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  • 特許-安定化案内部を有する手術台柱脚 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】安定化案内部を有する手術台柱脚
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/06 20060101AFI20220221BHJP
   A61G 13/10 20060101ALI20220221BHJP
   A61G 13/12 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
A61G13/06
A61G13/10
A61G13/12 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019533499
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2017084720
(87)【国際公開番号】W WO2018122314
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】102016125800.8
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513242656
【氏名又は名称】マッケ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】オベルト,マイク
(72)【発明者】
【氏名】オルショウスキー,ヤン,ドナート
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-070127(JP,U)
【文献】特開平04-096781(JP,A)
【文献】特開2000-230546(JP,A)
【文献】米国特許第01346586(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/06
A61G 13/10
A61G 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術台の為の台柱脚(2)であって、
床面に前記台柱脚(2)を接続する為の柱脚基部(4)と、
前記台柱脚(2)の頭部を支持する為の高さ調整可能な柱脚頭部支持部(6)と、
前記柱脚基部(4)に対する前記柱脚頭部支持部(6)の高さを調整する為の昇降駆動装置(7)と、
前記柱脚基部(4)に前記柱脚頭部支持部(6)を接続し、前記柱脚頭部支持部(6)を高さ調整する際に前記柱脚頭部支持部(6)の垂直な案内を提供する役割を果たす円筒状の主要な案内部(10)と、
前記柱脚基部(4)に前記柱脚頭部支持部(6)を接続し、前記円筒状の主要な案内部(10)の回転に於ける遊びを減少させ乍らも、前記柱脚頭部支持部(6)を高さ調整する際に前記柱脚頭部支持部(6)に垂直な案内を提供する役割を果たす付加的な安定化案内部(20)と、
を含み、
前記安定化案内部(20)は、連結装置(24)によって前記柱脚頭部支持部(6)に機械的に連結され、
前記連結装置(24)は、前記安定化案内部(20)の噛み付きを防ぐ為に、前記円筒状の主要な案内部(10)と前記安定化案内部(20)との間の調整移動を許容し、
前記連結装置(24)は、複数の構成部品を有し、
前記調整移動は、第2の構成部品(24.7)に対する第1の構成部品(24.8)の3つの異なる回転軸(X、Y、及びZ)廻りの旋回性、及び第4の構成部品(24.6)に対する第3の構成部品(24.3)の1つの並進軸(Q)に沿った移動性によって可能とされ
前記円筒状の主要な案内部(10)は、少なくとも1つのテレスコピックシリンダ(11)を有し、
前記テレスコピックシリンダ(11)は、適合する鍵(18)によって固定され、
前記適合する鍵(18)は、前記テレスコピックシリンダ(11)の垂直軸(Z-Z)廻りの捻れを防ぐ為に、垂直方向(Z)に延びる縦溝(16)に係合し、
前記安定化案内部(20)は、前記柱脚基部(4)に取り付けられ垂直方向(Z)に延びる案内レール(22)と、前記案内レール(22)に案内される案内キャリッジ(23)と、を含み、
前記連結装置(24)は、前記調整移動を可能にする為に、前記柱脚頭部支持部(6)に取り付けられた振子球軸受(24.3)又は玉継手と、前記案内キャリッジ(23)に取り付けられ、前記振子球軸受(24.3)又は玉継手が並進軸(Q)に沿って移動可能に取り付けられる軸受軸頸(24.6)とを有し、
並進軸(Q)は、前記テレスコピックシリンダ(11)の径方向(R)に延びる
事を特徴とする台柱脚(2)。
【請求項2】
前記案内キャリッジ(23)は、前記連結装置(24)によって前記柱脚頭部支持部(6)に取り付けられる
請求項に記載の台柱脚(2)。
【請求項3】
前記案内キャリッジ(23)は、前記案内キャリッジ(23)に配置された前記連結装置(24)の前記軸受軸頸(24.6)によって前記柱脚頭部支持部(6)に取り付けられる
請求項2に記載の台柱脚(2)。
【請求項4】
前記案内レール(22)のレールウェブ(22.3)は、前記円筒状の主要な案内部(10)に対してレール基部(22.1)から始まりレール頭部(22.2)まで径方向(R)に延在する
請求項乃至の何れか一項に記載の台柱脚(2)。
【請求項5】
前記安定化案内部(20)は、前記柱脚頭部支持部(6)の外縁(P)に取り付けられる
請求項1乃至の何れか一項に記載の台柱脚(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に従った手術台の為の台柱脚に関する。
【背景技術】
【0002】
その様な台柱脚は、本出願人の親会社によって考案された独国特許出願公開第102014109377号明細書(E1)によって知られている。この文献で説明された手術台柱脚は、旋回可能な穿孔されたディスク36を有し、ディスク36によって補助的な案内部34aと主要な案内部32との間の調整移動が可能である(図5b及び段落0054を参照)。ディスク36は、シャシ38に接続される。
【0003】
ここでの1つの欠点は、調整移動では、主要な案内部32に対して補助的な案内部34aの全体が移動されるという点である。更に、調整移動は、所定の平面内でのみ行われる(図5bを参照)。
【0004】
別の既知の台柱脚は、添付する図1及び2に図示される。台柱脚2は、柱脚基部4と、高さ調整可能な柱脚頭部支持部6と、昇降駆動装置7と、円筒状の主要な案内部10と、を含む。
【0005】
台柱脚2は、その基部4によって既知の方法で手術室の底に取り付ける事が出来る。代わりに、台柱脚は、床上で移動可能であっても構わない。台柱脚の上部付属構造(不図示)は、柱脚頭部支持部6に取り付けられる。
【0006】
高さを調整する為に、柱脚頭部支持部6は、柱脚基部4に対して上下に移動させる事が出来る。これは、昇降駆動装置7の操作によって達成される。
【0007】
円筒状の主要な案内部10は、高さ調整を制御する為に提供される。ここで示された一例では、それは、テレスコピック案内部である。外側テレスコピックシリンダ11と内側テレスコピックシリンダ12は、共通の案内基部で収縮させ、ここで再び展開させる事が出来る。相互に対する、及び案内基部14に対するテレスコピックシリンダ11及び12の垂直軸Z-Z廻りの捻れを防ぐ為に、テレスコピックシリンダ11及び12は、適合する鍵18と共に働く縦溝16を夫々有する。
【0008】
図2に拡大された図は、外側テレスコピックシリンダ11の縦溝16を極めて詳細に示す。案内基部14の適合する鍵18は、縦溝16に収容される。これは、垂直な上下移動で外側テレスコピックシリンダ11を案内する(矢印F1を参照)。同時に、外側テレスコピックシリンダ11は、垂直軸Z-Z廻りの捻れが防がれる(二重矢印F2を参照)。
【0009】
然し乍ら、図2に角度aで示された様に、僅かな遊びが回転方向F2に残る。より優れた図解の為に、角度aは、非常に誇張された形で示される。適合する鍵18は、回転軸Z-Zに近接して配置される。然し乍ら、台柱脚2に接続された患者支持面の一端は、回転軸Z-Zから1乃至2メートル離れている。従って、角度aによる僅かな回転遊びは、合計で数ミリメートルに及ぶかもしれない、患者支持面の端での著しい回転遊びを示す。その様な遊びは、患者支持面の僅かな揺動をもたらす。然し乍ら、患者支持面のその様な僅かな不安定さは、患者に幾つかの手術での問題を引き起こし得る。
【0010】
別の既知の台柱脚は、独国特許出願公開第4423402号明細書で説明される。
【0011】
独国特許出願公開第2715061号明細書と特開2014-039593号公報も、歯科用椅子の為の既知の昇降装置に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の1つの目的は、垂直軸Z-Z廻りの捻れを防ぐ為にとりわけ高い剛性を有する台柱脚を提供する事である。
【0013】
本発明の別の目的は、安定化案内部の噛み付きを防ぐ為に構造技術の観点からより優れ、より単純な台柱脚を使用可能にする事である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、これらの目的は、請求項1に記載の台柱脚によって達成される。
【0015】
付加的な安定化案内部を提供する事によって、支柱頭部支持部は、第2の位置に垂直軸に沿って案内される。これは、テレスコピックシリンダ11及び12の些細な捻れさえも防ぐ。本発明に従った手術台柱脚の場合は、調整移動では、文献E1によって知られた台柱脚の事例よりも少ない構築部分が必要とされる。
【0016】
更に、安定化案内部は、回転の3つの自由度及び並進の1つの自由度によって噛み付きが防がれる。
【0017】
好ましい実施の形態は、従属項の主題である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態は、以下の図面に関連してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既知の手術台柱脚の透視図を示す。
図2図1の手術台柱脚のテレスコピック案内部の詳細斜視図を示す。
図3】本発明に従った手術台柱脚の透視図を示す。
図4図3の手術台柱脚の安定化案内部の透視図を示す。
図5】本発明に従った安定化案内部の図4の矢印V-Vに従った縦断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図3は、本発明に従った手術台柱脚2の部分を示す。ここで示された部分は、柱脚基部4と、昇降駆動装置7と、柱脚頭部支持部6と、円筒状の主要な案内部10と、本発明に従った安定化案内部20と、を含む。
【0021】
より優れた図解の為に、デカルト座標系X-Y-Zが示される。Z軸は、垂直軸であり、X軸は、水平縦軸であり、Y軸は、水平横軸である。テレスコピックシリンダ11及び12の回転軸Z-Zは、垂直に延びる。回転軸Z-Zに沿った方向は、以下で軸方向と指称され、テレスコピックシリンダの周囲に沿った方向は、周方向と指称され、テレスコピックシリンダ11及び12の径に沿った方向は、径方向Rと指称される(図3の矢印を参照)。
【0022】
柱脚基部4、柱脚頭部支持部6、昇降駆動装置7、及び主要な案内部10は、図1及び2に示された対応する部分と同一であり、従って、再び説明されない。
【0023】
安定化案内部20は、縦軸A-Aに沿った垂直方向Zに延在する。これは、好ましくは、遊びを伴わない圧縮応力を与えられた実施の形態では、ローラ本体円周直線案内部である。代わりに、ローラ本体円周直線案内部は、適切な摺動案内部、例えば、遊びを伴わずに調整する事が出来る蟻継案内部によって置換されるかもしれない。安定化案内部20は、取付腕金21と、取付腕金21に配置された案内レール22と、案内レール22に案内された案内キャリッジ23と、連結装置24と、を含む。
【0024】
図4で理解する事が出来る様に、取付腕金21は、取付側21.3と、案内側21.4と、を有する。取付側21.3と案内側21.4は、相互に所定の角度で配置される。案内側21.4は、取付側21.3を越える上側端21.5によって上方に延在する。従って、台柱脚2を移動させる際に、示されない手術台の部分との衝突を回避する為に、取付側21.3は、案内側21.4と比較すると短くされる。安定化案内部20は、取付側21.3の下側端21.1によって柱脚基部4に固定される。より正確に言えば、下側端21.1は、孔21.2を有し(図4を参照)、それによって、取付腕金21は、柱脚基部4にボルト締めする事が出来る。取付腕金21は、出来る限り高い剛性を有する様に設計され、従って、使用可能な設置空間で出来る限り頑丈である様に設計される。本発明に従った安定化案内部20の1つの変形では、取付腕金21は、案内基部14又は柱脚基部4に統合する事も出来る。
【0025】
案内レール22は、案内側21.4の内面21.6に搭載される。その際に、案内レールの縦軸は、垂直方向Zに延びる。案内レール22は、上側端21.5に延在する。案内レール22は、内面21.6に着座するレール基部22.1を有する。レール頭部22.2は、内面21.6から距離を置かれる。レール基部22.1とレール頭部22.2は、レールウェブ22.3によって相互に接続される。レールウェブ22.3は、レール基部22.1から始まり、円筒状の主要な案内部10(図3を参照)に対して径方向Rにレール頭部22.2まで延在する。
【0026】
取付腕金21と直線案内部の配置は、図に示された様に、与えられた設置空間への最良の統合及び組立での優れたアクセシビリティを達成する様に選択される。本発明に従った安定化案内部20の配置も、当然に変更する事が出来る。
【0027】
安定化案内部20は、その連結装置24によって柱脚頭部支持部6に機械的に連結される。連結装置24は、安定化案内部の噛み付きを防ぐ為に、円筒状の主要な案内部10と安定化案内部20との間の調整移動を許容する。
【0028】
図5に関して、連結装置24は、軸受取付台24.1と、軸受取付台に取り付けられた軸受箱24.2と、軸受箱24.2に配置され、遊びを伴わない圧縮応力を与えられる目的で使用される振子球軸受24.3と、好ましくは、案内キャリッジ23に取り付けられた軸受鍔部24.4と、を上から下に含む。軸受鍔部24.4は、基部本体24.5と、基部本体24.5から離れて突出する軸受軸頸24.6と、を有する。振子球軸受24.3は、並進Q(二重矢印を参照)の軸に沿って軸受軸頸24.6に対して移動可能に取り付けられる。
【0029】
振子球軸受24.3は、内輪24.7と、外輪24.8と、1組の球列24.9と、を有する。外輪24.8は、内輪24.7に対して3つの回転軸X、Y及びZ廻りに旋回する事が出来る。振子球軸受24.3の外輪24.8は、軸方向に固定されるべく軸受箱24.2に押し付けられる。
【0030】
本発明の1つの変形では、振子球軸受は、摩擦軸受として具体化された玉継手によって置換する事が出来る。
【0031】
安定化案内部20は、軸受取付台24.1によって柱脚頭部支持部6の外縁Pに搭載される(図4を参照)。
【0032】
さて、本発明に従った安定化案内部20の機能が説明される。柱脚頭部支持部6が昇降される時に、それは、安定化案内部20に加えて主要な案内部10によっても垂直に案内される。始めに説明された様なテレスコピックシリンダ11及び12に残る捻れ遊びは、付加的な安定化案内部20によって無くされる。同時に、振子球軸受24.3と軸受軸頸24.6のその移動可能な軸受は、重複決定が無い事を保証する。主要な案内部10と安定化案内部20の垂直調整が十分に平行でない場合は、それは、案内レール22に案内キャリッジ23の噛み付きをもたらさないが、代わりに、位置ズレは、外輪24.8の旋回と軸受軸頸24.6の振子球軸受24.3、及び/又は振子球軸受24.3の移動によって補正される。連結装置24によれば、安定化案内部20の縦軸A-Aと主要な案内部10の縦軸Z-Zは、必ずしも平行である必要は無い。これは、本発明に従った手術台柱脚2の製造及び組立を簡素化する。
【0033】
回転軸Z-Zから十分に距離を置いて柱脚頭部支持部6の外縁Pに安定化案内部20が作用するという事実によって、振子球軸受24.3の最小の遊びは、台柱脚に取り付けられた患者支持面の安定性に如何なる言及する価値の有る効果も有さない。
【0034】
本発明に従った台柱脚は、特に好ましくは、手術ロボットアームが装備された手術台の為に使用される。その様なロボット台によって、非常に特別な要求が台柱脚の剛性及び安定性に関して為される。手術台に取り付けられたロボットアームは、患者が確実且つ高精度に手術される事が出来る様に、とりわけ固定されている台に頼らなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5