(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/16 20060101AFI20220221BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
B66B1/16 Z
B66B3/00 L
B66B3/00 M
(21)【出願番号】P 2020150456
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2020-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】荒井 佑樹
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-131997(JP,A)
【文献】特開2004-231336(JP,A)
【文献】特開昭58-095082(JP,A)
【文献】特開2008-290805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置されたエレベータの乗りかごに関して、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する閾値情報記憶部と、
前記乗りかご内のかご内利用者数を検出するかご内利用者数検出部と、
前記建物内の各階床のエレベータホールのホール利用者数を検出するホール利用者数検出部と、
前記エレベータのホール呼び登録の情報を取得するホール呼び情報取得部と、
前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値以上のときには、登録されたホール呼びに応答せず、
当該かご内利用者数が前記第1かご内人数閾値未満のときには、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を第1停止候補階床として認識し、認識した第1停止候補階床のうち、前記ホール利用者数検出部で検出されたホール利用者数が最大の階床を第2停止候補階床として選定し、選定した第2停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内人数閾値以上のときには、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答せず、
選定した第2停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内人数閾値未満であり、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にあるすべての第1停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内閾値以上であり、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いても、他の第1停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内閾値以上であるときには、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答せず、
前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いた他の第1停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内閾値未満になる場合があるときには、前記第1停止候補階床から除く階床を第3停止候補階床として選定し、前記乗りかごの現在位置から、選定した第3停止候補階床のうち前記ホール利用者数が最大の階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして前記乗りかごの次停止階を判定する次停止階判定部と
を備えることを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記次停止階判定部は、前記第3停止候補階床が複数あり、任意の複数の第3停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内人数閾値未満となる場合があるときには、前記第2停止候補階床に停止するまでの間、当該複数の第3停止候補階床以外の階床のホール呼びに応答しないようにして前記乗りかごの次停止階を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記第1かご内人数閾値は、前記乗りかごに関して予め設定された最大定員よりも少ない値で設定される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記閾値情報記憶部は、前記乗りかごに関して予め設定された最大定員よりも少ないが実利用上で満員状態となるかご内利用者数の最小値を第2かご内人数閾値として記憶し、
前記次停止階判定部は、前記かご内利用者数検出部で検出されたかご内利用者数が前記第2かご内人数閾値以上であるときには前記第1停止候補階床のホール呼びに応答せず、当該かご内利用者数が前記第2かご内人数閾値よりも少なく、前記第1かご内人数閾値以上であるときに、現在の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床のうち、前記ホール利用者数検出部で検出されたホール利用者数が前記乗り込み人数閾値
以下の階床であり、現在の前記乗りかごの位置から最も近い階床のホール呼びには応答するようにして前記乗りかごの次停止階を判定する
ことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記次停止階判定部は、前記第3停止候補階床の中に、登録されてから所定時間以上経過したホール呼びがある場合には、該当する階床を前記乗りかごの次停止階として判定する
ことを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
建物に設置されたエレベータの乗りかごに関して、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する閾値情報記憶ステップと、
前記乗りかご内のかご内利用者数を検出するかご内利用者数検出ステップと、
前記建物内の各階床のエレベータホールのホール利用者数を検出するホール利用者数検出ステップと、
前記エレベータのホール呼び登録の情報を取得するホール呼び情報取得ステップと、
前記かご内利用者数検出ステップで検出されたかご内利用者数が前記第1かご内人数閾値以上のときには、登録されたホール呼びに応答せず、
当該かご内利用者数が前記第1かご内人数閾値未満のときには、現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を第1停止候補階床として認識し、認識した第1停止候補階床のうち、前記ホール利用者数検出ステップで検出されたホール利用者数が最大の階床を第2停止候補階床として選定し、選定した第2停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内人数閾値以上のときには、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答せず、
選定した第2停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内人数閾値未満であり、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にあるすべての第1停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内閾値以上であり、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いても、他の第1停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内閾値以上であるときには、前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答せず、
前記乗りかごの現在位置から前記第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いた他の第1停止候補階床のホール利用者数と前記かご内利用者数との合計値が前記第1かご内閾値未満になる場合があるときには、前記第1停止候補階床から除く階床を第3停止候補階床として選定し、前記乗りかごの現在位置から、選定した第3停止候補階床のうち前記ホール利用者数が最大の階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして前記乗りかごの次停止階を判定する次停止階判定ステップと
を有することを特徴とするエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置およびエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、利用者の操作によるホール呼びおよびかご呼びに順次応答しながら走行する。ホール呼びが発生した際には、満員状態ではなく乗り込み可能な乗りかごが該当する階床のエレベータホールに着床することで、当該ホール呼びへの応答が行われる。利用者は、自身が行ったホール呼び操作に応答して着床した乗りかごに乗り込み、目的階まで移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-163569号公報
【文献】特開2019-38683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホール呼びに応答して乗りかごがエレベータホールに着床して戸開した際に、乗りかご内に空きスペースがあっても、かごドア付近が混雑しているとエレベータホールの利用者が乗り込まず、積み残しが発生することがある。この場合、エレベータホールの利用者は当該乗りかごが出発した後に再度ホール呼び操作を行うことになり、エレベータの運転効率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、運転効率を向上させるように乗りかごの次停止階を判定して運転するエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータ制御装置は閾値情報記憶部と次停止階判定部とを備える。閾値情報記憶部は、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する。次停止階判定部は、かご内利用者数が第1かご内人数閾値未満であり現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている第1停止候補階床のうちホール利用者数が最大の階床を第2停止候補階床として選定し、第2停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値以上のときには現在位置から第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかごの次停止階を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1~第4実施形態によるエレベータ制御装置を利用したエレベータの構成を示す全体図。
【
図2】第1~第4実施形態によるエレベータ制御装置の構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態によるエレベータ制御装置の動作に関し、ケースごとのかご内利用者数とホール利用者数の例を示す表。
【
図5】第2実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
【
図6】第3実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
【
図7】第4実施形態によるエレベータ制御装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成について、
図1を参照して説明する。
【0009】
本実施形態によるエレベータ1Aは、n階建ての建物の昇降路2内を昇降する乗りかご3と、当該建物内の各階のエレベータホール4-1~4-nにそれぞれ設置されたホール操作盤41-1~41-n、およびエレベータホール4-1~4-n内をそれぞれ撮影するホールカメラ装置42-1~42-nと、乗りかご3およびホール操作盤41-1~41-nに接続されたエレベータ制御装置5Aとを備える。乗りかご3は、乗り込んだ利用者が行先階を指定するかご呼び操作を行うための操作ボタン(図示せず)を有するかご内操作盤31と、乗りかご3内を撮影するかご内カメラ装置32とを有する。
【0010】
ホール操作盤41-1~41-nは、エレベータホール4-1~4-nにいる利用者が、乗りかご3を呼び寄せるホール呼び操作を行うための操作ボタン(図示せず)を有する。以下、エレベータホール4-1~4-nのうち、いずれの階床のエレベータホールであるかを特定する必要がない場合には、エレベータホール4と記載する。同様に、ホール操作盤41-1~41-nについてはホール操作盤41と記載し、ホールカメラ装置42-1~42-nについてはホールカメラ装置42と記載する。
【0011】
エレベータ制御装置5Aは、
図2に示すように、閾値情報記憶部51Aと、かご内利用者数検出部52と、かご呼び情報取得部53と、ホール利用者数検出部54と、ホール呼び情報取得部55と、次停止階判定部56Aと、動作制御部57とを有する。
【0012】
閾値情報記憶部51Aは、予め設定された最大定員よりも少なく、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上(例えば、75%以上)となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する。ここで、所定の乗り込み人数閾値は例えば2人であり、乗りかご3がある程度混雑していても乗り込み可能な人数である。
【0013】
本実施形態においては、乗りかご3の最大定員が30人として設定され、第1かご内人数閾値が21人として記憶されている。
【0014】
かご内利用者数検出部52は、かご内カメラ装置32で撮影された撮像情報を解析して乗りかご3内のかご内利用者数を検出する。かご呼び情報取得部53は、かご内操作盤31における操作に基づいて登録されたかご呼び情報を取得する。ホール利用者数検出部54は、ホールカメラ装置42-1~42-nで撮影された撮像情報を解析して各階床のエレベータホールのホール利用者数を検出する。ホール呼び情報取得部55は、ホール操作盤41-1~41-nにおける操作に基づいて登録されたホール呼び情報を取得する。
【0015】
次停止階判定部56Aは、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第1かご内人数閾値以上のときには、登録されたホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。
【0016】
また次停止階判定部56Aは、当該かご内利用者数が第1かご内人数閾値未満のときには、現在の乗りかご3の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を第1停止候補階床として認識し、認識した第1停止候補階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が最大の階床を第2停止候補階床として選定する。そして、選定した第2停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値以上のときには、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。
【0017】
また次停止階判定部56Aは、選定した第2停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値未満であり、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にあるすべての第1停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内閾値以上であり、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いても、他の第1停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値が第1かご内閾値以上であるときには、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。
【0018】
また次停止階判定部56Aは、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いた他の第1停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内閾値未満になる場合があるときには、第1停止候補階床から除く階床を第3停止候補階床として選定する。そして、乗りかご3の現在位置から、選定した第3停止候補階床のうちホール利用者数が最大の階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。
【0019】
〈第1実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Aの動作について説明する。
図3は、エレベータ1Aの動作中にエレベータ制御装置5Aで実行される処理を示すフローチャートである。
【0020】
エレベータ制御装置5Aは、通常運転実行中に(S1)次停止階判定部56Aにおいて、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であるか否かを判定する(S2)。ここで、かご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であるときには(S2の「YES」)、登録されたホール呼びへは非応答として次停止階床を決定して運転し(S3)、当該次停止階床に乗りかご3が停止するとステップS1に戻る。
【0021】
ステップS2においてかご内利用者数が第1かご内人数閾値未満であると判定されたときには(S2の「NO」)、現在の乗りかご3の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床を第1停止候補階床として認識する。また、認識した第1停止候補階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が最大の階床を第2停止候補階床として選定する(S4)。
【0022】
そして、選定した第2停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値以上のときには(S5の「YES」)、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を決定して運転し(S6)、当該次停止階床に乗りかご3が停止するとステップS1に戻る。
【0023】
例えば、乗りかごの最大定員が30人であり、第1かご内閾値が21人であり、
図4のケース(1)に示すように、かご内利用者数が13人で現在の運転方向が下方向の乗りかご3が8階にあり、7階~3階でそれぞれ下方向のホール呼びが登録され、ホール利用者数が7階3人、6階4人、5階5人、4階4人、3階9人の場合について説明する。この場合、第1停止候補階床として7階~3階すべての階床が認識され、第2停止候補階床として3階が選定される。このとき、第2停止候補階床である3階のホール利用者数「9人」とかご内利用者数「13人」との合計値「22人」は、第1かご内閾値「21人」以上である。これにより、乗りかご3の現在位置「8階」から第2停止候補階床「3階」までの間にある7階~4階のホール呼びに応答せず、乗りかご3の次停止階を「3階」に決定して運転する。そして、乗りかご3が3階に停止すると、通常運転に戻る。
【0024】
また、ステップS5において選定した第2停止候補階床と当該かご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値未満のときには(S5の「NO」)、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にあるすべての第1停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内閾値以上であるか否かを判定する(S7)。
【0025】
判定の結果、第2停止候補階床までの間にあるすべての第1停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内閾値以上であるときには(S7の「YES」)、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いても、他の第1停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値が第1かご内閾値以上であるか否かを判定する(S8)。
【0026】
判定の結果、他の第1停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値が第1かご内閾値以上であるときには(S8の「YES」)、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を決定して運転し(S6)、当該次停止階床に乗りかご3が停止するとステップS1に戻る。
【0027】
例えば、乗りかごの最大定員が30人であり、第1かご内閾値が21人であり、
図4のケース(2)に示すように、かご内利用者数が13人で現在の運転方向が下方向の乗りかご3が8階にあり、7階~3階でそれぞれ下方向のホール呼びが登録され、ホール利用者数が7階3人、6階4人、5階5人、4階4人、3階7人の場合について説明する。この場合、第1停止候補階床として7階~3階すべての階床が認識され、第2停止候補階床として3階が選定される。このとき、第2停止候補階床である3階のホール利用者数「7人」とかご内利用者数「13人」との合計値「20人」は、第1かご内閾値「21人」未満である。また、乗りかご3の現在位置「8階」から第2停止候補階床「3階」までの間にあるすべての第1停止候補階床「7階~4階」のホール利用者数3人、4人、5人、4人、7人と、かご内利用者数13人との合計値「36人」が第1かご内閾値「21人」以上である。
【0028】
ここで、対象となる第1停止候補階床の中から7階を除いても、該当するホール利用者数とかご内利用者数との合計値は「33人」であり、同様にして6階を除いても合計値は「32人」であり、5階を除いても合計値は「31人」であり、4階を除いても合計値は「32人」である。つまり、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いても、他の第1停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値は必ず第1かご内閾値以上になる。
【0029】
これにより、7階~4階のホール呼びに応答せず、乗りかご3の次停止階を「3階」に決定して運転する。そして、乗りかご3が3階に停止すると、通常運転に戻る。
【0030】
また、ステップS8において、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のいずれか1つを除いた他の第1停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内閾値未満になる場合があるときには(S8の「NO」)、第1停止候補階床から除く階床を第3停止候補階床として選定する(S9)。そして、乗りかご3の現在位置から、選定した第3停止候補階床のうちホール利用者数が最大の階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を決定して運転し(S10)、当該次停止階床に乗りかご3が停止するとステップS1に戻る。
【0031】
例えば、乗りかごの最大定員が30人であり、第1かご内閾値が21人であり、
図4のケース(3)に示すように、かご内利用者数が13人で現在の運転方向が下方向の乗りかご3が8階にあり、7階~3階でそれぞれ下方向のホール呼びが登録され、ホール利用者数が7階1人、6階2人、5階2人、4階4人、3階5人の場合について説明する。この場合、第1停止候補階床として7階~3階すべての階床が認識され、第2停止候補階床として3階が選定される。このとき、第2停止候補階床である3階のホール利用者数「5人」とかご内利用者数「13人」との合計値「18人」は、第1かご内閾値「21人」未満である。また、乗りかご3の現在位置「8階」から第2停止候補階床「3階」までの間にあるすべての第1停止候補階床「7階~4階」のホール利用者数1人、2人、2人、4人と、かご内利用者数13人との合計値「22人」が第1かご内閾値「21人」以上である。
【0032】
ここで、対象となる第1停止候補階床の中から7階を除くと、該当するホール利用者数とかご内利用者数との合計値は「21人」であり、同様にして6階を除くと合計値は「20人」であり、5階を除くと合計値は「20人」であり、4階を除くと合計値は「18人」である。つまり、乗りかご3の現在位置から第2停止候補階床までの間にある第1停止候補階床のうち、6階を除いた場合、5階を除いた場合、および4階を除いた場合は、他の第1停止候補階床のホール利用者数と当該かご内利用者数との合計値は第1かご内閾値未満になり、これらの「6階」、「5階」、および「4階」が第3停止候補階床として選定される。
【0033】
そして、選定された第3停止候補階床「6階」、「5階」、および「4階」のうち、ホール利用者数が最大の階床「4階」までの間にある階床7階~5階のホール呼びに応答せず、乗りかご3の次停止階を「4階」に決定して運転する。そして、乗りかご3が4階に停止すると、通常運転に戻る。
【0034】
以上の第1実施形態によれば、かご内利用者数と、乗りかごの停止予定階床のホール利用者数とに基づいて、乗りかごに乗車可能な範囲でなるべく多くの利用者を乗車させるように次停止階を決定するようにすることで、エレベータの運転効率を向上させることができる。
【0035】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータ1Bの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置5Bの次停止階判定部56Bは、第1実施形態の場合と同様に処理を実行することで選定した第3停止候補階床が複数あるときに、任意の複数の第3停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値未満となる場合があるときには、選定した第2停止候補階床に停止するまでの間、当該複数の第3停止候補階床以外の階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。
【0036】
〈第2実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Bの動作について、
図3および
図5のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、ステップS1~S9で実行する処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
ステップS9において次停止階判定部56Bが、第3候補階床を選定したときに、第3停止候補階床が複数あり、任意の複数の第3停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値未満となる場合があるか否かを判定する(S11)。判定の結果、任意の複数の第3停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値未満となる場合があるときには(S11の「YES」)、選定した第2停止候補階床に停止するまでの間、当該複数の第3停止候補階床以外の階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を決定して運転し(S12)、当該次停止階床に乗りかご3が停止するとステップS1に戻る。
【0038】
以上の第2実施形態によれば、かご内利用者数および乗りかごの停止予定階床のホール利用者数の状態をさらに詳細に解析することで、乗りかごに乗車可能な範囲でなるべく多くの利用者を乗車させるように次停止階を決定するようにして、エレベータの運転効率を向上させることができる。
【0039】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータ1Cの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置5Cの閾値情報記憶部51Cはさらに、乗りかご3に関して予め設定された最大定員よりも少ないが実利用上で満員状態となるかご内利用者数の最小値を第2かご内人数閾値として記憶する。この第2かご内人数閾値は、第1かご内閾値よりも大きい値である。また、「実利用上で満員状態となるかご内利用者数」とは、新たに利用者が乗り込んだ実績がないかご内利用者数である。
【0040】
また次停止階判定部56Cは、かご内利用者数検出部で52検出されたかご内利用者数が第2かご内人数閾値以上であるときには第1停止候補階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。また、当該かご内利用者数が第2かご内人数閾値よりも少なく、第1かご内人数閾値以上であるときに、現在の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が乗り込み人数閾値を超える階床のホール呼びには応答しないようにして乗りかご3の次停止階を判定する。
【0041】
〈第3実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Cの動作について、
図6のフローチャートを参照して説明する。エレベータ制御装置5Cは、通常運転実行中に(S21)次停止階判定部56Cにおいて、かご内利用者数検出部52で検出されたかご内利用者数が第2かご内人数閾値以上であるか否かを判定する(S22)。ここで、かご内利用者数が第2かご内人数閾値以上であるときには(S22の「YES」)、
図3のステップS3に移行し、登録されたホール呼びへは非応答として次停止階床を決定して運転する。
【0042】
また、ステップS22において第2かご内人数閾値未満であると判定されたときには(S22の「NO」)さらに、かご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であるか否かを判定する(S23)。ここで、かご内利用者数が第1かご内人数閾値以上であるときには(S23の「YES」)、現在の運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている階床のうち、ホール利用者数検出部54で検出されたホール利用者数が乗り込み人数閾値以下の階床があるか否かを判定する(S24)。
【0043】
判定の結果、ホール利用者数が乗り込み人数閾値以下の階床があるときには(S24の「YES」)、該当する階床のうち、現在の乗りかご3の位置から最も近い階床のホール呼びに応答するように次停止階床を決定して運転する(S25)。ステップS24において、ホール利用者数が乗り込み人数閾値以下の階床がないときには(S24の「NO」)、
図3のステップS3に移行し、登録されたホール呼びへは非応答として次停止階床を決定して運転し(S25)、当該次停止階床に乗りかご3が停止するとステップS1に戻る。
【0044】
また、ステップS23においてかご内利用者人数が第1かご内人数閾値未満であると判定されたときには(S23の「NO」)、
図3のステップS4に移行する。
【0045】
以上の第3実施形態によれば、乗りかごに乗り込める可能性の高い人数の待ち利用者がいる階床のみを停止対象とすることで、さらに効率よくエレベータを運転することができる。
【0046】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータ1Dの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。本実施形態においてエレベータ制御装置5Dの次停止階判定部56Dは、第3停止候補階床の中に、登録されてから所定時間以上経過したホール呼びがある場合には、該当する階床を乗りかご3の次停止階として判定する。
【0047】
〈第4実施形態によるエレベータ制御装置を用いたエレベータの動作〉
本実施形態によるエレベータ1Dの動作について、
図3および
図7のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、ステップS1~S9で実行する処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
ステップS9において次停止階判定部56Dが、第3候補階床を選定したときに、選定した第3停止候補階床の中に、登録されてから所定時間以上経過したホール呼びがあるか否かを判定する(S31)。ここで、該当するホール呼びがある場合には(S31の「YES」)、当該ホール呼びに応答するように、該当する階床を乗りかご3の次停止階として決定して運転し(S32)、当該次停止階床に乗りかご3が停止するとステップS1に戻る。
【0049】
また、ステップS31において、該当するホール呼びがない場合には(S31の「NO」)、
図3のステップS10または
図5のステップS11に移行する。
【0050】
以上の第4実施形態によれば、かご内利用者数とホール利用者数とに基づいて停止対象としたホール呼びのうち、登録されてから所定時間以上経過したホール呼びの階床を優先的に次停止階床とすることで、利用者の利便性を低下させないようにしつつ、効率の良い運転を行うことができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1A,1B,1C,1D…エレベータ、2…昇降路、3…乗りかご、4,4-1~4-n…エレベータホール、5A,5B,5C,5D…エレベータ制御装置、31…かご内操作盤、32…かご内カメラ装置、41,41-1~41-n…ホール操作盤、42,42-1~42-n…ホールカメラ装置、51A~51C…閾値情報記憶部、52…かご内利用者数検出部、53…かご呼び情報取得部、54…ホール利用者数検出部、55…ホール呼び情報取得部、56A,56B,56C,56D…次停止階判定部、57…動作制御部
【要約】
【課題】 運転効率を向上させるように乗りかごの次停止階を判定して運転するエレベータ制御装置およびエレベータ制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータ制御装置は閾値情報記憶部と次停止階判定部とを備える。閾値情報記憶部は、新たに乗り込む人数が1人以上且つ所定の乗り込み人数閾値以下となる可能性が所定値以上となるかご内利用者数の最小値を第1かご内人数閾値として記憶する。次停止階判定部は、かご内利用者数が第1かご内人数閾値未満であり現在の乗りかごの運転方向側にあり運転方向と同方向のホール呼びが登録されている第1停止候補階床のうちホール利用者数が最大の階床を第2停止候補階床として選定し、第2停止候補階床のホール利用者数とかご内利用者数との合計値が第1かご内人数閾値以上のときには現在位置から第2停止候補階床までの間にある階床のホール呼びに応答しないようにして乗りかごの次停止階を判定する。
【選択図】
図2