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特許7027434ミリ波ビームインフラを使用する無人航空機の測位
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】ミリ波ビームインフラを使用する無人航空機の測位
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/10 20060101AFI20220221BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
G01S5/10 Z
G08G5/00 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019541798
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018051786
(87)【国際公開番号】W WO2018141613
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2019-09-26
(31)【優先権主張番号】17154433.1
(32)【優先日】2017-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597159765
【氏名又は名称】フラウンホーファーゲゼルシャフト ツール フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシユング エー.フアー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】サカグチ,ケイ
(72)【発明者】
【氏名】マーラー,キム
(72)【発明者】
【氏名】ハウスティン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ケウスゲン,ウィルヘルム
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0032034(US,A1)
【文献】特開平05-126932(JP,A)
【文献】特開2000-180528(JP,A)
【文献】特開2012-042476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
19/00 - 19/55
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機(100)であって、
無人航空機用のナビゲーションシステム(120)の2台の離間した基地局(110,112)から送信される二つの周期的広帯域信号(106,108)を受信するように構成され、前記二つの周期的広帯域信号(106,108)が時間同期化される受信器(102)と、
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)の受信時刻の差分に基づいて、また前記二つの周期的広帯域信号(106,108)の受信強度に基づいて、前記2台の基地局(110,112)に対する前記無人航空機(100)の位置を判定するように構成される位置判定器(104)と、を包含し、
前記無人航空機(100)は、前記2台の基地局(110,112)により前記二つの周期的広帯域信号(106,108)が送信されるのに使用されるビーム(114,116)によって画定される飛行経路(118)に沿って飛行するように構成され、前記ビーム(114,116)は、互いに対向して重複し、それによって、前記無人航空機(100)の前記飛行経路(118)を画定する、
無人航空機(100)。
【請求項2】
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)が互いに直交する、請求項1に記載の無人航空機(100)。
【請求項3】
時間窓関数を使用して前記二つの周期的広帯域信号(106,108)を受信して、マルチパス伝搬作用を軽減するように前記受信器(102)が構成される、請求項1から2の一つに記載の無人航空機(100)。
【請求項4】
飛行方向、又は前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から受信される制御信号に応じて飛行高度を適応化するように前記無人航空機(100)が構成され、前記制御信号が飛行高度指定情報を包含する、請求項1から3の一つに記載の無人航空機(100)。
【請求項5】
飛行高度を判定する為に前記無人航空機(100)が気圧計を包含する、請求項4に記載の無人航空機(100)。
【請求項6】
前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から受信した制御信号に基づいて前記2台の基地局(110,112)の間の少なくとも2本の飛行経路(118_1,118_2)から一つを選択するように前記無人航空機(100)が構成され、前記制御信号が飛行経路指定情報を包含し、前記飛行経路(118_1,118_2)の各々が、それぞれの飛行経路(118_1,118_2)に対応する前記二つの広帯域信号(106_1,108_1;106_2,108_2)が前記2台の基地局(110,112)により送信されるのに使用される2本のビーム(114_1,116_1;114_2,116_2)により画定され、前記2本のビーム(114_1,116_1;114_2,116_2)が互いに対向する、請求項1から5の一つに記載の無人航空機(100)。
【請求項7】
飛行方向、又は前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から受信した制御信号に応じて前記対応の飛行経路(118_1,118_2)の中で飛行高度を適応化するように前記無人航空機(100)が構成され、前記制御信号が飛行高度指定情報を包含する、請求項6に記載の無人航空機(100)。
【請求項8】
前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から制御信号を受信するように前記無人航空機(100)が構成されて、前記制御信号が飛行方向指定情報を包含し、前記飛行方向指定情報に従って飛行方向を適応化するように前記無人航空機が構成される、請求項1から7の一つに記載の無人航空機(100)。
【請求項9】
無人航空機用ナビゲーションシステム(120)であって、
二つの時間同期化周期的広帯域信号(106,108)を送信するように構成される2台の基地局(110,112)、
を包含し、
ビーム(114,116)を使用して前記二つの周期的広帯域信号(106,108)を送信するように前記二つの基地局(110,112)が適応化され、前記ビーム(114,116)は、互いに対向して重複し、それによって、無人航空機(100)の飛行経路(118)を画定する、
ナビゲーションシステム(120)。
【請求項10】
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)が互いに直交する、請求項9に記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項11】
前記ビーム(114,116)が10°以下のビーム幅を有する、請求項9から10の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項12】
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)を超高周波数帯域で送信するように前記2台の基地局(110,112)が構成される、請求項9から11の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項13】
4本のビーム(114_1,116_1;114_2,116_2)を使用して四つの時間同期化周期的広帯域信号(106_1,108_1;106_2,108_2)を送信するように前記2台の基地局(110,112)が構成され、前記2台の基地局の前記4本のビームのうち2本がそれぞれ対向して前記2台の基地局(110,112)の間に2本の飛行経路(118_1,118_2)を形成する、請求項9から12の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項14】
前記無人航空機(100)へ制御信号を送信するように前記ナビゲーションシステム(120)が構成され、前記2本の飛行経路(118_1,118_2)の一つを前記無人航空機(100)に対して指定する飛行経路指定情報を前記制御信号が包含する、請求項13に記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項15】
前記無人航空機(100)へ制御信号を送信するように前記ナビゲーションシステム(120)が構成され、前記無人航空機(100)に対して飛行高度を指定する飛行高度指定情報を前記制御信号が包含する、請求項9から14の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項16】
前記無人航空機(100)へ制御信号を送信するように前記ナビゲーションシステム(120)が構成され、前記無人航空機(100)に対して飛行方向を指定する飛行方向指定情報を前記制御信号が包含する、請求項9から15の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項17】
前記2台の基地局(110,112)の間の前記飛行経路(118)に配置され、前記2台の基地局(110,112)のそれぞれのビーム(114,116)に対向する2本のビーム(114’,116’)を使用して、前記2台の基地局(110,112)から受信した前記周期的広帯域信号(106,108)を前記2台の基地局(110,112)のそれぞれ他の基地局へ再送信するように構成される中継基地局を包含するナビゲーションシステム(120)である、請求項9から16の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項18】
互いに対向して付加的飛行経路(138)を形成する付加的ビーム(136,137)を使用して二つの付加的時間同期化周期的広帯域信号(134,135)を送信するように構成される2台の付加的基地局(132,133)を包含するナビゲーションシステム(120)であり、
前記飛行経路(118)と前記付加的飛行経路(138)とが互いに交わる、
請求項9から17の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
【請求項19】
無人航空機の位置を判定するための方法(200)であって、
二つの離間位置から送信される二つの周期的広帯域信号を前記無人航空機で受信すること(202)であって、前記二つの周期的広帯域信号が時間同期化されることと、
前記二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また前記二つの周期的広帯域信号19の受信強度に基づいて、前記二つの離間した位置に対する前記無人航空機の位置を判定すること(204)と、
2台の基地局から送信された前記二つの周期的広帯域信号が送信されるのに使用されるビームで画定される飛行経路に沿って前記無人航空機で飛行することであって、前記ビーム(114,116)は、互いに対向して重複し、それによって、前記無人航空機(100)の前記飛行経路(118)を画定すること、
を包含する方法。
【請求項20】
無人航空機の位置を判定するための方法(220)であって、
ビームを使用して離間位置から時間同期化周期的広帯域信号を2台の基地局で送信すること(222)であって、前記ビーム(114,116)は、互いに対向して重複し、それによって、前記無人航空機(100)の飛行経路(118)を画定することと、
前記二つの周期的広帯域信号を前記無人航空機で受信すること(224)と、
前記二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また前記二つの周期的広帯域信号の受信強度に基づいて、前記二つの離間位置に対する前記無人航空機の位置を判定すること(226)と、
を包含する方法。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の方法を実施する為のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、無人航空機に関する。更なる実施形態は、無人航空機用ナビゲーションシステムに関する。幾つかの実施形態は、ミリ波ビームインフラを使用する無人航空機の測位に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる都市「低速制限空域」エリアにおける低高度での無人航空機(UAV)の自動ナビゲーション[非特許文献1]は、適切な無人航空機運行管理(UTM)システムを必要とする。このようなシステムの主な課題は、何の損害も危険も生じない都市環境でのUAVの安全な操作である。別の課題は、このようなシステムの高費用効率での具現化と信頼性の維持である。
【0003】
UAV群全体の制御を維持する為、現場のUAVとUAV指令センターとの間の持続的な信頼できる通信リンクも必要とされる。
【0004】
民家上空のUAV飛行経路とは異なり、密集した都市環境の地表レベル付近での狭いビルの谷間での高層ビル間の飛行経路は、測位衛星の有効範囲が制限される。それ故、このようなシステムは、グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)衛星測位に依存できない。これは、屋内環境での自動UAV飛行のナビゲーションには更に当てはまる。
【0005】
付加的な問題は、衛星測位システムに固有である。GNSSは、危険な状況を招き得るジャミングやスプーフィング[非特許文献2]に対して脆弱である。
【0006】
GNSSを用いずにUAVのナビゲーションを行う為に、[非特許文献3]は、観察者に対する物体の動きを判定するのに使用される技術である「オプティカルフローナビゲーション」を提案している。この案は、UAVに搭載されるカメラセンサと適切なデータ処理アルゴリズムとを必要とし、これはUAVの複雑性及び費用を高める。更に、このアプローチは、UAVが既定の航空路を通ることを保証できない。
【0007】
「マイクロ波着陸システム(MLS)は、他の近隣空港との干渉を回避する為の幅広いチャネル選択、全天候での優れた性能、空港での狭い「必要面積」、空港周囲の広いエリアからのアプローチを可能にする広い垂直及び水平「キャプチャ」角を含めて、動作面での利点を幾つか有する全天候型の高精度着陸システムである。」[非特許文献4]
【0008】
「マイクロ波走査ビーム着陸システム(MSBLS)は、NASAのスペースシャトルに以前使用されたKuバンドアプローチ及び着陸ナビゲーション支援である。着地までの最後の2分間の飛行で軌道衛星を誘導するのに使用された精密な高度、方向、及び距離データを提供する。」[非特許文献5]
【0009】
図1は、計器着陸システム(ILS)とILSにより使用されるビームパターンとの説明図を示す。図1に示されているように、ILSは、例えばそれぞれが50Hzと75Hzである部分的に重複する左右のビームを送信する送信(Tx)局を使用する。航空機は、左右のビームの受信出力が等しい左右のビームの重複経路を通る。言い換えると、図1は、ナビゲーションシステムの動作を左に、レンズから数値的に生成されたビームパターンとビーム横断面測定値とを右に示す。
【0010】
屋内及び都市環境自律機の為の高精度ミリ波ナビゲーションシステムが、[非特許文献6]に提案されている。このシステムは、屋内又は複雑な都市環境でのナビゲーションなど正確な経路での小型自律機の正確な誘導が必要とされる用途に適している。
【0011】
[非特許文献4]と[非特許文献5]と[非特許文献6]に提示されている解決法は、UAVの為の正確な着陸手順を可能にするが、UAV空域システムには適していない。これは、飛行経路を適宜調節する為にUAVが信号の発生源を推定するばかりでなく、適切なUAV空域システムが指定の空域経路上での正確な位置推定、ゆえに三次元空間での位置を可能にしなければならないことを必要とする。
【0012】
上記の解決法の別の問題は、屋内環境で頻繁に発生するマルチパスに対する脆弱性である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】アマゾンプライムエア(Amazon Prime Air)「小型無人航空機システムの安全統合の為の空域モデルの修正(Revising the Airspace Model for the Safe Integration of Small Unmanned Aircraft Systems)」2015年7月
【文献】M.L.シアキ(M.L.Psiaki)及びT.E.ハンフリー(T.E.Humphreys)「GNSSのスプーフィング及び検出(GNSS Spoofing and Detection)」IEEE議事録(Proceedings of the IEEE)第104巻第6号1258~1270ページ,2016年6月
【文献】アーシッシュ C.(Aasish C),ランジサ E.(Ranjitha E.),ラジーン リドワン U(Razeen Ridhwan U),バラス ラジ S(Bharath Raj S),アンジェリン ジェミ L.(Angelin Jemi L.)「GPSを用いないUAVのナビゲーション(Navigation of UAV without GPS)」ロボティクス、自動化、制御、組み込みシステム(Robotics, Automation, Control and Embedded Systems)(RACE),2015年チェンナイ国際会議(2015 International Conference on Chennai),2015年,1~3ページ
【文献】https://en.wikipedia.org/wiki/Microwave_landing_system
【文献】https://en.wikipedia.org/wiki/Microwave_Scanning_Beam_Landing_System
【文献】A.タン(A.Tang)及びQ.グー(Q.Gu)「屋内及び都市環境自律機の為の高精度ミリ波ナビゲーションシステム(A high-precision millimeter-wave navigation system for indoor and urban environment autonomous vehicles)」マイクロ波シンポジウムダイジェスト(Microwave Symposium Digest)(IMS),2013年IEEE MTT‐Sインターナショナル(2013 IEEE MTT-S International),シアトル,WA,2013年1~3ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それ故、本発明の目的は、密集した都市環境での無人航空機の測位を改良する概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、独立請求項により解決される。
【0016】
有利な具現化は従属請求項で扱われる。
【0017】
実施形態は、受信器と位置判定器とを包含する無人航空機を提供する。受信器は、無人航空機用ナビゲーションシステムの2台の離間基地局から送信される二つの周期的広帯域信号を受信するように構成され、二つの周期的広帯域信号は時間同期化される。位置判定器は、二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また二つの周期的広帯域信号の受信強度に基づいて、2台の基地局に対する無人航空機の位置を判定するように構成される。
【0018】
更なる実施形態は、無人航空機用のナビゲーションシステムを提供し、ナビゲーションシステムは、二つの時間同期化周期的広帯域信号を送信するように構成される2台の基地局を包含し、2台の基地局は、互いに対向して無人航空機の為の飛行経路を形成するビームを使用して二つの周期的広帯域信号を送信するように適応化される。
【0019】
更なる実施形態は方法を提供し、この方法は、二つの離間位置から送信される二つの周期的広帯域信号を受信するステップであって、二つの周期的広帯域信号が時間同期化されるステップと、二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また二つの周期的広帯域信号の受信強度に基づいて、二つの離間位置に対する無人航空機の位置を判定するステップとを包含する。
【0020】
更なる実施形態は方法を提供し、この方法は、互いに対向して無人航空機の為の飛行経路を形成するビームを使用して二つの離間位置からの二つの時間同期化周期的広帯域信号を送信するステップを包含する。
【0021】
更なる実施形態は方法を提供し、この方法は、互いに対向して無人航空機の飛行経路を形成するビームを使用して離間位置から二つの時間同期化周期的広帯域信号を送信するステップと、二つの周期的広帯域信号を無人航空機で受信するステップと、二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また二つの周期的広帯域信号の受信強度に基づいて、二つの離間位置に対する無人航空機の位置を判定するステップとを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
添付図面を参照して本発明の実施形態が説明される。
図1】計器着陸システムと計器着陸システムにより使用されるビームパターンとの説明図を示す。
図2】一実施形態による無人航空機の概略ブロック図を示す。
図3】一実施形態による無人航空機用ナビゲーションシステムの概略ブロック図を示す。
図4】一実施形態による無人航空機用ナビゲーションシステムと無人航空機との概略上面図を示す。
図5】一実施形態による無人航空機用ナビゲーションシステムと無人航空機との概略上面図を示す。
図6a】一実施形態による無人航空機用ナビゲーションシステムと2台の無人航空機との概略側面図を示す。
図6b】一実施形態による、2台の基地局の間の飛行経路上の位置に描かれた二つの周期的広帯域信号の受信の時間遅延を図解で示す。
図6c】一実施形態による、2台の基地局の間の飛行経路上の位置に描かれた二つの周期的広帯域信号の受信出力を図解で示す。
図7a】一実施形態による無人航空機用ナビゲーションシステムと4台の無人航空機との概略上面図を示す。
図7b】一実施形態による、第2基地局から第1基地局への2本の飛行経路と4台の無人航空機との断面図を示す。
図8】一実施形態による、基地局が街灯に一体化された無人航空機用ナビゲーションシステムの応用例を示す。
図9】一実施形態によるUAVナビゲーションシステム120の概略上面図を示す。
図10】一実施形態によるUAVナビゲーションシステム120の概略上面図を示す。
図11】一実施形態による方法のフローチャートを示す。
図12】一実施形態による方法のフローチャートを示す。
図13】一実施形態による方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
同一又は同等の機能を備える同一又は同等の単数又は複数の要素は、以下の説明において同一又は同等の参照番号で表される。
【0024】
以下の説明では、本発明の実施形態のより完全な説明を行う為に複数の詳細が提示される。しかしながら、本発明の実施形態はこれら特定の詳細を含まずに実践され得ることが当業者には明白であろう。他の事例では、本発明の実施形態を不明確にするのを回避する為、周知の構造及び装置は詳細ではなくブロック図の形で示される。加えて、今後説明される多様な実施形態の特徴は、他に明記されなくても互いに組み合わされ得る。
【0025】
図2は、一実施形態による無人航空機(UAV)100の概略ブロック図を示す。UAV100は受信器102と位置判定器104とを包含する。受信器102は、UAVナビゲーションシステムの2台の離間した基地局から送信される二つの周期的広帯域信号106,108を受信するように構成され、二つの周期的広帯域信号106,108は時間同期化される。位置判定器104は、二つの周期的広帯域信号110,112の受信時刻の差分に基づいて、及び/又は、二つの周期的広帯域信号110,112の受信強度に基づいて、二つの基地局に対するUAV100の位置を判定するように構成される。
【0026】
詳しく記すと、受信器102は、第1基地局からの第1周期的広帯域信号106と第2基地局からの第2周期的広帯域信号108とを受信するように構成され得る。第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とは時間同期化され、例えば第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とは同じ送信時刻(又は瞬間)に送信され得る。位置判定器104は、第1周期的広帯域信号106の受信時刻と第2周期的広帯域信号108の受信時刻との差分に基づいて、第1基地局及び第2基地局に対するUAV100の位置を判定するように構成され得る。更に又は或いは、位置判定器104は、第1周期的広帯域信号106の受信強度と第2周期的広帯域信号108の受信強度とに基づいて、第1基地局及び第2基地局に対するUAV100の位置を判定するように構成され得る。
【0027】
図3は、一実施形態によるUAV100の為のナビゲーションシステム120の概略ブロック図を示す。ナビゲーションシステム120は、二つの時間同期化周期的広帯域信号106,108を送信するように構成される2台の基地局110,112を包含し、2台の基地局110,112は、互いに対向してUAV100の為の飛行経路118を形成するビーム114,116を使用して二つの周期的広帯域信号106,108を送信するように適応化される。
【0028】
詳しく記すと、第1基地局110は第1ビーム114を使用して第1周期的広帯域信号106を送信するように構成され、第2基地局112は第2ビーム114を使用して第2周期的広帯域信号108を送信するように構成され得る。こうして、第1ビーム114と第2ビーム116とは互いに対向して重複し、UAV100の為の飛行経路118を形成する。ビーム114,116は10°(又は20°又は15°又は7°又は5°)以下のビーム幅を有し得る。
【0029】
言い換えると、第1基地局110は、第2基地局112へ向けられる第1ビーム114を使用して第1周期的広帯域信号106を送信するように構成され、第2基地局112は、第1基地局へ向けられる第2ビーム114を使用して第2周期的広帯域信号108を送信するように構成され得るので、例えば第1ビーム114と第2ビーム116とが重複することによりUAV100の為の飛行経路118を画定する。
【0030】
2台の基地局110,112は、二つの周期的広帯域信号106,108の送信を時間同期化する為に互いに接続されるか通信状態にある。更に又は或いは、ナビゲーションシステム120は、例えば基地局110,112を制御して二つの周期的広帯域信号106,108を同じ送信時刻(又は瞬間)に送信することにより、二つの周期的広帯域信号106,108の送信を時間同期化するように構成される中央制御システム122を包含し得る。
【0031】
続いて、UAV100とUAVナビゲーションシステム120の両方の実施形態が更に詳しく説明される。
【0032】
第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とは、超高周波帯域(又はミリ波帯域、例えば30から300GHz)に所在し得る。第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とは、1GHz(30cm精度)から30GHz(1cm精度)の帯域幅を有し得る。例えば、第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とは、パルス及びFMCW(FMCW=周波数変調連続波レーダ)などの周期的広帯域ビーコンであり得る。
【0033】
第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とは互いに直交し得る。例えば、直交拡散コード(例はゴールドコード)又は空間多重方式(多様な方向を向くUAVの指向性アンテナ)で拡散する多様な周波数帯域(f_aからf_bとf_bからf_c)。
【0034】
UAVの受信器102は、第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とを受信する為の窓関数(又は複数の窓関数)を使用するように構成され得る。例えば、第1周期的広帯域信号106と第2周期的広帯域信号108とを受信する為に窓関数(又は複数の窓関数)を受信信号に適用するように受信器102は構成され得る。窓関数は、マルチパス伝搬作用を軽減することにより位置判定の正確さを高め得る。
【0035】
既に述べたように、第1基地局110と第2基地局112との間に延在するUAV100の為の飛行経路118を画定する為に、基地局110,112は周期的広帯域信号114,116を送信するのに対向ビーム114,116を使用する。
【0036】
UAV100は、対向ビーム114,116により画定される飛行経路118に沿って飛行するように構成され得る。
【0037】
UAVナビゲーションシステム120は、UAV100へ制御信号を送信するように構成され、制御信号は、UAV100に対して飛行方向を指定する飛行方向指定情報を包含する。その場合に、UAV100は、制御信号100を受信し、飛行方向指定情報に応じて飛行方向を適応化するように構成され得る。
【0038】
UAV100は、飛行方向に応じて飛行高度を適応化するように構成され得る。更に、UAVナビゲーションシステム120はUAV100へ制御信号を送信するように構成され、制御信号はUAV100に対して飛行高度を指定する飛行高度指定情報を包含する。その場合に、UAV100は制御信号を受信し、飛行高度指定情報に応じて飛行高度を適応化するように構成され得る。UAV100は例えば、飛行高度を判定する為に気圧計を包含し得る。これにより、異なるUAVに対して異なる飛行高度を指定することが可能であるので、同一の飛行経路118が2台以上のUAVにより同時に使用され得る。
【0039】
UAV100は、2本の対向ビーム114,116の主要又は中心ビーム方向に延在する飛行経路118の中心を必ずしも飛行しなくてよいことに注意していただきたい。UAV100が飛行経路の中心からオフセットして(オフセットナビゲーション)、例えば飛行経路118の中心まで規定の距離で飛行経路118の中心と平行に飛行するように構成されることも可能である。こうして、飛行方向、又はUAVナビゲーションシステム120から受信した制御信号に応じて、UAV100は飛行経路の中心までの距離を適応化するように構成され、制御信号は飛行オフセット指定情報を包含する。こうして、2台以上のUAVにより同じ飛行経路118が同時に使用されることが可能である。
【0040】
更に、一実施形態によるUAVナビゲーションシステム120とUAV100との概略上面図を示す図4についての以下の記載から明らかになるように、UAVの為の飛行経路118は少なくとも2本の飛行レーン、例えば飛行方向につき1本以上の飛行レーンを包含し得ることに注意していただきたい。図4に示されているように、離間した飛行レーン124,126は互いに平行に、例えば水平方向及び/又は垂直方向に延在し得る。UAV100は、飛行方向に基づいて少なくとも2本の飛行レーン124,126から一つを選択するように構成され得る。更に、2本の飛行レーン124,126の一つをUAV100に対して指定する飛行レーン指定情報を包含する制御信号を、UAVナビゲーションシステム120が送信することが可能である。その場合に、UAV100は、UAVナビゲーションシステム100から受信した飛行レーン指定情報に基づいて2本の飛行レーン124,126から一つを選択するように構成され得る。こうして、異なるUAVに対して異なる飛行レーンを指定することが可能であるので、同じ飛行経路118が2台以上のUAVにより同時に使用され得る。
【0041】
図5は、一実施形態によるUAVナビゲーションシステム120とUAV100との概略上面図を示す。図5において、2台の基地局110,112は、4本のビーム114_1,114_2,116_1,116_2を使用して四つの時間同期化周期的広帯域信号106_1,106_2,108_1,108_2を送信するように構成され、2台の基地局の4本のビームのうち2本は互いに対向して、それぞれが2台の基地局110,112の間に2本の飛行経路118_1,118_2を形成する。
【0042】
詳しく記すと、第1基地局110は、第1ビーム114_1を使用して第1周期的広帯域信号106_1を、第2ビーム114_2を使用して第2周期的広帯域信号106_2を送信するように構成され得る。第2基地局112は、第3ビーム116_1を使用して第3周期的広帯域信号108_1を、第4ビーム116_2を使用して第4周期的広帯域信号108_2を送信するように構成され得る。第1ビーム114_1と第3ビーム116_1とは互いに対向してUAV100の為の第1飛行経路118_1を画定し、第2ビーム114_2と第4ビーム116_2とは互いに対向してUAV100の為の第2飛行経路118_2を画定する。
【0043】
UAV100は、飛行方向に基づいて2台の基地局110,112の間の2本の飛行経路118_1,118_2から一つを選択するように構成され得る。更に、UAVナビゲーションシステム120はUAV100へ制御信号を送信するように構成され、制御信号は、2本の飛行経路118_1,118_2のうち一つをUAV100に対して指定する飛行経路指定情報を包含する。その場合に、UAV100は、UAVナビゲーションシステム120から受信した飛行経路指定情報に基づいて2台の基地局110,112の間の2本の飛行経路118_1,118_2から一つを選択するように構成され得る。
【0044】
図4を参照して記載したように飛行経路118_1,118_2の少なくとも一方が少なくとも2本の飛行レーンを包含することも可能であり、これは図5の飛行経路118_1,118_2の一方又は両方に適用され得ることに注意していただきたい。
【0045】
図6aは、UAVナビゲーションシステム120と2台のUAV100_1,100_2との概略側面図を示す。既に言及され上に詳しく説明されたように、UAVナビゲーションシステム120は、対向ビーム114,116を使用して周期的広帯域信号106,108を送信する2台の基地局110,112を包含する。図6bは、2台の基地局110,112の間の飛行経路118に沿った位置の上に描かれた二つの周期的広帯域信号106,108の受信の時間遅延を図解で示す。図6cは、2台の基地局110,112の間の飛行経路118に沿った位置の上に描かれた二つの周期的広帯域信号106,108の受信パワーを図解で示す。
【0046】
提案される解決法の基本構造は、高指向性のミリ波ビーム114,116と広帯域パルス106,108の同期化送信とに基づくUAV測位システム120である。簡易な無線受信モジュール(図2参照)を装備して、UAV100は現在ロケーションと指定の飛行経路とを確実に判定することが可能である。この解決法は衛星測位システムの可用性から独立しており、それ故屋内で、又はGNSS有効範囲が制限されるエリア、例としては地表付近の都市のビルの谷間の為の冗長システムとして、使用され得る。
【0047】
測位は、広帯域パルス106,108の同期化送信と、UAV100でのこれらのパルス106,108の検出とにより達成され得る。パルス106,108の間の検出時間差分により、UAV100はビーム114,116上での自身の位置を推定できる。時間差分の他に、パルス106,108の強度は現在位置の推定に使用され得る。信号強度のみの使用と比較して、パルスにより、屋内環境ではよく見られるマルチパス反射に対して脆弱ではない測位が得られる。例を挙げると、1GHzパルスと時間窓関数との使用は、30cmの経路長差分と同等のマルチパス成分の除去を可能にする。このマルチパス抑制能力は、考えられる適用シナリオに充分である。
【0048】
図6に示されているように、提案される解決法は二方向のUAV運行流も可能にする。これは、異なる航空路高度、ゆえにUAV間の高度オフセットを各飛行方向に対して指定することにより達成される。UAVは、このタスクを達成するのに充分に正確である気圧計センサを使用することにより指定の高度を維持し得る。
【0049】
例えば、(例えば第1基地局(ミリ波ビーコンノードA)110への)第1飛行方向に第1高度が指定され、(例えば第2基地局(ミリ波ビーコンノードB)112への)第2飛行方向に第2高度が指定されるので、第1飛行方向で飛行する第1UAV100_1は第1飛行高度で飛行し、第2飛行方向で飛行する第2UAV100_2は第2飛行高度で飛行する。
【0050】
図7aは、UAVナビゲーションシステム120と4台のUAV100_1,100_4との概略上面図を示す。図5と同様に、2台の基地局110,112は、4本のビーム114_1,114_2,116_1,116_2を使用して四つの時間同期化周期的広帯域信号106_1,106_2,108_1,108_2を送信するように構成され、2台の基地局の4本のビームのうち2本は互いに対向して、それぞれが2台の基地局110,112の間に2本の飛行経路を形成する。図5に加えて、図7aでは、各飛行経路内の異なる飛行方向に対して異なる飛行高度が指定され得ることが指示されている。これは、第2基地局112から第1基地局(ミリ波ビーコンノードA)110への2本の飛行経路の断面図を示す図7bにも更に詳しく指摘されている。
【0051】
例えば、(例えば第1基地局(ミリ波ビーコンノードA)110への)第1方向で飛行している第3及び第4UAV100_3,100_4に対して第1飛行高度が指定され、(例えば第2基地局(ミリ波ビーコンノードB)112への)第2方向で飛行している第1及び第2UAV100_1,100_2に対して第2飛行高度が指定される。
【0052】
図8は、一実施形態によるUAVナビゲーションシステム120の概略上面図を示す。図8に示されているように、ナビゲーションシステムは更に、2台の基地局110,112の間の飛行経路118に配置され、2台の基地局110,112のそれぞれのビームと対向する2本のビームを使用して2台の基地局110,112から受信した周期的広帯域信号106,108を2台の基地局110,112のうち他の基地局へそれぞれ送信するように構成される中継基地局130を包含し得る。
【0053】
詳しく記すと、中継基地局130は、第1周期的広帯域信号106を第1基地局110から受信し、第2基地局112の第2ビーム116と対向する第3ビーム114’を使用して第1周期的広帯域信号106’を第2基地局112へ再送信するように構成され得る。更に、中継基地局130は、第2周期的広帯域信号108を第2基地局112から受信し、第1基地局110の第1ビーム114と対向する第4ビーム116’を使用して第2周期的広帯域信号108’を第1基地局へ再送信するように構成され得る。
【0054】
図9は、一実施形態によるUAVナビゲーションシステム120の概略上面図を示す。図9に示されているように、ナビゲーションシステム120は、互いに対向して別の飛行経路138を形成する別のビーム136,137を使用して別の二つの時間同期化周期的広帯域信号134,135を送信するように構成される別の2台の基地局132,133を包含し、飛行経路118と別の飛行経路138とは互いに交わる(交差)。
【0055】
図10は、基地局110,112が街灯140,142に一体化されたUAVナビゲーションシステム120の応用例を示す。言い換えると、図8は、ミリ波ビーコンノード110,112が2本の街灯柱に設置されてUAV100が規定の航空路を飛行する可能な応用例を示す。
【0056】
実施形態は、以下の利点を提供する。第一に、GNSS有効範囲が限定される(ビルの谷間)又は適用されない(屋内)UAVの自動的で安全なナビゲーション。第二に、費用のかかるセンサや計算費用の高いデータ処理が不要となるので、ミリ波ビームインフラはUAVごとの費用を低減させる。第三に、ミリ波ビームインフラは、ナビゲーションシステムと高データ速度通信システムの両方として使用され得る。第四に、GNSS信号への攻撃に対して安全である:「GNSSスプーフィング」[M.L.シアキ(M.L.Psiaki)及びT.E.ハンフリー(T.E.Humphreys)「GNSSのスプーフィング及び検出(GNSS Spoofing and Detection)」IEEE議事録(Proceedings of the IEEE)第104巻第6号1258~1270ページ,2016年6月]―これはGNSSを使用しないからである。第五に、見通し線(LOS)ビームの妨害がシステムにより直接的に検出されるので、安全で障害物のない航空路が容易に達成され得る。LOSビームに沿ったナビゲーションでは、定義上、障害物がない。飛行可能経路は本質的に障害物(ビル等)がなく、これは飛行計画を簡単にする。規定のUAV「航空路」に基づくこのようなシステムの利点の一つは、[M.シャンムガベル(M.Shanmugavel),A.ツォルドス(A. Tsourdos)及びB.A.ホワイト(B.A. White)「3Dでの飛行可能経路を使用する多数UAVの衝突回避と経路計画(Collision avoidance and path planning of multiple UAVs using flyable paths in 3D)」オートメーション及びロボティクスにおける方法とモデル(Methods and Models in Automation and Robotics)(MMAR),ミエジズドロイエにおける2010年第15回国際会議(2010 15th International Conference on Miedzyzdroje),2010年,218~222ページ]に記されているように、障害物のない「3Dでの飛行可能経路」の探索がそれ以上は必要とされないという事実である。
【0057】
実施形態は幾つかの分野で適用され得る。例えば、例としては配送サービスに使用される次世代UAVシステムは通常、指定の目的地に到達する為に既定の経路を飛行する。航空機と同様に、いわゆる航空路の設置は、UAVが指定のルート上にあることを保証する。
【0058】
提案される解決法は、UAVナビゲーションネットワークの設置を可能にする。このようなシステムは、「費用のかかる検知及び通信システム又は個別UAV制御での実質的な人の介入を伴わずに、多数の比較的低コストのUAVが見通し線を超えて飛行すること」を可能にする。現在の自由飛行に近い枠組みでは、制限空域及び高度を回避する限りにおいてUAVはいかなるルートも移動することができる。しかしながら、障害物及び衝突の回避を保証する為、これは高価な検知通信の搭載と共に実質的な人的労力を必要とする。このコスト上昇は、広範囲のUAV応用の出現及び発展を妨げるものとなる。比較的低い追加コストで選択ルートと時間スケジュールによりUAVを飛行させるのに有効なGPSベースのナビゲーションが使用され、それ故これは新たなUAV応用市場への参入の障壁を軽減する。
【0059】
図11は、一実施形態による方法200のフローチャートを示す。方法200は、二つの離間位置から送信される二つの周期的広帯域信号を受信するステップ202を包含し、二つの周期的広帯域信号は時間同期化される。更に、方法202は、二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また二つの周期的広帯域信号の受信強度に基づいて、二つの離間位置に対する無人航空機の位置を判定するステップ204を包含する。
【0060】
図12は、一実施形態による方法210のフローチャートを示す。方法210は、互いに対向して無人航空機の為の飛行経路を形成するビームを使用して二つの時間同期化周期的広帯域信号を二つの離間位置から送信するステップ212を包含する。
【0061】
図13は、一実施形態による方法220のフローチャートを示す。方法220は、互いに対向してUAVの為の飛行経路を形成するビームを使用して二つの時間同期化周期的広帯域信号を離間位置から送信するステップ222を包含する。更に、方法220は、二つの周期的広帯域信号をUAVで受信するステップ224を包含し得る。更に、方法は、二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また二つの周期的広帯域信号の受信強度に基づいて、二つの離間位置に対する無人航空機の位置を判定するステップ226を包含する。
【0062】
一実施形態において、UAVナビゲーションシステム120は、互いに対向してUAV100の為の飛行経路を形成する細いビームを使用して同期化直交ビーコン106,108を送信する二つのミリ波ビーコンノード110,112を包含し得る。こうしてビーコン106,108の強度及び時間差分を検出することによりUAVの測位が達成され得る。更に、UAV100の位置ベースのナビゲーション及び制御が実施され得る。
【0063】
幾つかの実施形態ではマルチパス抑制が行われる。この目的の為、直交広帯域ビーコン(パルス、FMCW等)が送信され得る。更に又は或いは、マルチパス作用を軽減するのに時間窓関数が使用され得る。
【0064】
幾つかの実施形態ではオフセットナビゲーションが行われる。ブロッキングを回避することにより単一飛行経路での多数のUAVを可能にするのにオフセット飛行が使用され得る。
【0065】
幾つかの実施形態では、ノード(又は基地局)につき2本のビームへの拡張が行われる。ノードごとに二つのビームが導入されて二方向UAV飛行を可能にする。更に、UAVの飛行高度を判定し、飛行方向に応じて飛行高度を適応化する為に気圧計センサを使用することが可能である。
【0066】
幾つかの実施形態では、ノードにつき4本のビームへの拡張が行われる。こうして、経路につき4本のレーンが形成され得る。更に、レーンの適応方向制御(シグナリング)が使用され得る。
【0067】
幾つかの実施形態では飛行経路中継が行われる。こうして、方向の異なる2台のミリ波ビーコンを含む中継ノードが使用され得る。更に、中継ノードとの衝突を回避するのにオフセットナビゲーションが使用され得る。
【0068】
幾つかの実施形態で交差が設けられる。こうして、2本の飛行経路の交差を形成するのに4台のミリ波ビーコンを含む中継ノードが使用され得る。更に、交差ノードとの衝突を回避するのにオフセットナビゲーションが使用され得る。更に、異なる飛行経路への乗り換えが使用され得る。
【0069】
幾つかの実施形態では中央制御システムが設けられる。中央制御サーバと無線制御ネットワークとが導入され、例えば、現場のすべてのUAVの位置を収集してこれらを同時に制御する。
【0070】
幾つかの態様が機器に関して説明されたが、これらの態様は対応する方法の説明にも当てはまり、ブロック又は装置は方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応することは明らかである。同じく、方法ステップに関して説明された態様も、対応する機器の対応のブロック又はアイテム又は特徴の説明にも当てはまる。方法ステップの幾つか又はすべては、例えばマイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータ、又は電子回路のようなハードウェア機器により(を使用することにより)実行され得る。幾つかの実施形態では、最も重要な方法ステップの一つ以上がこのような機器により実行され得る。
【0071】
ある種の具現化要件に応じて、発明の実施形態はハードウェア又はソフトウェアで具現化され得る。具現化は、電子可読制御信号が記憶されたデジタル記憶媒体、例えばフロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリを使用して実施され、それぞれの方法が実施されるように、これらはプログラマブルコンピュータシステムと協働する(又は協働可能である)。それ故、デジタル記憶媒体はコンピュータ可読であり得る。
【0072】
発明の幾つかの実施形態は、本書に記載の方法の一つが実施されるようにプログラマブルコンピュータシステムと協働することが可能である電子可読制御信号を有するデータ担体を包含する。
【0073】
概して、本発明の実施形態は、プログラムコードを含むコンピュータプログラム製品として具現化され、プログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータで作動する時に方法の一つを実施するのに有効である。プログラムコードは例えばマシン可読担体に記憶され得る。
【0074】
他の実施形態は、マシン可読担体に記憶された、本書に記載の方法の一つを実施する為のコンピュータプログラムを包含する。
【0075】
言い換えると、進歩性を持つ方法の実施形態はそれ故、コンピュータプログラムがコンピュータで作動する時に本書に記載の方法の一つを実施する為のプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0076】
それ故、進歩性を持つ方法の更なる実施形態は、本書に記載の方法の一つを実施する為に記録されたコンピュータプログラムを包含するデータ担体(又はデジタル記憶媒体又はコンピュータ可読媒体)である。データ担体、デジタル記憶媒体、又は記録媒体は一般的に、有形及び/又は非一時的である。
【0077】
それ故、進歩性を持つ方法の更なる実施形態は、本書に記載の方法の一つを実施する為のコンピュータプログラムを表すデータストリーム又は信号シーケンスである。データストリーム又は信号シーケンスは例えば、データ通信接続を介して、例えばインターネットを介して転送されるように構成され得る。
【0078】
更なる実施形態は、本書に記載される方法の一つを実施するように構成又は適応化される処理手段、例えばコンピュータ又はプログラマブル論理デバイスを包含する。
【0079】
更なる実施形態は、本書に記載される方法の一つを実施する為のコンピュータプログラムがインストールされたコンピュータを包含する。
【0080】
発明による更なる実施形態は、本書に記載の方法の一つを実施する為のコンピュータプログラムを受信器へ(例えば電子的又は光学的に)転送するように構成される機器又はシステムを包含する。受信器は例えば、コンピュータ、モバイル装置、メモリ装置、その他であり得る。機器又はシステムは例えば、コンピュータプログラムを受信器へ転送する為のファイルサーバを包含し得る。
【0081】
幾つかの実施形態において、プログラマブル論理デバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)は、本書に記載の方法の機能の幾つか又はすべてを実施するのに使用され得る。幾つかの実施形態において、フィールドプログラマブルゲートアレイは、本書に記載の方法の一つを実施する為にマイクロプロセッサと協働し得る。概して、方法は好ましくは何らかのハードウェア機器により実施される。
【0082】
本書に記載の機器は、ハードウェア機器を使用して、又はコンピュータを使用して、又はハードウェア機器とコンピュータとの組み合わせを使用して具現化され得る。
【0083】
本書に記載の機器、又は本書に記載の機器の何らかの構成要素は、ハードウェア及び/又はソフトウェアにおいて少なくとも部分的に具現化され得る。
【0084】
本書に記載の方法は、ハードウェア機器を使用して、又はコンピュータを使用して、又はハードウェア機器とコンピュータとの組み合わせを使用して実施され得る。
【0085】
本書に記載の方法、又は本書に記載の機器の何らかの構成要素は、ハードウェアにより、及び/又はソフトウェアにより、少なくとも部分的に実施され得る。
【0086】
上に説明された実施形態は、本発明の原理の単なる例示に過ぎない。本書に記載の配置及び詳細の変更又は変形が当業者には明白であることは言うまでもない。それ故、意図されるのは、本書の実施形態の記載及び説明により提示される特定の詳細によってではなく直後の特許請求項の範囲のみにより制限されることである。
〔付記1〕
無人航空機(100)であって、
無人航空機用のナビゲーションシステム(120)の2台の離間した基地局(110,112)から送信される二つの周期的広帯域信号(106,108)を受信するように構成され、前記二つの周期的広帯域信号(106,108)が時間同期化される受信器(102)と、
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)の受信時刻の差分に基づいて、また前記二つの周期的広帯域信号(106,108)の受信強度に基づいて、前記2台の基地局(110,112)に対する前記無人航空機(100)の位置を判定するように構成される位置判定器(104)と、
を包含する無人航空機(100)。
〔付記2〕
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)が互いに直交する、付記1に記載の無人航空機(100)。
〔付記3〕
時間窓関数を使用して前記二つの周期的広帯域信号(106,108)を受信して、マルチパス伝搬作用を軽減するように前記受信器(102)が構成される、付記1から2の一つに記載の無人航空機(100)。
〔付記4〕
前記2台の基地局(110,112)により前記二つの広帯域信号(106,108)が送信されるのに使用されるビーム(114,116)により画定される飛行経路(118)に沿って飛行するように前記無人航空機(100)が構成され、前記ビーム(114,116)が互いに対向する、付記1から3の一つに記載の無人航空機(100)。
〔付記5〕
飛行方向、又は前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から受信される制御信号に応じて飛行高度を適応化するように前記無人航空機(100)が構成され、前記制御信号が飛行高度指定情報を包含する、付記1から4の一つに記載の無人航空機(100)。
〔付記6〕
飛行高度を判定する為に前記無人航空機(100)が気圧計を包含する、付記5に記載の無人航空機(100)。
〔付記7〕
前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から受信した制御信号に基づいて前記2台の基地局(110,112)の間の少なくとも2本の飛行経路(118_1,118_2)から一つを選択するように前記無人航空機(100)が構成され、前記制御信号が飛行経路指定情報を包含し、前記飛行経路(118_1,118_2)の各々が、それぞれの飛行経路(118_1,118_2)に対応する前記二つの広帯域信号(106_1,108_1;106_2,108_2)が前記2台の基地局(110,112)により送信されるのに使用される2本のビーム(114_1,116_1;114_2,116_2)により画定され、前記2本のビーム(114_1,116_1;114_2,116_2)が互いに対向する、付記1から6の一つに記載の無人航空機(100)。
〔付記8〕
飛行方向、又は前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から受信した制御信号に応じて前記対応の飛行経路(118_1,118_2)の中で飛行高度を適応化するように前記無人航空機(100)が構成され、前記制御信号が飛行高度指定情報を包含する、付記7に記載の無人航空機(100)。
〔付記9〕
前記無人航空機用ナビゲーションシステム(120)から制御信号を受信するように前記無人航空機(100)が構成されて、前記制御信号が飛行方向指定情報を包含し、前記飛行方向指定情報に従って飛行方向を適応化するように前記無人航空機が構成される、付記1から8の一つに記載の無人航空機(100)。
〔付記10〕
無人航空機用ナビゲーションシステム(120)であって、
二つの時間同期化周期的広帯域信号(106,108)を送信するように構成される2台の基地局(110,112)、
を包含し、
互いに対向して無人航空機(100)の為の飛行経路(108)を形成するビーム(114,116)を使用して前記二つの周期的広帯域信号(106,108)を送信するように前記二つの基地局(110,112)が適応化される、
ナビゲーションシステム(120)。
〔付記11〕
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)が互いに直交する、付記10に記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記12〕
前記ビーム(114,116)が10°以下のビーム幅を有する、付記10から11の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記13〕
前記二つの周期的広帯域信号(106,108)を超高周波数帯域で送信するように前記2台の基地局(110,112)が構成される、付記10から12の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記14〕
4本のビーム(114_1,116_1;114_2,116_2)を使用して四つの時間同期化周期的広帯域信号(106_1,108_1;106_2,108_2)を送信するように前記2台の基地局(110,112)が構成され、前記2台の基地局の前記4本のビームのうち2本がそれぞれ対向して前記2台の基地局(110,112)の間に2本の飛行経路(118_1,118_2)を形成する、付記10から13の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記15〕
前記無人航空機(100)へ制御信号を送信するように前記ナビゲーションシステム(120)が構成され、前記2本の飛行経路(118_1,118_2)の一つを前記無人航空機(100)に対して指定する飛行経路指定情報を前記制御信号が包含する、付記14に記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記16〕
前記無人航空機(100)へ制御信号を送信するように前記ナビゲーションシステム(120)が構成され、前記無人航空機(100)に対して飛行高度を指定する飛行高度指定情報を前記制御信号が包含する、付記10から15の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記17〕
前記無人航空機(100)へ制御信号を送信するように前記ナビゲーションシステム(120)が構成され、前記無人航空機(100)に対して飛行方向を指定する飛行方向指定情報を前記制御信号が包含する、付記10から16の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記18〕
前記2台の基地局(110,112)の間の前記飛行経路(118)に配置され、前記2台の基地局(110,112)のそれぞれのビーム(114,116)に対向する2本のビーム(114’,116’)を使用して、前記2台の基地局(110,112)から受信した前記周期的広帯域信号(106,108)を前記2台の基地局(110,112)のそれぞれ他の基地局へ再送信するように構成される中継基地局を包含するナビゲーションシステム(120)である、付記10から17の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記19〕
互いに対向して付加的飛行経路(138)を形成する付加的ビーム(136,137)を使用して二つの付加的時間同期化周期的広帯域信号(134,135)を送信するように構成される2台の付加的基地局(132,133)を包含するナビゲーションシステム(120)であり、
前記飛行経路(118)と前記付加的飛行経路(138)とが互いに交わる、
付記10から18の一つに記載のナビゲーションシステム(120)。
〔付記20〕
方法(200)であって、
二つの離間位置から送信される二つの周期的広帯域信号を受信すること(202)であって、前記二つの周期的広帯域信号が時間同期化されることと、
前記二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また前記二つの周期的広帯域信号19の受信強度に基づいて、前記二つの離間した位置に対する前記無人航空機の位置を判定すること(204)と、
を包含する方法。
〔付記21〕
方法(210)であって、
互いに対向して無人航空機の為の飛行経路を形成するビームを使用して二つの時間同期化周期的広帯域信号を二つの離間位置から送信すること(212)、
を包含する方法。
〔付記22〕
方法(220)であって、
互いに対向して無人航空機の為の飛行経路を形成するビームを使用して離間位置から時間同期化周期的広帯域信号を送信すること(222)と、
前記二つの周期的広帯域信号を前記無人航空機で受信すること(224)と、
前記二つの周期的広帯域信号の受信時刻の差分に基づいて、また前記二つの周期的広帯域信号の受信強度に基づいて、前記二つの離間位置に対する前記無人航空機の位置を判定すること(226)と、
を包含する方法。
〔付記23〕
付記20から22の一つに記載の方法を実施する為のコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0087】
100,100_1,100_2,100_3,100_4 UAV(無人航空機)
102 受信器
104 位置判定器
106,106’ 第1周期的広帯域信号
106_1 第1時間同期化周期的広帯域信号
106_2 第2時間同期化周期的広帯域信号
108 第2周期的広帯域信号
108’ 第2周期的広帯域信号
108_1 第3時間同期化周期的広帯域信号
108_2 第4時間同期化周期的広帯域信号
110 第1基地局
112 第2基地局
114 第1ビーム
114’ 第3ビーム
114_1 第1ビーム
114_2 第2ビーム
116 第2ビーム
116’ 第4ビーム
116_1 第3ビーム
116_2 第4ビーム
118 飛行経路
120 UAVナビゲーションシステム
124,126 飛行レーン
130 中継基地局
132,133 基地局
134,135 時間同期化周期的広帯域信号
136,137 ビーム
138 飛行経路
140,142 街灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13