号を供給するように構成された超音波電源と、
を含み、
前記円筒体が、前記電気信号に対する前記トランスデューサ部の位相余裕を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、超音波システム。
【請求項16】
超音波システムであって、
エンドベルと、
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーンと、
前記エンドベルと前記超音波ホーンとの間に配設されたトランスデューサ部と、
前記トランスデューサ部を作動させるために、所定の周波数成分を有する電気信号を供給するように構成された超音波電源と、
を含み、
前記円筒体が、前記超音波システムの機械的特性を最適化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、超音波システム。
【請求項17】
前記円筒体が、前記電気信号による前記トランスデューサ部の作動時に前記第2の円筒部の前記遠位端の変位を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項18】
前記円筒体が、前記電気信号による前記トランスデューサ部の作動時に前記第2の円筒部の前記遠位端の変位と前記トランスデューサ部の変位との比を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項19】
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含み、
前記円筒体が、超音波振動を生成するトランスデューサ部のインピーダンスを最小化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、超音波ホーン。
【請求項20】
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含み、
前記円筒体が、超音波振動を生成するトランスデューサ部の位相余裕を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、超音波ホーン。
【請求項21】
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含み、
前記円筒体が、前記超音波ホーンの機械的特性を最適化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、超音波ホーン。
【請求項22】
前記円筒体が、超音波振動を生成するトランスデューサ部の作動時に前記第2の円筒部の前記遠位端の変位を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、請求項21に記載の超音波ホーン。
【請求項23】
前記円筒体が、超音波振動を生成するトランスデューサ部の作動時に前記第2の円筒部の前記遠位端の変位と前記トランスデューサ部の変位との比を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、請求項21に記載の超音波ホーン。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般に、超音波手術器具に関し、より詳細には、超音波ブレードを駆動する超音波トランスデューサに関する。中空コア器具及び中実コア器具の両方を含めた超音波器具が、多くの医学的状態の安全かつ有効な処置のために使用されている。超音波器具、特に中実コアの超音波器具は、超音波周波数で外科用エンドエフェクタに伝達される機械的振動形態のエネルギーを使用して、有機組織を切断及び/又は凝固するのに使用され得るため、有利である。超音波振動は、適切なエンドエフェクタを使用して適切なエネルギーレベルで有機組織に伝達されるときには、組織を切断し、解離し、持ち上げ、若しくは焼灼し、又は筋肉組織を骨から引き離すために使用することができる。中実コアテクノロジーを利用する超音波器具は、超音波トランスデューサから導波管を通って外科用エンドエフェクタに伝達され得る超音波エネルギー量に起因して特に有利である。このような器具は、観血的処置、又は内視鏡的若しくは腹腔鏡的処置などの低侵襲処置に使用することができ、エンドエフェクタは、手術部位に到達するようにトロカール内に通される。
【0002】
そのような器具のエンドエフェクタ(例えば、切断ブレード)を超音波周波数で始動又は励磁(exciting)させると、隣接組織内に局所的な熱を発生する長手方向の振動運動が誘発される。超音波器具の性質ゆえに、超音波によって作動される特定のエンドエフェクタは、例えば、切断及び凝固を含めた多数の機能を果たすように設計することができる。超音波振動は、例えば、トランスデューサを電気で励磁することによって、外科用エンドエフェクタに引き起こされる。トランスデューサは、器具ハンドピース内1つ又は2つ以上の圧電又は磁気歪素子から構成され得る。トランスデューサによって生成された振動は、トランスデューサから外科用エンドエフェクタまで延在する超音波導波管を介して、外科用エンドエフェクタに伝達される。導波路及びエンドエフェクタは、トランスデューサと同一周波数で共振するように設計されている。したがって、エンドエフェクタがトランスデューサに取り付けられると、全システムの周波数はトランスデューサそれ自体と同一の周波数になる。
【0003】
エンドエフェクタの先端における長手方向の超音波振動の振幅dは、共振周波数では次に与えられるように単一シヌソイドとして挙動する。
d=Asin(ωt)
式中、
ω=周期的振動数fの2π倍に等しい角振動数、及び
A=片振幅
エンドエフェクタ先端の長手方向の振動幅(excursion)は、両振幅(peak-to-peak、p-t-p)として定義され、正弦波の振幅のちょうど2倍又は2Aである。多くの場合、エンドエフェクタはブレードを含み、このブレードは、長手方向の振動幅により組織を切断及び/又は凝固することができる。米国特許第6,283,981号(2001年9月4日発行、発明の名称「METHOD OF BALANCING ASYMMETRIC ULTRASONIC SURGICAL BLADES」)、米国特許第6,309,400号(2001年10月30日発行、発明の名称「CURVED ULTRASONIC BLADE HAVING A TRAPEZOIDAL CROSS SECTION」)、及び米国特許第6,436,115号(2002年8月20日発行、発明の名称「BALANCED ULTRASONIC BLADE INCLUDING A PLURALITY OF BALANCE ASYMMETRIES」)は、様々な超音波手術器具を開示しており、参照によりその全体の開示が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波手術器具の有効性は、エンドエフェクタ先端部の長手方向の偏位量に部分的に関連し得ると認識することができる。大きな長手方向可動域が可能なエンドエフェクタ先端部を有する超音波手術器具は、外科手術中に、より多くの作業を達成することができる。したがって、エンドエフェクタ先端部の潜在的可動域を最大化する超音波手術器具の構成要素を設計することが有用であり得る。更に、超音波手術器具トランスデューサに電力を供給するために使用されるエネルギー源によって生成される駆動周波数にいくらかの誤差が存在し得るため、周波数誤差に対するデバイスの許容量を高めることができる超音波手術器具のコンポーネントを設計することも有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般的な一態様において、様々な態様は、外科用ツールの長手方向軸に沿って所定の周波数で振動を生成するように構成されたトランスデューサを含む超音波手術器具を対象とする。様々な態様において、外科用ツールは、長手方向軸に沿って延在し、かつトランスデューサに連結されている、超音波ブレードを含むことができる。様々な態様において、外科用ツールは、近位端及び遠位端を有する本体を含み、遠位端は、トランスデューサによって生成された振動によって長手方向軸に対して移動可能であり、近位端は、トランスデューサに機械的に連結されている。
【0006】
一般的な一態様では、超音波手術器具は、近位フランジと、第1の直径を有し、近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、第2の円筒部が、第1の円筒部の遠位の位置にあり、第2の直径が第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、第1円筒部と第2円筒部との間に配設されたテーパ部と、フランジと第2の円筒部の遠位端との間の位置において、ホーンの周りに配設された円筒体と、を含む、超音波ホーンを含むことができる。
【0007】
1つの一般的な態様では、超音波システムは、エンドベルと、超音波ホーンであって、近位フランジと、第1の直径を有し、近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、第2の円筒部が、第1の円筒部の遠位の位置にあり、第2の直径が第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、第1の円筒部と第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、フランジと第2の円筒部の遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、を含む、超音波ホーンと、エンドベルと超音波ホーンとの間に配設されたトランスデューサ部と、トランスデューサ部を作動させるために、所定の周波数成分を有する電気信号を供給するように構成された超音波電源と、を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
様々な態様の特徴が、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。ただし、機構、及び動作の方法の両方についての様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併用しながら、以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
図1】超音波手術器具システムの一態様を示す図である。
図2A】超音波トランスデューサの態様を示す図である。
図2B】超音波トランスデューサの態様を示す図である。
図2C】超音波トランスデューサの態様を示す図である。
図2D】超音波トランスデューサの態様を示す図である。
図3】超音波トランスデューサの形状及び/又はジオメトリーが、超音波トランスデューサの部分の軸方向変位の振幅に及ぼす影響の態様を示す図である。
図4】超音波トランスデューサの形状及び/又はジオメトリーが、超音波トランスデューサの部分の軸方向変位の振幅に及ぼす影響の態様を示す図である。
図5】超音波トランスデューサの形状及び/又はジオメトリーが、超音波トランスデューサの部分の軸方向変位の振幅に及ぼす影響の態様を示す図である。
図6】超音波トランスデューサの形状及び/又はジオメトリーが、超音波トランスデューサの部分の軸方向変位の振幅に及ぼす影響の態様を示す図である。
図7】超音波トランスデューサの形状及び/又はジオメトリーが、超音波トランスデューサの部分の軸方向変位の振幅に及ぼす影響の態様を示す図である。
図8】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図9】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図10】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図11】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図12】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図13】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図14】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図15】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図16】超音波トランスデューサホーンの態様の構成要素が、超音波トランスデューサの位相余裕、変位、及びインピーダンスに及ぼす影響を示すグラフである。
図17】超音波トランスデューサホーンの一態様を示す図である。
図18図17に示す超音波トランスデューサホーンの態様のインピーダンス対周波数のグラフである。
図19】超音波トランスデューサホーンの第2の態様を示す図である。
図20図19に示す超音波トランスデューサホーンの態様のインピーダンス対周波数のグラフである。
図21】超音波トランスデューサホーンの第3の態様を示す図である。
図22図21に示す超音波トランスデューサホーンの態様のインピーダンス対周波数グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
様々な態様を詳細に説明する前に、かかる態様は、それらの応用又は利用の際に、添付図面及び明細書に例示される部品の構造及び配置の詳細には限定されないことに留意すべきである。例示的な態様は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。例えば、以下に開示する手術器具は、単に例示のためのものであり、それらの範囲又は応用を限定することを意味しない。更に、特に指示されない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な態様を説明する目的で選択されており、それらの態様の範囲を限定するためのものではない。
【0010】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な態様を説明する。これらの態様の1つ又は2つ以上の例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書に具体的に記載され、添付図面に例示される装置及び方法が、非限定的な例示的な態様であり、様々な態様の範囲が請求項によってのみ規定されることを理解するであろう。1つの例示的な態様に関連して例示又は説明される特徴は、他の態様の特徴と組み合わせることができる。このような修正及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0011】
本明細書に記載された様々な態様は、一般に、超音波手術器具、及びそれと共に使用するためのブレードに関する。超音波手術器具及びブレードの例は、米国特許第5,322,055号、同第5,954,736号、同第6,309,400号、同第6,278,218号、同第6,283,981号、同第6,325,811号、及び同第8,319,400号に開示されており、それらの全体的な開示が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「位相余裕」(PM)は、反共振周波数(f)と圧電トランスデューサの共振周波数(f)との間の周波数の差である。1つの非限定的な例では、fは、圧電トランスデューサのインピーダンス対周波数のグラフのトラフにおける周波数として決定され得る。同様に、fは、圧電トランスデューサのインピーダンス対周波数のグラフのピークにおける周波数として決定することができる。したがって、PMは、圧電トランスデューサのf-fに等しい。
【0013】
本明細書で使用するとき、略称「OD」は、超音波トランスデューサの構成要素の外径である。より具体的には、ODは、超音波トランスデューサの超音波ホーンに関連するリング又は円筒体の外径を指し得る。
【0014】
様々な態様によれば、ブレードなどのエンドエフェクタを有する外科ツールを含む超音波器具は、それが、出血を制御しながら、皮質骨及び/又は組織を除去することが望ましい整形外科手技において、とりわけ、特別な利益であり得る。その切断特性及び凝固特性に起因して、超音波手術器具のブレードは、一般的な軟組織の切断及び凝固に有用であり得る。ある特定の状況では、様々な態様に従うブレードは、組織の切断及び止血封止、又は焼灼を同時に行うのに有用であり得る。ブレードは、真直ぐであっても又は曲がっていてもよく、開腹用途又は腹腔鏡用途のいずれにも有用であり得る。様々な態様に基づくブレードは、脊椎手術において、特に骨から筋肉を除去する際の後部からのアクセスの支援に、有用であり得る。
【0015】
図1は、超音波システム10の一態様を示す。超音波システム10の一態様は、超音波トランスデューサ14に連結された超音波信号発生器12と、ハンドピースハウジング16を含むハンドピースアセンブリ60と、エンドエフェクタ50と、を含む。「ランジュヴァンスタック」として知られている超音波トランスデューサ14は、一般に、変換部18と、第1の共振器又はエンドベル20と、第2の共振器又はフォアベル22と、補助構成要素と、を含む。様々な態様では、超音波トランスデューサ14は、以下により詳細に説明するように、好ましくは、長さが1つのシステム半波長の整数倍(nλ/2)である。音響アセンブリ24は、超音波トランスデューサ14と、マウント26と、速度トランスフォーマ28と、表面30と、を含むことができる。
【0016】
本明細書では、用語「近位」及び「遠位」は、ハンドピースアセンブリ60を握っている臨床医に対して使用されることが理解されよう。このため、エンドエフェクタ50は、より近位側のハンドピースアセンブリ60に対して遠位側にある。便宜上及び明瞭さのため、「上部」及び「下部」のような空間的用語もまた、本明細書では、ハンドピースアセンブリ60を把持する臨床医に対して使用されることが更に理解されよう。しかしながら、手術器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0017】
エンドベル20の遠位端は、変換部18の近位端に接続され、フォアベル22の近位端は、変換部18の遠位端に接続されている。フォアベル22及びエンドベル20は、多くの変数によって決定される長さを有し、それらの変数には、変換部18の厚さ、エンドベル20及びフォアベル22を製造するのに使用される材料の密度及び弾性率、並びに超音波トランスデューサ14の共振周波数が含まれる。フォアベル22は、速度トランスフォーマ28の超音波振動の振幅を増幅するため、その近位端からその遠位端まで内向きにテーパ状であってもよく、あるいは、フォアベル22は、増幅を有さなくてもよい。
【0018】
図1を再度参照すると、エンドベル20は、そこから延びるねじ付き部材を含むことができ、このねじ付き部材は、フォアベル22のねじ山付き開口と螺合可能に係合するように構成することができる。様々な態様では、圧電素子32などの圧電素子は、例えば、エンドベル20及びフォアベル22が一緒に組み立てられるとき、エンドベル20とフォアベル22との間で圧縮され得る。エンドベル20とフォアベル22との間の圧電素子32の適切な圧縮は、圧電素子32とフォアベル22との間の良好な機械的結合を確保するために有用であり得ると認識することができる。良好な機械的結合は、電界によって圧電素子32内で誘起された運動の、超音波システム10の遠位構成要素への伝達を最適化することができる。いくつかの態様では、適切な圧縮は、変換部18の製造中にフォアベル22に適用されるトルク付与ツール(トルクレンチなど)の使用によって達成され得る。圧電素子32は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、チタン酸鉛、及び/又は、例えば任意の好適な圧電性結晶又はセラミック材料などの任意の好適な材料から作製されてもよい。
【0019】
様々な態様では、以下に更に詳細に考察されるように、トランスデューサ14は、正電極34及び負電極36などの電極を更に含むことができ、例えば、これらの電極は、1つ以上の圧電素子32の両端間で電位を生成するように構成され得る。正電極34、負電極36、及び圧電素子32のそれぞれは、中心を通る穴を含むことができ、この穴は、エンドベル20のねじ付き部材を受容するように構成され得る。様々な態様では、正電極34及び負電極36は、ワイヤ38及び40とそれぞれ電気的に連結され、ワイヤ38及び40は、ケーブル42内に入れられ、超音波システム10の超音波信号発生器12と電気的に接続可能とすることができる。
【0020】
様々な態様では、音響アセンブリ24の超音波トランスデューサ14は、超音波信号発生器12からの電気信号を機械的エネルギーに変換し、この機械的エネルギーは、超音波周波数において、超音波トランスデューサ24及びエンドエフェクタ50の主に長手方向の振動運動をもたらす。好適な発生器は、Ethicon Endo-Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)から、モデル番号GEN11として入手可能である。音響アセンブリ24が通電されると、振動運動定在波が、音響アセンブリ24を通して発生する。好適な振動周波数範囲は、約20Hz~120kHzとし、適切な振動周波数範囲は、約30kHz~70kHzとし、動作振動周波数の1つの例は、約50kHzとすることができる。
【0021】
音響アセンブリ24に沿った任意の点での振動運動の振幅は、音響アセンブリ24に沿った振動運動が測定される位置に依存し得る。振動運動定在波において、最小又はゼロの交差は、一般的に波節(即ち、運動が通常は最小の場所)と呼ばれ、定在波において、最大絶対値(absolute value maximum)又はピークは、一般的に波腹(即ち、運動が通常は最大の場所)と呼ばれる。波腹点とそれに最も近い波節点との間の距離は4分の1波長(λ/4)である。
【0022】
ワイヤ38及び40は、超音波信号発生器12から正電極34及び負電極36に電気信号を送信する。圧電素子32は、例えば、音響アセンブリ24において音響定在波を生成するためのフットスイッチ44に応答して、超音波信号発生器12から供給される電気信号によって通電される。電気信号により、結果的に材料内の大きな圧縮力となる繰り返し小変位の形態で、圧電素子32に擾乱が生じる。繰り返される小さな変位は、圧電素子32を電圧勾配の軸に沿って連続的に膨張及び収縮させ、超音波エネルギーの長手方向の波を生成する。
【0023】
様々な態様では、トランスデューサ14により生成された超音波エネルギーは、超音波伝達導波管46を介してエンドエフェクタ50に音響アセンブリ24を通って伝達され得る。音響アセンブリ24がエンドエフェクタ50にエネルギーを供給するために、音響アセンブリ24の構成要素が、エンドエフェクタ50に音響的に連結される。例えば、超音波トランスデューサ14の遠位端は、表面30において超音波伝達導波管46の近位端に、スタッド48のようなねじ接続により音響的に連結されてもよい。
【0024】
音響アセンブリ24の構成要素は、いずれのアセンブリの長さも1つの半波長の整数倍(nλ/2)となるように音響的に調整され得、式中、波長λは、音響アセンブリ24の予め選択された波長、又は動作する長手方向振動駆動周波数fであり、nは、任意の正の整数である。また、音響アセンブリ24は、音響素子の任意の好適な配列を組み込み得ることも想到される。
【0025】
超音波エンドエフェクタ50は、1つのシステム半波長(λ/2)の整数倍に実質的に等しい長さを有することができる。超音波エンドエフェクタ50の遠位端52は、遠位端の最大又は少なくともほぼ最大の長手方向可動域を提供するために、波腹又は少なくともその近くに配設されてもよい。トランスデューサアセンブリが通電されるとき、様々な態様では、エンドエフェクタ50の遠位端52は、例えば、所定の振動周波数において、約10~500マイクロメートルの全振幅の範囲、及び好ましくは約30~150マイクロメートルの範囲で動くように構成されてもよい。
【0026】
上記に概略されているように、超音波エンドエフェクタ50は、超音波伝達導波管46に連結されてもよい。様々な態様では、図示されるような超音波エンドエフェクタ50及び超音波伝達ガイド46は、例えば、Ti6Al4V(アルミニウム及びバナジウムを含むチタン合金)、アルミニウム、ステンレス鋼、及び/又は任意の他の好適な材料などの、超音波エネルギーの伝達に適した材料による単一ユニット構造として形成される。あるいは、超音波エンドエフェクタ50は、超音波伝達導波管46から分離可能(及び異なる組成物のもの)であってもよく、例えば、鋲、溶接、接着剤、急速継手、又は他の適切な既知の方法により連結されてもよい。超音波伝達導波管46は、例えば、1つのシステム半波長(λ/2)の整数倍に実質的に等しい長さを有してもよい。超音波伝送導波路46は、好ましくは、例えば、チタン合金(即ち、Ti6Al4V)又はアルミニウム合金など、超音波エネルギーを効率的に伝搬する材料から構成された中実コア軸から作製されてもよい。
【0027】
図1に示す態様では、超音波伝達導波管46は、複数の波節又は少なくともその近くに配置される、複数の安定化シリコーンリング又は適合支持体56を含む。シリコーンリング56は、望ましくない振動を減衰し、かつ導波管46を少なくとも部分的に囲むシース58から超音波エネルギーを隔離することによって、超音波エネルギーがエンドエフェクタ50の遠位端52まで長手方向に最大効率で確実に流すことができる。
【0028】
図1に示すように、シース58は、ハンドピースアセンブリ60の遠位端に連結され得る。シース58は、一般的に、アダプタ又はノーズコーン62と、細長管状部材64と、を含む。管状部材64は、アダプタ62に取り付けられ、及び/又はアダプタから延在し、アダプタを長手方向に延びる開口部を有する。様々な態様では、シース58は、ハウジング16の遠位端に螺合されてもよく、又はスナップ嵌めされてもよい。少なくとも一態様では、超音波伝達導波管46は、管状部材64の開口部を通って延在し、シリコーンリング56は、開口部の側壁と接触し、内部で超音波伝達導波管46を隔離することができる。様々な態様では、シース58のアダプタ62は、例えば、Ultem(登録商標)から構成されるのが好ましく、管状部材64は、例えば、ステンレス鋼から製造される。少なくとも1つの態様では、超音波伝達導波管46は、例えば、その超音波伝達導波管を外部接触から分離するために、これを取り囲む高分子材料を有してもよい。
【0029】
上述のように、電圧源、又は電力源は、トランスデューサの圧電素子の1つ以上と動作可能に連結することができ、圧電素子のそれぞれに印加される電圧ポテンシャルによって、圧電素子を長手方向に膨張及び収縮、又は振動させることができる。また、上述のように、電位は周期的であり得、様々な態様では、電位は、例えば、トランスデューサ14、導波管46、及びエンドエフェクタ50を含む構成要素のシステムの共振周波数と同じか、又はほぼ同じ周波数で繰り返すことができる。しかしながら、様々な態様では、トランスデューサ内のある特定の圧電素子が、トランスデューサ内の他の圧電素子よりも、長手方向振動の定在波に対してより大きく寄与する場合がある。より詳細には、長手方向の変位を制御、又は制限することができる長手方向のひずみプロファイルが、トランスデューサ内で生じることができ、そうして、特にシステムが共振周波数で又はその近くで振動する場合に、圧電素子の一部は、振動の定在波に寄与することができる。
【0030】
上述のように、電圧源、又は電力源は、トランスデューサの圧電素子の1つ以上と動作可能に連結することができ、圧電素子のそれぞれに印加される電圧ポテンシャルによって、圧電素子を長手方向に膨張及び収縮、又は振動させることができる。また、上述のように、電位は周期的であり得、様々な態様では、電位は、例えば、トランスデューサ14、導波管46、及びエンドエフェクタ50を含む構成要素のシステムの共振周波数と同じか、又はほぼ同じ周波数で繰り返すことができる。しかしながら、様々な態様では、トランスデューサ内のある特定の圧電素子が、トランスデューサ内の他の圧電素子よりも、長手方向振動の定在波に対してより大きく寄与する場合がある。より詳細には、長手方向の変位を制御、又は制限することができる長手方向のひずみプロファイルが、トランスデューサ内で生じ得、そうして、特にシステムが共振周波数で又はその近くで振動する場合に、圧電素子の一部は、振動の定在波に寄与することができる。
【0031】
図1の超音波手術器具システム10を参照すると、複数の構成要素が、導波管46を通る圧電素子32からの機械的振動をエンドエフェクタ50に連結させる必要があり得ると理解することができる。音響アセンブリ24を含む追加の素子により、追加の製造コスト、製造工程、及びシステムに対する複雑さが加わる可能性がある。図1に例示及び上述された同等の装置よりも、構成要素、製造工程、及びコストが少なくて済み得る超音波医療装置の態様が、以下に開示されている。
【0032】
再び図1を参照すると、圧電素子32は、「ランジュバン」スタック中に構成され、その中で、圧電素子32及びそれらの活性化電極34及び36(共に、トランスデューサ14)が交互配置されている。起動された圧電素子32の機械的振動は、トランスデューサ14の長手方向軸に沿って伝搬し、音響アセンブリ24を介して導波管46の端部に連結されている。超音波手術器具システム10で使用され得る圧電素子32の例としては、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、又はチタン酸鉛を含むセラミック圧電素子を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0033】
超音波トランスデューサ14の効率は、圧電素子32を所定の周波数で駆動するために使用される電力量を最大化することと、規定の作動周波数における所定量の電力で圧電素子32の物理的変位量を最大化することとに関連付けられ得る。
【0034】
電力は、超音波トランスデューサ14のインピーダンスが最小である波節又は共振周波数(f)の周波数又はその近くの周波数で圧電素子32を動作させることによって最大化され得る。超音波トランスデューサ14のインピーダンスが最大である波腹又は反共振周波数(f)の周波数又はその近くの周波数で圧電素子32を動作させるために、最小量の電力が必要とされ得る。いくつかの超音波トランスデューサでは、位相余裕(f-f)は、波節共振周波数に対して非常に小さくてもよく、例えば約0.6%であってもよい。いくつかの誤差又は偏差が、超音波信号発生器12によって供給される信号の周波数で発生し得ると認識することができる。そのような周波数誤差は、共振周波数(最小インピーダンス)から逸脱し、反共振周波数(最大インピーダンス)に近づく超音波信号をもたらし得る。したがって、超音波信号発生器12における周波数誤差の可能な影響を最小限に抑えるために、最適化された超音波トランスデューサ14は、最大位相余裕を有するように設計されてもよい。
【0035】
圧電誘導超音波振動の振幅は、超音波トランスデューサの形状、ジオメトリー、及び材料密度によって増幅され得ることも認識される。したがって、超音波トランスデューサの形状及び/又はジオメトリーを変更することによって、トランスデューサは、それに取り付けられたエンドエフェクタの変位を最大化するように作製され得る。
【0036】
以下に開示されるのは、インピーダンス特性を最適化し、超音波トランスデューサの変位を最大化し得る超音波トランスデューサのフォアベル又はホーンの例である。
【0037】
図2Aは、超音波トランスデューサ14の一般的な態様を示す。図1に関して上述したように、超音波トランスデューサ14は、エンドベル20と、フォアベル又はホーン22と、両者間の変換部18と、を含む。変換部18は、1つ以上の圧電素子32を含み得る。超音波トランスデューサ14は、例えば、圧電素子32をエンドベル20のねじ付き軸部に配置し、エンドベル20のねじ付き軸部をフォアベル又はホーン22の嵌合ねじ付き部分にねじ込むことによって組み立てられてもよい。
【0038】
フォアベル又はホーン22は、多数の構成要素を含んでもよい。近位フランジ210を使用して圧電素子32を固定することができる。第1の円筒部220は、第1の直径を有してもよく、近位フランジ210の遠位に配置されてもよい。第2の円筒部230は、第2の直径及び遠位端を有してもよい。第2の円筒部230は、第1の円筒部210の遠位の位置に配置されてもよい。いくつかの非限定的な例では、第2の直径は、第1の直径よりも小さくてもよい。フォアベル又はホーン22はまた、第1の円筒部220と第2の円筒部230との間に配設されたテーパ部240を含んでもよい。いくつかの非限定的な例では、テーパ部240は、複数のテーパ部242、244を含んでもよい。複数のテーパ部242、244はそれぞれ、曲率半径を有してもよい。いくつかの非限定的な例では、複数のテーパ部242、244の曲率半径はそれぞれ同じであってもよい。他の非限定的な実施例では、複数のテーパ部242、244のうちの1つの曲率半径は、異なるテーパ部の曲率半径と異なってもよい。図2には2つのテーパ部242、244のみが示されているが、テーパ部240は、3つ、4つ、又はそれ以上の個別のテーパ部を含んでもよいことが認識され得る。いくつかの非限定的な実施例では、テーパ部は、例えば、第1のテーパ部242と第2のテーパ部244との間の2つの連続するテーパ部間の位置に配設された平坦部を更に備えてもよい。
【0039】
更に、フォアベル又はホーン22は、フランジ210と第2の円筒部230の遠位端との間の位置に、ホーン22の周りに配設された円筒体260を含んでもよい。円筒体260は、リング又は円筒の形態をとってもよい。リング形状は、円板状リング又は複数の平坦又は湾曲した縁部を有する多面体リングであってもよいことが理解され得る。いくつかの非限定的な例では、円筒体260は、第1の円筒部220においてホーンの周りに配設されてもよい。例えば、円筒体260は、第1の円筒部220の遠位部分においてホーン22の周りに配設されてもよい。別の非限定的な例では、円筒体260は、テーパ部240においてホーン22の周りに配設されてもよい。複数のテーパ部242、244を含むホーン22では、円筒体260は、例えば、第1のテーパ部242と第2のテーパ部244との間の連続するテーパ部の間の位置に配設されてもよい。いくつかの非限定的な例では、円筒体260は、第2の円筒部230においてホーン22の周りに配設されてもよい。例えば、円筒体260は、第2の円筒部230の近位部分においてホーン22の周りに配設されてもよい。単一の円筒体260のみが上記に開示され、例えば図2に例示されているが、第2の円筒体などの任意の数の円筒体が、フランジ210と第2の円筒部230の遠位端との間のホーン22の周りに配設されてもよいことが理解され得る。
【0040】
図2B~2Dは、ホーンの異なる実施例を示し、特に第1のテーパ部242a~cの違いを示す。図2Aは、オーバーレイとして示される第1のテーパ部242のいくつかの構成を示す。図2B図2Dは、図2Aに示す構成のそれぞれの別個の図である。
【0041】
上述のように、超音波ホーンの形状/サイズ及びジオメトリーは、超音波トランスデューサの変位、及びそれに取り付けられた任意のエンドエフェクタの変位におけるゲインを誘起することができる。図3~7は、グラフ上に重ねられた様々な超音波ホーンの例であり、ホーンが取り付けられる超音波トランスデューサの構成要素の軸方向変位(量及び位相)のシミュレーションを示す。以下の表1は、図3~7に示すようなシミュレーション条件及びいくつかの例示的な結果に加えて、超音波ホーンの実施例の説明を開示する。
【0042】
【表1】
【0043】
上述のように、PM(位相余裕)は、共振防止周波数(f)と反共振周波数(f)との間の周波数の差として定義される。圧電ディスクの圧電結合係数(K)は、セラミック素子が分極される方向に平行な電界と、偏光方向に対して半径方向の振動を生じる機械的作用との間の結合を表す。近似値として、圧電ディスクのKは、以下のように記載することができる。
【0044】
【数1】
式中、fは反共振周波数であり、fは共振周波数である。位相余裕(PM=f-f)が反共振周波数に対して小さい場合、累乗根における第2の項は第1の項に対して小さくなり、位相余裕と結合係数との間の関係は、次のように表され得る。
【0045】
【数2】
【0046】
表1の変位は、超音波トランスデューサの端部における軸方向変位に対応する。表1のインピーダンスは、シミュレーションが、表示されるような共振周波数Vp-p及び電流で実行されたときの超音波トランスデューサのインピーダンスである。機械的品質係数Qは、以下のようにインピーダンス対周波数グラフから計算することができる。
【0047】
【数3】
ここで、2Δfは、fにおける最小インピーダンス値の
【0048】
【数4】
倍の全幅である。例示的なインピーダンス対周波数グラフを図17~19に示す。
【0049】
図3は、超音波トランスデューサ500の一部の軸方向変位の量を示す変位量グラフ300と、超音波トランスデューサ500の一部の軸方向変位の位相を示す変位位相グラフ400と、に重ねられた超音波トランスデューサ500の物理的表示を示す。図3に示されるグラフの横座標(トランスデューサの尾部517からの距離(mm))は、超音波トランスデューサ500、変位量グラフ300、及び変位位相グラフ400の表現に等しく適用される。グラフの左縦座標は、軸方向変位の量(μm)に関連し、グラフの右縦座標は、軸方向変位の位相(度)に関連する。変位量グラフ300及び変位位相グラフ400は、表1に示すように、共振周波数50,678HzにおけるVp-p(27V)及び電流(175.8mA)の入力パラメータを有する超音波トランスデューサ500のジオメトリーのシミュレーションから導出された。
【0050】
超音波トランスデューサ500は、尾部517と、変換部518と、超音波ホーンと、を含む。変位量グラフ300及び変位位相グラフ400に示されるシミュレーションの目的のために、試験負荷550部分は、超音波ホーンの遠位端535で超音波ホーンに取り付けられる。試験負荷550は、圧電トランスデューサの起動中の超音波トランスデューサ500の挙動の導波管及びエンドエフェクタに及ぼす効果をシミュレートするために使用され得る。変換部518は、1つ以上の圧電トランスデューサを含み、それに取り付けられた構成要素を機械的に作動させることができる。超音波ホーンは、フランジ510、第1の円筒部520、テーパ部540、及び第2の円筒部530を含む。超音波ホーンは、フランジ510から遠位端535まで延在する。テーパ部540は、第1のテーパ部542と、第2のテーパ部544と、第1のテーパ部542と第2のテーパ部544との間に配設された平坦部546と、を更に不含む。
【0051】
図3に示される超音波ホーンは、ホーンの周りに配設されたリング又は他の円筒体を含まず、超音波ホーンの代替的ジオメトリーと機能的に比較され得る基準構成として解釈することができる。いくつかの態様では、図3に示される超音波ホーンは、第1の円筒部520と関連付けられたトルク特徴部525を含み得る。かかるトルク特徴部525は、トルクレンチなどのトルク付与ツールに解放可能に係合するために使用されて、ホーンが変換部518及び尾部517と一緒に組み立てられることを可能にしてもよい。上述したように、製造中のこのようなトルク付与ツールの使用は、変換部518の圧縮を誘発することによって、変換部518の超音波装置の残りの部分への機械的結合を向上させることができる。以下に開示されるように、このようなトルク特徴部525は、超音波ホーンの任意の1つ以上の構成要素に含まれてもよく、又はこれらに組み込まれてもよく、これらの構成要素としては、フランジ510、第1の円筒部520、第2の円筒部530、及び任意の追加のリング又は円筒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
変位位相グラフ400は、試験負荷550を含む超音波トランスデューサ500の長さに沿った軸方向変位の位相を表す。位相は、フランジ510を含む変換部518の長さ(尾部517から、尾部517から約20mmの位置まで)に沿って、及び試験負荷550の遠位セグメントの長さ(尾部517から約82mmの位置から、尾部517から約105mmの試験負荷550の遠位端まで)に沿って、正の値を有してもよい。位相はまた、超音波ホーンの長さ(尾部517から約20mmの位置のフランジ510から、超音波ホーンの遠位端535まで)に沿って、及び試験負荷550の少なくとも一部(尾部517から約60mmの位置から、尾部517から約82mmの位置まで)に沿って、負の値を有してもよい。
【0053】
変位量グラフ300は、試験負荷550を含む超音波トランスデューサ500の長さに沿った軸方向変位の量の絶対値を示す。変位量グラフ300は、ホーンのジオメトリーに部分的に起因し得る超音波トランスデューサ500の軸方向変位の量における機械的ゲインの量を示す。したがって、変換部518の最大変位量は約2.5μmであってもよいが、第2の円筒部530における最大変位量は約16μmであってもよく、試験負荷550の遠位端における最大変位量360は、約17.1μmであってもよい。このようにして、変換部518から試験負荷550の端部までの約6.8の軸方向変位量のゲインを実現することができる。
【0054】
図4~7は、別の超音波トランスデューサ及びそれらに関連するシミュレーションされた軸方向変位量グラフ及び軸方向変位位相グラフの例を示す。別のトランスデューサの多くは、図3に示される超音波トランスデューサ500について上述したものと同一の構成要素を含む。そのような同一の構成要素の例としては、尾部517、変換部518、第1の円筒部520、第2の円筒部530、テーパ部540、第1のテーパ部542、第2のテーパ部544、第2のテーパ部の遠位端535、及び試験負荷550が挙げられるが、これらに限定されない。図4~7の複雑さを低減させるために、同一の構成要素には、同一の参照番号を付す。更に、図4~7に示される、参照番号によって特徴付けられない超音波トランスデューサの構成要素は、図3に示される同様に命名された構成要素及び参照番号を指すと理解され得る。
【0055】
図4は、超音波トランスデューサ501の一部の軸方向変位の量を示す変位量グラフ301と、超音波トランスデューサ501の一部の軸方向変位の位相を示す変位位相グラフ(図3の変位位相グラフ400と等価)と、に重ね合わされた超音波トランスデューサ501の物理的表示を示す。図4に示されるグラフの横座標(トランスデューサの尾部517からの距離(mm))は、超音波トランスデューサ501、変位量グラフ301、及び変位位相グラフの表示に等しく適用される。グラフの左縦座標は、軸方向変位の量(μm)に関し、グラフの右縦座標は、軸方向変位の位相(度)に関する。変位量グラフ301及び変位位相グラフは、表1に示すように、48,656Hzの共振周波数におけるVp-p(27V)及び電流(517.5mA)の入力パラメータを有する超音波トランスデューサ501のジオメトリーのシミュレーションから導出された。
【0056】
超音波トランスデューサ501は、尾部と、変換部と、超音波ホーンと、を含む。超音波ホーンは、フランジ510と、第1の円筒部520と、テーパ部と、第2の円筒部と、を含む。テーパ部は、第1のテーパ部542及び第2のテーパ部544を更に含む。図4に示される超音波ホーンは、第1の円筒部520の遠位端(フランジ510から約10mm遠位の位置)に位置するトルク特徴部525を含む。超音波トランスデューサ500(図3)に含まれる同様の機能的特徴とは異なり、超音波トランスデューサ501内のトルク特徴部525は、第1の円筒部520の本体に組み込まれず、第1の円筒部520の遠位端に位置する追加の半径方向延在部分を構成する。超音波トランスデューサ501は、第1のテーパ部542と第2のテーパ部544との間に配設されたリング又は円筒体548を更に含む(第2の円筒部の遠位端535から約18mm近位の位置)。円筒体548は、約27mmの外径及び約2mmの幅を有する。
【0057】
変位位相グラフ(図3の変位位相グラフ400と等価)は、試験負荷を含む超音波トランスデューサ501の長さに沿った軸方向変位の位相を示す。位相は、フランジ510を含む変換部の長さ(尾部から、尾部から約20mmの位置まで)に沿って、及び試験荷重の遠位セグメントの長さ(尾部から約82mmの位置から、尾部から約105mmの試験負荷の遠位端まで)に沿って、正の値を有してもよい。位相はまた、超音波ホーンの長さ(超音波ホーンの尾部から約20mmの位置のフランジ510から、遠位端535まで)に沿って、及び試験負荷の少なくとも一部(尾部から約60mmの位置から、尾部から約82mmの位置まで)に沿って、負の値を有してもよい。
【0058】
変位量グラフ301は、試験負荷を含む超音波トランスデューサ501の長さに沿った軸方向変位の量の絶対値を示す。変位量グラフ301は、ホーンのジオメトリーに部分的に起因し得る超音波トランスデューサ501の軸方向変位の量における機械的ゲインの量を示す。したがって、変換部の最大変位量は約7.5μmであってもよく、第2の円筒部におけるホーンの最大変位量は約28μmであってもよく、試験負荷の遠位端における最大変位量361は、約30.6μmであってもよい。このようにして、変換部から試験負荷の端部までの約4.1の軸方向変位量のゲインを実現することができる。図4に示される超音波ホーンの変位ゲインは、図3に示される超音波ホーンの変位ゲインよりも小さいが、図4に示されるホーンの最大変位量361(30.6μm)は、図3に示されるホーンの最大変位量360(17.1μm)より約14μm(又は82%の係数)大きい。したがって、超音波ホーンへのリング又は円筒体の追加は、超音波トランスデューサに取り付けられたエンドエフェクタの変位を増加させるために行われ得ることが明らかである。
【0059】
図4に示される超音波トランスデューサ501のジオメトリーは、図3に示される超音波トランスデューサ500上の最大変位量361の増加をもたらし得る。更に、表1の項目は、図4に示されるホーンのジオメトリーが、超音波トランスデューサ501を動作させるために、超音波トランスデューサ500よりも多くの電流、ひいては電力を必要とすることを示す。具体的には、超音波トランスデューサ501は、超音波トランスデューサ500のほぼ2倍の電力を使用する。理論に束縛されるものではないが、超音波トランスデューサ501を動作させるための電力増加は、変換部514のインピーダンスの低減に部分的に起因して、超音波トランスデューサ501によって使用される追加電流から生じ得る。
【0060】
図5は、超音波トランスデューサ502の一部の軸方向変位の量を示す変位量グラフ302と、超音波トランスデューサ502の一部の軸方向変位の位相を示す変位位相グラフ(図3の変位位相グラフ400と等価)と、に重ね合わされた超音波トランスデューサ502の物理的表示を示す。図5に示されるグラフの横座標(トランスデューサの尾部からの距離(mm))は、超音波トランスデューサ502、変位量グラフ302、及び変位位相グラフの表示に等しく適用される。グラフの左縦座標は、軸方向変位の量(μm)に関連し、グラフの右縦座標は、軸方向変位の位相(度)に関連する。変位量グラフ302及び変位位相グラフは、表1に示すように、50,510Hzの共振周波数におけるVp-p(27V)及び電流(258.8mA)の入力パラメータを有する超音波トランスデューサ502のジオメトリーのシミュレーションから導出された。
【0061】
超音波トランスデューサ502は、尾部と、変換部と、超音波ホーンと、を含む。超音波ホーンは、フランジ510、第1の円筒部520、テーパ部540、及び第2の円筒部530を含む。テーパ部540は、第1のテーパ部542と、第2のテーパ部544と、それらの間の平坦部546と、を更に含む。図5に示される超音波ホーンは、第1の円筒部520の遠位端(フランジ510から約10mm遠位の位置)に位置するトルク特徴部525を含む。超音波トランスデューサ500(図3)に含まれる同様の機能的特徴とは異なり、超音波トランスデューサ502内のトルク特徴部525は、第1の円筒部520の本体に組み込まれず、第1の円筒部520の遠位端に位置する追加の半径方向延在部分を構成する。図5に示される超音波ホーンは、第2のテーパ部544の遠位部に配設され、第2の円筒部530の近位に配設されたリング又は円筒体532を含む(第2の円筒部の遠位端535から約7.6mm近位)。円筒体532は、約8mmの外径及び約2mmの幅を有する。
【0062】
変位位相グラフは、試験負荷を含む超音波トランスデューサ502の長さに沿った軸方向変位の位相を表す。位相は、フランジ510を含む変換部の長さ(尾部から、尾部から約20mmの位置まで)に沿って、及び試験荷重の遠位セグメントの長さ(尾部から約82mmの位置から、尾部から約105mmの試験負荷の遠位端まで)に沿って、正の値を有してもよい。位相はまた、超音波ホーンの長さ(超音波ホーンの尾部から約20mmの位置のフランジ510から、遠位端535まで)に沿って、及び試験負荷の少なくとも一部(尾部から約60mmの位置から、尾部から約82mmの位置まで)に沿って、負の値を有してもよい。
【0063】
変位量グラフ302は、試験負荷を含む超音波トランスデューサ502の長さに沿った軸方向変位の量の絶対値を示す。変位量グラフ302は、ホーンのジオメトリーに部分的に起因し得る超音波トランスデューサ502の軸方向変位の量における機械的ゲインの量を示す。したがって、変換部の最大変位量は約3.5μmであってもよく、第2の円筒部530におけるホーンの最大変位量は約19.5μmであってもよく、試験負荷の遠位端における最大変位量362は、約20.9μmであってもよい。このようにして、変換部から試験負荷の端部までの約6の軸方向変位量のゲインを実現することができる。図5に示される超音波ホーンの変位ゲインは、図3に示される超音波ホーンの変位ゲインよりも小さいが、図4に示される超音波ホーンの変位ゲインよりも著しく大きい。図5に示されるホーンの最大変位量362(21μm)は、図3に示すホーンの最大変位量360(17.1μm)よりも、ほぼ4μm(又は23%の係数)と若干大きい。図5に示されるホーンの最大変位量362と図4に示すホーンの最大変位量361との比較が示唆するように、円筒体をフランジ510からホーンの長さに沿って更に移動させ、円筒形質量の外径を減少させることによって、最大変位に対する円筒体の影響を減少させることができる。
【0064】
図5に示される超音波トランスデューサ502のジオメトリーは、図3に示される超音波トランスデューサ500の上の最大変位量362をやや増加させ得るが、表1の項目は、図5に示されるホーンのジオメトリーもまた、超音波トランスデューサ500よりも電力消費を単にやや増加させることを示す。具体的には、超音波トランスデューサ502は、超音波トランスデューサ500よりも50%未満の電力を更に必要とする。更に、超音波トランスデューサ502の共振周波数は、超音波トランスデューサ500の共振周波数から約0.3%(より低い)だけシフトする(超音波トランスデューサ501の約4%のシフトと比較)。電源が調整済みの(及びおそらくは固定された)動作周波数を有する場合、超音波トランスデューサの共振周波数が超音波電源の動作周波数から過度に逸脱しないように確保することが有用であり得る。
【0065】
図6は、超音波トランスデューサ503の一部の軸方向変位の量を示す変位量グラフ303と、超音波トランスデューサ503の一部の軸方向変位の位相を示す変位位相グラフ(図3の変位位相グラフ400と等価)と、に重ね合わされた超音波トランスデューサ503の物理的表示を示す。図6に示されるグラフの横座標(トランスデューサの尾部からの距離)は、超音波トランスデューサ503、変位量グラフ303、及び変位位相グラフの表示に等しく適用される。グラフの左縦座標は、軸方向変位の量(μm)に関連し、グラフの右縦座標は、軸方向変位の位相(度)に関連する。変位量グラフ303及び変位位相グラフは、表1に示すように、49,694Hzの共振周波数におけるVp-p(27V)及び電流(285.6mA)の入力パラメータを有する超音波トランスデューサ503のジオメトリーのシミュレーションから導出された。
【0066】
超音波トランスデューサ503は、尾部と、変換部と、超音波ホーンと、を含む。超音波ホーンは、フランジ510、第1の円筒部520、テーパ部540、及び第2の円筒部530を含む。テーパ部540は、第1のテーパ部542と、第2のテーパ部544と、それらの間の平坦部546と、を更に含む。図6に示される超音波ホーンは、第1の円筒部520の遠位端(フランジ510から約10mm遠位の位置)に位置するトルク特徴部525を含む。超音波トランスデューサ500(図3)に含まれる同様の機能的特徴とは異なり、超音波トランスデューサ503内のトルク特徴部525は、第1の円筒部520の本体に組み込まれないが、第1の円筒部520の遠位端に位置する追加の半径方向延在部分を構成し、リング又は円筒体534が、第2のテーパ部544の遠位部分に配設され、第2の円筒部530の近位に配設されている(第2の円筒部の遠位端535から約7.6mm近位)。円筒体534は、約12mmの外径及び約2mmの幅を有する。超音波トランスデューサ502と超音波トランスデューサ503との間の唯一の差異は、円筒体の外径である(円筒体534は、等価の円筒体532よりも約50%大きい外径を有する)ことが観察され得る。
【0067】
変位位相グラフは、試験負荷を含む超音波トランスデューサ503の長さに沿った軸方向変位の位相を示す。位相は、フランジ510を含む変換部の長さ(尾部から、尾部から約20mmの位置まで)に沿って、及び試験荷重の遠位セグメントの長さ(尾部から約82mmの位置から、尾部から約105mmの試験負荷の遠位端まで)に沿って、正の値を有してもよい。位相はまた、超音波ホーンの長さ(超音波ホーンの尾部から約20mmの位置のフランジ510から、遠位端535まで)に沿って、及び試験負荷の少なくとも一部(尾部から約60mmの位置から、尾部から約82mmの位置まで)に沿って、負の値を有してもよい。
【0068】
変位量グラフ303は、試験負荷を含む超音波トランスデューサ503の長さに沿った軸方向変位の量の絶対値を示す。変位量グラフ303は、ホーンのジオメトリーに部分的に起因し得る超音波トランスデューサ503の軸方向変位の量における機械的ゲインの量を示す。したがって、変換部の最大変位量は約4μmであってもよく、第2の円筒部530におけるホーンの最大変位量は約21μmであってもよく、試験負荷の遠位端における最大変位量363は、約22.3μmであってもよい。このようにして、変換部から試験負荷の端部までの約5.6の軸方向変位量のゲインを実現することができる。図6に示される超音波ホーンの変位ゲインは、図5に示す超音波ホーンの変位ゲインよりわずかに小さく(約7%)、図6に示すホーンの最大変位量363(22.5μm)は、図5に示されるホーンの最大変位量362(21μm)よりも約7%とわずかに大きい。図6に示すホーンの最大変位量363と図5に示されるホーンの最大変位量362との比較が示唆するように、第2の円筒体の外径を増加させることによって、超音波トランスデューサの遠位端における最大変位をいくらか増加させることができる。
【0069】
図6に示される超音波トランスデューサ503のジオメトリーは、図5に示される超音波トランスデューサ502のジオメトリーよりも最大変位量363を若干増加させる。表1の項目は、図6に示されるホーンのジオメトリーが、超音波トランスデューサ502のジオメトリーよりも使用電力を若干増加させる。具体的には、超音波トランスデューサ503は、超音波トランスデューサ502よりも約10%多くの電力を使用する。また、超音波トランスデューサ503の共振周波数は、超音波トランスデューサ500の共振周波数から約2.0%(より低く)シフトする(超音波トランスデューサ502の約0.3%のシフトと比較)。
【0070】
図7は、超音波トランスデューサ504の一部の軸方向変位の量を示す変位量グラフ304と、超音波トランスデューサ504の一部の軸方向変位の位相を示す変位位相グラフ(図3の変位位相グラフ400と等価)と、に重ね合わされた超音波トランスデューサ504の物理的表示を示す。図7に示されるグラフの横座標(トランスデューサの尾部からの距離)は、超音波トランスデューサ504の変位量グラフ304及び変位位相グラフの表示に等しく適用される。グラフの左縦座標は、軸方向変位の量(μm)に関連し、グラフの右縦座標は、軸方向変位の位相(度)に関連する。変位量グラフ304及び変位位相グラフは、表1に示すように、共振周波数48,524HzにおけるVp-p(27V)及び電流(41.36mA)の入力パラメータを有する超音波トランスデューサ504のジオメトリーのシミュレーションから導出された。
【0071】
超音波トランスデューサ504は、尾部と、変換部と、超音波ホーンと、を含む。超音波ホーンは、フランジ510、第1の円筒部520、テーパ部540、及び第2の円筒部530を含む。テーパ部540は、第1のテーパ部542及び第2のテーパ部544を更に含む。図3に示される超音波ホーンと同様に、図7に示される超音波ホーンは、第1の円筒部520の遠位部分の一部として作製されたトルク特徴部525を含み得る。図7の超音波ホーンは、第1の円筒部520上に(第2の円筒部の遠位端535から約30.4mm近位に)配設されたリング又は円筒体528を更に含む。円筒体528は、約25mmの外径及び約2mmの幅を有する。超音波トランスデューサ500と超音波トランスデューサ504との間の主な差異は、超音波トランスデューサ504が円筒体528を含むことであると観察され得る。
【0072】
変位位相グラフは、試験負荷を含む超音波トランスデューサ504の長さに沿った軸方向変位の位相を表す。位相は、フランジ510を含む変換部の長さ(尾部から、尾部から約20mmの位置まで)に沿って、及び試験荷重の遠位セグメントの長さ(尾部から約82mmの位置から、尾部から約105mmの試験負荷の遠位端まで)に沿って、正の値を有してもよい。位相はまた、超音波ホーンの長さ(超音波ホーンの尾部から約20mmのフランジ510の位置から、遠位端535まで)に沿って、及び試験負荷の少なくとも一部(尾部から約60mmの位置から、尾部から約82mmの位置まで)に沿って、負の値を有してもよい。
【0073】
変位量グラフ304は、超音波トランスデューサ504と試験負荷の長さに沿った軸方向変位の量の絶対値を示す。変位量グラフ304は、ホーンのジオメトリーに部分的に起因し得る超音波トランスデューサ504の軸方向変位の量における機械的ゲインの量を示す。したがって、変換部の最大変位量は約3.5μmであってもよく、第2の円筒部530におけるホーンの最大変位量は約17.5μmであってもよく、試験負荷の遠位端における最大変位量364は、約18.7μmであってもよい。このようにして、変換部から試験負荷の端部までの約5.3の軸方向変位量のゲインを実現することができる。図7に示される超音波ホーンの変位ゲインは、図3に示される超音波ホーンの変位ゲインより小さく(約22%)、図7に示されるホーンの最大変位量364(18.7μm)は、図3に示されるホーンの最大変位量360(17.1μm)よりも約9%大きい。図7に示されるホーンの最大変位量364と、図3に示されるホーンの最大変位量360との比較が示唆するように、第1の円筒部520の遠位端における円筒体528を追加することによって、最大変位量をやや増加させることができる。
【0074】
図3に示される超音波トランスデューサ500と図7に示される超音波トランスデューサ504との間の比較は、円筒体528のトランスデューサへの追加の更なる効果を明らかにすることができる。例えば、トランスデューサ500の位相余裕(PM)は、トランスデューサ504の位相余裕(PM)よりも約14%小さい。上述のように、超音波信号発生器において起こり得る周波数誤差の影響を最小限に抑えるために、より大きな位相余裕が有用であり得る。したがって、この点に関して、円筒体528の追加が有用であり得る。表1の項目はまた、図7に示されるホーンのジオメトリーが、トランスデューサ504を動作させるために、超音波トランスデューサ500よりも約20%多くの電力を使用することを示す。これは、トランスデューサ500に対するトランスデューサ504の20%の引き込み電流増加と、トランスデューサ500に対するトランスデューサ504の約20%のインピーダンス減少と一致する。
【0075】
表1のデータ及び図3~7のグラフに基づいて、超音波トランスデューサの長さに沿った1つ以上の円筒体の幅、サイズ、及び配置は、トランスデューサの特性に多数の相互作用を及ぼすことが観察され得る。上述したように、トランスデューサの端部変位を最大化することができるジオメトリーを有するトランスデューサを作製し、トランスデューサを駆動する使用電力を最適化し、位相余裕を最大化する(それによって、トランスデューサの共振周波数から生じ得る電源周波数ドリフトの影響を最小化する)ことが望ましい。図8~16は、リングのジオメトリーの変化が、トランスデューサの固定電圧及び共振周波数で給電されるトランスデューサの位相余裕、端部変位、及びインピーダンスに及ぼす影響のシミュレーショングラフを示す。上記グラフは、トランスデューサの最適ジオメトリーを決定するのに有用であり得る。
【0076】
図8~10はそれぞれ、超音波トランスデューサ500のリング外径(mm)に対する、位相余裕(Hz)、端部変位(μm)、及びインピーダンス(オーム)のグラフである。これらのシミュレーションのために、「リング」は、トランスデューサ500の尾部511から約20mm遠位に位置するフランジ510を含む。例えば、図3では、フランジ510がトランスデューサ500の近位波節(軸方向変位量グラフ300が最小となる位置)に位置することが観察され得る。したがって、フランジ510のジオメトリーの変化によるトランスデューサ500の応答パラメータは、リング配置による影響に依存しない場合がある。図8~10のそれぞれにおいて、フランジ510は、2mmの固定幅を有する。位相余裕のグラフ(図8の800)及び端部変位(図9の900)のグラフの両方が、OD値の範囲にわたってリング外径と共に単調に増加することが観察され得る。しかしながら、トランスデューサのインピーダンス(図10の1000)のグラフは、同じ範囲にわたって単調に減少する。トランスデューサを動作させるのに必要な電力はトランスデューサのインピーダンスに反比例するため、インピーダンスの減少は、トランスデューサを動作させる電力の増加に対応し得る。PM対リングOD(図8の800)及び端部変位対リングODのグラフ(図9の900)は、二階方程式によってモデル化され得ることが分かる。理論に束縛されるものではないが、このようなグラフは、PM及び変位の両方がリングの質量の関数であり、リングの半径(ODの半分)の自乗の関数であることを示唆し得る。
【0077】
図11~13は、超音波トランスデューサ500のリング幅(mm)に対する、位相余裕(Hz)、端部変位(μm)、及びインピーダンス(オーム)のグラフである。これらのシミュレーションのために、「リング」は、トランスデューサ500の尾部511から約20mm遠位に位置するフランジ510を含む。例えば、図3では、フランジ510がトランスデューサ500の近位波節(軸方向変位の量のグラフ300が最小となる位置)に位置することが観察され得る。したがって、フランジ510のジオメトリーの変化によるトランスデューサ500の応答パラメータは、リング配置による影響に依存しない場合がある。図11~13のそれぞれにおいて、フランジ510は、15mmの固定外径(OD)を有する。位相余裕のグラフ(図11の1100)及び端部変位のグラフ(図12の1200)の両方が、リング幅値の範囲にわたってリング幅と共に単調に増加することが観察され得る。しかしながら、トランスデューサのインピーダンス(図13の1300)のグラフは、同じ範囲にわたって単調に減少する。トランスデューサを動作させるのに必要な電力はトランスデューサのインピーダンスに反比例するため、インピーダンスの減少は、トランスデューサを動作させるのに必要な電力の増加に対応し得る。PM対リングOD又は幅のグラフ(図8の800対図11の1100)、及び端部変位対リングOD又は幅のグラフ(図9の900対図12の1200)の比較が示唆するように、リング幅がPM及び端部変位の両方に及ぼす影響は、リングODが2つの測定値に及ぼす影響よりも大きくなり得る。更に、PM対リングODのグラフ(図8の800)と変位対リングODのグラフ(図9の900)の傾きはリングODの増加と共に上昇する一方、PM対リング幅のグラフ(図11の1100)と変位対リング幅のグラフ(図12の1200)の傾きは、リング幅の増加と共に低下するか、又は一定のままであるのが分かる。これらの結果は、リング幅の増加は、リングODよりもトランスデューサのPMと変位に大きな影響を及ぼすが、リング幅が増加するにつれ、リング幅の影響が弱まっていくことを示唆し得る。理論に束縛されるものではないが、PM及び端部変位の両方に対するリング幅の効果の減少は、フランジ幅が軸方向寸法に沿って増加するにつれて、トランスデューサ500の局所的剛性が増大することに起因し得る。加えて、インピーダンス対リングOD又は幅(図10の1000対図13の1300)のグラフの比較が示すように、リングODがインピーダンスに及ぼす影響がリングODとほぼ線形である一方、リンク幅がインピーダンスに及ぼす影響は、より複雑な依存性を有する。
【0078】
図14~16はそれぞれ、超音波トランスデューサ500の場合のトランスデューサの長手方向軸に沿ったリング変位(近位波節と近位波腹との間の距離のパーセント)に対する、位相余裕(Hz)、端部変位(μm)、インピーダンス(オーム)のグラフである。図3を一例として参照すると、近位波節は、ほぼフランジ510の位置(軸方向変位量曲線300が第1の最小値をとる尾部517から約20mmの位置)に見られ得る。同様に、図3を一例として参照すると、近位波腹は、およそ尾部517から約60mmの位置の超音波ホーンの遠位端535で見られ、軸方向変位量曲線300は、超音波ホーンにおいて第1の最大値を有する。これらのシミュレーションでは、「リング」は、2mmの固定幅を有する。図8~13に示されるグラフと異なり、図13~16に示されるグラフは単調ではなく、波節と波腹との間の距離パーセント値の範囲にわたって最大値(図14の1400及び図15の1500)と最小値(図16の1600)を表示する。また、最大位相余裕(図14の1400)及び変位(図15の1500)は、図16のグラフ1600に示すように、インピーダンスの最小値に対応する波節と波腹との間の距離パーセント値で発生することにも留意されたい。更に、図14~16に示されるグラフが対称であるように見えないことに留意されたい。理論に束縛されるものではないが、図14~16に示されるグラフにおける対称性の欠如は、超音波ホーンの直径が第1の円筒部520からテーパ部540を通じて及び第2の円筒部530まで変化することから生じ得る。図14のグラフ1400及び図15のグラフ1500に示されるグラフのピークは、平坦部546の位置に対応し得る波節/波腹距離の約50%(尾部517から約40mm遠位)において生じる。同様に、図16のグラフ1600のトラフは、平坦部546の位置に対応し得る波節/波腹距離の約50%(尾部517から約40mm遠位)において生じる。
【0079】
上述され図3~16に示されるように、超音波トランスデューサに追加される円筒体又はリングの適切な選択は、エネルギー供給によって通電されたときにトランスデューサの応答を調整するのに役立ち得ると理解することができる。図17~22は、トランスデューサのいくつかの応答パラメータの選択的調整を可能にし得るトランスデューサ上のリングの選択的配置及びジオメトリーのシミュレーション結果を示す。
【0080】
以下の表2は、3つの異なるホーンのジオメトリーのそれぞれに対するいくつかのトランスデューサ応答パラメータに関する。表2において、「トランスデューサ」の下の記載事項は、トランスデューサのジオメトリーに対応する図番を参照し、「応答」の下の記載事項は、トランスデューサに関連付けられたインピーダンスのグラフを示す図番を参照する。表2において、Fは、対応するトランスデューサの図に示されるジオメトリーに関して決定された共振周波数(Hz)に対応する。Fは、Zmin(オーム)の対応する最小インピーダンスを有する。上述のように、PM(位相余裕)は、反共振周波数(F)と共振周波数(F)との間のHzの差である。品質係数Qmは、最小インピーダンス値の
【0081】
【数5】
倍の全幅に対応する点における、インピーダンス幅のグラフに対する共振周波数の比として計算される単位なしの数である。
【0082】
【表2】
【0083】
図17は、最小フランジ1710と、リングを有さない第1の円筒部1720と、平坦部を有するテーパ部1740と、第2の円筒部1730と、を特徴とする超音波ホーン1722の第1の態様を示す。これは、図19(1922)及び図21(2122)に示される超音波ホーンと比較することができる基準構成と解釈することができる。図18は、第1の超音波ホーン1722と関連付けられたインピーダンス振幅グラフ1800及びインピーダンス位相グラフ1900を含むインピーダンスグラフを示す。インピーダンス振幅グラフ1800は、共振周波数(F)1820における最小インピーダンス、及び反共振防止周波数(F)1830における最大インピーダンスを示す。位相余裕1840は、FとFとの間の差である。
【0084】
図19は、拡張フランジ1910によって特徴付けられる超音波ホーン1922の第2の態様を示し、第1の円筒部1920は、その遠位端に位置するトルク機構1925、テーパ部の遠位に位置する小リング1934、及び第2の円筒部1930を有する。図20は、第2の超音波ホーン1922と関連付けられたインピーダンス振幅グラフ1801及びインピーダンス位相グラフ1901を含むインピーダンスグラフを示す。インピーダンス振幅グラフ1801は、共振周波数(F)1821における最小インピーダンス、及び反共振防止周波数(F)1831における最大インピーダンスを示す。位相余裕1841は、FとFとの間の差である。
【0085】
図21は、超音波ホーン1922に示されるフランジ1910よりも大きい幅を有する膨張フランジ2110と、第1の円筒部2120と、第2の円筒部2130と、テーパ部の遠位に位置し、超音波ホーン1922の小リング1934の外径及び幅と同等の外径及び幅を有する小リング2134と、によって特徴付けられた超音波ホーン2122の第3の態様を示す。小リング2134は、トルク特徴部2125も含む。図22は、第3の超音波ホーン2122と関連付けられたインピーダンス振幅グラフ1802及びインピーダンス位相グラフ1902を含むインピーダンスグラフを示す。インピーダンス振幅グラフ1802は、共振周波数(F)1822における最小インピーダンス、及び反共振防止周波数(F)1832における最大インピーダンスを示す。位相余裕1842は、FとFとの間の差である。
【0086】
第2の超音波ホーン1922及び第3の超音波ホーン2122は、それぞれのジオメトリーにおいて互いに著しく異なるように見えることが観察され得る。第3の超音波ホーン2122のフランジは、第2の超音波ホーン1922の幅の約2倍である。更に、第2の超音波ホーン1922は、第3の超音波ホーン2122の小リング2134に組み込まれる第1の円筒部1920に追加のトルク特徴部1925を含む。しかしながら、注目すべきは、第2の超音波ホーン1922の共振周波数は、第3の超音波ホーン2122の共振周波数とほぼ同一である一方で、両超音波ホーン1922及び2122のFは、基準ホーン1722のFよりも約1%大きいことである(表2を参照)。更に、表2に示すように、共振周波数(Zmin)におけるインピーダンスは、超音波ホーン1922及び2122の両方に関して同じである。超音波ホーン1922及び2122の両方の共振周波数(Zmin)におけるインピーダンスもまた、基準ホーン1722の約半分である。表2は、第3のホーン2122の品質係数が第2のホーン1922の品質係数よりも約3%低いが、両方とも、基準ホーン1722の品質係数の2倍を超える品質係数を有することを更に示す。しかしながら、表2を参照すると、第2の超音波ホーン1922の位相余裕は、基準ホーン1722の位相余裕よりも約10%大きく、第3のホーン2122の位相余裕は、第2のホーン1922の位相余裕よりも約11%大きい。したがって、他の応答特徴(F、Q、及びZmin)を変更しないまま、1つの応答特徴(位相余裕)を調整するために、幾何学的特徴部を超音波ホーンに追加してもよいことが理解され得る。
【0087】
上述した超音波トランスデューサ及び超音波トランスデューサホーンの例は、限定として解釈されるべきではない。超音波トランスデューサホーンは、例えば、1つ以上の円筒部、1つ以上のテーパ部、及び1つ以上のリング又は円筒体を含み得ると理解することができる。超音波トランスデューサホーンは、フランジを有してもよく、又はフランジを有さなくてもよい。
【0088】
2つ以上の円筒部は、同じ又は異なる直径及び/又は長さを有してもよい。円筒部は、円形の断面、楕円形の断面、卵形の断面、又は他の滑らかな(角度を成さない)断面を有してもよい。1つの円筒部の断面は、第2の円筒部の断面と同じであっても、異なっていてもよい。
【0089】
1つ以上のテーパ部は、線形(円錐形)テーパ又は湾曲テーパを有してもよい。湾曲テーパは、円形曲線、楕円曲線、卵形曲線、放物曲線、双曲線曲線、又は任意の他の曲線として特徴付けることができる。複数のテーパ部を有する超音波ホーンのテーパ部は、(湾曲テーパの場合)同じ又は異なる曲率、又は(円錐テーパの場合)同じ又は異なる開口角度を有してもよい。超音波ホーンは、テーパ部の全てが直線テーパを有する複数のテーパ部を含んでもよく、テーパ部の全ては、湾曲テーパ、直線テーパ、又は直線テーパと湾曲テーパとの組み合わせを有する。1つ以上のテーパ部は、いずれかの円筒部の間に分散されてもよい。第1のテーパ部は、第2のテーパ部に近接して配設されてもよい。平坦部は、第1のテーパ部と第2のテーパ部との間に配設されてもよい。
【0090】
リング又は円筒体は、円筒形外表面を有してもよく、円筒は、円形断面、楕円形断面、卵形断面、又は任意の他の閉鎖曲線断面を有してもよい。リング又は円筒体は、1つ以上の平坦又は部分的に平坦な表面を含む外表面を有してもよい。超音波ホーンは、そのようなリングのうちの1つ以上を含んでもよい。2つ以上のリングのジオメトリーは、同じであっても異なっていてもよい。したがって、第1のリングの外径及び/又は幅は、第2のリングのそれぞれの外径及び/又は幅と同じであっても異なっていてもよい。同様に、2つ以上のリングの外側表面は、同じジオメトリーを有してもよく、又は異なるジオメトリーを有してもよい。
【0091】
超音波トランスデューサホーンは、トルク特徴部を含んでもよく、又はそのようなトルク特徴部を欠いていてもよい。トルク特徴部は、フランジ、1つ以上の円筒部、1つ以上のテーパ部、1つ以上の平坦部、及び/又は1つ以上のリング若しくは円筒体を含む、超音波トランスデューサホーンの構成要素の任意の1つ以上に組み込む、又は追加することができる。トルク特徴部は、トルク付与ツールに係合するために使用され得る特徴部を含んでもよい。トルク付与ツールは、超音波ホーン、トランスデューサ構成要素(圧電トランスデューサなど)、及び端部又は尾部を含む超音波トランスデューサを組み立てるために使用されてもよい。トルク付与ツールは、トランスデューサ構成要素と超音波ホーンとの間の効果的な機械的接触を確保するために使用され得る。1つの非限定的な例では、かかるトルク特徴部は、トルク付与ツールの適切な嵌合表面に係合するように構成された1つ以上の表面を超音波ホーンの構成要素に含んでもよい。
【0092】
上述の説明において様々な詳細が記載されてきたが、電気信号波形及び手術器具をデジタル的に生成するための発生器を動作させる技術の様々な態様が、これらの特定の詳細なしに実行され得ることが理解されよう。本明細書に記載される要素(例えば、動作)、装置、目的、及びそれらに伴う考察は、構想を明らかにするための例として使用され、様々な構成の修正が想到されることが、当業者には認識されよう。結果として、本明細書で使用されるとき、説明した特定の例及びそれらに伴う考察は、より一般的な種類を代表することを意図したものである。一般に、特定の代表例を用いることは、その種類を代表することを意図したものであり、また、特定の要素(例えば、動作)、装置、及び目的を含めないことは、限定と見なされるべきではない。
【0093】
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0094】
本開示の簡潔性及び明白性のために、前述の開示の選択された態様は、詳細ではなくブロック図形態で示されてきた。本明細書に提供される詳細な説明の一部は、1つ又は2つ以上のコンピュータメモリ又は1つ又は2つ以上のデータ記憶装置(例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(Compact Disc、CD)、デジタルビデオディスク(Digital Video Disk、DVD)、又はデジタルテープ)に記憶されるデータ上で動作する命令に関して提示され得る。そのような説明及び表現は、当業者によって、自身の仕事の内容を当該技術分野の他者に説明及び伝達するために使用されているものである。一般に、アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、伝達、複合、比較、及び別様に動作することが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量及び/又は論理状態の動作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利なラベルである。
【0095】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」又は「計算する」又は「算出する」又は「決定する」又は「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0096】
一般的な意味で、当業者は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は共同して実装することができる、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができることを認識するであろう。結果として、本明細書で使用されるとき、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの専用集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路、及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ若しくは光学的-電気的設備)を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0097】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は共同に実装することができる。一形態では、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、又は他の集積型形式で実装され得る。しかしながら、当業者に理解されたいこととして、その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1つ又は2つ以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実現され得、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれる。更に、当業者に明らかとなることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。信号搬送媒体の例としては、記録可能型の媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信ロジック、受信ロジックなど)など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
いくつかの例では、1つ又は2つ以上の要素は、「連結された」及び「接続された」という表現を、それらの派生語と共に使用して記載されることがある。これらの用語は、互いに同義語であることは意図されないことを理解されたい。例えば、いくつかの態様は、2つ又はそれ以上の要素が互いに直接物理的又は電気的に接触していることを示すため、「接続された」という用語を使用して記載されることがある。別の例では、いくつかの態様は、2つ又はそれ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していることを示すため、「連結された」という用語を使用して記載されることがある。しかしながら、「連結された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触はしないが、依然として互いに協働又は相互作用することを意味することもある。異なる他の構成要素内に含まれるか、又は接続される異なる構成要素の描写されたアーキテクチャは単なる例であり、実際同じ機能性を実現する多くの他のアーキテクチャが実装され得ることが分かる。構想の意味で、同じ機能性を達成する構成要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように効果的に「関連付け」られる。したがって、特定の機能性を達成するように組み合わされた本明細書における任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素にかかわらず、所望の機能性が達成されるように互いと「関連付け」られていると見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素も、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に接続」又は「動作可能に連結」されているものと見なすことができ、そのように関連付けることが可能な任意の2つの構成要素も、所望の機能性を達成するように互いに「動作可能に連結可能」であると見なすことができる。動作可能に連結可能な特定の例としては、物理的に嵌合可能かつ/若しくは物理的に相互作用する構成要素、及び/又は無線相互作用性かつ/若しくは無線相互作用性構成要素、及び/又は電気的相互作用性構成要素、及び/又は光学的相互作用性構成要素、及び/又は光学的相互作用性構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
場合によっては、1つ又は2つ以上の要素が、本明細書において、「ように構成される」、「ように構成可能である」、「ように動作可能である/動作する」、「適合される(adapted)/適合可能である」、「ことが可能である」、「ように適合可能である/適合される(conformed)」などと呼ばれることがある。当業者は、「ように構成される」は一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の要素及び/又は非アクティブ状態の要素及び/又はスタンバイ状態の要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0100】
本開示の特定の態様が図示され記載されてきたが、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載される主題及びそのより広範な態様から逸脱することなく、変更及び修正が行われてもよく、したがって添付の特許請求の範囲は、全てのかかる変更及び修正を、本明細書に記載される主題の真の範囲内にあるものとして、その範囲内に包含するものであることが、当業者には明白となるであろう。一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「開放的」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことが、当業者には理解されるであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0101】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ以上の選択的な用語を表わすあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0102】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作上の流れがシーケンスの形で提示されているが、様々な動作は、例示した以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0103】
「一態様」、「態様」、「一形態」、又は「形態」と言う場合、その態様に関連して記載される特定の特徴部、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれるものであることを意味する点は特筆に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる「一態様では」、「態様では」、「一形態では」、又は「形態では」なる語句は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0104】
本明細書における実質的に全ての複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈及び/又は用法に則して複数形から単数形に、及び/又は単数形から複数形に読み替えることができる。様々な単数形/複数形の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的には記述されない。
【0105】
特定の場合には、コンポーネントが領域の外に位置している場合であっても、システム又は方法の使用がその領域で起こってもよい。例えば、分散コンピューティングの文脈において、システムの一部分が領域の外に位置している可能性があっても(例えば、継電器、サーバ、プロセッサ信号搬送媒体、送信コンピュータ、受信コンピュータなどが領域の外に位置している)、分散コンピューティングシステムの使用はその領域で起こってもよい。
【0106】
システム又は方法のコンポーネントが領域の外に位置し、かつ/又はその外で使用される場合であっても、システム又は方法の売買は同様にその領域で起こってもよい。更に、1つの領域で方法を実行するためにシステムの少なくとも一部分を実現することは、システムを別の領域で使用することを排除しない。
【0107】
全ての上述した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、本明細書で引用された及び/若しくは任意の出願データシートに列挙された非特許刊行物又は任意のその他の開示文献は、本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0108】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0109】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の付番された節において説明される。
実施例1.超音波ホーンであって、近位フランジと、第1の直径を有し、近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、第2の円筒部が、第1の円筒部の遠位の位置にあり、第2の直径が第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、第1円筒部と第2円筒部との間に配設されたテーパ部と、フランジと第2の円筒部の遠位端との間の位置において、ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーンを含むことができる。
実施例2.円筒体が、第1の円筒部においてホーンの周りに配設されている、実施例1に記載の超音波ホーン。
実施例3.円筒体が、第1の円筒部の遠位部分においてホーンの周りに配設されている、実施例1又は2のいずれかに記載の超音波ホーン。
実施例4.円筒体が、テーパ部においてホーンの周りに配設されている、実施例1~3のいずれかに記載の超音波ホーン。
実施例5.円筒体が、第2の円筒部においてホーンの周りに配設されている、実施例1~4のいずれかに記載の超音波ホーン。
実施例6.円筒体が、第2の円筒部の近位部分においてホーンの周りに配設されている、実施例5に記載の超音波ホーン。
実施例7.テーパ部が、第1の曲率半径を有する第1のテーパ部と、第2の曲率半径を有する第2のテーパ部と、を含む、実施例1~6のいずれかに記載の超音波ホーン。
実施例8.前記第1の曲率半径が、前記第2の曲率半径と等しい、実施例7に記載の超音波ホーン。
実施例9.第1の曲率半径が、第2の曲率半径と異なる、実施例7に記載の超音波ホーン。
実施例10.テーパ部が、第1のテーパ部と第2のテーパ部との間の位置に配設された平坦部を更に含む、実施例7に記載の超音波ホーン。
実施例11.円筒体が、第1のテーパ部と第2のテーパ部との間の位置に配設されている、実施例7に記載の超音波ホーン。
実施例12.フランジと第2の円筒部の遠位端との間の位置において、ホーンの周りに配設された第2の円筒体を更に含む、実施例1~11のいずれかに記載の超音波ホーン。
実施例13.超音波システムであって、エンドベルと、超音波ホーンであって、近位フランジと、第1の直径を有し、近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、第2の円筒部が、第1の円筒部の遠位の位置にあり、第2の直径が第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、第1の円筒部と第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、フランジと第2の円筒部の遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、を含む、超音波ホーンと、エンドベルと超音波ホーンとの間に配設されたトランスデューサ部と、トランスデューサ部を作動させるために、所定の周波数成分を有する電気信号を供給するように構成された超音波電源と、を含むことができる。
実施例14.円筒体が、超音波システムの電気的特性を最適化するように構成された位置において、ホーンの周りに配設されている、実施例13に記載の超音波システム。
実施例15.円筒体が、電気信号に対するトランスデューサ部のインピーダンスを最小化するように構成された位置において、ホーンの周りに配設されている、実施例14に記載の超音波システム。
実施例16.円筒体が、電気信号に対するトランスデューサ部の位相余裕を最大化するように構成された位置において、ホーンの周りに配設されている、実施例14に記載の超音波システム。
実施例17.円筒体が、超音波システムの機械的特性を最適化するように構成された位置において、ホーンの周りに配設されている、実施例13~16のいずれかに記載の超音波システム。
実施例18.円筒体が、電気信号によるトランスデューサ部の作動時に第2の円筒部の遠位端の変位を最大化するように構成された位置において、ホーンの周りに配設されている、実施例17に記載の超音波システム。
実施例19.円筒体が、電気信号によるトランスデューサ部の作動時に第2の円筒部の遠位端の変位とトランスデューサ部の変位との比を最大化するように構成された位置において、ホーンの周りに配設されている、実施例17に記載の超音波システム。
【0110】
〔実施の態様〕
(1) 超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーン。
(2) 前記円筒体が、前記第1の円筒部において前記ホーンの周りに配設されている、実施態様1に記載の超音波ホーン。
(3) 前記円筒体が、前記第1の円筒部の遠位部分において前記ホーンの周りに配設されている、実施態様2に記載の超音波ホーン。
(4) 前記円筒体が、前記テーパ部において前記ホーンの周りに配設されている、実施態様1に記載の超音波ホーン。
(5) 前記円筒体が、前記第2の円筒部において前記ホーンの周りに配設されている、実施態様1に記載の超音波ホーン。
【0111】
(6) 前記円筒体が、前記第2の円筒部の近位部分において前記ホーンの周りに配設されている、実施態様5に記載の超音波ホーン。
(7) 前記テーパ部が、第1の曲率半径を有する第1のテーパ部と、第2の曲率半径を有する第2のテーパ部とを含む、実施態様1に記載の超音波ホーン。
(8) 前記第1の曲率半径が、前記第2の曲率半径と等しい、実施態様7に記載の超音波ホーン。
(9) 前記第1の曲率半径が、前記第2の曲率半径と異なる、実施態様7に記載の超音波ホーン。
(10) 前記テーパ部が、前記第1のテーパ部と前記第2のテーパ部との間の位置に配設された平坦部を更に含む、実施態様7に記載の超音波ホーン。
【0112】
(11) 前記円筒体が、前記第1のテーパ部と前記第2のテーパ部との間の位置に配設されている、実施態様7に記載の超音波ホーン。
(12) 前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された第2の円筒体を更に含む、実施態様1に記載の超音波ホーン。
(13) 超音波システムであって、
エンドベルと、
超音波ホーンであって、
近位フランジと、
第1の直径を有し、前記近位フランジの遠位に配置された第1の円筒部と、
第2の直径及び遠位端を含む第2の円筒部であって、前記第2の円筒部が、前記第1の円筒部の遠位の位置にあり、前記第2の直径が前記第1の直径よりも小さい、第2の円筒部と、
前記第1の円筒部と前記第2の円筒部との間に配設されたテーパ部と、
前記フランジと前記第2の円筒部の前記遠位端との間の位置において、前記ホーンの周りに配設された円筒体と、
を含む、超音波ホーンと、
前記エンドベルと前記超音波ホーンとの間に配設されたトランスデューサ部と、
前記トランスデューサ部を作動させるために、所定の周波数成分を有する電気信号を供給するように構成された超音波電源と、
を含む、超音波システム。
(14) 前記円筒体が、前記超音波システムの電気的特性を最適化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、実施態様13に記載の超音波システム。
(15) 前記円筒体が、前記電気信号に対する前記トランスデューサ部のインピーダンスを最小化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、実施態様14に記載の超音波システム。
【0113】
(16) 前記円筒体が、前記電気信号に対する前記トランスデューサ部の位相余裕を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、実施態様14に記載の超音波システム。
(17) 前記円筒体が、前記超音波システムの機械的特性を最適化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、実施態様13に記載の超音波システム。
(18) 前記円筒体が、前記電気信号による前記トランスデューサ部の作動時に前記第2の円筒部の前記遠位端の変位を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、実施態様17に記載の超音波システム。
(19) 前記円筒体が、前記電気信号による前記トランスデューサ部の作動時に前記第2の円筒部の前記遠位端の変位と前記トランスデューサ部の変位との比を最大化するように構成された位置において、前記ホーンの周りに配設されている、実施態様17に記載の超音波システム。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22