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特許7027492グラフト固定装置、システム、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】グラフト固定装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/06 20130101AFI20220221BHJP
   A61B 17/11 20060101ALI20220221BHJP
   A61M 60/859 20210101ALI20220221BHJP
   A61M 60/135 20210101ALN20220221BHJP
【FI】
A61F2/06
A61B17/11
A61M60/859
A61M60/135
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020129020
(22)【出願日】2020-07-30
(62)【分割の表示】P 2018139947の分割
【原出願日】2013-08-09
(65)【公開番号】P2020192339
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】61/681,988
(32)【優先日】2012-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】スペンス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ダウリング ロブ
(72)【発明者】
【氏名】クン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスティー ケイトリン
(72)【発明者】
【氏名】ザイス トーステン
(72)【発明者】
【氏名】グラッツ エリック
(72)【発明者】
【氏名】シュパニアー ゲルト
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05084064(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0095210(US,A1)
【文献】国際公開第2011/043888(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/038109(WO,A2)
【文献】特開平9-117511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/06
A61B 17/11
A61M 60/859
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導管部および第2の導管部を有する、少なくとも1つの導管を含む、血管グラフトであって、
第1の導管部が実質的に一定の直径を有するとともに第2の導管部の第1端と接続し、第2の導管部の第2端が血管に接続するように構成された開口を含み、第1の導管部の先端が第2の導管部に延び、第2の導管部が膨らんだ部分とコネクター部分を有するコネクターであり、該膨らんだ部分は、第1の導管部が該膨らんだ部分の内部に接触することなく該膨らんだ部分内で旋回するように構成されており、第1の導管部が滑らかな表面を有する第1の材料を含み、第2の導管部が第1の材料とは違う第2の材料であって、粗い表面を含む第2の材料を含む
血管グラフト。
【請求項2】
第1の材料がシリコーンゴムを含む、請求項1記載の血管グラフト。
【請求項3】
第2の材料が多孔性ePTFEを含む、請求項1記載の血管グラフト。
【請求項4】
第2の材料が織りポリエステル材料を含む、請求項1記載の血管グラフト。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導管が血流補助システムに連結するように構成されている、請求項1記載の血管グラフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年8月10日に出願された「GRAFT ANCHOR DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS」という題名の米国特許仮出願第61/681,988号の優先権を主張し、該出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本開示は、概して、医療装置、特に、グラフト材料を身体構造に固定するために有用な装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
組織内殖を促進するインプラント材料、例えばグラフトが、医療技術において、特に血管の交換、強化、および/または修復を含む適用において使用され得る。これらの材料は天然由来でも天然由来でなくてもよく、患者内に埋め込まれると、患者由来の細胞および他の身体物質が材料に入り込んで、例えば、埋め込まれた材料の表面、周囲、および/または内部での新たな組織増殖をもたらすことができる。組織内殖は、そのようなインプラントの生体適合性を増強し得るが、過剰な組織増殖は、望ましくない合併症を結果としてもたらす可能性がある。
【0004】
そのようなグラフトおよびグラフト固定装置が、循環器系を接続する流入用導管および流出用導管を作製するために、埋め込み可能な人工心臓(VAD)において使用され得る。長い期間埋め込まれる場合、そのような装置にとって主要な課題の1つが、細胞内殖の制御である。
【発明の概要】
【0005】
概要
本開示は、ある特定の局面において、グラフト材料を身体構造の壁に固定するための独自の方法およびシステムを提供する。いくつかの方法およびシステムは、第1のグラフト構成要素を身体構造の壁に固定する段階であって、第1のグラフトの表面、周囲、および/または内部での新たな組織増殖が促進される段階を含む。第1のグラフト構成要素は、第2のグラフト構成要素の固定を容易に可能にするカフ構造を提供するように意図される。第2のグラフト構成要素および第1のグラフト構成要素は、同じまたは実質的に類似した材料、生物学的特性、機械的特性、および/または寸法を有してもよい。あるいは、第2のグラフト構成要素は、第1のグラフト構成要素とは違う材料、生物学的特性、機械的特性、および/または寸法を有してもよい。グラフトは、2つまたはそれより多い類似した構成要素または異なる構成要素から形成され得る。
【0006】
別の態様において、本開示は、互いに結合されてグラフトの異なる部分へ異なる特性を与えることができる、異なる特性を有する構成要素により形成される、該グラフトを提供する。
【0007】
別の態様において、本開示は、細胞内殖をグラフトの近位構成要素に制限するが、他の構成要素には制限しない技術を提供する;従って、細胞増殖は、1つまたは複数の構成要素に制限されるが、すべての構成要素には制限されない。
【0008】
別の態様において、本開示は、渦がグラフトの区画において形成され、グラフトのある特定の区画において「洗い出し」効果を増強しかつ従ってグラフトのそのような区画におけるいかなる細胞増殖または付着も制限することができるような方法で結合された、異なる直径のグラフトを有するために使用される技術を提供する。
【0009】
別の態様において、本開示は、そのような領域におけるいかなる細胞の蓄積も破壊するために、内部変形部を備えて、流れにおいて渦を意図的に作り出す、単一のグラフトを有するために使用される技術を提供する。
【0010】
別の態様において、本開示は、他の区画はある特定の反応および挙動を阻害する一方である特定の部位においてある特定の反応または挙動を増強するために、異なる部位において異なる内部構造または特性を有する単一のグラフトを有するために使用される技術を提供する。
【0011】
1つの態様において、血管グラフトが提供される。血管グラフトは、第1の導管部および第2の導管部を有する、少なくとも1つの導管を含む。血管グラフトは、第2の導管部において導管中に形成され、第2の導管部において渦を引き起こすように構成されている、少なくとも1つのパータベーション(perturbation)をさらに含む。
【0012】
第1の導管部は、第1の材料を含んでもよく、第2の導管部は、第1の材料とは違う第2の材料を含んでもよい。第1の材料は、シリコーンゴムを含んでもよい。第2の材料は、多孔性ePTFEを含んでもよい。第2の材料は、織りDacron(登録商標)を含んでもよい。
【0013】
少なくとも1つのパータベーションは、導管部の内径が減少していてもよい。少なくとも1つのパータベーションは、先細になっていてもよい。
【0014】
第1の導管部および第2の導管部は、実質的に同じ直径を有してもよい。
【0015】
血管グラフトは、少なくとも1つの導管に連結された血流補助システムを含んでもよい。
【0016】
別の態様は、第1の導管部および第2の導管部を有する少なくとも1つの導管を含む血管グラフトを提供する。第2の導管部は、第1の導管部に対して球状の部分を含む。グラフトは、第1の導管部の中に位置づけられている少なくとも1つの第1の支持支柱をさらに含む。少なくとも1つの第1の支持支柱は、スパイラル形状で形成されている。グラフトは、第2の導管部の中に位置づけられている少なくとも1つの第2の支持支柱をさらに含む。
【0017】
少なくとも1つの第2の支持支柱は、第2の導管部の球状の部分の外壁に縫合されてもよい。
【0018】
少なくとも1つの第2の支持支柱は、ステンレス鋼ワイヤーで構成されていてもよい。
【0019】
システムは、少なくとも1つの導管に連結された血流補助システムを含んでもよい。
【0020】
[本発明1001]
第1の導管部および第2の導管部を有する、少なくとも1つの導管、
第2の導管部において該導管中に形成され、第2の導管部において渦を引き起こすように構成されている、少なくとも1つのパータベーション(perturbation)
を含む、血管グラフト。
[本発明1002]
第1の導管部が第1の材料を含み、第2の導管部が第1の材料とは違う第2の材料を含む、本発明1001の血管グラフト。
[本発明1003]
第1の材料がシリコーンゴムを含む、本発明1002の血管グラフト。
[本発明1004]
第2の材料が多孔性ePTFEを含む、本発明1002の血管グラフト。
[本発明1005]
第2の材料が織りDacronを含む、本発明1002の血管グラフト。
[本発明1006]
前記少なくとも1つのパータベーションが導管部の直径を減少させている、本発明1001の血管グラフト。
[本発明1007]
前記少なくとも1つのパータベーションが先細になっている、本発明1001の血管グラフト。
[本発明1008]
第1の導管部および第2の導管部が実質的に同じ直径を有する、本発明1001の血管グラフト。
[本発明1009]
前記少なくとも1つの導管に連結された血流補助システムをさらに含む、本発明1001の血管グラフト。
[本発明1010]
少なくとも1つの導管を形成する段階;
導管において第1の導管部を第2の導管部から分離するために、第1の導管部から第2の導管部へ流れる流体中に渦を引き起こすように構成されているパータベーションを、該少なくとも1つの導管中に形成する段階および取り付ける段階のうちの少なくとも1つの段階
を含む、血管グラフトを形成する方法。
[本発明1011]
血流補助システムを前記少なくとも1つの導管に連結する段階をさらに含む、本発明1010の方法。
[本発明1012]
第1の導管部および第2の導管部を有する少なくとも1つの導管であって、第2の導管部が第1の導管部に対して球状の部分を含む、少なくとも1つの導管;
第1の導管部の中に位置づけられ、スパイラル形状で形成されている、少なくとも1つの第1の支持支柱
第2の導管部の中に位置づけられている、少なくとも1つの第2の支持支柱
を含む、血管グラフト。
[本発明1013]
前記少なくとも1つの第2の支持支柱が、第2の導管部の前記球状の部分の外壁に縫合されている、本発明1012のシステム。
[本発明1014]
前記少なくとも1つの第2の支持支柱が、ステンレス鋼ワイヤーで構成されている、本発明1012のシステム。
[本発明1015]
前記少なくとも1つの導管に連結された血流補助システムをさらに含む、本発明1012のシステム。
前述の概念と、以下でより詳細に議論される追加の概念とのすべての組み合わせが(そのような概念が互いに矛盾していないという条件で)、本明細書において開示される本発明の主題の一部であるとして企図されることが、認識されるべきである。特に、本開示の最後に掲載された、特許請求される主題のすべての組み合わせは、本明細書において開示される本発明の主題の一部であるとして企図される。参照により組み入れられる任意の開示にも掲載されていてよい、本明細書において明確に使用される用語は、本明細書において開示される特定の概念と最も一致している意味を与えられるべきであることもまた、認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
当業者は、添付の図面が、主として例証目的であり、本明細書において記載される本発明の主題の範囲を限定することを意図していないことを、理解するであろう。図面は、必ずしも一定の縮尺ではない;場合によっては、本明細書において開示される本発明の主題の種々の局面は、異なる特徴の理解を容易にするために図面において誇張または拡大されて示され得る。図面において、等しい参照文字は通常、等しい特徴(例えば、機能的に類似した要素および/または構造的に類似した要素)を指す。
【0022】
図1】本発明の例示的態様に従う、異なる直径および異なる特性を有する2つの構成要素で作製されたグラフトを示す。
図2】本発明の例示的態様に従う、その領域におけるあらゆる細胞の蓄積を制限すると考えられる渦を形成するための内部構造を有する単一のグラフトを示す。
図3】本発明の例示的態様に従う、血流の存在下で異なる反応および挙動を呈する別個の内部構造特性を含む2つの領域を有する単一のグラフトを示す。
図4】本発明の例示的態様に従う、支持構造を有する導管を図示する。
図5】本発明の例示的態様に従う、カウンターパルセーションシステムを示す。
図6】本発明の例示的態様に従う、グラフト構成要素の外科的埋め込みを図示する。
図7】本発明の例示的態様に従う、グラフト構成要素の外科的埋め込みを図示する。
図8】本発明の例示的態様に従う、グラフト構成要素の2つのフランジを連結する方法を示す。
図9】本発明の例示的態様に従う、グラフト構成要素の2つのフランジを連結する方法を示す。
図10図10Aおよび10Bは、図8および図9の連結されたグラフト構成要素の垂直断面図を示す。
図11】半球の中央で泡型部を「分割」することにより構築された、泡型部または膨らんだ領域を示す。
図12】本発明の例示的態様に従う、グラフト構成要素の断面図を示す。
図13】吻合部から離れて設置されている、グラフト材料の「泡型部」または膨らんだ領域の配置を示す。
図14図14Aおよび14Bは、本発明の例示的態様に従う、グラフト構成要素に接続されたポンプを図示する。
【0023】
本明細書において開示される本発明の概念の特性および利点は、添付の図面と組み合わせた際に、以下に示される詳細な説明からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
グラフト固定を提供するための本発明の装置、システム、および方法に関連した種々の概念、ならびにその例示的態様について、以下でより詳細に説明する。
【0025】
本開示は、多くの異なる形態で具体化されうるが、本開示の原理の理解を促進する目的で、添付の図面において図示される態様についてここでは言及し、同じものを説明するために特定の専門用語を使用する。しかしながら、本開示の範囲の限定がそれにより意図されるものではないことが理解されるであろう。本開示に関連する当業者が通常想起するであろう、記載される態様における任意の改変およびさらなる修正、ならびに本明細書において記載される本開示の原理の任意のさらなる適用が、企図される。
【0026】
本開示は、ある特定の局面において、縫合カフ105を備えた第1の構成要素101および別の縫合カフ103を備えた第2の構成要素102を含む、血管グラフト102を提供する。第1の構成要素101は、一般的に実施される縫合技術または任意の他の機械的もしくは非機械的吻合法を用いて、血管104に取り付けることができる。いくつかの態様において、第1の構成要素101は、グラフトの生体適合性を増強するために細胞内殖を増強する材料で作製されている。そのように、材料は、事例により、多孔性EPTFEまたは織りDacron材料であってもよい。
【0027】
第2の構成要素102は、一般的に使用される縫合または任意の他の機械的もしくは非機械的吻合法によって、第1の構成要素101および第2の構成要素102の容易な結合を可能にするために、より小さな直径を有し、かつ縫合カフ103を備えていてもよい。
【0028】
第2の構成要素102の遠位端は、典型的に、第1の構成要素101の内側に突出しかつある程度同心性であり、構成要素101と構成要素102との間に溝型の円形環を形成している。血液細胞は、この溝の中に堆積し得、意図されるように、細胞内殖領域と滑らかな非細胞内殖領域との間に移行部/境界/継ぎ目を画定すると考えられる。さらに、第2の構成要素102は、内腔の中での細胞の内殖または付着を阻害する材料で、例えば滑らかかつ薄いシリコーン層により、作製されており;従って、細胞内殖は第1の構成要素101に制限されると考えられる。血管から第1の構成要素101中へと増殖する細胞の滑らかかつ薄い層によって範囲が定められる連続した内殖をさらに促進するために、第1の構成要素101は、その剛性によりおよび潜在的なベローズ構造(bellowed structure)により設計され、構成要素102に取り付けられ得る任意の血液ポンプ装置のための衝撃吸収用手段として働く。衝撃吸収用手段は、流れ/圧力により誘発されるいかなる軸方向運動もうまく吸収し、そのように、好ましい部位における連続した細胞内殖を促進することを助ける。そのように、ポンプ装置により誘発される動きは内殖を妨げないと考えられ、このことは、連続的な細胞の過剰増殖、開口部の狭小化、および、不規則な顆粒状組織をもたらす可能性があり、これはまた外れて虚血事象をもたらし得る。第1の構成要素101中への内殖は望ましいが、第1の構成要素101の外表面上への内殖の発生は、細胞阻害用表面手段、例えばシリコーンコーティングにより防止しなければならない。なぜなら、第1の構成要素101の外側表面への過剰増殖は、その他の点では標的血管の変形をもたらし得、このことは本質的に、吻合部近くの血管の開口部を制限する可能性があるからである。
【0029】
第1の構成要素101と第2の構成要素102との間の管腔直径の差のために、第1の構成要素101と第2の構成要素102との接合領域の近位に位置する渦領域106で、渦が典型的に形成される。渦領域106は、渦領域106での連続的な内殖または細胞付着を制限するための領域として働く。
【0030】
異なる態様において、本開示は、ある特定の局面で、類似した内径を有する単一または複数の管状構成要素から形成されている血管グラフト107を提供する。内部変形部108は、一体的であるかまたはグラフト製造の後期に付加されて、グラフト107の内腔において「ネックダウン」領域を形成することができる。内部変形部108は、その近位に渦を作り出すための隆起として働き、細胞内殖、細胞付着、および/または細胞沈着を阻害する。内部変形部108により分けられるグラフト107の2つの区画は、生物学的特性、機械的特性、および/または血液接触に対する物理的反応において類似しているかまたは異なっていることができる。グラフト107の、内部変形部108から遠位の領域は、細胞内殖を阻害するように表面処理されていてもよいが、近位領域は、血管からグラフト上への細胞内殖を促進するように設計されている。
【0031】
異なる態様において、本開示は、ある特定の局面で、異なる生物学的特性、機械的特性、および/または、血液接触に対する物理的反応を保有する単一のグラフトを作る、1つまたは複数の区域、例えば、第1の区域201および第2の区域202により形成されている血管グラフト203を提供する。1つの態様において、区域201には、細胞内殖を阻害するためにシリコーンゴムを浸透させており、他方、区域202は、内殖を促進する多孔性の/粗い性質である。区域201と202との間の合わせ目は、区域202から区域201上への細胞の何らかの望ましくない過剰増殖の発生を防止する、物理的段差を含まない。
【0032】
図4は、例えばカウンターパルセーション装置(CPD)を有するグラフトとして使用するための、導管用の支持ステントを図示する。導管は、末端のポート、および、膨らんだ領域、例えば球形部分を含む、ポート間の通路を含む。いくつかの態様において、例えば、CPDと共に使用する際、血液は、交互の方向で導管を通って流れてもよい。導管401は、第1の導管部表面にスパイラル支持構造403を含む。導管401は、それに連結された複数の支持構造404を有する球状の部分402を含む。支持構造403および404は、例示的態様に従って、ステンレス鋼ワイヤーで構成されていてもよく、かつ縫合を介して導管に連結されていてもよい。球状の部分402は、移行部の洗浄を可能にするように、内向きおよび外向きに可撓性であってもよい。球状の部分402は20 mmグラフトなどのグラフトを用いて製造されてもよく、これは切断および縫合されて、図4に図示される球形となっている。
【0033】
導管は、ステント構造により支持されていてもよい。いくつかの態様において、支持構造は、球部分を形成するように形作られた1つまたは複数の支持支柱を含む第1の部分を含む。いくつかの態様において、導管の球部分の材料の外面(例えば、PTFEまたは他の適当な材料)は、支柱に取り付けられてもよい。いくつかの態様において、使用中に、この配置が導管の球部分を曲げさせ、例えば導管通路の洗浄を促進する。
【0034】
いくつかの態様において、支持ステントは、導管の非球形部分(例えば、実質的に一定の断面を有する部分)を支持する第2の部分を含んでもよい。いくつかの態様において、第2の部分は、スパイラル形状の支持構造を含んでもよい。いくつかの態様において、支持構造の第1の部分の支柱は、支持構造の第2の部分に接続されてもよい。
【0035】
支持ステントは、例えば、ステンレス鋼、またはニチノールなどの形状記憶材料を含む、任意の適当な材料(例えば、導管を支持するのに十分な構造性状を有する生体適合性材料)で作製されていてもよい。
【0036】
いくつかの態様において、導管は、異なる生物学的特性、機械的特性、および/または、血液接触に対する物理的反応を保有する単一のグラフトを作る、1つまたは複数の区域、例えば、第1の区域および第2の区域により形成されていてもよい。
【0037】
1つの態様において、第1の区域は、細胞内殖を阻害するためにシリコーンゴムを浸透させており、他方、第2の区域は、内殖を促進する多孔性の/粗い性質である。区域間の合わせ目は物理的段差を含まず、このことは、第1の区域から第2の区域への細胞のいかなる望ましくない過剰増殖の発生も防止する。他の態様は、他の移行部形状を特徴としてもよい。
【0038】
いくつかの態様において、第1の区域は球形部分に対応してもよく、他方、第2の区域は他の部分に対応し、または逆も同様である。
【0039】
本明細書で開示される発明の態様と共に使用可能なカウンターパルセーションシステムの一つの形態が、図5に示される。ここでは、ポンプ10が、患者の右側のペースメーカーポケットに埋め込まれている。血液が、一方の側でポンプ10を満たし、空気または他の流体が、ポンプ10のもう一方の側の嚢または袋(図示されていない)を満たす。空気駆動ライン12が、ペースメーカーポケットから皮膚出口部14まで通り抜けており、かくして、ポンプ10全体は皮膚下にあり、長期間そこにあり続け得る。駆動ライン12は皮膚を出た後、圧縮された空気をポンプ10に定期的に出し入れするように制御する小さな空気駆動ユニット16に取り付けられる。ポンプ10の隙間は、嚢または袋で形成され得る。隙間は、心臓が脈打つに従って空気で満たされ(血液を排出するのにより少ない心仕事量)、血液を循環器中に戻すために空になる(患者に対してより多くの流量)。ポンプ10は、導管20で循環器に取り付けられる。導管20は、患者の循環器系とポンプ10との間で血液を出し入れする。この状況によって患者は、十分な移動性を伴う長期のカウンターパルセーションを有することが可能になる。重篤な、かつ潜在的に不可逆性の心機能不全の患者にとって、これは、小さい電池式駆動制御装置16を持ち運ぶ必要があること以外は、比較的通常の生活を送ることができることから、非常に優れた点である。
【0040】
上述のように、血液は、循環器に接続した導管20で、ポンプ10に定期的に出し入れされる。この導管20の埋め込みおよび使用に関連して、いくつかの考慮すべき事柄がある。第一に、ほとんどすべての導管は血液を一方向に流すが、この導管20では、各心周期でポンプ10が満たされたり空になったりするのにつれて、各心拍に対して二回、血液の流れる方向が変わる。これは、下記に述べるいくつかの重要な問題をもたらす。この状況における導管に伴う第二の潜在的問題は、これが、鎖骨下かつしばしばかなり深くに位置している鎖骨下動脈22または腋窩動脈へと典型的に縫合され、よって、外科医が導管20の端部を動脈22に縫合するのが技術的に困難であることである。
【0041】
双方向流を伴う導管の問題は、血液と組織の、合成された材料との境界部に対する反応に関連しており、この反応は血流の方向に依存する。例えば、血液ポンプのような多くの医療装置は、組織または細胞の内殖を促進する材料、例えば、Dacron(登録商標)、または、進展した多孔性Teflon(登録商標)(ePTFE)のようなポリエステル材料等の人工グラフト材料で、患者の循環器に接続される。血液ポンプの内側は、概して滑らかであり、金属またはプラスチックで構成される。血液が、滑らかな金属またはプラスチックの血液ポンプから、人工グラフト(例えばポリエステル)へ流れる場合、ポンプが導管と出会う境界部(プラスチックまたは金属から人工グラフトへ)は安定した接合部であり、この接合部を通って血液が前方へ流出するときには、ほとんど問題がない。
【0042】
残念ながら、経験からいうと、血液が逆に、ポリエステルのような人工グラフトから、滑らかな表面を備える血液ポンプに向かって流れる場合は、血小板およびフィブリンを含む血液成分の付着物が、二つの材料の接合部に、主に人工グラフトの表面に付着し、ポンプへの流入部に対して張り出す。これらの付着物、特に血小板は、さらに多くの血液成分を誘因する傾向があり、大きくてしばしばもろい付着物が、この接合部に現れる。これらの付着物は、接合部から剥がれ落ちて血液ポンプに入り、患者の循環器を通って送達されうる。これらの付着物はどこにでも流れ得るが、脳への動脈に到達した場合脳卒中を起こし得る。このため、多くの成功した血液ポンプは、ポンプに血液を流入させるための滑らかな人工導管(例えばシリコーンまたはウレタン)を採用している。
【0043】
カウンターパルセーションの問題は、血液が、交互に双方向に流れることである。一つの解決法としては滑らかなシリコーンまたはウレタン導管を用いることが挙げられ、これによって、ポンプに血液が入る箇所である、ポンプと導管の間の安定した接合部を形成し得る。これは、ポンプへの流入部における問題を解決する。しかしながら、シリコーン材料が動脈に吻合される(縫合される)とき、接合部には、血液材料(フィブリンおよび血小板)の多量の沈殿物が生じる。したがって、単に流入用導管をシリコーン表面で置き換えただけでは十分ではない。単にシリコーン導管を有しかつ繊維製の延長部分を加えることが魅力的であるが、これは、単に、グラフトの粗く織られた表面とポンプとの接合部に起きる問題を、グラフトとシリコーンチューブまたはシリコーンカニューレとの間の接合部に移すにすぎない。
【0044】
図8は、例示的な一つの解決法についてその断面図を示している。鎖骨下動脈22が、図の上の方に示されている。Dacron(登録商標)、Teflon(登録商標)、または他の材料製の「泡型部」または膨らんだ領域24が、動脈22に縫合される。シリコーンまたは他の滑らかな材料の導管部分26が、膨らんだ領域24のもう一方の側に接続されている。直接的な接合部というよりはむしろ、特別な境界部が設けられている。滑らかなシリコーン表面部分26は、先端部分26aにより、繊維または他の材料製の膨らんだ領域24の数ミリメーター内側に伸びている。シリコーン先端部分26aの壁は、膨らんだ領域または泡型部24の繊維または材料には接触していない。これは、シリコーンと繊維(または、滑らかな部分と粗い部分)が接触する箇所が生じるのを防止している。
【0045】
繊維表面と滑らかな表面との間に連続的な接続が存在しないように隆起を作ることによって、心臓弁内への組織の内殖を回避する配置で、心臓弁を構築した。この隆起は、組織が接合箇所まで増殖すること、ならびに血小板およびフィブリンが付着する箇所を生じることを妨げる。小さなワッシャー材料を使用することも有用であるかもしれない。図12は、先端26aの根元の周囲にある、血液成分の付着を阻止するのに役立ち得る小さなワッシャー28を示している。
【0046】
図13は、グラフト材料の「泡型部」または膨らんだ領域24aのこの配置が、吻合部から離れて設置されていることを示している。特に膨らんだ領域24aは、動脈22に吻合されている延長部24bと連結されているか、または該延長部24bを含む。他の特徴は、以前に記載した通りであり得る。
【0047】
図14A及び図14Bは、ポンプ10の接合部において同様の配置がなされうることを示している。ここで、ポンプ10のプラスチック、金属または他の滑らかな表面の接合部または先端部分10aは、泡型部境界部24aによって、膨らんだグラフト材料の粗い表面から離れている。グラフト材料の延長部24bは、前述のように動脈22に縫合されている(図13)。反対側の端部にある別の延長部24cは、好適なコネクター28と協同して、ポンプ境界部または先端部分10aに対する接続を容易にし得る。連結部または境界部10aは、使用しているグラフト材料24a中に延びるが通常は該グラフト材料24aに接触しない、入口/出口ポートとして働く。
【0048】
泡型部または膨らんだ部分を有するこれらの装置は、一体で作製され得る。前述のように、鎖骨下動脈22はかなり深くに位置し、切開は小さい。したがって、それに泡型部または膨らんだ部分を有するグラフトを縫合しようとする外科医は、深い穴の中で作業していることになる。グラフトの端部における泡型部または膨らんだ部分は、動脈への視界を遮る。この問題を回避し、かつ滑らかな表面と粗い表面が、直線的に直接接触しない配置を維持する必要性も満たすことが有用であろう。
【0049】
かかる解決法を図6及び図7に示す。ここで、上述のような材料で形成されたグラフト要素が、動脈に縫合される。グラフト要素30は一端にフランジ32を有する。要素30は小さくてあちこち動かすのが容易であり、したがって外科医の視界を遮らない。図7は、動脈22上の開口22aの周囲にこの要素30を縫合するのが容易であることを示している。
【0050】
図8は、例えば導管部分26の縫合材料またはグラフト材料の縁またはフランジ34が、動脈22にすでに吻合された要素30上のフランジ32に取り付けられるとき、導管20のシリコーン材料部分26とグラフト要素30との間の接合部が、どのように再形成されるかを示している。
【0051】
図9は、二つのフランジ32、34がどのように一緒に縫合されるかを示している。これは、行うのが非常に容易な吻合である。
【0052】
これらのフランジ32、34は、縫合糸によってのみではなく、ステープル、クリップ、のり、クランプ等によっても連結されうることを理解されたい。
【0053】
図10Aは、二つのフランジ32、34を一体化する際の垂直断面図を示している。
【0054】
図10Bは、泡型部または膨らんだコネクター30がどうして平らである必要がないのか、すなわち斜めであってもよいのかを示している。またコネクター30は、本明細書中他の箇所に示したような全体的に球状の泡型部である必要はない。重要なのは、膨らんだ領域が、使用中に接合部におけるシリコーンとグラフト表面(すなわち、滑らかな流面と粗い流面)との直接的な接触を回避することだけである。
【0055】
泡型部または膨らんだ領域36は、それによりグラフトが泡型部36内で動くかまたは「旋回」することを可能にするが、泡型部36の壁には接触させないので、非常に有用である。
【0056】
図10Bはまた、クリップまたはステープル38が、コネクター30を動脈22に取り付けており、かつフランジ32、34を一緒に取り付けていることを示している。
【0057】
導管部分26は、全体的にシリコーンである必要はない。これは、曝露される血液に対して適合し得る表面を提供する任意の内側コアを有し得る。例えば、内部は金属であってもよく、金属スパイラル補強等を有してもよい。また、ePTFEまたは他のポリエステルのようなグラフト材料を、内部に有してもよい。
【0058】
滑らかな表面は、シリコーンである必要はない。これは、滑らかな表面の代表として使用されている。表面は、(図14A及び図14Bに示されたポンプ接続における場合のように)金属またはプラスチックであってもよい。
【0059】
図11は、半球の中央で泡型部を「分割」することにより構築された、泡型部または膨らんだ領域40を示している。形式上、接合部42はこの配置のどこでも、同様に可能であり、半球におけるこの場所は単なる例である。
【0060】
あるいは、同様の機能を果たすために、より完全な泡型部を製造してもよく、シリコーンカニューレの端部を欠損部に挿入してもよい。
【0061】
使用される用語は、基本的に滑らかな表面(シリコーン、プラスチック、金属)、及び粗いまたはテクスチャ加工された表面(Dacron、Teflon、ePTFE)であることに留意すべきである。また、通常織物と呼ばれるが滑らかな表面として機能し得る、密に織られたまたは編まれた材料を有することも可能である。
【0062】
また、滑らかな表面のように挙動する、密に織られたポリエステルを作製することも可能である。密に織られた縫合可能なグラフトを、障害となる泡型部または段差なしにシリコーン表面に直接接触させることが可能である。
【0063】
導管は皮膚の下に設置され、患者がその上に横たわると押しつぶされ得るので、導管がつぶれるのを回避することも重要である。この場合、プラスチックまたはワイヤー製のスパイラルまたはリングによる導管の補強を使用することができる。さらに、これらをより強くするためにポリマーまたはプラスチックのさらなる厚みを加えることができる。
【0064】
種々の態様において、本明細書中に記載される装置および技術のいずれを、添付文書に記載される装置および技術との任意の適当な組み合わせにおいて使用してもよい。
【0065】
本明細書において利用される際、「およそ」、「約」、「実質的に」という用語および類似した用語は、本開示の主題が属する技術分野における当業者にとって一般的なかつ受け入れられる使用と調和している広い意味を有するように意図される。これらの用語は、記載されるある特定の特徴の説明を、これらの特徴の範囲を提供される厳密な数値範囲に制限することなく可能にするように意図されていることが、本開示を閲覧する当業者により理解されるべきである。従って、これらの用語は、記載される主題の実質的ではないまたは取るに足らない修正または改変は本開示の範囲内であると考えられることを示すと解釈されるべきである。
【0066】
種々の態様を記載するために本明細書において使用される「例示的」という用語は、そのような態様が、可能な態様の可能な例、表現、および/または例証であることを示すように意図されること(ならびに、そのような用語は、そのような態様が必ずしも特別なまたは最高の例であることを意味するようには意図されないこと)が、留意されるべきである。
【0067】
本開示の目的に関して、「連結された」という用語は、2つの部材の互いに対する直接的または間接的な結合を意味する。そのような結合は、本質的に固定されていてもまたは可動であってもよい。そのような結合は、互いに単一の単位体として一体的に形成された2つの部材でもしくは2つの部材および任意の追加的な中間部材で、または、互いに取り付けられた2つの部材でもしくは2つの部材および任意の追加的な中間部材で、達成されてもよい。そのような結合は、本質的に永久的であってもよいし、または本質的に取り外し可能もしくは解放可能であってもよい。
【0068】
種々の要素の向きが他の例示的態様に従って異なってもよいこと、およびそのような変更は本開示により包含されるように意図されることが、留意されるべきである。開示される態様の特徴は、他の開示される態様中に組み入れられ得ることが、認識される。
【0069】
種々の例示的態様において示されるようなばねシステムまたはそれらの構成要素の構築および配置は、一例に過ぎないことに留意するのが重要である。少数の態様のみが本開示において詳細に記載されているが、本開示を閲覧する当業者は、開示される主題の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正(例えば、サイズ、寸法、構造、種々の要素の形状および比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向きなどにおける変更)が可能であることを容易に認識するであろう。例えば、一体形成として示された要素は、複数の部品または要素から構築されてもよく、要素の位置は、逆であってもそれ以外で変更されていてもよく、かつ、個別の要素または位置の性質または数は、改変または変更されていてもよい。任意のプロセスまたは方法段階の順序または配列は、変更されていてもよく、または代替的な態様に従って再配列されていてもよい。他の置換、修正、変化、および省略もまた、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の例示的態様の設計、操作条件、および配置においてなされてもよい。
【0070】
特許、特許出願、記事、本、論文、およびウェブページを含むがこれらに限定されない、本出願において引用されるすべての文献および類似した資料は、そのような文献および類似した資料の形式にかかわらず、それらの全体が参照により明白に組み入れられる。組み入れられた文献および類似した資料の1つまたは複数が、定義された用語、用語の使用、技術の記載などを含むがこれらに限定されない本出願と異なるかまたは矛盾するという事態においては、本出願が支配する。
【0071】
種々の本発明の態様が、本明細書において記載および例証されているが、当業者は、機能を果たすため、ならびに/または本明細書において記載される結果および/もしくは1つか複数の利点を得るための、様々な他の手段ならびに/または構造を容易に思い描くと考えられ、そのような変更および/または修正の各々は、本明細書において記載される本発明の態様の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書において記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であるように意図されること、ならびに実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が本発明の教示が使用される具体的な適用に依存するであろうことを、容易に認識するであろう。当業者は、本明細書において記載される具体的な本発明の態様の多くの同等物を、認識し得るか、またはルーチンに過ぎない実験法を用いて確認可能であり得る。従って、前述の態様は、例としてのみ提示されること、および、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内で、本発明の態様が、具体的に記載されかつ特許請求されるものとは別の方法で実施されてもよいことが、理解されるべきである。本開示の本発明の態様は、本明細書において記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾しない場合は、2つまたはそれより多いそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
【0072】
また、本明細書において記載される技術は、その少なくとも1つの例が提供される方法として具体化されてもよい。方法の一部として行われる行為は、任意の適当な様式で順序付けられてもよい。従って、たとえ例証となる態様において連続した行為として示されていても、いくつかの行為を同時に行うことを含み得る、例証されているものとは異なる順序で行為が行われる態様が、構築されてもよい。
【0073】
本明細書において定義されかつ使用されるすべての定義が、辞書の定義、参照により組み入れられる文書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0074】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される不定冠詞「1つの」および「ある」は、反対であることが明らかに示されない限り、「少なくとも1つの」を意味すると理解されるべきである。
【0075】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される「および/または」という句は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、いくつかの場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙される複数の要素は、同じように、すなわち、そのように結合された要素の「1つまたは複数」と解釈されるべきである。「および/または」節により具体的に特定される要素以外に、具体的に特定されるそれらの要素に関連しようとまたは無関連であろうと、他の要素が任意で存在してもよい。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの開放型の言語と併せて使用される場合、1つの態様において、Aのみ(B以外の要素を任意で含む);別の態様において、Bのみ(A以外の要素を任意で含む);さらに別の態様において、AおよびB両方(他の要素を任意で含む);などを指す。
【0076】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される際、「または」とは、上記で定義されるような「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、一覧において項目を区切る場合、「または」もしくは「および/または」は、包括的であると、すなわち、要素のいくつかまたは要素の一覧のうちの、1つより多くも含む少なくとも1つ、および任意で、追加的な列挙されていない項目の包含であると、解釈されることになる。「の1つのみ」もしくは「の正確に1つ」、または添付の特許請求の範囲において使用される場合の「からなる」などの、それとは反対であると明らかに示される用語のみが、要素のいくつかまたは要素の一覧のうちの正確に1つの要素の包含を指す。概して、本明細書において使用される「または」という用語は、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」、または「の正確に1つ」などの排他的な用語により先行される場合に、排他的な択一肢(すなわち、「あるものまたは他のものであるが両方ではない」)を示すと解釈されるにすぎない。添付の特許請求の範囲において使用される場合の「から本質的になる」とは、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有することになる。
【0077】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される際、1つまたは複数の要素の一覧に関する「少なくとも1つ」という句は、要素の一覧における要素の任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の一覧内に具体的に列挙される各々のおよびあらゆる要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、かつ、要素の一覧における要素の任意の組み合わせを排除しないと理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が指す要素の一覧内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関連しようとまたは無関連であろうと任意で存在してもよいことも、許容する。従って、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、1つの態様において、Bが存在しない(およびB以外の要素を任意で含む)、1つより多くを任意で含む少なくとも1つであるA;別の態様において、Aが存在しない(およびA以外の要素を任意で含む)、1つより多くを任意で含む少なくとも1つであるB;さらに別の態様において、1つより多くを任意で含む少なくとも1つであるA、および1つより多くを任意で含む少なくとも1つであるB(ならびに他の要素を任意で含む);などを指すことができる。
【0078】
添付の特許請求の範囲において、および上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する」、「有する」、「含有する」、「含む(involving」」、「保持する」、「で構成される」などのすべての移行句は、開放型であるように、すなわち、含むがそれらに限定されないことを意味すると理解されるべきである。「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、米国特許庁特許審査手続便覧セクション2111.03に示される、それぞれ閉鎖型または半閉鎖型の移行句となる。
【0079】
添付の特許請求の範囲は、その効果に言明されない限り、記載される順序または要素に限定されるとして読まれるべきではない。形態および詳細における種々の変更が、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によりなされてもよいことが、理解されるべきである。添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の精神および範囲内に入るすべての態様が、特許請求される。
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