(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】化学システムのパッケージ構造体
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20220221BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20220221BHJP
H01G 11/82 20130101ALI20220221BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
H01G11/80
H01G11/82
(21)【出願番号】P 2020080442
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2020-04-30
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512306818
【氏名又は名称】輝能科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PROLOGIUM TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6-1, Ziqiang 7th Rd., Zhongli Dist., Taoyuan City, Taiwan
(73)【特許権者】
【識別番号】512316932
【氏名又は名称】プロロジウム ホールディング インク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シュ-ナン
(72)【発明者】
【氏名】リュ,チン-リャン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,メン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,ウェン-シン
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-127617(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0029459(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0004461(US,A1)
【文献】特開2013-016358(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0049021(KR,A)
【文献】特開2014-102472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188564(US,A1)
【文献】特開昭61-213827(JP,A)
【文献】特開昭62-070820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
H01G 11/80
H01G 11/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板;
前記第1基板に対向する第2基板;
前記第1基板と前記第2基板との間に配置されて、これにより収容空間を形成する内側接着剤枠、及び、前記収容空間に収容されている化学システム;
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記内側接着剤枠の外側に配置された第1外側接着剤枠;ならびに、
第2保護層、を含み、
前記内側接着剤枠は熱硬化性樹脂から選択され、前記第1外側接着剤枠は熱可塑性樹脂から選択され、
前記第1外側接着剤枠は第1接着剤枠及び第2接着剤枠を含み、前記第1接着剤枠は前記第1基板と前記第2接着剤枠との間に配置され、前記第2接着剤枠は前記第2基板と前記第1接着剤枠との間に配置され、また前記第1接着剤枠と結合しており、
前記第2保護層は、前記第1接着剤枠と前記第1基板との間に配置されているか、または前記第2接着剤枠と前記第2基板との間に配置され、
前記第2保護層の材料が
、熱硬化性樹脂を含む、化学システムのパッケージ構造体。
【請求項2】
前記第1接着剤枠及び前記第2接着剤枠は、前記第1外側接着剤枠を形成するために接合及び溶融される、請求項1に記載のパッケージ構造体。
【請求項3】
前記内側接着剤枠が、
前記第1基板の前記化学システムが配置される側に配置されている第1内側接着剤層;
前記第2基板の前記化学システムが配置される側に配置されている第3内側接着剤層;、及び、
前記第1内側接着剤層と前記第3内側接着剤層との間に配置されている第2内側接着剤層を含む、請求項1に記載のパッケージ構造体。
【請求項4】
前記第1内側接着剤層及び前記第3内側接着剤層中の炭素のモル百分率が、前記第2内側接着剤層中の炭素のモル百分率よりも高い、請求項3に記載のパッケージ構造体。
【請求項5】
前記第2内側接着剤層中の酸素のモル百分率が、前記第1内側接着剤層及び前記第3内側接着剤層中の酸素のモル百分率よりも高い、請求項3に記載のパッケージ構造体。
【請求項6】
前記第1基板の前記化学システムが配置される側の反対側に配置されている第1保護層をさらに含む、請求項1に記載のパッケージ構造体。
【請求項7】
前記第2基板の前記化学システムが配置される側の反対側に配置されている第1保護層をさらに含む、請求項1に記載のパッケージ構造体。
【請求項8】
前記第1基板及び前記第2基板はそれぞれ、第1集電層及び第2集電層であり、前記化学システムは、電気エネルギーを供給するための電気化学反応システムである、請求項1に記載のパッケージ構造体。
【請求項9】
前記電気化学反応システムが、
前記第1集電層の前記化学システムが配置される側に配置されている第1電極層;
前記第2集電層の前記化学システムが配置される側に配置されている第2電極層;及び、
前記第1電極層と前記第2電極層との間に配置されているセパレータとを、
さらに含む、請求項8に記載のパッケージ構造体。
【請求項10】
前記第1集電層は前記第2集電層よりも短い、請求項8に記載のパッケージ構造体。
【請求項11】
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、且つ前記第1外側接着剤枠の外側に配置され
、熱硬化性樹脂から選択される第2外側接着剤枠をさらに含む、請求項1に記載のパッケージ構造体。
【請求項12】
前記第2外側接着剤枠は、
前記第1基板の前記化学システムが配置される側に配置されている第1外側接着剤層と、
前記第2基板の前記化学システムが配置される側に配置されている第3外側接着剤層と、
前記第1外側接着剤層と前記第3外側接着剤層との間に配置されている第2外側接着剤層とを含む、請求項11に記載のパッケージ構造体。
【請求項13】
前記第1外側接着剤層及び前記第3外側接着剤層中の炭素のモル百分率が、前記第2外側接着剤層中の炭素のモル百分率よりも高い、請求項12に記載のパッケージ構造体。
【請求項14】
前記第2外側接着剤層中の酸素のモル百分率が、前記第1外側接着剤層及び前記第3外側接着剤層中の酸素のモル百分率よりも高い、請求項12に記載のパッケージ構造体。
【請求項15】
前記第1外側接着剤層、前記第2外側接着剤層、及び前記第3外側接着剤層のうちの1つ又はこれらの組み合わせが、前記第1基板及び前記第2基板の周端部から突出している、請求項12に記載のパッケージ構造体。
【請求項16】
前記第2基板は前記第1基板よりも短い、請求項15に記載のパッケージ構造体。
【請求項17】
前記第1基板は前記第2基板よりも短い、請求項15に記載のパッケージ構造体。
【請求項18】
前記第1基板及び前記第2基板のうちの一つ又は組み合わせが、前記第2外側接着剤枠と揃っている、請求項12に記載のパッケージ構造体。
【請求項19】
第1基板;
前記第1基板に対向する第2基板;
前記第1基板と前記第2基板との間に配置されて、これにより収容空間を形成する内側接着剤枠、及び、前記収容空間に収容されている化学システム;
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記内側接着剤枠の外側に配置された第1外側接着剤枠;ならびに、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、且つ前記第1外側接着剤枠の外側に配置された第2外側接着剤枠;を含み、
前記内側接着剤枠は熱硬化性樹脂から選択され、前記第1外側接着剤枠は熱可塑性樹脂から選択され、前記第2外側接着剤枠は熱硬化性樹脂から選択され、
前記第1外側接着剤枠は第1接着剤枠及び第2接着剤枠を含み、前記第1接着剤枠は前記第1基板と前記第2接着剤枠との間に配置され、前記第2接着剤枠は前記第2基板と前記第1接着剤枠との間に配置され、また前記第1接着剤枠と結合し、
前記第2外側接着剤枠は、前記第1基板及び前記第2基板の周端部から突出している、化学システムのパッケージ構造体。
【請求項20】
前記第2外側接着剤枠は、
前記第1基板の前記化学システムが配置される側に配置されている第1外側接着剤層と、
前記第2基板の前記化学システムが配置される側に配置されている第3外側接着剤層と、
前記第1外側接着剤層と前記第3外側接着剤層との間に配置されている第2外側接着剤層とを含み、
前記第1外側接着剤層、前記第2外側接着剤層、及び前記第3外側接着剤層は、シリカゲルから選択され;
前記第2外側接着剤枠は、前記内側接着剤枠とは異なる熱硬化性樹脂から選択され、
前記第2外側接着剤層は、前記第1外側接着剤層と前記第3外側接着剤層とを接着し、
前記第1外側接着剤層及び前記第3外側接着剤層中の炭素のモル百分率が、前記第2外側接着剤層中の炭素のモル百分率よりも高く;
前記第2外側接着剤層中の酸素のモル百分率が、前記第1外側接着剤層及び前記第3外側接着剤層中の酸素のモル百分率よりも高い、請求項19に記載のパッケージ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は一般にパッケージ構造体に関し、特に化学システムのパッケージ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
技術が発展し、進歩するにつれて、材料の適用は、機械的強度等の巨視的構造体の単純な物性から、光子又は電子の励起又は変換等のエネルギー変換、及び分子スピン角変動等の分子変動を含む微視的操作へと発展してきた。微視的操作における他の要因の影響を受けない材料を確保するために、蒸気や空気等の周囲からの干渉を回避するために、隔離された空間にどのように材料を配置するかが重要な課題となっている。例えば、周囲の蒸気や空気の影響を避けるため、密閉された空間に微視的システムを置く。この微視的システムは、電気化学反応システム、LED蛍光粉末のためのカラーフィールド変換システム、又は液晶分子変化システム等の化学システムであり得る。
【0003】
したがって、本願は、微視的化学システムの操作に対する周囲の影響を回避するための化学システムのパッケージ構造体を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は、内側接着剤枠と第1外側接着剤枠とを含む化学システムのパッケージ構造体を提供することである。内側接着剤枠は、化学システムを収容するための収容空間を形成する。内側接着剤枠は、化学システムによって湿潤されたり損傷されたりしない。第1外側接着剤枠は内側接着剤枠の外側にさらに配置され、そして、周囲環境を隔離し、従って、化学システムに対する周囲環境の影響を回避するために使用される。これにより、化学システムの安定性が維持され得る。
【0005】
本願の別の目的は、化学システムのパッケージ構造体を提供することであり、このパッケージ構造体は、側部の衝突又は落下による化学システム上の損傷を防止するため、又は化学システムと異種金属との間の接触を防止するために使用される第2外側接着剤枠をさらに備える。これにより、化学システムの安定性が維持され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本願は、第1基板と、第2基板と、内側接着剤枠と、化学システムと、第1外側接着剤枠とを備える化学システムのパッケージ構造体を開示する。第2基板は、第1基板に対向している。内側接着剤枠は、第1基板と第2基板との間に配置されて、これにより収容空間を形成している。化学システムは、前記収容空間に収容されている。第1外側接着剤枠は、第1基板と第2基板との間に配置され、また内側接着剤枠の外側に配置されている。内側接着剤枠は、熱硬化性樹脂から選択され、第1外側接着剤枠は熱可塑性樹脂から選択される。
【0007】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1外側接着剤枠は、第1接着剤枠と第2接着剤枠とを含む。第1接着剤枠は、第1基板の内側に配置されている。第2接着剤枠は、第2基板の内側に配置され、また第1接着剤枠と結合している。
【0008】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1接着剤枠と第2接着剤枠とは、高温プレス加工によって結合されて、前記第1外側接着剤枠を形成している。
【0009】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、内側接着剤枠は、第1内側接着剤層と、第3内側接着剤層と、第2内側接着剤層とをさらに含む。第1内側接着剤層は、第1基板の内側に配置されている。第3内側接着剤層は、第2基板の内側に配置されている。第2内側接着剤層は、第1内側接着剤層と第3内側接着剤層との間に配置されている。
【0010】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1内側接着剤層及び第3内側接着剤層中の炭素のモル百分率は、第2内側接着剤層中の炭素のモル百分率よりも高い。
【0011】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第2内側接着剤層における酸素のモル百分率は、第1内側接着剤層及び第3内側接着剤層における酸素のモル百分率よりも高い。
【0012】
本願の一実施形態によれば、前記化学システム用パッケージ構造体は、第1基板の外側に配置されている第1保護層をさらに含む。
【0013】
本願の一実施形態によれば、前記化学システム用パッケージ構造体は、第2基板の外側に配置されている第1保護層をさらに含む。
【0014】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1基板及び第2基板はそれぞれ、第1集電層及び第2集電層である。化学システムは、電気エネルギーを供給するための電気化学反応システムである。
【0015】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、電気化学反応システムは、第1電極層と、第2電極層と、セパレータとをさらに含む。第1電極層は、第1集電層の内側に配置されている。第2電極層は、第2集電層の内側に配置されている。セパレータは、第1電極層と第2電極層との間に配置されている。
【0016】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1集電層は、第2集電層よりも短い。
【0017】
本願の一実施形態によれば、化学システムのパッケージ構造体は、第1接着剤枠と第1基板との間に配置されている第2保護層をさらに含む。
【0018】
本願の一実施形態によれば、化学システムのパッケージ構造体は、第2接着剤枠と第2基板との間に配置されている第2保護層をさらに含む。
【0019】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第2保護層の材料は、熱硬化性樹脂を含む。
【0020】
本願の一実施形態によれば、化学システムのパッケージ構造体は、第1基板と第2基板との間に配置され、且つ第1外側接着剤枠の外側に配置された第2外側接着剤枠をさらに備える。第2外側接着剤枠は、熱硬化性樹脂から選択される。
【0021】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第2外側接着剤枠は、第1外側接着剤層と、第3外側接着剤層と、第2外側接着剤層とをさらに含む。第1外側接着剤層は、第1基板の内側に配置されている。第3内側接着剤層は、第2基板の内側に配置されている。第2外側接着剤層は、第1外側接着剤層と第3外側接着剤層との間に配置されている。
【0022】
本願のパッケージ構造体の実施形態によれば、第1外側接着剤層及び第3外側接着剤層中の炭素のモル百分率は、第2外側接着剤層中の炭素のモル百分率よりも高い。
【0023】
本願のパッケージ構造体質の実施形態によれば、第2外側接着剤層中の酸素のモル百分率は、第1外側接着剤層及び第3外側接着剤層中の酸素のモル百分率よりも高い。
【0024】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1外側接着剤層、第2外側接着剤層及び第3外側接着剤層のうちの1つ又はこれらの組み合わせが、第1基板及び第2基板から突出している。
【0025】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第2基板は、第1基板よりも短い。
【0026】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1基板は、第2基板よりも短い。
【0027】
本願のパッケージ構造体の一実施形態によれば、第1基板及び第2基板の一方又は組み合わせは、第2外側接着剤枠と揃っている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本願の第1実施形態に従う構造的概略図を示す。
【
図2】
図2は、本願の第2実施形態に従う構造的概略図を示す。
【
図3】
図3は、本願の第3実施形態に従う構造的概略図を示す。
【
図4】
図4は、本願の第4実施形態に従う構造的概略図を示す。
【
図5】
図5は、本願の第5実施形態に従う構造的概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本願の構成及び特性ならびに有効性をさらに理解及び認識させるために、本願の詳細な説明が、実施形態及び添付の図面とともに以下に提供される。
【0030】
作業の妨害を防ぐために、化学システムを周囲環境から隔てることが必要であり、本願は、長期の要求を満たすための化学システムのパッケージ構造体を提供する。
【0031】
以下、本願に係るパッケージ構造体の構造及び特性について更に説明する。本願の第1実施形態に従う構造的概略図を示す
図1を参照されたい。図に示すように、本願は、第1基板11、第2基板12、内側接着剤枠20、及び第1外側接着剤枠40を含む化学システムのパッケージ構造体1を開示する。第2基板12は、第1基板11に対向している。内側接着剤枠20は、収容空間を形成し且つ化学システム30を収容するための第1基板11と第2基板12との間に配置されている。第1外側接着剤枠40は、第1基板11と第2基板12との間に配置され、且つ内側接着剤枠20の外側に配置されている。第1外側接着剤枠40は、第1接着剤枠41と第2接着剤枠42とを含む。第1接着剤枠41は第1基板11の内側に配置され、第2接着剤枠42は第2基板12の内側に配置されて、且つ第1接着剤枠41と結合される。内側接着剤枠20は熱硬化性樹脂から選択され、第1外側接着剤枠40は熱可塑性樹脂から選択される。本願に係るパッケージ構造体の両側の構造は同一である。それにもかかわらず、本願に係るパッケージ構造体を明確に図解するために、パッケージ構造体1の左側の構造は
図1に示されていない。
【0032】
本願の前記内側接着剤枠は、化学システム30によって湿らせられないか又は損傷されない特性を有し、したがって、周囲環境への化学システム30の曝露を回避し、ならびに周囲環境による干渉を防ぐ。例えば、化学システム30が液体電解質等の液体化学物質を含む場合、内側接着剤枠20は液体化学物質との界面を形成して、当該化学物質が自己凝集することを可能にする。これにより、内側接着剤枠20は、液体化学物質が内側接着剤枠20を湿らせたり損傷したりすることを回避するために、化学物質を隔てることができる。さらに、内側接着剤枠20は、化学システム30の操作の性能と安定性とを維持するために、化学システム30と反応しない特性をさらに有する。本願の一実施形態によれば、内側接着剤枠20の材料は、シリカゲル、テフロン(登録商標)、又は変性重合体等の非極性材料、低表面エネルギー材料から選択される熱硬化性樹脂を含むことができる。前記重合体は、変性エポキシ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリイミド、シリコーン、アクリレート樹脂、UV硬化接着剤、アクリル樹脂、ポリイミド及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料であり得る。変性重合体の変性方法には、分子量の増加、鎖長の短縮、及び結晶化傾向から未定形架橋へと変化するための添加剤の添加が含まれる。これにより、熱硬化効果を得ることができる。
【0033】
本願に係る第1外側接着剤枠40は、水分及び空気等の周囲環境が化学システム30の操作に影響を及ぼさないように、周囲環境を効果的に隔てることができる。これにより、化学システム30の安定性を維持することができる。本願の一実施形態によれば、第1外側接着剤枠40の材料は、熱可塑性樹脂を含むことができる。熱可塑性樹脂の接着力は界面に結晶を形成することに由来するので、気泡は形成されない。さらに、結晶状態の界面は毛管現象の拡散の低減に寄与し、したがって、周囲の水分又は空気が、第1外側接着剤枠に入ることを効果的に防止する。これにより、化学システム30の操作に周囲環境が影響を及ぼすことを防止することができる。熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料である。第1外側接着剤枠40は、第1接着剤枠41及び第2接着剤枠42を含む。高温プレス工程を用いて、第1外側接着剤枠40を形成するために第1接着剤枠41と第2接着剤枠42とを接合させる。詳細な説明は以下の通りである。
【0034】
第1外側接着剤枠40を形成する方法は、第1接着剤枠41及び第2接着剤枠42を形成するために、第1基板11の内側及び第2基板12の内側に接着剤を塗ることである。第1接着剤枠41と第2接着剤枠42とを接合するために、高温プレス加工が用いられる。まず、第1接着剤枠41及び第2接着剤枠42を加熱する。加熱は、第1基板11及び第2基板12の表面を溶融させない。次に、第1接着剤枠41及び第2接着剤枠42を押圧して接合する。これにより、第1接着剤枠41及び第2接着剤枠42を結合するために長時間を要しない。熱可塑性樹脂は、接着される物体(第1基板11及び第2基板12)に投錨接合するために、溶融状態において十分に湿らせ得るので(用語「投錨接合」は、溶融状態の熱可塑性樹脂が基板との界面における空隙に浸透することができ、それが硬化後に、おおよその投錨された接合状態を形成され得ることを説明するために使用される)、接着界面が十分に形成され得る(結晶状態投錨接合)。熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂と比較して基板の表面粗さの影響を受けやすいので、熱可塑性樹脂は、基板とのより長い界面を構築することができるために、蒸気又は水分等の周囲の物体の浸透を妨げる。さらに、熱可塑性樹脂は極性官能基を有することができ、当該極性官能基は、基板表面(例えば、金属表面)との水素結合及びファンデルワールス力を誘発し得る。さらに、高温プレス工程の温度が冷却された後に、熱可塑性樹脂の内部又は表面上の長鎖配列は、高度に結晶化された状態に達し得る。それによって、第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41と第2接着剤枠42との間の界面は高度に結晶化した状態を形成することができ、且つ水分及び空気等の周囲環境から隔てる能力を有することができる。
【0035】
図1を再び参照されたい。本願に係るパッケージ構造体1は、衝突、曲げ、又は酸化等の材料の劣化から第1基板11及び第2基板12をそれぞれ保護するために、第1基板11及び第2基板12の外側にそれぞれ配置された2つの第1保護層61、62をさらに含む。さらに、第1保護層61、62は、電気的遮断を達成するための絶縁体であってもよい。本願の一実施形態によれば、第1保護層61、62はポリイミドであってもよいが、これに限定されない。
【0036】
前述のような化学システム30は、電気エネルギーによって駆動されるシステム、例えば、液晶分野における液晶分子変動システムであり得る。代替的に、化学システム30は、電気エネルギーと反応することができるシステム、例えば、LEDの蛍光出力のための色域変換システムであり得る。前述のような化学システム30は、エネルギーを供給するための電気化学的供給システム、例えば、エネルギー貯蔵装置であり得る。前記の実施形態は、本願に係る化学システム30の一部の実施形態に過ぎず、本願に係る化学システム30を前記の実施形態に限定するために使用されるものではない。以下の記載では、電気化学反応システムが、本願に係る化学システム30の例として採用される。しかしながら、本願に係るパッケージ構造体1は、電気化学反応システムのみに適用されるものに限定されない。
【0037】
本実施形態によれば、第1基板11及び第2基板12はそれぞれ、第1集電層及び第2集電層であり得る。化学システム30は、電気化学反応システムであり得る。本実施形態に係る化学システム30は、第1電極層31と、第2電極層32と、セパレータ33とをさらに含む。第1電極層31は、第1基板11(第1集電層)の内側に配置されている。第2電極層32は、第2基板12(第2集電層)の内側に配置されている。セパレータ33は、第1電極層31と第2電極層32との間に配置されている。第1基板11及び第2基板12は、フレキシブル回路基板、アルミニウム、又は銅等のフレキシブル基板であり得る。セパレータ33の材料は、重合体材料、セラミック材料、又はガラス繊維材料からなる群から選択される2つ以上であり得る。本願の別の実施形態によれば、前記化学システムは、液晶分野における液晶分子変動システムである。第1基板11及び第2基板12はそれぞれ、透明ガラス基板であり得る。さらに、本願の別の実施形態によれば、化学システム30は、LEDの蛍光出力のための色域変換システムであり得る。第1基板11は透明なガラス基板であり得、第2基板12はLEDを配置するためのプリント回路基板(PCB)等の不透明な配線基板であり得る。
【0038】
本願の第2実施形態に従う構造的概略図を示す
図2を参照されたい。本実施形態と第1実施形態との違いは、本実施形態に係る内側接着剤枠20が第1内側接着剤層21と、第2内側接着剤層22と、第3内側接着剤層23とをさらに含むことである。第1内側接着剤層21は、第1基板11の内側に配置されている。第3内側接着剤層23は、第2基板12の内側に配置されている。第2内側接着剤層22は、第1内側接着剤層21と第3内側接着剤層23との間に配置されている。第1内側接着剤層21、第2内側接着剤層22、及び第3内側接着剤層23の成分は、不均質な界面及び均質な界面に従って改質される。
【0039】
異なる製法又は添加剤を使用することによって、金属基板表面又は他の重合体基板表面等の不均質な表面への、本願に係る第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23の接着は、第1内側接着剤層21が第1基板11にしっかりと接着され得、且つ第3内側接着剤層23が第2基板12にしっかりと接着され得るように、さらに調節され得る。前記調整において、架橋のための極性官能基及び非極性官能基を有するカップリング剤を添加する等、極性官能基を増加させるために、グラフト法が採用され得る。第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23の主な機能は、構造の支持、絶縁、電解質又は液晶分子等の化学システム30の化学物質の遮断(主な目的)、並びに周囲の蒸気及び空気等の周囲環境を隔てること(第2目的)を含む。第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23の接着剤特性は、化学物質が表面を湿らせることができないように、表面が極めて低い表面エネルギーを有することを可能にする。その上、それらの高密度網目構造のために、それらは優れた耐薬品性を有し、従って化学物質による浸食がない。
【0040】
硬化した第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23は、粘性が低く且つ非極性の表面を有しているので、それらが他の種類の接着剤に接着することは困難である。従って、第2内側接着剤層22は、接着の問題を克服するために採用される。第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23と比較して、第2内側接着剤層22は改質されず、その機能は主に第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23を接着することである。従って、第2内側接着剤層22は、第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23のような均質な表面に対してより強い接着性を有する。さらに、第2内側接着剤層22の機能は、化学システム30内の化学物質をブロックすることも含む。
【0041】
例えば、第1内側接着剤層21、第2内側接着剤層22及び第3内側接着剤層23がシリカゲルから選択されるとき、第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23中の炭素のモル百分率は、第2内側接着剤層22中の炭素のモル百分率よりも高く、第2内側接着剤層22中の酸素のモル百分率は、第1内側接着剤層21及び第3内側接着剤層23中の酸素のモル百分率よりも高い。
【0042】
本願の第3実施形態に従う構造的概略図を示す
図3を参照されたい。
図3に示すように、本実施形態と第2実施形態との違いは、本実施形態に係るパッケージ構造体1が、第1接着剤枠41と第1基板11との間に配置された第2保護層63をさらに備えることである。第2保護層63は絶縁体であり、且つ第2保護層63の材料は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂の材料は、シリカゲル、テフロン(登録商標)、又は変性重合体等の非極性、低表面エネルギー材料から選択することができ、前記重合体は、変性エポキシ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリイミド、シリコーン、アクリレート樹脂、UV硬化接着剤、アクリル樹脂、ポリイミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料である。第2保護層63の活性官能基は、第1基板11又は第2基板12の表面と水素結合及びファンデルワールス力を形成することができる。また、第2保護層63内での高架橋反応も、極めて低い吸水率(<0.3%)を達成することができる。これにより、第2保護層63は、蒸気や空気等の周囲環境を隔てる能力も有する。
【0043】
また、第1外側接着剤枠40が外力または他の理由によって損傷され、圧縮され、変形されたときに、第2保護層63は、第1基板11と第2基板12とが互いに接触することを防止することができる。第1基板11及び第2基板12が金属基板である場合、第2保護層63は、第1基板11及び第2基板12が短絡を形成するのを防止するために使用される。すなわち、第2保護層63を電気的遮断のために用いることができる。第1接着剤枠41と第1基板11との間に配置されていることに加えて、第2保護層63は、第2接着剤枠42と第2基板12との間に配置することもできる。
【0044】
また、第2保護層63は、個別に塗布された硬化層である。まず、第2保護層63は、第1基板11又は第2基板12の内側にを塗布される。この時点では、第2保護層63は、第1接着剤枠41又は第2接着剤枠42とはまだ接合されていない。次に、第2保護層63は、硬化のために加熱される。硬化中、第2保護層63の一方の側面は第1接着剤枠41又は第2接着剤枠42と未だ接合していないため、開放面であり、加熱中に発生した気体を容易に排気させる。すなわち、高温硬化において、第2保護層63内に気泡が発生しにくい。第2保護層63は、第2保護層63内で発生する気泡をさらに防止し、且つ周囲環境に接触する第2保護層63の側部の断面積を最小限に抑え、したがって、吸水の総量をさらに低減するために、可能な限り薄くすることができる。本願の一実施形態によれば、第2保護層63の厚さは、10μmであり得る。さらに、第2保護層63は、他の層と接合するための接着層として作用しないように選択することができる。それでもなお、本願は前記実施形態に限定されない。
【0045】
また、本願に係るパッケージ構造体1は、陽極/陰極の安全設計に準拠した集電層の設計にも適用することができる。
図4に示すように、第1基板11は、第2基板12よりも短い。これにより、第1保護層61は第1基板11よりも長くなり、第1基板11の外部に露出する。
図4に示すように、第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42は、第2基板12に接続される。第1基板11との接続に加えて、第1接着剤枠41は、基板11の外側に露出した第1保護層61の内側にも接続されている。
【0046】
同様に、
図4に示されるパッケージ構造体1は、
図5に示されるように、第2保護層63をさらに備えることができる。第2保護層63は、内側接着剤枠20の外側に露出した第1基板11の曲がった角部をさらに覆うことができる。第2保護層63は、第1基板11と第1接着剤枠41との間に位置し、且つ第1保護層61と第1接着剤枠41との間に位置する。
【0047】
図6Aに示すように、本願は、第1基板11と第2基板12との間に配置され且つ第1外側接着剤枠40の外側に配置された第2外側接着剤枠50をさらに備えることができる。第2外側接着剤枠50は、熱硬化性樹脂から選択される。第6の実施形態に係る化学システム30は、前述した第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、及び第5実施形態と同様である。化学システム30は、電気エネルギーによって駆動されるシステム、例えば、液晶分野における液晶分子変動システムであり得る。代替的に、化学システム30は、電気エネルギーと反応することができるシステム、例えば、LEDの蛍光出力のための色域変換システムであり得る。前述のような化学システム30は、エネルギーを供給するための電気化学的供給システム、例えば、エネルギー貯蔵装置であり得る。前記の実施形態は、本願に係る化学システム30の一部の実施形態に過ぎず、本願に係る化学システム30を前記の実施形態に限定するために使用されるものではない。以下の記載では、電気化学反応システムは、本願に係る化学システム30の一例として採用される。しかしながら、本願に係るパッケージ構造体1は、電気化学反応システムのみに適用されるものに限定されない。
【0048】
本実施形態によれば、第1基板11及び第2基板12はそれぞれ、第1集電層及び第2集電層であり得る。化学システム30は、電気化学反応システムであり得る。本実施形態に係る化学システム30は、第1電極層31と、第2電極層32と、セパレータ33とをさらに含む。第1電極層31は、第1基板11(第1集電層)の内側に配置されている。第2電極層31は、第2基板12(第2集電層)の内側に配置されている。セパレータ33は、第1電極層31と第2電極層32との間に配置されている。第1基板11及び第2基板12は、フレキシブル基板であってもよい。
【0049】
第1外側接着剤枠40は、熱硬化性樹脂であるので、処理中に特定の温度及び圧力が加えられると、変形又はこぼれて、周囲環境を隔てる効果に影響を及ぼす可能性がある。これにより、第2外側接着剤枠50は、第1外側接着剤枠40の元の形状及び効果を維持するための障害壁として作用することができる。
【0050】
本願の一実施形態によれば、第2外側接着剤枠50の材料は、シリカゲル、テフロン(登録商標)、又は変性重合体等の非極性、低表面エネルギー材料から選択される熱硬化性樹脂を含むことができる。前記重合体は、変性エポキシ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリイミド、シリコーン、アクリレート樹脂、UV硬化接着剤、アクリル樹脂、ポリイミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料であり得る。
【0051】
変性重合体の変性方法には、分子量の増加、鎖長の短縮、及び結晶化傾向から未定形架橋へと変化するための添加剤の添加が含まれる。これにより、熱硬化効果を得ることができる。さらに、低表面エネルギーの性質のために、第2外側接着剤枠50は、第1外側接着剤枠40に接着しない。室温では、第1外側接着剤枠40及び第2外側接着剤枠50は反発性である。これにより、それらが隣接する位置に設計された場合に、それらは、明確かつ効果的に分割及び遮断され得る。
【0052】
図6Aに示すように、接触による第1基板11と第2基板12との間の短絡を回避するために、第2外側接着剤枠50は、第1基板11及び第2基板12の外側に突出している。これにより、第1基板11と第2基板12と接触を防止する。さらに、第2外側接着剤枠50は、側部の衝突又は落下による化学システムへの損傷を低減し、且つ異種金属に接触する可能性を低減するための最も外側の構造として作用する、弾性接着剤である。
【0053】
さらに、
図6Bに示すように、本実施形態に係る第2外側接着剤枠50は、第1外側接着剤層51と、第3外側接着剤層53と、第2外側接着剤層52とをさらに含む。第1外側接着剤層51は、第1基板11の内側に配置されている。第3外側接着剤層53は、第2基板12の内側に配置されている。第2外側接着剤層52は、第1外側接着剤層51と第3外側接着剤層53との間に配置されている。内側接着剤枠20についての説明と同様に、第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の成分は、不均質界面及び均質界面に従って改質される。
【0054】
異なる製法又は添加剤を使用することによって、金属基板表面又は他の重合体基板表面等の不均質な表面のための本願に係る第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53の接着は、第1外側接着剤層51が第1基板11にしっかりと接着され得、且つ第3外側接着剤層53が第2基板12にしっかりと接着され得るように、さらに調節され得る。前記調整において、架橋のための極性官能基及び非極性官能基を有するカップリング剤を添加する等、極性官能基を増加させるために、グラフト法が採用され得る。第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53の主な機能は、第1外側接着剤枠40の構造及び機能を維持するための第1外側接着剤枠40の構造の支持(主な目的)、側部の衝突又は落下による化学システム30の損傷、及び化学システムと異種金属との間の接触の可能性の低減(第2目的)を含む。第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53の接着剤特性は、化学物質が表面を湿らせることができないように、表面が極めて低い表面エネルギーを有することを可能にする。その上、それらの高密度網目構造のために、それらは優れた耐薬品性を有し、従って化学物質による浸食がない。
【0055】
硬化した第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53は、粘性が低く且つ表面は非極性であるので、それらが他の種類の接着剤に接着することは困難である。従って、第2外側接着剤層52は、接着の問題を克服するために採用される。第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53と比較して、第2外側接着剤層52は改質されず、その機能は主に第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53を接着することである。従って、第2外側接着剤層52は、第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53のような均質な表面に対してより強い接着性を有する。
【0056】
例えば、第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53がシリカゲルから選択されるとき、第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53中の炭素のモル百分率は、第2外側接着剤層52中の炭素のモル百分率よりも高く、第2外側接着剤層52中の酸素のモル百分率は、第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53中の酸素のモル百分率よりも高い。
【0057】
また、
図6Cに示すように、第2保護層63がさらに配置され得る。第1接着剤枠41、第1外側接着剤層51、及び第1基板11の間に配置されていることに加えて、第2保護層63は、第2接着剤枠42、第3外側接着剤層53、及び第2基板12の間にも配置され得る。
【0058】
第2保護層63の材料は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂の材料は、シリカゲル、テフロン(登録商標)、又は変性重合体等の非極性、低表面エネルギー材料からなる群から選択される。前記重合体は、変性エポキシ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリイミド、シリコーン、アクリレート樹脂、UV硬化接着剤、アクリル樹脂、ポリイミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料であり得る。第2保護層63の活性官能基は、第1基板11又は第2基板12の表面と水素結合及びファンデルワールス力を形成することができる。また、第2保護層63内での高度な架橋反応も、極めて低い吸水率(<0.3%)を達成することができる。これにより、第2保護層63は、蒸気や空気等の周囲環境を隔てる能力も有する。
【0059】
また、本願に係るパッケージ構造体1は、陽極/陰極の安全設計に準拠した集電層の設計にも適用することができる。
図6Dに示すように、第1基板11は、第2基板12よりも短い。これにより、第1保護層61は第1基板11よりも長くなり、第1基板11の外部に露出する。
図6Dに示すように、第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42は、第2基板12に接続される。第1基板11との接続に加えて、第1接着剤枠41は、基板11の外側に露出した第1保護層61の内側にも接続されている。
【0060】
また、第2外側接着剤枠50の第3外側接着剤層53は第2基板12に連結され、第1外側接着剤層51は第1基板11の外側に露出した第1保護層61の内側に連結される。さらに、第1基板11が第2基板12よりも短い場合、第1外側接着剤層51及び第2外側接着剤層52と比較して、第3外側接着剤層53は、第2基板12の外側に突出している。反対に、第2基板12が第1基板11よりも短い場合、第3外側接着剤層53及び第2外側接着剤層52と比較して、第1外側接着剤層51は第1基板11の外側に突出している。
【0061】
同様に、
図6Dに示すパッケージ構造体1は、
図6Eに示すように、第2保護層63をさらに含み得る。第2保護層63は、内側接着剤枠20の外側に露出した第1基板11の曲がった角部をさらに覆うことができる。第2保護層63は、第1基板11と第1接着剤枠41との間に位置し、及び第1保護層61と、第1接着剤枠41と、第1外側接着剤層51との間に位置する。
【0062】
また、第1接着剤枠41、第1外側接着剤層51及び第1基板11の間に配置されていることに加えて、第2保護層63は、第2接着剤枠42と、第3外側接着剤層53と第2基板12の間にも配置することができる。
【0063】
要約すると、本願は、内側接着剤枠と、第1外側接着剤枠と、さらに第2外側接着剤枠とを備える、二重又は三重の接着剤枠構造を有する化学システムのパッケージ構造体を開示する。第1外側接着剤枠は、内側接着剤枠の外側に配置されている。内側接着剤枠は収容空間を形成し、これにより、化学システムを収容する。内側接着剤枠は、化学システムによって湿潤されたり損傷されたりしない。第1外側接着剤枠は、周囲環境を隔てることができ、これにより化学システムの操作に対する周囲の影響を回避する。第2外側接着剤枠はさらに、第1接着剤枠の外側に配置され、化学システムの側部の衝突又は落下等の損傷を回避するために、又は化学システムが異物金属と接触することを防止するために、第1基板及び第2基板を突出させる。これにより、化学システムの安定性が維持され得る。
【0064】
また、
図6B及び
図6F~
図6Hを参照されたい。これらの図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、第2基板12の組み合わせを示している。第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52、及び第3外側接着剤層53の一つ又は組み合わせは、第1基板11及び第2基板12から突出している。
図6Bに示すように、第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52、及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12の側端部から共に突出している。そして、
図6Fに示すように、
図6Bの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図6Gに示すように、
図6Bの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図6Hに示すように、
図6Bの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは、第1基板11及び第2基板12から共に突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置する。
【0065】
本願の第7実施形態に従う構造的概略図を示す
図7A~
図7Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第1外側接着剤層51及び第2外側接着剤層52の側端部は、第1基板11及び第2基板12及び第3外側接着剤層53から突出している。
図7Aに示すように、第1外側接着剤層51及び第2外側接着剤層52は、第1基板11及び第2基板12及び第3外側接着剤層53から突出している。そして、
図7Bに示すように、
図7Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりもさらに短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図7Cに示すように、
図7Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図7Dに示すように、
図7Aの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは、第1基板11及び第2基板12から共に突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0066】
本願の第8実施形態に従う構造的概略図を示す
図8A~
図8Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第1外側接着剤層51の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の側端部から突出している。
図8Aに示すように、第1外側接着剤層51の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の側端部から突出している。そして、
図8Bに示すように、
図8Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図8Cに示すように、
図8Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図8Dに示すように、
図8Aの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは、第1基板11及び第2基板12から突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は、第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0067】
本願の第9実施形態に従う構造的概略図を示す
図9A~
図9Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第1外側接着剤層51の側端部から突出している。
図9Aに示すように、第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53は、第1基板11及び第2基板12並びに第1外側接着剤層51から突出している。そして、
図9Bに示すように、
図9Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図9Cに示すように、
図9Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図9Dに示すように、
図9Aの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは第1基板11及び第2基板12から共に突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は、第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0068】
本願の第10実施形態に従う構造的概略図を示す
図10A~
図10Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第1外側接着剤層51及び第2外側接着剤層52の側端部から突出している。
図10Aに示すように、第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第1外側接着剤層51及び第2外側接着剤層52の側端部から突出している。そして、
図10Bに示すように、
図10Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図10Cに示すように、
図10Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図10Dに示すように、
図10Aの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは、第1基板11及び第2基板12から突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0069】
本願の第11実施形態に従う構造的概略図を示す
図11A~
図11Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第2外側接着剤層52の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53の側端部から突出している。
図11Aに示すように、第2外側接着剤層52の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53の側端部から突出している。そして、
図11Bに示すように、
図11Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図11Cに示すように、
図11Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図11Dに示すように、
図11Aの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは、第1基板11及び第2基板12から突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は、第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0070】
本願の第12実施形態に従う構造的概略図を示す
図12A~
図12Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第2外側接着剤層52の側端部から突出している。
図12Aに示すように、第1外側接着剤層51及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12並びに第2外側接着剤層52の側端部から突出している。そして、
図12Bに示すように、
図12Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図12Cに示すように、
図12Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図12Dに示すように、
図12Aの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とが第1基板11及び第2基板12から共に突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0071】
本願の第13実施形態に従う構造的概略図を示す
図13A~
図13Cを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第1基板11及び第2基板12の一つ又は組み合わせは、第2外側接着剤枠50と揃っている。
図13Aに示すように、第1基板11及び第2基板12は、第2外側接着剤枠50と共に揃っている。
図13Bに示すように、
図13Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図13Cに示すように、
図13Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。
【0072】
本願の第14実施形態に係る構造的概略図を示す
図14A~
図14Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12の側端部からはしご状に突出している。第3外側接着剤層53の側端部は、第1外側接着剤層51及び第2外側接着剤層52の側端部よりもより突出している。
図14Aに示すように、第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52、及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12の側端からはしご状に突出している。第3外側接着剤層53の側端部は、第1外側接着剤層51及び第2外側接着剤層52の側端部よりもより突出している。
図14Bに示すように、
図14Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図14Cに示すように、
図14Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図14Dに示すように、
図14Aの図面の図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは、第1基板11及び第2基板12から突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は、第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0073】
最後に、本願の第15実施形態に従う構造的概略図を示す
図15A~
図15Dを参照されたい。図は、第2外側接着剤枠50、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを示している。第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12の側端部からはしご状に突出している。第1外側接着剤層51の側端部は、第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の側端部よりもより突出している。
図15Aに示すように、第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52、及び第3外側接着剤層53の側端部は、第1基板11及び第2基板12の側端部からはしご状に突出している。第1外側接着剤層51の側端部は、第2外側接着剤層52及び第3外側接着剤層53の側端部よりも突出している。
図15Bに示すように、
図15Aの図面とは対照的に、第2基板12は第1基板11よりも短く、第2基板12の側端部は第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。また、
図15Cに示すように、
図15Aの図面とは対照的に、第1基板11は第2基板12よりも短く、第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置している。最後に、
図15Dに示すように、
図15Aの図面とは対照的に、第2外側接着剤枠50と第1外側接着剤枠40の一部とは、第1基板11及び第2基板12から突出している。第1基板11の側端部は第1外側接着剤枠40の第1接着剤枠41の外側表面上に位置し、第2基板12の側端部は、第1外側接着剤枠40の第2接着剤枠42の外側表面上に位置している。
【0074】
前記の実施形態によれば、本願は、化学システムの側部の衝突及び落下等の損傷又は化学システムが異種金属と接触するのを防止する接触を回避するために、第2外側接着剤枠50(第1外側接着剤層51、第2外側接着剤層52、及び第3外側接着剤層53)、第1基板11、及び第2基板12の組み合わせを採用している。これにより、化学システムの安定性が維持され得る。
【0075】
従って、本願は、その新規性、非自明性、及び有用性のために、法的要件に適合する。しかしながら、前述の記載は、本願の実施形態にすぎず、本願の範囲を限定するために使用されない。本願の特許請求の範囲に記載された形状、構造、特徴、又は精神に従ってなされたこれらの均等な変更又は改変は、本願の添付の特許請求の範囲に含まれる。