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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】非軸駆動装置を有する3輪車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/027 20130101AFI20220221BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20220221BHJP
   B60P 9/00 20060101ALI20220221BHJP
   B62J 9/00 20200101ALI20220221BHJP
【FI】
B62K5/027
B60K1/02
B60P9/00
B62J9/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019540385
(86)(22)【出願日】2017-05-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 US2017031944
(87)【国際公開番号】W WO2018140071
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102017000007710
(32)【優先日】2017-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519142217
【氏名又は名称】ピアジオ ファスト フォワード インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン グレゴリー スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】シュナップ ジェフェリー ティー
(72)【発明者】
【氏名】アンブラー エイモス
(72)【発明者】
【氏名】スミス ジャロッド
(72)【発明者】
【氏名】エクメクジャン ナザレ ヴィー
(72)【発明者】
【氏名】サビーノ エマニュエル
【審査官】田中 成彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0346142(US,A1)
【文献】実開平06-061680(JP,U)
【文献】特開2006-116186(JP,A)
【文献】実開昭59-195965(JP,U)
【文献】特開2000-355293(JP,A)
【文献】特開2001-339812(JP,A)
【文献】米国特許第05322140(US,A)
【文献】特開平09-215713(JP,A)
【文献】特表2014-519446(JP,A)
【文献】特表2000-502636(JP,A)
【文献】米国特許第05669619(US,A)
【文献】特表2015-523933(JP,A)
【文献】実開平06-020176(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1598132(KR,B1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2008-0003926(KR,U)
【文献】特開2007-313980(JP,A)
【文献】米国特許第05558174(US,A)
【文献】米国特許第05261684(US,A)
【文献】国際公開第03/065963(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102008379(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1272035(KR,B1)
【文献】特開平9-20250(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140767(WO,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0412471(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/02 - 5/06
B60K 1/02
B60P 9/00
B62J 9/00
A61G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部および第2の端部を有する車台であって、床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁を含むとともに、前記車台の内または上に配置され、前記床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁の一以上によって全体的または部分的に形成される貨物用空洞を含む、車台と、
前記第1の端部において、第1の内側取付け板によって前記車台の第1の側に接続された第1の車輪であって、第1の周囲、第1の直径、および第1の幾何学的中心を有し、前記第1の内側取付け板によって前記第1の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第1の車輪と、
前記第1の端部において、第2の内側取付け板によって前記車台の第2の側に接続された第2の車輪であって、第2の周囲、第2の直径、および第2の幾何学的中心を有し、前記第2の内側取付け板によって前記第2の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第2の車輪と、
前記第1の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第1のモータに動作接続された第1の駆動歯車と、
前記第2の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第2のモータに動作接続された第2の駆動歯車と、
前記第1の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第1の幾何学的中心よりも前記第1の周囲に接近した位置において前記第1の駆動歯車と機械的に係合される第1の複数の歯と、
前記第1の内側取付け板に連結された第1のテンショナ歯車及び第1の遊び歯車であって、前記第1の複数の歯と機械的に係合される第1のテンショナ歯車および前記第1の遊び歯車と、
前記第2の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第2の幾何学的中心よりも前記第2の周囲に接近した位置において前記第2の駆動歯車と機械的に係合される第2の複数の歯と、
前記第2の端部において前記車台に回転可能に接続されたマウントと、
前記マウントに回転可能に接続された第3の車輪と、
を備え、
前記第1のモータおよび前記第1の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第1の幾何学的中心より遠い側に位置し、
前記第2のモータおよび前記第2の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第2の幾何学的中心より遠い側に位置する、
ことを特徴とする、3輪車両。
【請求項2】
請求項1に記載の3輪車両であって、第1のテンショナ歯車マウントが、前記第1のテンショナ歯車マウントの回転が前記第1の遊び歯車および前記第1の駆動歯車に対して前記第1の車輪の張力を調整するように、前記第1のテンショナ歯車を回転可能に搭載することを特徴とする、3輪車両。
【請求項3】
請求項1に記載の3輪車両であって、前記マウントが、前記車台に対して360度回転し、また、前記マウントが、車輪軸に対して実質的に垂直なマウント軸のまわりで前記車台に対して回転することを特徴とする、3輪車両。
【請求項4】
請求項1に記載の3輪車両であって、前記第1の車輪の回転速度が第1のブレーキディスクの回転速度の減少とともに減少するように前記第1の車輪に回転可能に関連付けられた前記第1のブレーキディスクと、前記第2の車輪の回転速度が第2のブレーキディスクの回転速度の減少とともに減少するように前記第2の車輪に回転可能に関連付けられた前記第2のブレーキディスクと、をさらに含むことを特徴とする、3輪車両。
【請求項5】
請求項4に記載の3輪車両であって、第1の駆動軸が、前記第1のブレーキディスクと前記第1の車輪との間に配置されてそれらを相対回転可能に接続し、第2の駆動軸が、前記第2のブレーキディスクと前記第2の車輪の間に配置されてそれらを相対回転可能に接続することを特徴とする、3輪車両。
【請求項6】
請求項4に記載の3輪車両であって、第1の制動作動装置が、前記第1のブレーキディスクの回転速度を摩擦的に減少させるためのエネルギーを提供し、第2の制動作動装置が、前記第2のブレーキディスクの回転速度を摩擦的に減少させるためのエネルギーを提供することを特徴とする、3輪車両。
【請求項7】
請求項1に記載の3輪車両であって、前記第1のモータおよび前記第2のモータが、前記3輪車両の回生制動を行い、それにより、前記3輪車両の運動エネルギーが、前記第1のモータおよび前記第2のモータを介して電気エネルギーに変換されることを特徴とする、3輪車両。
【請求項8】
請求項1に記載の3輪車両であって、電動舵取モータが、前記車台に対する前記マウントの回転を少なくとも部分的に制御することを特徴とする、3輪車両。
【請求項9】
請求項1に記載の3輪車両であって、前記第1の直径および前記第2の直径がそれぞれ、全車高の少なくとも80%であることを特徴とする、3輪車両。
【請求項10】
請求項1に記載の3輪車両であって、前記第1の複数の歯が、前記第1の車輪の前記第1の周囲のまわりで前記第1の駆動歯車と機械的に係合し、前記第2の複数の歯が、前記第2の車輪の前記第2の周囲のまわりで前記第2の駆動歯車と機械的に係合することを特徴とする、3輪車両。
【請求項11】
請求項10に記載の3輪車両であって、前記第1の車輪の内表面に連結された前記第1の複数の歯を含む第1の輪歯車と、前記第2の車輪の内表面に連結された前記第2の複数の歯を含む第2の輪歯車とをさらに備えることを特徴とする、3輪車両。
【請求項12】
請求項10に記載の3輪車両であって、前記第1の複数の歯が、前記第1の車輪の内表面に固定された第1の駆動ベルト上に配置され、前記第2の複数の歯が、前記第2の車輪の内表面に固定された第2の駆動ベルト上に配置されることを特徴とする、3輪車両。
【請求項13】
請求項1に記載の3輪車両であって、前記第1の車輪と前記第2の車輪の間に少なくとも部分的に位置して前記車台によって支持される貨物用空洞をさらに備えることを特徴とする、3輪車両。
【請求項14】
請求項1に記載の3輪車両であって、前記第3の車輪が、マウント懸架システムを介して前記車台と動作的に関連付けられることを特徴とする、3輪車両。
【請求項15】
第1の端部および第2の端部を有する車台であって、床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁を含むとともに、前記車台の内または上に配置され、前記床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁の一以上によって全体的または部分的に形成される貨物用空洞を含む、車台と、
前記第1の端部において前記車台に回転可能に接続された第1の車輪であって、第1の周囲、第1の直径、および第1の幾何学的中心を有し、前記第1の周囲の内部に第1の複数の歯が配設された、第1の車輪と、
前記第1の端部において前記車台に回転可能に接続された第2の車輪であって、第2の周囲、第2の直径、および第2の幾何学的中心を有し、前記第2の周囲の内部に第2の複数の歯が配設された、第2の車輪と、
第1の駆動歯車を介して、前記第1の車輪を回転させる第1の駆動エネルギーを提供する第1のモータと、
第2の駆動歯車を介して、前記第2の車輪を回転させる第2の駆動エネルギーを提供する第2のモータと、
前記第1の車輪と前記第2の車輪の間に少なくとも部分的に位置して前記車台によって支持される貨物用空洞と、
前記第2の端部においてマウントに回転可能に接続された第3の車輪と、
を備え、
前記第1のモータおよび前記第1の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第1の幾何学的中心より遠い側に位置し、
前記第2のモータおよび前記第2の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第2の幾何学的中心より遠い側に位置する、
ことを特徴とする、3輪車両。
【請求項16】
請求項15に記載の3輪車両であって、
前記第1の車輪と前記車台との回転可能な接続を容易化する第1の内側取付け板であって、前記第1の駆動歯車が連結される第1の内側取付け板と、
前記第1の内側取付け板に連結されて、前記第1の周囲の前記内部に配設された前記第1の複数の歯と係合する少なくとも1つの第1のテンショナ歯車および/または少なくとも1つの第1の遊び歯車と、
をさらに備えることを特徴とする、3輪車両。
【請求項17】
請求項16に記載の3輪車両であって、
前記第2の車輪と前記車台との回転可能な接続を容易化する第2の内側取付け板であって、前記第2の駆動歯車が連結される第2の内側取付け板と、
前記第2の内側取付け板に連結されて、前記第2の周囲の前記内部に配設された前記第2の複数の歯と係合する少なくとも1つの第2のテンショナ歯車および/または少なくとも1つの第2の遊び歯車と、
をさらに備えることを特徴とする、3輪車両。
【請求項18】
請求項15に記載の3輪車両であって、前記第1の車輪が前記車台の第1の側に接続され、前記第2の車輪が前記車台の第2の側に接続されることを特徴とする、3輪車両。
【請求項19】
請求項15に記載の3輪車両であって、前記第1の直径および前記第2の直径がそれぞれ、全車高の少なくとも80%であることを特徴とする、3輪車両。
【請求項20】
第1の端部および第2の端部を有する車台であって、床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁を含むとともに、前記車台の内または上に配置され、前記床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁の一以上によって全体的または部分的に形成される貨物用空洞を含む、車台と、
前記第1の端部において、第1の内側取付け板によって前記車台の第1の側に接続された第1の車輪であって、第1の周囲、第1の直径、および第1の幾何学的中心を有し、前記第1の内側取付け板によって前記第1の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第1の車輪と、
前記第1の端部において、第2の内側取付け板によって前記車台の第2の側に接続された第2の車輪であって、第2の周囲、第2の直径、および第2の幾何学的中心を有し、前記第2の内側取付け板によって前記第2の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第2の車輪と、
前記第1の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第1のモータに動作接続された第1の駆動歯車と、
前記第2の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第2のモータに動作接続された第2の駆動歯車と、
前記第1の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第1の幾何学的中心よりも前記第1の周囲に接近した位置において前記第1の駆動歯車と機械的に係合される第1の複数の歯と、
前記第2の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第2の幾何学的中心よりも前記第2の周囲に接近した位置において前記第2の駆動歯車と機械的に係合される第2の複数の歯と、
前記第2の端部において前記車台に回転可能に接続されたマウントと、
前記マウントに回転可能に接続された第3の車輪と、
前記車台に対する前記マウントの回転を少なくとも部分的に制御する電動舵取モータと、
を備え、
前記第1のモータおよび前記第1の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第1の幾何学的中心より遠い側に位置し、
前記第2のモータおよび前記第2の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第2の幾何学的中心より遠い側に位置する、
ことを特徴とする、3輪車両。
【請求項21】
第1の端部および第2の端部を有する車台であって、床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁を含むとともに、前記車台の内または上に配置され、前記床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁の一以上によって全体的または部分的に形成される貨物用空洞を含む、車台と、
前記第1の端部において、第1の内側取付け板によって前記車台の第1の側に接続された第1の車輪であって、第1の周囲、第1の直径、および第1の幾何学的中心を有し、前記第1の内側取付け板によって前記第1の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第1の車輪と、
前記第1の端部において、第2の内側取付け板によって前記車台の第2の側に接続された第2の車輪であって、第2の周囲、第2の直径、および第2の幾何学的中心を有し、前記第2の内側取付け板によって前記第2の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第2の車輪と、を備え、
前記第1の直径および前記第2の直径がそれぞれ、全車高の少なくとも80%である、3輪車両であって、さらに、
前記第1の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第1のモータに動作接続された第1の駆動歯車と、
前記第2の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第2のモータに動作接続された第2の駆動歯車と、
前記第1の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第1の幾何学的中心よりも前記第1の周囲に接近した位置において前記第1の駆動歯車と機械的に係合される第1の複数の歯と、
前記第2の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第2の幾何学的中心よりも前記第2の周囲に接近した位置において前記第2の駆動歯車と機械的に係合される第2の複数の歯と、
前記第2の端部において前記車台に回転可能に接続されたマウントと、
前記マウントに回転可能に接続された第3の車輪と、
を備え、
前記第1のモータおよび前記第1の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第1の幾何学的中心より遠い側に位置し、
前記第2のモータおよび前記第2の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第2の幾何学的中心より遠い側に位置する、
ことを特徴とする、3輪車両。
【請求項22】
第1の端部および第2の端部を有する車台であって、床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁を含むとともに、前記車台の内または上に配置され、前記床、第1の端壁、第1の側壁、第2の側壁、第2の端壁の一以上によって全体的または部分的に形成される貨物用空洞を含む、車台と、
前記第1の端部において、第1の内側取付け板によって前記車台の第1の側に接続された第1の車輪であって、第1の周囲、第1の直径、および第1の幾何学的中心を有し、前記第1の内側取付け板によって前記第1の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第1の車輪と、
前記第1の端部において、第2の内側取付け板によって前記車台の第2の側に接続された第2の車輪であって、第2の周囲、第2の直径、および第2の幾何学的中心を有し、前記第2の内側取付け板によって前記第2の車輪と前記車台との回転可能な接続が容易化された、第2の車輪と、
前記第1の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第1のモータに動作接続された第1の駆動歯車と、
前記第2の内側取付け板に回転可能に取り付けられ、かつ、第2のモータに動作接続された第2の駆動歯車と、
前記第1の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第1の幾何学的中心よりも前記第1の周囲に接近した位置において前記第1の駆動歯車と機械的に係合される第1の複数の歯と、
前記第2の車輪のまわりに配置され、かつ、前記第2の幾何学的中心よりも前記第2の周囲に接近した位置において前記第2の駆動歯車と機械的に係合される第2の複数の歯と、
前記第2の端部において前記車台に回転可能に接続されたマウントと、
前記マウントに回転可能に接続された第3の車輪と、
前記第1の車輪と前記第2の車輪の間に少なくとも部分的に位置して前記車台によって支持される貨物用空洞と、
を備え、
前記第1のモータおよび前記第1の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第1の幾何学的中心より遠い側に位置し、
前記第2のモータおよび前記第2の駆動歯車は前記車台の前記第1および第2の端部の間に位置する中央部から見て前記第2の幾何学的中心より遠い側に位置する、
ことを特徴とする、3輪車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に車両に関し、より詳細には自律または半自律の車両に関するが、これらに限られない。
【背景技術】
【0002】
本願は、2017年1月25日に出願し「THREE-WHEELED VEHICLE HAVING NON- AXIAL DRIVE」と題した伊国特許出願第102017000007710号の優先権および利益を主張するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第5558174号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0705724号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/245593号明細書
【文献】米国特許第5343974号明細書
【文献】国際公開第2008/067822号
【文献】国際公開第03/065963号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両は、多くの場合、推進力を車両運動に変換するために使用される様々な数、サイズ、および構成の車輪を含む。そのような車輪は一般に、車両に直接にまたは間接的に回転可能に取り付けられる。車輪は、回転軸のまわりで回転し、また、車輪と車両との間の接続部、または推進力源と車輪との間の駆動経路は、一般に回転軸と同軸に配置される。しかし、既存の車両と車輪との間のそのような取付けおよび駆動装置の構成は、車両設計または車両性能特性を制限する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主題技術のいくつかの態様によれば、3輪車両が提供され、かつ、高さ、長さ、および幅を有する車台を含む。車台は、第1の端部および第2の端部をさらに含む。第1の車輪が、第1の端部において車台に回転可能に接続される。第1の車輪は、第1の周囲、第1の直径、および第1の幾何学的中心を有する。第2の車輪もまた、第1の端部において車台に回転可能に接続される。第2の車輪は、第2の周囲、第2の直径、および第2の幾何学的中心を有する。第1のモータが、第1の駆動列を介して第1の車輪に第1の駆動エネルギーを提供し、第2のモータが、第2の駆動列を介して第2の車輪に第2の駆動エネルギーを提供する。第1の駆動歯車が、第1の駆動列の回転と一緒に回転するように第1の駆動列に接続され、第2の駆動歯車が、第2の駆動列の回転と一緒に回転するように第2の駆動列に接続される。第1の複数の歯が、第1の車輪のまわりに配置され、かつ、第1の幾何学的中心よりも第1の周囲に接近した位置において第1の駆動歯車と機械的に係合される。第2の複数の歯が、第2の車輪のまわりに配置され、かつ、第2の幾何学的中心よりも第2の周囲に接近した位置において第2の駆動歯車と機械的に係合される。マウントが、第2の端部において車台に回転可能に接続され、第3の車輪が、マウントに回転可能に接続される。
【0006】
主題技術のいくつかの態様によれば、3輪車両が、高さ、長さ、および幅を有する車台を含む。車台は、第1の端部および第2の端部をさらに含み、第1の車輪が、第1の端部において車台に回転可能に接続される。第1の車輪は、第1の周囲、第1の直径、および第1の幾何学的中心を有する。第2の車輪が、第1の端部において車台に回転可能に接続され、また、第2の車輪は、第2の周囲、第2の直径、および第2の幾何学的中心を有する。第1の駆動手段が、第1の車輪に第1の駆動エネルギーを提供し、第2の駆動手段が、第2の車輪に第2の駆動エネルギーを提供する。第1の連結手段が、第1の車輪に第1の駆動エネルギーを提供し、前述の第1の連結手段は、第1の幾何学的中心よりも第1の周囲に接近した位置において第1の車輪と機械的に係合する。第2の連結手段が、第2の車輪に第2の駆動エネルギーを提供し、前述の第2の連結手段は、第2の幾何学的中心よりも第2の周囲に接近した位置において第2の車輪と機械的に係合する。マウントが、第2の端部において車台に回転可能に接続し、第3の車輪が、マウントに回転可能に接続される。
【0007】
さらなる理解を提供するために含まれかつ本明細書に援用されてその一部を構成する添付の図面は、開示される態様を例示するものであり、また、本明細書と一緒に、開示される態様の原理を説明する働きをする。
【0008】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれるものであり、排他的な実施と見なされるべきではない。開示される主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形式および機能において多数の修正、変換、組合せ、および均等物の可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の例示的な実施による車両の上方斜視図である。
図2】本開示の例示的な実施による車両の上面図である。
図3】本開示の例示的な実施による車両の右側斜視図である。
図4】車両から分解されたいくつかの要素を示す、本開示の例示的な実施による車両の斜視図である。
図5】本開示の例示的な実施による駆動システムの上面図である。
図6】本開示の例示的な実施による車両および駆動システムの要素の正面図である。
図7】本開示の例示的な実施による車両のための駆動システムの要素の分解組立斜視図である。
図8】本開示の例示的な実施による車両のための駆動システムの要素の別の分解組立斜視図である。
図9】本開示の例示的な実施による車両および車両のための駆動システムの要素の斜視図である。
図10】本開示の例示的な実施による車両および車両のための駆動システムの要素の別の斜視図である。
図11】本開示の例示的な実施による車両のための張力調整システムの斜視図である。
図12】本開示の例示的な実施による車両のための張力調整システムの別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は多くの異なる形態での実施が可能であるが、本開示は本開示の原理の例示と見なされるべきものでありかつ本開示の広範な態様を例示された実施に限定することを意図するものではないという理解の下で、図面に示されており、かつ、本明細書において本開示の詳細な実施で説明される。
【0011】
本明細書において開示されるのは、車両およびその要素の例示的な実施である。図1に示されるように、本開示は、車台14を含む車両10を提供する。車両10は、高さ15、長さ16、および幅17を画定する。いくつかの実施では、車台14は、床18、第1の側壁22、および第2の側壁23を含む。車台14はまた、第1の端壁24、および第2の端壁34を含む。貨物用空洞50が、車台14内または車台14上に配置され、かつ、床18、第1の側壁22、第2の側壁23、第1の端壁24、および第2の端壁34のうちの1つ以上により全体的にまたは部分的に形成され得る。床18、ならびに第1の側壁22、第2の側壁23、第1の端壁24、および第2の端壁34は、実質的に直角に結合され得るが、他の構成も本開示の範囲に含まれる。例えば、床18、ならびに第1の側壁22、第2の側壁23、第1の端壁24、および第2の端壁34は、鋭角または鈍角の湾曲した結合部によって結合されてもよい。車両10はまた、第1の端部20、および第2の端部21を含む。
【0012】
貨物用空洞50は、いくつかの実施では、第1の貨物用区画62、および第2の貨物用区画63を含む。第2の貨物用区画63は、いくつかの実施では、取外し可能な蓋64で封じることができる。いくつかの実施では、取外し可能な蓋64は、第2の貨物用区画63に対してロック可能である。さらに、いくつかの実施では、車両10の重量は、50ポンド(22.7kg)以上150ポンド(68.0kg)以下である。
【0013】
図2に示されるように、車両10は、車両10の両側に配置された第1の車輪100および第2の車輪126を含む。車輪軸70が、一般に、第1の車輪100と第2の車輪126との間に延在し、また、車輪軸70は、一般に、第1の車輪100および第2の車輪126の両方の回転軸と同軸である。さらに、以下で説明されるように、車輪軸70は、一般に、第1の車輪100および第2の車輪126の幾何学的中心間に延在する。さらに、追加的なユーザインタフェース特徴、装飾的意匠特徴、および性能特性を提供するために、様々な整形板(図示せず)が車両10に追加され得る。そのまわりで第3の車輪80が回転しまた以下で説明される第3の車輪軸72も、図2に見ることができる。
【0014】
図3は、車両10の右側斜視図を示す。図3に示されるように、第3の車輪80は、第3の車輪マウント84によって回転可能に支持され、第3の車輪マウント84は、車台14に回転可能に接続される。第3の車輪マウント84は、マウント軸88のまわりで回転する。いくつかの実施では、第3の車輪マウント84は、車台14に対してマウント軸88のまわりで360度回転することができる。いくつかの実施では、マウント軸88は、車輪軸70に対して実質的に垂直である。さらに、いくつかの実施では、マウント軸88は、第3の車輪軸72に対して実質的に垂直である。
【0015】
マウントモータ75が、第3の車輪マウント84を車台14に対してマウント軸88のまわりで回転させ得る。マウントモータ75は、電気モータであってもよく、また、第3の車輪マウント84および/もしくは車台14上、または第3の車輪マウント84および/もしくは車台14内に配置されてもよい。いくつかの実施では、車両10は、マウントモータ75を含まず、第3の車輪マウント84は、車両10および/または車台14に対して受動的に回転する。
【0016】
同じく図3に示されるように、第3の車輪懸架システム86が、第3の車輪80を車台14に対して部分的にまたは全体的に懸架する。したがって、第3の車輪80は、第3の車輪懸架システム86を介して車台14に動作的に関連付けられる。第3の車輪懸架要素87が、車台14に対する第3の車輪80のための減衰および/または懸架特性を提供する。第3の車輪懸架要素87は、いくつかの実施では、ばね、空気圧チャンバ、または電磁ダンパを含む。さらに、いくつかの実施では、第3の車輪懸架要素87は、第3の車輪80と車台14との間に様々な度合いの懸架および/または減衰特性を提供するように調整される。第3の車輪タイヤ89もまた、第3の車輪80のまわりに配置される。いくつかの実施では、第3の車輪80は、直径が2インチ(5.08cm)から20インチ(50.8cm)の間である。
【0017】
いくつかの実施では、本開示は、図4に示されるような第1の車輪100および第2の車輪126を提供する。第1の車輪100は、車台14に回転可能に取り付けられる。いくつかの実施では、第1の車輪100は、車両10の別の部分に回転可能に取り付けられる。第1の車輪100は、第1の周囲101、第1の幾何学的中心102、および第1の直径103を含む。いくつかの実施では、第1の車輪100の直径は、車両10の高さ15および/または幅17の少なくとも80%である。
【0018】
第1の車輪100は、第1の車輪100の第1の外表面110を実質的に画定する第1のリム104を含む。第1のタイヤ108が、第1のリム104のまわりに配置され、また、いくつかの実施では、第1のタイヤ108が第1のリム104と一緒に回転するように、第1のリム104に取外し可能に取り付けられる。第1のタイヤ108は、ゴム、ポリマー、または任意の他の適切な材料から作られる。第1のタイヤ108は、第1の車輪100および車両10を保護する働きをし、さらに、第1の車輪100と地面との間の摩擦接触を提供して、車両10の性能を高める。
【0019】
第1の車輪100はまた、第1の内表面112を含み、第1の内表面112は、第1の車輪100の第1の外表面110の反対側に配置される。第1の内表面112は、第1の複数の歯116を含む。第1の複数の歯116は、第1の複数の歯116の回転が第1のリム104の回転に相当するように、第1のリム104に接続される。いくつかの実施では、第1の複数の歯116は、第1の内表面112と一体に形成される。いくつかの実施では、第1の複数の歯116は、第1の内表面に恒久的にまたは取外し可能に取り付けられる。いくつかの実施では、第1の内表面112および第1の複数の歯116は、第1の車輪100の第1の内表面112上に第1の輪歯車120を事実上形成する。第1の複数の歯116および第1の内表面112は、金属、金属合金、セラミック、ポリマー、複合材料、または任意の他の適切な材料から形成され得る。
【0020】
いくつかの実施では、第1の複数の歯116は、図1に最も良く示されるように、第1の歯付きベルト124上に配置される。第1の歯付きベルト124は、第1の車輪100の第1の内表面112に恒久的にまたは取外し可能に取り付けられる。第1の歯付きベルト124上の第1の複数の歯116は、第1の複数の歯116の回転が第1のリム104の回転をもたらすように、第1のリム104に接続される。第1の歯付きベルト124は、金属、金属合金、セラミック、ポリマー、複合材料、または任意の他の適切な材料で形成され得る。
【0021】
車両10は、図3および図4に最も良く示されるように、第2の周囲130、第2の幾何学的中心134、第2の直径138、第2のリム142、第2のタイヤ146、第2の外表面150、第2の内表面154、第2の複数の歯158、および第2の輪歯車162または第2の歯付きベルト166を有する、第2の車輪126を含む。いくつかの実施では、第2の直径138は、車両10の高さ15および/または幅17の少なくとも80%である。これらの「第2の」要素のそれぞれは、上記で説明されたそれらの対応する「第1の」要素と同じように、互いに接続しかつ動作的に関連する。例えば、第2のタイヤ146および第2のリム142は、第1のタイヤ108および第1のリム104と同じように、互いに接続しかつ動作的に関連する。いくつかの実施では、第1の車輪100および第2の車輪126は、直径が10インチから40インチの間である。
【0022】
本開示の態様は、図4~8に最も良く示されるように、駆動システム190をさらに含む。図5に戻り参照すると、駆動システム190は、駆動力を生成しかつ/または第1の車輪100および第2の車輪126に駆動力を伝達するように構成される。駆動システム190は、第1のモータ194と第1の車輪100とを動作的に接続するための第1の駆動列192を含む。第1のモータ194は、いくつかの実施では電気モータである。いくつかの実施では、内燃機関も考えられる。第1のモータ194は、電池202(図4および6に示す)もしくは燃料電池から電気エネルギーを受け取り、または、燃料源もしくは燃料タンク(図示せず)から燃料を受け取る。第1のモータ制御装置198が、第1のモータ194に命令を提供し、また、第1のモータ制御装置198は、第1のモータ194内、または車両10の別の箇所に配置され得る。第1のモータ194は、第1のモータ194と第1の駆動歯車212との間に配置された第1の駆動列192の要素を介して、第1の駆動歯車212を回転させる。第1の駆動歯車212は、第1の駆動歯車212と一緒に回転しかつ第1の駆動歯車212に堅固に取り付けられる、複数の第1の駆動歯車歯を含む。第1の駆動歯車212は、いくつかの実施では、非線形のまたは角度を付けられた形状で形成された歯を含み、第1の複数の歯116は、機械的に係合するまたは同一の形状を含む。第1の駆動歯車212は、いくつかの実施では、矢羽根形状および/または直線形状で形成された歯を含み、複数の歯116は、機械的に係合するまたは同一の形状を含む。
【0023】
第1の駆動列192は、回転可能に連結された1つ以上の要素を含み、これらの要素のうちの1つの要素の回転が、残りの要素の回転に対応する。図5に示されるように、第1の駆動列192は、第1の中央自在継手204、第1の駆動軸206、第1の遠位自在継手210、および第1の車軸211を含む。これらの要素は、図5に最も良く示されている。
【0024】
第1の駆動歯車212は、第1の車輪100の第1の複数の歯116に係合して、それを駆動する。動作にあたっては、第1のモータ194は、第1の中央自在継手204を回転させ、第1の中央自在継手204は順番に、第1の駆動軸206、第1の遠位自在継手210、第1の車軸211、および第1の駆動歯車212を回転させ、第1の駆動歯車212は、第1の複数の歯116および複数の第1の駆動歯車歯の係合を通じて、第1の車輪100を回転させる。いくつかの実施では、第1の複数の歯116は、第1の車輪100の第1の周囲101のまわりで第1の駆動歯車212と機械的に係合する。
【0025】
図5に示されるように、第2の駆動列218が、第2の車輪126に駆動力を提供する。車両10は、第2のモータ220、第2のモータ制御装置224、第2の中央自在継手232、第2の駆動軸236、第2の遠位自在継手240、第2の車軸242、および、複数の第2の駆動歯車歯を有する第2の駆動歯車244を含む。これらの「第2の」要素のそれぞれは、上記で説明されたそれらの対応する「第1の」要素と同じように、互いに接続しかつ動作的に関連する。例えば、第2の駆動軸236および第2の中央自在継手232は、第1の駆動軸206および第1の中央自在継手204と同じように、互いに回転可能に接続されかつ動作的に関連付けられる。いくつかの実施では、第2の複数の歯158は、第2の車輪126の第2の周囲130のまわりで第2の駆動歯車244と機械的に係合する。
【0026】
図4はまた、第1の車輪100と車台14との間の回転可能な接続を容易にする第1の内側取付け板270を示す。第1の内側取付け板270は、第1の遊び歯車176および第2の遊び歯車177、ならびに第1の車軸211および第1の駆動歯車212を回転可能に搭載する。第1の内側取付け板270はまた、以下で説明される第1のテンショナ歯車284を回転可能に搭載する。第1の遊び歯車176、第2の遊び歯車177、第1の駆動歯車212、および第1のテンショナ歯車284のそれぞれは、第1の複数の歯116と機械的に係合する。同様に、やはり図4に示されるように、第2の内側取付け板274が、第2の車輪126と車台14との間の回転可能な接続を容易にする。第2の内側取付け板274は、第3の遊び歯車178および第4の遊び歯車179、ならびに第2の車軸242および第2の駆動歯車244を回転可能に搭載する。第2の内側取付け板274はまた、以下で説明される第2のテンショナ歯車304を回転可能に搭載する。第3の遊び歯車178、第4の遊び歯車179、第2の駆動歯車244、および第2のテンショナ歯車304のそれぞれは、第2の複数の歯158と機械的に係合する。
【0027】
車両10は、複数の方向に推進されることができ、また、第1のモータ194および第2のモータ220の選択的な動作により、方向を変更することができる。いくつかの実施では、マウントモータ75もまた、第3の車輪マウント84をマウント軸88のまわりで車台14に対して回転させることにより、車両10の方向の変更を促進し得る。車両10は、種々のセンサ、受信機、およびプロセッサを使用して様々な経路を自律的に進行することができ、または、遠隔制御もしくは予めプログラムされた動作命令の下で動作することができる。
【0028】
制動システム320が、図6~8に示されている。図6を参照すると、第1のブレーキディスク324が、第1の駆動列192に取り付けられている。第1のブレーキディスク324は、第1のブレーキディスク324の回転運動が第1の駆動列192の回転運動に対応するように、また逆の場合も同様であるように、第1の駆動列192に回転可能に接続される。第1のブレーキディスク324は、第1の駆動軸206、第1の車軸211、または第1の駆動列192の任意の他の軸、継手、回転要素、もしくは構成要素などの、第1の駆動列192の任意の要素上またはその周辺に配置され得る。第1のキャリパ328が、摩擦要素が第1のブレーキディスク324に接触して回転運動エネルギーを熱エネルギーに変換することにより第1のブレーキディスク324の回転速度の減少を摩擦的に生じさせるように、少なくとも1つの摩擦要素を第1のブレーキディスク324の1つ以上の側面に選択的に当てる。第1のキャリパ作動装置332が、ブレーキエネルギーが第1のキャリパ作動装置332から第1のキャリパ328に提供されて第1のブレーキディスク324の回転速度を摩擦的に減少させるように、第1のキャリパ328に制動エネルギーを選択的に提供する。ブレーキエネルギーは、液圧もしくは空気圧、機械式ケーブル、または任意の他の適切な機械的手段もしくは電気的手段により、第1のキャリパ作動装置332から第1のキャリパ328に伝えられる。
【0029】
同じく図6~8に示されるように、第2のブレーキディスク336が、第2の駆動列218上に配置される。車両10は、第2のキャリパ340および第2のキャリパ作動装置344を含む。これらの「第2の」要素のそれぞれは、上記で説明されたそれらの対応する「第1の」要素と同じように、互いに接続しかつ動作的に関連する。例えば、第2のブレーキディスク336および第2の駆動列218は、第1のブレーキディスク324および第1の駆動列192と同じように、互いに回転可能に接続されかつ動作的に関連付けられる。制動システム320の要素は、図7および8において斜視図で示されている。
【0030】
いくつかの実施では、第1のモータ194は、車両10の運動からの運動エネルギーおよび/または第1の車輪100の回転からの運動エネルギーを第1のモータ194を介して電気エネルギーに変換することにより、車両10および/または第1の車輪100の回生制動を選択的に行う。このようにして、車両10の運動からの運動エネルギーおよび/または第1の車輪100の回転からの運動エネルギーは、電池202に蓄えられ得る電気エネルギーに変換され、第1の車輪100の回転速度および/または車両10の速度が減少される。同様に、いくつかの実施では、第2のモータ220は、車両10の運動からの運動エネルギーおよび/または第2の車輪126の回転からの運動エネルギーを第2のモータ220を介して電気エネルギーに変換することにより、車両10および/または第2の車輪126の回生制動を選択的に行う。このようにして、車両10の運動からの運動エネルギーおよび/または第2の車輪126の回転からの運動エネルギーは、電池202に蓄えられ得る電気エネルギーに変換され、第2の車輪126の回転速度および/または車両10の速度が減少される。特定のモードでは、車両10は、第1のモータ194および第2のモータ220の一方もしくは両方からの回生制動を用いること、制動システム320からの機械的制動を用いること、または、第1のモータ194および第2のモータ220の一方もしくは両方からの回生制動を制動システム320からの機械的制動と一緒に用いることができる。
【0031】
引き続き図7および8を参照すると、第1の駆動列支持構造250、第2の駆動列支持構造251、および中央支持構造262が、第1の駆動列192、第2の駆動列218、および制動システム320の要素を構造的に支持する。第1の駆動列支持構造250、第2の駆動列支持構造251、および中央支持構造262は、いくつかの実施では、一緒に堅固に接続されて、車台14の構造上部分を形成する。
【0032】
図9を参照すると、第1の懸架システム360が示されている。第1の懸架システム360は、車台14に対する第1の車輪100のための減衰特性および/または懸架特性を提供する、第1の懸架要素364を含む。第1の懸架要素364は、いくつかの実施では、ばね、空気圧チャンバもしくは液圧チャンバ、または電磁ダンパを含む。いくつかの実施では、第1の懸架要素364の第1の端部365が、第1の外側取付け構造256に接続され、一方で、第1の懸架要素364の第2の端部366が、車台14に直接にまたは間接的に接続される。第1の外側取付け構造256は、第1の遊び歯車176、第2の遊び歯車177、第1の駆動歯車212、第1のテンショナ歯車284、および第1の懸架要素364の第1の端部365のうちの1つ以上に接続する。
【0033】
図10は、車台14に対する第2の車輪126のための減衰特性および/または懸架特性を提供する第2の懸架要素374を含む、第2の懸架システム370を示す。第2の懸架要素374は、いくつかの実施では、ばね、空気圧チャンバもしくは液圧チャンバ、または電磁ダンパを含む。いくつかの実施では、第2の懸架要素374の第1の端部375が、第2の外側取付け構造258に接続され、一方で、第2の懸架要素374の第2の端部376が、車台14に直接にまたは間接的に接続される。第2の外側取付け構造258は、第3の遊び歯車178、第4の遊び歯車179、第2の駆動歯車244、第2のテンショナ歯車304、および第2の懸架要素374の第1の端部375のうちの1つ以上に接続する。
【0034】
図11は、第1のテンショナ歯車284および第1のテンショナ歯車マウント288を含む第1の張力調整システム280を示す。第1のテンショナ歯車マウント288は、いくつかの実施では、車台14、第1の外側取付け構造256、および/または第1の内側取付け板270に回転可能に取り付けられる。第1のテンショナ歯車マウント288の回転点(rotation point)292が、第1のテンショナ歯車マウント288と、第1のテンショナ歯車マウント288が回転可能に取り付けられる車台14、第1の外側取付け構造256、および/または第1の内側取付け板270との間の相対的回転の軸に沿った点を示す。第1のテンショナ歯車284に対する第1のテンショナ歯車マウント288の回転点296が、第1のテンショナ歯車マウント288と第1のテンショナ歯車284との間の相対的回転の軸に沿った点を示す。回転点292および296は異なるので、第1のテンショナ歯車マウント288が回転可能に取り付けられる車台14、第1の外側取付け構造256、および/または第1の内側取付け板270のうちの1つ以上に対する第1のテンショナ歯車マウント288の回転が、回転点296と第1の内表面112上の点との間の距離が変更されるにつれて、第1の車輪100の張力の変化をもたらす。さらに、いくつかの実施では、回転点296は、第1のテンショナ歯車284の幾何学的中心に一致する。
【0035】
図12は、第2のテンショナ歯車304および第2のテンショナ歯車マウント308を含む第2の張力調整システム300を示す。第2のテンショナ歯車マウント308の回転点312が、第2のテンショナ歯車マウント308と、第2のテンショナ歯車マウント308が回転可能に取り付けられる車台14、第2の外側取付け構造258、および/または第2の内側取付け板274との間の相対的回転の軸に沿った点を示す。第2のテンショナ歯車304に対する第2のテンショナ歯車マウント308の回転点316が、第2のテンショナ歯車マウント308と第2のテンショナ歯車304との間の相対的回転の軸に沿った点を示す。これらの「第2の」要素のそれぞれは、上記で説明されたそれらの対応する「第1の」要素と同じように、互いに接続しかつ動作的に関連する。回転点316および312は異なるので、第2のテンショナ歯車マウント308が回転可能に取り付けられる車台14、第2の外側取付け構造258、および/または第2の内側取付け板274のうちの1つ以上に対する第2のテンショナ歯車マウント308の回転が、回転点316と第2の内表面154との間の距離が変更されるにつれて、第2の車輪126の張力の変化をもたらす。さらに、いくつかの実施では、回転点316は、第2のテンショナ歯車304の幾何学的中心に一致する。
【0036】
いくつかの実施では、第1のテンショナ歯車マウント288は、第1のテンショナ歯車マウント288の回転が第1の遊び歯車176および第1の駆動歯車212に対する第1の車輪100の張力を調整するように、第1のテンショナ歯車マウント288の幾何学的中心から離れた位置において第1のテンショナ歯車284を回転可能に搭載する。いくつかの実施では、第2のテンショナ歯車マウント308は、第2のテンショナ歯車マウント308の回転が第3の遊び歯車178および第2の駆動歯車244に対する第2の車輪126の張力を調整するように、第2のテンショナ歯車マウント308の幾何学的中心から離れた位置において第2のテンショナ歯車304を回転可能に搭載する。
【0037】
開示されたシステムおよび方法は、述べられた目的および利点、ならびにその中に内在するそれらを実現するのによく適応している。本開示の教示は、異なっているが本明細書における教示の便益を有する当業者には明らかである等価な方法で修正および実践され得るので、上記で開示された特定の実施は、例示的なものに過ぎない。さらに、以下の特許請求の範囲に記載された以外の、本明細書において示された構造または設計の詳細に対して、いかなる制限も意図されていない。したがって、上記で開示された特定の例示的な実施は、変更、組み合わせ、または修正され得ることが明白であり、また、全てのそのような変形形態は、本開示の範囲に含まれると考えられる。本明細書において例示的に開示されたシステムおよび方法は、本明細書において具体的に開示されていない任意の要素および/または本明細書において開示された任意選択の要素がない場合でも適当に実践され得る。組成および方法が、様々な成分またはステップを「備える」、「含有する」または「含む」という点で説明されるが、組成および方法はまた、様々な成分およびステップで「本質的に構成される」または「構成される」ことができる。上記で開示された全ての数字および範囲は、ある程度変化し得る。下限および上限を含む数的範囲が開示される場合はいつでも、その範囲に含まれる任意の数および任意の含まれる範囲が具体的に開示される。具体的には、本明細書において開示される(「約aから約bまで」、または、同等に「おおよそaからbまで」、または、同等に「おおよそa~b」の形態の)全ての値の範囲は、より広い値の範囲内に含まれる全ての数および範囲を示すと理解される。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者により明示的にかつ明瞭に定義されていない限り、それらの単純な通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲において使用される不定冠詞「a」または「an」は、それが導入する要素の1つまたは1つ以上を意味すると本明細書において定義される。本明細書、および本願に引用して援用され得る1つ以上の特許または他の文献における語または用語の用法になんらかの不一致が存在する場合、本明細書と一致する定義が採用されるものとする。
【0038】
本明細書において、一連の品目に先行する「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、品目のいずれかを分離するための「および」もしくは「または」という用語とともに、一覧の各部材(すなわち、各品目)ではなく一覧を全体として修飾する。「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、品目のうちのいずれか1つのうちの少なくとも1つ、および/または品目の任意の組合せのうちの少なくとも1つ、および/または品目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」または「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という用語は、それぞれ、Aのみ、Bのみ、もしくはCのみ、A、B、およびCの任意の組合せ、ならびに/またはA、B、およびCのそれぞれのうちの少なくとも1つを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12